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【発明の名称】 船外機のエンジン構造
【発明者】 【氏名】辻井 栄一郎

【要約】 【課題】リコイルスタータとフライホイールのレイアウトの最適化を図ることによりエンジン高さを低くする。

【解決手段】クランク軸22の上端に固定されたフライホイール45およびプーリ54と、該プーリに係合可能に装着されるリコイルスタータ26とを備え、フライホイールの高さ方向の幅H1と、リコイルスタータの高さ方向の幅H2をラップさせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】クランク軸の上端に固定されたフライホイールおよびプーリと、該プーリに係合可能に装着されるリコイルスタータとを備え、フライホイールの高さ方向の幅と、リコイルスタータの高さ方向の幅をラップさせることを特徴とする船外機のエンジン構造。
【請求項2】前記リコイルスタータは、ロープにより回転されるロータと、ロータに回転可能に配設された係合アームと、該係合アームをプーリに係合可能にさせるガイド部材を備え、前記ガイド部材の中央部に凹部を形成し、該凹部にフライホイールをクランク軸に固定するボルトを配設したことを特徴とする請求項1記載の船外機のエンジン構造。
【請求項3】前記フライホイールの外周上下に突出部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の船外機のエンジン構造。
【請求項4】前記フライホイールの上面に水抜き孔を形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の船外機のエンジン構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船外機のエンジン構造、特にリコイルスタータおよびフライホイールの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】船外機においては、エンジンの始動方式としてマニュアル始動と電気始動があり、マニュアル始動の場合には、クランク軸の上端に固定されたフライホイールにリコイルスタータを設け、スタータ用の紐を引っ張ることによりエンジンを始動している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のリコイルスタータ付きの船外機においては、リコイルスタータとフライホイールの間には大きなデッドスペースがあり、このためエンジンの高さを低くできないという問題を有している。
【0004】本発明は、上記従来の問題を解決するものであって、リコイルスタータとフライホイールのレイアウトの最適化を図ることによりエンジン高さを低くすることができる船外機のエンジン構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、クランク軸22の上端に固定されたフライホイール45およびプーリ54と、該プーリに係合可能に装着されるリコイルスタータ26とを備え、フライホイールの高さ方向の幅H1と、リコイルスタータの高さ方向の幅H2をラップさせることを特徴とし、請求項2記載の発明は、請求項1において、前記リコイルスタータ26は、ロープ57により回転されるロータ56と、ロータに回転可能に配設された係合アーム61と、該係合アームをプーリに係合可能にさせるガイド部材60を備え、前記ガイド部材60の中央部に凹部60aを形成し、該凹部にフライホイールをクランク軸に固定するボルト55を配設したことを特徴とし、請求項3記載の発明は、請求項1または2において、前記フライホイールの外周上下に突出部45c、45dが形成されていることを特徴とし、請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記フライホイールの上面に水抜き孔45eを形成したことを特徴とする。なお、上記構成に付加した番号は、本発明の理解を容易にするために図面と対比させるもので、これにより本発明が何ら限定されるものではない。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1〜図5は、本発明の船外機のエンジン構造の1実施形態を示し、図1は船外機の一部断面を示す側面図である。なお、以下の説明において、各図面間で同一部品には同一番号を付けて説明を省略する場合がある。また、前部及び後部とは、船体の推進方向に対して言うものとする。
【0007】図1において、船外機1は、船体2の後部に着脱自在に取り付けられるクランプブラケット3と、クランプブラケット3にチルト軸5を介して上下方向に回動自在に枢支されるスイベルブラケット6と、このスイベルブラケット6に水平方向に回動自在に支持される推進ユニット7とを備えている。前記推進ユニット7は、スイベルブラケット6に回転自在に支持されるアッパケース9を有し、アッパケース9の下部にはロアケース10が取り付けられ、全体としてケーシングを構成している。ロアケース10にはプロペラ11が装着され、アッパケース9の上部にはボトムカウリング12が取り付けられ、ボトムカウリング12にトップカウリング13が着脱可能に取り付けられている。
【0008】アッパケース9の上部にはエンジン14が搭載されている。エンジン14は、例えば単気筒OHV式4サイクルエンジンであり、ヘッドカバー15、シリンダヘッド16、シリンダボディ17及びオイルパンを兼用するクランクケース19からエンジンボディが構成され、横置き状態に配設された気筒20及びピストン21と縦置き状態に配設されたクランク軸22を備えている。シリンダヘッド16には、排気弁24が装着され、排気ポート25が形成されている。また、クランク軸22の上部にはリコイルスタータ26が連結されている。なお、18はクランク軸22に連結されたドライブシャフト、27はシリンダボディ17の前部に配設された燃料タンク、43はキャブレター、47はサイレンサである。
