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【発明の名称】 斜板式圧縮機
【発明者】 【氏名】金井 宏

【要約】 【課題】ガスケットに発生する面圧を高め、冷媒ガスのリークを低減させることができる斜板式圧縮機を提供する。

【解決手段】シリンダブロック1と、シリンダブロック1に固定されたリヤヘッドと、シリンダブロック1とリヤヘッドとの間に介在するバルブプレート2と、バルブプレート2とシリンダブロック1との間に設けられ、吸入ポート15を開閉する吸入弁21と、吸入弁21とシリンダブロック1との間に設けられたガスケット23と、シリンダブロック1とリヤヘッドとを一体的に結合する通しボルトとを備える冷媒圧縮機において、シリンダブロック1のシリンダヘッド側端面の外周縁部1bを除く全体に凹部1cを形成され、凹部1cのシリンダボア6周辺領域及びセンタボルト孔1a周辺領域の深さ寸法t′を吸入弁21の厚さ寸法tより小さく、凹部1cのシリンダボア6周辺領域及びセンタボルト孔1a周辺領域以外の領域の深さ寸法t″を吸入弁21の厚さ寸法tより大きくした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックと、前記シリンダブロックに固定され、高圧室と低圧室とを有するシリンダヘッドと、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に介在し、前記シリンダボア内の圧縮室と前記高圧室及び低圧室とを仕切るためのバルブプレートと、前記バルブプレートに形成され、前記圧縮室と前記低圧室とを連通させる吸入ポートと、前記バルブプレートと前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記吸入ポートを開閉する吸入弁と、前記吸入弁と前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記シリンダボア間をシールするためのガスケットと、前記バルブプレートを介して前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとを一体的に結合する複数の通しボルトとを備える冷媒圧縮機において、前記シリンダブロックのシリンダヘッド側端面の外周縁部を除く全体に凹部が形成され、前記凹部のシリンダボア周辺領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より小さく、前記凹部のシリンダボア周辺領域以外の領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より大きいことを特徴とする斜板式圧縮機。
【請求項2】 複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックと、前記シリンダボアに挿入されたライナと、前記シリンダブロックに固定され、高圧室と低圧室とを有するシリンダヘッドと、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に介在し、前記シリンダボア内の圧縮室と前記高圧室及び低圧室とを仕切るためのバルブプレートと、前記バルブプレートに形成され、前記圧縮室と前記低圧室とを連通させる吸入ポートと、前記バルブプレートと前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記吸入ポートを開閉する吸入弁と、前記吸入弁と前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記シリンダボア間をシールするためのガスケットと、前記バルブプレートを介して前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとを一体的に結合する複数の通しボルトとを備える冷媒圧縮機において、前記シリンダブロックのシリンダヘッド側端面の外周縁部を除く全体に凹部が形成され、前記ライナのシリンダヘッド側端面から前記シリンダブロックのシリンダヘッド側端面までの寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より小さく、前記凹部の前記ライナ以外の領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より大きいことを特徴とする斜板式圧縮機。
【請求項3】 前記ライナの端面に前記ガスケットの環状のビード部が押し付けられていることを特徴とする請求項2に記載の斜板式圧縮機。
【請求項4】 複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックと、前記シリンダブロックの中央部に形成されたセンタボルト孔と、前記シリンダブロックに固定され、高圧室と低圧室とを有するシリンダヘッドと、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に介在し、前記シリンダボア内の圧縮室と前記高圧室及び低圧室とを仕切るためのバルブプレートと、前記バルブプレートに形成され、前記圧縮室と前記低圧室とを連通させる吸入ポートと、前記バルブプレートと前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記吸入ポートを開閉する吸入弁と、前記吸入弁と前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記シリンダボア間をシールするためのガスケットと、前記バルブプレートを介して前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとを一体的に結合する複数の通しボルトとを備える冷媒圧縮機において、前記シリンダブロックのシリンダヘッド側端面の外周縁部を除く全体に凹部が形成され、前記凹部のセンタボルト孔周辺領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より小さく、前記凹部の前記センタボルト孔周辺領域以外の領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より大きいことを特徴とする斜板式圧縮機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は斜板式冷媒圧縮機に関し、特にCO2 