| 【発明の名称】 |
エンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】平田 雅己
【氏名】篠原 剛
【氏名】岡田 恭一
【氏名】岸本 功
【氏名】長竹 和夫
|
| 【要約】 |
【課題】車両の搭載スペースが小さくて済み、大形のスタータリレーを必要としないエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置を提供する。
【解決手段】ブラシレスモータ(永久磁石モータ)9のシャフトををエンジンの出力軸に連結し、ブラシレスモータ9をエンジンのスタータとして動作させる場合には、チョッパ回路24を非動作若しくは昇圧チョッパとして動作させことによりインバータ回路12を介してブラシレスモータ9を駆動させる。ブラシレスモータ9を発電機として動作させる場合には、そのブラシレスモータ9の発電電圧がバッテリ10の電圧より高いときは、インバータ回路12を非動作にして、チョッパ回路24を降圧チョッパとして動作させることによりバッテリ10を充電させ、ブラシレスモータ9の発電電圧がバッテリ10の電圧より低いときは、チョッパ回路24のトランジスタ25をオンさせた状態にして、インバータ回路12の負側のトランジスタ14Uないし14Wをオンオフして、そのインバータ回路12をを昇圧チョッパをして動作させることによりバッテリ10を充電させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両に搭載されたバッテリと、エンジンの出力軸に連繋された永久磁石モータと、フライホイールダイオードを有する2個のスイッチング素子を直列に接続してなるアームを1つ以上有し、入力端子がコンデンサに接続され、出力端子が前記永久磁石モータに接続されて、直流を交流に変換して前記永久磁石モータに供給するための駆動回路と、前記バッテリ側に位置して前記コンデンサに並列に設けられ、ダイオードを並列に有する複数のスイッチング素子を直列接続してなるチョッパ回路と、このチョッパ回路の中性点と前記バッテリとの間に接続されたリアクトルと、前記駆動回路および前記チョッパ回路のスイッチング素子をオンオフ制御する制御手段とを具備してなるエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置。 【請求項2】 制御手段は、永久磁石モータをエンジンのスタータとして動作させる場合には、チョッパ回路を非動作若しくは昇圧チョッパとして動作させことにより駆動回路を介して前記永久磁石モータを駆動させ、前記永久磁石モータを発電機として動作させる場合には、その永久磁石モータの発電電圧がバッテリの電圧より高いときは、前記駆動回路を非動作にして、前記チョッパ回路を降圧チョッパとして動作させることにより前記バッテリを充電させ、前記永久磁石モータの発電電圧が前記バッテリの電圧より低いときは、前記チョッパ回路を非動作にして、前記駆動回路の負側スイッチング素子をオンオフしてその駆動回路を昇圧チョッパをして動作させることにより前記バッテリを充電させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置。 【請求項3】 チョッパ回路に、ダイオードを並列に有する2個のスイッチング素子を直列接続してなるもう1つのチョッパ回路を並列に接続し、そのチョッパ回路の中性点とバッテリとの間にリアクトルを接続するようにしたことを特徴とする請求項1記載のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置。 【請求項4】 制御手段は、2つのチョッパ回路において、昇圧時には負側のスイッチング素子を180度のタイミング位相差をもってオンオフさせ、降圧時には正側のスイッチング素子を180度のタイミング位相差をもってオンオフさせるように構成されていることを特徴とする請求項3記載のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置。 【請求項5】 2つのリアクトルは、1つのコアに2つのコイルを巻装して構成されていることを特徴とする請求項3記載のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのスタータおよびバッテリの充電用の発電機として兼用する永久磁石モータの制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、車両例えば自動車においては、エンジンの出力軸にクラッチを介してスタータ(セルモータ)が連繋されていて、このスタータはリレースイッチを介してバッテリに接続されており、また、エンジンの出力軸に発電機が連繋されていて、この発電機はバッテリに接続されている。