【0009】図2(A)は、図1のスイベルブラケット6周りの断面図、図2(B)は図2(A)のB−B線に沿う断面図である。エンジン14を支持するアッパケース8は筒状に形成され、内部に排気通路8aが形成されており、排気通路8a内にはドライブシャフト18、シフトロッド62及び冷却水管61が縦方向に配設されている。アッパケース8の上部には皿状に広がるオイルパン連結部8bが形成され、その下部には小径の筒状部9cが形成されている。スイベルブラケット6は筒状に形成され、内周上下2箇所に水平に延びる支持フランジ6aが形成されている。そして、アッパケース8の外周にスイベルブラケット6を装着するとき、アッパケース8の筒状部8cの上下2箇所でスイベルブラケット6の支持フランジ6aとの間に、ゴム等の弾性材からなるマウント28を配設し、この構成によりスイベルブラケット6にマウント28を介してアッパケース8を360°回転自在に支持し、船体を前進、後進可能にするフルピポットタイプの船外機を構成している。なお、28aはアッパケース8とマウント28の間に介在されるブッシュである。
【0010】図3は、図1のエンジンの拡大断面図、図4は、図1のXーX線で切断し矢印方向に見た断面図である。クランク軸22には、クランクピン29及びカウンタウエイト30が備えられ、クランクピン29にはコンロッド31を介してピストン21が連結されている。排気弁24(吸気弁23も同様である)の軸線は、シリンダヘッド16とシリンダボディ17の合い面52に対して傾斜させられ、楔形燃焼室50を形成している。そして、シリンダヘッド16とヘッドカバー15の合い面51を、排気弁24の軸線に対して鉛直方向で前部側に傾斜させるようにしている。
【0011】シリンダボディ17には、クランク軸22に平行にカムシャフト32が配設されて、クランク軸22の回転がギヤ33、34を介してカムシャフト32に伝達される構成になっている。シリンダヘッド16及びヘッドカバー15内には動弁室35が形成され、吸気弁23、排気弁24は、シリンダヘッド16を貫通して動弁室35内に延設され、バルブスプリング36、リテーナ37を介してロッカーアーム39の一端に当接されている。また、シリンダボディ17にはリフター40が摺動自在に配設されており、リフター40の一端はカムシャフト32のカムに当接され、他端はプッシュロッド41介してロッカーアーム39の他端に連結されている。この構成により、カムシャフト32が回転すると、リフター40、プッシュロッド41が摺動し、これによりロッカーアーム39が揺動するため、吸気弁23及び排気弁24がバルブスプリング36に抗して開閉駆動される。
【0012】クランク軸22の上部には、フライホイール45が固定され、フライホイール45の上部にリコイルスタータ26が装着され、リコイルスタータ26およびフライホイール45は、シリンダボディ17に固定されたスタータカバー46で覆われている。フライホイール45の外周には磁石45aが設けられ、また、フライホイール45の外周に近接してイグニッションコイル53が配設されている。なお、シリンダヘッド16の上部には、凹状のブリーザ室47が形成されプレート49で密閉されている。また、44はクランク軸22により回転駆動され、シリンダボディ17内へオイルを飛散させるスプラッシャギヤである。
【0013】次に、図5により本発明の特徴について説明する。図5(A)は図3の要部拡大断面図、図5(B)はフライホイールの平面図である。本発明においては、フライホイール45の高さ方向の幅H1と、リコイルスタータ26の高さ方向の幅H2をラップさせるようにして、フライホイール45の質量を確保しつつエンジンの高さを低くするようにしている。以下にこれを詳述する。
【0014】クランク軸22の上端には、フライホイール45および椀状のプーリ54がボルト55により固定されている。フライホイール45は、円盤状の基板45bと基板45bの外周上下に突出する突出部45c、45dを備え、基板45bには水抜き孔45eが形成されている。また、プーリ54の外周には、複数の係合凹部54aが形成されている。
【0015】一方、スタータカバー46の下面には、ロータ56およびガイド部材60が回転自在に装着され、ロータ56はロープ57を介してスタータハンドル59に連結されている。ガイド部材60は、中央部に形成された凹部60aと、凹部60aの下方外周に形成されたガイド部60bを備え、凹部60a内にボルト55が位置するように取り付けられている。ロータ56の下面には係合アーム61が軸61aを支点に回動可能に取り付けられ、この係合アーム61とプーリ54およびロータ56によりワンウエイクラッチを構成している。
【0016】スタータハンドル59を引っ張ると、ロープ57によりロータ56が回転し、係合アーム61はガイド部材60に案内されてプーリ54の係合凹部54aに係合するため、プーリ54およびクランク軸22が回転する。エンジンが始動するとワンウエイクラッチの作用により、係合アーム61の係合は解除される。
【0017】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、単気筒OHV式4サイクルエンジンに適用した例を示しているが、複数気筒エンジンでもよく、またOHC式エンジンに適用してもよく、また、2サイクルエンジンに適用してもよい。
【0018】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項1、2記載の発明によれば、リコイルスタータとフライホイールのレイアウトの最適化を図ることによりエンジン高さを低くすることができ、請求項3記載の発明によれば、フライホイールの質量を確保することができ、回転変動を吸収することができ、請求項4記載の発明によれば、フライホイールに水が溜まるのを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000176213
【氏名又は名称】三信工業株式会社
【出願日】 平成11年10月14日(1999.10.14)
【代理人】 【識別番号】100092509
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 博樹 (外3名)
【公開番号】 特開2001−115932(P2001−115932A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−292278