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【発明の名称】 小動物を使用した発電システム
【発明者】 【氏名】加藤 学

【要約】 【課題】どの場所にも安価に設置できるとともに、維持費が安く、地球環境にやさしい発電システムの提供。

【解決手段】回転輪1は、所定距離(5cm〜15cm)隔てて対向する円形の周縁枠11,12と、周縁枠間を連結する踏板10と、周縁枠12の中心に位置するボス部13と、ボス部と周縁枠とを放射状に連結する複数のリブ14と、ボス部に連結され、飼育室6の壁61にベアリング62で回動自在に支持される回転軸15とを備える。モルモット63が踏板10を跨ぐ運動により回転輪1が回転する。発電機2は、小さい回転トルクで回転軸21が回転する小さな交流発電機であり、ベルト駆動によって小プーリ22および回転軸21が回転すると交流電力を発電する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中に入った小動物の運動により回転する回転輪と、該回転輪により駆動されて発電を行う発電機とを複数個設け、各発電機が発電する電力を直接、又は電力合成手段により合成して利用する、小動物を使用した発電システム。
【請求項2】 前記回転輪の回転を回転数変更手段を介して前記発電機に伝達する請求項1記載の小動物を使用した発電システム。
【請求項3】 前記発電機の発電機能を前記回転輪に組み込んだ、請求項1記載の小動物を使用した発電システム。
【請求項4】 前記発電機は、交流発電機である、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の小動物を使用した発電システム。
【請求項5】 上記複数の小動物を二組に分け、各組における前記小動物の周囲の環境を、前記小動物が運動するのに適した状態と、休息や餌の摂取に適した状態とに所定時間毎に切り替えることを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の小動物を使用した発電システム。
【請求項6】 前記小動物の所定時間毎の発電量を計測し、発電量が少ない場合には、与える餌の量を減らして発電量を維持することを特徴とする、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の小動物を使用した発電システム。
【請求項7】 上記請求項1乃至請求項6の何れかに記載の、小動物を利用した発電システムによって得られた電力を、充電手段に蓄えるか、溶液の電気分解に使って発生する気体を溜めるか、または運動エネルギーや位置エネルギーに変換して蓄えることを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小動物を使用した発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、下記に示す発電システムが知られている。ダムに貯水した水の位置エネルギーを利用する水力発電。石油や天然ガス等の化石燃料の燃焼エネルギーを利用する火力発電。核分裂反応を利用する原子力発電。風を利用した風力発電。地熱を利用した地熱発電。太陽光を利用した太陽光発電。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の発電システムは、以下の課題を有する。水力発電は、巨額の工事費がかかるとともに、周辺地域が水没する。火力発電は、大気汚染やオゾン層の破壊を招く。原子力発電は、被爆事故の危険性が有り、放射能廃棄物が排出される。風力発電や地熱発電は、発電所を建設可能な場所が限られる。太陽光発電は、夜間に発電ができない。
【0004】本発明の目的は、どの場所にも安価に設置できるとともに、維持費が安く、地球環境にやさしい発電システムの提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、下記構成を採用した。
(1)小動物を使用した発電システムは、中に入った小動物の運動により回転する回転輪と、該回転輪により駆動されて発電を行う発電機とを複数個設け、各発電機が発電する電力を直接、又は電力合成手段により合成して利用する。
【0006】(2)小動物を使用した発電システムは、上記(1)の構成を有し、前記回転輪の回転を回転数変更手段を介して前記発電機に伝達する。
【0007】(3)小動物を使用した発電システムは、上記(1)の構成を有し、前記発電機の発電機能を前記回転輪に組み込んでいる。
【0008】(4)小動物を使用した発電システムは、上記(1)〜(3)の構成を有し、前記発電機は交流発電機である。
【0009】(5)小動物を使用した発電システムは、上記(1)〜(4)の構成を有し、上記複数の小動物を二組に分け、各組における前記小動物の周囲の環境を、前記小動物が運動するのに適した状態と、休息や餌の摂取に適した状態とに所定時間毎に切り替える。
【0010】(6)小動物を使用した発電システムは、上記(1)〜(5)の構成を有し、前記小動物の所定時間毎の発電量を計測し、発電量が少ない場合には、与える餌の量を減らして発電量を維持する。
