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【発明の名称】 エンジン制御装置
【発明者】 【氏名】日野 和隆

【氏名】小山 克也

【要約】 【課題】故障気筒を判別し、故障気筒への燃料供給を停止することにより未燃ガスの排出を防止すること。

【解決手段】エンジン制御装置1と点火装置のパワートランジスタ11との間で断線検出を、CPU7が読み込むタイミングである点火周期に同期させて行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数気筒を有するエンジンと、前記各気筒に備え付けられている点火コイルと、前記点火コイルに通電を制御するパワートランジスタと、前記エンジンの回転を検出するセンサと、前記センサから出力される信号を用いて前記点火コイルの通電最適時期を演算するCPUと、前記CPUからの信号に基づいて前記パワートランジスタを制御する信号を供給する回路と、前記パワートランジスタへの出力の異常を検出する機能を有するエンジン制御装置において、前記異常を検出する手段は、異常となった気筒を特定する検出機能を有することを特徴としたエンジン制御装置。
【請求項2】請求項1記載のエンジン制御装置において、前記エンジン制御装置の点火信号を各気筒に供給する出力の異常を検出する信号は、前記点火コイルへの通電を制御する信号に同期して、発生することを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項3】請求項1記載のエンジン制御装置において、前記エンジン制御装置の点火信号を各気筒に供給する出力の異常を検出する信号を、前記点火コイルを点火するタイミングで読み込むことを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項4】請求項1記載のエンジン制御装置において、前記パワートランジスタへの出力の異常を検出する手段は、前記出力へ供給する電流を制限する抵抗に流れる電流を検出する回路で構成されることを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項5】請求項1記載のエンジン制御装置において、前記エンジン制御装置が点火信号を各気筒に供給する出力の異常を検出した場合、異常となった気筒の燃料噴射を停止することを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項6】請求項1から5のいずれかに記載のエンジン制御装置において、前記異常を検出する手段は、前記点火信号を各気筒に供給する出力信号の断線状態を検出する手段であることを特徴とするエンジン制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各気筒毎に点火信号を出力するエンジン制御装置に関わり、特に点火を制御する信号の出力端子が断線等の異常を検出する機能に関わる。
【0002】
【従来の技術】従来の技術では、エンジン制御装置は点火コイルの通電を制御する信号の出力端子が断線した場合、特願平4−59918号に記載されているように、点火出力が故障したことを検出した後、一定時間パルスを出力する構成であった。これはCPUが例えば10msの一定周期でこの信号を読み込む時、最低2回は読み込めるように20ms以上のパルス幅を確保するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術ではエンジン回転数にかかわらず、故障を検出した時は一定のパルスを出すようにしているため、故障気筒を特定することができなかった。例えば、3気筒エンジンで6000rpm の高回転になったとき、この点火周期は6.6ms となり、故障判定のパルス幅より短くなってしまう。即ち、パルス幅が20ms間続くと、その間に全気筒の点火信号が発生してしまう。この状態でCPUで読み込んでも、どの気筒が故障して故障判定のパルスを出力しているのかが判別できない。この故障気筒を判別できないと、運転者には警報を出すことができるが、それ以上の制御はできない。つまりいずれか1気筒の点火が故障しているのにもかかわらず、燃料は全気筒供給せざるを得ず、この故障気筒からは未燃焼ガスが排出されることになる。本発明は前記点火気筒の故障を判別し、未燃焼ガスの排出を防ぐことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、複数気筒を有するエンジンと、前記各気筒に備え付けられている点火コイルと、前記点火コイルに通電を制御するパワートランジスタと、前記エンジンの回転を検出するセンサと、前記センサから出力される信号を用いて前記点火コイルの通電最適時期を演算するCPUと、前記CPUからの信号に基づいて前記パワートランジスタを制御する信号を供給する回路と、前記パワートランジスタへの出力端子が断線したことを検出する機能を有するエンジン制御装置において、前記エンジン制御装置の出力端子が断線したことを示す信号を、CPUが読み込むタイミングである点火周期に同期させ、断線を検出してから次の気筒の点火時期までとし、故障した気筒を特定する検出機能を有し、故障気筒の燃料供給を停止することにより実現できる。