を冷媒として用いる車両用冷媒圧縮機として好適な斜板式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】図7は第1の従来例に係る斜板式圧縮機のシリンダブロックをリヤ側から見た図である。
【0003】シリンダブロック101には7つのシリンダボア106が形成されている。シリンダボア106には吸入弁121(図8参照)のストッパとしての切欠106aが形成されている。
【0004】また、シリンダブロック101の外周縁部101bにはシリンダブロック101とリヤヘッド103とを一体的に結合する通しボルト(図示せず)を挿通させるための7つの通しボルト孔131aが形成されている。
【0005】更に、シリンダブロック101の中心には、吐出弁(図示せず)やバルブプレート102をリヤヘッド側端面に弁押さえ(図示せず)とともに固定するセンタボルト(図示せず)と螺合するセンタボルト孔101aが形成されている。
【0006】図8は図7のVIII−VIII線に沿った矢視断面図である(但し分解状態を示す)。
【0007】複数のシリンダボア106が形成されたシリンダブロック101のリヤ側端面には吸入弁121の厚さtと同じ深さtの凹部101cが形成されている。
【0008】バルブプレート102には圧縮室122と吸入室(図示せず)とを連通させる吸入ポート115が形成されている。
【0009】バルブプレート102とシリンダブロック101との間には吸入ポート115を開閉する吸入弁121が設けられている。
【0010】吸入弁121とシリンダブロック101との間にはシリンダボア106間をシールするためのガスケット123が設けられている。
【0011】このガスケット123にはシール性を高めるためにシリンダボア106の開口部周辺に対向してエンボスビード123aが形成されている。
【0012】ガスケット123及びバルブプレート102にはシリンダロック101の通しボルト孔131aに対向する孔123c,2aが形成されている。
【0013】図9は第2の従来例に係る斜板式圧縮機のシリンダブロックをリヤ側から見た図、図10は図9のX−X線に沿った矢視断面図(但し分解状態を示す)であり、図8及び図9と第1の従来例と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0014】この従来例はシリンダブロック101に鉄製のライナ160を挿入してシリンダボア166を形成している点で第1の従来例と異なる。
【0015】ライナ160は円筒状であり、その端面160aには切欠166aが形成されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、冷媒がCO2 のとき、冷媒がフロンのときに比しシール圧力が高くなるとともに、通しボルト131がシリンダブロック101の外周縁部101bにあるので、シリンダブロック101の中央部にあるシリンダボア166の周辺領域ではガスケット123に面圧が発生し難く、エンボスビード123のつぶれが不十分となり、冷媒ガスのリークが発生し易い。
【0017】また、第2の従来例の場合、エンボスビード123aがシリンダブロック101とライナ160の端面160aとに跨ってしまい、冷媒ガスのリークが発生することがある。これに対し、ライナ160の端面160aの外側にエンボスビード123aを設けることによって冷媒ガスのリークの発生を避けることができるが、その方法ではデッドボリュームの増大によって体積効率が低下する。
【0018】また、リヤヘッドの中央部に吐出室が設けられている構成の場合には、上記いずれの従来例もセンタボルトから冷媒ガスが漏れ易い。
【0019】この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、ガスケットに発生する面圧を高め、冷媒ガスのリークを低減させることができる斜板式圧縮機を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックと、前記シリンダブロックに固定され、高圧室と低圧室とを有するシリンダヘッドと、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に介在し、前記シリンダボア内の圧縮室と前記高圧室及び低圧室とを仕切るためのバルブプレートと、前記バルブプレートに形成され、前記圧縮室と前記低圧室とを連通させる吸入ポートと、前記バルブプレートと前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記吸入ポートを開閉する吸入弁と、前記吸入弁と前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記シリンダボア間をシールするためのガスケットと、前記バルブプレートを介して前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとを一体的に結合する複数の通しボルトとを備える冷媒圧縮機において、前記シリンダブロックのシリンダヘッド側端面の外周縁部を除く全体に凹部が形成され、 前記凹部のシリンダボア周辺領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より小さく、前記凹部のシリンダボア周辺領域以外の領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より大きいことを特徴とする。
