| 【発明の名称】 |
容量可変型斜板式圧縮機 |
| 【発明者】 |
【氏名】深沼 哲彦
【氏名】森下 敦之
【氏名】村瀬 正和
【氏名】木村 一哉
【氏名】米良 実
【氏名】熊沢 伸吾
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| 【要約】 |
【課題】圧縮動作をしていない場合又は実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしている場合においても、騒音や斜板の振動等を防止できる容量可変型斜板式圧縮機を提供する。
【解決手段】斜板の傾角を制御して吐出容量を変化させることができる容量可変型斜板式圧縮機において、斜板(18)にテーパ面をもつ座金(19)が当接することにより、斜板が調芯され、斜板と駆動軸(6)との間で発生する騒音等が防止される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ハウジングにクランク室、吸入室、吐出室及びこれらと接続されたシリンダボアが区画形成されるとともに、該各シリンダボアにはそれぞれピストンが往復動可能に収容され、該ハウジングに支持された駆動軸には、前記クランク室内に位置するロータが同期回転可能に支持され、かつ該ロータとヒンジ機構を介して連結された斜板が傾角変位可能に嵌合され、該斜板と前記ピストンとの間には前記斜板の前後揺動運動を各該ピストンの往復動に変換する連結機構が介装され、前記クランク室内の圧力により前記斜板の傾角を制御して吐出容量を変化するように構成した容量可変型斜板式圧縮機において、前記斜板と当接して該斜板を調芯する調芯部材が介装されていることを特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。 【請求項2】さらに、前記調芯部材を前記斜板側へ付勢する付勢手段を備える請求項1に記載の容量可変型斜板式圧縮機。 【請求項3】前記調芯部材は前記ロータと前記斜板との間に設けられ、前記付勢手段は傾角を最大傾角から最小傾角まで減少させる方向に該斜板を付勢する傾角減少バネである請求項2に記載の容量可変型斜板式圧縮機。 【請求項4】前記調芯部材は前記斜板に対して前記ロータと反対側に設けられ、前記付勢手段は傾角を最小傾角から限界角度以上に増大させる方向に該斜板を付勢する復帰バネである請求項2に記載の容量可変型斜板式圧縮機。 【請求項5】前記調芯部材は前記ロータと前記斜板との間に設けられる第1調芯部材と該斜板に対して該ロータと反対側に設けられる第2調芯部材とからなり、前記付勢手段は、該斜板の傾角を最大傾角から最小傾角まで減少させる方向に該第1調芯部材を付勢する傾角減少バネと、該斜板の傾角を最小傾角から限界角度以上に増大させる方向に該第2調芯部材を付勢する復帰バネとからなる請求項2に記載の容量可変型斜板式圧縮機。 【請求項6】前記斜板が前記調芯部材と当接する部分及び該調芯部材が該斜板と当接する部分の少なくとも一方は該斜板の内方側が小径のテーパ面をなしている請求項2〜5のいずれかに記載の容量可変型斜板式圧縮機。 【請求項7】前記斜板が前記調芯部材と当接する部分及び該調芯部材が該斜板と当接する部分の一方は該斜板の内方側が小径のテーパ面をなし、他方は凸曲面をなしている請求項2〜5のいずれかに記載の容量可変型斜板式圧縮機。 【請求項8】斜板には駆動軸を挿通する貫通孔が貫設され、該貫通孔は、軸心を挟んでヒンジ機構と対向する側の該駆動軸を超えて設定された枢軸中心を中心として、全制御範囲にわたり該斜板の傾角変位を許容すべく形成され、調芯部材は該駆動軸に嵌装されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の容量可変型斜板式圧縮機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両空調装置等に用いられる容量可変型斜板式圧縮機に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の容量可変型斜板式圧縮機(以下、単に圧縮機という。)