【0005】本発明により、複数ある点火信号のいずれかが断線等の異常が発生した場合、どの気筒の点火信号に異常が発生しているかを判別することが可能になり、特定の部品のみを交換することができる上に、故障時の未燃焼ガスの排出を抑制することができるという効果がある。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の内燃機関点火装置の一実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0007】図1は本発明のエンジン制御装置1を含むシステム構成を示す図である。前記エンジン制御装置1は少なくともエンジン回転検出器6で検出するエンジンのピストンの位置状態を示す基準位置信号6a,エンジンの所定角度毎に出力、即ちエンジンの回転数を示す角度信号6bをCPU7に入力し、CPU7ではエンジンの点火時期、通電角を最適になるように演算を行っている。また前記エンジン制御装置1の電源は、バッテリ2の電位を信号線2aにより供給し、エンジン制御装置1内の定電圧回路10によりCPU7に最適な電位レベル10aに変換し、電位レベル10aは点火信号供給回路8,点火信号の出力電流を制御する抵抗9、およびCPU7に供給される。本実施例では一例として3気筒エンジンを想定し、CPU7で演算された点火信号がエンジンに反映されるまでを説明する。CPU7で演算した点火時期,通電角の結果により、CPU7は各気筒点火信号7a,7b,7cを点火信号供給回路8に出力する。点火信号供給回路8は前記各気筒点火信号7a,7b,7cに基づき、出力電流制限抵抗9により電流制限された各気筒パワートランジスタ駆動信号8a,8b,8cを出力し、パワートランジスタ11を駆動し、各気筒点火コイル3,4,5によりエンジンのシリンダ内の混合気を点火する。また点火信号供給回路8とパワートランジスタ11間の信号線8a,8b,8cが断線等の異常が発生した場合、エンジンは点火しないために、エンジンシリンダ内の混合気がそのまま大気に放出される。この異常の一例として断線を例にあげれば、点火信号供給回路8内に、前記断線を検出する機能を設定し、断線検出時はCPU7に対し断線信号8dを出力する。
【0008】図2は図1に示した回路動作を説明するタイミングチャートである。エンジン回転検出器6から出力される基準位置信号6aは、内燃機関のピストンが例えば上死点前100度等の一定の位置に達したときに発生するパルス信号である。また角度信号6bはエンジンが所定角度回転する度に信号レベルが反転するパルス信号である。CPU7はエンジン回転検出器6からの基準位置信号6aと角度信号6bを用いて、最適点火時期を演算し、各気筒点火信号7a,7b,7cを集積ICで構成される点火信号供給回路8へ出力する。前記信号7a,7b,7cは点火信号供給回路8において反転され、1気筒パワートランジスタ駆動信号8a,2気筒パワートランジスタ駆動信号8b,3気筒パワートランジスタ駆動信号8cをパワートランジスタ11へ出力し、それぞれ各気筒点火コイル3,4,5の通電を制御する。各気筒パワートランジスタ駆動信号8a,8b,8cはHIGH電圧レベルの時、それぞれ各気筒点火コイル3,4,5の通電を行い、HIGH→LOWの時、点火される。
【0009】図3は前記集積ICである点火信号供給回路8の内部構成を示すブロック図である。本実施例では、出力回路としてインバータを用いている。CPU7から入力される各気筒点火制御信号7a,7b,7cは、それぞれインバータ12,13,14にて反転され、各気筒パワートランジスタ駆動信号8a,8b,8cとして、パワートランジスタ11へ出力し、各気筒点火コイル3,4,5の通電を制御する。前記点火コイル通電時、点火信号の電流制限抵抗9の両端電圧9aと10aを断線検出回路15に入力し、通電時に電流制限抵抗9に電位差が発生していない場合、即ち制限抵抗9に電流が流れていない場合は、断線と判断して断線検出パルス信号8dをCPU7へ出力する。
【0010】図4は断線検出回路15の内部構成を示すブロック図である。電流制限抵抗9に流れる電流量を検出するために、電流制限抵抗9の両端の電位を測定する。即ち9aと10aの電位差を検出するために9aと10aを増幅器22に入力する。増幅器22では断線判定レベル、例えば1mA以下を検出するために微少電圧を最適な電圧に増幅し、コンパレータ17に出力する。コンパレータ17では断線測定レベルを設定してある基準電圧源16からの基準電圧信号16aと信号22aの電圧レベルを比較し、22a>16aの場合は正常、22a<16aの場合は断線判定信号17aを出力する。前記断線判定信号17aは点火信号7a,7b,7cのいずれかが入力されている時、即ちいずれかの気筒の点火コイル通電時のみ有効にするために、点火信号7a,7b,7cのOR出力21aと断線判定信号17aのAND修理を行うゲート18を設定し、点火コイル通電時に限った断線検出信号18aをノイズフィルタ19へ出力する。ノイズフィルタ19は点火時に発生する点火ノイズにより誤動作を防止するためにノイズを除去し、ノイズが除去された断線検出信号19aはワンショット回路20に出力される。ワンショット回路20において、CPUがどの気筒の点火出力端子が断線したかを判別可能な断線検出パルス信号8dを生成し、CPU7へ出力する。
