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【発明の名称】 燃料ポンプ
【発明者】 【氏名】小林 厚茂

【氏名】大井 清利

【氏名】武井 大明

【氏名】海老原 嘉男

【要約】 【課題】ポンプ効率の高い燃料ポンプを提供することにある。

【解決手段】インペラ30は外周縁に全周にわたり羽根片31を有している。隔壁36は周方向に隣接する羽根片31の間に形成されている溝空間39に配設され、インペラ30の回転軸方向幅のほぼ中央で溝空間39の一部を羽根片31の根元から仕切っている。羽根片31の根元側は回転方向後方に傾斜しており、径方向外側の先端側は回転方向前方に傾斜している。前面32の凹みは、羽根片31の根元から径方向外側の先端まで連続して小さくなっており、回転軸方向両端から内側に向かって連続して大きくなっている。前面32の根元側の凹みが大きいので、インペラ30の回転により羽根片31の根元側から溝空間39に燃料が流入しやすい。溝空間39の先端側に向かう燃料は、前面32の凹みが小さくなっているので溝空間39からの流出速度が増加する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周縁に周方向に複数の羽根片を配設している円板状の回転部材と、隣接する羽根片同士の間に形成される溝空間を前記羽根片の回転軸方向幅のほぼ中央で前記羽根片の根元から仕切る隔壁と、前記回転部材を回転可能に収容し前記羽根片に沿って円弧状のポンプ流路を形成する流路部材とを備え、前記流路部材は前記ポンプ流路と連通する燃料入口および燃料出口を有し、前記回転部材が回転することにより、前記燃料入口から吸入した燃料を前記ポンプ流路を通り前記燃料出口から送出する燃料ポンプであって、各羽根片の回転方向前方に位置する前面は、前記回転部材の回転軸方向両端の内側が回転軸方向両端よりも凹んでいる凹面を有し、前記凹面の凹みは前記羽根片の根元から径方向外側の先端に向かって小さくなり、回転軸方向両端から内側に向かって大きくなっていることを特徴とする燃料ポンプ。
【請求項2】 前記凹面の凹みは前記羽根片の根元から先端まで連続して小さくなり、前記凹面の先端は直線であることを特徴とする請求項1記載の燃料ポンプ。
【請求項3】 前記凹面の凹みの底は、前記羽根片の回転軸方向幅の中央に位置していることを特徴とする請求項1または2記載の燃料ポンプ。
【請求項4】 前記羽根片の根元側は回転方向後方に傾斜し、前記羽根片の先端側は回転方向前方に傾斜していることを特徴とする請求項1、2または3記載の燃料ポンプ。
【請求項5】 前記羽根片の回転軸方向両端の側面において、回転方向前方の前辺は回転方向前方に向かって凹状であり、前記前辺の凹みの頂点を通り前記前辺の根元点を通る仮想直線と前記頂点を通る前記羽根片の仮想半径線とが形成する傾斜角をα、前記頂点を通り前記前辺の先端点を通る仮想直線と前記頂点を通る前記仮想半径線とが形成する傾斜角をβ、前記凹面の凹みの根元側の底と前記前辺の根元点とを結ぶ仮想直線と、前記回転軸方向両端の前記前辺の根元点とを結ぶ仮想直線とが形成する傾斜角をγとすると、0°≦α≦45°かつ0°≦β≦45°かつ10°≦γ≦45°であることを特徴とする請求項1、2または3記載の燃料ポンプ。
【請求項6】 前記羽根片の回転軸方向両端の側面において、回転方向前方の前辺、および回転方向後方の後辺は回転方向前方に向かって凹状であり、前記前辺および前記後辺の根元側の曲率と先端側の曲率とは異なっていることを特徴とする請求項4または5記載の燃料ポンプ。
【請求項7】 前記羽根片の回転軸方向両端の側面において、回転方向前方の前辺、および回転方向後方の後辺は回転方向前方に向かう凹曲線であり、前記前辺および前記後辺の曲率は異なっていることを特徴とする請求項4、5または6記載の燃料ポンプ。
【請求項8】 外周縁に周方向に複数の羽根片を配設している円板状の回転部材と、隣接する羽根片同士の間に形成される溝空間を前記羽根片の回転軸方向幅のほぼ中央で前記羽根片の根元から仕切る隔壁と、前記回転部材を回転可能に収容し、前記羽根片に沿って円弧状のポンプ流路を形成するポンプ溝を有する流路部材とを備え、前記流路部材は前記ポンプ流路と連通する燃料入口および燃料出口を有し、前記回転部材が回転することにより、前記燃料入口から吸入した燃料を前記ポンプ流路を通り前記燃料出口から送出する燃料ポンプであって、前記溝空間の周方向の幅は、前記羽根片の根元から径方向外側の先端に向け狭くなっていることを特徴とする燃料ポンプ。