そして、イグニッションキーがスタータ位置に回されてスタータリレーが動作されると、そのリレースイッチがオンしてバッテリからスタータに電源が供給され、スタータが動作してエンジンの出力軸を駆動し、エンジンをを始動させる。その後、クラッチが切り離されるとともに、スタータリレーが復帰されてリレースイッチがオフされるようになっている。エンジンが始動すると、発電機が駆動されて発電し、これによりバッテリが充電されるようになっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来の構成では、エンジンのスタータおよびバッテリ充電用の発電機の2つを必要とするため、自動車の搭載スペースが大きくなる不具合がある。また、エンジンの始動時には、スタータには大トルクを発生すべく大電流が流れるので、スタータリレーとしては、この大電流に耐え得る大形のものを用いる必要がある。更に、エンジンの始動後は、このエンジンによりスタータが逆駆動されないようにクラッチが設けられているが、クラッチを設けることは搭載スペーサが一層大きくなる不具合がある。 【0004】本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の搭載スペースが小さくて済み、大形のスタータリレーを必要としないエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】請求項1記載のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置は、車両に搭載されたバッテリと、エンジンの出力軸に連繋された永久磁石モータと、フライホイールダイオードを有する複数のスイッチング素子を直列に接続してなるアームを1つ以上有し、入力端子がコンデンサに接続され、出力端子が前記永久磁石モータに接続されて、直流を交流に変換して前記永久磁石モータに供給するための駆動回路と、前記バッテリ側に位置して前記コンデンサに並列に設けられ、ダイオードを並列に有する2個のスイッチング素子を直列接続してなるチョッパ回路と、このチョッパ回路の中性点と前記バッテリとの間に接続されたリアクトルと、前記駆動回路および前記チョッパ回路のスイッチング素子をオンオフ制御する制御手段とを具備する構成に特徴を有する。 【0006】請求項2記載のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置は、制御手段を、永久磁石モータをエンジンのスタータとして動作させる場合には、チョッパ回路を非動作若しくは昇圧チョッパとして動作させことにより駆動回路を介して前記永久磁石モータを駆動させ、前記永久磁石モータを発電機として動作させる場合には、その永久磁石モータの発電電圧がバッテリの電圧より高いときは、前記駆動回路を非動作にして、前記チョッパ回路を降圧チョッパとして動作させることにより前記バッテリを充電させ、前記永久磁石モータの発電電圧が前記バッテリの電圧より低いときは、前記チョッパ回路を非動作にして、前記駆動回路の負側スイッチング素子をオンオフしてその駆動回路を昇圧チョッパをして動作させることにより前記バッテリを充電させるように構成するところに特徴を有する。 【0007】以上のような構成によれば、永久磁石モータをエンジンの出力軸に連繋して、この永久磁石モータを、エンジンの始動時にはエンジンを駆動するスタータとして動作させ、エンジンの始動後はエンジンにより駆動されてバッテリを充電するための発電機として動作させるようにしたので、1つの永久磁石モータにスタータと発電機とを兼用させることができ、従って、スタータと発電機の2つを搭載するようにした従来に比し、車両の搭載スペースを小さくすることができ、しかも、エンジンの出力軸と永久磁石モータとの間には従来のようなクラッチを設ける必要がないので、搭載スペースを一層小さくすることができる。そして、永久磁石モータをスタータとして動作させる場合には、永久磁石モータを制御手段によって制御される駆動回路により駆動するようにしたので、バッテリと永久磁石モータとの間に、従来のようなスタータリレーのリレースイッチを接続する必要がなく、従って、大形なスタータリレーを設ける必要もない。 