【0011】図5はワンショット回路20の内部構成を示すブロック図である。ワンショット出力8dは断線を検出してから、次の気筒の通電開始までHIGH電圧レベル信号を出力する。R−Sフリップ・フロップ23のセット条件は、電流制限抵抗9に流れる電流が小さい時、即ち各気筒パワートランジスタ駆動信号8a,8b,8cの出力端子のいずれかが断線したことを示す断線検出信号19aが入力された時である。リセット条件は各気筒パワートランジスタ駆動信号8a,8b,8cの出力端子が断線した気筒の次の気筒の通電開始時とするため、各気筒点火信号7a,7b,7cの論理和と断線検出パルス信号8dの論理積とする。
【0012】図6は図4において断線検出パルス信号8dが出力される原理を示すタイミングチャートである。本タイミングチャートでは2気筒の信号線8bが断線した例を示す。2気筒パワートランジスタ駆動信号8bの出力端子が断線となった時、電流制限抵抗9には電流が流れないため、信号9aの電圧レベルは正常時に比べて抵抗9での電圧ドロップ分小さくなる。図6では2気筒パワートランジスタ駆動信号8bの出力端子が断線した場合を想定しているため、2気筒点通電時期に対応する信号9aの電圧レベルは、正常動作している1気筒と3気筒の点火時期に比べて小さくなっている。電流制限抵抗9の両端の電圧信号9aと10aを差動増幅した信号22aをコンパレータ17において、基準電圧信号16aと比較した結果が17aである。基準電圧信号16aの電圧レベルは、出力端子が断線時と正常時のHIGH電圧レベルの中間または中間程度に設定されている。また出力端子が断線となった時、点火コイル通電時に限り断線検出信号18aを発生させるために、ORゲート21において各気筒点火制御信号7a,7b,7cを反転させたものの論理和をとり、この結果をANDゲート18において断線判定信号17aと論理積をとる。断線検出信号18aは、点火時に発生する点火ノイズによる誤動作を防止するために、ノイズフィルタ19においてノイズが除去され、ノイズが除去された断線検出信号19aは、ワンショット回路20に出力され、点火信号の出力端子が断線してから次の気筒点火時期まで断線検出パルス信号8dを発生する。CPU7は点火割込みで、断線検出パルス信号8dを読み込む処理を行う。よって点火割り込み時、断線検出パルス信号8dがHIGHの時はこの気筒が断線、また逆にLOWの時は正常判定をCPU7が行う。このCPU処理により断線時の気筒を判断することが可能となる。
【0013】図7は本発明のエンジン制御システム概念図である。エンジン外から取込まれた吸気33は吸気経路25を通り、各気筒インジェクタ26,27,28より噴射された燃料と混合されて各気筒シリンダ29,30,31に送り込まれる。各気筒インジェクタ26,27,28の最適な燃料噴射時期と噴射量は、エンジン制御装置1から出力される各インジェクタ噴射信号26a,27a,28aにより制御される。各気筒点火コイル3,4,5はエンジン制御装置1から出力される各気筒点火信号8a,8b,8cによりパワートランジスタ11を駆動し、このパワートランジスタにより電力増幅された点火信号11a,11b,11cにより、各気筒シリンダ29,30,31に送り込まれた混合気を最適時期に点火する。燃料が燃焼した際に発生する排気34は排気経路32を通りエンジン外に排出される。もし点火信号8a,8b,8cのいずれかが断線した場合、混合気が点火されず、前記排気34は未燃焼ガスとしてシリンダから排出されてしまう。この時、前記検出方法により、エンジン制御装置1は断線した気筒を判別して、その気筒に対応した燃料噴射を停止する制御をすれば、未燃焼ガスが排出されることはなくなる。
【0014】以上、本発明の一実施形態について記述したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において種々の変更ができるものである。
【0015】
【発明の効果】本発明により、複数ある点火信号のいずれかが断線した場合、どの気筒の点火信号が断線しているかを判別することが可能になり、特定の部品のみを交換することができる上に、故障時の未燃焼ガスの排出を抑制することができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成11年11月2日(1999.11.2)
【代理人】 【識別番号】100075096
【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開2001−132602(P2001−132602A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−311939