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【発明の名称】 可変容量型アキシャルピストンポンプ及び可変容量型アキシャルピストンモータ
【発明者】 【氏名】神川 秀久

【氏名】岡田 英章

【要約】 【課題】可変容量型アキシャルピストンポンプ及びモータにおいて、可動斜板の接触摺動部に対向配置されるスラストメタルの損耗を低減する。

【解決手段】回転自在に支持されたポンプ軸(モータ軸)3と、その周囲に配置され平行に往復動自在とされる複数のピストン12・12・・・と、該ピストン12の頭部を接当させる可動斜板11とを有する可変容量型アキシャルピストンポンプ(モータ)81であって、該可動斜板11の背面に凸状円弧面11xを、該可動斜板に対向配置したサポート部15内面に凹状円弧面15aをそれぞれ形成し、円弧状案内面90aを有するスラストメタル90を該凹状円弧面15aに固定し、該スラストメタル90の上記円弧状案内面90aに沿って可動斜板11の背面が摺動する構造であるものにおいて、上記スラストメタル90の円弧状案内面90aの頂部と、上記可動斜板11の背面の凸状円弧面11xの頂部との間に、間隙99を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転自在に支持されたポンプ軸と、該ポンプ軸の周囲に配置され該ポンプ軸と平行に往復動自在とされる複数のピストンと、該ピストンの頭部を接当させる可動斜板とを有する可変容量型アキシャルピストンポンプであって、該可動斜板の背面に凸状円弧面を形成し、該可動斜板に対向配置したサポート部に凹状円弧面を形成し、円弧状案内面を有するスラストメタルを該凹状円弧面に固定し、該スラストメタルの上記円弧状案内面に沿って可動斜板の背面が摺動する構造であるものにおいて、上記スラストメタルの円弧状案内面の頂部と、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部との間に、間隙を設けたことを特徴とする、可変容量型アキシャルピストンポンプ。
【請求項2】 請求項1記載の可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部を欠切して平面部を形設したことを特徴とする、可変容量型アキシャルピストンポンプ。
【請求項3】 請求項1記載の可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて、上記凸状円弧面の曲率半径を、上記スラストメタルの円弧状案内面の曲率半径よりも小さくしたことを特徴とする、可変容量型アキシャルピストンポンプ。
【請求項4】 回転自在に支持されたモータ軸と、該モータ軸の周囲に配置され該モータ軸と平行に往復動自在とされる複数のピストンと、該ピストンの頭部を接当させる可動斜板とを有する可変容量型アキシャルピストンモータであって、該可動斜板の背面に凸状円弧面を形成し、該可動斜板に対向配置したサポート部に凹状円弧面を形成し、円弧状案内面を有するスラストメタルを該凹状円弧面に固定し、該スラストメタルの上記円弧状案内面に沿って可動斜板の背面が摺動する構造であるものにおいて、上記スラストメタルの円弧状案内面の頂部と、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部との間に、間隙を設けたことを特徴とする、可変容量型アキシャルピストンモータ。
【請求項5】 請求項4記載の可変容量型アキシャルピストンモータにおいて、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部を欠切して平面部を形設したことを特徴とする、可変容量型アキシャルピストンモータ。
【請求項6】 請求項4記載の可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて、上記凸状円弧面の曲率半径を、上記スラストメタルの円弧状案内面の曲率半径よりも小さくしたことを特徴とする、可変容量型アキシャルピストンモータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変容量型アキシャルピストンポンプ及び可変容量型アキシャルピストンモータの構成に関する。