として、特開平7−91366号公報記載のものが知られている。この圧縮機では、図11に示すように、シリンダブロック1にシリンダボア8が形成され、リアハウジング3には吸入室30及び吐出室31が形成され、フロントハウジング2にはクランク室5が形成されている。これらフロントハウジング2、シリンダブロック1及びリアハウジング3は互いに接合されるハウジングを構成している。 【0003】クランク室5内では、フロントハウジング2及びシリンダブロック1との間にに軸受装置7a、7bを介して駆動軸6が回転可能に支承されている。駆動軸6には、フロントハウジング2との間に軸受装置2aを介してロータ10が同期回転可能に支持されており、ロータ10との間に一対のヒンジ機構K、Kを介して斜板11が同期回転可能に支持されている。各ヒンジ機構K、Kは、ロータ10から後方に突出し、ガイド孔17aが貫設された支持アーム17と、斜板11の前方で一体に突設されたブラケット15に固着され、先端にガイド孔17aに往復動可能に遊嵌された球部16aをもつガイドピン16とからなる。各ヒンジ機構K、Kは斜板11の上死点位置Tを跨いで対設されている。ロータ10と斜板11との間には傾角減少バネ12が介在されており、傾角減少バネ12は傾角が最大傾角から最小傾角まで減少する方向に斜板11をリアハウジング3方向へ付勢している。 【0004】また、斜板11には駆動軸6を挿通する貫通孔20が貫設されている。この貫通孔20は、図12に示すように、駆動軸6の軸心Xを挟んでヒンジ機構K、Kと対向する側の駆動軸6を超えて設定された枢軸中心Yを中心として、全制御範囲にわたり斜板11の傾角変位を許容すべく形成されている。つまり、この斜板11は、図1に示すように、傾角減少バネ12の最延長状態では、貫通孔20の後部に凹状に形成された後端面11bが駆動軸6に係止されたサークリップ13と当接することにより、傾角縮小方向への更なる傾動を規制されている。逆に、この斜板11は、傾角減少バネ12の最収縮状態では、下部に斜状に形成された前端面11aがロータ10の後端面10aと当接することにより、傾角増大方向への更なる傾動を規制されている。 【0005】そして、この斜板11には傾角に基づく前後揺動運動を往復動に変換する連結機構としての一対のシュー14を介してピストン9が係合されており、各ピストン9は各シリンダボア8内に収容されている。シリンダブロック1とリアハウジング3との間には弁板4等が挟持されている。弁板4には各シリンダボア8に対応して吸入ポート32及び吐出ポート33が開口形成されており、弁板4とピストン9との間に形成される圧縮室が吸入ポート32及び吐出ポート33を介して吸入室30及び吐出室31に連通される。各吸入ポート32にはピストン9の往復動に応じて吸入ポート32を開閉する図示しない吸入弁が設けられ、各吐出ポート33にはピストン9の往復動に応じて吐出ポート33をリテーナ34に規制されつつ開閉する図示しない吐出弁が設けられている。 【0006】また、シリンダブロック1には、クランク室5と吸入室30とを連通する図示しない抽気通路が設けられており、この抽気通路は図示しない制御弁によって開閉される。この圧縮機では、駆動軸6の駆動に伴って所定の傾角でロータ10及び斜板11が回転すると、ピストン9がシリンダボア8内で往復動される。これにより吸入室30から圧縮室内に冷媒ガスが吸入され、冷媒ガスは圧縮された後吐出室31へ吐出される。そして、制御弁によるクランク室5内の圧力調整で斜板11の傾角が変位され、これにより吐出室31へ吐出される冷媒ガスの吐出容量が制御される。このとき、図12に示すように、斜板11の最大傾角時、貫通孔20の前部下面20c及び後部上面20dは駆動軸6の周面と当接しない。また、斜板11の最小傾角時、貫通孔20の後部下面20e及び前部上面20fが駆動軸6の周面と当接しない。すなわち、貫通孔20が最大傾角及び最小傾角を規定することがなく、貫通孔20と駆動軸6との間の間隙が大きくなっている。 【0007】そして、この圧縮機では、貫通孔20内の支持部20bが円弧状に形成されているため、駆動軸6の周面は支持部20bと常に線接触を保ち、支持部20bが摩耗されにくい。