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【発明の名称】 トラップ装置
【発明者】 【氏名】野村 典彦

【氏名】野路 伸治

【要約】 【課題】生成物のトラップ効率、あるいは付着した生成物の再生効率の向上を図って装置としての信頼性を向上させることができるようにしたトラップ装置を提供する。

【解決手段】気密チャンバ10から真空ポンプ12により排気する排気経路14に配置され、排ガス中の生成物を付着させて除去するトラップ部36を有するトラップ装置において、トラップ部36の表面に親水化処理を施した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 気密チャンバから真空ポンプにより排気する排気経路に配置され、排ガス中の生成物を付着させて除去するトラップ部を有するトラップ装置において、前記トラップ部の表面に親水化処理を施したことを特徴とするトラップ装置。
【請求項2】 気密チャンバから真空ポンプにより排気する排気経路に配置され、排ガス中の生成物をトラップ部に付着させて除去するトラップ室と、前記トラップ室に隣接して配置され内部に再生液を注入して前記トラップ部を再生する再生室と、前記トラップ部を前記トラップ室と前記再生室との間で切り替える切替機構とを有し、前記トラップ部の表面に撥水化処理を施したことを特徴とするトラップ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体製造装置の真空チャンバを真空にするために用いる真空排気システムにおいて用いられるトラップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の真空排気システムを図7を参照して説明する。ここにおいて、気密チャンバ10は、例えばエッチング装置や化学気相成長装置(CVD)等の半導体製造工程に用いるプロセスチャンバであり、この気密チャンバ10は、排気配管14を通じて真空ポンプ12に接続されている。真空ポンプ12は、気密チャンバ10からのプロセスの排ガスを大気圧まで昇圧するためのもので、従来は油回転式ポンプが、現在はドライポンプが主に使用されている。気密チャンバ10が必要とする真空度が真空ポンプ12の到達真空度よりも高い場合には、真空ポンプ12の上流側にさらにターボ分子ポンプ等の超高真空ポンプが配置される。
【0003】プロセスの排ガスは、プロセスの種類により毒性や爆発性があるので、そのまま大気に放出できない。そのため、真空ポンプ12の下流には排ガス処理装置16が配置されている。大気圧まで昇圧されたプロセスの排ガスのうち、上記のような大気に放出できないものは、ここで吸着、分解、吸収等の処理が行われ、無害なガスのみが大気に放出される。排気配管14には必要に応じて適所にバルブが設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来の真空排気システムにおいては、反応副生成物の中に昇華温度の高い物質がある場合、そのガスを真空ポンプ12が排気するので、昇圧途中でガスが固形化し、真空ポンプ12中に析出して真空ポンプ12の故障の原因になる欠点がある。例えば、アルミニウムのエッチングを行うために、代表的なプロセスガスであるBCl、Clを使用すると、気密チャンバ10からは、BCl、Clのプロセスガスの残ガスとAlClの反応副生成物が真空ポンプ12により排気される。
【0005】このAlClは、真空ポンプ12の吸気側では分圧が低いので析出しないが、加圧排気する途中で分圧が上昇し、真空ポンプ12内で析出して固形化し、ポンプ内壁に付着して真空ポンプ12の故障の原因となる。このことは、例えばSiNの成膜を行うCVD装置から生じる(NH)SiFやNHCl等の反応副生成物の場合も同様である。
【0006】従来、この問題に対しては、真空ポンプ全体を加熱して真空ポンプ内部で固形化物質が析出しないようにして、ガスの状態で真空ポンプ内を通過させる等の対策が施されてきた。しかし、この対策では真空ポンプ内での析出に対しては効果があるが、その結果として、その真空ポンプの下流に配置される排ガス処理装置で固形化物が析出して、充填層の目詰まりを生じさせる問題があった。
【0007】このため、真空ポンプの上流に、例えば低温トラップのような適当なトラップ装置を設けて排ガス中の固形化しやすい成分をトラップすることが考えられる。この場合、排気ガス中の大部分の成分がトラップ部に付着することなくそのまま流れてしまうことを防止し、トラップ効率を向上させてトラップ装置としての信頼性を上げることが求められる。
【0008】また、トラップ装置のトラップ部には捕捉された固形物が蓄積するので、適当な時間経過後に、トラップ部を交換したり、あるいは所定の方法で固形物を除去して再生することが必要となる。前者の場合は、トラップ部を多く用意しなければならず、自動化も難しい。そこで、例えば、トラップ室に隣接して再生室を設け、トラップ部を再生室内に位置させた状態で再生室内に所定の温度に加熱した温水や薬液等の再生液を流通させてトラップ部を再生(洗浄)することにより、自動運転を可能とすることが考えられる。この場合、再生効率を向上させてトラップ装置としての信頼性を上げることが求められる。
