| 【発明の名称】 |
片側斜板式圧縮機 |
| 【発明者】 |
【氏名】杉浦 学
【氏名】竹中 健二
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| 【要約】 |
【課題】肉盗部の利点を生かしつつ、異音を生じにくく、かつ優れた耐久性を発揮可能な片側斜板式圧縮機を提供する。
【解決手段】片側斜板式圧縮機において、ピストン19のシリンダボア1aの内周面と摺接する本体部19cには軽量化を実現する肉盗部19aが形成されている。ピストン19は肉盗部19aを外部に連通させる開口19d、19eを有し、開口19d、19eの最小径は3mm以上である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】内部にシリンダボア、クランク室、吸入室及び吐出室を区画形成するハウジングと、該シリンダボア内に往復動可能に収容されたピストンと、外部駆動源により駆動され、該ハウジングに回転可能に支承された駆動軸と、該駆動軸に対して同期回転可能に支承され、該ピストンを従動させる斜板とを備え、該ピストンの該シリンダボアの内周面と摺接する本体部には、軽量化を実現し、開口により外部と連通する肉盗部が形成された片側斜板式圧縮機において、前記開口は最小径が3mm以上であることを特徴とする片側斜板式圧縮機。 【請求項2】開口は複数個であることを特徴とする請求項1記載の片側斜板式圧縮機。 【請求項3】開口はクランク室側に開くことを特徴とする請求項1又は2記載の片側斜板式圧縮機。 【請求項4】ピストンと斜板との間には前後で対をなすシューが設けられ、開口は該ピストンが各該シューを連結するシュー連結部の左右に開くことを特徴とする請求項2又は3記載の片側斜板式圧縮機。 【請求項5】クランク室内の圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストンのストローク及び斜板の傾斜角が変化することにより圧縮容量が制御されるものであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の片側斜板式圧縮機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両空調用等に用いられる片側斜板式圧縮機に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、特開平11−107912号公報に片側斜板式圧縮機が開示されている。この片側斜板式圧縮機では、ハウジングの内部にシリンダボア、クランク室、吸入室及び吐出室が区画形成されており、シリンダボア内には往復動可能にピストンが収容されている。また、ハウジングには駆動軸が回転可能に支承され、この駆動軸は外部駆動源により駆動されるようになっている。さらに、駆動軸には斜板が同期回転可能に支承されており、斜板とピストンとの間には前後で対をなすシューが設けられている。つまり、ピストンはシリンダボアの内周面と摺接する本体部を有し、この本体部と一体に設けられたシュー連結部と斜板との間にシューが連結されている。また、この片側斜板式圧縮機では、クランク室内の圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストンのストローク及び斜板の傾斜角が変化するようになっており、これにより圧縮容量が制御されるようになっている。そして、この片側斜板式圧縮機の特徴的な構成として、ピストンの本体部には軽量化を実現する空部が形成されている。ここで、空部としては、外部と連通しない中空部の他、連通孔等の開口により外部と連通する肉盗部があり得る。 【0003】かかる片側斜板式圧縮機では、外部駆動源により駆動軸が駆動されれば、斜板が同期回転することから、シューを介してピストンがシリンダボア内を往復動する。これにより、シリンダボアはピストンのヘッドとの間に圧縮室を形成することから、この圧縮室が吸入行程にあるときには、その圧縮室に冷凍回路の蒸発器と接続された吸入室から低圧の冷媒ガスが吸入され、圧縮室が圧縮行程にあるときには、その圧縮室から高圧の冷媒ガスが吐出室に吐出されることとなる。かかる吐出室は冷凍回路の凝縮器に接続され、冷凍回路が車両用空調システムとして車両の空調に供されることとなる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の片側斜板式圧縮機では、軽量化の実現のためにピストンに空部としての肉盗部を形成している。