| 【発明の名称】 |
内燃機関点火制御方法及び内燃機関用点火制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 憲夫
【氏名】木邨 賢司
【氏名】長田 高広
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| 【要約】 |
【課題】内燃機関の始動性を良好にし、アイドリング時の回転を安定にすることができる内燃機関点火制御方法を提供する。
【解決手段】内燃機関の特定の回転角度位置でパルス信号Vp1,Vp2を発生する信号発電機3と、機関により駆動される磁石式交流発電2の発電コイルWg の出力波形の零クロス点を検出する毎に位置検出信号Vs3を出力する位置検出回路11とを設ける。機関の始動時には、信号発電機3がパルス信号Vp2を発生した時に機関を点火し、機関のアイドリング回転時にはパルス信号Vp1が発生した後パルス信号Vp2が発生するまでの間に位置検出回路11が位置検出信号Vs3を出力した時に機関を点火する。アイドリング回転を超える領域では、CPU8が演算した点火位置で機関を点火する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関の上死点よりも進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅角した位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する信号発生装置と、前記内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの出力波形の特異点を検出する毎に位置検出信号を出力する位置検出回路とを設けて、前記第1のパルス信号が発生してから第2のパルス信号が発生するまでの間に前記位置検出信号が少なくとも1回発生するように前記信号発生装置の出力と発電コイルの出力との間の位相関係を設定しておき、前記内燃機関の始動時及び前記内燃機関の回転速度が設定値よりも低い時には、前記信号発生装置が第2のパルス信号を出力した時または、前記位置検出回路が位置検出信号を発生した時に前記内燃機関を点火し、前記内燃機関の回転速度が前記設定値を超えている時には前記内燃機関の回転速度を含む制御条件に対して演算された回転角度位置で前記内燃機関を点火するように前記内燃機関の点火位置を制御する内燃機関点火制御方法。 【請求項2】 内燃機関の上死点よりも進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅角した位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する信号発生装置と、前記内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの出力波形の特異点を検出する毎に位置検出信号を出力する位置検出回路とを設けて、前記第1のパルス信号が発生してから第2のパルス信号が発生するまでの間に前記位置検出信号が少なくとも1回発生するように前記信号発生装置の出力と発電コイルの出力との間の位相関係を設定しておき、前記内燃機関の始動時及びその回転速度が第1の設定値よりも低い時には、前記信号発生装置が第2のパルス信号を出力した時に前記内燃機関を点火し、前記内燃機関の回転速度が前記第1の設定値から該第1の設定値よりも高い第2の設定値までの範囲にあるときには前記第1の回転角度位置と第2の回転角度位置との間で前記位置検出信号が位置検出信号を発生した時に前記内燃機関を点火し、前記内燃機関の回転速度が前記第2の設定値を超えている時には前記内燃機関の回転速度を含む制御条件に対して演算された回転角度位置で前記内燃機関を点火するように前記内燃機関の点火位置を制御する内燃機関点火制御方法。 【請求項3】 内燃機関の回転角度位置が回転速度に応じて予め定めておいた特定の回転角度位置に一致したことが検出された時に前記内燃機関を点火するように該内燃機関の点火位置を制御する低速時点火位置制御手段と、少なくとも前記内燃機関の回転速度を制御条件として演算された点火位置が検出された時に前記内燃機関を点火するように前記内燃機関の点火位置を制御する定常時点火位置制御手段とを備え、前記内燃機関の始動時及び該内燃機関が設定値以下の回転速度で回転している時には前記低速時点火位置制御手段により前記内燃機関の点火位置を定め、前記内燃機関が前記設定値を超える回転速度で回転している時には前記定常時点火位置制御手段により前記内燃機関の点火位置を定める内燃機関用点火制御装置において、前記内燃機関の上死点よりも進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅角した位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する信号発生装置と、前記内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの出力の波形の特異点を検出する毎に位置検出信号を出力する位置検出回路とを備え、前記第1の回転角度位置と第2の回転角度位置との間で前記位置検出信号が少なくとも1回発生するように前記信号発生装置の出力と発電コイルの出力との間の位相関係が設定され、前記低速時点火位置制御手段は、前記内燃機関の始動時及び前記内燃機関の回転速度が第1の設定値よりも低い時には前記信号発生装置が第2のパルス信号を発生した時に前記内燃機関を点火し、前記内燃機関の回転速度が前記第1の設定値から該第1の設定値よりも高い第2の設定値までの範囲にある時には、前記第1の回転角度位置と第2の回転角度位置との間で前記位置検出回路が位置検出信号を発生した時に前記内燃機関を点火するように構成され、前記定常時点火位置制御手段は、前記内燃機関の回転速度が前記第2の設定値を超えている時に前記演算された点火位置で前記内燃機関を点火するように構成されていることを特徴とする内燃機関用点火制御装置。 【請求項4】 前記位置検出回路は、前記発電コイルの出力波形の零クロス点を前記特異点として検出する零クロス検出回路からなっている請求項3に記載の内燃機関用点火制御装置。 【請求項5】 前記位置検出回路は、前記発電コイルの出力波形のピーク点を前記特異点として検出するピーク検出回路からなっている請求項3に記載の内燃機関用点火制御装置。 【請求項6】 内燃機関の上死点よりも進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅角した位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する信号発生装置と、前記内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの出力波形の特異点を検出する毎に位置検出信号を出力する位置検出回路とを設けて、前記第2のパルス信号が発生した後に前記位置検出信号が発生するように前記信号発生装置の出力と発電コイルの出力との間の位相関係を設定しておき、前記内燃機関の始動時及びその回転速度が第1の設定値よりも低い時には、前記位置検出信号が発生した時に前記内燃機関を点火し、前記内燃機関の回転速度が前記第1の設定値から該第1の設定値よりも高い第2の設定値までの範囲にあるときには前記第2のパルス信号が発生した時に前記内燃機関を点火し、前記内燃機関の回転速度が前記第2の設定値を超えている時には前記内燃機関の回転速度を含む制御条件に対して演算された回転角度位置で前記内燃機関を点火するように前記内燃機関の点火位置を制御する内燃機関点火制御方法。 