また、圧縮反力等によるモーメントを一対のヒンジ機構K、Kによってほとんど受承することができるため、斜板11の規制面20a、20aも摩耗されにくい。このため、この圧縮機では、斜板11の傾角が確実に確保され、かつ優れた耐久性を発揮することができる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報記載の斜板式圧縮機ばかりでなく、ワッブル式も広く含む容量可変型斜板式圧縮機においては、傾角変位可能な斜板のクリアランスに起因し、圧縮動作をしていない場合又は実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしている場合、外部から大きな振動が加わると、騒音や振動を生じ、衝突部位の摩耗といった不具合を起こすことが明らかとなった。 【0009】すなわち、ワッブル式も広く含む容量可変型斜板式圧縮機においては、傾角変位に伴う姿勢及び位置の変更が可能なように、斜板は駆動軸、スリーブ等の他部材との間にある程度のクリアランスで保持され、これにより斜板が傾角を変更することで容量可変を実現させている。ここで、その圧縮機が大きな吐出容量で圧縮動作を行っている場合には、斜板にはピストンから圧縮荷重が作用することから、斜板は、他部材との間のクリアランスにもかかわらず、その圧縮荷重によってその他部材と特定の部位で当接し続ける。このため、この場合には、例え外部から大きな振動が加わったとしても、斜板はその他部材と衝突を繰り返すことがないため、騒音等を生じない。 【0010】しかしながら、圧縮動作をしていない場合、又は実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしている場合には、斜板には圧縮荷重が作用せず、又はほとんど作用せず、外部から大きな振動が加わったとすれば、斜板はその他部材と衝突を繰り返すことから、騒音等を生じてしまう。特に、上記公報記載の斜板式圧縮機においては、斜板の貫通孔を挿通する駆動軸が上記他部材となり得、その貫通孔は高精度の形成が比較的困難であることから、この傾向が明らかである。 【0011】本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ワッブル式も広く含む容量可変型斜板式圧縮機において、容量可変に伴う斜板の傾角変位を阻害することなく、圧縮動作をしていない場合又は実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしている場合における騒音等の不具合を防止することを解決すべき課題としている。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、ハウジングにクランク室、吸入室、吐出室及びこれらと接続されたシリンダボアが区画形成されるとともに、該各シリンダボアにはそれぞれピストンが往復動可能に収容され、該ハウジングに支持された駆動軸には、前記クランク室内に位置するロータが同期回転可能に支持され、かつ該ロータとヒンジ機構を介して連結された斜板が傾角変位可能に嵌合され、該斜板と前記ピストンとの間には前記斜板の前後揺動運動を各該ピストンの往復動に変換する連結機構が介装され、前記クランク室内の圧力により前記斜板の傾角を制御して吐出容量を変化するように構成した容量可変型斜板式圧縮機において、前記斜板と当接して該斜板を調芯する調芯部材が介装されていることを特徴とする。 【0013】本発明の圧縮機では、調芯部材が斜板と当接して斜板を調芯することから、斜板が駆動軸、スリーブ等の他部材との間に有するクリアランスは、斜板の傾角変位に伴う姿勢及び位置の変更を可能としつつ、吸収されることとなる。このため、この圧縮機が圧縮動作をしていない場合、又は実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしている場合において、外部から大きな振動が加わったとしても、斜板はその他部材と衝突を繰り返すことがないことから、騒音や振動を生じず、衝突部位の摩耗も生じ難い。