【0011】(7)エネルギー貯蔵システムは、上記(1)〜(6)の小動物を使用した発電システムによって得られた電力を、充電手段に蓄えるか、溶液の電気分解に使って発生する気体を溜めるか、または運動エネルギーや位置エネルギーに変換して蓄える。
【0012】
【作用効果】[請求項1について]回転輪は、回転輪の中に入った小動物(ハムスター、モルモット、鼠、リス等)の運動(回転輪内を走ること)により回転する。この回転輪に発電機が接続されているので、発電機が駆動されて回転し、発電する。
【0013】各発電機が発電する電力を直接、又は電力合成手段により合成して利用する。小動物を使用した発電システムは、地球環境にやさしい。各発電機が発電する電力を電力合成手段により合成して利用する場合には、比較的安定した電力が得られる。
【0014】[請求項2について]小動物を使用した発電システムは、回転輪の回転を回転数変更手段を介して発電機に伝達する構成である。これにより、発電機が発電するのに適した、回転数や回転トルクが得られ、効率良く発電が行える。
【0015】[請求項3について]小動物を使用した発電システムは、発電機の発電機能を回転輪に組み込んでいる。このため、発電効率を高めることができる。
【0016】[請求項4について]小動物を使用した発電システムの発電機は、交流発電機である。このため、小動物の気まぐれにより、回転輪の回転方向が変わって発電機の回転方向が変わっても、極性が逆転せず、発電した電力を有効に利用することができる。
【0017】[請求項5について]上記複数の小動物を二組に分け、各組における小動物の周囲の環境を、小動物が運動するのに適した状態と、休息や餌の摂取に適した状態とに所定時間毎に切り替えている。このため、小動物を使用した発電システムは、24時間、フル稼働で発電を行うことができる。
【0018】[請求項6について]ハムスター、モルモット、鼠、リス等の小動物は、餌の量が多い程、所定時間内の運動量が少なくなる特性を有する。このため、小動物の所定時間毎の発電量を計測し、発電量が少なく(運動量が少ない)規定量に達しない場合には、与える餌の量を減らして運動量を増やし、発電量を維持する。また、上記の小動物は学習能力に優れ、一旦、記憶した行動パターンを繰り返す習性があるので、これを利用して、延べ回転数が一定量以上になった時点、または延べ運動時間が所定時間以上になった時点で、給餌を行う構成を採用しても良い。
【0019】[請求項7について]エネルギー貯蔵システムは、小動物を使用した発電システムによって得られた電力を、充電手段に蓄えるか、溶液の電気分解に使って発生する気体を溜めるか、運動エネルギーや位置エネルギーに変換して蓄える。電力を運動エネルギーに変換して効率良く貯蔵する例として、例えば、現在実用化が研究されている超電導システムを利用したフライホイール等に、運動エネルギーとして貯蔵することが考えられる。これらの方法により、小動物を利用した発電システムによって得られた電力を効率良く貯蔵することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の第1実施例(請求項1、2、4、7に対応)を図1に基づいて説明する。発電システムAは、60基の回転輪1と、回転輪1に接続された60基の発電機2と、各発電機2の電力を加算する電力合成器3と、バッテリ4と、バッテリ4を充電するための充電回路5とを備える。
【0021】回転輪1は、所定距離(5cm〜15cm)隔てて対向する円形の周縁枠11、12と、周縁枠11、12間を連結する踏板10と、周縁枠12の中心に位置するボス部13と、ボス部13と周縁枠12とを放射状に連結する複数のリブ14と、ボス部13に連結され、飼育室6の壁61にベアリング62で回動自在に支持される回転軸15とを備える。回転軸15の末端には大プーリ151が取り付けられている。この回転輪1の周縁枠11側は開口しているので、モルモット63が自由に回転輪1内に入ることができ、モルモット63が踏板10を跨ぐ運動により回転輪1が回転する。
【0022】本実施例では、モルモット63を60匹にしている。これらのモルモット63は、60基の回転輪1を設置した運動エリアと、休息や餌を摂取するための集団住居エリアとを自由に往来し、主に夜間に発電を行う。
【0023】発電機2は、小さい回転トルクで回転軸21が回転する小さな交流発電機であり、ベルト駆動によって小プーリ22および回転軸21が回転すると交流電力を発電する。
【0024】電力合成器3は、複数の発電機2が出力する交流電力を加算して合成する回路である。充電回路5は、電力合成器3が出力する加算された電力を用いてバッテリ4を充電する回路である。
【0025】本実施例の発電システムAは、モルモット63が運動を行う夜間(夜9時〜午前5時)において、常時、約20匹のモルモット63が発電に寄与し、20w/hの電力を発電することができた。この発電システムAは、何処にも安価に設置でき、維持費が安く、地球環境にやさしいという利点がある。