【請求項7】 内燃機関の回転角度位置が特定の回転角度位置に一致したことが検出された時に前記内燃機関を点火するように該内燃機関の点火位置を制御する低速時点火位置制御手段と、少なくとも前記内燃機関の回転速度を制御条件として演算された点火位置が検出された時に前記内燃機関を点火するように前記内燃機関の点火位置を制御する定常時点火位置制御手段とを備え、前記内燃機関の始動時及び該内燃機関が設定値以下の回転速度で回転している時には前記低速時点火位置制御手段により前記内燃機関の点火位置を定め、前記内燃機関が前記設定値を超える回転速度で回転している時には前記定常時点火位置制御手段により前記内燃機関の点火位置を定める内燃機関用点火制御装置において、前記内燃機関の上死点よりも進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅角した位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する信号発生装置と、前記内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの出力の波形の特異点を検出する毎に位置検出信号を出力する位置検出回路とを備え、前記第2の回転角度位置よりも遅角した位置で前記位置検出信号が発生するように前記信号発生装置の出力と発電コイルの出力との間の位相関係が設定され、前記低速時点火位置制御手段は、前記内燃機関の始動時及び前記内燃機関の回転速度が第1の設定値よりも低い時には前記位置検出信号が発生した時に前記内燃機関を点火し、前記回転速度が前記第1の設定値から該第1の設定値よりも高い第2の設定値までの範囲にあるときには前記信号発生装置が第2のパルス信号を発生した時に前記内燃機関を点火するように構成され、前記定常時点火位置制御手段は、前記内燃機関の回転速度が前記第2の設定値を超えている時に前記演算された点火位置で前記内燃機関を点火するように構成されていることを特徴とする内燃機関用点火制御装置。 【請求項8】 前記位置検出回路は、前記発電コイルの出力波形の零クロス点を前記特異点として検出する零クロス検出回路からなっている請求項7に記載の内燃機関用点火制御装置。 【請求項9】 前記位置検出回路は、前記発電コイルの出力波形のピーク点を前記特異点として検出するピーク検出回路からなっている請求項7に記載の内燃機関用点火制御装置。 【請求項10】 内燃機関の回転角度位置が特定の回転角度位置に一致したことが検出された時に前記内燃機関を点火するように該内燃機関の点火位置を制御する低速時点火位置制御手段と、少なくとも前記内燃機関の回転速度を制御条件として演算された点火位置が検出された時に前記内燃機関を点火するように前記内燃機関の点火位置を制御する定常時点火位置制御手段とを備え、前記内燃機関の始動時及び該内燃機関が設定値以下の回転速度で回転している時には前記低速時点火位置制御手段により前記内燃機関の点火位置を定め、前記内燃機関が前記設定値を超える回転速度で回転している時には前記定常時点火位置制御手段により前記内燃機関の点火位置を定める内燃機関用点火制御装置において、前記内燃機関の上死点よりも進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅角した位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する信号発生装置と、前記内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの一方の極性の出力電圧が設定値に達する毎に位置検出信号を出力する位置検出回路とを備え、前記第2の回転角度位置よりも遅角した位置で前記位置検出信号が発生するように前記信号発生装置の出力と発電コイルの出力との間の位相関係が設定され、前記低速時点火位置制御手段は、前記内燃機関の始動時及び前記内燃機関の回転速度が第1の設定値よりも低い時には前記位置検出信号が発生した時に前記内燃機関を点火し、前記回転速度が前記第1の設定値から該第1の設定値よりも高い第2の設定値までの範囲にあるときには前記信号発生装置が第2のパルス信号を発生した時に前記内燃機関を点火するように構成され、前記定常時点火位置制御手段は、前記内燃機関の回転速度が前記第2の設定値を超えている時に前記演算された点火位置で前記内燃機関を点火するように構成されていることを特徴とする内燃機関用点火制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の点火位置を制御する点火制御方法及び該点火制御方法を実施する内燃機関用点火制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】内燃機関用の点火装置は、点火信号が与えられた時に点火コイルの一次電流を制御して該点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を発生させる点火回路と、該点火回路に点火信号を与える位置(点火位置)を制御する点火制御装置とにより構成される。 【0003】点火制御装置は、内燃機関のクランク軸の回転角度位置が回転速度に応じて予め定めておいた特定の回転角度位置に一致したことが検出された時に内燃機関を点火するように該内燃機関の点火位置を制御する低速時点火位置制御手段と、少なくとも内燃機関の回転速度を制御条件として演算された点火位置が検出された時に内燃機関を点火するように内燃機関の点火位置を制御する定常時点火位置制御手段とを備えていて、内燃機関の始動時及び該内燃機関が設定値以下の回転速度で回転している時には低速時点火位置制御手段により内燃機関の点火位置を定め、内燃機関が設定値を超える回転速度で回転している時には定常時点火位置制御手段により前記内燃機関の点火位置を定める。 【0004】内燃機関には、機関の回転情報(回転速度情報及び回転角度情報)を得るために信号発生装置が取り付けられる。信号発生装置は、通常、誘導子形の発電機からなっていて、機関の上死点位置(ピストンが上死点に達した時のクランク軸の回転角度位置)より進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅れた位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する。 【0005】第1の回転角度位置は、通常機関の点火位置の最大進角位置、または該最大進角位置よりも更に進んだ位置に設定され、この第1の回転角度位置を基準位置として点火位置の計測が行われる。また第2の回転角度位置は、機関の低速時の点火位置として適した位置に設定される。 【0006】従来の点火制御装置において、低速時点火位置制御手段は、上記信号発生装置が低速時の点火位置として適した第2の回転角度位置で第2のパルス信号を発生した時に点火回路に点火信号を与えるように構成される。 【0007】また定常時点火位置制御手段は、例えば、内燃機関に取り付けられた信号発生装置が定位置で発生する信号から機関の回転速度情報と回転角度情報とを得て点火位置を演算する点火位置演算手段と、信号発生装置が特定の信号を発生した時に演算した点火位置の計測を開始して、該点火位置の計測が完了した時(機関のクランク軸の回転角度位置が演算した点火位置に一致したことが検出された時)に点火信号を発生する点火信号発生手段とにより構成される。これらの手段は、例えば、マイクロコンピュータに所定のプログラムを実行させることにより実現される。 【0008】内燃機関の点火位置を制御する場合に、内燃機関の低速時においても、信号発生装置の出力から得た回転情報を用いて点火位置を演算して、演算した点火位置で機関を点火することが考えられる。しかしながら、機関の始動時及び低速回転時には、機関の回転が安定せず、機関の行程変化によりクランク軸の回転速度が細かく変動するため、信号発生装置が発生する信号から正しく回転情報を得ることができない。そのため、機関の低速時には点火位置を的確に演算することが難しく、低速時にも演算した点火位置で機関を点火しようとすると、かえって機関の回転が安定しなくなる。そのため、機関の低速時には、演算した点火位置で機関を点火するのではなく、信号発生装置が予め定めた一定の回転角度位置で信号を発生した時に機関を点火するようにしている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】内燃機関においては、始動時に点火位置が上死点に対して進角していると、機関が点火した際にピストンが押し戻される現象(ケッチンと呼ばれる。)が生じて機関の始動に失敗することがある。そのため、機関の始動時には上死点に近い十分に遅角した位置で機関を点火する必要がある。 【0010】しかしながら、機関のケッチンを防止するために、機関の低速時の点火位置を十分に遅角した位置に設定すると、機関が始動した後その回転速度がアイドリング回転速度まで上昇したときに、点火位置が遅れ過ぎていてアイドリングが安定しない場合があった。