| 【発明の名称】 |
ポンプ装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】森川 恭男
【氏名】中山 登
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| 【要約】 |
【課題】印刷機にインクを供給するプランジャポンプの部品点数の低減とメンテナンスの簡略化。
【解決手段】ポンプ本体21にロータリースリーブ31を摺動回転可能に嵌挿し、ロータリースリーブ31にプランジャ41を上下動可能に嵌挿して、ステッピングモータ51でクランク軸61を介してプランジャ41を上下動させる。プランジャ41の上下動に同期させてロータリースリーブ31を回転させる。プランジャ41の上昇時にポンプ本体21の吸入口Aから外部の流体(インク)をロータリースリーブ内のB室に吸入させ、プランジャ41の下降時にB室の流体の定量をポンプ本体21の吐出口Cから外部に吐出させる。流体の供給量を、プランジャ41の上下動回数の変更により、零から最大量の範囲で調整する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内周面の対向する2箇所に流体の吸入口と吐出口を有するポンプ本体と、このポンプ本体の内周面に摺動回転可能に嵌挿され、回転することで前記吸入口と吐出口に交互に連通する出入穴を側壁一部に有する先端閉塞後端開口のロータリースリーブと、このロータリースリーブの後端開口から内周面に前記ポンプ本体の出入穴を塞がない範囲で軸方向往復移動可能に嵌挿されたプランジャと、このプランジャを軸方向に定ストロークで所定時間当たり零から最大回数の範囲内で往復動回数可変に往復移動させると共に、前記ロータリースリーブをプランジャの軸方向移動に同期させて回転させる駆動手段とを有するポンプユニットを具備し、前記ロータリースリーブ後端側へのプランジャの移動時にロータリースリーブでポンプ本体の吐出口を塞ぎ吸入口に連通した出入穴からロータリースリーブ内に流体を吸入させ、ロータリースリーブ先端側へのプランジャの移動時にロータリースリーブで吸入口を塞ぎ出入穴を吐出口に連通させてロータリースリーブ内の流体を吐出させるようにしたことを特徴とするポンプ装置。 【請求項2】 前記駆動手段を、駆動モータと、前記駆動モータに連結されたクランク軸と、前記クランク軸とプランジャとを連結しクランク軸の1回転でプランジャを1往復させる連結部材と、前記クランク軸とロータリースリーブとの間に配設されクランク軸の1回転でロータリスリーブを1回転させるギヤ機構とで構成したことを特徴とする請求項1記載のポンプ装置。 【請求項3】 前記連結部材を、クランク軸のクランク部に回転可能に嵌着された摺動体と、プランジャに一体に成形されて前記摺動体をプランジャ軸方向と略直交方向に摺動可能に保持してプランジャを摺動体を介してプランジャの軸方向に移動させる摺動体受けとを有する摺動ユニットで構成したことを特徴とする請求項2記載のポンプ装置。 【請求項4】 前記ロータリースリーブに対するプランジャの前後移動開始の時点でロータリースリーブでポンプ本体の吐出口と吸入口の両方を一時的に塞ぎ、この時点で前記摺動体が摺動体受けに対してプランジャの軸方向に弾性変形可能に摺動するようにしたことを特徴とする請求項3記載のポンプ装置。 【請求項5】 前記ポンプユニットの複数を共通の流体マニホールドに連結し、この流体マニホールドから各ポンプユニットのポンプ本体の吸入口に流体を定圧で供給して、各ポンプユニットの駆動モータによるプランジャの往復移動回数可変調整で各ポンプユニットからの流体吐出量を単独に零から最大量の範囲で調整可能にしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のポンプ装置。 【請求項6】 前記流体が印刷機のインクローラに供給されるインクであることを特徴とする請求項5記載のポンプ装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷機等の印刷機のインク供給装置に好適に利用されるポンプ装置で、詳しくは、流体(インク)の供給量が零から所定の最大量まで任意に調整可能なポンプ装置に関する。 