| 【発明の名称】 |
内燃機関用ノック制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 康弘
【氏名】森下 努
【氏名】岡村 浩一
【氏名】小岩 満
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| 【要約】 |
【課題】故障要因が解決したか否かを判定し、解決時には通常のノック制御に復帰させる機能と、フィルタ値が上昇し難く故障判定し難い故障モードにおいても容易に故障判定を行うことが出来る内燃機関用ノック制御装置を得る。
【解決手段】故障時制御手段41が、バックグランドレベル設定手段2とノック抑制制御手段3の出力に基づいて気筒毎に故障判定を行う故障判定手段41と、故障判定手段41の出力に基づいて故障気筒数を判定する故障気筒数判定手段42と、ノック抑制制御手段3、故障判定手段41および故障気筒数判定手段42の出力に基づいて少なくとも故障気筒の遅角制御量を変更する遅角制御量変更手段43と、バックグランドレベル設定手段2と遅角制御量変更手段43の出力に基づいて故障判定中の気筒が正常判定要件を満たした場合に通常の点火時期遅角制御に復帰させる正常判定復帰手段44とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 イオン電流に基づいてノックに対応した信号を生成するイオン電流検出手段と、該イオン電流検出手段のノック検出信号値をフィルタ処理しフィルタ値に基づいてノック判定基準となるバックグランドレベルを設定するバックグランドレベル設定手段と、上記ノック検出信号値と上記バックグランドレベルとに基づいてノック判定を行い少なくとも点火時期の遅角制御を行うノック抑制制御手段と、ノック検出が正しく行えなくなった場合の制御を行う故障時制御手段とを備えた内燃機関用ノック制御装置において、上記故障時制御手段は、上記バックグランドレベル設定手段と上記ノック抑制制御手段の出力に基づいて気筒毎に故障判定を行う故障判定手段と、該故障判定手段の出力に基づいて故障気筒数を判定する故障気筒数判定手段と、上記ノック抑制制御手段、上記故障判定手段および上記故障気筒数判定手段の出力に基づいて少なくとも故障気筒の遅角制御量を変更する遅角制御量変更手段と、上記バックグランドレベル設定手段と上記遅角制御量変更手段の出力に基づいて故障判定中の気筒が正常判定要件を満たした場合に通常の点火時期遅角制御に復帰させる正常判定復帰手段とを備えたことを特徴とする内燃機関用ノック制御装置。 【請求項2】 上記故障判定手段は各気筒の遅角制御量の内最小値に対し所定角度以上多い遅角制御量を持った気筒を故障と判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ノック制御装置。 【請求項3】 上記バックグランドレベル設定手段は気筒別にフィルタ処理を実施し、上記故障判定手段はフィルタ値が所定値以上となった気筒を故障と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用ノック制御装置。 【請求項4】 上記遅角制御量変更手段は故障気筒数が所定気筒数以上である場合、全気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して無効とし、所定遅角制御量を用いて全気筒の点火時期を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関用ノック制御装置。 【請求項5】 上記所定遅角制御量は少なくとも吸気温度、エンジン冷却水温度のいづれかに基づいて設定されることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関用ノック制御装置。 【請求項6】 上記遅角制御量変更手段は故障気筒数が所定気筒数未満である場合、故障気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して無効とし、故障判定されていない気筒の遅角制御量に基づき故障気筒用遅角制御量を設定し、故障気筒用遅角制御量に基づき当該気筒の点火時期を補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ノック制御装置。 【請求項7】 上記遅角制御量変更手段は故障判定された気筒の点火時期補正量を所定速度で上記故障気筒用遅角制御量に近づけることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関用ノック制御装置。 【請求項8】 上記正常判定復帰手段は少なくとも故障気筒の遅角制御量が他の気筒の遅角制御量に対し所定角度以上多くないことと、故障気筒のフィルタ値が所定値以下となっていることを判定し故障判定を取りやめることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ノック制御装置。 