例えばある内燃機関では、機関の始動時の最適な点火位置は上死点より更に2度遅角した位置であるが、アイドリング状態での最適な点火位置は上死点前10度の位置である。この場合に、低速時の点火位置を、機関の始動性を良好にすることを重視して上死点後2度の位置に設定すると、アイドリングを安定に行なわせることができない。 【0011】そこで、アイドリング時の点火位置を演算により決めることが考えられるが、アイドリング状態では、機関の回転速度が細かく変動するため、前述の理由により、点火位置を的確に演算することができず、演算した点火位置で機関を点火しても機関の回転を安定させることができない。 【0012】また信号発生装置から異なる位置で3以上の信号を発生させて、該信号発生装置の出力信号を利用して始動時の点火位置及びアイドリング時の点火位置を定めるようにすることも考えられるが、信号発生装置から3以上の信号を発生させようとすると、信号発生装置の構成が複雑になるので好ましくない。 【0013】本発明の目的は、始動時及び低速時の点火位置を最適な位置に設定することができるようにした内燃機関点火制御方法及び該点火制御方法を実施するために用いる点火制御装置を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の点火制御方法においては、内燃機関の上死点よりも進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅角した位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する信号発生装置と、内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの出力の波形の特異点を検出する毎に位置検出信号を出力する位置検出回路とを設けて、第1の回転角度位置と第2の回転角度位置との間で位置検出信号が少なくとも1回発生するように信号発生装置の出力と発電コイルの出力との間の位相関係を設定しておく。 【0015】そして、内燃機関の回転速度が設定値よりも低いときには、信号発生装置が第2のパルス信号を発生した時、または第1の回転角度位置と第2の回転角度位置との間で位置検出回路が位置検出信号を発生した時に内燃機関を点火し、内燃機関の回転速度が設定値を超えている時には内燃機関の回転速度を含む制御条件に対して演算された回転角度位置で内燃機関を点火するように内燃機関の点火位置を制御する。 【0016】磁石式交流発電機内の発電コイルの出力波形の特異点とは、他の部分と明確に区別し得る点であって、例えば、出力波形の零クロス点や、ピーク点である。磁石式交流発電機の出力電圧のピーク点を検出した時に位置検出信号を発生させる場合には、位置検出回路としてピーク検出回路を用いる。また磁石式交流発電機の出力電圧の零クロス点を検出した時に位置検出信号を発生させる場合には、位置検出回路として零クロス検出回路を用いる。 【0017】位置検出回路は、発電コイルの出力電圧波形の特異点を検出する毎に位置検出信号を発生するため、位置検出信号は機関のクランク軸の1回転当たり複数回発生するが、本発明では、信号発生装置が第1の信号を発生した後に発生する位置検出信号を低速時の点火位置を定める信号として用いるので、1回転当たり複数個発生する位置検出信号の中から、低速時の点火位置を定めるために用いる位置検出信号を識別することは容易である。 【0018】上記のように、内燃機関により駆動される磁石式交流発電機の出力波形からも機関の回転角度位置の情報を得るようにすると、信号発生装置の構成を複雑にすることなく、始動時及び低速時の点火位置を定めるために用いることができる信号を複数個発生させることができるため、機関の低速時の点火位置の制御を的確に行なうことができる。 【0019】機関の始動時及び低速時の最適な点火位置は機関により異なるが、通常の機関では、始動時及び、機関の回転速度が第1の設定値よりも低い時には、機関の上死点付近の十分に遅角した位置で点火を行なわせ、機関の回転速度が第1の設定値以上、第2の設定値以下の時には(例えばアイドリング領域では)、始動時の点火位置よりも進角した位置で点火を行なわせるようにするのが好ましい。 【0020】このような機関に本発明を適用する場合には、機関の始動時及び機関の回転速度が第1の設定値よりも低い時に信号発生装置が第2のパルス信号を発生した時に内燃機関を点火し、内燃機関の回転速度が第1の設定値以上、第2の設定値以下の範囲にあるときには、第1の回転角度位置と第2の回転角度位置との間で位置検出回路が位置検出信号を発生した時に内燃機関を点火し、内燃機関が第2の設定値を超える回転速度で回転している時には内燃機関の回転速度を含む制御条件に対して演算された回転角度位置で内燃機関を点火するようにするのが好ましい。 【0021】上記のように構成すると、機関の始動時及び極低速時(回転速度が第1の設定値未満の時)に十分に遅角した第2のパルス信号の発生位置で機関を点火することができるため、機関の始動時にケッチンが生じるのを防ぐことができる。また機関が始動して回転速度が第1の設定値から第2の設定値までの範囲にある場合には、第2のパルス信号の発生位置よりも進角した位置検出信号の発生位置で機関を点火させることができるため、低速回転時の回転を安定にすることができる。 【0022】本発明に係わる内燃機関用点火制御装置は、内燃機関の回転角度位置が回転速度に応じて予め定めておいた特定の回転角度位置に一致したことが検出された時に内燃機関を点火するように該内燃機関の点火位置を制御する低速時点火位置制御手段と、少なくとも内燃機関の回転速度を制御条件として演算された点火位置が検出された時に内燃機関を点火するように内燃機関の点火位置を制御する定常時点火位置制御手段とを備えて、内燃機関の始動時及び該内燃機関の回転速度が設定値以下である時には低速時点火位置制御手段により内燃機関の点火位置を定め、内燃機関の回転速度が設定値を超えているときには点火位置制御手段により内燃機関の点火位置を定めるように制御するものである。 【0023】本発明においては、内燃機関の上死点よりも進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅角した位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する信号発生装置と、内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの出力の波形の特異点を検出する毎に位置検出信号を出力する位置検出回路とを設け、第1の回転角度位置と第2の回転角度位置との間で位置検出信号が少なくとも1回発生するように信号発生装置の出力と発電コイルの出力との間の位相関係を設定する。 【0024】低速時点火位置制御手段は、内燃機関の始動時及び内燃機関の回転速度が第1の設定値よりも低い時には信号発生装置が第2のパルス信号を発生した時に内燃機関を点火し、内燃機関の回転速度が第1の設定値以上、第2の設定値以下の範囲にある時には、第1の回転角度位置と第2の回転角度位置との間で位置検出回路が位置検出信号を発生した時に内燃機関を点火するように構成される。 【0025】また定常時点火位置制御手段は、内燃機関の回転速度が第2の設定値を超えている時に演算された点火位置で内燃機関を点火するように構成される。 【0026】上記の説明では、信号発生装置が機関の始動時の点火位置として適した位置で第2のパルス信号を発生するとしたが、磁石式交流発電機内の発電コイルの出力波形の特異点を検出する位置検出検出回路から機関の始動時に適した回転角度位置を検出するための位置検出信号を出力させるようにしてもよい。 【0027】即ち、本発明においては、内燃機関の上死点よりも進角した位置に設定された第1の回転角度位置及び該第1の回転角度位置よりも遅角した位置に設定された第2の回転角度位置でそれぞれ第1のパルス信号及び第2のパルス信号を発生する信号発生装置と、内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの出力波形の特異点を検出する毎に位置検出信号を出力する位置検出回路とを設けて、第2のパルス信号が発生した後に位置検出信号が発生するように信号発生装置の出力と発電コイルの出力との間の位相関係を設定し、内燃機関の始動時及びその回転速度が第1の設定値よりも低い時には、位置検出信号が発生した時に内燃機関を点火し、内燃機関の回転速度が第1の設定値から該第1の設定値よりも高い第2の設定値までの範囲にあるときには第2のパルス信号が発生した時に内燃機関を点火し、内燃機関の回転速度が第2の設定値を超えている時には内燃機関の回転速度を含む制御条件に対して演算された回転角度位置で内燃機関を点火するようにしてもよい。 