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【発明の名称】 燃料消費節約型自動車
【発明者】 【氏名】花田 秀人

【要約】 【課題】一時停車時にエンジンが一時停止される燃料消費節約型自動車に於ける再発進時のエンジン追随遅れのもどかしさを、バッテリー電源の消費を最小限度に抑制しつつ、効果的に解消する。

【解決手段】自動車の運転中のエンジン一時停止時に、エンジン始動用モーターの励磁電流を、エンジン停止直後の所定の最高値から時間の経過により低減するよう供給する。更に、励磁電流が所定のしきい値以下に低下したときには、運転者に対しその旨の警報を発する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】自動車の運転中にエンジンの一時停止が許容される所定の条件が成立したときエンジンを一時停止させる燃料消費節約型の自動車に於いて、エンジン始動用モーターの励磁電流をエンジン停止直後の所定の最高値から時間の経過により低減することを特徴とする自動車。
【請求項2】前記励磁電流が所定のしきい値以下に低下したときには、運転者に対しその旨の警報を発することを特徴とする請求項1に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エネルギー資源の節約と環境保全に配慮した燃料消費節約型自動車に係る。
【0002】
【従来の技術】エネルギー資源の節約と環境保全のために、自動車の運転中にエンジンの一時停止が許容される所定の条件が成立したとき、エンジンを一時停止させることが考えられ、又一部の自動車に於いて実施されている。かかる燃料消費節約型の自動車に於いても、エンジンの一時停止後の再始動は、勿論、エンジンの運転中にジェネレーターを駆動することにより得られた電力を蓄えるバッテリーによりエンジン始動用モーターを駆動することにより行われる。
【0003】燃料消費節約型自動車の運転中に於けるエンジンの一時停止は、主として信号待ち或いは道路渋滞を対象として行われるものであり、自動車の再発進時には、エンジンは可及的速やかに正常な運転状態に復することが望まれる。しかしモーターには電磁石部の励磁慣性があり、自動車のエンジン始動用モーターでは、励磁の立ち上がりに約100msec即ち0.1秒程度の時間を要する。これは人、特に反射神経に優れた人、の運動感覚にとっては、無視できない時間であり、そのためエンジンの一時停止後に自動車が再発進する際、モーターの電磁石部の励磁から始めると、運転者が再発進を意図してブレーキペダルの踏み込みを解除したり或いはアクセルペダルを踏み込む操作に対し、どうしてもエンジンの始動が一歩遅れるというもどかしさを与える。
【0004】そのため一時停車時にエンジンの一時停止を行う燃料消費節約型自動車に於いては、エンジンの回転中には発電機として作動し、エンジンの一時停止時には必要な補機の駆動を行うと共にエンジンの再始動時にはエンジンの始動用モーターとして作動するモーター/ジェネレーターの励磁電流を、エンジンの一時停止中最大値にしてエンジン再始動に対し待機させることが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、燃料消費節約型自動車に於ける燃料消費節約のためのエンジン一時停止は、場合によって長引くことがあり、その間モーター/ジェネレーターの励磁電流を最大値に保持しておくことは、バッテリーに許容すべからざる消耗を来す虞れがある。
【0006】本発明は、この問題に対処し、この点に関し改良された燃料消費節約型自動車を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく、本発明は、自動車の運転中にエンジンの一時停止が許容される所定の条件が成立したときエンジンを一時停止させる燃料消費節約型の自動車に於いて、エンジン始動用モーターの励磁電流をエンジン停止直後の所定の最高値から時間の経過により低減させることを特徴とする自動車を提案するものである。
【0008】
