トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F03 液体用機械または機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 風力発電用風車体
【発明者】 【氏名】石井 元悦

【要約】 【課題】風車体自体の安定性を確保しつつ、建設し易い簡便な構造の風車支持構造を有する風力発電用風車体を提供する。

【解決手段】風車を旋回可能に支持する風車支持部を備える風力発電用風車体であって、この風車支持部は、所定面積の多角形断面を備えた、所定重量の平盤状の基礎と、この平盤状の基礎に各脚の下端部が固定され、各脚の上端部が上方に集束して、全体として上向きに先細形状をなす複数の脚構造体とを有することを特徴とする風力発電用風車体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 風車を旋回可能に支持する風車支持部を備える風力発電用風車体であって、この風車支持部は、所定面積の多角形断面を備えた、所定重量の平盤状の基礎と、この平盤状の基礎に各脚の下端部が固定され、各脚の上端部が上方に集束して、全体として上向きに先細形状をなす複数の脚構造体とを有することを特徴とする風力発電用風車体。
【請求項2】 さらに、前記基礎の下面から突設するアンカー部材を有する請求項1に記載の風力発電用風車体。
【請求項3】 前記多角形断面は、三角形であり、前記複数の脚構造体は、その各脚の下端部が、この三角形の各頂点近傍に固定された三脚構造体である請求項1に記載の風力発電用風車体。
【請求項4】 前記多角形断面は、四角形であり、前記複数の脚構造体は、その各脚の下端部が、この四角形の各頂点近傍に固定された四脚構造体である請求項1に記載の風力発電用風車体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風力発電用風車体に関し、特に沿岸水域に設置される風力発電用風車体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、風力発電用風車体が、建設され、風力により風車を回転させ、風車に連結された発電機により発電が行われている。特に、このような風力発電用風車体は、風に恵まれた沿岸水域に設置されるようになった。図9乃至図11は、沿岸水域において一般的に用いられている風車発電用風車を示す。図9乃至図11において、風車発電用風車体100はいずれも、円周方向等角度間隔の3基の風車110を旋回可能に支持する風車支持部120を有する。風車110は、風向きに応じて風に向かう方向に向くように制御され、内蔵する発電機(図示せず)を回転させる。図9ないし図11において、この風車支持部120は、それぞれ異なる。
【0003】図9における風車支持部120は、水底130の地盤に打込んだ所要長さ及び径のパイル基礎140とし、同パイル基礎140上にポスト150を立設し、上端に風車110を支持するように支持構造を構成している。
【0004】図10の風車支持部120は、水底130の地盤に埋込んで水面160上まで立上がる所要面積のコンクリート基礎170を形成し、このコンクリート基礎170上にポスト150を立設して風車110を支持するよう支持構造を構成している。
【0005】また、図11の風車支持構造120は、水底130の地盤に打込んだ複数の鋼管杭180を支持脚として水面160上に達する基礎架台190を設け、この基礎架台190上にポスト150を立設して風車110を支持するように支持構造を構成している。
【0006】このような風車支持構造によれば、風力による転倒モーメント及び水平推力に耐えて、風車体全体を安定に支持することが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の風力発電用風車体は、発電量の増大に伴う風車の大型化に起因して、その風車支持部まわりの建設に技術上の問題を有する。
【0008】第1に、図9乃至図11のいずれのタイプの風力発電用風車体においても、風車支持部120の建設工期が長期化して、建設コストの増大が引き起こされる。すなわち、風車110の大型化に伴い、水底130の地盤の強度に応じて、このような風車体全体を安定に支持するために風力支持部120自体を大型化せざるを得ない。具体的には、図9においては、パイル150の大径化、図10においては、コンクリート基礎170の沈下及び横滑り防止用の杭数の増大、さらに図11においては、鋼管杭180の必要数の増加或いは打ち込み深さの増大を必要とする。