【0028】上記位置検出回路としては、零クロス検出回路や、ピーク検出回路を用いることができる。 【0029】上記の説明では、内燃機関により駆動される磁石式交流発電機内に設けられた発電コイルの出力波形の零クロス点やピーク点等の特異点を検出して位置検出信号を出力するように位置検出回路を構成したが、信号発生装置が第2のパルス信号を発生した後に、位置検出回路から位置検出信号を発生させて、該位置検出信号の発生位置を機関の始動時及び機関の回転速度が第1の設定値未満の時の点火位置とする場合には、発電コイルの一方の極性の出力電圧が一定の設定値に達する毎に位置検出信号を出力するように位置検出回路を構成してもよい。 【0030】発電コイルの出力電圧が一定の設定値に達する位置(クランク軸の回転角度位置)は、機関の回転速度の上昇に伴う発電コイルの出力電圧の波高値の上昇に伴って進角していく。したがって上記のように、発電コイルの一方の極性の出力電圧が一定の設定値に達する毎に位置検出信号を出力するように位置検出回路を構成した場合には、機関の回転速度が第1の設定値以下の領域で、点火位置を機関の回転速度の上昇に伴って進角させることができ、回転速度が第1の設定値から第2の設定値までの範囲にあるときには、点火位置を一定(第2のパルス信号の発生位置)にすることができる。ここで、回転速度が第1の設定値から第2の設定値までの範囲の値をとる領域をアイドリング領域とすると、機関の始動時には点火位置を十分に遅角させてケッチンを防止することができ、機関が始動した後点火位置を進角させて、アイドリング領域では、その回転を維持するのに適した一定の点火位置で点火動作を行わせることができるため、内燃機関の始動時にケッチンが生じるのを防止しつつ、アイドリング回転を安定に行わせることができる。 【0031】 【発明の実施の形態】図1は本発明に係わる内燃機関用点火制御装置の構成例を示したもので、同図において1は点火回路、2は内燃機関により駆動される磁石式交流発電機、3は機関の特定の回転角度位置の情報を与える第1のパルス信号Vp1及び第2のパルス信号Vp2を発生する信号発生装置である。 【0032】4は発電機2内に設けられたバッテリ充電用発電コイルWg の出力電圧によりレギュレータ6を通して充電されるバッテリ、7はバッテリ4の出力電圧を昇圧して点火回路1に与える電源電圧を発生するDC−DCコンバータ、8はマイクロコンピュータのCPUである。 【0033】また9及び10はそれぞれ信号発生装置3が発生する第1のパルス信号Vp1及び第2のパルス信号Vp2をCPU8が認識し得る波形の第1の信号Vs1及び第2の信号Vs2に変換してCPU8のポートA1 及びA2 にを与える第1及び第2の波形整形回路で、この例では、信号発電機3と第1及び第2の波形整形回路9及び10とにより信号発生装置が構成されている。 【0034】11は発電コイルWg の出力電圧Vg の零クロス点を検出した時に位置検出信号Vs3を発生する位置検出回路で、位置検出信号Vs3はCPU8のポートA3 に与えられている。 【0035】12は信号発生装置3が第2のパルス信号Vp2を発生して波形整形回路10が第2の信号Vs2を発生した時に始動時点火信号Vi1を出力する始動時点火信号出力回路、13は機関の回転速度が第1の設定値を超えてCPU8がポートB1 から禁止信号を出力した時に始動時点火信号出力回路12の出力端子間を短絡して始動時点火信号Vi1の出力を禁止する始動時点火信号出力禁止回路である。 【0036】14はCPU8がアイドリング運転時の点火位置及び定常運転時(アイドリング回転速度を超える速度での運転時)の点火位置でポートB2 から点火指令信号を発生した時に非始動時点火信号Vi2を出力する非始動時点火信号出力回路、15は始動時点火信号Vi1または非始動時点火信号Vi2のいずれかが発生した時に点火回路1に点火信号Vi を与えるオア回路である。 【0037】図示の点火回路1は周知のコンデンサ放電式の回路で、一次コイルの一端が接地され、二次コイルの一端が一次コイルの他端に共通接続された点火コイルIGと、該点火コイルの一次コイルの他端に一端が接続された点火用コンデンサC1と、カソードを接地側に向けた状態でコンデンサC1 の他端と接地間に接続されたサイリスタTh1と、カソードを接地側に向けて点火コイルの一次コイルの両端に並列に接続されたダイオードD1 と、サイリスタTh1のゲートカソード間に接続された抵抗R1 と、図示しない内燃機関の気筒に取り付けられて点火コイルの二次コイルに接続された点火プラグPとからなっている。 【0038】この点火回路においては、点火信号Vi が与えられたときにサイリスタTh1が導通してコンデンサC1 に充電された電荷を点火コイルIGの一次コイルを通して放電させる。このコンデンサの放電により点火コイルIGに急激に大きな一次電流が流れるため、点火コイルIGの二次コイルに点火用の高電圧が誘起する。この高電圧により点火プラグPで火花が生じ、機関が点火される。 【0039】磁石式交流発電機2は、機関のクランク軸に取り付けられたフライホイール磁石回転子2Aと、磁石回転子2Aの磁石界磁に対向する磁極部を有する電機子鉄心及び該電機子鉄心に巻回された複数の発電コイルからなる固定子とを備えたもので、図示の例では、固定子側に設けられた1つの発電コイルがバッテリ充電用発電コイルWg として用いられている。発電コイルWg が出力する交流電圧Vgの波形の一例を図2(A)に示した。 【0040】信号発電機3は、磁石式交流発電機2のフライホイールの外周にリラクタ3aを形成することにより構成したロータと、リラクタ3aの回転方向の前端縁及び後端縁をそれぞれ検出した時に第1及び第2のパルス信号Vp1及びVp2を発生する信号発電子3bとからなっている。信号発電子3bは、リラクタ3aに対向する磁極部を先端に有する鉄心と該鉄心に巻回された信号コイルWsと、該鉄心に磁気結合された永久磁石とからなっていて、リラクタ3aが信号発電子の鉄心の磁極部との対向を開始する際及び該対向を終了する際にそれぞれ信号コイルWsに極性が異なる第1のパルス信号Vp1及びVp2を誘起する。 【0041】第1のパルス信号Vp1及び第2のパルス信号Vp2の波形の一例を図2(B)に示した。この例では、第1のパルス信号Vp1が負極性のパルスからなり、第2のパルス位置VP2が正極性のパルスからなっている。第1のパルス信号Vp1の発生位置は機関の点火位置の最大進角位置よりも更に進角した第1の回転角度位置θ1 に設定され、第2のパルス信号Vp2の発生位置は機関の始動時の点火位置として適した第2の回転角度位置θ2 に設定されている。 【0042】レギュレータ6は、発電コイルWg が出力するほぼ正弦波形の交流電圧Vg を整流する整流器と、該整流器の出力を設定値以下に保つように制御する制御回路とを備えたもので、発電コイルWg からレギュレータ6を通して与えられる電圧によりバッテリ4が充電される。 【0043】DC−DCコンバータ7は、バッテリ4の出力電圧がダイオードD2 を通して一次コイルに印加された昇圧トランスTsfと、バッテリ4からトランスTsfの一次コイルに供給される一次電流を断続させる発振回路OSCとを備えたもので、バッテリ4の出力電圧(12V)を昇圧してトランスTsfの二次コイルに200[V]以上の電圧を誘起する。昇圧トランスTsfの二次コイルに得られる電圧はダイオードD3 を通して点火用コンデンサC1 と点火コイルIGの一次コイルとの直列回路の両端に印加されている。点火用コンデンサC1 はDC−DCコンバータ7の出力電圧により図示の極性に充電される。 【0044】第1の波形整形回路9は、NPNトランジスタTR1 と、抵抗R2 ないしR5と、ダイオードD4 及びD5 と、コンデンサC2 とからなるもので、信号コイルWs が発生する負極性の第1のパルス信号Vp1がコンデンサC2 の両端の電圧(しきい値電圧)を超えた時に信号コイルWs −ダイオードD4 −ダイオードD5 −抵抗R5 −信号コイルWs の経路で電流が流れてダイオードD4 の両端に電圧降下が生じる。