【請求項9】 前記幅は、前記羽根片の回転軸方向両側から内側に向け狭くなっていることを特徴とする請求項8記載の燃料ポンプ。
【請求項10】 前記隔壁の回転軸方向両側の壁面は凹曲面であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の燃料ポンプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料タンクから吸い上げた燃料を吐出する燃料ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、外周縁に複数の羽根片を有する円板状のインペラが回転することにより、燃料タンクから吸い上げた燃料を吐出する燃料ポンプが知られている。隣接する羽根片の間に形成された溝空間は、回転軸方向の羽根片幅のほぼ中央で隔壁により少なくとも一部が仕切られている。インペラの回転に伴い、溝空間に流入した燃料は隔壁に沿って遠心力により径方向外側に送出され、旋回しながら次の溝空間に流入する。このようにしてインペラの回転に伴い旋回しながら燃料が溝空間に流入し溝空間から送出されることにより、燃料入口からポンプ流路に吸入された燃料は昇圧され燃料出口に向け送出される。したがって、溝空間に燃料が流入しやすく、かつ溝空間から流出する燃料の流出速度が速いインペラほど昇圧効果、所謂ポンプ効率が高くなる。つまり、同じ吐出圧に対し同じ回転数で吐出量が増加する。また、同じ吐出量にするなら回転数を低くできるので、インペラを回転駆動するためにモータに供給する電力が低減する。
【0003】特開平6−159282号公報に開示される燃料ポンプでは、隔壁位置を中心にし羽根片の両側を回転方向前方に傾斜させ、溝空間に燃料が流入しやすいようにしている。また、特開平6−229388号公報に開示される燃料ポンプでは、回転方向に対して羽根片の根元側を後傾させ、羽根片の径方向外側の先端を回転方向に対し前傾させることにより、溝空間の根元に流入する燃料のエネルギーを損なわず、溝空間から流出する燃料にインペラの回転方向、つまり燃料出口に向かうエネルギーを与えようとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平6−159282号公報に開示される燃料ポンプでは、羽根片の根元から先端まで隔壁位置を中心にしほぼ同じ角度で羽根片の両側が回転方向に向け傾斜しているので、羽根片の先端が溝空間から流出する燃料にインペラの回転方向に向けて与えるエネルギーが小さく、燃料が十分な流出速度を得られない。また、特開平6−229388号公報に開示される燃料ポンプでは、羽根片の前面が回転軸方向に平坦であるから、溝空間に燃料が流入しにくい。したがって、溝空間への燃料の流入頻度が低下し燃料に与えるエネルギーが減少する。このように、溝空間からの燃料流出速度が不十分だったり、溝空間に燃料が流入しにくいと、燃料旋回流の速度が低下し、ポンプ効率が低下するという問題が生じる。本発明の目的は、ポンプ効率の高い燃料ポンプを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の燃料ポンプによると、羽根片の前面の根元側は凹状に形成されており、回転軸両端から内側に向かって大きくなっているので、隣接する羽根片の間に形成される溝空間に燃料が流入しやすい。前面の凹面の凹みは羽根片の根元から径方向外側の先端に向かって小さくなっているので、羽根片の先端部が溝空間から流出する燃料に回転部材の回転方向に与えるエネルギーが大きく、燃料の流出速度が上昇する。したがって、同じ吐出圧に対し同じ回転数で吐出量が増加する。また、同じ吐出量にするなら回転数を低くできるので、回転部材を回転駆動するためにモータに供給する電力が低減する。つまり、ポンプ効率が上昇する。
【0006】本発明の請求項2記載の燃料ポンプによると、羽根片の前面の凹面の凹みは羽根片の根元から先端まで連続して小さくなり、凹面の先端は直線である。したがって、羽根片の先端が流出燃料に回転部材の回転方向に与えるエネルギーが大きくなり、溝空間の先端から流出する燃料速度が増加する。したがって、ポンプ効率が上昇する。
