トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F04 液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ




【発明の名称】 容量可変型圧縮機
【発明者】 【氏名】太田 雅樹

【氏名】川口 真広

【氏名】柏木 陽一郎

【氏名】大立 泰治

【要約】 【課題】圧縮機の駆動軸に作用する負荷トルクを直接的に検出可能な容量可変型圧縮機を提供する。

【解決手段】容量可変型圧縮機は、圧縮動作の反作用として駆動軸6に働く負荷トルクを検出する負荷トルク検出器63を備えている。その負荷トルク検出器63は、圧縮機ハウジング1,2,3および4の外側において駆動軸6の端部に作動連結されたプーリ61を利用して設けられると共に、駆動軸6の捩じれに起因する機械的歪みを電気信号に置換する磁歪検出部64を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部駆動源から動力供給を受ける駆動軸と、吐出容量可変機構とを備え、駆動軸の回転に伴いガスの吸入及び圧縮を行う容量可変型圧縮機であって、圧縮動作の反作用として駆動軸に働く負荷トルクを検出する負荷トルク検出器を備え、その負荷トルク検出器は、圧縮機ハウジングの外側において駆動軸の端部に作動連結された回転体を利用して設けられると共に、駆動軸の捩じれに起因する機械的歪みを電気信号に置換する検出要素を備えてなることを特徴とする容量可変型圧縮機。
【請求項2】 前記駆動軸と回転体とは一体的に作動連結されており、前記負荷トルク検出器は、回転体の歪み発生面に取着された磁歪片と、その磁歪片の周囲における磁束の変化を検出する検出要素としてのピックアップコイルとを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の容量可変型圧縮機。
【請求項3】 前記磁歪片は、前記回転体の歪み発生面上にその回転体の半径方向に対し所定角度をなすように傾斜して取着された棒状の磁性材からなることを特徴とする請求項2に記載の容量可変型圧縮機。
【請求項4】 前記磁歪片は、前記回転体の歪み発生面上においてその回転体の周方向に沿って貼着された膜状の磁性材からなることを特徴とする請求項2に記載の容量可変型圧縮機。
【請求項5】 前記駆動軸と回転体とは弾性材を介して作動連結されており、前記負荷トルク検出器を構成する検出要素は、前記弾性材内に埋設された圧電素子であることを特徴とする請求項1に記載の容量可変型圧縮機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容量可変型圧縮機に係り、特に車輌用空調装置に利用可能な斜板式容量可変型圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】実開平2−240815号公報は、外部駆動源たる車輌エンジンから動力供給を受けて駆動される揺動斜板式容量可変型圧縮機を開示する。その斜板式圧縮機は、ピストンを介してのクランク室内圧(Pc)と吸入行程にあるピストンボア内圧(ほぼ吸入圧Psに等しい)との差に基づいて斜板の傾角を制御して吐出容量を変化させるように構成されると共に、吐出容量に比例したピストンのストロークを検出するためのストローク検出手段を備えている。そして、前記ストローク検出手段を構成する位置検出器からのピストン位置信号をエンジンの出力制御回路に入力し、それに基づき、圧縮機の吐出容量(つまり斜板の傾角)に応じてエンジン出力を調節している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の可変容量型圧縮機は、揺動斜板の傾斜角をストローク検出手段により検出することができるので、圧縮機の吐出容量を正確に検出することができる。ところが、現実には圧縮機が消費する動力(つまりは圧縮機の負荷トルク)は、同一容量(特に100%容量時)であっても吸入圧力及び吐出圧力条件により消費動力が倍以上に変動し、本来の目的、すなわち圧縮機が消費する実際の動力分だけエンジン側の出力を向上させることができないという問題があった。また、圧縮機の使用条件により実際の所要トルクが大きい場合には、エンジンストールが生じ、そのエンジンストールを生じないようにするため、常に所定値以上の高い出力(回転数)で圧縮機を駆動するようにしているので、消費エネルギーが増大するという問題があった。
【0004】他方、容量可変型圧縮機が圧縮動作を行う際に不可避的に発生する反発負荷トルクに関する情報は、単に圧縮機に動力を供給する車輌エンジンの出力制御に利用可能なだけではない。かかる負荷トルクに関する情報は、クランク室内圧(Pc)を調節して圧縮機の吐出容量(つまりは補機たる圧縮機の負荷の大きさ)を直接制御することにも利用可能である。そのような観点からも、圧縮動作時に発生する負荷トルクの大きさを正確に把握することは、極めて有益である。
【0005】本発明の目的は、圧縮機の駆動軸に作用する負荷トルクを直接的に検出可能な容量可変型圧縮機を提供することにある。特に、圧縮機の吐出容量の制御や、圧縮機に動力を供給している外部駆動源の出力制御に好都合な負荷トルク検出器を備えた容量可変型圧縮機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、外部駆動源から動力供給を受ける駆動軸と、吐出容量可変機構とを備え、駆動軸の回転に伴いガスの吸入及び圧縮を行う容量可変型圧縮機であって、圧縮動作の反作用として駆動軸に働く負荷トルクを検出する負荷トルク検出器を備え、その負荷トルク検出器は、圧縮機ハウジングの外側において駆動軸の端部に作動連結された回転体を利用して設けられると共に、駆動軸の捩じれに起因する機械的歪みを電気信号に置換する検出要素を備えてなることを要旨とする。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の容量可変型圧縮機において、前記駆動軸と回転体とは一体的に作動連結されており、前記負荷トルク検出器は、回転体の歪み発生面に取着された磁歪片と、その磁歪片の周囲における磁束の変化を検出する検出要素としてのピックアップコイルとを含んでなることを要旨とする。