この電圧降下によりトランジスタTR1 のベースエミッタ間が逆バイアスされるため、トランジスタTR1 は、パルス信号Vp1がしきい値を超えている間だけオフ状態になり、該トランジスタTR1 のコレクタにパルス信号Vp1がしきい値を超えている間だけ高レベルの状態になるパルス波形の第1の信号Vs1が得られる。CPU8は、この第1の信号Vs1が発生した時に、機関のクランク軸の回転角度位置が第1の回転角度位置θ1 に達したことを検出する。 【0045】第2の波形整形回路10は、NPNトランジスタTR2 と、抵抗R6 及びR7と、コンデンサC3 と、ダイオードD6 とからなるもので、信号コイルWs が発生する第2のパルス信号Vp2がコンデンサC3 の両端の電圧(しきい値)を超えている間トランジスタTR2 にベース電流が流れて該トランジスタが導通する。トランジスタTR2 のコレクタには、該トランジスタが導通している間零レベルになる第2の信号Vs2が得られる。CPU8は、この第2の信号Vs2が発生した時に機関のクランク軸の回転角度位置が機関の始動時の点火位置として適した第2の回転角度位置θ2 (機関の上死点より2°遅れた位置)に達したことを検出する。 【0046】位置検出回路11は、NPNトランジスタTR3 と、抵抗R8 ないしR11と、ダイオードD7 及びD8 とからなる零クロス検出回路からなっている。この位置検出回路においては、発電コイルWg が正の半サイクルの電圧を発生した時に、発電コイルWg −抵抗R11−ダイオードD7 −ダイオードD8 −発電コイルWgの経路で電流が流れてダイオードD7 の両端に電圧降下が生じる。この電圧降下によりトランジスタTR3 のベースエミッタ間が逆バイアスされるため、該トランジスタTR3 がオフ状態になる。発電コイルWg が負の半サイクルの電圧を発生している時には、ダイオードD7 を通して電流が流れないため、トランジスタTR3 はバッテリ4を電源として一定の直流電圧を出力する図示しない直流電源回路から抵抗R10を通してベース電流が与えられて導通する。従って、トランジスタTR3 のコレクタには、図2(C)に示すように、発電コイルWg が正の半サイクルの電圧を発生している期間高レベルの状態を保持し、発電コイルWg が負の半サイクルの電圧を発生している期間ほぼ零レベルの状態を保持する矩形波状の信号が得られる。この矩形波信号は、発電コイルWg の出力電圧が負の半波から正の半波に立ち上がる際の零クロス点で立上がり、発電コイルWg の出力電圧が正の半波から負の半波に立ち下がる際の零クロス点で立下がる信号である。CPU8はこの信号の零レベルから高レベルへの各立上がりを位置検出信号Vs3として認識して機関の回転角度位置情報を得る。 【0047】本発明においては、第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間で位置検出信号Vs3が少なくとも1回発生するように、信号発生装置の出力と発電コイルWg の出力と間の位相関係を設定するとともに、第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間で位置検出回路11から出力される位置検出信号Vs3が、機関の低速度の特定の回転領域における点火位置(通常はアイドリング時の点火位置)で発生するように、発電コイルWg の出力の位相を調整しておく。 【0048】図示の例では、第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間で位置検出回路11が位置検出信号Vs3を1回だけ発生するように、信号発生装置の出力と発電コイルWg の出力と間の位相関係が設定されるとともに、第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間で位置検出回路11から出力される位置検出信号Vs3が、機関のアイドリング時の点火位置として適した位置(図示の例では上死点より10°進角した位置)θ3 で発生するように、発電コイルWg の出力の位相が調整されている。発電コイルWg の出力の位相の調整は、磁石式交流発電機2の固定子の取付け位置を調整することにより行なうことができる。 【0049】始動時点火信号出力回路12は、PNPトランジスタTR4 と、抵抗R12,R13及びR21とからなっていて、機関の始動時の点火位置で第2のパルス信号Vp2が発生して第2の波形整形回路10のトランジスタTR2 がオン状態になった時にトランジスタTR4 が導通して、図示しない電源回路から抵抗R13を通して始動時点火信号Vi1を出力する。 【0050】始動時点火信号出力禁止回路13は、NPNトランジスタTR5 と、抵抗R14及びR15とからなっていて、機関の回転速度が第1の設定値を超えてCPU8がそのポートB1 から禁止信号を出力したときに、トランジスタTR5 が導通して、低速時点火信号出力回路12の出力端子間を短絡することにより、低速時点火信号Vi1の出力を禁止する。 【0051】非始動時点火信号出力回路14は、PNPトランジスタTR6 及びNPNトランジスタTR7 と、抵抗R16ないしR20とからなっていて、CPU8がアイドリング時の点火位置及び定常運転時の点火位置を検出してそのポートB2 から点火指令信号を出力した時に、トランジスタTR7 及びTR6 が導通して、図示しない直流電源回路からトランジスタTR6 のエミッタコレクタ間と抵抗R20とを通して非始動時点火信号Vi2を出力する。 【0052】オア回路15は、カソードがサイリスタTh1のゲートに共通接続されたダイオードD9 及びD10からなっていて、始動時点火信号Vi1及び非始動時点火信号Vi2がそれぞれダイオードD9 及びD10を通して点火回路1に入力されている。 【0053】図1の点火制御装置のCPU8が実行するプログラムのアルゴリズムの一例を示すフローチャートを図4ないし図7に示した。 【0054】図4はメインルーチンを示したもので、このメインルーチンは、CPU8に電源が投入された時に起動する。メインルーチンでは、先ずステップ1において各部の初期化を行い、次いでステップ2において、機関の回転速度に対して点火位置を演算し、ステップ3においてその他の必要な処理を行う。点火位置の演算は、マイクロコンピュータのROMに記憶された点火位置演算用マップ(回転速度と点火位置との関係を与えるマップ)を用いて行なう。 【0055】第1の波形整形回路9からCPU8のポートA1 に第1の信号Vs1が与えられると、図5に示した割込みルーチンが実行される。この割込みルーチンでは、先ずステップ1において機関の回転速度を演算する。この回転速度は、前回発生した第1の信号Vs1が入力されてから今回発生した第1の信号Vs1が入力されるまでの時間(クランク軸が1回転するのに要した時間)から機関の回転速度Nを演算する。 【0056】機関の回転速度を演算した後、ステップ2において演算した回転速度Nが第2の設定値N2 を超えているか否かを判定する。その結果、回転速度がアイドリング領域の上限を与える回転速度に等しく設定された第2の設定値を超えていないと判定された時にはステップ3に進んでマイクロコンピュータによる点火位置の制御を中止してメインルーチンに戻る。またステップ2において回転速度が第2の設定値を超えていると判定されたときには、ステップ4に進んでマイクロコンピュータによる点火位置の制御を開始させてメインルーチンに戻る。 【0057】第2の波形整形回路10からCPU8のポートA2 に第2の信号Vs2が与えられると、図6の割込みルーチンが実行される。この割込みルーチンでは、先ずステップ1において機関の回転速度Nがアイドリング領域の下限の速度に等しく設定された第1の設定値N1 よりも低いか否かを判定する。その結果、回転速度が第1の設定値N1 よりも低いときには、ステップ2に進んで、ポートB1 からの禁止信号の出力を停止して始動時点火信号出力回路12から点火回路1に点火信号が与えられるのを許容してメインルーチンに戻る。従って、機関の回転速度がアイドリング領域の下限値を与える回転速度よりも低いときには、始動時点火信号Vi1が発生したときに点火回路1が点火動作を行う。 【0058】ステップ1において回転速度Nが第1の設定値N1 以上になっていると判定されたときには、ステップ3に進んでポートB1 から禁止信号を出力する。