【0009】第2に、現場での建設自体が、困難になる。特に、沿岸水域、たとえば海上に建設する場合には、現場で十分な建設スペースを確保すること自体が困難であり、工場または地上におけるユニット工法によって、現場での建設工数を削減することが強く望まれる。
【0010】本発明は、上述した従来の問題に鑑み、風車体自体の安定性を確保しつつ、建設し易い簡便な構造の風車支持構造を有する風力発電用風車体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決すべき手段】上記課題を解決すべく、本発明の風力発電用風車体は、風車を旋回可能に支持する風車支持部を備えた風力発電用風車体であって、この風車支持部は、所定面積の多角形断面を備えた、所定重量の平盤状の基礎と、この平盤状の基礎に各脚の下端部が固定され、各脚の上端部が上方に集束して、全体として上向きに先細形状をなす複数の脚構造体とを有する構成としてある。
【0012】以上の本発明の風力発電用風車体によれば、稼動の際、風車に加わる転倒モーメント及び水平方向推力に対して、所定面積及び所定指定重量の平盤状の基礎と地盤との間で、風車体全体を安定して支持することが可能である。さらに、建設の際、たとえば工場等で風車支持構造をワンユニットとして組立てて、現場に搬送することにより、沿岸水域等建設スペースの不足等建設環境に優れない現場における建設工数を削減することが可能となる。
【0013】また、前記基礎の下面から突設するアンカー部材をさらに有するのが好ましい。さらに、前記多角形断面は、三角形であり、前記複数の脚構造体は、その各脚の下端部が、この三角形の各頂点近傍に固定された三脚構造体であるのがよい。
【0014】或いは、前記多角形断面は、四角形であり、前記複数の脚構造体は、その各脚の下端部が、この四角形の各頂点近傍に固定された四脚構造体であってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、海上等沿岸水域に設置される場合を例として、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】図1及び図2はそれぞれ、本発明の第1の実施の形態に係わる風力発電用風車体の側面図及び正面図である。図3は、図2の矢視III〜IIIからみた基礎の平面図である。図4は、図3の矢視IV〜IVからみた基礎まわりの部分図である。
【0017】図1及び図2において、10は本発明の風力発電用風車体である。風力発電用風車体10は、風車12を旋回可能に支持する風車支持部16を備える。この風車支持部16は、多角形断面を備えた平盤状の基礎18と、この平盤状の基礎に各下端部20が固定され、各上端部22が上方に集束して、全体として上向きに先細形状をなす3脚の脚構造体24とを有する。この脚構造体24は、この軟着底型基礎18に各下端部20を固定して、緩傾斜に先細る下半部26と、急傾斜に先細り、各上端部22が風車12を支持する上半部28とから構成されている。
【0018】軟着底型基礎18は、風車12を設置する場所の地盤強度に応じて風力発電用風車体重量を安全に水底地盤上に支持できる面積を備え、且つ風車構造体に加わる風及び波等の横方向外力による転倒モーメントに対して浮上がりを生じないよう内部にコンクリート等を充填して必要重量を確保する。
【0019】図3及び図4に示すように、軟着底型基礎18の多角形断面は、中空部19を有する三角形としてある。面積或いは重量によって、中空部19を設けない三角形に構成してもよい。脚構造体24の各下端部20は、三角形の各頂点に近傍する位置に固定されている。軟着底型基礎18の下面29には、軟着底型基礎18の内外の辺と平行に等間隔3列をなして、無端状に下向きに突設したアンカー部材30を設けてある。これにより、基礎18の下面29と水底Aの地盤との間の水平摩擦力を確保し、風車体全体に転倒モーメントが作用する際、より安定して支持するようにしてある。
【0020】以上の構成を備えた風力発電用風車体10の作用を以下に説明する。