【0008】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の容量可変型圧縮機において、前記磁歪片は、前記回転体の歪み発生面上にその回転体の半径方向に対し所定角度をなすように傾斜して取着された棒状の磁性材からなることを要旨とする。
【0009】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の容量可変型圧縮機において、前記磁歪片は、前記回転体の歪み発生面上においてその回転体の周方向に沿って貼着された膜状の磁性材からなることを要旨とする。
【0010】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の容量可変型圧縮機において、前記駆動軸と回転体とは弾性材を介して作動連結されており、前記負荷トルク検出器を構成する検出要素は、前記弾性材内に埋設された圧電素子であることを要旨とする。
【0011】(作用)請求項1に記載の発明によれば、圧縮機が外部駆動源から動力供給を受ける駆動軸には、圧縮機ハウジングの外側の同駆動軸の端部において回転体が作動連結され、この回転体を利用して負荷トルク検出器が設けられる。前記圧縮機が回転体および駆動軸を介して外部駆動源から動力供給を受けると、圧縮動作の反作用として、前記回転体および駆動軸には負荷トルクが働く。前記負荷トルク検出器は、回転体に発生する機械的歪みを電気信号に置換する。この電気信号を基に、前記駆動軸に働く負荷トルクが検出される。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、外部駆動源からの動力供給によって回転体に機械的歪みが発生すると、同回転体に取着された磁歪片の周囲における磁束が変化する。この磁束変化の度合いは、駆動軸に働く負荷トルクに起因する前記機械的歪みの大きさに対応する。ピックアップコイルがこの磁束変化を検出することで、負荷トルク検出器は駆動軸に働く負荷トルクの大きさを検出する。
【0013】請求項3に記載の発明によれば、回転体の歪み発生面上では、その回転体の半径方向に対し所定角度をなす方向に最も大きな機械的歪みが発生する。この方向に沿うように傾斜して取着された棒状の磁性材は、より効率的な前記機械的歪みの検出を可能にする。
【0014】請求項4に記載の発明によれば、回転体の歪み発生面上において広範囲にわたる磁歪片設置が可能になり、ピックアップコイルによる磁束変化検出効率が向上する。更に、ピックアップコイルを圧縮機ハウジング側へ設置することが可能になり、検出結果の受け側たるピックアップコイルへの信号伝達についての信頼性が向上する。
【0015】請求項5に記載の発明によれば、負荷トルクが大きくなるほど、回転体と駆動軸との間の角速度差が増大する傾向となり、弾性材が捩じられる程度も大きくなる。この弾性材の捩じれが大きいほど、圧電素子に加わる圧力も大きくなり、それに応じて圧電素子の抵抗値が変化する。故に、圧電素子からの電気信号(出力)の大きさは、圧縮機の負荷トルクの大きさを反映したものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明を車輌用空調装置の容量可変型斜板式圧縮機に具体化した一実施形態を図1〜図6を参照して説明する。図1に示すように車輌用空調装置の冷房回路(又は冷媒循環回路)は、容量可変型斜板式圧縮機と外部冷媒回路30とを備えている。外部冷媒回路30は例えば、凝縮器(コンデンサ)31、減圧装置としての温度式膨張弁32及び蒸発器(エバポレータ)33を備えている。膨張弁32の開度は、蒸発器33の出口側又は下流側に設けられた感温筒34の検知温度および蒸発圧力(蒸発器出口圧力)に基づいてフィードバック制御される。膨張弁32は熱負荷に見合った液冷媒を蒸発器33に供給して外部冷媒回路30における冷媒流量を調節する。前記圧縮機は、外部冷媒回路の下流域から冷媒ガスを吸入して圧縮し、圧縮したガスを外部冷媒回路の上流域に吐出する。
【0017】図1に示すように容量可変型斜板式圧縮機は、シリンダブロック1と、その前端に接合されたフロントハウジング2と、シリンダブロック1の後端に弁形成体3を介して接合されたリヤハウジング4とを備えている。これら1,2,3及び4は、複数本の通しボルト10(一本のみ図示)により相互に接合固定されて該圧縮機ハウジングを構成する。シリンダブロック1とフロントハウジング2とに囲まれた領域にはクランク室5が区画されている。クランク室5内には駆動軸6が前後一対のラジアル軸受け8A,8Bによって回転可能に支持されている。シリンダブロック1の中央に形成された収容凹部内には、前方付勢バネ7及び後側スラスト軸受け9Bが配設されている。他方、クランク室5において駆動軸6上にはラグプレート11が一体回転可能に固定され、ラグプレート11とフロントハウジング2の内壁面との間には前側スラスト軸受け9Aが配設されている。一体回転可能に結合された駆動軸6及びラグプレート11は、バネ7で前方付勢された後側スラスト軸受け9Bと前側スラスト軸受け9Aとによってスラスト方向(駆動軸軸線方向)に位置決めされている。