詳細には、上記ポンプ及びモータにおいて、その容量を変更する可動斜板の背面に対向配置されるスラストメタルの損耗を低減するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アキシャルピストン型の油圧ポンプ又は油圧モータに関する技術は公知とされており、例えば実公昭61−28062号公報に開示される技術がある。この技術においては、アキシャルピストン型の油圧ポンプ又は油圧モータにおいて、可動斜板の背面には凸状円弧面が形成され、該可動斜板に対向配置したサポート部に凹状円弧面が形成され、円弧状案内面を有するスラストメタルを該凹状円弧面に固定して、該スラストメタルの円弧状案内面に沿って、可動斜板の背面が摺動する構成とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような従来の構成では、サポート部内面の上記凹状円弧面を精度良く形成できずに、大きい誤差を生じた場合は、上記可動斜板の凸状円弧面がスラストメタルの円弧状案内面と円弧面全体にて接触することができず、摺動抵抗が大きかったり、スラストメタルの損耗が早まって寿命が短くなる不都合があったのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】即ち、請求項1においては、回転自在に支持されたポンプ軸と、該ポンプ軸の周囲に配置され該ポンプ軸と平行に往復動自在とされる複数のピストンと、該ピストンの頭部を接当させる可動斜板とを有する可変容量型アキシャルピストンポンプであって、該可動斜板の背面に凸状円弧面を形成し、該可動斜板に対向配置したサポート部に凹状円弧面を形成し、円弧状案内面を有するスラストメタルを該凹状円弧面に固定し、該スラストメタルの上記円弧状案内面に沿って可動斜板の背面が摺動する構造であるものにおいて、上記スラストメタルの円弧状案内面の頂部と、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部との間に、間隙を設けたものである。
【0006】請求項2においては、請求項1記載の可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部を欠切して平面部を形設したものである。
【0007】請求項3においては、請求項1記載の可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて、上記凸状円弧面の曲率半径を、上記スラストメタルの円弧状案内面の曲率半径よりも小さくしたものである。
【0008】請求項4においては、回転自在に支持されたモータ軸と、該モータ軸の周囲に配置され該モータ軸と平行に往復動自在とされる複数のピストンと、該ピストンの頭部を接当させる可動斜板とを有する可変容量型アキシャルピストンモータであって、該可動斜板の背面に凸状円弧面を形成し、該可動斜板に対向配置したサポート部に凹状円弧面を形成し、円弧状案内面を有するスラストメタルを該凹状円弧面に固定し、該スラストメタルの上記円弧状案内面に沿って可動斜板の背面が摺動する構造であるものにおいて、上記スラストメタルの円弧状案内面の頂部と、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部との間に、間隙を設けたものである。
【0009】請求項5においては、請求項4記載の可変容量型アキシャルピストンモータにおいて、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部を欠切して平面部を形設したものである。
【0010】請求項6においては、請求項4記載の可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて、上記凸状円弧面の曲率半径を、上記スラストメタルの円弧状案内面の曲率半径よりも小さくしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明する。まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施例に係る可変容量型アキシャルピストンポンプを備えた車軸駆動装置について説明する。図1は本発明の一実施例に係る可変容量型のアキシャルピストンポンプを具備する車軸駆動装置の全体的な構成を示した平面図一部断面図である。また、図2は図1におけるA−A断面矢視図、図3は図1におけるB−B断面矢視図、図4は図1におけるC−C断面矢視図である。図5はアキシャルピストンポンプの可動斜板の構成を示す側面一部断面図である。