【0007】本発明の請求項3記載の燃料ポンプによると、前面の凹面の凹みの底は、羽根片の回転軸方向幅の中央に位置している。隔壁で仕切られる溝空間の両側に均等に燃料が流入し、先端から流出する燃料の速度が隔壁の回転軸方向両側でほぼ等しくなる。したがって、隔壁の回転軸方向両側で均等に燃料を昇圧できる。
【0008】本発明の請求項4記載の燃料ポンプによると、羽根片の根元側は回転方向後方に傾斜しているので、溝空間の根元に流入する燃料が前面に斜めに衝突する。したがって、燃料の流入エネルギーの低下を低減できる。さらに、羽根片の先端側は回転方向前方に傾斜しているので、溝空間から流出する燃料に回転方向前方に向かうエネルギーが加わる。したがって、ポンプ流路の燃料出口に向かう燃料の運動エネルギーが増加する。
【0009】ここで、羽根片の側面において前辺の凹みの頂点を通り前辺の根元点を通る仮想直線と前辺の凹みの頂点を通る羽根片の仮想半径線とが形成する傾斜角をα、前辺の凹みの頂点を通り前辺の先端点を通る仮想直線と前辺の凹みの頂点を通る仮想半径線とが形成する傾斜角をβ、凹面の凹みの根元側の底と前辺の根元点とを結ぶ仮想直線と、回転軸方向両端の前辺の根元点とを結ぶ仮想直線とが形成する傾斜角をγとする。αが45°より大きくなると、前面に沿って羽根片の根元から先端に向かう燃料の速度成分が低下し、燃料の流出速度が低下する。βが45°より大きくなると、溝空間から流出する燃料流れを前面が妨げ溝空間から燃料が流出する速度が低下する。また、10°>γであれば、溝空間の根元に燃料が流入しにくくなる。さらに、γ>45°になると、所定間隔で羽根片の間の溝空間が形成され、そこに燃料を外部から入れ、加速度をもって燃料の昇圧に寄与するようにしていること、さらにこの空間を形成するように製造するための型抜き構造を考慮すると、このような構造では溝空間の所定間隔を確保することが困難となる。すなわち、このような狭い溝空間では好ましい溝空間内の燃料流れ量を確保することが困難となる。本発明の請求項5記載の燃料ポンプでは、0°≦α≦45°かつ0°≦β≦45°かつ10°≦γ≦45°と設定しているので、溝空間に燃料が流入しやすく、かつ燃料の流出速度が上昇する。
【0010】本発明の請求項6記載の燃料ポンプによると、羽根片の前辺および後辺は回転方向前方に向かって凹状であり、前辺および後辺の根元側の曲率と先端側の曲率とは異なっている。燃料ポンプに要求される性能により、羽根片の傾斜を最適に設定できる。
【0011】本発明の請求項7記載の燃料ポンプによると、羽根片の前辺および後辺は回転方向前方に向かう凹曲線であり、前辺および後辺の曲率は異なっている。燃料ポンプに要求される性能により、羽根片の傾斜を最適に設定できる。本発明の請求項8記載の燃料ポンプによると、溝空間の周方向の幅は、羽根片の根元から径方向外側の先端に向け狭くなっている。溝空間の先端が絞られているので、溝空間から流出する燃料の速度が増加する。したがって、ポンプ効率が上昇する。
【0012】本発明の請求項9記載の燃料ポンプによると、溝空間の幅は、羽根片の回転軸方向両側から内側に向け狭くなっているので、回転軸方向両側から溝空間に流入した燃料は溝空間の中央付近で絞られて先端に向かう流れとなる。したがって、溝空間から流出する燃料の速度が増加する。本発明の請求項10記載の燃料ポンプによると、隔壁の凹状壁面に沿って燃料が流れることにより、燃料が容易に旋回流となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す実施例を図に基づいて説明する。本発明の燃料ポンプを示す一実施例を図8に示す。燃料ポンプ10は、例えば電子式燃料噴射システムの燃料供給システムにおいて車両等の燃料タンク内に収容されており、燃料タンクから吸入した燃料をエンジン側に供給するものである。
【0014】燃料ポンプ10はポンプ部20とこのポンプ部20を駆動する電磁駆動部としてのモータ部40とから構成されている。モータ部40はブラシ付の直流モータであり、円筒状のハウジング11内に永久磁石を環状に配置し、この永久磁石の内周側に同心円上に電機子42を配置した構成となっている。