【請求項9】 上記正常判定復帰手段は故障判定気筒数が所定気筒数未満であった場合にいづれかの故障判定気筒に対し故障判定を取りやめた場合、当該気筒の遅角制御量を故障判定されていない気筒の遅角制御量のうちの最大値に基づいた遅角制御量に置き換え、かつ当該気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して有効とすることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関用ノック制御装置。 【請求項10】 上記正常判定復帰手段は故障判定気筒数が所定気筒数以上であった場合にいくつかの故障判定気筒に対し故障判定を取りやめ故障気筒数が所定気筒数未満となった場合、故障気筒以外の気筒の遅角制御量は所定遅角制御量より所定角度少ない遅角制御量に置き換えられかつ点火時期制御に対して有効とし、故障気筒の遅角制御量は点火時期制御に対して無効とされ故障判定されていない気筒の遅角制御量のうちの最大値に基づき当該気筒の点火時期を補正することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関用ノック制御装置。 【請求項11】 上記所定角度は1回のノック検出で増加可能な最大遅角制御増加量に等しいことを特徴とする請求項10に記載の内燃機関用ノック制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関の燃焼によって生じる燃焼ガスの電離をイオン電流として検出し、その燃焼状態を検出するイオン電流検出装置の出力に基づきノッキングの発生を判断し、ノッキングを回避するための制御を行う内燃機関用ノック制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】点火式内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)では、燃焼室(以下、シリンダと呼ぶ)内に導入する空気と燃料の混合気をピストンで圧縮し、点火プラグで点火して燃焼させ動力を取り出している。エンジンの出力とシリンダ位置に対する点火時期は密接な関係を有しており、一般には点火時期を進めると高出力が得られるが、進角過多の場合にはノッキング(ノック)と呼ばれる異常燃焼状態を発生して、ノッキングが連続的に発生した場合にはエンジンの破壊を引き起こす可能性がある。 【0003】シリンダ内で混合気が燃焼すると、燃焼ガスが電離(イオン化)するため、これに電圧を印加すると、イオンの作用で電流が流れる。この電流はイオン電流と呼ばれ、シリンダ内の燃焼状態に応じて敏感に変化するため、イオン電流を検出することにより燃焼状態を(ノッキング状態を)検出することができることが知られている。 【0004】イオン電流は、点火直後に急激に増加して短時間でピークに達し、その後緩やかに減少する。ノッキングが発生した場合は、イオン電流に数キロヘルツの振動成分が重畳する。イオン電流よりノッキングに相当する振動成分を抽出した結果に基づきノッキングの発生を判定する事により、点火時期の遅角制御を行うとノッキングの強度および発生頻度を抑えた上で高出力を得ることができる。 【0005】イオン電流によるノッキング制御装置に関しては、例えばノッキング強度検出手段の出力に基づきイオン電流検出系の故障を判断する故障判定手段を備えた内燃機関用ノック制御装置が先に本特許出願人により提案されている。この故障判定手段は、ノイズを検知する筈の運転領域において各気筒のノイズの出力状況を判定しノイズパルス出力が明らかに少ない場合や、フィルタ値が所定値以上の場合は当該気筒に対し異常判定を行う。また異常判定を行った気筒数に応じて各気筒の遅角制御量を決定する。 【0006】図6に基づいて以下に従来例について詳細に説明する。図6は従来例の故障判定および故障時制御のフローチャートである。まず、運転条件がノイズパルス判定領域内であるか否か判定する(ステップS1)。 そして、ノイズパルス数が異常低下もしくは0であった場合(ステップS3)、今回気筒に対しフェール判定を行う(ステップS4)。次に、運転条件がフィルタ値上昇判定領域内であるか否か判定する(ステップS2)。そして、フィルタ値が異常上昇している場合(ステップS5)、今回気筒に対しフェール判定を行う(ステップS6)。 【0007】続いて、現在フェール気筒数をカウントし(ステップS7)、フェール気筒数が所定気筒数以下であるか否か判定し(ステップS8)、そうでない場合はノック制御を禁止し全気筒に十分な遅角制御量を設定する(ステップS12)。フェール気筒数が所定気筒数以下である場合は、正常判定中の気筒の平均遅角制御量を計算(ステップS9)、今回気筒に対応した補正遅角制御量を取得(ステップS10)し、正常気筒の平均遅角制御量と補正遅角制御量に基づき今回のフェール気筒に対応する遅角制御量を演算設定する(ステップS11)。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】上記先に提案された内燃機関用ノッキング制御装置を用いることで、例えば高周波のノイズがイオン電流に重畳しノイズ信号が多量に出力される場合や、車体配線の断線およびイオン電流検出回路の故障などいくつかの気筒のイオン電流が検出出来なくなった場合にはノッキングの判定を禁止しノッキングの誤判定を回避、そして安全な点火時期による点火時期制御を実施することが出来る。 