【0012】この車軸駆動装置のハウジング20は、ハウジングメンバである上部ハウジング1と下部ハウジング2の二者を、水平で平坦な周囲の接合面で互いに接合することにより構成される。そして該接合面において、後述するモータ軸4とカウンター軸26の軸受部が図1に示す如く設けられており、図示せぬ車輪に連結された車軸7・7は上記ハウジング20の接合面と平行で、かつ該接合面より上方へ図2に示す如く偏位させた位置にて回転自在に支持している。前記車軸7・7の各々は図1に示すデフギア装置23によって差動的に結合され、その両端がハウジングの左右外側壁から外方へ突出している。ハウジング20内部には内部壁8が形成されて、該内部壁8によりハウジング20内の空間が仕切られて、第一の部屋R1と第二の部屋R2を区画形成している。そして、該第一の部屋R1には本発明に係る可変容量型アキシャルピストンポンプ81を備えた静油圧式無段変速装置(以下「HST」)80が収納され、第二の部屋R2には、上記車軸7・7、並びに、上記モータ軸4から上記デフギア装置23へ動力を伝達する歯車列及びデフギア装置23とからなるドライブトレーンTが収納されている。上記内部壁8は図1に示すように、平面視において車軸7・7に沿うように長手方向に形成した左右部分と、該左右部分から前方へ湾曲されて直角に延伸した前後部分とによりなる。また、該内部壁8は図3・図4に示すように、上部ハウジング1の上壁内面から上記接合面に向けて垂下するように一体形設した壁部分と、下部ハウジング2の内底面から上記接合面に向けて立ち上げるように一体形設した壁部分とによりなり、上下の該壁部分の端面が上部ハウジング1と下部ハウジング2とを接合する際に同時に接合されて、ハウジング20内に独立した二つの部屋R1・R2を形成するようにしてある。
【0013】前記第一の部屋R1及び第二の部屋R2には潤滑油が充填されて、油溜まりを形成している。そして第一の部屋R1を構成する上部ハウジング1の壁面には図示せぬ油流通ポートを装着しており、該油流通ポートよりパイピング9(図4)を介して外部のリザーバタンク10と第一の部屋R1とを連通して、前記第一の部屋R1内の作動油の量を維持できるようにし、また、上記HST80の駆動によって油温が上昇して油の体積が増加しても、該増加分の油をリザーバタンク10へ流すことで調整できるようにしている。
【0014】前記第一の部屋R1と第二の部屋R2とを仕切る内部壁8の任意の部位には、油フィルタ18が配置される。本実施例ではこの油フィルタ18は、図1・図4に示すように、右側の車軸7と後述のセンタセクション5とに挟まれた部位であって、上下の上記壁部分の合わせ面の位置に配置しており、第一の部屋R1と第二の部屋R2との間で油が上記油フィルタ18を介して流通できるようにしている。従って、ハウジング20内の油は、上記HST80の作動油としての役割、及び、ギア・軸受部等を潤滑する役割を、同時に担うようになっている。
【0015】図1に示すように、前記第一の部屋R1はハウジング20内において車軸7・7の前方の位置であって、モータ軸4からデフギア装置23へ動力を伝達する歯車列の側方に配置される。そしてこの第一の部屋R1内には、HST80を構成するセンタセクション5が着脱自在に取り付けられている。該センタセクション5は図1に示すように、その長手方向が前後方向、即ち、車軸7・7に対して略垂直な向きに配設される。該センタセクション5前部の側部には垂直面を形成し、図4に示す如くこの垂直面にモータ付設面41を形成してここに油圧モータ82を配設する一方、後部には水平面を形成してこの水平面にポンプ付設面40を形成して、ここに本発明に係る可変容量型アキシャルピストンポンプである油圧ポンプ81を配設し、該ポンプ付設面40の中央にポンプ軸3を垂直に支持している。従って、油圧ポンプ81(及び上記ポンプ軸3)は図1に示す如く、平面視において油圧モータ82と車軸7の間に位置するように構成してある。