【0018】駆動軸6の前端部はフロントハウジング2の前部から外へ突出されている。フロントハウジング2の前端円筒部にはボールベアリング60を介して回転体としてのプーリ61が回転可能に支持され、プーリ61は駆動軸6の前端部に一体的に作動連結されている。プーリ61の外周にはベルト62が巻き掛けられ、このベルト62を介して該圧縮機は外部駆動源としての車輌エンジンEに作動連結されている。つまり、該圧縮機は、クラッチ機構を介在させることなく外部駆動源からプーリ61を介して駆動軸6に直接的に動力供給を受けるクラッチレスタイプとなっている。なお、フロントハウジング2の前部とプーリ61との間の部分には、負荷トルク検出器63が設けられている。この負荷トルク検出器63の詳細については後ほど説明する。
【0019】駆動軸外周面とフロントハウジング前部の内周面との間には、軸封装置としてのシール部材29が設けられている。シール部材29は駆動軸6の前方を封止してクランク室5の気密性を確保する。
【0020】図1に示すように、クランク室5内にはカムプレートたる斜板12が収容されている。斜板12の中央部には挿通孔が貫設され、この挿通孔内に駆動軸6が配置されている。斜板12は、連結案内機構としてのヒンジ機構13を介してラグプレート11及び駆動軸6に作動連結されている。ヒンジ機構13は、ラグプレート11のリヤ面から突設された二つの支持アーム14(一つのみ図示)と、斜板12のフロント面から突設された二本のガイドピン15(一本のみ図示)とから構成されている。支持アーム14とガイドピン15との連係および斜板12の中央挿通孔内での駆動軸6との接触により、斜板12はラグプレート11及び駆動軸6と同期回転可能であると共に駆動軸6の軸方向へのスライド移動を伴いながら駆動軸6に対し傾動可能となっている。なお、斜板12は、駆動軸6を挟んで前記ヒンジ機構13と反対側にカウンタウェイト部12aを有している。
【0021】ラグプレート11と斜板12との間において駆動軸6の周囲には傾角減少バネ16が設けられている。このバネ16は斜板12をシリンダブロック1に接近する方向(即ち傾角減少方向)に付勢する。又、駆動軸6に固着された規制リング18と斜板12との間において駆動軸6の周囲には復帰バネ17が設けられている。この復帰バネ17は、斜板12が大傾角状態(二点鎖線で示す)にあるときには駆動軸6に単に巻装されるのみで斜板その他の部材に対していかなる付勢作用も及ぼさないが、斜板12が小傾角状態(実線で示す)に移行すると、前記規制リング18と斜板12との間で圧縮されて斜板12をシリンダブロック1から離間する方向(即ち傾角増大方向)に付勢する。なお、斜板12が圧縮機運転時に最小傾角θmin(例えば1〜5°の範囲の角度)に達したときも、復帰バネ17が縮みきらないようにバネ17の自然長及び規制リング18の位置が設定されている。
【0022】シリンダブロック1には、駆動軸6を取り囲んで複数のシリンダボア1a(一つのみ図示)が形成され、各シリンダボア1aのリヤ側端は前記弁形成体3で閉塞されている。各シリンダボア1aには片頭型のピストン20が往復動可能に収容されており、各ボア1a内にはピストン20の往復動に応じて体積変化する圧縮室が区画されている。各ピストン20の前端部は一対のシュー19を介して斜板12の外周部に係留され、これらのシュー19を介して各ピストン20は斜板12に作動連結されている。このため、斜板12が駆動軸6と同期回転することで、斜板12の回転運動がその傾角θに対応するストロークでのピストン20の往復直線運動に変換される。
【0023】なお、前記ラグプレート11、斜板12、ヒンジ機構13、および、シュー19によって、吐出容量可変機構が構成されている。更に弁形成体3とリヤハウジング4との間には、中心域に位置する吸入室21と、それを取り囲む吐出室22とが区画形成されている。弁形成体3は、吸入弁形成板、ポート形成板、吐出弁形成板およびリテーナ形成板を重合してなるものである。この弁形成体3には各シリンダボア1aに対応して、吸入ポート23及び同ポート23を開閉する吸入弁24、並びに、吐出ポート25及び同ポート25を開閉する吐出弁26が形成されている。吸入ポート23を介して吸入室21と各シリンダボア1aとが連通され、吐出ポート25を介して各シリンダボア1aと吐出室22とが連通される。そして、蒸発器33の出口から吸入室21(吸入圧Psの領域)に導かれた冷媒ガスは、各ピストン20の上死点位置から下死点側への往動により吸入ポート23及び吸入弁24を介してシリンダボア1aに吸入される。シリンダボア1aに吸入された冷媒ガスは、ピストン20の下死点位置から上死点側への復動により所定の圧力にまで圧縮され、吐出ポート25及び吐出弁26を介して吐出室22(吐出圧Pdの領域)に吐出される。吐出室22の高圧冷媒は凝縮器31に導かれる。
【0024】この圧縮機では、エンジンEからの動力供給によりプーリ61を介して駆動軸6が回転されると、それに伴い所定角度θに傾斜した斜板12が回転する。その時の角度θは傾角と呼ばれ、一般に駆動軸6に直交する仮想平面と斜板12とがなす角度として把握される。斜板の回転に伴って各ピストン20が傾角θに対応したストロークで往復動され、前述のように各シリンダボア1aでは、冷媒ガスの吸入、圧縮及び吐出が順次繰り返される。
【0025】斜板12の傾角θは、斜板回転時の遠心力に起因する回転運動のモーメント、傾角減少バネ16(及び復帰バネ17)の付勢作用に起因するバネ力によるモーメント、ピストン20の往復慣性力によるモーメント、ガス圧によるモーメント等の各種モーメントの相互バランスに基づいて決定される。ガス圧によるモーメントとは、シリンダボア内圧と、ピストン背圧にあたるクランク室5の内圧(クランク圧Pc)との相互関係に基づいて発生するモーメントであり、クランク圧Pcに応じて傾角減少方向にも傾角増大方向にも作用する。この圧縮機では、後述する容量制御弁(電磁制御弁)40を用いてクランク圧Pcを調節し前記ガス圧によるモーメントを適宜変更することにより、斜板の傾角θを最小傾角θminと最大傾角θmaxとの間の任意の角度に設定可能としている。なお、最大傾角θmaxは、斜板12のカウンタウェイト部12aがラグプレート11の規制部11aに当接することで規制される。他方、最小傾角θminは、前記ガス圧によるモーメントが傾角減少方向にほぼ最大化した状態のもとでの傾角減少バネ16と復帰バネ17との付勢力バランスを支配的要因として決定される。