【0015】ポンプ部20は、ケーシング本体21、ケーシングカバー22およびインペラ30等から構成されている。ケーシング本体21およびケーシングカバー22により一つの流路部材が構成され、その内部に回転部材としてのインペラ30が回転可能に収容されている。ケーシング本体21およびケーシングカバー22は、例えばアルミのダイカスト成形により形成されている。ケーシング本体21はハウジング11の一方の端部内側に圧入固定されており、その中心に軸受25が嵌着されている。ケーシングカバー22は、ケーシング本体21に被せられた状態でハウジング11の一端にかしめ等により固定されている。ケーシングカバー22の中心にはスラスト軸受26が圧入固定されている。電機子42の回転シャフト45の一方の端部は、軸受25により回転可能に径方向に支持されているとともに、スラスト軸受26によりスラスト方向の荷重を支持されている。回転シャフト45の他方の端部は軸受27により回転可能に径方向に支持されている。
【0016】ケーシングカバー22に燃料入口50が形成されており、インペラ30が回転することにより図示しない燃料タンク内の燃料が燃料入口50からポンプ流路51に吸入される。ポンプ流路51に吸入された燃料はインペラ30の回転により昇圧され、ケーシング本体21に形成された図示しない燃料出口からモータ部40の燃料室41に送出される。ケーシング本体21およびケーシングカバー22の互いに向き合う位置にC字状のポンプ溝がインペラ30の羽根片31に沿って形成されている。両ポンプ溝によりポンプ流路51が形成されている。
【0017】図2に示すように、インペラ30は外周縁に全周にわたり羽根片31を有している。図4および図5に示すように、隔壁36は周方向に隣接する羽根片31の間に形成されている溝空間39に配設され、インペラ30の回転軸方向幅のほぼ中央で溝空間39の一部を羽根片31の根元から仕切っている。図5に示すように、隔壁36の回転軸方向両側の壁面36aは、インペラ30の外に中心120を有している。図3に示すように、溝空間39の周方向の幅dは、羽根片31の根元から先端に向かうにしたがい連続して小さくなっている。また図4に示すように、回転軸方向両端から内側に向かうにしたがい幅dは小さくなっている。
【0018】図3に示すように、羽根片31の根元側は回転方向後方に傾斜しており、径方向外側の先端側は回転方向前方に傾斜している。また羽根片31は、図4に示すように隔壁36を中心に回転軸方向の両側で回転方向前方に対称に傾斜している。図1および図3に示すように、羽根片31は、前面32、後面33、回転軸方向両端に位置する側面34、および径方向外側の先端面35により囲まれている。羽根片31の回転方向前方に位置する前面32は回転方向前方に向け凹状に形成されており、前面32の凹みは、羽根片31の根元から径方向外側の先端まで連続して小さくなっており、回転軸方向両端から内側に向かって連続して大きくなっている。前面32の先端32aは直線である。前面32の凹みの底は、羽根片31の回転軸方向幅の中央に位置している。回転方向後方に位置する後面33は、回転方向後方に向け凸状に形成されている。
【0019】回転軸方向両端に位置する側面34の前辺34aおよび後辺34bは回転方向前方に向け凹状に形成されている。本実施例では、前辺34aの根元側の曲率と先端側の曲率、ならびに後辺34bの根元側の曲率と先端側の曲率とをほぼ等しく設定しているが、燃料ポンプの要求性能により異なる曲率にしてもよい。また本実施例では、前辺34aと後辺34bとの曲率が等しいが、異なる曲率にしてもよい。
【0020】図1に示すように、前辺34aの凹みの頂点と前辺34aの根元点とを通る仮想直線101と、前辺34aの凹みの頂点およびインペラ30の中心を通る羽根片31の仮想半径線100とが形成する傾斜角をα、前辺34aの凹みの頂点と前辺34aの先端点とを通る仮想直線102と、前辺34aの凹みの頂点およびインペラ30の中心を通る羽根片31の仮想半径線100とが形成する傾斜角をβ、回転軸方向両側の前辺34aの根元点を結ぶ仮想直線105と、一方の根元点と前面32の根元側の底とを結ぶ仮想直線106とが形成する傾斜角をγとすると、0°≦α≦45°、0°≦β≦45°、α≒β、10°≦β≦45°に設定されている。