【0009】しかし、従来例は故障判定を行った後にも引き続き検出状態を監視し正常状態を認めた場合に故障判定を取りやめ通常のノック制御に復帰する様な処理は提案されていない。よって例えば、空燃費がリッチな状態で運転した場合に一時的にプラグにすすが付着した場合や、一時的に大強度の電波に影響された場合、またプラグ汚損が進みノイズ重畳度が増加したがプラグ交換により正常な状態に復帰した場合など、一時的にノイズ重畳が発生したが解決した際には故障判定を取りやめることが出来ず、通常のノック制御に復帰出来ない。 【0010】また、例えば上記の空燃費がリッチな状態で運転した場合に一時的にプラグにすすが付着した場合などは毎点火ノイズ重畳が発生する訳ではなく、フィルタ値はそれほど上昇せずフィルタ値の上昇で故障判定することは困難であることが実験的に判明した。 【0011】この発明は、上記の様な問題を解決するためになされたものであり、故障要因が解決したか否かを判定し、解決時には通常のノック制御に復帰させる機能と、フィルタ値が上昇し難く従来例では故障判定し難い故障モードにおいても容易に故障判定を行うことが出来る内燃機関用ノック制御装置を得ることを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る内燃機関用ノック制御装置は、イオン電流に基づいてノックに対応した信号を生成するイオン電流検出手段と、該イオン電流検出手段のノック検出信号値をフィルタ処理しフィルタ値に基づいてノック判定基準となるバックグランドレベルを設定するバックグランドレベル設定手段と、上記ノック検出信号値と上記バックグランドレベルとに基づいてノック判定を行い少なくとも点火時期の遅角制御を行うノック抑制制御手段と、ノック検出が正しく行えなくなった場合の制御を行う故障時制御手段とを備えた内燃機関用ノック制御装置において、上記故障時制御手段は、上記バックグランドレベル設定手段と上記ノック抑制制御手段の出力に基づいて気筒毎に故障判定を行う故障判定手段と、該故障判定手段の出力に基づいて故障気筒数を判定する故障気筒数判定手段と、上記ノック抑制制御手段、上記故障判定手段および上記故障気筒数判定手段の出力に基づいて少なくとも故障気筒の遅角制御量を変更する遅角制御量変更手段と、上記バックグランドレベル設定手段と上記遅角制御量変更手段の出力に基づいて故障判定中の気筒が正常判定要件を満たした場合に通常の点火時期遅角制御に復帰させる正常判定復帰手段とを備えたものである。 【0013】また、請求項2の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項1の発明において、上記故障判定手段は各気筒の遅角制御量の内最小値に対し所定角度以上多い遅角制御量を持った気筒を故障と判定するものである。 【0014】また、請求項3の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項1または2の発明において、上記バックグランドレベル設定手段は気筒別にフィルタ処理を実施し、上記故障判定手段はフィルタ値が所定値以上となった気筒を故障と判定するものである。 【0015】また、請求項4の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項1〜3のいずれかの発明において、上記遅角制御量変更手段は故障気筒数が所定気筒数以上である場合、全気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して無効とし、所定遅角制御量を用いて全気筒の点火時期を補正するものである。 【0016】また、請求項5の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項4の発明において、上記所定遅角制御量は少なくとも吸気温度、エンジン冷却水温度のいづれかに基づいて設定されるものである。 【0017】また、請求項6の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項1の発明において、上記遅角制御量変更手段は故障気筒数が所定気筒数未満である場合、故障気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して無効とし、故障判定されていない気筒の遅角制御量に基づき故障気筒用遅角制御量を設定し、故障気筒用遅角制御量に基づき当該気筒の点火時期を補正するものである。 【0018】また、請求項7の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項6において、上記遅角制御量変更手段は故障判定された気筒の点火時期補正量を所定速度で上記故障気筒用遅角制御量に近づけるものである。 