【0026】斜板12の傾角制御に関与するクランク圧Pcを制御するためのクランク圧制御機構は、図1及び図2に示す圧縮機ハウジング内に設けられた抽気通路27及び給気通路28並びに容量制御弁40によって構成される。抽気通路27は吸入室21とクランク室5とを接続する。給気通路28は吐出室22とクランク室5とを接続し、給気通路28の途中には容量制御弁40が設けられている。この制御弁40の開度を調節することで給気通路28を介したクランク室5への高圧ガスの導入量と抽気通路27を介したクランク室5からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク圧Pcが決定される。クランク圧Pcの変更に応じて、ピストン20を介してのクランク圧Pcとシリンダボア1aの内圧との差が変更され、斜板の傾角θが変更される結果、ピストンのストロークすなわち吐出容量が調節される。
【0027】図2に示すように、容量制御弁40は、上半部(入れ側弁部)41と下半部(ソレノイド部)51とからなる。入れ側弁部41のバルブハウジングには、導入ポート42、弁室43、弁孔44及び導出ポート45が形成され、これら42〜45は給気通路28の一部を構成する。弁室43内には、弁孔44に接離可能な弁体46と、その弁体を弁孔を閉鎖する方向に付勢する閉鎖バネ47とが設けられている。制御弁のソレノイド部51は、固定鉄心52、可動鉄心53、両鉄心を跨ぐように配置されたコイル54及び開放バネ55を備えている。可動鉄心53と弁体46との間には両者を作動連結するロッド48が設けられている。開放バネ55は閉鎖バネ47のバネ力を凌駕するバネ力を有しており、閉鎖バネ47の作用にかかわらず、可動鉄心53及びロッド48を介して弁体46を弁孔44から離れる方向(開放方向)に付勢する。その一方で、外部からの通電制御によりコイル54に電流が供給されてソレノイド部51が励磁されると、両鉄心52,53間に吸引方向の電磁付勢力が生じる。この電磁付勢力は、開放バネ55の付勢力と反対方向に作用する。従って、弁孔44に対する弁体46の位置(つまり制御弁40の開度)は、主として、閉鎖バネ47及び前記電磁力による下向き付勢力と、開放バネ55による上向き付勢力とのバランスに基づいて決定される。前記電磁力はコイル54へのエネルギー供給量に応じて変化するため、コイル54への通電制御に基づいて制御弁40の開度を0%から100%の範囲で任意調節することができる。なお、コイル54への通電制御は、アナログ的な電流値制御、又は、通電時のデューティ比を適宜変化させるデューティ制御のいずれでもよい。本実施形態ではデューティ制御を採用する。なお、デューティ比Dtを小さくすると弁開度が大きくなり、デューティ比Dtを大きくすると弁開度が小さくなるように設計されている。
【0028】(負荷トルク検出器)図1及び図3に示すように、フロントハウジング2の前部とプーリ61との間には、負荷トルク検出器63が配設されている。この負荷トルク検出器63は、磁歪検出部64,ロータリトランス65、および、図示しない検出処理回路を備えている。
【0029】磁歪検出部64は、フロントハウジング2を臨む歪み発生面としてのプーリ61のリヤ面61a上に取着された磁歪片としての磁性棒64aと、同磁性棒64aに巻着されたピックアップコイル64bとからなっている。磁性棒64aは、側方から見て門型を呈し(図3(B)参照)、前記リヤ面61a上にプーリ61の半径方向に対し所定角度θaをなすように傾斜して取着されている(図3(A)参照)。ここで、前記取付角度θaは、0°<θa<90°の範囲に含まれる角度であり、好ましくは、30〜60°の範囲に含まれる角度である(θa=45°が最も好ましい)。一方、ピックアップコイル64bは、磁性棒64aの周囲における磁束の変化に感応して電気的出力(信号)を発生または変化させる。
【0030】ロータリトランス65は、一次および二次コイル65a,65bによって構成されている。一次コイル65aは、プーリ61のリヤ面61a上に、駆動軸6を周回するように取着され、前記ピックアップコイル64bに接続されて一つの閉じた回路を構成する。また、二次コイル65bは、フロントハウジング2前部のプーリ61を臨むフロント面上に一次コイル65aに対向するように取着されている。この二次コイル65bは前記検出処理回路(図示せず)を介して車輌用空調装置の制御装置70に接続されている。
【0031】車輌エンジンEによってプーリ61を介して駆動軸6が回転されるとき、圧縮動作の反作用として駆動軸6およびプーリ61は回転方向と逆向きの反発負荷トルクを受ける。すると、プーリ61のリヤ面61aの内側域と外側域との間に機械的歪みが生じ、その歪みに基づいて磁性棒64a自体も軸方向に引っ張られて歪む。その結果、前記磁歪検出部64の磁性棒64aには、反発負荷トルクの大きさを反映した磁歪み、即ち、磁束変化が発生する。その磁束変化はピックアップコイル64bにおいて電圧(または電流)変化を生じさせ、その電圧(または電流)変化が一次コイル65aに伝達される。そして、この一次コイル65aに伝達された電圧(または電流)変化が二次コイル65bの電圧(または電流)変化を誘発する。その二次コイル65bでの変化は、検出処理回路によって正規のアナログまたはデジタル信号に変換され、検出処理回路からは、負荷トルクの大きさを反映した電気信号が出力される。換言すれば、負荷トルク検出器63は、圧縮機の運転時に駆動軸6およびプーリ61に作用する負荷トルクの大きさを、該駆動軸6の捩じれに起因するプーリ61の機械的歪みの大きさによって検知すると共にその検知データを電気信号に置換して出力する。