この禁止信号によりトランジスタTR5 をオン状態にして、始動時点火信号出力回路12からの点火信号の出力を禁止した後メインルーチンに戻る。 【0059】位置検出回路11からCPU8のポートA3 に位置検出信号Vs3が与えられると、図7に示す割込みルーチンが実行される。この割込みルーチンでは、先ずステップ1において、現在の機関のクランク軸の回転角度位置θが第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間にあるか否かを判定する。この判定は、第1の信号Vs1が発生した後、第2の信号Vs2が発生しているか否かを見ることにより行うことができる。第1の信号Vs1のみが発生し、第2の信号Vs2が未だ発生していないときに現在の機関のクランク軸の回転角度位置θが第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間にあると判定し、それ以外の時には現在の機関のクランク軸の回転角度位置θが第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間にないと判定する。 【0060】ステップ1において、回転角度位置θが第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間にないと判定された時には、そのままメインルーチンに戻る。ステップ1において、現在の回転角度位置θが第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間にあると判定された時には、次いでステップ2に進んで回転速度Nが第1の設定値N1 と第2の設定値N2 との間にあるか否か(機関の回転速度がアイドリング領域にあるか否か)を判定する。その結果、機関の回転速度がアイドリング領域にあると判定された時には、ステップ3に進んで、機関の点火位置をアイドリング時の点火位置とすることを選択して、ポートB2 から点火指令信号を発生させる。これにより非始動時点火信号出力回路14から点火信号を出力させて、第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間で発生した位置検出信号Vs3の発生位置θ3 (アイドリング時の点火位置)で点火動作を行わせる。ステップ2において、機関の回転速度がアイドリング領域にないと判定された時には、CPU8のポートB2 から点火指令信号を出力させることなく(アイドリング時の点火位置を選択することなく)、メインルーチンに戻る。 【0061】図1に示した点火制御装置の動作をまとめて示すと次の通りである。機関の始動時には、図6の割込みルーチンのステップ1において、回転速度が第1の設定値よりも低いと判定されるため、同割込みルーチンのステップ2において始動時点火信号の出力が許可され、トランジスタTR5 が遮断状態に保持される。従って、始動時の点火位置として適した位置に設定された第2の回転角度位置θ2 (図示の例では上死点後2°の位置)で第2の信号Vs2が発生した時に、第2の波形整形回路10から始動時点火信号出力回路12とオア回路15とを通して点火回路のサイリスタTh1に点火信号が与えられる。これによりサイリスタTh1が導通して点火用コンデンサC1 の電荷を放電させ、点火動作を行わせる。 【0062】内燃機関が始動した後、その回転速度が第1の設定値N1 を超えると、図6の割込みルーチンにより始動時点火位置(第2の回転角度位置θ2 )での点火が禁止される。このときCPU8は、図7のステップ3において位置検出信号Vs3の発生位置θ3 をアイドリング時の点火位置として選択するモードとなり、この点火位置で位置検出信号Vs3が発生すると同時にポートB2 から点火指令信号を出力する。従って、アイドリング領域では、第1の回転角度位置θ1 と第2の回転角度位置θ2 との間に設定されたアイドリング時に適した回転角度位置θ3 (図示の例では上死点前10°の位置)で位置検出信号Vs3が発生した時に点火動作が行われる。 【0063】機関の回転速度が第2の設定値N2 を超えると、図7の割込みルーチンのステップ4において、アイドリング時の点火位置θ3 を選択するモードが解除され、図5のステップ4において、マイクロコンピュータにより点火位置を制御するモードが開始されるため、図4のメインルーチンにおいて演算された点火位置で点火動作が行われる。 【0064】メインルーチンで演算される点火位置は、第1の信号Vs1の発生位置(基準位置)から点火位置まで機関が回転するのに要する時間(点火位置計測時間)ΔTの形で演算される。CPU8は第1の信号Vs1が発生したことを検出したときに演算した点火位置の計測値をマイクロコンピュータ内に設けられた点火用タイマにセットしてその計測を開始させ、点火用タイマが点火位置の計測を完了した時にポートB2 から点火指令信号を出力する。 【0065】図1の点火制御装置を用いた場合の点火位置θi の回転速度Nに対する特性の一例を図3に示した。 【0066】上記の例では、バッテリ充電用発電コイルWg の出力の零クロス点を特異点として検出して位置検出信号を発生させるようにしたが、他の発電コイルの出力の零クロス点を特異点として検出して位置検出信号を発生させるようにしてもよい。また磁石式交流発電機内の1つの発電コイルを、機関の回転角度位置の情報を得るために専用に用いることができて、該発電コイルから実質的にピーク位置の変動がない波形の出力を得ることができる場合には、該発電コイルの出力のピーク位置を特異点として、該ピーク位置を検出する毎に位置検出信号を発生するように位置検出回路を構成することもできる。 【0067】上記の例では、信号発生装置3が第1のパルス信号Vp1を発生する間隔から機関の回転速度Nを演算しているか、回転速度Nの演算を行うことなく、信号発生装置3が出力するパルス信号の発生間隔(機関の1回転するのに要する時間)Tnそのものを機関の回転速度を与える変数として用いて、回転速度の判定や点火位置の演算などを行わせるようにしてもよい。 【0068】上記の例では、信号発生装置が第2のパルス信号Vp2を発生する第2の回転角度位置θ2 を、始動時の点火位置として適した位置に設定したが、第2のパルス信号Vp2を発生する第2の回転角度位置θ2 をアイドリング時に適した位置に設定し、信号発生装置が第2のパルス信号を出力した後に位置検出回路11が位置検出信号を出力する位置を始動時の点火位置として適した位置に設定するようにして、機関の始動時には第2のパルス信号が発生した後、位置検出回路が位置検出信号を発生した位置で機関を点火し、機関の回転速度が第1の設定値以上、第2の設定値以下になっている時(アイドリング回転時)には、第2のパルス信号Vp2が発生した位置で機関を点火し、回転速度が第2の設定値を超えたときに演算された点火位置計測時間ΔTの計測が完了した位置で機関を点火するようにしてもよい。 【0069】信号発生装置3が第2のパルス信号Vp2を発生した後に位置検出回路11が位置検出信号を出力するように構成する場合の本発明に係わる内燃機関用点火制御装置の構成例を図8以下に示した。 【0070】図8の例では、位置検出回路11が、比較器CP1 と、抵抗R31ないしR36と、ダイオードD31とからなっている。この例では、発電コイルWg の出力電圧がダイオードD31と抵抗R31とを通して比較器CP1 の非反転入力端子に入力され、バッテリ4の電圧を抵抗R32とR33とからなる分圧回路により分圧して得た設定電圧Vf が比較器CP1 の反転入力端子に入力されている。また比較器CP1の非反転入力端子と接地間に抵抗R34が接続され、比較器CP1 の出力端子とバッテリ4の正極端子との間、及び比較器CP1 の出力端子とCPU8のポートA3 との間がそれぞれ抵抗R35及びR36を通して接続されている。この例では、図1の例で設けられていた始動時点火信号出力回路12及び始動時点火信号出力禁止回路13が省略され、常にCPU8がポートB2 から点火指令信号を発生した時に点火信号出力回路14´を通して点火回路1に点火信号が与えられるようになっている。点火信号出力回路14´の構成は、図1の例で用いた非始動時点火信号出力回路14の構成と同じである。その他の点は、図1に示した例と同様に構成されている。 【0071】図8に示した点火装置の動作を示すタイミングチャートを図9に示した。