【0021】シリンダブロックとシリンダヘッドとを一体的に結合したとき、ガスケットがシリンダボア周辺領域に十分に押し付けられてシリンダボア周辺領域でガスケットに発生する面圧を十分に高めることができる。
【0022】請求項2記載の発明は、複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックと、前記シリンダボアに挿入されたライナと、前記シリンダブロックに固定され、高圧室と低圧室とを有するシリンダヘッドと、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に介在し、前記シリンダボア内の圧縮室と前記高圧室及び低圧室とを仕切るためのバルブプレートと、前記バルブプレートに形成され、前記圧縮室と前記低圧室とを連通させる吸入ポートと、前記バルブプレートと前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記吸入ポートを開閉する吸入弁と、前記吸入弁と前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記シリンダボア間をシールするためのガスケットと、前記バルブプレートを介して前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとを一体的に結合する複数の通しボルトとを備える冷媒圧縮機において、前記シリンダブロックのシリンダヘッド側端面の外周縁部を除く全体に凹部が形成され、前記ライナのシリンダヘッド側端面から前記シリンダブロックのシリンダヘッド側端面までの寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より小さく、前記凹部の前記ライナ以外の領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より大きいことを特徴とする。
【0023】シリンダブロックとシリンダヘッドとを一体的に結合したとき、ガスケットがライナのシリンダヘッド側端面に十分に押し付けられてライナのシリンダヘッド側端面でガスケットに発生する面圧を十分に高めることができる。
【0024】請求項3記載の発明は、請求項2に記載の斜板式圧縮機において、前記ライナの端面に前記ガスケットの環状のビード部が押し付けられていることを特徴とする。
【0025】ライナの端面によってガスケットの環状のビード部が十分につぶされてガスケットに発生する面圧を高めることができる。
【0026】請求項4記載の発明は、複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックと、 前記シリンダブロックの中央部に形成されたセンタボルト孔と、前記シリンダブロックに固定され、高圧室と低圧室とを有するシリンダヘッドと、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に介在し、前記シリンダボア内の圧縮室と前記高圧室及び低圧室とを仕切るためのバルブプレートと、前記バルブプレートに形成され、前記圧縮室と前記低圧室とを連通させる吸入ポートと、前記バルブプレートと前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記吸入ポートを開閉する吸入弁と、前記吸入弁と前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記シリンダボア間をシールするためのガスケットと、前記バルブプレートを介して前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとを一体的に結合する複数の通しボルトとを備える冷媒圧縮機において、前記シリンダブロックのシリンダヘッド側端面の外周縁部を除く全体に凹部が形成され、前記凹部のセンタボルト孔周辺領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より小さく、前記凹部の前記センタボルト孔周辺領域以外の領域の深さ寸法が前記吸入弁の厚さ寸法より大きいことを特徴とする。
【0027】シリンダブロックとシリンダヘッドとを一体的に結合したとき、ガスケットがセンタボルト孔周辺領域に十分に押し付けられてセンタボルト孔周辺領域でガスケットに発生する面圧を十分に高めることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】図1はこの発明の第1実施形態に係る斜板式圧縮機の全体を示す縦断面図である。
【0030】この斜板式圧縮機はCO2 (二酸化炭素)を冷媒とする冷凍装置の一構成部品として用いられる。この斜板式圧縮機のシリンダブロック1の一端面にはバルブプレート2を介してリヤヘッド(シリンダヘッド)3が、他端面にはフロントヘッド4がそれぞれ配置されている。