こうして肉盗部を有するピストンを製造する場合、このピストンは軸方向に分割されたパーツを溶接により接合することにより得られ得る。この場合、溶接方法としては、摩擦溶接法の他、TIG、MIG等のアーク溶接法、レーザ溶接法、電子ビーム溶接法等が採用され得る。ここで、摩擦溶接法等によれば、各パーツの接合部にバリが生じ、これが肉盗部内に残留しやすい。また、アーク溶接法等によれば、スパッタが肉盗部内に残留しやすい。また、ピストンリングをもつピストンでは、そのピストンリングを嵌装するリング溝に肉盗部と連通する連通孔が貫設される場合がある。この場合、その連通孔を貫設したり、そのピストンの本体部等を周面加工する際に生じる切削粉がその連通孔を介して肉盗部内に進入し、肉盗部内に残留することもある。これら異物が肉盗部内に固着して存在したままであれば、なんら問題は生じない。 【0005】しかしながら、かかるピストンを採用して組み付けた片側斜板式圧縮機が使用されている間、振動により異物が肉盗部内で脱落すれば、異音を生じてしまう。また、使用中に脱落した異物がクランク室内等に放出されてしまえば、斜板とシューとの間等の摺動部に異物が介在し、その摺動性に支障を来すこととなる。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、片側斜板式圧縮機の組み付け前において、肉盗部が外部と連通する連通孔等の開口により、肉盗部内の異物を予め外部に排出することを検討した。そして、発明者らの検討結果によれば、バリ等の異物は、ピストンの大小にかかわらず、直径3mm未満であることが判明した。 【0007】したがって、本発明の片側斜板式圧縮機は、内部にシリンダボア、クランク室、吸入室及び吐出室を区画形成するハウジングと、該シリンダボア内に往復動可能に収容されたピストンと、外部駆動源により駆動され、該ハウジングに回転可能に支承された駆動軸と、該駆動軸に対して同期回転可能に支承され、該ピストンを従動させる斜板とを備え、該ピストンの該シリンダボアの内周面と摺接する本体部には、軽量化を実現し、開口により外部と連通する肉盗部が形成された片側斜板式圧縮機において、前記開口は最小径が3mm以上であることを特徴とする。 【0008】本発明の片側斜板式圧縮機では、ピストンの本体部に肉盗部が形成されているため、軽量化を実現している。特に、肉盗部から外部に連通する開口が形成されているため、さらに軽量化を実現している。 【0009】また、本発明の片側斜板式圧縮機では、ピストンの開口の最小径が3mm以上であるため、ピストンを製造する際にできる肉盗部内のバリ等の異物を組み付け前に除去することができる。このため、使用中に異物が肉盗部内で脱落することがなく、異音を生じない。また、使用中に異物がクランク室内等に放出されることもないので、斜板とシューとの間等の摺動部に異物が介在することはない。 【0010】したがって、本発明の片側斜板式圧縮機では、肉盗部の利点を生かしつつ、異音を生じにくく、摺動部への異物の介在を防止できる。 【0011】開口は複数個であることが好ましい。仮に開口が単数であれば、異物を除去する際に行う空気洗浄や液洗浄等による空気や洗浄液の通り抜け口がないこととなり、異物の除去が困難となる。これに対し、開口が複数個であれば、開口のうち少なくとも一つから空気等を圧送し、空気等の通り抜け口である残りの開口から空気等とともに異物を排出させることができる。このため、異物の除去が容易となる。 【0012】開口はクランク室側に開くことが好ましい。ヘッド側に開口を形成することは圧縮効率上あり得ない。また、シリンダボア側に比較的大きな開口を形成すると、開口の縁部がシリンダボアと干渉しやすく、ピストンの摺動性が阻害されるおそれがある。これに対し、クランク室側ではこれら不具合がないからである。 【0013】ピストンと斜板との間に前後で対をなすシューが設けられている場合、開口としては、このピストンが各シューを連結するシュー連結部の左右に開くものを採用することができる。シュー連結部は曲げ応力等に耐えるべくある程度の肉厚が必要である。このシュー連結部の左右であれば、その強度を維持しつつ、本発明を実現できる。 