【0016】前記ポンプ付設面40には図3〜図5に示すようにシリンダブロック16が回転摺動自在に設置され、該シリンダブロック16の複数のシリンダ孔内にはピストン12・12・・・がそれぞれ嵌装されて、該ピストン12は上記ポンプ軸3と平行に往復動自在としている。また、上記シリンダブロック16の上方には可動斜板11が配置されて傾動自在とされ、該可動斜板11の底面にはスラストベアリング11aを設けている。そして、上記シリンダブロック16の複数のシリンダ孔内には上記ピストン12・12・・・を付勢する付勢バネが弾装され(図略)、該付勢バネの弾発力により上記ピストン12・12・・・の頭部が該スラストベアリング11aに接当するようにしている。そして、上記ポンプ軸3をシリンダブロック16の回転軸心上に配置して相対回転不能に係止することにより、可変容量型のアキシャルピストンポンプ81を構成しており、上記可動斜板11のピストン12・12・・・に対する接当面をシリンダブロック16の回転軸心に対して任意に傾動操作することで、油圧ポンプ81からの油の吐出量及び吐出方向を変更することができるように構成している。
【0017】上記前記ポンプ軸3の上端は上部ハウジング1の上壁から外方へ突出して、該突出部分には冷却ファン(図2〜図4の符号44に鎖線で略示)付きの入力プーリー43を固着して、該ポンプ軸3を該操向駆動装置の入力軸と兼用としている。該入力プーリー43には図示せぬベルト伝動機構を介して、図略の原動機からの動力が入力される。
【0018】図4・図5に示すように、上述の可動斜板11の背面は凸状の円弧面11xとし、上部ハウジング1の上壁内面に一体的に形設したサポート部15の内面は前記可動斜板11の凸状円弧面11xに合致する凹状円弧面15aとしている。この凹状円弧面15aには図3・図5に示す如くスラストメタル90を貼設しており、可動斜板11はその凸状円弧面11xをスラストメタル90の円弧状案内面90aに対して密着摺動させながら傾動する、いわゆるクレイドル型の可動斜板としている。尚、本実施例においてはサポート部15は上部ハウジング1に一体的に形設されているが、別途サポート部を構成してハウジングに取付固定する構成としても差し支えない。
【0019】この可動斜板11を傾動操作するために、上部ハウジング1においてデフギア装置23へ動力を伝達する歯車列と反対側の側壁にはコントロール軸35が車軸7と平行に回転自在に支持されている(図1〜図3)。該コントロール軸35の一端はハウジング20外に突出させてその端部にはコントロールアーム38の基端を固設する一方、コントロール軸35のハウジング内側の端部には揺動アーム39の基部を固定している。
【0020】該揺動アーム39は図2に破線で示す如く、コントロール軸35に固定される上記基部と、該基部から放射方向に延伸される第一アーム部39aと第二アーム部39bとにより構成され、該第二アーム部39bの先端には突起39cを設けている。一方、上記可動斜板11の側面には溝部11dを形成しており、該溝部11dに上記第二アーム部39bの突起39cを図1・図3に示す如く係合させている。ここで上記コントロール軸35は、その軸心を可動斜板11の傾動中心と一致するようにその位置を設定しているので、揺動アーム39がコントロール軸35回りに回動されて可動斜板11が傾動した場合でも、上記突起39cが該可動斜板11の溝部11dに係合する連結状態が維持されるようになっている。
【0021】また、前記コントロールアーム38は図2に示すように二本のアーム部、即ち第一アーム部38a及び第二アーム部38bを有する構成とされ、このうち第一アーム部38aは、車両に備えられたレバーやペダル等の図示せぬ変速操作具と、図示せぬリンク機構等を介して連係される。従って、オペレータが上記変速操作具を操作して前記コントロールアーム38を機体前後方向に沿って回動させると、コントロール軸35を介して揺動アーム39が前後方向に回動し、可動斜板11を傾動操作することができ、油圧ポンプの出力変更操作が行われるようにしている。
【0022】図1・図2に示すように、上記揺動アーム39の第一アーム部39aの先端には係合ピン39dを突設する一方、ハウジング20内の前記コントロール軸35上にブッシュ51を外嵌し、該ブッシュ51にはねじりコイルバネ状の中立戻しバネ31が更に外嵌され、該中立戻しバネ31のバネ線の両端は図2に示す如く、交差させながら前記第一アーム部39a方向へ延出して、該バネ線の端部は、コントロール軸35近傍の上部ハウジング1の内側壁に装着した偏心軸33と、前記係合ピン39dとを挟み込むように構成して、コントロールアーム38の中立復帰機構を構成している。