【0032】(制御体系)車輌用空調装置は、該空調装置の全般的な制御を司る制御装置70を備えている。図2に示すように、制御装置70は、CPU、ROM、RAM、タイマ及びI/Oを備えたコンピュータ類似の制御ユニットである。前記ROMには、後述する各種の制御プログラム(図4,図5のフローチャート参照)や初期データが記憶されている。RAMは作業用の記憶領域を提供し、タイマはCPUからの指令に基づき経過時間の計測およびCPUへの時刻到達の告知を行う。I/Oは、複数の入出力端子を備えた制御装置70の入出力インターフェイス回路である。I/Oの出力端子には駆動回路71が接続されている。駆動回路71は制御装置70からの指令に基づき、制御弁40のコイル54に対してデューティ制御された駆動信号を出力する。
【0033】制御装置70のI/Oの入力端子には少なくとも、前記負荷トルク検出器63の他に、A/Cスイッチ72、温度設定器73、温度センサ74およびエンジンECUが接続されている。A/Cスイッチ72は車輌の乗員によって操作される空調装置のON/OFF切替えスイッチであり、制御装置70に対し空調装置のON/OFF設定状況に関する情報を提供する。温度設定器73は車輌の乗員によって操作される好ましい温度の設定器であり、制御装置70に対し設定温度Te(set)に関する情報を提供する。温度センサ74は前記蒸発器33の近傍に設けられたセンサであり、蒸発器33を通過することで冷却(即ち熱交換)された室内空気の温度を測定し、検出した温度Te(t)を室温情報として制御装置70に提供する。負荷トルク検出器63は、圧縮機の駆動軸6に作用する負荷トルクTQ(t)に関する情報を制御装置70に提供する。
【0034】エンジンECUは車輌エンジン等の制御ユニットであり、車速センサ75、エンジン回転数センサ76及びスロットルセンサ(又はアクセル開度センサ)77と接続されている。スロットルセンサ77は、エンジンの吸気管路に設けられたスロットル弁の角度(又は開度)を検知するセンサであり、このスロットル弁角度(又は開度)は車輌の操縦者によるアクセルペダルの踏込量を反映する。換言すれば、制御装置70はエンジンECUを介して車輌の運転状況に関する情報、即ち車速V、エンジン回転数NE、エンジンECUによって翻訳されたアクセルペダルの踏込量つまりアクセル開度Ac(t)に関する情報を提供される。尚、各種センサ類63,72,73,74,75,76,77及びエンジンECUは外部情報検知手段を構成する。
【0035】制御装置70は、前記外部情報検知手段から提供される外部情報に基づいて現在の状況を判断すると共に駆動回路71から制御弁のソレノイドコイル54に出力される駆動信号のデューティ比Dtを演算する。そして、演算されたデューティ比Dtでの駆動信号の出力を駆動回路71に指令することにより、制御弁40の開度をリアルタイムで任意調節し、クランク圧Pcの迅速な変更延いてはピストンストローク(すなわち吐出容量)の迅速な変更を実現する。以下に、圧縮機の容量又は負荷トルクの制御に関するフローチャート(図4,図5)を参照して制御装置70によるデューティ制御を詳細に説明する。尚、図4のチャートは、空調制御プログラムの幹となるメインルーチンを示す。図5のチャートは、前記メインルーチンにおいて所定の判定条件を満たしたときに実行される通常制御サブルーチンを示す。
【0036】(メインルーチン)車輌のイグニションスイッチ(又はスタートスイッチ)がONされると、制御装置70は電力を供給され演算処理を開始する。制御装置70は、図4のステップS41(以下単に「S41」という、他のステップも以下同様)において初導プログラムに従い各種の初期設定を行う。例えば、負荷トルク目標値TQTやデューティ比Dtに初期値又は暫定値を与える。TQTは、後ほど説明する負荷トルクTQ(t)のフィードバック制御における目標値となるものである。その後、処理はS42以下に示された状態監視及びデューティ比の内部演算処理へと進む。
【0037】S42では、A/Cスイッチ72がONされるまで該スイッチのON/OFF状況が監視される。A/Cスイッチ72がONされると、処理は非常時判定ルーチン(S43)へ進む。S43では、車輌が非定常的な状態つまり非常時運転モードにあるか否かを外部情報に基づいて判断する。ここで言う「非常時運転モード」とは、例えば、登坂走行のようなエンジンEが高負荷状態にある場合とか、追い越し加速のような車輌の加速時(少なくとも操縦者が急加速を欲している場合)を指す。例示したいずれの場合も、前記外部情報検知手段から提供されるアクセル開度Ac(t)を所定の判定値と比較することで、そのような高負荷状態又は車輌加速状態にあることを合理的に推定することができる。
【0038】S43判定がYES、つまり非常時運転モードにあるときには、制御装置70は非常時対応制御(S44)を行う。この非常時対応制御については後述する。非常時判定ルーチンでの監視項目のいずれにも該当しない場合には、S43判定がNOとなる。その場合には、車輌が定常的な状態つまり通常運転モードにあるとみなされる。ここで言う「通常運転モード」とは、プログラム的には非常時判定ルーチンの監視項目に該当しない排他的な条件充足状態を意味し、つまるところ、車輌が平均的な運転状況で使用されていると合理的に推定できる状態を指す。S43判定がNOの場合には、処理は通常制御ルーチンRF5へ移行する。多くの場合、図4のメインルーチンでの処理は通常制御ルーチンRF5での処理を経てS42に復帰する。
【0039】(通常制御ルーチンRF5)図5の通常制御ルーチンRF5は、まさに通常運転モードでの空調能力即ち圧縮機の吐出容量のフィードバック制御に関する手順を示す。ステップS51〜S54は、負荷トルク目標値TQTの見直し又は再設定に関する処理である。ステップS55〜S58は、圧縮機の駆動軸6に現に作用する負荷トルクTQ(t)を目標値TQT付近に収束させることを最終目標としたデューティ比Dtのフィードバック制御(つまりはクランク圧Pc、吐出容量及び負荷トルクのフィードバック制御)に関する処理である。
