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【発明の名称】 地熱発電装置
【発明者】 【氏名】古栃 一夫

【要約】 【課題】発電効率が良好であって、自然条件に左右されなく安定して電力を供給できる地熱発電装置を提供する。

【解決手段】上昇管を共通とし下降管をそれぞれ備えてなる熱水の循環系統と低沸点媒体の循環系統とを地下に埋設し、地上において、上昇管中に低沸点液体が気化した気泡と、気泡に随伴して揚水された熱水とを分ける分離装置を両循環系統の共通部中に設けるほか、分離された低沸点気体の液化装置を低沸点媒体の循環系統中に設け、熱水の下降管の中途に、熱水の落下により回転するタービンを設け、タービンの回転力により発電する地熱発電装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上昇管を共通とし下降管をそれぞれ備えてなる熱水の循環系統と低沸点媒体の循環系統とを地下に埋設し、地上において、上昇管中に低沸点液体が気化した気泡と、気泡に随伴して揚水された熱水とを分ける分離装置を両循環系統の共通部中に設けるほか、分離された低沸点気体の液化装置を低沸点媒体の循環系統中に設け、熱水の下降管の中途に、熱水の落下により回転するタービンを設け、タービンの回転力により発電するように構成したことを特徴とする地熱発電装置。
【請求項2】 液化装置について、それと分離装置との間に、低沸点気体の圧力により回転するタービンを設け、タービンの回転力を液化に要する動力源としたことを特徴とする請求項1記載の地熱発電装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、火山地帯に設置される低沸点媒体を利用した地熱発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自然エネルギーの利用のうちでも、風力や太陽熱に比べると、地熱が変化なく比較的一定に得られやすい。しかも、日本は火山の分布が非常に多いことから、地熱発電が実施され、あるいはその提案が種々なされている。
【0003】現在実施されている地熱発電は、水を地熱により気化させて水蒸気圧によってタービンを回転させて電力を得るものであるが、水を気化させる高温と共に多大な地熱エネルギーを要することから、余程恵まれた火山環境でない限り、恒常的な運転が保障されないため、フロリーナート等の低沸点媒体を利用する地熱発電装置が提案されている(特開昭58−5485号公報)。
【0004】同公報記載の地熱発電装置は、図4に示すように、低沸点媒体液を供給管50により地下熱水層51に送り込んで、熱水により揚水管52の中で気化させ、その気泡を揚水管中に熱水を随伴させながら上昇することにより、気体の圧力を保たせ、地上によりその圧力でタービンを回転させ電気エネルギーに変換させるもので、地上に揚水された熱水は気泡と分離され下降管55により地下に戻される。また、気化した低沸点媒体は、仕事が終ってから冷却装置56により液化され、再度供給管50により地下に気泡発生のため供給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の地熱発電装置によれば、地熱により気化した低沸点媒体を回収後に再度利用することから、冷却装置により液化させるために、自然の冷媒を用いることができないならば、過大なエネルギー(主にコンプレッサーの運転電力)を要し、差引き期待する電力量が得られないという問題がある。ちなみに、この液化エネルギーを、例えば、風力、太陽熱で得ようとすれば自然条件に左右されるし、雪や水の冷媒を利用しようとすれば、火山地形上の条件からそれが困難な場合が多い。
【0006】この発明は、上記のような実情に鑑みて、発電効率が良好であって、自然条件に左右されなく安定して電力を供給できる地熱発電装置を提供することを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、この発明は、上昇管を共通とし下降管をそれぞれ備えてなる熱水の循環系統と低沸点媒体の循環系統とを地下に埋設し、地上において、上昇管中に低沸点液体が気化した気泡と、気泡に随伴して揚水された熱水とを分ける分離装置を両循環系統の共通部中に設けるほか、分離された低沸点気体の液化装置を低沸点媒体の循環系統中に設け、熱水の下降管の中途に、熱水の落下により回転するタービンを設け、タービンの回転力により発電する地熱発電装置を構成した。
