| 【発明の名称】 |
内燃機関の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 達範
【氏名】坂倉 靖
【氏名】鈴木 隆博
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| 【要約】 |
【課題】内燃機関が失火に至る前の段階にくすぶり汚損を検出すると共に、その段階にてくすぶり汚損の進行の抑制を図ることにより、失火の発生による内燃機関の運転性能の低下を抑制可能な内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】実施例の内燃機関制御装置1は、点火プラグ17に直列接続された検出抵抗19によって検出される火花放電発生時の放電電流(二次電流i2)を用いて、放電電流積分値Iiを算出している。そして、放電電流積分値Iiに基づいて失火に至る前のくすぶり汚損を検出すると、点火時期および燃料供給量をくすぶり汚損が解消するように変化させている。このように、くすぶり汚損を早期に検出して点火プラグの清浄化を早期に実行することで失火の発生を抑制できるため、円滑で安定した状態で内燃機関を運転できるとともに、排気ガス中における有害物質の発生を抑えることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関の気筒に装着された点火プラグに点火用高電圧を印加したときに、該点火プラグの電極間に流れる放電電流を検出する放電電流検出手段と、前記放電電流に基づいて、前記点火プラグのくすぶり汚損の有無を判定するくすぶり汚損判定手段と、該くすぶり汚損判定手段にてくすぶり汚損が有りと判定されたときに、前記点火プラグのくすぶり汚損の進行を抑制するくすぶり汚損抑制手段と、を有することを特徴とする内燃機関の制御装置。 【請求項2】 前記くすぶり汚損抑制手段は、くすぶり汚損が有りと判定されたときに、少なくとも前記点火プラグの火花放電による内燃機関の点火時期を変化させること、を特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 【請求項3】 前記くすぶり汚損抑制手段は、くすぶり汚損が有りと判定されたときに、少なくとも前記内燃機関に供給する燃料供給量を変化させること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の制御装置。 【請求項4】 前記くすぶり汚損判定手段は、前記点火プラグの電極間にて火花放電期間中に流れる放電電流を積分し、該放電電流の積分値と所定の積分判定基準値との比較結果を用いて、前記点火プラグのくすぶり汚損の有無を判定すること、を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 【請求項5】 前記くすぶり汚損判定手段は、前記点火プラグの電極間にて火花放電期間中に流れる放電電流の電流値が予め定められた検出基準値以上となる電流検出時間を算出し、該電流検出時間と所定の検出時間判定基準値との比較結果を用いて、前記点火プラグのくすぶり汚損の有無を判定すること、を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、点火プラグのくすぶり汚損を検出する機能を備え、その検出結果に基づいて、内燃機関の運転条件を制御する内燃機関の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】内燃機関では、空気と燃料からなる混合気を、気筒に装着された点火プラグの火花放電によって燃焼させている。図4に示すように、通常の点火プラグ17は、筒状の取付金具17dと、その取付金具17dの内側に先端部が突出するように保持された絶縁体17cと、その絶縁体17cの内側に先端部が突出するように保持された中心電極17aと、一端が取付金具17dに固着されると共に他端が中心電極17aに対し火花放電ギャップgを隔てて対向する接地電極17bと、により構成されている。この種の点火プラグ17では、中心電極17aと接地電極17bとの電極間(図4に模式的に電圧計Vを記して示した部分)の絶縁抵抗が十分大きくなるように構成されている。 【0003】ところで、気筒内に濃混合気が連続的に誘導されると、燃料の霧化が十分でない等の要因から燃料が完全燃焼せずにカーボンを発生し、このカーボンが点火プラグの絶縁体表面に付着する、所謂“くすぶり(くすぶり汚損)”を生じる。そして、カーボン付着量が多くなる(換言すればくすぶり汚損が進行する)と、点火プラグの電極間の絶縁抵抗が低下し、点火コイルからの点火用高電圧がカーボン付着物を通じてリーク電流(漏洩電流)として流れ、火花放電ギャップにて飛火せずに失火してしまうことがある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】そこで、点火プラグのくすぶり汚損を検出する手法として、例えば特開平11−13620号公報や特開平11−336649号公報に記載されたものが提案されている。これら公報技術は、点火プラグの火花放電によって混合気が燃焼したときに発生するイオンをイオン電流として検出する技術を利用してなるものである。詳細にいうと、点火プラグのくすぶり汚損により流れるリーク電流がイオン電流の検出時に重畳する点、さらにはくすぶり汚損の程度に応じてリーク電流値が変化する点を考慮し、イオン電流検出回路により検出される電流の挙動(詳細には、イオン電流収束後の電流の挙動)をモニタすることで、くすぶり汚損の状態を検出している。 【0005】ところで、図4を援用して示すように、絶縁体17c表面におけるカーボンCの付着状態が点火プラグ17の電極間が短絡する前の段階にある場合には、くすぶり汚損がみられるものの電極間の絶縁抵抗は問題ない程度の大きさに保たれている。但し、この状態で点火コイルから点火用高電圧が点火プラグ17に印加されると、火花放電ギャップgにて火花放電が起こらずに、カーボンCを通じて電流が流れ、カーボンCの端部と取付金具17d内壁面との間で飛火する、所謂“奥飛び”が発生することがある。この奥飛びでは、火炎核近傍に混合気が存在すれば着火は可能なものの、奥飛び位置が混合気に晒されにくい位置であることから、火花放電ギャップgでの火花放電と比較して燃焼効率は低下する傾向にある。 【0006】ここで、上述の公報技術では、点火プラグのくすぶり汚損の進行度合を検出してはいるものの、この検出はリーク電流に基づいて行われている。一般に、このリーク電流は、点火プラグの電極間が短絡する程度にまでくすぶり汚損が進行し、電極間の絶縁抵抗が低下したときに流れるものである。