【0002】 【従来の技術】オフセット印刷機や凸版印刷機等の印刷機におけるインクローラへのインク供給量は、インクローラで印刷される版面の幅方向の絵柄文字等の分布に対応した適正量に設定する必要があり、かつ、印刷中随時に絵柄等の変動に拘わらず希望の濃さになるよう任意に調整できる必要があることから、印刷機のインク供給装置として複数のインク吐出量可変形プランジャポンプをインクローラの幅方向に沿って定間隔で配備したポンプ装置が実用化されている。この種のプランジャポンプは、特公平5−11553号公報等に開示されている定工程プランジャポンプで、その具体例を図8及び図9に示し説明する。 【0003】図8のプランジャポンプPは、図示しない印刷機の輪転機と同期して回転する駆動軸1に固定された駆動カム2でプランジャ3を上下動させ、プランジャ3を下降させるときにインクを吸い込み、プランジャ3を上昇させるときにインクをデリバリバルブ4を介して上方に押し出す構造である。駆動軸1が印刷機のインクローラに平行に配設され、この駆動軸1に複数(通常において32個)の駆動カム2が等間隔で設置されて、各駆動カム2に1基ずつのプランジャポンプPが配設される。 【0004】各プランジャポンプPのプランジャ3は、駆動軸1の1回転でシリンダバレル6内を上下に定ストロークで1往復運動する。シリンダバレル6は、ポンプ本体7の上部に収納固定される。シリンダバレル6はその上端部一部に、ポンプ本体7の上部内面に形成されたインクチャンバ8と連通するフィードホール9を有する。プランジャ3の上部外面に、図10に示すようなインクの逃げ道となる左上がりに傾斜する溝状のリード10が形成される。リード10は、プランジャ3の上端面から同軸状に穿設された縦穴11と連通する。シリンダバレル6の下部にコントロールスリーブ12が回転自在に外嵌され、コントロールスリーブ12とプランジャ3の下部同士が結合されて、この両者はコントロールラック13の横移動(図8紙面直交方向)時に一体に回転する。コントロールスリーブ12の外周に形成されたピニオンギヤ14にコントロールラック13が噛合し、コントロールラック13が旋回駆動機構15で横移動制御されて、後述するようにインクの供給量が調整される。また、プランジャ3上方のインク通路に設置されたデリバリバルブ4は、プランジャ3の上昇時には開いてインク供給動作をし、プランジャ3の下降時にはスプリング5の弾力でインク通路を塞いで、インク通路におけるインクの逆流と、インク通路先端ノズルでのインクの後だれを防止する。 【0005】図9(a)〜(g)でプランジャポンプPの動作を説明する。図9(a)は図6の駆動軸1の回転でプランジャ3が下死点に向けて下降するときで、この下降でプランジャ3の上端面がフィードホール9を開くと、インクがプランジャ3の上方空間で生じる負圧とフィードホール9に圧送されたインク圧によってインクチャンバ8からフィードホール9を経てシリンダバレル6内に吸入される。このインク吸入は、プランジャ3が下死点に下降するまで継続され、下死点に下降した時点でシリンダバレル6内に定量のインクが吸入される。下死点のプランジャ3が上昇を始めてプランジャ3の上端面がフィードホール9を閉じるまでは、シリンダバレル6内に吸入されたインクは充満したままで、余分なインクはインクチャンバ8に逆流する。 【0006】図9(b)、(c)に示すように上昇するプランジャ3の上端面がフィードホール9を閉じると、シリンダバレル6内のインクが加圧され、この加圧でデリバリバルブ4がスプリング5の弾力に抗して開かれ、シリンダバレル6内のインクが外部に吐出される。このインク吐出は、プランジャ3のリード10とシリンダバレル6のフィードホール9が連通するまで継続して行われる。リード10とフィードホール9が連通すると、図9(d)に示すようにシリンダバレル6内の加圧されたインクがプランジャ3の上端面の縦穴11からリード10、フィードホール9を経てインクチャンバ8に流出して、プランジャ3の1回の上下動による1回のインク吐出が終了する。この1回のインク吐出量の調整は、各プランジャポンプP毎の旋回駆動機構15でコントロールラック13を横移動調整することで行われる。 【0007】すなわち、図9(e)〜(g)と図10に示すように、プランジャ3の外周面に形成したリード10は左上がりに傾斜している。