【0040】S51において制御装置70は、温度センサ74によって検出された蒸発器付近の温度Te(t)が温度設定器73による設定温度Te(set)より大であるか否かを判定する。S51判定がNOの場合、S52において前記検出温度Te(t)が設定温度Te(set)より小であるか否かを判定する。S52判定もNOの場合には、検出温度Te(t)が設定温度Te(set)に一致していることになるため、冷房能力の変化につながる負荷トルク目標値TQTの設定変更は必要がない。他方、S51判定がYESの場合、蒸発器での熱負荷が大きいと予測されるため、S53において負荷トルク目標値TQTを単位量ΔTQだけ増大させる。負荷トルクの増加は吐出容量の増加と基本的に表裏一体であり、目標値TQTの増大は冷房を強化する方向に空調制御を誘導することになる。又、S52判定がYESの場合、蒸発器での熱負荷が小さいと予測されるため、S54において負荷トルク目標値TQTを単位量ΔTQだけ減少させる。負荷トルクの減少は吐出容量の減少と基本的に表裏一体であり、目標値TQTの減少は冷房を弱める方向に空調制御を誘導することになる。このようにして負荷トルク目標値TQTの見直しが行なわれる。
【0041】続いて制御装置70は、S55において負荷トルク検出器63によって検出された負荷トルクTQ(t)が前記目標値TQTと許容幅Wとの和よりも大きいか否かを判定する。S55判定がNOの場合には、S56において負荷トルクTQ(t)が前記目標値TQTと許容幅Wとの差よりも小さいか否かを判定する。S55判定及びS56判定が共にNOの場合には、現在の負荷トルクTQ(t)は(TQT−W)と(TQT+W)との間にある、即ちTQTを中心とした許容幅2Wの範囲内に収まっていることになる。かかる場合は殊更にデューティ比Dtを変更して負荷トルク延いては吐出容量を変更する必要性に乏しいので、制御装置70は駆動回路71にデューティ比Dtの変更指令を発することなく、該ルーチンRF5を離脱する。なお、前記許容幅Wの設定次第で負荷トルク制御の精度(又はハンチング振幅)を調節できることは言うまでもない。
【0042】S55判定がYESの場合には、S57において制御装置70はデューティ比Dtを単位量ΔDだけ減少させ、その修正値(Dt−ΔD)へのデューティ比変更を駆動回路71に指令する。すると、制御弁ソレノイド部の電磁力が若干弱まり、制御弁40の開度が増大(給気通路28の開度が増大)する。その結果、クランク圧Pcが増大傾向となり、クランク圧Pcとシリンダボア内圧とのピストンを介した差が大きくなって斜板12が傾角減少方向に傾動し、圧縮機の状態は吐出容量が減少し負荷トルクも減少する方向に移行する。他方、S56判定がYESの場合には、S58において制御装置70はデューティ比Dtを単位量ΔDだけ増大させ、その修正値(Dt+ΔD)へのデューティ比変更を駆動回路71に指令する。すると、制御弁ソレノイド部の電磁力が若干強まり、制御弁40の開度が減少(給気通路28の開度が減少)する。その結果、クランク圧Pcが低下傾向となり、クランク圧Pcとシリンダボア内圧とのピストンを介した差が小さくなって斜板12が傾角増大方向に傾動し、圧縮機の状態は吐出容量が増大し負荷トルクも増大する方向に移行する。それ故、検出負荷トルクTQ(t)が目標値TQTから大きくずれていたとしても、S57及び/又はS58でのデューティ比のフィードバック制御を経て、負荷トルクTQ(t)が目標値TQT付近に収束する。
【0043】図6のタイムチャートは、S53で目標値TQTを上方修正した場合におけるS55〜S58のフィードバック制御による負荷トルクTQ(t)の経時変化を概念的に示す。図6においてTQT(Old)をTQT(New)に変更した後、負荷トルクTQ(t)がTQT(New)付近にほぼ収束するまでの時間T1又はT2は非常に短い。これはフィードバック制御のパラメータとして吸入圧Ps等の熱負荷に影響される圧力要因を一切持ち込まず、制御弁開度のデューティ制御に対する応答性に優れる負荷トルクTQ(t)を直接の制御対象としたことによる。かかる次第で、比較的短時間のうちに負荷トルクTQ(t)は目標値TQT付近に調節され、通常制御ルーチンRF5での処理を終えることができる。
【0044】(非常時対応制御S44)図4のS43判定でYESの場合、制御装置70は非常時対応制御(S44)を行う。非常時対応制御は、例えば、エンジンの高負荷状態や車輌加速状態を最初に検知した時点から所定期間ΔTだけ、前記駆動信号のデューティ比Dtをその可変幅内の最小値又はゼロに強制的に設定変更するというものである(即ちカット制御)。デューティ比Dtが極小化されている期間ΔTは、容量制御弁が最大開度となり、クランク圧Pcが即座に高まって傾角θが迅速に最小化され、圧縮機の吐出容量が最小となる。これにより、エンジンEの負荷が少なからず軽減され、エンジン出力を車輌の前進駆動力に極力振り向けることが可能となる。なお、前記期間ΔTの間、空調装置の冷房能力は犠牲にされるが、この期間ΔTは一時的な短期間であり、乗員の快適性維持に重大な支障を来すことはまずない。
【0045】(効果)本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
○ 本実施形態では、負荷トルク検出器63の磁歪検出部64は、プーリ61のリヤ面61a上に取着された磁性棒64aと、同磁性棒64aに巻着されたピックアップコイル64bとからなっている。つまり、負荷トルク検出器63は、フロントハウジング2の外側において駆動軸6の端部に作動連結されたプーリ61を利用して設けられている。このため、負荷トルク検出器63を設けるための回転体を更に専用に設ける必要がなく、製造コストの上昇を抑えることが可能である。