そのことから、上述の公報技術では点火プラグの電極が短絡する程度にまでくすぶり汚損が進行し、かなり高い確率で失火し得る状態にまでなって初めてくすぶり汚損を検出することができるものであって、点火プラグの電極間が短絡するよりも前の段階でくすぶり汚損を、即ち奥飛びが発生し得る状態にあるようなくすぶり汚損を検出することができなかった。 【0007】そのために、点火プラグでのくすぶり汚損を検出し、点火プラグのくすぶり汚損の進行を抑制すべく内燃機関の運転条件の制御を行う際に、上述の公報技術を用いたのでは、かなり高い確率で失火し得る状態になってからくすぶり汚損の進行の抑制を開始することになる。しかし、かなり高い確率で失火し得る状態になってからくすぶり汚損の進行の抑制を始めたのでは、くすぶり汚損による内燃機関運転中の失火の発生を十分に抑えることができず、内燃機関の運転性能が低下すると共に、未燃焼ガスの排出を招き環境に影響を与える虞がある。 【0008】そこで、本発明は、内燃機関が失火に至る前の段階にくすぶり汚損を検出すると共に、その段階にてくすぶり汚損の進行の抑制を図ることにより、失火の発生による内燃機関の運転性能の低下を抑制可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の内燃機関の制御装置は、内燃機関の気筒に装着された点火プラグに点火用高電圧を印加したときに、該点火プラグの電極間に流れる放電電流を検出する放電電流検出手段と、放電電流に基づいて点火プラグのくすぶり汚損の有無を判定するくすぶり汚損判定手段と、該くすぶり汚損判定手段にてくすぶり汚損が有りと判定されたときに、点火プラグのくすぶり汚損の進行を抑制するくすぶり汚損抑制手段と、を有することを特徴とする。 【0010】内燃機関の気筒に装着される点火プラグでは、点火コイルにより発生した点火用高電圧が印加されて火花放電が発生した際に、点火プラグの電極間に放電電流(二次電流)が流れる。ところで、点火プラグにて発生する火花放電には、正規の火花放電ギャップにて火花放電する(以下、「正常放電」という)場合と、絶縁体表面に付着したカーボンを通じて火花放電する、所謂“奥飛び”の場合とが考えられる。ここで、奥飛び時は、その放電経路として絶縁体表面に付着した比較的抵抗の大きなカーボンを通過する。そのために、奥飛び時に点火プラグの電極間を流れる放電電流は、正常放電時に電極間を流れる放電電流とは電流値が異なる値を示す。それより、火花放電時の放電電流を検出することで点火プラグにて正常放電が発生したか奥飛びが発生したかを検出することができる。 【0011】ところで、上記奥飛びは、点火プラグの電極間がカーボンの付着によって短絡される前の段階に発生するものである。それにより、奥飛びの発生を検出することは、点火プラグの電極間がカーボンの付着によって短絡される前の段階にて、くすぶり汚損を検出することを意味する。 【0012】そこで、本発明では、放電電流検出手段が点火プラグの電極間の放電電流を検出し、さらにくすぶり汚損判定手段がその放電電流に基づき、正常放電が発生したか奥飛びが発生したかを検出することによって、くすぶり汚損が発生しているか否かを検出している。その結果、点火プラグの電極間が短絡する程度にまでくすぶりが進行して失火が多発する前の段階にて、くすぶり汚損の発生を検出することができるのである。 【0013】そして、本発明では、放電電流に基づき点火プラグのくすぶり汚損が有りと判定されたときには、くすぶり汚損抑制手段にてくすぶり汚損の進行の抑制を図るのである。本発明におけるくすぶり汚損抑制手段は、例えば、内燃機関の運転条件を燃料が完全燃焼する運転条件となるように制御(変化)することにより、燃料を完全燃焼させてカーボンの発生を抑えることで、くすぶり汚損の進行を抑制するのである。なお、燃料の完全燃焼を図ることは、点火プラグの自己清浄作用を有効に発揮させることにつながるので、やがてカーボンは点火プラグの自己清浄作用により焼き切られることになり、くすぶり汚損は解消される方向に進むことになる。 【0014】したがって、本発明(請求項1)によれば、くすぶり汚損を奥飛びが発生し得る段階で早期に検出すると共に、くすぶり汚損の進行抑制の処理を早期に開始することにより、くすぶり汚損による失火の発生を抑え、内燃機関の運転性能を低下させることなく、かつ未燃焼ガスの排出を抑えることが可能な内燃機関の制御装置を提供することができる。 【0015】なお、点火プラグの電極間に流れる放電電流を検出する方法としては、例えば、点火コイルの二次コイルと点火プラグとで形成される放電電流経路上に、放電電流を検出するための検出抵抗を直列に設けて、この検出抵抗の両端電圧と検出抵抗の抵抗値から放電電流を検出(算出)する方法がある。 【0016】さらに、くすぶり汚損判定手段にて、放電電流に基づいてくすぶり汚損の有無を判定するにあたっては、以下の幾つかの手法が考えられる。まず、請求項4に記載のように、点火プラグの電極間にて火花放電期間中に流れる放電電流を積分し、その放電電流の積分値と所定の積分判定基準値との比較結果を用いて、くすぶり汚損の有無を判定する手法が挙げられる。具体的に例示すると、1燃焼サイクル毎に火花放電発生期間中に流れる放電電流を積分し、この放電電流積分値が正常放電と奥飛びとを識別するための所定の積分判定基準値よりも大きいか否かを判定し、積分値が積分判定基準値以下であるときに奥飛びが発生したとして、くすぶり汚損有りと判定する手法がある。また、1燃焼サイクル毎に算出される放電電流積分値と上記積分判定基準値とを比較して正常放電か奥飛びかを検出すると共にこの検出結果を記憶しておき、現在の燃焼サイクルの検出結果から遡って所定個数分(例えば100回分の燃焼サイクル)の累積検出結果において、奥飛びが検出された燃焼サイクルの割合が所定割合(しきい値)より大きいか否かを判定して、大きいと判定されたときにくすぶり汚損有りと判定する手法もある。なお、火花放電発生期間中に流れる放電電流に基づき正常放電と奥飛びとを識別する処理を行うにあたっては、上述のように1燃焼サイクルに1回の割合で実行してもよく、あるいは、数回の燃焼サイクルに1回の割合で実行するようにしてもよい。 【0017】また、別のくすぶり汚損の有無を判定する手法としては、請求項5に記載のように、点火プラグの電極間にて火花放電期間中に流れる放電電流の電流値が予め定められた検出基準値以上となる電流検出時間を算出し、この電流検出時間と所定の検出時間判定基準値との比較結果を用いて、くすぶり汚損の有無を判定する手法が挙げられる。