そこで、図8に示す旋回駆動機構15でコントロールラック13を横に移動させてピニオンギヤ14を介してコントロールスリーブ12とこれと一体のプランジャ3を回転させると、プランジャ3がシリンダバレル6に対して相対的に回転して、プランジャ3の上端面がフィードホール9を閉じてからリード10がフィードホール9に連通するまでの有効ストロークsが変動し、この有効ストロークsに比例して1回のインク吐出量が調整される。なお、図9(e)は前記有効ストロークsが零でインク吐出量が零の場合、図9(f)は有効ストロークsが最大値の1/2でインク吐出量が最大値の1/2の場合、図9(g)は有効ストロークsが最大でインク吐出量が規定の最大値の場合を示している。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】前記のようなインク吐出量可変形プランジャポンプPにおいては、ポンプ個々にインク吐出量を調整する手段であるコントロールラック13とこれを横移動調整する旋回駆動機構15のために、構造が複雑で部品点数が多くなり、その分、メンテナンスに多くの手間が掛かり、印刷機におけるインクポンプ装置がコスト高になる問題があった。すなわち、旋回駆動機構15はポンプ本体7に対してコントロールラック13を所定のインク吐出量が零の位置と最大量の位置の間で高精度で横移動させる機構でないと印刷精度が悪くなることから、旋回駆動機構15に多くの高精度部品が必要となり、高精度な組立が必要となって、前記問題が発生していた。 【0009】また、個々のプランジャポンプPにおいて、プランジャ3上方のインク通路に設置されるデリバリバルブ4を閉塞用スプリング5で弾圧してインク通路を閉塞し、プランジャ3の上昇によるシリンダバレル6内でのインク加圧でデリバリバルブ4を開いてインク吐出をするようにしているため、インク吐出時にスプリング5の弾力に抗した大きな可圧力でインク加圧して圧送しなければならない。したがって、プランジャ3を上昇させる駆動系にスプリング5の弾力に抗する分だけ余分な負荷が加わり、これがプランジャ駆動系に摩耗等のメンテナンス上不利な影響を及ぼしている。 【0010】さらに、複数(32個)のプランジャポンプPのプランジャ3を共通の駆動軸1の回転で同時に上下動させる一方、各プランジャ3によるインク供給量を各プランジャ3の旋回位置で独自に調整する構造のため、印刷動作の全時間帯においてインク供給量が零のプランジャポンプであってもプランジャが連続して上下動することになり、全プランジャポンプにおける各プランジャ周辺可動部分の摩耗等が早期に進行して、ポンプ装置の長寿命化ないしメンテナンスフリーとすることが困難であった。 【0011】本発明の目的は、部品点数が少なく長寿命であり、かつ、メンテナンスが簡単ないしは実質的に不要なポンプ装置を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は、プランジャの上下動回数を加減することでインク等の流体の吐出量を加減するようにしたポンプ装置で、内周面の対向する2箇所に流体の吸入口と吐出口を有するポンプ本体と、このポンプ本体の内周面に摺動回転可能に嵌挿され、回転することで前記吸入口と吐出口に交互に連通する出入穴を側壁一部に有する先端閉塞後端開口のロータリースリーブと、このロータリースリーブの後端開口から内周面に前記ポンプ本体の出入穴を塞がない範囲で軸方向往復移動可能に嵌挿されたプランジャと、このプランジャを軸方向に定ストロークで所定時間当たり零から最大回数の範囲内で往復動回数可変に往復移動させると共に、前記ロータリースリーブをプランジャの軸方向移動に同期させて回転させる駆動手段とを有するポンプユニットを具備し、ロータリースリーブ後端側へのプランジャ移動時にロータリースリーブで吐出口を塞ぎ吸入口に連通させた出入穴からロータリースリーブ内に流体を吸入させ、ロータリースリーブ先端側へのプランジャ移動時にロータリースリーブで吸入口を塞ぎ吐出口に連通させた出入穴からロータリースリーブ内の流体を吐出させるようにしたことを特徴とする。 【0013】ここで、ポンプユニットのプランジャはロータリースリーブ内で往復移動だけし、このプランジャの往復移動に連動してロータリースリーブだけが回転して、ロータリースリーブの出入穴がポンプ本体の吸入口と吐出口に交互に繰り返し連通することで、プランジャの単位時間当たりの往復移動回数に比例した量の流体が吸入口からロータリースリーブ内を経由して吐出口から吐出される。