図9において、(A)は信号発生装置3が発生するパルス信号を示し、(B)はCPU8内の点火用タイマの計測動作を示す。また(C)は点火回路1に与えられる点火信号Vi を示し、(D),(E)及び(F)はそれぞれ発電コイルWg の出力電圧波形、位置検出回路11が出力する位置検出信号Vq,Vq´の波形、点火回路1の点火コイルIGの一次コイルの誘起電圧V1 の波形を示している。なお図9においては、横軸に時間tをとっている。 【0072】図8に示した例では、図9(E)に示したように、発電コイルWgの出力電圧が設定値(設定電圧Vf の電圧値)未満の時に比較器CP1 の出力電圧が低レベルの状態を保持し、発電コイルWgの出力電圧が設定値以上になっている時に比較器CP1 の出力電圧が高レベルの状態を保持する。この例では、磁石式交流発電機が4極に構成されているため、発電コイルWgは、機関の1回転当り2サイクルの交流電圧を出力する。そして、信号発生装置3が第2のパルス信号Vp2を発生した後に位置検出回路11が位置検出信号Vq及びVq´を順次発生するように、磁石式交流発電機の出力と信号発生装置3の出力との位相関係が設定されている。図9(E)においてVqは信号発生装置3が第2のパルス信号Vp2を発生した後に最初に発生する位置検出信号を示し、Vq´は信号発生装置3が第2のパルス信号Vp2を発生した後2番目に発生する位置検出信号を示している。 【0073】図9に示した例では、機関の回転速度の第1の設定値を1000[rpm]とし、この第1の設定値よりも低い領域を極低速領域としている。また回転速度の第2の設定値を2000[rpm]とし、1000[rpm]から2000[rpm]までの領域を低速領域としている。 【0074】回転速度が第1の設定値1000[rpm]未満の時には、第2のパルス信号Vp1が発生した後時刻t1 で最初の位置検出信号Vqが発生した時にCPU8が点火指令信号を発生する。したがって、回転速度が第1の設定値未満の領域では、図9(C)に示すように、位置検出信号Vqが発生した時に点火回路1に点火信号Vi が与えられ、点火用コンデンサC1 が放電させられる。この放電時に点火コイルIGの一次コイルに電圧V1 が誘起し、点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧が誘起して機関の点火動作が行われる。CPU8は、第2のパルス信号Vp2が発生した後2番目の位置検出信号Vq´が発生した時には、点火指令信号の発生を行わない。 【0075】機関の回転速度が第1の設定値(1000rpm)から第2の設定値(2000rpm)の値をとる低速領域(アイドリング領域)では、時刻t2 で第2のパルス信号Vp2が発生した時にCPU8が点火指令信号を発生する。したがってこの領域では、時刻t2 で第2のパルス信号Vp2が発生した時に点火回路1に点火信号Vi が与えられて点火動作が行われる。時刻t2 で点火指令信号を発生した後、位置検出信号Vqが発生するが、CPU8はこの位置検出信号を認識しても点火指令信号の出力を行わない。 【0076】回転速度が2000[rpm]を超える領域では、図9の右端に示されたように、CPU8内の点火用タイマが演算された点火位置計測時間ΔTの計測を完了した時刻t3 で点火回路1に点火信号Vi が与えられて点火動作が行われる。このときCPUは、第2のパルス信号Vp2及び位置検出信号Vs3による点火指令信号の出力を禁止する。 【0077】上記のように、図8に示した例では、機関の回転速度が第1の設定値未満の領域で、発電コイルの出力電圧が設定値Vf に達して位置検出信号Vqが発生した時に点火動作が行われる。発電コイルの出力電圧が設定値Vf に達する位相は、回転速度の上昇に伴う発電コイルの出力電圧の波高値の増大に伴って進んで行くため、位置検出信号Vqが立上るタイミングは回転速度の上昇に伴って進角していく。 【0078】図10(A)は、回転速度の種々の値に対して発電コイルの出力電圧Vgの半波の波形を示したもので、同図においてaないしdはそれぞれ回転速度が300,500,700及び900[rpm]のときの発電機の出力電圧Vgの波形を示している。位置検出回路11はこれらの電圧が設定電圧Vf 以上になっている期間位置検出信号Vqを出力するため、回転速度が300,500,700及び900[rpm]のときに位置検出回路11が出力する位置検出信号の波形はそれぞれ図10(B)ないし(E)に示すようになる。 【0079】図10に示した例では、機関の上死点TDCで発電コイルWgの出力電圧がピークに達するように磁石式交流発電機の固定子の取り付け位置が設定されている。図10においてBTDCは機関の上死点よりも進角側であることを示し、ATDCは機関の上死点よりも遅角側であることを示している。 【0080】上記のように、位置検出信号Vqが発生するタイミングは回転速度の上昇に伴って進角していくため、機関の回転速度が第1の設定値未満になっている極低速領域では、機関の回転速度の上昇に伴って点火位置が徐々に進角していき、最終的には回転速度が第1の設定値から第2の設定値までの範囲の値を示す低速領域(アイドリング領域)での点火位置に収束する。したがって、図8の点火装置によれば、図11に示すように、機関の回転速度Nが第1の設定値N1 未満になっている極低速領域で点火時期(点火位置に相当するタイミング)tiが進角していき、回転速度が第1の設定値N1 から第2の設定値N2 までの値をとる低速領域では点火時期tiが一定になり、回転速度が第2の設定値N2 を超える中高速領域で点火時期tiが進角していく特性が得られる。 【0081】図11の特性において、機関の始動時の点火時期tiの進角量Δt1 を十分に小さくしておくことにより始動時にケッチンが生じるのを防ぐことができ、固定点火位置を適当なタイミングに設定したおくことにより、アイドリング領域での回転を安定にすることができる。 【0082】また図11に示したように、機関の極低速時に点火時期を徐々に進角させて低速領域での点火時期に収束させるようにすると、回転速度が極低速領域から低速領域に入る際に点火時期をステップ状に進角させる場合に比べて機関の回転を安定にすることができる。 【0083】なお図11に示した例では、回転速度が第2の設定値N2 を超える中高速領域で点火時期が直線的に進角しているが、回転速度が第2の設定値N2 を超える領域の点火時期(点火位置)はCPU8により演算される点火位置計測時間ΔTにより決まるため、回転速度が第2の設定値N2 を超える領域での点火特性は、CPU8による演算内容(機関側の要求により決まる。)により相違する。 【0084】図8の点火装置において、CPU8が実行するプログラムのアルゴリズムの一例を示すフローチャートを図12及び図13に示した。 【0085】図12は信号発生装置が第1のパルス信号Vp1を発生する毎に実行される割り込みルーチンを示したもので、この割り込みルーチンでは、先ずステップ1で前回の第1のパルス信号の発生時刻から今回の第2のパルス信号の発生時刻までの時間(機関が1回転するのに要した時間)Tnを読込み、読み込んだ時間TnをRAMに格納する。次いでステップ2でこの時間Tnを回転速度の第2の設定値N2 に相応する時間T2 と比較する。その結果、T2 <Tn(N<N2 )であるときには、ステップ3に進んで時間Tnが回転速度の第1の設定値N1 に相応する値T1 を超えているか否か(N<N1 であるか否か)を判定する。その結果、Tn>T1 であるときには、ステップ4に進んで位置検出信号Vqの立上りのエッジで点火を行うことを許可し、メインルーチンに戻る。メインルーチンの構成は、図4に示したものと同様である。ステップ3においてTn≦T1 (N≧N1)であると判定されたときには、ステップ5に進んで第2のパルス信号Vp2の発生位置(固定点火位置)での点火を許可し、位置検出信号Vqの立上りのエッジでの点火を禁止してメインルーチンに戻る。 【0086】またステップ2において、T2 ≧Tn(N≧N2 )であると判定されたときには、ステップ6に進んで演算された点火位置計測時間ΔTにより点火位置を定めることを許可し、固定点火位置(第2のパルス信号の発生位置)で点火を行うこと及び位置検出信号Vqの立上りエッジで点火を行うことを禁止してメインルーチンに戻る。 