したがって、本発明の圧縮機は、容量可変に伴う斜板の傾角変位を阻害することなく、圧縮動作をしていない場合又は実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしている場合における騒音等の不具合を防止することができる。 【0014】調芯部材としては、駆動軸が他部材である場合、つまり斜板が駆動軸と直接当接する場合には、駆動軸に嵌装されて斜板と駆動軸との間のクリアランスを埋める座金を採用することができる。また、駆動軸に嵌装されたスリーブが他部材である場合、つまり斜板がスリーブと当接する場合には、斜板とスリーブとの間のクリアランスを埋める座金を採用することができる。 【0015】さらに、この調芯部材を斜板側へ付勢する付勢手段を備えると、好適である。付勢手段の付勢力で調芯部材が斜板側に移動して斜板と他部材とのクリアランスを埋めやすいからである。 【0016】また、前記調芯部材はロータと斜板との間に設けられ、前記付勢手段は傾角を最大傾角から最小傾角まで減少させる方向に斜板を付勢する傾角減少バネであると、好適である。傾角減少バネを利用することにより、調芯部材だけを付勢する付勢部材を特別に設ける必要がなく、部品点数の削減により製品コストの低廉化を実現できる。 【0017】また、前記調芯部材は斜板に対してロータと反対側に設けられ、前記付勢手段は傾角を最小傾角から限界角度以上に増大させる方向に斜板を付勢する復帰バネであると、好適である。復帰バネを利用することにより、調芯部材だけを付勢する付勢部材を特別に設ける必要がなく、部品点数の削減により製品コストの低廉化を実現できる。なお、この場合は、前述の傾角減少バネを利用した場合と反対側に調芯部材が設けられている。 【0018】また、前記調芯部材はロータと斜板との間に設けられる第1調芯部材と斜板に対してロータと反対側に設けられる第2調芯部材とからなり、前記付勢手段は、斜板の傾角を最大傾角から最小傾角まで減少させる方向にその第1調芯部材を付勢する傾角減少バネと、斜板の傾角を最小傾角から限界角度以上に増大させる方向にその第2調芯部材を付勢する復帰バネとからなると、好適である。この場合は、前述の両者を組合わせたものである。斜板を前後両側から調芯することにより、容量可変に伴う斜板の傾角変位を阻害することなく、圧縮動作をしていないときや実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしているときにおける騒音等の不具合をより有効に防止することができる。 【0019】前記斜板が前記調芯部材と当接する部分及び該調芯部材が該斜板と当接する部分の少なくとも一方は該斜板の内方側が小径のテーパ面をなしていると、好適である。これにより、テーパ面の小径側が斜板の内方側に位置し、斜板と他部材とのクリアランスを埋めやすいからである。斜板が調芯部材と当接する部分にかかるテーパ面を形成する場合、テーパ加工面を先端に有する刃具を用い、その刃具を斜板に対して二方向で進動させたり、その刃具又は斜板をその二方向間で緩やかに揺動させたりすることにより形成することができる。斜板が調芯部材と当接する部分及び調芯部材が斜板と当接する部分の両者がかかるテーパ面をなしている場合、等しい開き角をなしていることが好ましい。これにより、それらのテーパ面は互いに面で当接し、両者間の摩耗をより低減できる。 【0020】ところで、等しい開き角のテーパ面をなすように両者を加工することは、必ずしも容易ではない。また、両者を等しい開き角のテーパ面をなすように加工したとしても、圧縮機の組み付け後には、摺動等のための寸法、寸法公差等によりこれらのテーパ面が傾斜して当接することも起り得る。そこで、斜板が調芯部材と当接する部分及び調芯部材が斜板と当接する部分の一方は斜板の内方側が小径のテーパ面をなし、他方は凸曲面をなしていると、より好適である。これにより、テーパ面の小径側が斜板の内方側に位置して斜板と他部材とのクリアランスを埋めやすいとともに、加工が容易になって製品コストの低廉化を実現することができる。 