プランジャとロータリスリーブを駆動させる駆動モータは回転数制御が高精度で行えるステッピングモータ等であり、この駆動モータの回転数制御でプランジャの往復移動回数が制御されて流体の吐出量が零から最大量の範囲で高精度に調整される。 【0014】本発明の請求項2の発明は、前記駆動手段を、駆動モータと、前記駆動モータに連結されたクランク軸と、前記クランク軸とプランジャとを連結しクランク軸の1回転でプランジャを1往復させる連結部材と、前記クランク軸とロータリースリーブとの間に配設されクランク軸の1回転でロータリスリーブを1回転させるギヤ機構とで構成したことを特徴とする。このようにプランジャの1往復移動でロータリースリーブを1回転させることで、プランジャの1往復移動で定量の流体の吸入と吐出が行われ、この1回の吐出量にプランジャの単位時間当たりの往復移動回数を乗算することで単位時間当たりの流体吐出量(流体供給量)が決まる。 【0015】本発明の請求項3の発明は、前記連結部材を、クランク軸のクランク部に回転可能に嵌着された摺動体と、プランジャに一体に成形されて前記摺動体をプランジャ軸方向と略直交方向に摺動可能に保持してプランジャを摺動体を介してプランジャの軸方向に移動させる摺動体受けとを有する摺動ユニットで構成したことを特徴とする。摺動ユニットは、クランク軸の回転力でプランジャを軸方向に移動させる際の動力伝達をスムーズにするもので、摺動体とその摺動体受けは、円滑に摺動して動力伝達する材質の組合せとする。 【0016】本発明の請求項4の発明は、前記ロータリースリーブに対するプランジャの前後移動開始の時点でロータリースリーブでポンプ本体の吐出口と吸入口の両方を一時的に塞ぎ、この時点で前記摺動体が摺動体受けに対してプランジャの軸方向に弾性変形可能に摺動するようにしたことを特徴とする。このように摺動体を摺動体受けに対して弾性変形可能に摺動するようにすることで、クランク軸に負荷が一時的に大きく作用した場合に、摺動体の一時的な変形でクランク軸に掛かる負荷が軽減されてクランク軸の回転がスムーズになる。 【0017】本発明の請求項5の発明は、前記ポンプユニットの複数を共通の流体マニホールドに連結し、この流体マニホールドから各ポンプユニットのポンプ本体の吸入口に流体を定圧で供給して、各ポンプユニットの駆動モータによるプランジャの往復移動回数可変調整で各ポンプユニットからの流体吐出量を単独に零から最大量の範囲で調整するようにしたことを特徴とする。 【0018】この請求項5の発明において、流体が印刷機のインクローラに供給されるインクであると、印刷機のインク供給用ポンプ装置として好適なものとなる(請求項6の発明)。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1乃至図7を参照して説明する。 【0020】図1は1つのポンプユニットPUの縦断面図が示され、図2は複数の同一型のポンプユニットPUを横一列に配列したポンプ装置の部分正面図が示される。図3は1つのポンプユニットPUの要部分解図が示される。各ポンプユニットPUは、各々が独自に駆動してインク等の流体を供給量調整可能に吸入し吐出する。以下、複数のポンプユニットPUで印刷機のインク供給用ポンプ装置を構成した実施形態でもって説明する。 【0021】複数の各ポンプユニットPUは、鉛直に配置されたプランジャ41の上下の往復移動回数を加減することでインクの吐出量(供給量)を加減するもので、上端開口下端閉塞の筒状ポンプ本体21の下部に鉛直方向にロータリースリーブ31がその軸心を中心に回転可能に配設され、ロータリースリーブ31内にプランジャ41をが上下摺動可能に配設され、ポンプ本体21の上部に駆動モータ51が配設される。駆動モータ51は、プランジャ41を定ストロークで上下動させると共に、ロータリスリーブ31をプランジャ41の上下動と同期させて回転駆動させる。駆動モータ31の回転動力をプランジャ41とロータリースリーブ31に伝達する手段は限定されないが、図示され後述するようなクランク軸61とギヤ機構71が構造簡単で望ましい。 