【0008】そして、永久磁石モータをスタータとして動作させる場合において、バッテリの端子間電圧が定格電圧であるときには、チョッパ回路を非動作状態にしてバッテリの端子間電圧によりコンデンサを充電させ、バッテリの端子間電圧が定格電圧より低いときには、リアクトルとともにチョッパ回路を昇圧チョッパとして動作させることによりバッテリの端子間電圧を昇圧してコンデンサを充電させるようにし、逆に、永久磁石モータを発電機として動作させる場合において、永久磁石モータの発電電圧がバッテリの定格電圧より高いときには、駆動回路を非動作状態にし、チョッパ回路を降圧チョッパとして動作させてバッテリを充電させ、永久磁石モータの発電電圧がバッテリの定格電圧より低いときには、チョッパ回路を非動作状態(但し、正側のトランジスタはオン)にし、駆動回路を永久磁石モータのステータコイルとともに昇圧チョッパとして動作させてバッテリを充電させるようにしたので、スタータとして動作すべく大トルクを有する永久磁石モータであっても、バッテリを充電させるための発電機として動作させることができるものであり、逆に、バッテリの電圧が低下しても昇圧により大トルクの永久磁石モータを始動させることができる。 【0009】請求項3記載のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置は、チョッパ回路に、ダイオードを並列に有する2個のスイッチング素子を直列接続してなるもう1つのチョッパ回路を並列に接続し、そのチョッパ回路の中性点とバッテリとの間にリアクトルを接続するようにした構成に特徴を有する。 【0010】請求項4記載のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置は、制御手段を、2つのチョッパ回路において、昇圧時には負側のスイッチング素子を180度のタイミング位相差をもってオンオフさせ、降圧時には正側のスイッチング素子を180度のタイミング位相差をもってオンオフさせるように構成するところに特徴を有する。 【0011】以上のような構成によれば、2つのチョッパ回路において、昇圧時には負側のスイッチング素子が180度のタイミング位相差をもってオンオフされるので、コンデンサにリップルの少ない直流電源電圧を供給することができる。また、降圧時には正側のスイッチング素子が180度のタイミング位相差をもってオンオフされるので、リップルの少ない電圧でバッテリを充電することができる。 【0012】請求項5記載のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置は、2つのリアクトルを、1つのコアに2つのコイルを巻装して構成するところに特徴を有する。このような構成によれば、リアクトルを小形化できる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明を自動車に適用した第1の実施例につき、図1および図2を参照しながら説明する。先ず、全体構成を示す図2において、車両たる自動車1には、エンジン2が搭載されている。このエンジン2は、変速機3および差動ギヤ4を介して後側ホイール5,5の車軸6,6を駆動するようになっている。尚、自動車1の前側ホイール7,7の車軸8,8は非駆動である。また、自動車1には、永久磁石モータとしてブラシレスモータ9が搭載されている。このブラシレスモータ9は、図1に示すように、複数相例えば3相のステータコイル9U,9Vおよび9Wを有するステータと、永久磁石形のロータとを備えている。そして、このブラシレスモータ9のロータのシャフトは、エンジン2の出力軸に連繋例えば直結されている。更に、自動車1には、鉛蓄電池等の充電可能な36ボルト定格(ハイブリットカー仕様)のバッテリ10が搭載されており、このバッテリ10とブラシレスモータ9との間で後述する制御装置11を介して電力の授受が行なわれるようになっている。 【0014】さて、制御装置11の具体的構成につき、図1に従って述べる。駆動回路としてのインバータ回路12は、6個のスイッチング素子たるNPN形のトランジスタ13U,13V,13Wおよび14U,14V,14Wを3相ブリッジ接続して構成されたもので、夫々のコレクタ,エミッタ間には、フライホイールダイオード15U,15V,15Wおよび16U,16V,16Wが接続され、以て、3つのアーム17U,17Vおよび17Wを有する。