具体的に例示すると、1燃焼サイクル毎に火花放電発生期間中に流れる放電電流が予め定められた検出基準値以上となる電流検出時間を算出し、この電流検出時間が正常放電と奥飛びとを識別するための所定の検出時間判定基準値よりも大きいか否かを判定し、電流検出時間が検出時間判定基準値以下であるときに奥飛びが発生したとして、くすぶり汚損有りと判定する手法がある。あるいは、1燃焼サイクル毎に上記電流検出時間と上記検出時間判定基準値とを比較して正常放電か奥飛びかを検出すると共にこの検出結果を記憶しておき、現在の燃焼サイクルの検出結果から溯って所定個数分(例えば100回分の燃焼サイクル)の累積検出結果において、奥飛びが検出された燃焼サイクルの割合が所定割合(しきい値)より大きいか否かを判定して、大きいと判定されたときにくすぶり汚損有りと判定することもできる。なお、上記電流検出時間を用いて正常放電と奥飛びとを識別するにあたっては、上述のように1燃焼サイクルに1回の割合で実行してもよく、あるいは、数回の燃焼サイクルに1回の割合で実行するようにしても良い。 【0018】このように、請求項4または請求項5に記載の手法を用いた内燃機関の制御装置によれば、放電電流に万が一ノイズが重畳した等の場合にも、奥飛びの発生を精度良く検出することができる。その結果、点火プラグの電極間がカーボンの付着によって短絡されるよりも前の段階にて、精度良くくすぶり汚損の検出を行うことができるのである。 【0019】ところで、点火プラグのくすぶり汚損の進行を抑制するくすぶり汚損抑制手段においては、放電電流に基づき点火プラグのくすぶり汚損が有りと判定されたときに、請求項2に記載のように、少なくとも点火プラグの火花放電による内燃機関の点火時期を変化させるようにするとよい。 【0020】つまり、点火時期は、混合気(燃料)の燃焼状態に大きく影響することから、放電電流に基づき点火プラグのくすぶり汚損が有りと判定されたときに、点火時期を変化させることにより、燃料を完全燃焼させてカーボンの発生を抑え、くすぶりの進行を抑制するのである。そして、点火時期を変化させて燃料の完全燃焼を図ることで、点火プラグの自己清浄作用を有効に発揮させ、やがてカーボンは点火プラグの自己清浄作用により焼き切られることになる。 【0021】点火時期を変化させるにあたっては、例えば、各燃焼サイクル毎に図示平均有効圧力を算出して、点火時期を一定量進角させることによる図示平均有効圧力の変化量を算出して、図示平均有効圧力が大きくなるように点火時期を変化させるとよい。詳細に説明すると、点火時期を進角させた後の燃焼サイクルにおける図示平均有効圧力が、進角させる前の燃焼サイクルにおける図示平均有効圧力よりも大きくなる場合には、次の燃焼サイクルにおける点火時期をさらに進角させるのである。また、反対に、点火時期を進角させた後の燃焼サイクルにおける図示平均有効圧力が、進角させる前の燃焼サイクルにおける図示平均有効圧力以下となる場合には、次の燃焼サイクルにおける点火時期を遅角させるのである。このように、図示平均平均有効圧力を大きくするように点火時期を制御することは、混合気の燃焼状態を良好にすることにつながり、燃料を完全燃焼させてカーボンの発生を抑えることができる。 【0022】さらに、点火プラグのくすぶり汚損の進行を抑制するくすぶり汚損抑制手段においては、放電電流に基づき点火プラグのくすぶり汚損が有りと判定されたときに、請求項3に記載のように、少なくとも内燃機関に供給する燃料供給量を変化させるようにするとよい。 【0023】つまり、燃料供給量は混合気の空燃比を決定する要素の一つであり、混合気(燃料)の燃焼状態に大きく影響することから、放電電流に基づき点火プラグのくすぶり汚損が有りと判定されたときに燃料供給量(空燃比)を変化させることにより、余剰な液体状態の燃料が点火プラグに付着することを抑え、くすぶり汚損の進行を抑制するのである。具体的には、燃料供給量を減少させて空燃比を高く(燃料を希薄化)することにより、余剰な液体状態の燃料を少なくしてくすぶり汚損の進行を抑制するのである。そして、燃料供給量を変化させて余剰な液体状態の燃料の点火プラグへの付着を抑え、もって燃料の完全燃焼を図ることで、点火プラグの自己清浄作用を有効に発揮させ、やがてカーボンは点火プラグの自己清浄作用により焼き切られることになる。 【0024】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面とともに説明する。まず、図1は、実施例の内燃機関の制御装置の概略構成を表す構成図である。図1に示すように、実施例の内燃機関制御装置1は、内燃機関の運転状態に基づいて各部の制御量を算出し、制御量に応じた指令信号を各部に出力することで内燃機関を総合的に制御するためのマイクロコンピュータからなる電子制御装置(ECU)21と、ECU21からの指令信号に基づいて混合気を生成するための燃料を供給する燃料制御部25と、ECU21からの指令信号に基づいて混合気に着火するための火花放電を発生する点火制御部31と、を備えている。 【0025】なお、燃料制御部25および点火制御部31は、複数の気筒を備えた内燃機関では各気筒ごとに備えてられているが、図1では図面を見易くするために、1気筒分のみを記している。そして、点火制御部31は、電源装置23と接続された一次巻線L1と二次巻線L2とからなる点火コイル13と、内燃機関の気筒に設けられるとともに、二次巻線L2と直列接続されて中心電極17aと接地電極17bとの間(火花放電ギャップg)に火花放電を発生する点火プラグ17と、二次巻線L2および点火プラグ17にて形成される放電電流経路に直列接続される検出抵抗19と、ECU21から入力される指令信号(IG信号)に基づいて点火コイル13の一次巻線L1への通電・遮断を制御し、二次巻線L2に点火用高電圧を発生させる点火コイル制御部33と、を備えている。 【0026】このうち、点火コイル制御部33は、ECU21が出力するIG信号が入力されており、例えば、IG信号がローレベル(一般にグランド電位)であるときには一次巻線L1に電流(一次電流i1)を流さず、IG信号がハイレベル(例えば、定電圧電源からの供給電圧5[v])であるときには一次巻線L1に電流(一次電流i1)を流すように、一次巻線L1への通電・遮断を行う。なお、点火コイル制御部33は、例えば、一次電流i1の通電・遮断を行う半導体素子からなるスイッチング素子(例えば、パワートランジスタなど)などを用いて構成することができる。 【0027】このため、ECU21から出力されるIG信号がハイレベルとなり一次巻線L1に一次電流i1が流れている時に、IG信号がローレベルになると、点火コイル制御部33が一次巻線L1への一次電流i1の通電を停止(遮断)することになる。