【0023】この中立復帰機構の作用を説明する。即ち、オペレータが上記変速操作具に対する操作力を解除している状態(中立状態)においては、上記揺動アーム39は、その第一アーム部39aの係合ピン39dが、上記コントロール軸35の軸心と上記偏心軸33とを結んだ線上にあるような図2に示す中立位置とされ、このとき上記可動斜板11は、ポンプ軸3の軸心に対して垂直である中立位置とされる。そしてこの状態からオペレータが上記変速操作具を操作することにより、コントロールアーム38が回動され、コントロール軸35を介して揺動アーム39が回動され、第二アーム部39b先端に連結された上記可動斜板11がポンプ軸3に対して傾動されるが、同時に第一アーム部39a先端の係合ピン39dにより、中立戻しバネ31の一端側が押動されて広げられる。一方、中立戻しバネ31の他端側は偏心軸33に当接され止められているので、上記係合ピン39dを介して上記揺動アーム39に中立復帰方向の付勢力が与えられるようになっている。従って、オペレータが上記変速操作具への操作力を解除すると、上記中立戻しバネ31の上記付勢力によって、揺動アーム39は中立位置へと復帰され、該揺動アーム39の第二アーム部39bに連結された可動斜板11も前記中立位置へと戻される。尚、上記偏心軸33は揺動アーム39及び可動斜板11の中立位置を規定するものであるが、該偏心軸33のハウジング外に延出した部分を回動する事により偏心軸33を任意に変位することができるようにしており、上記中立位置を正確に調整することができるようになっている。
【0024】また、前記コントロールアーム38は図2に示すように、前記の第一アーム部38aのほかに、ショックアブソーバ73を連結するための第二アーム部38bを有する。この第二アーム部38bは上記第一アーム部38aの中途部から延出されて、その先端はショックアブソーバ73の可動体と枢結され、該ショックアブソーバ73のケーシングは下部ハウジング2の車軸7・7収容部分の下面に固設した支持プレート74に枢着されている。このショックアブソーバ73はコントロールアーム38の急激な変速操作を防止するとともに、上記変速操作具の操作力を開放したときであっても、中立戻しバネ31の復元力によって可動斜板11が急激に中立方向に戻らないようにしており、いわゆるHSTブレーキの急激な発生を防止している。尚、このショックアブソーバ73は上部ハウジング1の右側壁側に沿って車軸7をまたぐように前寄りに適宜傾斜した状態に配置されてあり、車軸7の外方周辺のスペースを有効に活用して、装置をコンパクトなものにしている。
【0025】前記油圧ポンプ81から吐出された圧油はセンタセクション5内に形設された作動油循環回路を介して、前記油圧モータ82に送油される。この油圧モータ82は、センタセクション5の垂直面に形成した上記モータ付設面41(図4)に、シリンダブロック17を回転摺動自在に配置し、該シリンダブロック17の複数のシリンダ孔内に図略の付勢バネを介して複数のピストン13・13・・・が往復動自在に嵌装されている。そして、上部ハウジング1と下部ハウジング2との間に挟み込まれて固定される固定斜板37に、上記ピストン13・13・・・の頭部を接当させている。更に、シリンダブロック17の回転軸心上にモータ軸4を相対回転不能に係止して、モータ軸4はその軸心を略水平方向に向けて配置される。
【0026】図1に示すように、前記モータ軸4の一側の端部はセンタセクション5のモータ付設面41内の軸受孔に支持され、他側は前記内部壁8に設けた軸受76を介して支持され、その先端は第二の部屋R2内に延出されている。該軸受76はシール付きとして、更に外輪の外周面と内部壁8との間にはOリングを介設しており、第一の部屋R1の油と第二の部屋R2の油とが該軸受部分にて相互に流通するのを防止している。
【0027】次に、前記モータ軸4からデフギア装置23へ動力を伝達するドライブトレーンについて説明する。即ち、図1に示すように、上記モータ軸4が第二の部屋R2内に突出する部分上には入力ギア25が固着され、該モータ軸4と平行に配置されたカウンター軸26上に大径ギア24を相対回転自在に設け、該大径ギア24は上記入力ギア25に噛合されている。そして、上記カウンター軸26上に小径ギア21を相対回転不能に配置し、該小径ギア21は上記大径ギア24に嵌合固定して相対回転不能とし、更に該小径ギア21は、デフギア装置23の入力部を構成するリングギア22と常時噛合されている。この構成により、モータ軸4から出力された回転は、大径ギア24→小径ギア21→リングギア22と伝達されながら減速されたのち、デフギア装置23に入力され、車軸7・7を駆動する。