そして、このインバータ回路12の入力端子18,19は直流母線20,21に接続され、出力端子22U,22V,22Wはブラシレスモータ9のステータコイル9U,9Vおよび9Wの各一端子に接続されている。尚、ステータコイル9U,9Vおよび9Wの各他端子は共通に接続されている。また、直流母線21はバッテリ10の負端子に接続されているとともに、直流母線20,21間にはコンデンサ23が接続されている。 【0015】チョッパ回路24は、例えば2つのスイッチング素子(3つ以上の複数でも可)としてのNPN形のトランジスタ25,26およびダイオード27,28を有するもので、そのトランジスタ25において、コレクタは直流母線20に接続され、エミッタはトランジスタ26のコレクタに接続され、そのトランジスタ26のエミッタは直流母線21に接続され、トランジスタ25,26の夫々のコレクタ,エミッタ間にはダイオード27,28が接続されている。そして、チョッパ回路24の中性点は、リアクトル29を介してバッテリ10の正端子に接続されている。この場合、上記リアクトル29は、コアにコイルを巻装して構成されている。 【0016】バッテリ電圧検出器30は、バッテリ10に並列に接続されていて、バッテリ10の端子間電圧を検出するようになっている。主回路電圧検出器31は、コンデンサ23に並列に接続されていて、コンデンサ23の端子間電圧(主回路電圧)を検出するようになっている。そして、位置検出器32は、ブラシレスモータ9に配設されていて、ブラシレスモータ9のロータの位置を検出するホールICから構成されている。 【0017】さて、制御手段たるマイクロコンピュータ33は、各入力ポートにバッテリ電圧検出器30,主回路電圧検出器31および位置検出器32の各出力端子が接続され、各出力ポートがフォトカプラ式のベースドライブ回路34,35の各入力端子に接続されていて、後述する如くに動作する。そして、ベースドライブ回路34の各出力端子は、インバータ回路12のトランジスタ13Uないし13Wおよび14Uないし14Wのベースに夫々接続され、ベースドライブ回路35の各出力端子は、チョッパ回路24のトランジスタ25,26のベースに夫々接続されている。 【0018】次に、本実施例の作用につき説明する。〈ブラシレスモータ9をスタータとして動作させる場合〉マイクロコンピュータ33は、バッテリ電圧検出器30が検出するバッテリ10の端子間電圧が定格電圧であるときには、チョッパ回路24を非動作状態とする。これにより、バッテリ10の直流電圧はリアクトル29およびダイオード27を介してコンデンサ23に印加され、コンデンサ23はインバータ回路12の入力電圧に適した電圧に充電される。また、マイクロコンピュータ33は、バッテリ電圧検出器30が検出するバッテリ10の端子間電圧が定格電圧より低いときには、ベースドライブ回路35のベースにPWM信号を与えることによりチョッパ回路24の負側のトランジスタ26にベース信号を与えるようになり、トランジスタ26はPWM信号のデューティに応じてオンオフされる。 【0019】チョッパ回路24において、トランジスタ26がオンされると、リアクトル29およびランジスタ26の経路でバッテリ10からリアクトル29に電流が流れ、次に、トランジスタ26がオフされると、リアクトル29に蓄積されたエネルギーがダイオード27を介して放出され、以て、昇圧された電圧がコンデンサ23に印加される。この場合、電圧の昇圧率は、PWM信号のデューティで決定されるものであり、PWM信号のデューティが大になるほど昇圧率も大になる。マイクロコンピュータ33は、バッテリ10の端子間電圧に応じてPWM信号のデューティを決定するようになっており、これによりコンデンサ23はインバータ回路12の入力電圧に適した電圧に充電される。このように、チョッパ回路24とリアクトル29とは、このときには昇圧チョッパとして動作するのである。 【0020】マイクロコンピュータ33にスタータ信号が与えられると、マイクロコンピュータ33は、位置検出器32からの位置検出信号に基づいて通電タイミング信号を生成してベース駆動回路34に与え、ベース駆動回路34はこれに応じてインバータ回路12のトランジスタ13Uないし13Wおよび14Uないし14Wのベースに順次ベース信号を与えるようになり、トランジスタ13Uないし13Wおよび14Uないし14Wが順次オンオフされる。