【発明の作用及び効果】自動車の運転中に於ける一時停止後の再発進に於けるエンジンの追随性に対する運転者の要求は、一般に一時停止の時間が短いほど高いと思われる。即ち、自動車の運転中に於ける一時停車は、通常、運転者の連続走行の意に反して信号や道路渋滞等により強制されるものであり、このような運転者の連続走行の意に反して強いられる一時停車に於いては、10秒や20秒の如き比較的短時間の停車の後発進する場合ほど、停車時間が1分や2分に及ぶことによって停車感覚がある程度定着した状態からの発進時に比して、発進操作に対するエンジンの追随性として高い追随性が無意識に求められると思われる。従って自動車の運転中にエンジンの一時停止が行われたとき、エンジン停止の直後よりエンジン始動開始用モーターの励磁電流を所定の最高値から時間の経過により低減するように供給しておけば、短い時間の一時停車後にエンジンの再始動を伴って自動車を再発進させるときには、より高い励磁電流の供給状態から出発し、励磁の立ち上がりに要する時間をより短くして、エンジンを再始動することが出来るので、上記のもどかしさをその程度に合わせて合理的に解消することが出来る。又バッテリーの電力消費の点からは、エンジン始動用モーターの励磁電流が、エンジン停止直後の所定の最高値から、時間の経過により、その必要度の低下に合わせて低減されるので、バッテリー電源の消費を電力消費の効果に合わせて最小限度に抑制することができる。
【0009】この場合、時間の経過により励磁電流を低減させる要領としては、大別して、添付の図1にA,B,Cにて例示した如きものが採用されてよい。この内A及びBの要領による低減は、上述の如く一時停車の時間の経過により運転者の感覚が次第に停車により大きく慣らされて行き、それだけ再発進時のエンジン始動遅れが気になる度合が低減することに合わせてバッテリーの電流節減をより大きくすることを狙ったものであり、Cの要領による低減は、頻繁に起こり得ると想定される或る所定の時間が経過するまではエンジン再始動性を最高度に保持し、それ以上の時間が経過したときには、止むを得ず運転者にエンジン再始動遅れを納得してもらうものである。尚、この場合、以下に説明する警報によりエンジン再始動に於ける差異を運転者にしらせ、その納得を促すのが好ましい。
【0010】即ち、上記の如くエンジンの一時停止後、時間の経過により、エンジン始動用モーターの励磁電流が所定のしきい値以下に低下したときには、運転者に対しその旨の警報が発せられるようになっていれば、運転者は、エンジン停止から比較的短い時間の後自動車を再発進させるときと、エンジン停止より比較的長い時間が経ち、警報が発せられた後自動車を再発進させるときとの、エンジン追随性に於ける差異を、日頃から明確に認識させられ、やがて運転者には、一時停車時間の長さ及び警報が発せられる以前か以後かということと再発進時のエンジン追随性との間の関係に対応する運転感覚が養われ、一時停車時間の長短に拘らず、もどかしさを感じない運転が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に添付の図2及び3を参照して、本発明を実施例について詳細に説明する。
【0012】図2は本発明による燃料消費節約型自動車に於ける発明の要部に係わるエンジン及びそれに関連する装置を解図的に示す図である。
【0013】図2に於いて、10はエンジンであり、そのクランク軸12によりトランスミッション14を経て図には示されていない車輪を駆動するようになっている。クランク軸12にはクラッチ16を経てプーリー18が選択的に連結されるようになっている。20は電動機としても発電機としても作動することの出来るモーター/ジェネレーター(以下M/Gと称する)であり、その回転軸22にはプーリー24が取り付けられている。プーリー18とプーリー24とはそれらの周りを回って張設された無端ベルト26により駆動的に連結されている。なお無端ベルト26は、さらにパワーステアリングポンプ28の回転軸30に取り付けられたプーリー32およびエアコンディショナー34の回転軸36に取り付けられたプーリー38の周りにも張設されており、エンジンの作動中にはクラッチ16が係合されることによりM/G20がジェネレーターとして駆動され、又パワーステアリングポンプ28及びエアコンディショナー34も必要に応じて駆動されるようになっている。M/G20の回転軸26にはクラッチ40を経てエンジン冷却水用のウォーターポンプ42の回転軸44が選択的に連結されるようになっている。