【0028】上記カウンター軸26は第二の部屋R2内に配置されて上記ポンプ軸3に垂直に向けられ、その一端はハウジング20の側壁に、上下のハウジング1・2の接合面の箇所にて支持され、その他端はハウジング20の内部壁8に、上下のハウジング1・2の接合面の箇所にて支持されている。また、前記リングギア22の外側方には前記カウンター軸26上の大径ギア24が可能な限り接近してオーバーラップするよう配置され、これによりハウジングの前後方向の長さを短くしている。
【0029】前記第二の部屋R2内に位置するモータ軸4の先端部分上にはブレーキディスク19が相対回転不能に固定されて、該ブレーキディスク19とハウジングの内部壁8に挟まれた部分には、該ブレーキディスク19に接触押圧する平面視門型の押圧体72、及び、該押圧体72を押動操作するためのカム部をその中途部に形設するブレーキコントロール軸14を配置している。
【0030】該ブレーキコントロール軸14は垂直方向に配置して上部ハウジング1及び下部ハウジング2に回動自在に支持され、該ブレーキコントロール軸の上端はハウジングより上方へ図2に示す如く突出させて、該突出部分にはブレーキコントロールアーム27の基端を固設している。一方ハウジング20内においては、ブレーキコントロール軸14の中途部は平面断面視略「D」字状となるよう図1の如く切欠して上記カム部を構成しており、該カム部には上記押圧体72が嵌合され、該押圧体72はハウジング20の内面にガイドされて、モータ軸4の軸心方向に摺動自在としている。そして、上記ブレーキコントロールアーム27は、車両に備えられたペダルやレバー等の図示せぬブレーキ操作手段と、図示せぬリンク機構等を介して連係される。
【0031】この構成により、オペレータが上記ブレーキ操作手段を操作し、該ブレーキコントロールアーム27を回動操作すると、ブレーキコントロール軸14が回動されてカム部を介して押圧体72を押動してブレーキディスク19に接触押圧させることにより、モータ軸4を摩擦制動できるように構成している。
【0032】また、上記油圧ポンプ及び油圧モータの油漏れによる作動油の減少を解消するために、センタセクションの下面側には図3に示すようにチャージポンプ45を設けており、該チャージポンプ45は上記油圧ポンプのポンプ軸3により駆動される構成としている。このチャージポンプ45の構成について説明する。即ち、センタセクション5の下面から突出されるポンプ軸3の下端にインナーロータを相対回転不能に係止し、該インナーロータにアウターロータを偏心させながら噛合させ、該インナーロータ及びアウターロータを収納するポンプケース46をセンタセクション5の下面に密着させている。更に、該ポンプケース46と下部ハウジング2の内底面との間に付勢バネ47が弾装され、ポンプケース46を上方へ常時付勢しており、この付勢バネは、チャージポンプ45から吐出される油の圧力を規定値以下に維持するリリーフ弁の役割を果たしている。このチャージポンプ45の吐出ポートは、上記油圧ポンプ81と油圧モータ82とを流体的に結合すべくセンタセクション5内に形設された上記作動油循環回路に、油補給時にのみ開く図示せぬチェックバルブを介して接続され、該作動油循環回路に圧油を供給できるようにしている。
【0033】上記チャージポンプ45のポンプケース46を囲むように、センタセクション5の下面と下部ハウジング2の内底面との間には円環状のフィルタ56が配設され、チャージポンプ45に吸入される作動油を濾過するようにしている。また、センタセクション5下面と下部ハウジング2の内底面の間にはホルダ95を介してマグネットフィルタ96が立設配置され、作動油内に混入される鉄粉等を、該作動油が上記フィルタ56を通過する前に吸着して除去できるようにしている。
【0034】次に、本発明の要部である、上記可変容量型アキシャルピストンポンプ81の可動斜板11の構成について説明する。図6は従来の構成において、スラストメタルの円弧状案内面に可動斜板背面の凸状円弧面が接触する様子を示した図、図7は本発明の構成において、スラストメタルの円弧状案内面に可動斜板背面の凸状円弧面が接触する様子を示した図である。また、図8は可動斜板の凸状円弧面の形状の他の例を示した図である。
【0035】即ち、本実施例においては、該可動斜板11の背面に前述のように形成される凸状円弧面11xの頂上部を、図5に示す如く一部欠切して平面部11yを形設しており、該平面部11yと前述のスラストメタル90の円弧状案内面90a頂部との間に間隙99を形成しているのである。