これにより、ブラシレスモータ9のステータコイル9Uないし9Wに例えば120度通電方式により交流電流が流れ、ロータが回転を始める。ブラシレスモータ9が始動すると、そのシャフトに連結されたエンジン2の出力軸が回転駆動され、エンジン2が始動するようになる。即ち、このときには、ブラシレスモータ9は、エンジン2のスタータとして機能するのである。 【0021】〈ブラシレスモータ9を発電機として動作させる場合〉マイクロコンピュータ33は、エンジンが始動したときには、インバータ回路12のトランジスタ13Uないし13Wおよび14Uないし14Wのベースに対するベース信号の供給を停止してこれらを全てオフさせ、以て、インバータ回路12を非動作状態にする。エンジン2が始動されると、今度は、ブラシレスモータ9のシャフト即ちロータがエンジン2の出力軸によって回転駆動されて、ステータコイル9Uないし9Wに電圧が誘起され、この誘起された交流電圧は、インバータ回路12のフライホイールダイオード15Uないし15Wおよび16Uないし16Wが全波整流回路として機能することにより直流電圧に変換されてコンデンサ23に印加される。即ち、このときには、ブラシレスモータ9は、発電機として機能するのである。 【0022】ところで、エンジン2の出力軸の回転速度は、アクセルの踏込み度合に応じて高低変化するものである。従って、エンジン2の出力軸の回転速度に応じてブラシレスモータ9のステータコイル9Uないし9Wに誘起される電圧(発電電圧)も高低変化するものであり、コンデンサ23に印加される直流電圧も高低変化する。 【0023】マイクロコンピュータ33は、主回路電圧検出器31が検出するコンデンサ23の端子間電圧(主回路電圧)がバッテリ10の定格電圧より高いときには(ブラシレスモータ9の発電電圧が高いときには)、ベースドライブ回路35にPWM信号を与えることによりチョッパ回路24の正側のトランジスタ25のベースにベース信号を与えるようになり、トランジスタ25はPWM信号のデューティに応じてオンオフされる。 【0024】チョッパ回路24において、トランジスタ25がオンされると、コンデンサ23の端子間電圧は、トランジスタ25のオン期間だけリアクトル29を介してバッテリ10に印加されるので、結果として、バッテリ10にはコンデンサ23の端子間電圧が降圧されて印加されるようになる。この場合、電圧の降圧率は、PWM信号のデューティで決定されるものであり、PWM信号のデューティが小になるほど降圧率が大になる。マイクロコンピュータ33は、コンデンサ23の端子間電圧に応じてPWM信号のデューティを決定するようになっており、これによりバッテリ10は適正な電圧で充電される。このように、チョッパ回路24とリアクトル29とは、このときには降圧チョッパとして動作するのである。 【0025】また、マイクロコンピュータ33は、主回路電圧検出器31が検出するコンデンサ23の端子間電圧(主回路電圧)がバッテリ10の定格電圧より低いときには(ブラシレスモータ9の発電電圧が低いときには)、チョッパ回路24を非動作状態とする。ここで、チョッパ回路24を非動作状態にするとは、トランジスタ25,26にオンオフの繰返し動作を行わせないということで、ここでは、トランジスタ25はオン状態にされる。 【0026】更に、マイクロコンピュータ33は、ベースドライブ回路34にPWM信号を与えることによりインバータ回路12の負側のトランジスタ14Uないし14Wのベースにベース信号を与えるようになり、トランジスタ14Uないし14WはPWM信号のデューティに応じてオンオフされる。この場合、インバータ回路12においては、ブラシレスモータ9のステータコイル9Uから電流が流出するパターンのときには、トランジスタ14Uがオンオフされ、ステータコイル9Vから電流が流出するパターンのときには、トランジスタ14Vがオンオフされ、ステータコイル9Wから電流が流出するパターンのときには、トランジスタ14Wがオンオフされる。 【0027】インバータ回路12において、例えばトランジスタ14Uがオンされると、ステータコイル9Uとステータコイル9V若しくは9Wとに誘起される電圧によって、ステータコイル9Uとトランジスタ14Uとフリーホイールダイオード16V若しくは16Wとステータコイル9V若しくは9Wとの経路で循環電流が流れて、ステータコイル9Uとステータコイル9V若しくは9Wとにエネルギーが蓄積され、次に、トランジスタ14Uがオフされると、ステータコイル9Uとステータコイル9V若しくは9Wとに蓄積されたエネルギーがフリーホイールダイオード15Uを介して放出され、以て、昇圧された電圧がコンデンサ23に印加される。