すると、点火コイル13に蓄積されている磁束密度が急激に変化して、点火コイル13の二次巻線L2に誘導起電力である点火用高電圧が発生し、この点火用高電圧が点火プラグ17に印加されることで、点火プラグ17の電極17a−17b間に火花放電が発生する。 【0028】そして、火花放電の発生に伴い、点火プラグ17、二次巻線L2および検出抵抗19からなる放電電流経路に放電電流(二次電流i2)が流れることになり、検出抵抗19の両端には、検出抵抗19の抵抗値と二次電流i2の電流値により決定される電圧値である検出電圧Vrが発生する。ここで、検出抵抗19の抵抗値は固定値であることから、検出電圧Vrは二次電流i2に比例した値を示す。そして、検出抵抗19の両端に発生する検出電圧Vrは、ECU21に入力されている。 【0029】なお、検出抵抗19の抵抗値としては、1[Ω]以上10[KΩ]以下の値となるようにするとよい。このような抵抗値とすることで、ノイズの影響を受けない大きさの電位差を検出抵抗19の両端に発生することができる。ここで、くすぶり汚損により放電電流(二次電流)i2がどのように変化するかを確認するため、火花放電の形態の違い((a)正常放電、(b)点火プラグの電極間が短絡される前の段階にあるくすぶり汚損時)による二次電流i2の変化を測定した結果を以下に示す。 【0030】なお、(a)の正常放電とは、点火プラグの中心電極を内側に保持してなる絶縁体表面にカーボンがほとんど付着していない状態で、正規の火花放電ギャップにて発生する火花放電のことを表す。また、(b)のくすぶり汚損時とは、図4を援用して示すように、絶縁体17c表面における中心電極17a側の先端部から、絶縁体17cと接地電極17bが固着された取付金具17d内壁面との接触点a(実際には金属製の板パッキンを介して接触している)までの略中間位置までカーボンCが付着している状態で、カーボンCの端部と取付金具17d内壁面との間で発生する火花放電、即ち奥飛びのことを表す。 【0031】そして、測定結果として、図1に示す回路図におけるIG信号、点火プラグ17の中心電極17aの電位Vp、検出抵抗19における二次巻線L2との接続端の電位Vr(二次電流i2)の各状態を表すタイムチャートを図5に示す。なお、図5において、(a)、(b)は、上述したように(a)正常放電、(b)点火プラグの電極間が短絡される前の段階にあるくすぶり汚損時、のそれぞれの測定結果を表している。また、図5において、電位Vpを放電電圧波形と称して、電位Vrを放電電流(二次電流i2)波形と称して表す。 【0032】まず、図5(a)において、時刻t1では、IG信号をローからハイレベルに切り換え、点火コイル13の一次巻線L1に一次電流i1を流す。その後、予め設定された通電時間が経過した時刻t2にて、IG信号をハイからローレベルに切り換え、点火コイル13の一次巻線L1への一次電流i1の通電を遮断する。すると、二次巻線L2に点火用高電圧が誘起され、点火プラグ17の中心電極17aに負の点火用高電圧が印加されて、中心電極17aの電位Vpが急峻に低下してピーク値を示し、点火プラグ17の電極17a−17b間に火花放電が発生すると共に、放電電流(二次電流i2)が流れ始める。 【0033】そして、火花放電発生直後における放電電圧(Vp)のグランドレベル(0〔v〕)に対する電位差は、ピーク値から電位差VL となるまで急激に減少し、その後この電位差は徐々に大きくなる方向に変化する。このとき、放電電流(二次電流i2)は徐々に値が減少していき、時刻t3となったときに0〔A〕となり火花放電が終了する。 【0034】次に、図5(b)において、時刻t1から時刻t2までの推移は、図5(a)と同様である。そして、火花放電発生直後における放電電圧(電位Vp)のグランドレベル(0〔V〕)に対する電位差は、ピーク値から電位差VL となるまで急激に減少し、その後この電位差は徐々に小さくなる方向に変化する。ここで、図5(b)における電位差VL の値は、図5(a)における電位差VL の値よりも大きくなっている。このとき、放電電流(二次電流i2)は徐々に値が減少していき、時刻t3よりも早い時刻t4となったときに、0〔A〕となり火花放電が終了する。 【0035】これらのことから、火花放電の継続時間に関して比較すると、(a)正常放電の方が、(b)点火プラグの電極間が短絡される前の段階にあるくすぶり汚損時よりも長くなることが判る。また、図5上での放電電流(二次電流i2)の波形から算出される面積、即ち放電電流の積分値に関して比較すると、(a)正常放電の方が、(b)点火プラグの電極間が短絡される前の段階にあるくすぶり汚損時よりも大きくなることが判る。 【0036】よって、火花放電の継続時間、あるいは放電電流の積分値を用いることにより、そのときに発生した火花放電が正常放電であるか、奥飛びであるかを判定することができる。そして、奥飛びが検出できることで、点火プラグ17の電極間がカーボンの付着によって短絡される前のくすぶり汚損が検出可能となる。なお、放電電流に基づきくすぶり汚損の有無を判定する処理については、ECU21にて実行されており、その具体的な処理内容については後述する。 【0037】次に、燃料制御部25は、例えば、内燃機関の吸気管に設けられて、混合気を生成するための燃料を吸気管内に噴射する燃料噴射弁として備えらえる。そして、燃料制御部25は、ECU21が出力する燃料指令信号が入力されており、例えば、燃料指令信号がローレベル(一般にグランド電位)であるときには燃料の噴射を行わず、燃料指令信号がハイレベル(例えば、定電圧電源からの供給電圧5[v])であるときには、燃料を噴射するように動作する。なお、燃料を噴射する際には、単位時間あたりの燃料供給量が一定量となるように構成されており、燃料指令信号がハイレベルである時間が長いほど、吸気管に供給される燃料供給量が多くなる。 【0038】したがって、燃料制御部25は、ECU21が燃料指令信号をハイレベルに変化させると燃料の供給を開始し、ECU21が燃料指令信号をローレベルに変化させると燃料の供給を停止するように動作する。そして、燃料指令信号がローレベルからハイレベルに変化する時期が内燃機関の燃料噴射時期であり、燃料指令信号のハイレベル継続時間が燃料供給量に比例した長さとなる。 【0039】次に、ECU21の内部で実行される処理について説明する。なお、ECU21は、内燃機関の火花放電発生時期、燃料供給量、アイドル回転速度等を総合的に制御するためのものであり、以下に説明するくすぶり汚損抑制処理の他に、点火時期で点火プラグに火花放電を発生させるための点火制御処理や、燃料噴射時期で燃料を供給するための燃料制御処理や、内燃機関の吸入空気量(吸気管圧力),回転速度,スロットル開度,冷却水温,吸気温等、機関各部の運転状態を検出する運転状態検出処理等を行っている。 