【0036】この構成の作用を、図を比較参照しながら説明する。まず、サポート部15内面の凹状円弧面15aの誤差が大きく、該凹状円弧面15aの精度が出ず、スラストメタル90の円弧状案内面90aに微小の凸部分が形成されている場合を考える。この場合、可動斜板11背面頂部に平面部11yを設けない従来の構成では、該円弧状案内面90aの頂部近傍にある上記微小凸部分(図6に示すA)の一点のみにて、スラストメタル90の円弧状案内面90aと可動斜板11の凸状円弧面11xが接触摺動することとなる。従って、上述の付勢バネの弾発力によりピストン12・12・・・が可動斜板11をサポート部15側へ押圧する力Fが該微小凸部分Aのみに集中して作用し、該微小凸部分Aにおいて大きい摩擦が発生するので、スラストメタル90の損耗を早めることとなるのである。
【0037】これに対し、図7に示す本発明の構成では、可動斜板11背面の凸状円弧面11xの頂部を欠切して平面部11yを形設してあり、スラストメタル90の円弧状案内面90aとの間に間隙99を形成している。従って、スラストメタル90の円弧状案内面90aの頂部付近にある微小の凸部分Aが可動斜板11の凸状円弧面11xに接触摺動することはない。従って、この場合は図7に示す如く、可動斜板11背面の該平面部11y形設部分以外の円弧面(平面部11yの両脇にある円弧面)11xに、スラストメタル90の円弧状案内面90aの上記円弧面11xに対応した部位にある微小の凸部分が当接した状態で摺動することとなる。ここで可動斜板11はピストンの付勢バネにより常時上方向(上記ポンプ軸3と平行方向)に付勢されているため、そのバランス上、可動斜板11背面の平面部11yの両側の円弧面11x・11xに、それぞれ微小の凸部分(図7においてはB・C)が当接した状態となるのである。上述のように接触部分が少なくとも二箇所以上となるから、付勢バネの弾発力によりピストン12・12・・・が可動斜板11をサポート部15側へ押圧する力は、該接触箇所に分散されて作用するので(F' ・F' )、摩擦力が分散され、スラストメタル90の摩耗を緩和できることとなるのである。
【0038】尚、上述の構成では、可動斜板11背面の凸状円弧面11x頂部に平面部11yを形設する構成としているが、例えば、凸状円弧面11x頂部に断面「V」字状の溝を欠切したりする構成でも、スラストメタル90の円弧状案内面90aとの間に間隙を設ける構成とすることが可能であるので、上述の構成に限るものではない。また、可動斜板11背面の凸状円弧面11x頂部に平面部11yを設ける構成とする代わりに、図8に示す如く凸状円弧面11x' の曲率半径rを、上記スラストメタル90の円弧状案内面90aの曲率半径Rよりも大きくするように構成しても(r>R)、上記と同様にスラストメタル90の円弧状案内面90a頂部と可動斜板11の凸状円弧面11x頂部との間に間隙99が形成され、スラストメタル90と可動斜板11の相互接触部分が二箇所以上(図8においてはD・Eの二箇所)となるため、スラストメタル90の損耗を低減することができる。この場合において、可動斜板11背面の凸状円弧面11x' をその頂部Tを境に二つの円弧部分11L・11Rに分けて、一側の円弧部分11Lの円弧中心OLと、他側の円弧部分の円弧中心ORとを一致させず、図8に示す如く両円弧中心OL・ORを適宜距離だけ離間させるような形状とすることもでき、上記凸状円弧面11x' をこのような形状とすることで、上記間隙99の量や、スラストメタル90と可動斜板11の接触個所の位置を適宜調整することができるので良好である。
【0039】以上に本発明の実施例を説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。特に、本実施例においては可変容量型アキシャルピストンポンプについてのみ説明しているが、まったく同様の構成を可変容量型アキシャルピストンモータに適用することもでき、同等の効果を奏することが可能であるので、本発明の技術的範囲を油圧ポンプに係るものに限定するものではない。