この場合、電圧の昇圧率は、PWM信号のデューティで決定されるものであり、PWM信号のデューティが大になるほど昇圧率も大になる。マイクロコンピュータ33は、バッテリ10の端子間電圧に応じてPWM信号のデューティを決定するようになっており、これによりコンデンサ23はバッテリ10の充電にに適した電圧に充電される。 【0028】インバータ回路12のトランジスタ14Vおよび14Wがオンオフされることによる昇圧の原理は、上述したトランジスタ14Uのオンオフのときと同様であり、従って、このときには、インバータ回路12は、ステータコイル9Uないし9Wをリアクトルとする昇圧チョッパとして機能するのである。 【0029】このように本実施例によれば、ブラシレスモータ9のシャフトをエンジン2の出力軸に直結して、このブラシレスモータ9を、エンジン2の始動時にはエンジン2を駆動するスタータとして動作させ、エンジン2の始動後はエンジン2により駆動されてバッテリ10を充電するための発電機として動作させるようにしたので、1つのブラシレスモータ9にエンジン2のスタータとバッテリ10の充電用の発電機とを兼用させることができ、従って、スタータと発電機の2つを搭載するようにした従来に比し、自動車1の搭載スペースを小さくすることができ、しかも、エンジン2の出力軸とブラシレスモータ9のシャフトとの間には従来のようなクラッチを設ける必要がないので、自動車1の搭載スペースを一層小さくすることができる。そして、ブラシレスモータ9をスタータとして動作させる場合には、ブラシレスモータ9をマイクロコンピュータ33によって制御されるインバータ回路12により駆動するようにしたので、バッテリ10とブラシレスモータ9との間に、従来のようなスタータリレーのリレースイッチを接続する必要がなく、従って、大形なスタータリレーを設ける必要もない。 【0030】ここで、ブラシレスモータ9をスタータとして動作させる場合において、バッテリ10の端子間電圧が定格電圧であるときには、チョッパ回路24を非動作状態にしてバッテリ10の端子間電圧によりコンデンサ23を充電させ、バッテリ10の端子間電圧が定格電圧より低いときには、リアクトル29とともにチョッパ回路24を昇圧チョッパとして動作させることによりバッテリ10の端子間電圧を昇圧してコンデンサ23を充電させるようにした。逆に、ブラシレスモータ9を発電機として動作させる場合において、ブラシレスモータ9の発電電圧がバッテリ10の定格電圧より高いときには、インバータ回路12を非動作状態にし、チョッパ回路24を降圧チョッパとして動作させてバッテリ10を充電させ、ブラシレスモータ9の発電電圧がバッテリ10の定格電圧より低いときには、チョッパ回路24を非動作状態(但し、正側のトランジスタ25はオン)にし、インバータ回路12をブラシレスモータ9のステータコイル9Uないし9Wとともに昇圧チョッパとして動作させてバッテリ10を充電させるようにした。 【0031】以上のような構成とすることにより、スタータとして動作すべく大トルクを有するブラシレスモータ9であっても、バッテリ10を充電させるための発電機として動作させることができるものであり、逆に、バッテリ10の電圧が低下しても昇圧により大トルクのブラシレスモータ9を始動させることができる。 【0032】図3ないし図5は本発明の第2の実施例を示すもので、第1の実施例と同一部分には同一符号を付して示し、以下異なる部部についてのみ説明する。図3は要部のみの電気回路を示すもので、図示されていない部分は図1と同一構成である。もう1つのチョッパ回路36は、チョッパ回路24と同様に、2つスイッチング素子としてのNPN形のトランジスタ37,38およびダイオード39,40を有するもので、そのトランジスタ37において、コレクタは直流母線20に接続され、エミッタはトランジスタ38のコレクタに接続され、そのトランジスタ38のエミッタは直流母線21に接続され、トランジスタ37,38の夫々のコレクタ,エミッタ間にはダイオード39,40が接続されている。そして、チョッパ回路36の中性点は、リアクトル41を介してバッテリ10の正端子に接続されている。すなわち、チョッパ回路36は、チョッパ回路24に並列に接続されている。そして、リアクトル29および41は、1つのコアに2つのコイルを巻装して構成されている。 