【0087】図12のステップ4で位置検出信号Vq の立上りのエッジで点火を行うことが許可されている状態で、CPU8が位置検出信号Vq ,Vq ´の立上りのエッジを認識したときに図13の割込みルーチンが実行される。この割り込みルーチンのステップ1では、CPU8が認識した位置検出信号の立上りのエッジが第1のパルス信号Vp1が発生した後最初に認識されたエッジであるか否か(最初の位置検出信号Vq であるか否か)を判定し、最初のエッジである場合には、ステップ2に進んで点火指令信号を出力する。ステップ1で最初のエッジでないと判定されたときには、何もしないで(位置検出信号Vq ´の立上りのエッジで点火指令信号を発生させることなく)メインルーチンに戻る。 【0088】図14は機関の始動時の点火位置を位置検出信号により定めるようにした点火装置の他の構成例を示したもので、この例では、位置検出回路11が発電コイルWgの出力電圧のピーク点を特異点として検出するピーク検出回路からなっている。位置検出回路11の出力は、抵抗R40を通してCPU8のポートA3 に入力されている。CPU8のポートに入力される電圧を制限するため、ポートA3 と接地間にツェナーダイオードZD1 が接続されている。 【0089】図14に示した位置検出回路11は、PNPトランジスタTR31及びTR32とダイオードD32及びD33と、抵抗R37ないしR39と、コンデンサC31とからなっている。このピーク検出回路では、発電コイルWgが正の半サイクルの電圧を発生したときにダイオードD32と抵抗R37とトランジスタTR31のエミッタベース回路とコンデンサC31とを通して電流が流れ、トランジスタTR31がオン状態になる。トランジスタTR31がオン状態にあるときには、トランジスタTR32がオフ状態に保たれるため、位置検出信号11は出力を発生しない。発電コイルWgの正の半サイクルの出力電圧がピークに達するとコンデンサC31に充電電流が流れなくなるため、トランジスタTR31がオフ状態になる。トランジスタTR31がオフ状態になるとトランジスタTR32にベース電流が流れて該トランジスタTR32がオン状態になるため、位置検出回路11が出力信号を発生する。 【0090】なお一般にピーク検出回路は、発電コイルの一方の半サイクルの電圧で充電されるコンデンサと、該コンデンサに充電電流が流れている間駆動信号が与えられてオン状態を保持するスイッチ素子と、該スイッチ素子がオン状態からオフ状態になったときに出力信号を発生する回路とにより構成することができ、その構成は図14に示した例に限定されない。 【0091】図14に示した点火装置において、位置検出回路11が出力する位置検出信号Vsの波形を図15(C)に示した。図15の(A)及び(B)はそれぞれ信号発生装置が出力するパルス信号の波形及び磁石式交流発電機の発電コイルWgが出力する正の半サイクルの電圧Vgの波形を示している。CPU8は機関の回転速度が第1の設定値N1 未満のときに第2のパルス信号Vp2が発生した後に最初に発生する位置検出信号Vsの立上りで点火指令信号を発生する。この点火指令信号により図15(D)に示すように点火装置に点火信号Viが与えられる。図15(B)及び(C)において、実線で示した波形は機関の回転速度が第1の設定値よりも低いある値を示しているときの波形を示し、破線で示した波形は実線で示した波形が得られる回転速度よりも更に低い回転速度における波形を示している。これらから明らかなように、発電コイルの出力電圧のピーク位置は回転速度が変化してもほぼ一定の位置保持する。この例では、機関の上死点TDCよりも僅かに遅角した位置で発電コイルの出力電圧の正の半サイクルの電圧がピークに達するように設定されている。 【0092】図14に示した点火装置によると、図16に示したように、回転速度が第1の設定値N1 未満のときに上死点TDCよりも僅かに遅角した位置(位置検出信号Vsの発生位置)で点火が行われ、回転速度が第1の設定値N1 から第2の設定値N2 までの値を示す領域では第2のパルス信号Vp2の発生位置で点火が行われる。また回転速度が第2の設定値N2 を超える領域では、CPU8により演算された点火位置で点火が行われる。この例では、発電コイルWgの正の半サイクルの出力電圧のピーク位置を適当に設定しておくことにより、始動時にケッチンが生じるのを防ぐことができ、第2のパルス信号Vp2の発生位置を適当に設定しておくことにより、アイドリング領域等の低速領域での回転を安定にすることができる。 【0093】図14に示した例では、CPU8が位置検出回路11の出力信号を認識したときに点火信号出力回路14を通して点火回路1に点火信号を与えるようにしているが、図1に示した例と同様に、位置検出回路11が位置検出信号を発生したときにオア回路15を通して点火回路1に点火信号を与えるように構成することもできる。ピーク検出回路からなる位置検出回路15からオア回路15を通して点火回路1に点火信号を与えるようにする場合の装置の構成例を図17に示した。図17の点火装置の構成は、位置検出回路11がピーク検出回路からなっている点、及び位置検出回路11が第2のパルス信号Vp2の発生位置よりも遅れた位置で位置検出信号を発生する点、及び図1に示された始動時点火信号出力回路12が省略されている点、及び始動時点火信号出力禁止回路13のトランジスタのコレクタがピーク検出回路のコンデンサC31の非接地側の端子に接続されている点を除き、図1に示した例と同様である。 【0094】図17のように構成した場合には、機関の回転速度が第1の設定値を超えている時に、CPU8がポートB1 から禁止信号を出力する。このとき、始動時点火信号出力禁止回路13がピーク検出回路のコンデンサC31を短絡するため、トランジスタTR31はオン状態を保持し、トランジスタTR32はオフ状態を保持する。したがって、機関の回転速度が第1の設定値を超えている状態では、図18(D)に示したように、位置検出回路11からオア回路15に与えられる点火信号Vi1が零に保たれる。 【0095】図14及び図17に示した点火制御装置においては、位置検出回路11をピーク検出回路により構成したが、これらの点火制御装置において、位置検出回路を零クロス検出回路により構成することもできる。 【0096】上記の説明では、点火回路1としてコンデンサ放電式の回路を用いるとしたが、電流遮断形の点火回路が用いられる場合にも本発明を適用することができる。 【0097】 【発明の効果】以上のように、請求項1ないし9に記載された発明によれば、信号発生装置が遅角した位置で発生する第2のパルス信号と、内燃機関により駆動される磁石式交流発電機の出力波形の特異点を検出することにより発生させた位置検出信号とを用いて、機関の始動時及び低速時の点火位置を定めるようにしたので、信号発生装置の構成を複雑にすることなく、始動時及び低速時(アイドリング時)の点火位置の制御をきめ細かく行って、機関の始動性を良好にするとともに、機関のアイドリング時の回転を安定させることができる利点がある。 【0098】特に請求項10に記載した発明によれば、機関の回転速度が第1の設定値よりも低い領域(極低速領域)で点火位置が徐々に進角して、回転速度が第1の設定値から第2の設定値までの範囲の値を示す低速領域(アイドリング領域)での点火位置に収束する特性を得ることができるため、極低速領域から低速領域に入る際に点火位置をステップ状に進角させる場合よりも更に低速時の機関の動作を安定に行わせることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001340 【氏名又は名称】国産電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月18日(2000.5.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073450 【弁理士】 【氏名又は名称】松本 英俊
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| 【公開番号】 |
特開2001−200776(P2001−200776A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−146271(P2000−146271) |
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