【0021】駆動軸が他部材である場合、つまり斜板が駆動軸と直接当接する場合、斜板には、上記公報記載の圧縮機のように、駆動軸を挿通する貫通孔が貫設される。この貫通孔は、軸心を挟んでヒンジ機構と対向する側の駆動軸を超えて設定された枢軸中心を中心として、全制御範囲にわたり斜板の傾角変位を許容すべく形成される。かかる貫通孔の高精度の形成は比較的困難であることから、本発明は、この場合に特に効果が大きい。調芯部材はその駆動軸に嵌装される。 【0022】 【発明の実施の形態】(実施形態1)以下、本発明を具体化した実施形態1、2を図面を参照しつつ説明する。実施形態1の圧縮機は、基本的構成が図11及び図12に示す構成とほぼ同一であり、図1〜6に示す斜板18と調芯部材としての座金19とを採用しているとともに、図1に示す復帰バネ21を採用している点が異なる。 【0023】この圧縮機が採用する斜板18には、図1及び図2に示すように、図11及び図12に示す圧縮機と同様の貫通孔20が貫設されている。つまり、この貫通孔20内には、図3に示すように、枢軸中心Yを中心とした円弧状に支持部20bが形成され、軸心Xと平行に延在する規制面20a、20aが側面に平坦に形成される。枢軸中心Yは、図11に示す軸心Xと直角方向に延在し、軸心Xを挟んでヒンジ機構K、Kと対向する側の駆動軸6を超えて設定されている。かかる貫通孔20の規制面20a、20aは、図5に示すように、斜板18の傾角変位に伴う姿勢及び位置の変更が可能なように、駆動軸6との間にある程度のクリアランスt1で保持されている。かかるクリアランスt1は、斜板18の傾角変位に伴う姿勢及び位置の変更を可能とし、貫通孔20が複雑な形状をなしていることから、比較的大きなものである。 【0024】この圧縮機における斜板18の貫通孔20は以下の点で従来の圧縮機における斜板11の貫通孔20と異なる。すなわち、この圧縮機では、図2及び図3に示すように、貫通孔20の前方(ロータ10側を前方とする。以下、同様。)の縁部に斜板18の内方側が小径をなす開き角が45°のテーパ面20g、20hが形成され、両テーパ面20g、20h間が滑らかな曲面20iにより連続されている。 【0025】かかる両テーパ面20g、20h及び滑らかな曲面20iは以下のように形成されている。まず、図2に示すように、開き角が45°のテーパ加工面を先端に有する刃具Bを用意し、斜板18に図12に示す貫通孔20を形成した後、斜板18の中心面Cと直交する方向の中心線A1にその刃具Bの軸心が沿うようにその刃具Bを斜板18に対して前方側から進動させる。この際、その中心線A1は軸心Xと一致している。こうして、図3に示すように、斜板18の上死点位置T側に符号abghでかこまれたテーパ面20gが形成される。 【0026】次いで、図2に示すように、中心面Cから枢軸中心Yまでの距離と同じ距離を中心線A1上にとった回転中心Zを中心とし、その刃具Bの軸心が中心線A2上になるように斜板18を緩やかに揺動させる。なお、斜板18を揺動させず、刃具Bの軸心を揺動させることもできる。この際、中心線A1と中心線A2との角度θは最大傾角と最小傾角との差である変位可能角度とする。こうして、図3に示すように、符号bcfgでかこまれた滑らかな曲面20iが形成される。また、刃具Bにより、斜板18の下死点位置側に符号cdefでかこまれたテーパ面20hが形成される。なお、この逆の操作でテーパ面20g等を形成することもできる。これらの際、中心線A1と中心線A2との角度θを両側にやや広げ、斜板18の変位可能角度よりやや大きくすることもできる。詳しくは、変位可能角度よりも、中心線A1側で1〜2°大きく、中心線A2側で10〜15°大きくすることができる。こうであれば、斜板18と座金19との当接によって斜板18の傾角変位が阻害されることがなく、圧縮機の能力を落とすこともない。 【0027】なお、加工時の前記回転中心Zは、必ずしも中心線A1上にとる必要はなく、中心線A1より枢軸中心Y側やその反対側の位置にとることも可能であり、更に軸方向にずらすことも可能である。