【0019】また、請求項8の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項1の発明において、上記正常判定復帰手段は少なくとも故障気筒の遅角制御量が他の気筒の遅角制御量に対し所定角度以上多くないことと、故障気筒のフィルタ値が所定値以下となっていることを判定し故障判定を取りやめるものである。 【0020】また、請求項9の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項8の発明において、上記正常判定復帰手段は故障判定気筒数が所定気筒数未満であった場合にいづれかの故障判定気筒に対し故障判定を取りやめた場合、当該気筒の遅角制御量を故障判定されていない気筒の遅角制御量のうちの最大値に基づいた遅角制御量に置き換え、かつ当該気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して有効とするものである。 【0021】また、請求項10の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項8の発明において、上記正常判定復帰手段は故障判定気筒数が所定気筒数以上であった場合にいくつかの故障判定気筒に対し故障判定を取りやめ故障気筒数が所定気筒数未満となった場合、故障気筒以外の気筒の遅角制御量は所定遅角制御量より所定角度少ない遅角制御量に置き換えられかつ点火時期制御に対して有効とし、故障気筒の遅角制御量は点火時期制御に対して無効とされ故障判定されていない気筒の遅角制御量のうちの最大値に基づき当該気筒の点火時期を補正するものである。 【0022】さらに、請求項11の発明に係る内燃機関用ノッキング制御装置は、請求項10の発明において、上記所定角度は1回のノック検出で増加可能な最大遅角制御増加量に等しいものである。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、図を参照して説明する。 実施の形態1図1は、この発明の実施の形態1を示す機能ブロック図である。図において、1はイオン電流に基づきノックに対応した信号を生成するイオン電流検出手段、2はイオン電流検出手段1のノック検出信号値をフィルタ処理しフィルタ値に基づきノック判定基準となるバックグランドレベルを設定するバックグランドレベル設定手段、3はノック検出信号値とバックグランドレベルとに基づきノック判定を行い少なくとも点火時期の遅角制御を行うノック抑制制御手段、4はバックグランドレベル設定手段2とノック抑制制御手段の出力に基づいてノック検出が正しく行えなくなった場合の制御を行う故障時制御手段である。 【0024】故障時制御手段4は、バックグランドレベル設定手段2とノック抑制制御手段の出力に基づいて気筒毎に故障判定を行う故障判定手段41と、故障判定手段41の出力に基づいて故障気筒数を判定する故障気筒数判定手段42と、ノック抑制制御手段3、故障判定手段41および故障気筒数判定手段42の出力に基づいて少なくとも故障気筒の遅角制御量を変更する遅角制御量変更手段43と、バックグランドレベル設定手段2と遅角制御量変更手段43の出力に基づいて故障判定中の気筒が正常判定要件を満たした場合に、その出力を故障判定手段41へ帰還して通常の点火時期遅角制御に復帰させる正常判定復帰手段とを備える。 【0025】次に、動作について、図2〜図5を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態におけるノック制御処理の全体的なフローチャートである。このフローチャートに基づき全体的な処理の流れを説明する。まず、今回の点火サイクルにおいて発生し、カウントされたノックパルス数を取得する(ステップS11)。続いてノック判定用パルス数(np)を計算する(ステップS12)。ノック判定用パルス数は前記ノックパルス数からノイズパルス数である後述するバッククランドレベルを減算し得られる。ノック判定用パルス数(np)が0以下である場合(ステップS13のN)、ノック未発生を意味するので、np = 0とする(ステップS15)。ノック判定用パルス数(np)が1以上である場合(ステップS13のY)、ノック発生を意味する。この場合現在の運転条件がノック制御を実施する運転領域であるか否かを判定する(ステップS14)。 【0026】ノック制御を実施する条件としては、フローチャート(ステップS14)に示した様に例えばエンジン冷却水温度、エンジン回転数、吸気圧力等が判定される。ノック制御条件が成立しない場合、ノック制御を実施しないので、ノック判定用パルス数(np)の値に関わらず、 np = 0とする(ステップS15)。ノック制御条件が成立している場合、ノック判定用パルス数(np)が0以下である場合(ステップS16)、ノック未発生を意味するので遅角制御量(Real retard angle)の減量制御(進角制御)を実施する(ステップS18)。ノック判定用パルス数(np)が1以上である場合(ステップS16)、ノック発生を意味するので、ノック判定用パルス数(np)の値に応じて遅角制御量(Real retard angle)を増量させる(ステップS17)。 