【0046】○ 本実施形態では、磁性棒64aは、プーリ61のリヤ面61a上に該プーリ61の半径方向に対し所定角度θaをなすように傾斜して取着されている。車輌エンジンEによってプーリ61を介して駆動軸6が回転されるとき、プーリ61には、反発負荷トルクによる捩じれによって、該プーリ61の半径方向に対し所定角度θaだけ傾斜した方向に最も大きな機械的歪みが発生する。そのため、その方向に沿うように傾斜取着された前記磁性棒64aにはより効率よく機械的歪みが伝わり、負荷トルク検出器63による検出結果は、より正確なものとなる。
【0047】○ 本実施形態では、室内又は蒸発器での熱負荷の大きさに影響される吸入圧Psを容量制御弁40の開度制御(つまりは圧縮機の吐出容量制御)の指標とすることなく、圧縮機の駆動軸6に作用する負荷トルクTQ(t)を直接の制御対象として圧縮機吐出容量のフィードバック制御を実現している。このため、蒸発器での熱負荷状況に影響されることなく、エンジン側の事情を優先すべき非常時には外部制御によって即座に吐出容量を減少又は増大させることができる。それ故に、加速時等におけるカット制御の応答性やカット制御の信頼性及び安定性に優れている。
【0048】○ 通常時においても、検出温度Te(t)及び設定温度Te(set)に基づく負荷トルク目標値TQTの自動修正(図5のS51〜S54)を伴う、負荷トルクTQ(t)を指標とした吐出容量のフィードバック制御により、人間の快適感を満たすという空調装置本来の目的を十分に達成することができる。つまり本実施形態によれば、通常時における室温の安定維持を図るための圧縮機の吐出容量制御と、非常時における緊急避難的な吐出容量の迅速な変更とを両立させることができる。
【0049】(変更例)本発明の実施形態を以下のように変更してもよい。
○ 図1及び図3に示した負荷トルク検出器63を図7に示すような負荷トルク検出器で置換してもよい。図7の負荷トルク検出器は、プーリ61のリヤ面61aの磁歪片としての磁性膜81と、フロントハウジング2前部のフロント面の磁気センサ82と、図示しない検出処理回路とを備えてなる。磁性膜81は所定厚(例えば1mm)を持ち、かつ、略扇形状の磁性材料からなる膜である。この磁性膜81は、プーリ61のリヤ面61aに対してプーリ61の周方向に沿って貼着されている。圧縮機運転時の反発負荷トルクに起因する磁歪みの検出精度を高めるために、磁性膜81の表面にいくつかの斜め溝81aを形成することは好ましいが、この斜め溝81aは必須ではない。磁気センサ82は磁性膜81に対向するようにフロントハウジング2のプーリ61を臨むフロント面に設けられている。磁気センサ82は、側方から見て門型を呈し前記フロント面に取着されたヨーク82aと、このヨーク82aに巻着されたピックアップコイル82bとを備えている。磁気センサ82は磁性膜81とは非接触である。ピックアップコイル82bは、前記検出処理回路につながれている。図7の負荷トルク検出器でも、圧縮動作の反作用たる反発負荷トルクに起因してプーリ61および磁性膜81に捩じれが生じると、磁性膜81の捩じれの程度に応じて磁歪み、即ち、磁束変化が発生し、それが磁気センサ82での電圧(又は電流)の変化を誘発する。反発負荷トルクの大きさと誘導電圧の大きさとの間には相関関係があるため、かかる負荷トルク検出器を用いて反発負荷トルクの大きさを検出できる。また、この負荷トルク検出器によれば、プーリ61のリヤ面61aにおいて広範囲にわたって磁性膜81を設置でき、磁気センサ82のピックアップコイル82bによる磁束変化検出効率を向上させることができる。更に、磁気センサ82、即ち、ピックアップコイル82bをフロントハウジング2側へ設置することが可能になり、電気信号(即ち制御装置70に対して出力される検出結果)の伝達についての信頼性が向上する。
【0050】○ 図1及び図3に示したプーリ61および負荷トルク検出器63を、図8,図9に示すような動力伝達機構たるダンパ兼リミッタ機能付きプーリおよび負荷トルク検出器で置換してもよい。
【0051】図8に示すように、フロントハウジング2の前端円筒部にはボールベアリング90を介して回転体としてのプーリ91が回転可能に支持されている。プーリ91の外周にはベルト62が巻き掛けられ、このベルト62を介して圧縮機は車輌エンジンEに作動連結されている。
【0052】プーリ91の反フロントハウジング2側を臨むフロント面には、環状で断面L字状をなす外側支持板92aがねじ止め固定されている。外側支持板92aの内周面には、弾性材としての環状の緩衝ゴム92bが接着固定されている。緩衝ゴム92bの内部には、少なくとも一つの圧電素子93が埋設されている。この圧電素子93については後述する。緩衝ゴム92bの内周面には、環状で断面L字状をなす内側支持板92cが接着固定されている。つまり、緩衝ゴム92bは、外側および内側の支持板92a,92cを弾性的につないでいる。この内側支持板92cには、駆動軸6aの方向に膨出した後側フランジ部92dが形成されている。この後側フランジ部92dには、切欠状の係合部92eが180°の間隔をおいて2カ所形成されている。これら外側支持板92a、緩衝ゴム92b及び内側支持板92cは、前記プーリ91と一体回転可能になっている。
【0053】図8の駆動軸6aは、その端部形状を除き図1の駆動軸6と同じものである。駆動軸6aの前端部には略円筒状のブッシュ94がロックボルト98により嵌合固定されている。つまり、駆動軸6aとブッシュ94とは一体回転可能になっている。このブッシュ94の後端には、切欠部94aが180°の間隔をおいて2カ所形成されている。また、このブッシュ94の前端には、径方向に膨出する円板部94bが形成されている。その円板部94bの外周縁近傍の後面側には、前記内側支持板92cの後側フランジ部92dと対をなすように前側フランジ部94cが突設されている。