また、中心線A1に刃具Bの軸心が沿うようにその刃具Bを斜板18に対して前方側から進動させた後、一旦その刃具Bを後退させ、次にその刃具Bの軸心が中心線A2上になるように斜板18や刃具Bを揺動させ、再度中心線A2に刃具Bの軸心が沿うようにその刃具Bを斜板18に対して前方側から進動させることもできる。こうであれば、図3に示す符号bcfgでかこまれた滑らかな曲面20iは形成されず、符号acfhでかこまれたテーパ面と符号cdefでかこまれたテーパ面とが形成され、両テーパ面間が鈍角によって連続されることとなる。テーパ面20g、20h間が滑らかな曲面20iにより連続されている方が斜板18と駆動軸6との相対的な摩耗を生じ難いため、前者によるテーパ面20g等の加工が好ましい。 【0028】付記として、斜板18には、図2に示すように、バランス、軽量化及び加工時の位置決めのための通孔18aが上死点位置T側に貫設されているとともに、バランス及び軽量化のための座ぐり18bが下死点位置側に凹設されている。また、斜板18の下死点位置側に一体に設けられているウェイト18cには、図1に示すように、ロータ10の後端に形成されたボス10bを回避する凹部18dが凹設され、凹部18dの下方には、図6に示すように、ロータ10の後端面10aと当接して傾角増大方向への更なる傾動を規制する前端面11aが形成されている。 【0029】また、この圧縮機では、図1、図4〜6に示す座金19を採用している。この座金19は、図4に示すように、駆動軸6における斜板18の貫通孔20内に位置する部分の外径よりやや大きい内径Dを有する略円筒状のものである。ここで、内径Dが駆動軸6のその部分の外径より大きい程度は、図5に示すように、座金19が駆動軸6に嵌装されて軸方向に摺動可能である寸法と、これを加工する際に必要な公差とに基づくクリアランスt2である。かかるクリアランスt2は、内径Dの加工が単純な円筒面加工であるため、上記斜板18における貫通孔20の規制面20a、20aのクリアランスt1より容易に小さくできている。図4に示すように、この座金19の後方の縁部にも斜板18の内方側が小径をなす開き角が45°のテーパ面19aが形成されている。かかる座金19は、図1に示すように、ロータ10との間に設けた傾角減少バネ12により後方側に付勢されている。 【0030】なお、この圧縮機では、図1に示すように、復帰バネ21を採用している。この復帰バネ21は、斜板18の傾角が最小傾角から復帰が可能な限界角度を超えるまで増大する方向に斜板18を後方側から付勢している。以上のように構成された圧縮機においても、図11を参照しつつ、駆動軸6の駆動に伴って所定の傾角でロータ10及び斜板18が回転すると、ピストン9がシリンダボア8内で往復動される。これにより吸入室30から圧縮室内に冷媒ガスが吸入され、冷媒ガスは圧縮された後吐出室31へ吐出される。そして、制御弁によるクランク室5内の圧力調整で斜板18の傾角が変位される。この間、図5に示すように、斜板18における貫通孔20の規制面20a、20aが駆動軸6との間にある程度のクリアランスt1で保持されていることから、斜板18の傾角変位に伴う姿勢及び位置の変更が可能となっている。そして、吐出室31へ吐出される冷媒ガスの吐出容量が制御される。 【0031】そして、この圧縮機では、図1に示すように、圧縮動作をしていない場合、又は実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしている場合、斜板18には圧縮荷重が作用せず、又はほとんど作用しない。しかし、この圧縮機では、特徴的な作用として、小径側が斜板18の内方側に位置するテーパ面19aをもつ座金19が傾角減少バネ12の付勢力で斜板18側に移動し、図5に示すように、座金19のテーパ面19aが斜板18のテーパ面20gと互いに面で当接し、斜板18を調芯する。このため、斜板18における貫通孔20規制面20a、20aが駆動軸6との間に有するクリアランスt1は座金19により埋められて吸収されることとなる。 【0032】このため、この圧縮機では、この状態において、車両走行に伴い車両、エンジン等から大きな振動が加わったとしても、斜板18は駆動軸6と衝突を繰り返すことがないことから、騒音や振動を生じず、衝突部位の摩耗も生じ難い。