【0027】続いて今回気筒の故障判定を行い(ステップS19)、故障気筒数の合計処理を行い(ステップS20)、今回気筒が故障判定中であれば、故障気筒数に応じて故障時遅角制御量(Fail retard angle)の設定を行い、また正常復帰条件を満たしているか判定し、正常復帰条件を満たしていれば故障判定を取りやめる(ステップS21)。 【0028】続いて今回気筒が故障判定中でなければ(ステップS22のN)、最終遅角制御量(Final retard angle)に前記遅角制御量(Real retard angle)をコピーし(ステップS23)、今回気筒が故障判定中であれば(ステップS22のY)、最終遅角制御量(Final retard angle)に前記故障時遅角制御量(Fail retard angle)をコピーする(ステップS24)。この最終遅角制御量に基づき次の当該気筒の点火時期は決定される。最後にバックグランドレベルを今回ノックパルス数に基づき更新演算処理を行う(ステップS25)。本フローチャートにおいては、点火毎のノック情報はパルス数で演算装置に入力される様にしているが、ノック振動波形のピークホールド値または積分値をA/D変換したデジタル値を入力しても良い。 【0029】次に、図3は本実施の形態における故障判定の部分を示すフローチャートである。このフローチャートに基づき、故障判定方法の説明を行う。まず、運転状態が過渡運転状態であるか否かの判定を行う(ステップS31)、過渡運転状態でなければ全気筒中の最小遅角制御量(Real retard angle)と今回気筒の遅角制御量(Real retard angle)の差が所定角度以上有るか否かの判定を行う(ステップS32)、前記所定角度としては通常の状態で起こり得ない最小の気筒間の遅角制御量差を設定する。前記所定角度以上の差がありかつ現在の目標空燃費がリッチ側である(ステップS33)場合、プラグへのすすの付着によるイオン電流へのノイズ重畳である可能性が高いため、今回気筒を故障判定する(ステップS35)。 【0030】これとは逆に、最大遅角制御量(Real retard angle)と今回気筒の遅角制御量(Real retard angle)の差が所定角度以上有るかの判定による故障判定も行っても良い。この場合、故障原因は、当該気筒のイオン電流検出回路の故障、当該気筒のイオン電流検出ラインの故障等、正しくイオン電流およびノック信号の検出が出来ていないことが考えられる。 【0031】最大遅角制御量(Real retard angle)と今回気筒の遅角制御量(Real retardangle)の差が所定角度以上有るかの判定と最小遅角制御量(Real retard angle)と今回気筒の遅角制御量(Real retard angle)の差が所定角度以上有るかの判定との両方を実施する場合は、その他の気筒の遅角制御量(Real retard angle)より最大遅角制御量(Real retard angle)を持つ気筒と最小遅角制御量(Real retard angle)を持つ気筒のどちらが正しいか判定し故障判定を行う必要がある。 【0032】また、別の故障判定の方法としてフィルタ値が異常上昇しているかどうか判定する(ステップS34)。ここでは一例として入力されたノックパルス数の平均値が5を超えたかどうか判定している。平均値は例えば、次式で計算される。 【0033】AVE(t) = AVE(t-1) * 0.9 + npn * 0.1【0034】平均値が5を超えた場合、イオン電流への一時的な電波ノイズ重畳や、プラグの汚損によるノイズ重畳等が考えられるため、正しくノック検出出来ない可能性が高く、今回気筒を故障判定する(ステップS35)。故障判定時には、各気筒毎に設けたFail cylinder flag、Comb.Counter2をセットする。Fail cylinder flagは各気筒毎に故障判定中か正常状態かを示すフラグ、 Comb.Counter2は正常判定復帰後に通常ノック制御に復帰させるまでの安全を考慮した待ち時間である。 【0035】また、 Comb.Counter2は点火回数を設定するが、Time counterとして時間で設定しても良い。この様に待ち時間の判定はComb.Counter2あるいはTime counterのどちらか一方で設定しても良いが、更に双方を用いてどちらか期間が早く終了した方が有効となる等の択一型としても良い。 【0036】本フローチャートの最初に運転状態が過渡運転状態であるか否かの判定を行って(ステップS31)いるが、これは急加速中には前記“通常の状態で起こり得ない最小の気筒間の遅角制御量差”が故障状態でなくとも発生し得る、またノイズパルスも増加するため前記フィルタ値の異常上昇も故障状態でなくとも発生し得るため、故障判定を実施すべきでないからである。 【0037】続いて、今回の入力ノックパルス数npnが0か否か判定する(ステップS36)。0の場合Knock zero Counterを1減量する(ステップS37)。npnが0でない場合Knock zero Counterは初期値C9にプリセットされる(ステップS38)。