【0033】次に、この第2の実施例の作用につき、図4および図5をも参照しながら説明する。チョッパ回路24および36を昇圧チョッパとして動作させる場合には、マイクロコンピュータ33によりベース駆動回路35を介してトランジスタ26および38を180度のタイミング位相差をもってオンオフさせる。この場合、昇圧率を小にするときには、図4(a)および(b)に示すように、トランジスタ26および38のオン時間をオフ時間より短くし、昇圧率を大にするときには、図5(a)および(b)に示すように、トランジスタ26および38のオン時間をオフ時間より長くする。 【0034】また、チョッパ回路24および36を降圧チョッパとして動作させる場合には、マイクロコンピュータ33によりベース駆動回路35を介してトランジスタ25および37を180度のタイミング位相差をもってオンオフさせる。この場合、降圧率を大にするときには、図4(a)および(b)に示すように、トランジスタ25および37のオン時間をオフ時間より短くし、降圧率を小にするときには、図5(a)および(b)に示すように、トランジスタ25および37のオン時間をオフ時間より長くする。 【0035】このような第2の実施例によれば、チョッパ回路24および36を昇圧チョッパとして動作させる場合には、マイクロコンピュータ33によりベース駆動回路35を介してトランジスタ26および38を180度のタイミング位相差をもってオンオフさせるようにしたので、コンデンサ23にリップルの少ない直流電源電圧を供給することができる。更に、チョッパ回路24および36を降圧チョッパとして動作させる場合には、マイクロコンピュータ33によりベース駆動回路35を介してトランジスタ25および37を180度のタイミング位相差をもってオンオフさせるようにしたので、降圧チョッパとして高速度でスイッチングする必要のある場合に、各トランジスタ25および37は、それぞれ半分の応答性を有するだけでよく、発熱を押さえることができる。そして、トランジスタ25および37が図5(a)および(b)で示すようにオン期間が重複するように制御される場合には、トランジスタ25および37が電流分担をするようになる利点がある。 【0036】なお、上記第2の実施例においては、2個のトランジスタ37および38を設けるようにしたが、図6に示す本発明の第3の実施例のように、トランジスタ37を省略した構成のチョッパ回路42としてもよい。この場合には、降圧用はトランジスタ25のみとなる。 【0037】その他、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、次のような変形,拡張が可能である。第2の実施例において、降圧時にはトランジスタを25および37を同時にオンオフさせるようにしてもよい。自動車に限らず、エンジンを搭載した車両全般に適用できる。 【0038】 【発明の効果】以上の記述で明らかなように、本発明のエンジンのスタータと発電機とを兼用した永久磁石モータの制御装置によれば、永久磁石モータをエンジンの出力軸に連繋して、この永久磁石モータを、エンジンの始動時にはエンジンを駆動するスタータとして動作させ、エンジンの始動後はエンジンにより駆動されてバッテリを充電するための発電機として動作させるようにしたので、1つの永久磁石モータにスタータと発電機とを兼用させることができ、従って、スタータと発電機の2つを搭載するようにした従来に比し、車両の搭載スペースを小さくすることができ、しかも、エンジンの出力軸と永久磁石モータとの間には従来のようなクラッチを設ける必要がないので、搭載スペースを一層小さくすることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
|
| 【出願日】 |
平成12年3月29日(2000.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071135 【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 強
|
| 【公開番号】 |
特開2001−271729(P2001−271729A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月5日(2001.10.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−91090(P2000−91090) |
|