【0022】また、複数のポンプユニットPUのポンプ本体21が、共通の流体マニホールド91に固定される。なお、印刷機のインク供給用ポンプ装置においては、例えば4基のポンプユニットPUを横一列に取り付けた流体マニホールド91の8台が一直線状に配列されて、計8×4=32基のポンプユニットPUを使用した構造となる。 【0023】各ポンプユニットPUのポンプ本体21の下部は、有底内周面を有する筒状体で、その内周面下部に円筒状のプランジャケース22が嵌着固定される。ポンプ本体21の内周面下部の対向する2箇所に、インク(流体)の吸入口A及び吐出口Cがプランジャケース22を貫通させて形成される。吸入口A及び吐出口Cは同一口径の円形穴である。吸引口Aは流体マニホールド91の内部空間(インクが定圧で充満される空間)nに連通し、吐出口Cは図示しない印刷機のインク供給ノズルに連通する。プランジャケース22の内周面に円筒状のロータリースリーブ31が円周方向に摺動回転可能に嵌挿され、ロータリースリーブ31の内周面に円柱状のプランジャ41が軸方向(上下方向)に摺動可能に嵌挿される。なお、ポンプ本体21のプランジャケース22はロータリースリーブ31との接触で摩耗等したときに必要に応じて交換される部品で、これを省略してポンプ本体にロータリスリーブを直接に嵌挿した構造でもよい。 【0024】ロータリースリーブ31は下端閉塞上端開口の円筒で、下部の側壁一部に図3や図4に示すような1つの出入穴32を有する。出入穴32は、ポンプ本体21の吸入口A及び吐出口Cと同一高さに在る同一口径の円形穴で、図4で後述するようにロータリースリーブ31が1回転すると出入穴32が吸入口A及び吐出口Cに交互に1回ずつ連通する。ロータリースリーブ31の上部はポンプ本体21内の上部空間mに突出する。 【0025】プランジャ41はロータリースリーブ31の上端開口からロータリースリ部31内に嵌挿され、ロータリスリーブ31の上端から突出するプランジャ41の上端部に直交させてクランク軸61が直接に、或いは、図3に示すような摺動体82、摺動体受け83及び蓋板84を有する摺動ユニット81を介して連結される。クランク軸61はポンプ本体21の上部空間mに軸受63,64を介して水平に支持され、駆動モータ51で零から所望の回転数の範囲で回転数調整可能に回転制御される。 【0026】クランク軸61の一部の偏心した丸棒状クランク部62に摺動ユニット81の摺動体82が回転可能に外嵌される。摺動体82は、例えば図6に示すような正方形の自己潤滑性を有する樹脂ブロックであって、その中心の軸穴にクランク部62が嵌挿される。クランク軸61と摺動体82の連結は、例えばクランク軸61の先端(図3の左端)を分離構造として製作した場合は摺動体挿入後に分離先端を焼嵌め等で取付け一体化するか、或いは、クランク軸61を図示しない片持型式にした場合はその先端から摺動体を挿入して行えばよい。また、摺動体受け83はプランジャ41の上端に固定され、摺動体受け83の上面に、摺動体82が摺動可能に嵌着される凹面状の受け面85が形成され、受け面85の両壁上に蓋板84が2本のビス86等で固定されて、摺動体82の上下面が受け面85と蓋板84に横方向摺動可能に支持される。クランク軸61が1回転してクランク部62が上下に1旋回すると、摺動体82が摺動体受け83と蓋体84の間を水平方向に1回往復移動してプランジャ41が1回上下動する。 【0027】以上のような摺動ユニット81を使用する理由は、プランジャ41の外周面に横方向の押圧力を与えないためである。プランジャ41とクランク軸61とを一般的なコンロッドで連結すると、コンロッドの傾斜によりプランジャ41の外周面に横方向の押圧力が作用して摩耗抑制ないし伝動効率向上の点で好ましくないが、摺動ユニット81を使用することにより前記横方向の押圧力の発生を防止することができる。 【0028】プランジャ41の上下動ストロークは一定で、下死点まで下降したときのプランジャ41が図1に示される。このプランジャ41の下端面は、ポンプ本体21の吸入口A、吐出口C、及びロータリースリーブ31の出入穴32(図1には図示されない)の位置より上位に在り、このときのロータリースリーブ31内の底面からプランジャ41の下端面までの空間をB室と称すると、図1のB室は、図5(a)に示すようにロータリースリーブ31の下部両側壁で吸入口A及び吐出口Cから仕切られた密閉空間となり、その容積は最小である。