よってC9点火の間入力ノックパルス数が0である状態が連続した場合にKnock zero Counterは0となる。 Knock zero Counterは気筒毎に設けられ、0である場合ノックパルス数が異常状態であると判断する。本フローチャート上には記述していないが、低回転時にはノイズパルス数が殆ど0である運転条件が存在するため、この様な運転条件においてはこの処理(ステップS6、S7、S8)は行わない方が良い。よってこの処理を実行する運転条件判定を設けても良い。 【0038】続いてKnock zero Counterが0以下であるか否か判定する(ステップS39)。0以下である場合、当該気筒を故障判定する(ステップS40)。そして、今回ノックパルス数が異常状態から正常状態に復帰したか否かを示すフラグZero counter flagを0にリセットする(ステップS42)。 Knock zero Counterが0以下でない場合、前回のKnock zero Counterが0より大であったか否か判定を行い(ステップS41)、0より大であった場合 Zero counter flagを0にリセットする(ステップS42)。0以下であった場合、 Zero counter flagを1にセットする(ステップS43)。 【0039】次に、図4は本実施の形態における故障時遅角制御量演算の部分を示すフローチャートである。このフローチャートに基づき、故障時遅角制御量演算方法の説明を行う。メインフロー(図2)において故障時遅角制御量演算の前には、故障気筒数のカウント処理(図2−ステップS20)が行われており、前記Fail cylinder flagに基づき故障気筒数が認識されている。まず、故障気筒数が2気筒以上の場合(ステップS51)、吸気温に基づき今回気筒の故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)が設定される(ステップS52、S53、S54、S55、S56、S57、S58)。次に今回気筒が故障判定中であるか否かが判定され(ステップS59)、故障判定中の場合“正常判定復帰処理”が実行される。 【0040】続いて、故障気筒数が1気筒でかつ今回気筒が故障判定中である場合(ステップS60)、故障判定されていない気筒中の最大遅角制御量(Real retard angle)を判定し、Max. retard angleにコピーする(ステップS61)、 続いて Zerocounter flagが0か否か判定し(ステップS62)、0の場合、ノックパルス数が異常状態であると判断されているので、 Max. retard angleを今回気筒の故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)にコピーする(ステップS64)。続いて故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)が既に一度Max. retard angleに到達しているか示すMax retard angle flagがセットされているか判定し(ステップS63)、セットされている場合、 Max. retard angleを今回気筒の故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)にコピーする(ステップS64)。 【0041】これは異常に多い遅角制御量を持ち故障判定された気筒に対しMax. retard angleをすぐさまコピーし点火時期を急に進角させた場合のノック発生を防ぐため、故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)を所定速度で進角させ(ステップS65)、 故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)がMax.retard angleに到達した場合(ステップS66)、故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)にMax. retard angleをコピーしMax retard angle flagをセットする(ステップS68)。故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)がMax. retard angleに到達するまでMax retard angle flagを0にリセットし続ける(ステップS67)。 【0042】ここでは故障判定していない気筒中の最大遅角制御量を用いて故障時遅角制御量を設定するようにしたが、これは故障判定していない気筒の遅角制御量平均値や故障気筒の隣接気筒の遅角制御量に基づいて設定しても良い。