【0014】M/G20はインバーター46を経てバッテリー48と電気的に接続されており、インバーター46がコントローラー50により切換制御されることにより、M/G20がエンジン10により駆動されるときには、M/Gは発電機として作動してバッテリー48を充電し、エンジンの始動に当たっては、M/Gはバッテリー48を電源としてモーターとして作動してエンジンを駆動する。又エンジンの一時停止中にパワーステアリングポンプ28、エアコンディショナー34、ウォーターポンプ42の少なくとも一つを駆動する必要があるときにも、M/Gはバッテリー48を電源としてモーターとして作動するようになっている。
【0015】コントローラー50は図には示されていないブレーキスイッチからの信号a、図には示されていない車速センサーからの信号b、図には示されていない走行距離計からの信号c等を供給され、以下に詳細に説明される要領にてクラッチ16及び40の係合或いは解除を制御し、又インバーター46を制御してM/G20の作動を制御するようになっている。
【0016】次に、図2に示す如き駆動装置を備えた本発明による燃料消費節約型自動車の作動を、図3に示すフローチャートを参照して、一つの実施例について説明する。尚この実施例は図1のAの例に相当するが、微細に見ればBの例の段差を微小にしたものである。
【0017】図には示されていない自動車のキースイッチの閉成或いは本発明の実施を選択する図には示されていない適当なスイッチの閉成により本発明による燃料消費節約型自動車の運転が開始されると、ステップ10にてブレーキスイッチがオンであるか否か、即ち運転者がブレーキペダルを所定の踏込み深度を超えて踏み込んだか否かが判断される。判断結果がイエスのときには、制御はステップ20へ進み、車速が所定の小さいしきい値V0であるか否かが判断される。判断結果がイエスのときには制御はステップ30へ進み、前回の一時停止よりの走行距離が15メートル以上であるか否かが判断される。この「15メートル以上」なる走行距離はバッテリーに不適当な消耗を生ずることなく燃料消費節約型の運転を行うための走行距離の目安の一例である。判断結果がイエスのときには制御はステップ40へ進む。
【0018】ステップ40に於いては、フラッグFが1であるか否かが判断される。フラッグFは制御の開始時には初期化により0とされているものであり、以下に説明するステップ60にて1とされるものである。制御開始後の初めてのステップ40に於いては、判断結果はノーであり、制御はステップ50へ進み、ここでエンジンが停止される。このときM/G20に於ける励磁電流は、発電機としての作動時のままの値、或いはその設計に応じてエンジン始動時にM/Gがモーターとして作動するときの最大電流値に設定される。ついでステップ60にてフラッグFが1に設定される。
【0019】ステップ70に於いては、M/G20の励磁電流Imが所定のしきい値I0以上であるか否かが判断される。しきい値I0はエンジンの一時停止中にパワーステアリングポンプ28、エアーコンディショナー34、ウォーターポンプ42の何れか或いはすべてをM/G20にて駆動するためにM/G20の励磁に要する励磁電流の値である。しきい値I0の値はエンジンの一時停止中にM/G20により駆動すべきパワーステアリングポンプその他の補機の種類及び数に応じて変えられてよく、何れの補機も駆動される必要が無いときには0とされてもよい。
【0020】ステップ70の判断結果がイエスのときには、制御はステップ80へ進み、励磁電流Imが所定の値ΔI1だけ減じられる。一例として、Imの初期値は5アンペア程度であってよく、これを時間の経過により低減する度合は、同じく一例として1分間当たり1アンペア程度であってよい。ΔI1の値は、かかる時間当たりの電流の低減度に応じて、フローチャートのサイクルタイムに基づき定められる。ステップ70の判断結果がノーのときには、ステップ80はバイパスされる。尚、ΔI1は、一定ではなく、時間の経過により変化する時間の関数とされてもよい。
【0021】ステップ90に於いては、励磁電流Imの値がしきい値I1以上であるか否かが判断される。判断結果がイエスのときには制御はステップ10へ戻り、ステップ10、20及び30に於ける判断結果がイエスである限り、制御はステップ40より直接ステップ70へ進み、ImがI0以上である限り、ステップ80にて電流を低減する作用が行われる。