【0008】上記の構成によれば、上昇管中を気泡と共に揚水された熱水は、分離装置を経て下降管に落下させ、その落差に伴うタービンの回転力により電力を得るものであるから、効率的に大きな電力が一定して得られる。また、分離装置から分離された低沸点気体の液化については、後記するように環境条件によって、液化装置の形態に様々の方式を採ることができるため、得られた電力を差引きすることなくそのままの量で送電できる。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明において、低沸点媒体とは、水の沸点よりも極低い温度で気化する液体であって、これには例えば常温近辺の温度(5〜30℃)で沸騰するフッ素化合物としてのフロリナートを好適に使用することができる。また、低沸点液体の液化には、大気、積雪、川水等の自然条件を利用できれば、液化装置11はその利用形態を採ることが望ましい。しかし、困難であれば、請求項2や後記実施例に示すように、気化圧力を利用する。また、これだけで不足する場合には自然条件と併用することもできる。
【0010】また、地熱の循環系統1と低沸点媒体の循環系統2は、それぞれ配管により連続する形態(図1)と、火山の地下水としての熱水層25を取り込む形態(図3)とがある。発電規模や火山地形的条件、使用目的等によりいずれの選定も可能である。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、低沸点媒体の気泡の上昇に随伴させて揚水した熱水を落下させて、水の位置エネルギーを電力に変換するものであるため、変換効率が良好であって、自然条件に関係なく安定して各種用途に必要な電力を供給できるという優れた効果がある。
【0012】
【実施例】次に、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0013】図1および図2は、山小屋Hや一般家庭等の消費電力を賄える程度の小規模地熱発電装置Paを示したもので、熱水の循環系統1と、低沸点媒体の循環系統2とを並列させ、その並列につき上昇管3を共通にさせ、地下において熱水の下降管5に発電器7のタービン8を設け、地上において熱水と低沸点気体6bとの分離装置9や液化装置11等が装備される。
【0014】熱水の循環系統1は、上昇管3と下降管5との間に地下の連結管12と地上の分離装置9とを介在して構成されるもので、地下の縦寸法が約3mであって、地下2m程度の箇所にタービン8が内装される。また、そのタービン8の回転軸13が地上に出され、地上に発電器7が設けられる。なお、下降管5中の水位Lは、上昇管3中の熱水の上昇を助ける役目を果たす。
【0015】低沸点媒体の循環系統2は、地下では下降管15から上昇管3への導入管17を設け、地上では分離装置9から液化装置11への圧気管19を設けてある。そして、圧気管19の中にタービン18を設けることにより、その動力を液化装置11の駆動源としてある。21が動力伝達軸を示す。
【0016】液化装置11により液化された低沸点液体6aは、下降管5を流下して熱水の循環系統1の下端に注入されると、それまでに地熱により加熱されているので、上昇管3の熱水中を気泡となって上昇しそれからも熱を受けて気泡を増大させながら、熱水を随伴させて分離装置9に至り、そこで分離された熱水は下降管5中に落下してタービン8を回転させ、これで発電器7により電力が得られ、その電力が送電線23を伝って小屋Hに供給される。
【0017】図3は、地下の熱水層25に至るまで配管する大規模な地熱発電装置Pbを示したもので、前記実施例とは基本的には同じであるが、熱水の循環系統1と低沸点媒体の循環系統2とがそれぞれその熱水層25を一部として取り込んでいる違いがある。また、熱水の下降管5の上端には、貯水池27を設け、ここに一旦溜めてから落下させるようにして安定して電力が得られるようにしてある。さらに、下降管5が挿入されるケーシング29の中に発電器7が内装される。また、別途ケーシング30には上昇管3と低沸点液体6aの下降管15とが共に挿入されている。
【出願人】 【識別番号】399077858
【氏名又は名称】古栃 一夫
【出願日】 平成12年6月15日(2000.6.15)
【代理人】 【識別番号】100083127
【弁理士】
【氏名又は名称】恒田 勇
【公開番号】 特開2001−355566(P2001−355566A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−179327(P2000−179327)