また、ここでは故障気筒(今回気筒)の遅角制御量(Real retard angle)は他気筒よりも大きいものとしているが、これに加え、最大遅角制御量(Real retard angle)と今回気筒の遅角制御量(Real retard angle)の差が所定角度以上有るかの判定による故障判定を行う場合など、故障気筒(今回気筒)の遅角制御量(Real retard angle)が他気筒よりも小さいときは、 Max. retard angleを今回気筒の故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)にすぐさまコピーする様にしても良い。 【0043】次に、図5は本実施の形態における正常判定、復帰処理の部分を示すフローチャートである。このフローチャートに基づき、正常判定、復帰処理方法の説明を行う。前述した様に、急加速中には前記“通常の状態で起こり得ない最小の気筒間の遅角制御量差”が故障状態でなくとも発生し得る、またノイズパルスも増加するため前記フィルタ値の異常上昇も故障状態でなくとも発生し得るため、正常判定を実施すべきでない。よってまず運転状態が過渡状態にあるか否か判定する(ステップS71)。続いてここでは一例として平均値が3を下回ったか否か判定し(ステップS72)、さらに全気筒中の最小遅角制御量(Real retard angle)と今回気筒の遅角制御量(Real retard angle)の差が所定角度を下回ったか否かの判定を行う(ステップS73)。 【0044】これらの条件が全て満たされた場合、正常状態に復帰したと判断し、 Comb.Counter2を減量する(ステップS75)。続いてComb.Counter2が0以下であるか否か判定する(ステップS76)。一方、一度でも正常状態判定条件が満たされないとComb.Counter2はプリセットされる(ステップS74)。よってComb.Counter2に設定した点火回数間連続で正常判定した場合に(ステップS78)以降の復帰処理が行われる。また、今回ノックパルス数が異常状態から正常状態に復帰したか否かを示すフラグZero.counter flagが1である場合(ステップS77)は同様に(ステップS78)以降の復帰処理が行われる。 【0045】続いて故障判定気筒数の判定(ステップS78、S80)を行い、故障判定気筒数が1の場合は故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)を遅角制御量(Real retard angle)にコピーした(ステップS79)後、当該気筒の通常ノック制御への復帰処理を行う(ステップS82)。通常ノック制御への復帰処理としては、 Fail cylinder flagを0とし、 Comb.Counter2を0、Max retard angleflag を0とする。 【0046】故障判定気筒数が2の場合は故障時遅角制御量(Fail cylinder's retard angle)を全気筒の遅角制御量(Real retard angle)にコピーした(ステップS81)後、当該気筒の通常ノック制御への復帰処理を行う(ステップS82)。故障判定気筒数が3以上の場合は、当該気筒の通常制御への復帰処理のみ行う(ステップS82)。 【0047】本実施の形態においては、2気筒以上の故障判定気筒数で全気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して無効とし、所定遅角制御量を用いて全気筒の点火時期を補正する様にしているが、この気筒数はイオン電流に基づくノック信号検出装置の特性や、またもちろん内燃機関の気筒数とノック信号処理回路の設置状況に基づき設定されるべきものである。 【0048】 【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、イオン電流に基づいてノックに対応した信号を生成するイオン電流検出手段と、該イオン電流検出手段のノック検出信号値をフィルタ処理しフィルタ値に基づいてノック判定基準となるバックグランドレベルを設定するバックグランドレベル設定手段と、上記ノック検出信号値と上記バックグランドレベルとに基づいてノック判定を行い少なくとも点火時期の遅角制御を行うノック抑制制御手段と、ノック検出が正しく行えなくなった場合の制御を行う故障時制御手段とを備えた内燃機関用ノック制御装置において、上記故障時制御手段は、上記バックグランドレベル設定手段と上記ノック抑制制御手段の出力に基づいて気筒毎に故障判定を行う故障判定手段と、該故障判定手段の出力に基づいて故障気筒数を判定する故障気筒数判定手段と、上記ノック抑制制御手段、上記故障判定手段および上記故障気筒数判定手段の出力に基づいて少なくとも故障気筒の遅角制御量を変更する遅角制御量変更手段と、上記バックグランドレベル設定手段と上記遅角制御量変更手段の出力に基づいて故障判定中の気筒が正常判定要件を満たした場合に通常の点火時期遅角制御に復帰させる正常判定復帰手段とを備えたので、気筒別の故障判定、故障時の遅角制御、正常判定時の通常ノック制御への復帰が可能であるという効果がある。 【0049】また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、上記故障判定手段は各気筒の遅角制御量の内最小値に対し所定角度以上多い遅角制御量を持った気筒を故障と判定するので、明らかに遅角制御量がおかしい気筒を故障判定することが可能であるという効果がある。 