【0040】まず、点火制御処理で実行される処理について説明する。なお、点火制御処理は、内燃機関が始動した後、例えば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出するクランク角センサからの信号に基づき、内燃機関が、吸気,圧縮,燃焼,排気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で実行される。 【0041】そして、内燃機関が始動されて点火制御処理が開始されると、まず、くすぶり検出フラグEの状態を判定する。なお、くすぶり検出フラグEは、後述するくすぶり汚損抑制処理において状態が設定されており、くすぶり汚損有りと判定されるとセット状態に設定され、くすぶり汚損無しと判定されるとリセット状態に設定される。 【0042】このとき、くすぶり検出フラグEがリセット状態であれば、別途実行される運転状態検出処理にて検出された内燃機関の運転状態を読込み、読み込んだ運転状態に基づいてマップあるいは計算式を用いて、内燃機関の運転状態に適した点火時期を算出し、今回の燃焼サイクルにおける点火時期として設定する。なお、点火時期を算出するためのマップあるいは計算式は、例えば、内燃機関のエンジン回転速度やエンジン負荷などの運転状態をパラメータとして、内燃機関の運転状態に応じた点火時期を算出するように構成するとよい。 【0043】また、くすぶり検出フラグEがセット状態であれば、点火時期の更新は行わず、後述するくすぶり汚損抑制処理によって設定される点火時期を用いて以下の処理を行う。続いて、最終的に設定されている点火時期を基準として、この点火時期よりも所定時間だけ早い時刻でIG信号をハイレベルに変化させて点火コイル制御部33を動作させ、一次巻線L1への一次電流i1の通電を開始する。ここで、所定時間とは、火花放電前の一次電流通電時間のことであり、着火性の劣る運転条件においても確実に混合気へ着火できる高い点火用高電圧による火花放電を発生させるために、一次電流通電時間には、点火コイルに十分な磁束を蓄積できる時間が予め設定されている。これにより、火花放電が発生してから終了するまでの火花放電継続時間も十分長くなり、例えば、低負荷低回転などの着火性の劣る運転状態においても、火炎核の成長を助けて混合気を確実に燃焼させることができるようになる。 【0044】そのあと、点火制御処理は、IG信号をハイレベルに変化させてから一次電流通電時間が経過した点火時期にて、IG信号をローレベルに変化させて点火コイル制御部33を動作させることで一次電流i1を急激に遮断し、誘導起電力である点火用高電圧を二次巻線L2に発生させて、点火プラグ17に火花放電を発生させる。 【0045】よって、点火制御処理は、内燃機関の状態に応じて設定された点火時期で火花放電が発生するようにIG信号を制御することで、内燃機関の運転状態に適した点火時期に点火プラグ17の電極間に火花放電を発生させて、混合気を燃焼させるように処理を行う。 【0046】次に、燃料制御処理で実行される処理について説明する。なお、燃料制御処理は、内燃機関が始動した後、例えば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出するクランク角センサからの信号に基づき、内燃機関が、吸気,圧縮,燃焼,排気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で実行される。 【0047】そして、内燃機関が始動されて燃料制御処理が開始されると、まず、くすぶり検出フラグEの状態を判定する。なお、くすぶり検出フラグEは、前述の点火制御処理での判定に用いられたくすぶり検出フラグEと同一のものであり、後述するくすぶり汚損抑制処理において状態が設定されている。 【0048】このとき、くすぶり検出フラグEがリセット状態であれば、別途実行される運転状態検出処理にて検出された内燃機関の運転状態を読込み、読み込んだ運転状態に基づいてマップあるいは計算式を用いて、内燃機関の運転状態に適した空燃比の混合気を生成するための燃料供給量を算出し、今回の燃焼サイクルにおける燃料供給量として設定する。なお、燃料供給量を算出するためのマップあるいは計算式は、例えば、内燃機関のエンジン回転速度やエンジン負荷などの運転状態をパラメータとして、内燃機関の運転状態に応じた燃料供給量を算出するものを使用するとよい。 【0049】また、くすぶり検出フラグEがセット状態であれば、燃料供給量の更新は行わず、後述するくすぶり汚損抑制処理によって設定される燃料供給量を用いて以下の処理を行う。このあと、予め定められた燃料噴射時期となると、燃料指令信号をハイレベルに変化させて燃料制御部25を動作させることにより、内燃機関の吸気管内への燃料の噴射を開始する。そして、燃料指令信号をハイレベルに変化させてから、最終的に設定されている燃料供給量の燃料を供給するのに要する時間(換言すれば、燃料指令信号ハイレベル継続時間)が経過すると、燃料指令信号をローレベルに変化させて燃料制御部25の動作を停止させ、燃料の噴射を停止させる。 【0050】よって、燃料制御処理は、内燃機関の運転状態に応じて設定された燃料供給量の燃料を吸気管に供給するように燃料指令信号を制御することで、燃料制御部25を動作させて吸気管内に燃料を供給し、内燃機関の運転状態に適した空燃比の混合気を生成するように処理を行う。 【0051】続いて、ECU21の内部で実行される奥飛び判定処理を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。なお、奥飛び判定処理は、例えば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出するクランク角センサからの信号に基づき、内燃機関が、吸気,圧縮,燃焼,排気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で起動されて処理を実行する。 【0052】そして、奥飛び判定処理が、点火タイミングを迎えると同時に起動されると、まずS210(Sはステップを表す)では、火花放電発生時に検出抵抗19にて検出される放電電流を積分して放電電流積分値Iiを算出する。このとき、放電電流積分値Iiの算出方法としては、一定時間毎あるいは一定クランク角毎に放電電流を積算する方法を用いている。なお、算出方法としては、例えば、放電電流の大きさに比例した電流値の電流をコンデンサに通電し、蓄積された電荷量を放電電流積分値として算出する方法などを用いても良い。 