【0031】フロントヘッド4、シリンダブロック1、バルブプレート2及びリヤヘッド3は通しボルト31でシャフト5の中心軸方向に一体的に結合されている。
【0032】バルブプレート2はシリンダボア6内の圧縮室22と吐出室12及び吸入室13とを仕切る。このバルブプレート2には、圧縮室22と吐出室12とを連通させる吐出ポート16と、圧縮室22と吸入室13とを連通させる吸入ポート15とが、それぞれ周方向に沿って所定間隔おきに設けられている。
【0033】吐出ポート16は吐出弁17により開閉され、吐出弁17はバルブプレート2のリヤヘッド側端面に弁押さえ18とともにセンタボルト19により固定されている。
【0034】フロントヘッド4には後述する斜板10やスラストフランジ40等を収容するクランク室8が形成されている。
【0035】リヤヘッド3には吸入室(低圧室)13と吐出室(高圧室)12とが形成されている。吸入室13は吐出室12の周囲に位置している。吸入室13には圧縮室22へ送り込まれる低圧の冷媒ガスが収容される。吐出室12には圧縮室22から吐出された高圧の冷媒ガスが収容される。吐出室12は連通路60を介して吐出口3aに通じている。
【0036】シャフト5の一端部はラジアル軸受26を介してフロントヘッド4に回転可能に支持され、シャフト5の他端部はラジアル軸受25及びスラスト軸受24を介してシリンダブロック1に回転可能に支持されている。
【0037】スラストフランジ40は、シャフト5に固定され、シャフト5と一体に回転する。シャフト5には斜板10が傾斜かつ摺動可能に取り付けられている。
【0038】斜板10はリンク機構41を介してスラストフランジ40に連結され、スラストフランジ40の回転につれて一体に回転する。斜板10の摺動面10aには、コネクティングロッド11の球状の一端部11aを相対転動可能に支持するシュー50が、リテーナ53で保持されている。
【0039】斜板10のボス部10bにはラジアル軸受55が装着され、リテーナ53は斜板10に対して相対回転可能である。ラジアル軸受55はボス部10bに固定されたストッパ54によって抜け止めされている。コネクティングロッド11の他端部11bはピストン7に固定されている。
【0040】シュー50は、コネクティングロッド11の一端部11aの先端面を相対転動可能に支持する皿状のシュー本体51と、コネクティングロッド11の一端部11aの後端面を相対転動可能に支持する環状のワッシャ52とで構成されている。
【0041】シャフト5のフロント側端部に固定されたスラストフランジ40はスラスト軸受33を介してフロントヘッド4の内壁面に回転可能に支持されている。前述のようにスラストフランジ40と斜板10とはリンク機構41を介して連結され、斜板10はシャフト5と直角な仮想面に対して傾斜可能である。
【0042】リンク機構41は、斜板10のフロント端面10cに設けられた1対の突出部10dと、スラストフランジ40の斜板板側端面40cに設けられたアーム40aと、両突出部10d間に架け渡され、アーム40aの長孔40bと係合する連結ピン43とで構成される。
【0043】スラストフランジ40と斜板10との間には巻バネ47が装着され、この巻バネ47の付勢力により斜板10がリヤ側へ付勢され、スラスト軸受24と斜板10との間には皿バネ48が装着され、この巻バネ48の付勢力により斜板10がフロント側へ付勢される。
【0044】図2はシリンダブロックをリヤ側から見た図である。
【0045】図2において、1点鎖線で示した部分はガスケット23のビード部23a,23b,23cが当接する位置を示している。
【0046】シリンダブロック1には、シャフト5を中心とする円周に沿って所定間隔おきに7つのシリンダボア6が形成されている。各シリンダボア6内にはピストン7が摺動可能に挿入されている。シリンダボア6には吸入弁21のストッパとしての切欠6aが形成されている。
【0047】シリンダブロック1の中心には、センタボルト19と螺合するセンタボルト孔1aが形成されている。
【0048】シリンダブロック1の外周縁部1bには通しボルト31を挿通させるための7つの孔31aが形成されている。
【0049】シリンダブロック1のシリンダヘッド側端面の外周縁部1bを除く全体には凹部1cが形成されている。
【0050】図3は図2のIII−III線に沿った矢視断面図である(但し分解状態を示す)。
【0051】バルブプレート2のフロント側端面には吸入ポート15を開閉する吸入弁21が設けられている。
【0052】吸入弁21とシリンダブロック1との間にはシリンダボア6間をシールするためのガスケット23が設けられている。
【0053】ガスケット23にはシール性を高めるためにシリンダボア6の開口部周辺領域及びセンタボルト孔1aの周辺領域に対向してビード部23a、23b,23cが形成されている。
【0054】シリンダブロック1に形成される凹部1cの深さ寸法(シリンダブロック1のシリンダヘッド側端面から凹部1cの底面1dまでの寸法)は領域によって次のように異なる。
【0055】シリンダボア6の周辺領域及びセンタボルト孔1aの周辺領域の深さ寸法t′は吸入弁21の厚さ寸法tより小さく、シリンダボア周辺領域及びセンタボルト孔周辺領域以外の領域の深さ寸法t″が吸入弁の厚さ寸法tより大きい。
【0056】ガスケット23及びバルブプレート2にはシリンダロック1の通しボルト孔31aに対向する孔23d,2aが形成されている。
【0057】次に、この可変容量型斜板式圧縮機の作動を説明する。
【0058】図示しない車載エンジンの回転動力がシャフト5に伝達されると、シャフト5の回転力はスラストフランジ40、リンク機構41を経て斜板10に伝達され、斜板10が回転する。