【0026】つぎに、本発明の第2実施例(請求項1、2、4、7に対応)を図2に基づいて説明する。発電システムBは、発電機能を有する120基の発電回転輪7と、発電回転輪7の発電電力を加算する電力合成器3と、バッテリ4と、バッテリ4を充電するための充電回路5とを備える。なお、昼間は、複数のソーラーパネル41が発電した電力によりバッテリ4を充電している。また、小動物として、120匹のハムスター64を使用している。
【0027】発電回転輪7は、ハムスター64が跨ぐ各踏板71の外側に永久磁石72を配設し、円筒状のケーシング73で回転する部分を包囲してなる。そして、鉄心74に巻回したコイル75を、永久磁石72と対向する様にケーシング内73に配設している。
【0028】この発電回転輪7の一端側は開口しているので、ハムスター64が自由に発電回転輪7内に入ることができ、ハムスター64が踏板71を跨ぐ運動により発電回転輪7が回転し交流電力を出力する。そして、稼働中の発電回転輪7が出力する交流電力を電力合成器3が加算して合成する。
【0029】なお、昼間はハムスター64が発電回転輪7を回さないので、本実施例では、複数のソーラーパネル41を使用して太陽光発電を行い、昼間にもバッテリ4を充電している。
【0030】本実施例の発電システムBは、ハムスター64が運動を行う夜間(夜9時〜午前5時)において、常時、約40匹のハムスター64が発電に寄与し、50w/hの電力を発電することができた。また、昼間は、ソーラーパネル41により、60w/hの電力を発電することができた。
【0031】この発電システムBは、何処にも安価に設置でき、維持費が安く、地球環境にやさしいという利点がある。また、24時間の発電が可能である。
【0032】つぎに、本発明の第3実施例(請求項1、3、4、7に対応)を図3に基づいて説明する。発電システムCは、発電システムBと同様の発電回転輪7を120基使用している。また、小動物として、交配や遺伝子技術等を利用して体力を強化した120匹のマウスを使用している。
【0033】81は整流器であり、発電回転輪7が発電する交流電流を整流するために設けられている。水槽82内には、30%のKOH水溶液83が入れられ、正極84(Ni)、負極85(Fe)が配設されている。なお、水槽82および整流器81は、それぞれ、120基設けられている。
【0034】マウスの運動により発電回転輪7が回転すると、交流電力が発電し、整流器81で直流にされ、水槽82内の水を電気分解する。断続的に行われる水の電気分解により、正極84側で酸素が発生し、負極85側で水素が発生する。
【0035】そして、各水槽82で発生した酸素および水素をボンベ91、92に蓄え、燃料電池9の酸化剤および燃料にしている。燃料電池9は、電解液(KOH水溶液)93、多孔質電極94、95、およびガス室96、97を有し、H2 +(1/2)O2 →H2 Oの反応により、直流の電力を安定して発生する。
【0036】この発電システムCは、電力合成器3が不要であり、且つ、酸素および水素がボンベ91、92に蓄えられているので、24時間、発電を行うことができる。また、地球環境にやさしい。
【0037】本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
a.第1実施例や第2実施例において、複数の小動物を二組に分け、各組における小動物の周囲の環境を、小動物が運動するのに適した状態(暗い状態)と、休息や餌の摂取に適した状態(明るい状態)とに所定時間毎に切り替える様にしても良い。具体的には、暗幕で覆ったり、照明を点灯させる(請求項5に対応)。また、分ける組数は三組以上であっても良い。例えば、複数の小動物を三組に分け、三交代で運動させても良い。
【0038】b.第1、2、3実施例において、小動物の運動時間内(夜間)の発電量を計測し、発電量が少ない場合には、休息時間(昼間)に与える餌の量を減らして発電量を維持する様にしても良い(請求項6に対応)。
【0039】c.小動物の飼育を管理する職員の数を減らすため、餌や水の自動給仕や排泄物の処理を自動で行うのが望ましい。
d.発電した電力は、発電所内で使用しても良く、売電しても良い。
e.発電機は、直流発電機であっても良いが、この場合には、回転輪が一方向にしか回らない様にするか、ダイオードを使うか、一方向側回転の場合にのみ発電機の回転軸が駆動される一方向クラッチを使用する必要がある。
【0040】f.一台の発電機を複数の回転輪の回転力で駆動する様にしても良い。但し、この場合には、回転輪が所定方向に回る状態でのみ回転輪から回転トルクが発電機側に伝達する構成にする必要がある。
【0041】g.比較的大きなトルクで回転する発電機2の場合には、回転軸21に大プーリを配設し、回転軸15に小プーリを配設しても良い。
h.回転輪から発電機への回転力の伝達は、ベルト駆動以外に、ギヤ等を介して行っても良い。
【出願人】 【識別番号】596013143
【氏名又は名称】加藤電機株式会社
【出願日】 平成12年6月9日(2000.6.9)
【代理人】 【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【公開番号】 特開2001−355567(P2001−355567A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−173658(P2000−173658)