【0014】本発明の片側斜板式圧縮機がクランク室内の圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストンのストローク及び斜板の傾斜角が変化することにより圧縮容量が制御されるものである場合、肉盗部により軽量化されたピストンを採用することにより、その容量変化が迅速になることから、本発明の必要性が大きい。特に、ピストンがアルミ系金属等の軽量金属製のものであれば、その効果が顕著である。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の片側斜板式圧縮機を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。 【0016】本実施形態の片側斜板式圧縮機では、図1に示すように、複数のシリンダボア1aと軸孔1bとマフラ室1cとが形成されたシリンダブロック1の前端にカップ状のフロントハウジング2が接合され、シリンダブロック1の後端には吸入弁3、弁板4、吐出弁5及びリテーナ6を挟持してリアハウジング7が接合されている。シリンダブロック1、フロントハウジング2及びリアハウジング7がハウジングである。 【0017】フロントハウジング2にも軸孔2aが形成され、シリンダブロック1の前端とフロントハウジング2とで形成されるクランク室8内には、軸孔2aに軸封装置9及びラジアル軸受10を介し、かつシリンダブロック1の軸孔1bにラジアル軸受11を介して駆動軸12が回転可能に支承されている。 【0018】クランク室8内では、フロントハウジング2との間にスラスト軸受13を介して駆動軸12にラグプレート14が固定されている。ラグプレート14には後方に向かって一対のアーム15が突設されており、各アーム15には円筒状の内面をもつガイド孔15aが貫設されている。また、駆動軸12は斜板16の貫通孔16aを挿通しており、斜板16とラグプレート14との間には傾角減少バネ17が設けられている。斜板16は、この傾角減少バネ17により傾斜角が最大傾角から最小傾角まで減少する方向に付勢されている。 【0019】斜板16の前端には各アーム15に向かって一対のガイドピン16bが突設されており、各ガイドピン16bの先端にはガイド孔15a内を摺動しつつ回転可能な球状の外面をもつガイド部16cが設けられている。また、斜板16の前後周縁にはそれぞれ対をなすシュー18を介してピストン19が設けられており、各ピストン19は各シリンダボア1a内に収容されている。 【0020】フロントハウジング2から前方に突出した駆動軸12にはボス20がスプライン嵌合されており、ボス20はキー21によりプーリ22と固定されている。このプーリ22は、駆動軸12との間でボルト23により固定されているとともにフロントハウジング2との間で軸受24により支承されている。プーリ22には外部駆動源としてのエンジンEGと接続されたベルト34が巻きかけられている。 【0021】駆動軸12の斜板16よりやや後方にはサークリップ25により復帰バネ26が設けられている。シリンダブロック1の軸孔1b内では駆動軸12の後端にスラスト軸受27及び座金28が設けられ、座金28と吸入弁3との間にはばね29が設けられている。 【0022】リアハウジング7の内側には吸入室7aが形成され、この吸入室7aはリテーナ6、吐出弁5及び弁板4に貫設された吸入ポート30により各シリンダボア1aと連通している。吸入室7aは外部冷凍回路の蒸発器EVに配管により接続され、蒸発器EVは配管により膨張弁Vを介して凝縮器COに接続されている。また、リアハウジング7の外側には吐出室7bが形成されている。吐出室7bとシリンダブロック1のマフラ室1cとはリテーナ6、吐出弁5、弁板4及び吸入弁3を貫通する吐出通路7cにより連通されている。マフラ室1cは冷凍回路の凝縮器COに配管により接続されている。吐出室7bは弁板4及び吸入弁3に貫設された吐出ポート31により各シリンダボア1aと連通している。また、リアハウジング7には制御弁32が収納されている。これにより、この片側斜板式圧縮機では、クランク室8内の圧力と吸入室7a内の吸入圧力との差圧に応じてピストン19のストローク及び斜板16の傾斜角が変化することにより圧縮容量が制御されるようになっている。 【0023】上記ピストン19は、図2に示すように、シリンダボア1aの内周面と摺接する部分である本体部19cを有しており、この本体部19cのヘッド側にはリング溝42が凹設されている。リング溝42には、図1に示すように、シリンダボア1aの内周面と摺接するピストンリング41が嵌装されている。