【0009】本発明は上述の事情に鑑みなされたものであり、生成物のトラップ効率、あるいは付着した生成物の再生効率の向上を図って装置としての信頼性を向上させることができるようにしたトラップ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、気密チャンバから真空ポンプにより排気する排気経路に配置され、排ガス中の生成物を付着させて除去するトラップ部を有するトラップ装置において、前記トラップ部の表面に親水化処理を施したことを特徴とするトラップ装置である。
【0011】トラップ部の表面に親水化処理を施すことにより、表面エネルギが液体の凝縮力より小さくなり、例えばトラップし難い生成物であっても、生成物がバッフル板の表面に吸着されやすくなって、トラップ効率が向上する。親水化処理としては、例えば親水性イオンを配合したフッ素コーティング等がある。
【0012】請求項2に記載の発明は、気密チャンバから真空ポンプにより排気する排気経路に配置され、排ガス中の生成物をトラップ部に付着させて除去するトラップ室と、前記トラップ室に隣接して配置され内部に再生液を注入して前記トラップ部を再生する再生室と、前記トラップ部を前記トラップ室と前記再生室との間で切り替える切替機構とを有し、前記トラップ部の表面に撥水化処理を施したことを特徴とするトラップ装置である。
【0013】バッフル板に撥水化処理を施すことにより、表面エネルギを抑え、液体を凝縮しやすくすることで、表面に広がらず、弾きやすくすることができる。従って、例えトラップ効率を向上させるために複雑な形状のバッフル板を使用したとしても、バッフル板を再生液で再生させる際に再生液をバッフル板の表面から弾きやすくして、洗浄・乾燥の効率つまり再生効率を向上させ、結果として稼動効率を向上させてトラップ率を向上させることができる。撥水化処理としては、例えばフッ素系樹脂のテトラフルオロエチレン重合体等をコーティングする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図3に示すのは、この発明のトラップ装置の第1の実施の形態を示すもので、半導体製造装置の一部を構成する気密チャンバ10を真空ポンプ12により排気する排気配管14が設けられ、この真空ポンプ12の上流側にトラップ装置18が設けられている。トラップ装置18は、排気配管14に連通する吸気口20と排気口22を有するトラップ室24を形成するトラップ容器26と、再生ガスの注入口28と排出口30を有する再生室32をトラップ室24に隣接して形成する再生容器34とを備えている。
【0015】トラップ部36を取付けた軸体38が両容器26,34を貫通して配置され、この軸体38は、切替機構であるエアシリンダ40で軸方向に往復動して、トラップ部36がトラップ室24と再生室32との間を交互に移動するようになっている。トラップ部36は、軸体38の周囲にバッフル板42が端板44を介して取り付けられて構成され、軸体38の内部には、低温の流体を流通させる流路(図示せず)が形成されて、端板44を介してバッフル板42を冷却するようになっている。
【0016】バッフル板42の表面には、例えば親水性イオンを配合したフッ素コーティングをコーティングすることにより親水化処理が施されている。これにより、表面エネルギが液体の凝縮力より小さくなって、図3に示すように、バッフル板42の表面と液体Lの接触角度αが小さくなり、バッフル板42の表面と液体Lの接触面が大きくなって、液体Lがバッフル板42の表面に付着しやすくなる。
【0017】軸体38のトラップ部36を挟んだ両側には、トラップ部36と一体に移動する一対の弁体46,46がトラップ室24及び再生室32内にそれぞれ位置して設けられている。この弁体46,46の外周縁部の両側には、シール部材としてのOリング48が装着され、このOリング48がトラップ容器26の両端部の内方に突出して設けられた隔壁50,50及び再生容器34の両端部に内方に突出して設けられた隔壁52,52の一方に圧接して、トラップ室24及び再生室32がシールされるようになっている。
【0018】次に、前記のような構成のトラップ装置18の作用を説明する。半導体装置製造時においては、トラップ部36はトラップ室24内に位置するように切り替えられ、バッフル板42は冷媒によって冷却される。これにより、排気配管14に沿ってトラップ室24内に流入する排ガスに含まれる特定の成分、例えばアルミニウムの成膜を行う場合には、塩化アルミニウムのような成分が固形分としてトラップされ、排ガスから除去される。この時、トラップ部36のバッフル板42には親水化処理が施されており、表面エネルギが液体の凝縮力より小さくなっているので、例えトラップし難いSi等との縮合物のような生成物でもバッフル板42の表面に確実に吸着させることができ、トラップ効率が向上する。
【0019】温度センサや圧力センサ等でトラップ量が一定量に達したことを検知すると、処理を一時的に停止し、あるいは他の排気トラップ経路に切り替えてから、トラップ部36を再生室32に移動させる。そして、注入口28から再生室32内に再生ガスを注入し排出口30から排出させて、トラップ部36を再生させる。