この最小容積のB室に対してプランジャ41が定ストローク上下動することで、B室の体積が最大値まで増大してから再度最小値まで減少するように変動して、後述するようにB室に定量のインクが吸入され、この吸入されたインクがB室から吐出される前記のようにクランク軸61の1回転でプランジャ41を上下に1回往復移動させる場合、プランジャ41の上下動に同期させてギヤ機構71がロータリスリーブ31を1回転させる。ギヤ機構71は、例えば直交するクランク軸61とロータリースリーブ31の双方に同軸に固定した一対の直交するマイタギヤ72,73を噛合させた構成でよい。ロータリースリーブ31が1回転することで、その出入穴32が図5(a)〜(e)に示すように360°回転して吸入口Aと吐出口Cに交互に連通する。 【0029】駆動モータ51は回転数が零から高精度に制御できる電動モータが望ましく、例えば0〜2000rpmの定格範囲で高精度に回転数制御が可能なステッピングモータ51が使用される。このステッピングモータ51の出力回転軸に、例えば1/10減速比の減速機52とカップリング53を介してクランク軸61が連結されて、ステッピングモータ51でクランク軸61が零から最高200rpmの範囲で高精度に回転数制御され、この制御でプランジャ41が零から最大200回/分で往復移動し、ロータリースリーブ31が0〜200rpmで回転してインク供給のポンプ動作を行う。減速機52はステッピングモータ51だけによるポンプ動作の力不足を補うもので、他の高出力モータを使用する場合においては必ずしも必要としない。 【0030】なお、図1に示されるポンプ本体21の上部空間mには、ここに収容される可動部材の駆動を円滑にし、摩耗を抑制するオイルが充填される。また、必要に応じて上部空間mの上端開口には開閉可能に点検窓101が設置され、ポンプ本体21の上部側壁一部に上部空間mに達する鉄粉吸着用マグネットプラグ102が脱着可能に嵌着される。ポンプ本体21側壁のマグネットプラグ102が装着される取付穴は、上部空間mのオイル交換穴としても利用される。 【0031】次に、以上の実施形態のインク供給ポンプ装置の動作と部分的構造詳細を図4及び図5に基づき説明する。 【0032】図5(a)のようにクランク軸61のクランク部62が最下位置に在り、プランジャ41が最も下降してB室が最小容積になっているとき(図1の状態)、B室がロータリースリーブ31の側壁で吸入口A及び吐出口Cから仕切られた密閉空間となる。この状態からクランク軸61が定方向に回転開始して90°まで回転すると、図4(a)と図5(b)に示すようにプランジャ31が最大上昇量の1/2まで上昇し、ロータリースリーブ31が図5の時計方向に90°回転して出入穴32が吸入口Aと合致する。このロータリースリーブ31の回転角の増大に比例して出入穴32と吸入口Aの連通面積が増大し、流体マニホールド91の内部空間nに定圧で充満させたインクが吸入口Aから出入穴32を通過してB室に吸入される。この間、吐出口Bはロータリースリーブ31の側壁で閉塞された状態のままで、インクはB室だけに吸入される。このB室のインク吸入は、流体マニホールド91内の定圧のインクによる圧力と、プランジャ41が上昇することによるB室内の負圧の両方で行われるので、インクの粘度が大きくても確実にインク吸入が行われる。 【0033】さらにクランク軸61が回転してロータリースリーブ31が180°まで回転すると、図4(b)と図5(c)に示すようにプランジャ41が最大上昇量まで上昇してB室の容積が最大となり、出入穴32がポンプ本体21内周面の吸入口Aと吐出口Cの中間部分で閉塞される。図5(a)から(c)までロータリースリーブ31が180°回転する間にB室には図5のインク吸入吐出曲線(サインカーブ)で示す吸入量でインクが吸入され、B室が最大容積になる直前で吸入口Aがロータリースリーブ31の側壁で閉塞されてインク吸入が完了する。この時点でも吐出口Cはロータリースリーブ31で閉塞されたままである。 【0034】さらにクランク軸61が連続回転してロータリースリーブ31が270°まで回転すると、図4(c)と図5(d)に示すようにプランジャ41が最大下降量の1/2まで下降してB室の容積が減少し、出入穴32が吐出口Cと合致する。