なお、図6に示すように、この圧縮機がある程度大きな吐出容量で圧縮動作を行っている場合には、圧縮荷重により斜板18は駆動軸6に当接しているとともに座金19のテーパ面19aが斜板18の滑らかな曲面20iと当接した状態で傾角変位する。 【0033】したがって、この圧縮機は、容量可変に伴う斜板18の傾角変位を阻害することなく、圧縮動作をしていない場合又は実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしている場合における騒音等の不具合を防止することができる。また、傾角減少バネ12が座金19を付勢することから、座金19だけを付勢する付勢部材が不要となり、部品点数の削減により製品コストの低廉化を実現している。他の作用効果は上記公報記載の圧縮機と同様である。 【0034】(実施形態2)実施形態1の圧縮機のように、斜板18の貫通孔20におけるテーパ面20g、20hと座金19のテーパ面19とを等しい開き角で加工することは容易ではない。また、テーパ面20g、20h及びテーパ面19を等しい開き角に加工したとしても、圧縮機の組み付け後には、摺動のための寸法、寸法公差等によりこれらのテーパ面20g、20hとテーパ面19とが傾斜して当接することもあり得る。これらの場合、図7(A)及び(B)に示すように、座金19の角Pが斜板18のテーパ面20g、20hに当接したりしやすく、両者間で摩耗を生じやすくなる。 【0035】このため、実施形態2の圧縮機では、図8に示すように、斜板18が座金19と当接する部分は斜板18の内方側が小径をなすテーパ面20gとし、座金19が斜板18と当接する部分は凸曲面19bとしている。他の構成は実施形態1と同様である。この圧縮機であれば、加工が容易になって製品コストの低廉化を実現することができる。他の作用効果は実施形態1と同様である。 【0036】(実施形態3)図9に示すように、斜板18の貫通孔20’の後方から座金19’を用いて斜板18の調芯を行っても良い。座金19’は、貫通孔20’の後方に当接するテーパ面を前方にもち復帰バネ21’の座面を後方にもつ。そして、復帰バネ21’はその後端側がサークリップ13により支持され、座金19’は復帰バネ21’により前方側に付勢されている。なお、座金19’をサークリップ13で直接支持するようにしても良い。 【0037】(実施形態4)図10に示すように、斜板18の前後両側に前述の座金19(第1調芯部材)と前述の座金19’(第2調芯部材)とを配設して斜板18の調芯をおこなっても良い。なお、座金19は、傾角減少バネ12(付勢手段)により前方から後方に付勢され、座金19’は、復帰バネ21’(付勢手段)により後方から前方に付勢されている。このように前後両側に調芯部材が設けられるため、斜板18は、より一層安定して調芯される。 【0038】 【発明の効果】本発明の容量可変型斜板式圧縮機によれば、斜板に当接する調芯部材を備えることにより、容量可変に伴う斜板の傾角変位を阻害することなく、圧縮動作をしていない場合又は実質的に0とみなせるような小さい吐出容量で圧縮動作をしている場合においても、騒音や斜板の振動等を防止できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
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| 【出願日】 |
平成12年7月14日(2000.7.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081776 【弁理士】 【氏名又は名称】大川 宏
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| 【公開番号】 |
特開2001−132630(P2001−132630A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願2000−214922(P2000−214922) |
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