【0054】リミットバネ95は、2本の素線が互いに平行をなすように巻回された二重のねじりコイルバネで構成されている。各素線の第1端をなす第1フック95aは、互いに対向するように内側に突出されている。また、各素線の第2端をなす第2フック95bは、互いに離反するように外側に突出されている。そして、このリミットバネ95は、圧縮機の駆動軸6a及びブッシュ94を介して負荷トルクが作用すると、各素線が締まる方向に巻回されている。つまり、ブッシュ94を締め付ける方向にねじり変形する締まりバネになっている。
【0055】リミットバネ95は、ブッシュ94がロックボルト98により駆動軸6aに締め付け固定されるとき、所定量だけ圧縮された状態でブッシュ94を取り巻くように組み付けられる。
【0056】このとき、リミットバネ95の第1フック95aは、前記ブッシュ94の切欠部94aに嵌合して、駆動軸6aに対して回り止めされる。また、第2フック95bは、前記内側支持板92cの係合部92eに係合するとともに、ブッシュ94の前側フランジ部94cの端面に当接するようになっている。
【0057】そして、車両エンジンEからの動力は、ベルト62、プーリ91、外側支持板92a、緩衝ゴム92b、内側支持板92c、リミットバネ95及びブッシュ94を介して圧縮機の駆動軸6aに伝達されるようになっている。つまり、駆動軸6aとプーリ91とは緩衝ゴム92bを介して作動連結されている。
【0058】ところで、図8,図9の負荷トルク検出器は、検出要素としての圧電素子93,ロータリトランス96、および、図示しない検出処理回路を備えている。各圧電素子93は、緩衝ゴム92b内部に埋設され、この緩衝ゴム92bの捩じれに伴う圧力付加により、その圧力付加の大きさに応じて圧電素子93自身の抵抗値が変化するようになっている。つまり、圧電素子93は、この圧力付加の大きさに応じて変化する電気信号を出力する。ロータリトランス96は、一次および二次コイル96a,96bによって構成されている。一次コイル96aは、プーリ91のフロントハウジング2を臨むリヤ面側に、駆動軸6aを周回するように取着され、前記圧電素子93に接続されている。そして、全ての圧電素子93と二次コイル96aは閉じた回路を構成している。また、二次コイル96bは、フロントハウジング2前部のプーリ91を臨むフロント面上に一次コイル96aに対向するように取着されている。この二次コイル96bには前記検出処理回路が接続され、該検出処理回路は車輌用空調装置の制御装置70に接続されている。
【0059】車輌エンジンEによってプーリ91を介して駆動軸6aが回転されるとき、圧縮動作の反作用として駆動軸6a、ブッシュ94、リミットバネ95、内側支持板92c、緩衝ゴム92b、外側支持板92a及びプーリ91は回転方向と逆向きの反発負荷トルクを受ける。この負荷トルクによって、リミットバネ95はねじり変形する。ここで、リミットバネ95の第1フック95aは、駆動軸6a及びブッシュ94に対して回り止めされているため、第2フック95bが第1フック95aに対して相対回動された状態となる。このため、負荷トルクがリミットバネ95のねじり変形により緩和されつつ、車両エンジンEから駆動軸6aへの動力伝達が継続される。
【0060】ところで、この負荷トルクが大きくなれば、駆動軸6aとプーリ91との間の角速度差が増大する傾向となり、緩衝ゴム92bが捩じられる程度も大きくなる。この緩衝ゴム92bの捩じれが大きいほど、内部に埋設された圧電素子93に加わる圧力も大きくなり、これに応じて、この圧電素子93から出力される電気信号は変化する。つまり、圧電素子93から出力される電気信号の大きさは圧縮機の負荷トルクの大きさを反映したものとなる。従って、かかる負荷トルク検出器を用いて反発負荷トルクの大きさを検出できる。
【0061】○ 本実施形態において、圧縮機は、クラッチ機構を介在させることなく外部駆動源からプーリ61を介して駆動軸6に直接的に動力供給を受けるクラッチレスタイプとなっているとしたが、電磁クラッチを用いた動力伝達機構において、電磁クラッチを構成するプーリを介して駆動軸6に間接的に動力供給を受けるようにしてもよい。
【0062】○ 本実施形態において、負荷トルク検出器63から出力された電気信号、即ち、検出結果は、容量制御弁40の開度制御に用いられたが、外部駆動源としての車輌エンジンEの出力制御に用いられるようにしてもよい。負荷トルク検出器63から出力された電気信号によれば、駆動軸6に働く負荷トルクが検出され、圧縮機の駆動に必要なトルクを正確に検出することができる。そのため、このトルク情報のエンジン出力制御への利用は、負荷トルクの変動に応じたレスポンスの高い制御を可能とする。それ故、エンジンストールの未然防止や消費エネルギーの節約に対して有用である。
【0063】(前記各請求項に記載した以外の技術的思想のポイント)
○ 請求項1〜請求項5における回転体は、クラッチレス圧縮機における従動プーリであること。
【0064】○ 請求項1において、吐出容量可変機構は駆動軸に作動連結されていること。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、圧縮機の駆動軸に作用する負荷トルクを直接的に検出することができる。このため、その検出負荷トルクに基づいて圧縮機の吐出容量を直接的に制御したり、あるいは、その検出負荷トルクに基づき圧縮機の駆動源たるエンジンの出力を最適制御してエンジンストールやエンジン出力の浪費を極力回避することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
【出願日】 平成11年11月1日(1999.11.1)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【公開番号】 特開2001−132634(P2001−132634A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−311638