【0020】図4及び図5は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、これは、トラップ部36のバッフル板42の表面に、例えばフッ素系樹脂であるテトラフルオロエチレン重合体等のコーティングによる撥水化処理を施し、再生室32内には注入口28から温水や薬液等の再生液とパージガスを制御しつつ導入することができるようにしたものである。他の構成は、前記第1の実施の形態と同様である。
【0021】このように、バッフル板42の表面に撥水化処理を施すと、表面エネルギが抑えられ、液体が凝縮し易くなり、表面に広がらず、弾きやすくなる。これにより、図5に示すように、バッフル板42の表面と液体Lの接触角度βが大きくなり、バッフル板42の表面と液体Lとが点接触となって、液体Lがバッフル板42の表面から弾かれ易くなる。
【0022】この実施の形態にあっては、トラップ量が一定量に達したことを検知すると、処理を一時的に停止し、あるいは他の排気トラップ経路に切り替えてから、トラップ部36を再生室32に移動させる。そして、先ず、注入口28から再生室32内に再生液を注入して、トラップ部36を浸漬させる。これにより、トラップ部36のバッフル板42に付着した生成物は再生液に溶解し、再生液の流れの力によってバッフル板42から離されて再生液中に浮遊する。生成物を溶解又は浮遊させた再生液は、排出口30から順次排出する。
【0023】このようにして所定の時間の再生が終了すると、例えば乾燥したNガス等のパージガスを注入口28から再生室32内に流入させ、排出口30から排出して、トラップ部36及び再生室32を乾燥させ、しかる後、トラップ部36をトラップ室24に戻す。この時、トラップ部36のバッフル板42には撥水化処理が施され、表面エネルギが抑えられて液体が凝縮しやすくなっており、これによって、バッフル板42を再生液で再生させる場合に再生液がバッフル板42の表面から弾かれやすくなっており、洗浄・乾燥効率、ひいては再生効率が向上する。
【0024】この実施の形態は、例えば、トラップし易いが再生し難いSiO系の化合物のような生成物をトラップする場合に使用して最適である。なお、トラップ部の形状を複雑化して、バッフル板と排ガスとの接触面積を増やすことにより、トラップ効率の低下を補填することができる。
【0025】図6は、この実施の形態に使用して最適なトラップ部を示すもので、図6(a)は、バッフル板42a,42b,42cを左右対称に複数(図示例では6枚)配置し、それぞれの間及び軸体38との間に、トラップ流路60a,60b,60cを形成したものである。バッフル板42a,42b,42cは、同心状の円弧面部62と直線状に平行に延びる平面部64とを有しており、また各バッフル板42a,42b,42cには、排出穴66が設けられている。
【0026】図6(b)は、複数の円弧状のバッフル板42a,42b,42c,42d,42eを軸体38を取り囲むようにも配置し、これらのバッフル板42a,42b,42c,42d,42eの間に湾曲したトラップ流路60a,60b,60c,60dを多層に構成したものである。これらの各流路の上流側の入口の幅は、出口の幅よりも鈍角に開くよう構成され、ここに中央側を流れる気体を周辺の流路に分配する作用をする案内バッフル68a,68b,68c,68dが設けられている。
【0027】図6(c)は、図6(a)に示すバッフル板42a,42b及び42b,42c間の上流側にのみに他のバッフル板42d,42eを配置して、流路60aの上流側をバッフル板42dを介して2つの流路60a1,60a2に、流路60bの上流側をバッフル板42eを介して2つの流路60b1,60b2にそれぞれ分割したものである。
【0028】このように複雑な形状を有するトラップ部36を再生液で再生(洗浄)し、乾燥させようとすると、再生液が各バッフル板の隙間に入り込み乾燥に時間を要するが、バッフル板に撥水化処理を施すことにより、洗浄・乾燥効率を向上させることができる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、生成物のトラップ効率、あるいは付着した生成物の再生効率の向上を図ることができ、従って、これを半導体処理装置等の排気システムに用いることにより、装置を安定に作動させて信頼性を向上させることができる。従って、真空ポンプの長寿命化、除害装置の保護、ロスタイム削減による運転の信頼性の向上、更には設備や運転コストの低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【出願日】 平成11年11月10日(1999.11.10)
【代理人】 【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇 (外1名)
【公開番号】 特開2001−132638(P2001−132638A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−319364