【0053】続くS220では、S210で算出した放電電流積分値Iiが、電流積分平均値Ibに判定係数Kを乗じた値よりも小さいか否かを判定しており、肯定判定されるとS230に移行し、否定判定されるとS240に移行する。ここで、電流積分平均値Ibは、火花放電が点火プラグの火花放電ギャップgで発生したとき(正常放電時)に放電電流経路に流れる放電電流積分値の平均値である。なお、電流積分平均値Ibは、後述するS240で更新されており、内燃機関の経時変化に応じて値が更新されている。 【0054】また、カーボンが付着することにより発生する奥飛び時の放電電流は、その放電電流経路として絶縁体表面に付着した比較的抵抗の大きなカーボンを通過するため、正常放電時に比べて、奥飛び時における放電電流経路の抵抗値は大きくなる。このため、奥飛び時に点火プラグの電極間を流れる放電電流は、正常放電時に点火プラグの電極間を流れる放電電流よりも小さい電流値を示すことになる。よって、判定係数Kには、正常放電時の放電電流積分値を1とした場合に、正常放電時の放電電流積分値と奥飛び時の放電電流積分値との境界となる値(例えば0.7)が予め設定されている。 【0055】従って、S220では、S210で算出した放電電流積分値Iiが、電流積分平均値Ibに判定係数Kを乗じた値よりも小さいか否かを判定することにより、奥飛びの発生を検出している。そして、S220で肯定判定されてS230に移行すると、S230では、このときの燃焼サイクルにおける火花放電を奥飛びであると判定する。 【0056】また、S220で否定判定されてS240に移行すると、S240では、このときの燃焼サイクルにおける火花放電を正常放電であると判定し、また、電流積分平均値Ibの更新を行う。ここで、S240での電流積分平均値Ibの更新は、例えば、移動平均による算出方法を用いて、現在の燃焼サイクルにおけるS210で算出された放電電流積分値Iiから遡って、正常放電と判定された最新の過去複数回分(例えば10回分)の放電電流積分値Iiにおける平均値を、電流積分平均値Ibに代入することで行う。これにより、正常放電と判定された最新の放電電流積分値Iiを電流積分平均値Ibに反映させることができ、内燃機関の経時変化による放電電流の変化に応じて、電流積分平均値Ibを更新することができる。なお、放電電流積分値Iiの平均値の算出は、移動平均による方法に限ることはなく、指数平均による方法を用いても良い。 【0057】そして、S230あるいはS240の処理が実行されると、本奥飛び判定処理を終了する。なお、電流積分平均値Ibは、S240で更新された際に、例えば、不揮発性の記憶素子(メモリ)に常に記憶されており、内燃機関が始動された直後に実行される初回の奥飛び判定処理では、前回の運転時の最後に記憶された電流積分平均値Ibをメモリから読み出して、初回のS220での判定処理に用いる。 【0058】また、正常放電と判定された最新の過去複数回分の放電電流積分値Iiについても、S240において、例えば、不揮発性の記憶素子(メモリ)に常に記憶されている。そして、内燃機関の始動後、数回分の奥飛び判定処理においては、前回の運転時において最後に記憶された複数回分の放電電流積分値Iiをメモリから読み出して、電流積分平均値Ibの更新処理に利用している。つまり、内燃機関の始動後、数回分の奥飛び判定処理については、前回運転時の放電電流積分値Iiと、今回運転時の放電電流積分値Iiとを含めて平均を算出して、電流積分平均値Ibを更新するのである。このようにして、前回の運転時において記憶された放電電流積分値Iiを用いて電流積分平均値Ibを更新することで、電流積分平均値Ibは、内燃機関の経時変化による放電電流の変化に応じて更新されることになる。 【0059】そして、奥飛び判定処理による火花放電の判定結果は、例えば、奥飛び発生頻度Fを算出するために、ECU21にて別途実行される奥飛び発生頻度算出処理などに利用される。この奥飛び発生頻度算出処理は、内燃機関の始動後、所定時間(例えば、冷却水の温度が50℃を超えるまでの時間)が経過すると処理を開始し、最新の過去複数回分(例えば、100回分)の全燃焼サイクルにおける奥飛びの発生割合(%)を、奥飛び発生頻度Fとして算出している。 【0060】次に、ECU21の内部で実行されるくすぶり汚損抑制処理を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。なお、くすぶり汚損抑制処理は、内燃機関が始動した後、所定時間(例えば、冷却水の温度が50℃を超えるまでの時間)が経過すると処理を開始する。 【0061】そして、くすぶり汚損抑制処理が開始されると、まずS310(Sはステップを表す)では、別途実行される運転状態検出処理で検出された内燃機関の運転状態に基づき、運転状態をパラメータとするマップあるいは計算式を用いて、奥飛び発生頻度Fが、内燃機関を安定した状態で運転できる範囲を逸脱したか否かを判別するためのくすぶり判定基準値Aを読み出す。なお、このマップあるいは計算式は、例えば、予め実施した測定結果に基づいて設定し、内燃機関の運転状態をパラメータとして、内燃機関の運転状態に応じたくすぶり判定基準値Aを算出するものを使用すると良い。 【0062】次のS320では、運転中の内燃機関における奥飛び発生頻度Fが、S310で読み出したくすぶり判定基準値Aよりも大きいか否かを判断しており、肯定判定されるとS340に移行し、否定判定されるとS330に移行する。つまり、S320では、奥飛び発生頻度Fに基づいて、くすぶり汚損の状態が内燃機関を安定した状態で運転できる状態であるか否かを判定している。換言すれば、S320では、くすぶり汚損の進行を抑制するための処理を行うか否かを判定している。なお、奥飛び発生頻度Fは、前述した奥飛び発生頻度算出処理にて算出され、運転中の内燃機関における最新の奥飛び発生割合(%)を表している。 【0063】そして、S320で否定判定されてS330に移行すると、S330では、くすぶり検出フラグEをリセット状態に設定する。このようにくすぶり検出フラグEを設定することにより、前述した点火制御処理および燃料制御処理によって、くすぶり汚損が発生していない通常運転時における内燃機関の運転状態に適した点火時期および燃料供給量がそれぞれ設定される。そしてS330での処理が行われると、S310に移行する。 【0064】また、S320で肯定判定されてS340に移行すると、S340では、くすぶり検出フラグEをセット状態に設定する。