【0059】斜板10の回転によりシュー50が斜板10の摺動面10a上を相対回転し、斜板10からの回転力がピストン7の直線往復運動に変換される。ピストン7がシリンダボア6内を往復運動すると、シリンダボア6内の圧縮室22の容積が変化し、この容積変化によって冷媒ガスの吸入、圧縮及び吐出が順次行なわれ、斜板10の傾斜角度に応じた容量の高圧の冷媒ガスが吐出される。吸入時、吸入弁21が開き、吸入室13からシリンダボア6内の圧縮室22へ低圧の冷媒が吸入され、吐出時、吐出弁17が開き、圧縮室22から吐出室12へ高圧の冷媒ガスが吐出される。
【0060】熱負荷が小さくなり、クランク室8内の圧力が増加すると、斜板10の傾斜角度が小さくなるので、ピストン7のストローク量が少なくなって吐出容量が減少する。これに対し、熱負荷が大きくなり、クランク室8内の圧力が減少すると、斜板10の傾斜角度が大きくなるので、ピストン7のストローク量が増えて吐出容量が増加する。
【0061】この実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0062】■シリンダボア6の周辺領域及びセンタボルト孔1aの周辺領域のガスケット23の面圧が高くなるので、ビード部23aを十分につぶすことができ、シリンダボア6間及びセンタボルト19からの冷媒ガスのリークを確実に防止することができる。そのため、体積効率及び冷凍能力が向上するとともに、高圧・高温の冷媒ガスの低圧側への漏れを減少でき、吐出温度が設定値以上に上昇せず、ゴム材(例えば、ニトリルゴム等)の耐久性が向上する。
【0063】■シリンダボア6の周辺領域及びセンタボルト孔1aの周辺領域以外の深さ寸法t″は吸入弁の厚さ寸法tより大きくなっているので、冷媒ガスのリーク防止に不必要な領域に荷重を加えないとともに、精度の高い加工を必要としないので、製造コストを低減することができる。
【0064】図4はこの発明の第2実施形態に係る斜板式圧縮機の全体を示す縦断面図、図5はシリンダブロックをリヤ側から見た図であり、第1実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】この実施形態はシリンダ1にライナ60を挿入してシリンダボア66を形成した点で第1実施形態と異なる。
【0066】図5において、1点鎖線及び2点鎖線で示した部分はガスケット23のビード部23a,23b,23cがライナ60の端面60aに当接する位置を示している。
【0067】シリンダブロック1には、シャフト5を中心とする円周に沿って所定間隔おきにライナ60によって7つのシリンダボア66が形成されている。各シリンダボア66内にはピストン7が摺動可能に挿入されている。ライナ60の端面60aには吸入弁21のストッパとしての切欠66aが形成されている。
【0068】シリンダブロック1のシリンダヘッド側端面の外周縁部1bを除く全体には凹部1cが形成されている。
【0069】図6は図5のVI−VI線に沿った矢視断面図である(但し分解状態を示す)。
【0070】シリンダブロック1に形成される凹部1cの深さ寸法(シリンダブロック1のシリンダヘッド側端面から凹部1dの底面までの寸法)は領域によって次のように異なる。
【0071】ライナ60の端面60a領域及びセンタボルト孔1a周辺領域の深さ寸法t′は吸入弁21の厚さ寸法tより小さく、ライナ60の端面60a領域及びセンタボルト孔1a周辺領域以外の領域の深さ寸法t″が吸入弁21の厚さ寸法tより大きい。
【0072】ライナ60の端面60aの外径D2はビード部23aを含むことができる寸法である。ライナ60の筒部60bの直径をD1としたとき、直径D1はD1<D2の関係を有する。
【0073】この実施形態によれば、第1実施形態の効果■と同じ効果を奏することができる。また、ライナ60の端面60a領域以外の深さ寸法が吸入弁の厚さ寸法より大きくなっているので、不必要な領域(ライナ60の端面60a領域以外の領域)に荷重を加えないとともに、精度の高い加工を必要としないので、製造コストを低減することができる。更に、ライナ60の端面60aによって、ライナ60をシリンダブロック1に挿入する際の位置決めをすることができる。
【0074】なお、上述の実施形態では、クランク室8の圧力変化に応じて斜板10の傾きが変化する可変容量型斜板式圧縮機(いわゆる片斜板式圧縮機)を一例として持ち出したが、クランク室の圧力変化に応じて斜板の傾きが変化しない固定容量型斜板式圧縮機に本願発明を適用することもできる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように請求項1〜3に記載の発明の斜板式圧縮機によれば、隣接するシリンダボア間のリークが低減され、体積効率及び冷凍能力が向上するとともに、圧縮した高温ガスの低圧側への漏れを減少でき、吐出温度が設定値以上に上昇せず、ゴム材の耐久性が向上する。
【0076】請求項4記載の発明の斜板式圧縮機によれば、バルブプレートのリヤヘッド側端面に弁押さえとともに吐出弁を固定するためのボルトから圧縮した高温ガスが低圧側への漏れることを減少でき、吐出温度が設定値以上に上昇せず、ゴム材の耐久性が向上する。
【出願人】 【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ゼクセルヴァレオクライメートコントロール
【出願日】 平成11年11月9日(1999.11.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−132629(P2001−132629A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−317893