また、シュー18が連結されるシュー連結部19bがこの本体部19cと一体に設けられている。さらに、図3に示すように、ピストン19の本体部19cには、軽量化を実現する肉盗部19aが形成されている。そして、この肉盗部19aは、特徴的な構成として、図4にも示すように、ピストン19のクランク室8側において、シュー連結部19bを上方に位置させた際に左右に開く一対の開口19d、19eが貫設されている。これら開口19d、19eは、図1に示すように、肉盗部19aをクランク室8と連通させており、図4に示すように、最小径が3mm以上でクランク室8側から見て三日月状をなすように貫設されている。 【0024】以上のように構成された片側斜板式圧縮機では、図1に示すように、エンジンEGにより駆動軸12が駆動されれば、斜板16が同期回転することから、シュー18を介してピストン19がシリンダボア1a内を往復動する。これにより、シリンダボア1aはピストン19のヘッドとの間に圧縮室35を形成することから、この圧縮室35が吸入行程にあるときには、その圧縮室35に冷凍回路の蒸発器EVと接続された吸入室7aから低圧の冷媒ガスが吸入され、圧縮室35が圧縮行程にあるときには、その圧縮室35から高圧の冷媒ガスが吐出室7bに吐出されることとなる。そして、冷凍回路が車両用空調システムとして車両の空調に供されることとなる。 【0025】ここで、この片側斜板式圧縮機では、図3に示すように、ピストン19をアルミ系金属により形成しており、このピストン19に肉盗部19aを形成しているため、軽量化が実現されている。特に、ピストン19の肉盗部19dはシュー連結部19bの左右に開く開口19d、19eを有しているため、これらによっても軽量化を実現している。 【0026】これらのピストン19は、軸方向に分割されたパーツを溶接によって得たものである。このため、これらのピストン19は、内部を完全な中空部とする場合のピストンの製造方法と比較し、内部の空気の膨張による溶接欠陥を懸念する必要がない。このため、真空中での溶接が不要となり、簡易な製造性も確保し、製造コストの低廉化を実現している。 【0027】ところが、こうして溶接によって得られる各ピストン19は、肉盗部19a内にバリを生じている。実施形態のピストン19では、開口19d、19eの最小径が3mmであることから、片側斜板式圧縮機の組み付け前に例えば開口19dから肉盗部19a内に空気を圧送し、肉盗部19a内から開口19eへ向かって空気を排出させる。これにより、そのバリは開口19eから空気とともに排出され、肉盗部19aから容易に取り除かれる。 【0028】こうして、この片側斜板式圧縮機の使用中には、バリが肉盗部19a内で脱落することがなく、異音を発生することがない。また、ピストン19を製造する時にバリを取り除いているため、バリがクランク室8内等に放出されることもないので、斜板16とシュー18との間等の摺動部にバリが介在することはなく、その摺動性を維持することができる。 【0029】したがって、この片側斜板式圧縮機では、肉盗部19aによる軽量化の利点を生かしつつ、異音を生じにくく、かつ優れた耐久性を発揮できる。特に、軽量化したピストン19を採用しているため、斜板16の傾斜角が変化しやすくなり、圧縮室35の圧縮容量の変化を迅速に行うことができる。 【0030】さらに、ピストン19の開口19d、19eがシュー連結部19bの左右に開いているため、ピストン19の強度は維持できている。 【0031】
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
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| 【出願日】 |
平成11年11月8日(1999.11.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081776 【弁理士】 【氏名又は名称】大川 宏
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| 【公開番号】 |
特開2001−132626(P2001−132626A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−316337 |
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