【0050】また、請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明において、上記バックグランドレベル設定手段は気筒別にフィルタ処理を実施し、上記故障判定手段はフィルタ値が所定値以上となった気筒を故障と判定するので、イオン電流へのノイズの重畳度が大きい気筒を故障判定することが可能であるという効果がある。 【0051】また、請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれかの発明において、上記遅角制御量変更手段は故障気筒数が所定気筒数以上である場合、全気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して無効とし、所定遅角制御量を用いて全気筒の点火時期を補正するので、故障気筒過多でノック制御性能が確保出来ない場合は安全な点火時期で運転することが可能であるという効果がある。 【0052】また、請求項5の発明によれば、請求項1〜3のいずれかの発明において、上記所定遅角制御量は少なくとも吸気温度、エンジン冷却水温度のいづれかに基づいて設定されるので、安全でかつ過度な遅角を避けた進角側の点火時期での点火制御が可能であるという効果がある。 【0053】また、請求項6の発明によれば、請求項1の発明において、上記遅角制御量変更手段は故障気筒数が所定気筒数未満である場合、故障気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して無効とし、故障判定されていない気筒の遅角制御量に基づき故障気筒用遅角制御量を設定し、故障気筒用遅角制御量に基づき当該気筒の点火時期を補正するので、故障気筒に適度な遅角制御量を与えることが可能であるという効果がある。 【0054】また、請求項7の発明によれば、請求項6の発明において、上記遅角制御量変更手段は故障判定された気筒の点火時期補正量を所定速度で上記故障気筒用遅角制御量に近づけるので、点火時期を急変させることなく目標の点火時期補正量に変更することが可能であるという効果がある。 【0055】また、請求項8の発明によれば、請求項1の発明において、上記正常判定復帰手段は少なくとも故障気筒の遅角制御量が他の気筒の遅角制御量に対し所定角度以上多くないことと、故障気筒のフィルタ値が所定値以下となっていることを判定し故障判定を取りやめるので、正常にノック検出可能か否かを検証した後に本来の点火時期制御への復帰が可能であるという効果がある。 【0056】また、請求項9の発明によれば、請求項8の発明において、上記正常判定復帰手段は故障判定気筒数が所定気筒数未満であった場合にいづれかの故障判定気筒に対し故障判定を取りやめた場合、当該気筒の遅角制御量を故障判定されていない気筒の遅角制御量のうちの最大値に基づいた遅角制御量に置き換え、かつ当該気筒の遅角制御量を点火時期制御に対して有効とするので、本来の点火時期制御への復帰時には最適な遅角制御量から開始することが可能であるという効果がある。 【0057】また、請求項10の発明によれば、請求項8の発明において、上記正常判定復帰手段は故障判定気筒数が所定気筒数以上であった場合にいくつかの故障判定気筒に対し故障判定を取りやめ故障気筒数が所定気筒数未満となった場合、故障気筒以外の気筒の遅角制御量は所定遅角制御量より所定角度少ない遅角制御量に置き換えられかつ点火時期制御に対して有効とし、故障気筒の遅角制御量は点火時期制御に対して無効とされ故障判定されていない気筒の遅角制御量のうちの最大値に基づき当該気筒の点火時期を補正するので、安全側の点火時期制御から故障気筒以外は本来のノック制御による点火時期制御への復帰が可能であるという効果がある。 【0058】さらに、請求項11の発明によれば、請求項10の発明において、上記所定角度は1回のノック検出で増加可能な最大遅角制御増加量に等しいものであるので、本来のノック制御による点火時期制御への復帰時の遅角制御量が万が一ノック発生に対して不十分であったとしても、1回の大ノック判定で元々の安全側の遅角制御量に復帰可能であるという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月12日(2000.6.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100057874 【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−355556(P2001−355556A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月26日(2001.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−174965(P2000−174965) |
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