【0040】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0041】即ち、請求項1に示す如く、回転自在に支持されたポンプ軸と、該ポンプ軸の周囲に配置され該ポンプ軸と平行に往復動自在とされる複数のピストンと、該ピストンの頭部を接当させる可動斜板とを有する可変容量型アキシャルピストンポンプであって、該可動斜板の背面に凸状円弧面を形成し、該可動斜板に対向配置したサポート部に凹状円弧面を形成し、円弧状案内面を有するスラストメタルを該凹状円弧面に固定し、該スラストメタルの上記円弧状案内面に沿って可動斜板の背面が摺動する構造であるものにおいて、上記スラストメタルの円弧状案内面の頂部と、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部との間に、間隙を設けたので、サポート部の凹状円弧面の誤差が大きく、スラストメタルの円弧状案内面の精度が出ていない場合でも、可動斜板の背面が少なくとも二点以上でスラストメタルの円弧状案内面に接触して摺動することとなり、摺動時に摩擦力がスラストメタルの一点に集中して加わるのを防止できるから、スラストメタルの摩耗の進行を遅延させることができ、結果としてスラストメタルの寿命を長くできる。
【0042】請求項2に示す如く、請求項1記載の可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部を欠切して平面部を形設したので、上記請求項1記載の効果を、可動斜板の凸状円弧面の頂部を欠設する簡単な構成で達成できることとなる。
【0043】請求項3に示す如く、請求項1記載の可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて、上記凸状円弧面の曲率半径を、上記スラストメタルの円弧状案内面の曲率半径よりも小さくしたので、請求項1記載の効果と同様に、可動斜板の背面が少なくとも二点以上でスラストメタルの円弧状案内面に接触して摺動することとなり、摩擦力が一点に集中して加わるのを防止できるから、スラストメタルの摩耗の進行を遅延させることができ、結果としてスラストメタルの寿命を長くすることができる。
【0044】請求項4に示す如く、回転自在に支持されたモータ軸と、該モータ軸の周囲に配置され該モータ軸と平行に往復動自在とされる複数のピストンと、該ピストンの頭部を接当させる可動斜板とを有する可変容量型アキシャルピストンモータであって、該可動斜板の背面に凸状円弧面を形成し、該可動斜板に対向配置したサポート部に凹状円弧面を形成し、円弧状案内面を有するスラストメタルを該凹状円弧面に固定し、該スラストメタルの上記円弧状案内面に沿って可動斜板の背面が摺動する構造であるものにおいて、上記スラストメタルの円弧状案内面の頂部と、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部との間に、間隙を設けたので、サポート部の凹状円弧面の誤差が大きく、スラストメタルの円弧状案内面の精度が出ていない場合でも、可動斜板の背面が少なくとも二点以上でスラストメタルの円弧状案内面に接触して摺動することとなり、摺動時に摩擦力がスラストメタルの一点に集中して加わるのを防止できるから、スラストメタルの摩耗の進行を遅延させることができ、結果としてスラストメタルの寿命を長くできる。
【0045】請求項5に示す如く、請求項4記載の可変容量型アキシャルピストンモータにおいて、上記可動斜板の背面の凸状円弧面の頂部を欠切して平面部を形設したので、上記請求項4記載の効果を、可動斜板の凸状円弧面の頂部を欠設する簡単な構成で達成できることとなる。
【0046】請求項6に示す如く、請求項4記載の可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて、上記凸状円弧面の曲率半径を、上記スラストメタルの円弧状案内面の曲率半径よりも小さくしたので、請求項4記載の効果と同様に、可動斜板の背面が少なくとも二点以上でスラストメタルの円弧状案内面に接触して摺動することとなり、摩擦力が一点に集中して加わるのを防止できるから、スラストメタルの摩耗の進行を遅延させることができ、結果としてスラストメタルの寿命を長くすることができる。
【出願人】 【識別番号】000125853
【氏名又は名称】株式会社 神崎高級工機製作所
【出願日】 平成11年11月9日(1999.11.9)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2001−132619(P2001−132619A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−318205