【0021】風車発電用風車体10では、風車構造体全体に加わる水平外力による転倒モーメントが軟着底型基礎18の重量と地盤耐力で安全に支持され、且つ水平方向推力が軟着底型基礎18下面と水底Aの地盤間の摩擦力で吸収される。このとき、予測される水平方向推力に対し、軟着底型基礎18下面と水底Aの地盤間の摩擦力を、より充分に確保する場合には、適当な深さのアンカー部材30を設けることで、更に充分な安定性を得ることが可能である。
【0022】また、軟着底型基礎18を平面で中空或いは中実の三角形状にしたうえで、脚構造体24を三脚構造に構成してあるので、構造が単純で安定性の良い風車支持構造を実現することができる。
【0023】このとき、軟着底型基礎18を、例えば水面Bから3メートル程度下方に上面を位置させるように接地させて設ける場合、水面Bに生じる波による外力の軟着底型基礎18部分への影響は非常に小さくなる。また脚構造体24の個々の鋼管部材径が小さいため、脚構造体24に対する風及び波による外力の影響も最小限度に抑えられる。一方、この構成による風車発電用風車体10によると、水面B下に設ける軟着底型基礎18と脚構造体24の全部を、工場又は地上で組立てたのち建設現場水域へ輸送し、整地された水底A面へ軟着床させて定置することが可能になる。
【0024】例えば、建設現場では、脚の各下端部20と軟着底型基礎18との一体ブロックを先に輸送して着底設置し、次に脚構造体24の上部ブロックを既に定着された下部構造上に接合し、 次いで脚構造体24上に搭載するように組立てることができる。
【0025】このため、風車体全体の製造、組立て、現地建設作業が非常に容易になり、建造期問を短縮できる効果が得られる。
【0026】以下に本発明の第2の実施の形態について説明する。以下の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様な部材には、同様な番号を附すことによりその説明は省略し、以下に特徴部分について説明する。
【0027】図5及び図6はそれぞれ、 本発明の第2の実施の形態に係わる風力発電用風車体の側面図及び正面図である。図7は、図6の矢視VII〜VIIからみた、基礎の平面図である。図8は、図7の矢視VIII〜VIIIからみた、基礎まわりの部分図である。
【0028】本実施の形態の特徴部分は、風車支持部16の構造にある。具体的には、基礎18の断面形状は、第1の実施の形態と異なり、四角形であり、それに伴い、複数の脚構造体24も四脚構造体としてある。
【0029】図5ないし図8において、風車支持部16は、図7に示すように、中空部19を有する四角形に構成した軟着底型基礎18と、この軟着底型基礎18の四隅に脚端部20を固着して設けた鋼管構造の四脚構造体24とで構成している。軟着底型基礎18は、必要面積或いは必要重量等の観点から、中実の平面四角形にしてもよい。
【0030】軟着底型基礎18の下面29には、同基礎18の各辺と平行方向に連続させて3列のアンカー部材30を設けている。
【0031】この実施の形態によれば、軟着底型基礎18を平面四角形に構成し且つ脚構造体24を四脚構造に構成することによって、構造重量は若干増加するけれども、脚構造体24の脚間隔、すなわち根開き距離が同一の場合、第1の実施の形態より横方向外力に対して安定性に優れる利点を有する。そのため、従来型に比較すれば、大幅に構造が簡略化される効果がある。
【0032】本発明の実施の形態を詳細に説明したが、請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更、修正が可能である。たとえば、本実施の形態では、風に恵まれた沿岸水域、即ち地盤が軟弱な水底に設置する場合を説明したが、これに限定されることなく、地上で地盤条件に恵まれない地点に設置する場合、或いは建設スペースの確保が困難な現場での建設にも適用可能である。
【0033】
【発明の効果】以上から明らかなように、 本発明の風力発電用風車体によれば、稼動の際の風車体自体の安定性を確保しつつ、建設し易い簡便な構造の風車支持構造を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成12年3月13日(2000.3.13)
【代理人】 【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔 (外4名)
【公開番号】 特開2001−254669(P2001−254669A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−68244(P2000−68244)