このようにくすぶり検出フラグEをセット状態に設定することにより、前述した点火制御処理および燃料制御処理において点火時期および燃料供給量を設定するのではなく、本くすぶり汚損抑制処理にて、点火時期および燃料供給量を設定することになる。そしてS340での処理が行われると、S350に移行する。 【0065】続くS350では、この時点で設定されている点火時期が、内燃機関を安定した状態で運転できるよう予め定められた制限範囲内であるか否かを判断しており、肯定判定されるとS360に移行し、否定判定されるとS370に移行する。なお、この時の点火時期は、前回の燃焼サイクルにおける点火時期に相当する。 【0066】そして、S350で肯定判定されてS360に移行すると、S360ではくすぶり汚損の進行を抑制すべく点火時期を一定量変化させる。このとき、点火時期を一定量変化させるにあたっては、例えば、各燃焼サイクルごとに図示平均有効圧力を算出して、点火時期を一定量進角させることによる図示平均有効圧力の変化量を算出して、図示平均有効圧力が大きくなるように点火時期を変化させている。つまり、例えば、点火時期を進角させた後の燃焼サイクルにおける図示平均有効圧力が、進角させる前の燃焼サイクルにおける図示平均有効圧力よりも大きくなる場合には、次の燃焼サイクルにおいて設定する点火時期をさらに進角させるのである。また、反対に、点火時期を進角させた後の燃焼サイクルにおける図示平均有効圧力が、進角させる前の燃焼サイクルにおける図示平均有効圧力以下となる場合には、次の燃焼サイクルにおいて設定する点火時期を遅角させるのである。 【0067】そして、実際に図示平均有効圧力を用いて点火時期を変化させる際には、前回および前々回の燃焼サイクルにおけるそれぞれの図示平均有効圧力を比較して、前回の図示平均有効圧力が大きくなる場合には、前回の点火時期を基準として、前々回から前回にかけて点火時期を変化させた方向と同じ方向に変化させた点火時期を、今回の点火時期として設定するのである。反対に、前回の図示平均有効圧力が前々回の図示平均有効圧力以下である場合には、前回の点火時期を基準として、前々回から前回にかけて点火時期を変化させた方向の反対方向に変化させた点火時期を、今回の点火時期として設定するのである。 【0068】このように、図示平均有効圧力を大きくするように点火時期を制御することは、混合気の燃焼状態を良好にすることになるため、燃料が完全燃焼されてカーボンの発生を抑制することができる。このように点火時期を変化させて燃料を完全燃焼させることにより、点火プラグのくすぶり汚損の進行を抑制して、やがては点火プラグの自己清浄作用によって絶縁体表面に付着したカーボンを焼き切り、清浄化させることが可能となる。 【0069】そして、S360の処理が行われるとS370に移行する。また、S350で否定判定されるか、S360の処理が行われると、S370に移行し、S370では、この時点で設定されている燃料供給量が、内燃機関を安定した状態で運転できるよう定められた制限範囲内であるか否かを判断しており、肯定判定されるとS380に移行し、否定判定されるとS310に移行する。なお、この時の燃料供給量は、前回の燃焼サイクルにおける燃料供給量に相当する。 【0070】そして、S370で肯定判定されてS380に移行すると、S380ではくすぶり汚損の進行を抑制すべく燃料供給量を一定量変化させる。このとき、燃料供給量を変化させるにあたっては、例えば、燃料供給量を減少させると良い。つまり、燃料供給量を減少させることにより、空燃比を高く(燃料を希薄化)して燃料の霧化を促進させ、燃料を完全燃焼させることで、液体状態の燃料から生成されるカーボンの発生を抑えることができる。また、燃料供給量を減少させて燃料を完全燃焼させることにより、点火プラグのくすぶり汚損の進行を抑制して、やがては点火プラグの自己清浄作用によって絶縁体表面に付着したカーボンを焼き切り、清浄化させることが可能となる。 【0071】そして、S380の処理が行われるとS310に移行する。このようにして、S310からS380までの処理を繰り返し実行することで、くすぶり汚損抑制処理が行われる。以上説明したように、本くすぶり汚損抑制処理は、くすぶり汚損無しと判定される(S320で否定判定される)と、くすぶり検出フラグEをリセットして(S330)、点火制御処理および燃料制御処理において、内燃機関の運転状態に基づいて点火時期および燃料供給量がそれぞれ設定されるように処理を行う。このため、くすぶり汚損が無いと判定された場合には、通常運転時における内燃機関の運転状態に適した点火時期および燃料供給量(空燃比)で、内燃機関を運転する事ができる。 【0072】また、くすぶり汚損有りと判定される(S320で肯定判定される)と、くすぶり検出フラグEをセット状態に設定して(S340)、点火制御処理および燃料制御処理ではなく、本くすぶり汚損抑制処理において点火時期および燃料供給量を設定する処理を行う。そして、本くすぶり汚損抑制処理では、点火制御処理および燃料制御処理において最後に設定された(即ち、くすぶり汚損有りと判定される直前に設定されていた)点火時期および燃料供給量を初期値として、くすぶり汚損の進行を抑制するように点火時期および燃料供給量をそれぞれ一定量変化させている。また、一度くすぶり汚損が検出されると、点火プラグの自己清浄により絶縁体表面に付着したカーボンが焼き切られ、くすぶり汚損無しと判定されるまでの間、点火時期および燃料供給量は、繰り返し一定量ずつ変化していくことになる。このため、点火時期および燃料供給量の変化(制御)により、内燃機関の運転条件は点火プラグの自己清浄作用がより発揮され易い状態となっていき、くすぶり汚損の進行を抑制しつつ、くすぶり汚損の解消をより効果的に行うことが可能になる。 【0073】ただし、点火時期および燃料供給量ともに無制限に変化させた場合、ノッキングの発生などにより、内燃機関を安定して運転することができなくなる虞や、燃料を必要以上に消費してしまう虞などがある。このため、点火時期および燃料供給量が、内燃機関を安定した状態で運転できる制限範囲内であることを、それぞれS350およびS370で判定した上で、点火時期および燃料供給量をそれぞれ一定量変化させるようにしている。 【0074】そして、くすぶり汚損無しと判定される(S320で否定判定される)と、くすぶり検出フラグEをリセット状態に設定し(S330)、点火制御処理および燃料制御処理において点火時期および燃料供給量がそれぞれ設定されるようにして、通常運転時における内燃機関の運転状態に適した制御を行うようにする。 【0075】以上説明したように、本実施例の内燃機関用制御装置では、火花放電発生時の放電電流に基づいて失火に至る前にくすぶり汚損を検出し、くすぶり汚損を検出すると、点火時期および燃料供給量をくすぶり汚損の進行を抑制するように変化させて内燃機関を制御している。 