この場合もロータリースリーブ31の回転角の増大に比例して出入穴32と吐出口Cの連通面積が増大し、B室に吸入され充満していたインクが出入穴32から吐出口Cに吐出される。この間、吸入口Aはロータリースリーブ31の側壁で閉塞された状態に在るので、インクは吐出口Cだけに吐出されて印刷機のインクローラへと供給される。このインク吐出は、プランジャ41の下降によるインク加圧力で積極的に行われるので、インクの粘度が大きくても確実に行われる。さらに、図5(e)に示すようにクランク軸61が回転してロータリースリーブ31が360°まで回転すると,B室に残ったインクが吐出されてインク吐出が完了する。このインク吐出もサインカーブの吐出量で行われる。 【0035】図5(a)から(c)までの1回のインク吸入量と、図5(c)から(e)までの1回のインク吐出量は同じ定量である。このようなクランク軸61とロータリースリーブ31の1回転、プランジャ41の1往復動による定量のインク吸入と吐出がクランク軸61の1回転毎に繰り返し行われる。したがって、図1の駆動モータ51でクランク軸61を0〜200rpmの範囲で回転数を調整することで、1つのポンプユニットPUからの単位時間当たりのインク供給量が零から所定の最大量の範囲で任意に調整される。 【0036】例えば、任意のポンプユニットPUからのインク供給量を零に調整する場合、供給量零にする任意のタイミングでクランク軸61の回転を停止させればよい。すなわち、図5(a)〜(e)のインク吸入吐出動作の1サイクルのいずれの時点においても吸入口A及び吐出口Cの少なくとも一方がロータリースリーブ31の側壁で閉塞された状態にあるので、任意の回転角位置でロータリースリーブ31が回転停止するとインク吸入とインク吐出の両動作が停止して、インク供給量が零となる。このようにインク供給量を零にしたポンプユニットPUは、その全体が完全な停止状態にあるので、部分的にでも不必要に稼働して摩耗が促進される等のメンテナンス上の不具合が解消される。 【0037】また、インク供給量を零にする場合、或いは、駆動モータ51の駆動を開始してインク供給を再開する場合において、B室へのインク吸入時にはロータリースリーブ31の側壁が吐出口Cを閉塞して逆流を防止するバルブとして作用し、B室からのインク吐出時にはロータリースリーブ31の側壁が吸入口Aを閉塞して逆流を防止するバルブとして作用するため、ポンプユニットPUの中のインク通路にデリバリバルブのような特別なバルブを設置する必要がなくなり、ポンプ機構の構成部品点数が少なくなる。また、B室からのインク吐出は、プランジャ41でB室のインクを圧縮して加圧したときのインク圧で行われるが、この際にデリバリバルブ等のバルブ閉塞用スプリングの弾力に抗する余分なインク圧送力が不要となるため、比較的小さなインク圧で安定したインク吐出動作が可能となる。 【0038】図5(a)〜(e)のインク吸入吐出の一連の動作において、ロータリースリーブ31の側壁が吸入口A及び吐出口Cの両方を同時に閉塞する図5(a)、(c)(e)の状態のとき、吸入口A及び吐出口Cの左右両端部とロータリースリーブ31の外周面を図5のWで示す幅だけオーバーラップさせておくことが望ましい。このオーバーラップ幅Wは、理論的には零にすることが可能であり、零にしても前記した一連のインク吸入吐出のポンプ動作が正常に行われるが、ロータリースリーブ31の加工精度、摩耗等を原因とするインク漏れを防止することからオーバーラップ幅Wを少しの幅で形成する。 【0039】前記のようにオーバーラップ幅Wを設定すると、例えばロータリースリーブ31の出入穴32の円周方向左右両端部が多少摩耗しても、図5(a)や(c)において吸入口A及び吐出口Cがロータリースリーブ31で確実に閉塞される状態が維持されて、一連のインク通路A・B・C間での不本意なインク漏れが無くなる。また、オーバーラップ幅Wを設定した場合、ロータリースリーブ31が回転してオーバーラップ幅Wが解消されるまでの短時間の間、B室がインク充填の密閉室となり、密閉室を上下動するプランジャ41とこのプランジャ41を上下動させるクランク軸61に大きな負荷が加わる。