【0022】かくして励磁電流の低減が進み、それがステップ90に於ける判断結果がノーとなるまで進行すると、制御はステップ100へ進み、ここで運転者に対する警報が発せられる。警報はランプの点灯によって行われてよく、又その点灯の初期に音声が発せられるようなっていてよい。しきい値I1の大きさは、励磁電流の予めの供給によりM/G20の励磁慣性による始動遅れを実質的に回避する効果のある電流値の最低値であり、このしきい値は、一例として、エンジン停止直後の励磁電流最大値の半分程度とされてよい。こうして警報が点灯されることにより、運転者は、警報が発せられている状態に於いては自動車の再発進に際してエンジンに幾分かの追随遅れがあることを予め知らされ、運転者はそれを納得し、望むならそのことを考慮して自動車の再発進操作を一瞬早めに行うことが出来る。
【0023】ステップ10、20或いは30の少なくとも何れかに於ける判断結果がノーであるとき、或いはすべての判断結果がイエスの状態より何れかがノーに転ずると、制御はステップ110に至り、フラッグFが1であるか否かが判断される。制御が、ステップ60を通過することなく、即ちエンジンが一時停止されることなく、ステップ110に至ったときには、フラッグFは0であり、そのときには制御はそのままステップ10へ戻る。これに対し、制御が一度ステップ50及び60を通り、エンジンが一時停止された状態にて、ステップ110に至ったときには、ステップ110の判断結果はイエスであり、制御はステップ120へ進む。
【0024】ステップ120に於いては、励磁電流Imがしきい値I2以上であるか否かが判断される。このしきい値I2はM/G20がそのままモーターとして始動されてもエンジンの確実な始動を達成できる電流値であり、このときは制御はステップ130へ進み、ここでM/G20がスターターとして作動され、エンジンの再始動が行われる。ついでステップ150に於いてエンジンが実際に始動したか否かが判断される。この判断は、エンジン回転数が所定値以上であるか否か、或いはエンジン回転数が増加しつつあるか否か等によってなされてよい。
【0025】ステップ120に於ける判断結果がノーのときには、制御はステップ140へ進み、励磁電流ImをΔI2だけ増大する操作が行われ、制御はステップ120へ戻る。こうして励磁電流がI2以下に下がっているときにはΔI2の値により定まる電流上昇勾配にて励磁電流を速やかにしきい値I2まで回復させる。
【0026】ステップ150に於ける判断結果がノーのときには、制御はステップ120へ戻り、ステップ120に於ける判断結果に応じて、再度ステップ130にて、或いはステップ140を経た後、再度ステップ130にて、M/G20によるエンジンの始動駆動が行われる。
【0027】ステップ150に於ける判断結果がイエスとなれば、制御はステップ160へ進み、M/G20のモーターとしての作動は停止され、ついでステップ170にてフラッグFが0にリセットされ、制御はステップ10へ戻る。
【0028】かくして、本発明によれば、エンジンの一時停止を伴う燃料消費節約型自動車の運転に於ける再発進時のエンジン始動遅れを、一時停止時間が短いとき程小さくし、バッテリーの電力消費を最小限に抑制しつつ、再発進時エンジン始動遅れのもどかしさの感覚をより効果的に低減することができる。さらに又、やむなくエンジン一時停止期間が長引いたときには、運転者に対しエンジンの始動遅れを予め警告することにより、敏捷な運転者にはそれを補う運転を促し、又そうしないまでも始動遅れを予め納得させる事により、始動遅れに対する不快感を低減するよう、燃料消費節約型自動車にの改良が達成される。
【0029】かかる本発明の効果は、励磁電流Imの初期値、ΔI1の大きさ並びにしきい値I1の値を、エンジン及びM/Gの仕様並びに自動車の運行環境に合わせて適当に設定することにより、より有効に発揮される。
【0030】以上に於いては本発明を一つの好ましい実施例について詳細に説明したが、図示の実施例について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年6月14日(2000.6.14)
【代理人】 【識別番号】100071216
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 昌毅
【公開番号】 特開2001−355549(P2001−355549A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−178128(P2000−178128)