【0076】以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、本実施例における奥飛び判定処理では、放電電流の積分値を用いて奥飛び検出を行っているが、火花放電発生期間中の放電電流の電流値が予め定められた検出基準値以上となる電流検出時間を算出し、この電流検出時間を火花放電継続時間とみなして、火花放電継続時間に基づいて奥飛び検出を行うようにしても良い。つまり、電流検出時間が、正常放電と奥飛びとを判別するための検出時間判定基準値よりも小さくなるときに、奥飛びが発生していると判定するのである。 【0077】ここで、電流検出時間を用いた奥飛び判定処理を図6に示す。そして、図6に示す奥飛び判定処理が、点火タイミングを迎えると同時に起動されると、まずS610(Sはステップを表す)では、電位Vrおよび検出抵抗19により検出された放電電流Iが、予め設定された検出基準電流値Ith以上であるか否かを判断しており、肯定判定されるとS620に移行し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行することで待機する。 【0078】そして、検出された放電電流Iが検出基準電流値Ith以上の値となると、S610にて肯定判定されてS620に移行し、S620では、この時の時刻を記憶して、放電電流の電流検出時間Tの積算を開始する。続くS630では、放電電流Iが検出基準電流値Ithよりも小さいか否かを判断しており、肯定判定されるとS640に移行し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行することにより待機する。 【0079】そして、放電電流Iが検出基準電流値Ithよりも小さくなり、S630にて肯定判定されると、S640に移行し、S640では、この時点の時刻からS620で記憶した時刻を差し引くことにより、放電電流の電流検出時間Tを算出し、検出時間の積算を終了する。 【0080】続くS650では、S640にて算出した放電電流の電流検出時間Tが、正常放電と奥飛びとを識別するために予め設定された検出時間判定基準値Tth以上であるか否かを判断しており、肯定判定されるとS660に移行し、否定判定されるとS670に移行する。 【0081】そして、S650で肯定判定されてS660に移行すると、S660では、この時の燃焼サイクルにおける火花放電を正常放電であると判定する。また、S650で否定判定されてS670に移行すると、S670では、この時の燃焼サイクルにおける火花放電を奥飛びであると判定する。 【0082】そして、S660あるいはS670の処理が実行されると、本奥飛び判定処理は終了する。このようにして、図6に示す奥飛び判定処理は、電流検出時間を用いて、正常放電あるいは奥飛びを判定している。そして、図6に示す奥飛び判定処理による火花放電の判定結果は、上述の実施例(図2に示す奥飛び判定処理)と同様に、奥飛び発生頻度算出処理などの処理に用いられる。 【0083】また、図2に示す奥飛び判定処理において使用される判定係数Kは、予め定められた固定値ではなく、内燃機関の運転状態に基づいて、マップあるいは計算式を用いて内燃機関の運転状態に応じた値を設定するようにしてもよい。これにより、内燃機関の運転状態に適した判定係数Kで、正常放電と奥飛び放電とをより精度良く識別することができる。 【0084】さらに、奥飛び判定処理は、1燃焼サイクルに1回の割合で実行するのではなく、数回の燃焼サイクルに1回の割合で実行するようにしても良い。これにより、ECUの処理負荷の上昇を抑えることができる。そして、くすぶり汚損抑制処理において使用される点火時期の制限範囲および燃料供給量の制限範囲は、予め定められた固定値ではなく、内燃機関の運転状態に基づいて、マップあるいは計算式を用いて内燃機関の運転状態に応じた制限範囲を設定するようにしてもよい。これにより、内燃機関の運転状態に適した制限範囲で、点火時期および燃料供給量を設定することができる。 【0085】また、くすぶり汚損を検出した際に、変化させる内燃機関の制御量としては、同一の燃焼サイクルにおいて、点火時期および燃料供給量の2種類の制御量を変化させるのではなく、点火時期あるいは燃料供給量のいずれか1種類の制御量を変化させるようにしても良い。つまり、例えば、まず先に点火時期を変化させて内燃機関の運転を行い、制限範囲の限界まで点火時期を変化させてもくすぶり汚損の進行を抑制することができない場合に、続いて燃料供給量を変化させるのである。なお、このとき、燃料供給量を先に変化させて、次に点火時期を変化させるようにしても良い。また、1種類の制御量を変化させることで、くすぶり汚損の進行の抑制が可能な内燃機関については、1種類の制御量のみを変化させるように制御装置を構成しても良い。 【0086】このように、1燃焼サイクルにおいて変化させる制御量を1種類にすることで、1燃焼サイクルあたりに実行する処理を減少させることができ、くすぶり汚損の進行を抑制するための処理によるECUの処理負荷の上昇を最小限に抑制することができる。 【0087】さらに、複数の気筒を備える内燃機関については、各気筒ごとに独立してくすぶり汚損の進行を抑制するための処理を実行するようにしても良い。これにより、くすぶり汚損が発生した気筒については、確実にくすぶり汚損の進行を抑制するようにしつつ、くすぶり汚損が発生していない気筒については、通常運転時に適した制御量で混合気を燃焼させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004547 【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月29日(2000.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082500 【弁理士】 【氏名又は名称】足立 勉 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−271732(P2001−271732A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月5日(2001.10.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−91569(P2000−91569) |
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