そこで、このような負荷が加わってもクランク軸61が円滑に回転して円滑にインク吸入吐出のポンプ動作が行われるように摺動ユニット81等を設け、特に摺動ユニット81においては図7に示すように摺動体82を改変することが前記負荷対策として有効である。 【0040】図7に示される摺動体82は略正方形の樹脂ブロックで、その正方形4面の中央に溝87を形成して4つの隅部を肉薄な弾性変形し易い脚部82’とした構造である。この摺動体82を摺動体受け83と蓋板84の間で摺動させてプランジャ41を上下動させるのであるが、前記のようにプランジャ41に大きな負荷が掛かった場合に、この負荷で摺動体82の脚部82’を図7鎖線で示すように弾性変形させるようにすると、この弾性変形で負荷が吸収されて、クランク軸61に掛かる負荷が軽減される。その結果、クランク軸61を含む可動部分の駆動が円滑化され、この円滑化で可動部分の摩耗や故障が抑制されて長期(通常において10年以上)に亘る安定したポンプ動作が可能となる。 【0041】図7の摺動体82の材質は、弾性変形要求と摺動ユニット内における円滑な摺動性(自己潤滑性)の要求のために、超高分子量ポリエチレンが適切とされる。また、摺動体82を正方形としているのは、摺動体受け83への組付時の方向性を無くして組付性を良好にするためと(誤組付け防止)、摺動体受け83と蓋板84に接触する脚部82’が摩耗しても、メンテナンスにおいて90°回転させるだけにして部品交換を不要とするためである。 【0042】以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であり、例えば前記実施形態は本発明を印刷機のインク供給用ポンプ装置に適用したが、印刷機以外の工作機械などの潤滑油供給用ポンプ装置に単一ポンプユニット又は複数ポンプユニットで適用することが可能である。 【0043】 【発明の効果】本発明によれば、駆動モータでプランジャの軸方向往復移動回数を零から所定の最大数の範囲で調整することで流体の供給量を零から最大量の範囲で調整するようにしたので、軸方向移動するプランジャを旋回させて流体供給量を調整する構造複雑で部品点数の多いプランジャ旋回駆動機構が不要となって、全体として部品点数の低減と構造の簡略化が可能な、したがって、低コストで故障の少ないメンテナンスの容易なポンプ装置が提供できる。 【0044】また、ポンプ本体の吸入口と吐出口の間で回転するロータリースリーブが吸入口と吐出口のいずれか一方を必ず閉塞した状態にして、流体吸入と流体吐出のポンプ動作が交互に繰り返し行われるので、流体の吸入から吐出の一連の流路にロータリースリーブが逆流防止等のバルブとして作用して、従来の閉鎖用スプリング付きバルブを省略することができる。この閉鎖用スプリング付きバルブの省略で部品点数の尚更の低減が可能となると共に、流体吸引や吐出が閉鎖用スプリング付きバルブのスプリング力に邪魔されること無く比較的小さな流体圧で行えるようになり、その分、流体圧で稼働する可動部品の摩耗等のメンテナンスが簡単になる。 【0045】また、複数のポンプユニットを一列等に配列して使用する印刷機のインク供給ポンプ装置においては、複数のポンプユニット毎に設けた駆動モータを単独駆動させることで、インク供給量零のポンプユニットの全体を完全停止状態にすることができ、これにより全てのポンプユニットが常に動作状態にあるといったメンテナンス上の不具合が解消されて、インク供給ポンプ装置の寿命増大が図れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591121281 【氏名又は名称】大淀ヂーゼル株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月4日(1999.11.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064584 【弁理士】 【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−132621(P2001−132621A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−314030 |
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