【0021】図7の(A)に径方向内側、図7の(B)に中間位置、図7の(C)に径方向外側におけるγの大きさの違い、つまり前面32の凹みの違いを示す。図7の各断面は、図3と同じ位置からみた図6において、隔壁36を除去したと仮定した断面を示している。前面32の凹みは、羽根片31の径方向内側、つまり根本が大きく、径方向外側に向かうにしたがい小さくなっており、羽根片31の厚みは厚くなっている。
【0022】図8に示すように、電機子42はモータ部40内に回転可能に収容され、コイルがコア42aの外周に巻回されている。整流子60は円板状に形成されており、電機子42の上部に配設されている。図示しない電源から、コネクタ57に埋設されたターミナル58、図示しないブラシ、整流子60を介してコイルに電力が供給される。供給された電力により電機子42が回転すると、電機子42の回転シャフト45とともにインペラ30が回転する。インペラ30が回転すると、燃料入口50からポンプ流路51に燃料が吸入され、この燃料がインペラ30の各羽根片31から運動エネルギーを受けてポンプ流路51から燃料出口を通り燃料室41に送出される。燃料室41に送出された燃料は、電機子42の周囲を通過し吐出口55から燃料ポンプ外に吐出される。吐出口55には逆止弁部材56が収容されており、この逆止弁部材56が吐出口55から吐出された燃料の逆流を防止している。
【0023】次に、インペラ30による燃料昇圧作動について説明する。図3に示すように、ポンプ流路51の燃料は、矢印110に示すようにインペラ30の回転により羽根片31の根元側から溝空間39に流入する。前面32が凹状に形成されており前面32の根元側の凹みが大きいので、前面32の根元側に燃料が流入しやすい。したがって、燃料が溝空間39に流入する頻度が増加する。溝空間39に流入した燃料は、前面32および隔壁の壁面36aに沿い根元から根元と先端との中央部に案内される。このとき、溝空間39の周方向の幅dが回転軸方向両端から内側に向け小さくなっているので、溝空間39に流入した燃料は隔壁36に向かうにしたがい流れ速度が上昇する。
【0024】前面32の先端側は回転方向前方に傾斜しているので、根元と先端の中央部を過ぎ溝空間39の先端側に向かう燃料は、前面32に案内され回転方向前方に向かうエネルギーを与えられる。また、幅dが先端に向かうにしたがい小さくなり溝空間39が絞られているので、溝空間39から流出する燃料流れの速度は上昇する。溝空間39から流出する燃料は、図5に示すように隔壁の凹状の壁面36aとポンプ流路51を形成する壁面に案内されて旋回流となり、回転方向後方に位置する次の溝空間39の根元側に流入する。このように、ポンプ流路51で燃料が旋回流となり次から次へと溝空間39を出入りしながら燃料出口に向かうことにより、燃料は昇圧される。
【0025】図11の(A)に示すように、本実施例では前面32の凹み、つまり傾斜角γは根元から先端に向かうにしたがい連続して小さくなっている。図11においてLは、根元から先端に向かう距離を表している。これに対し、前面の凹み方を変更した本実施例の変形例1を図9に、変形例2を図10に示す。
【0026】変形例1では、図11の(B)に示すように羽根片71の前面72の凹みは根元から中央部まで一定であり、中央部から先端に向かい連続して小さくなっている。また変形例2では、図11の(C)に示すように羽根片81の前面82の凹みは根元から中央部に向かうにしたがい急激に小さくなり、中央部で凹みがなくなっている。そして、中央部から先端まで傾斜角γは0°である。
【0027】以上説明した本発明の実施例およびその変形例では、羽根片の回転方向前方に位置する前面が凹状に形成され、前面の凹みが、根元から先端に向かうにしたがい小さくなっている。実施例のように根元から先端まで連続して凹みが小さくなっていてもよいし、変形例1のように根元から先端に向かう途中まで一定の凹みであり、途中から先端まで連続して小さくなってもよいし、変形例2のように根元から先端に向かう途中まで急激に凹みが小さくなって凹みがなくなり、その状態で先端まで続いてもよい。いずれの構成にしても、周方向に隣接する羽根片が形成する溝空間に燃料が流入しやすい。また、根元側の前面が回転方向後方に傾斜しているので、溝空間39に流入した燃料が前面と傾斜して衝突する。したがって、溝空間39に流入した燃料のエネルギーが低減することを防止する。
【0028】また、羽根片の先端に向かうにしたがい前面の凹みが小さくなっているので、羽根片の先端部が燃料にインペラ30の回転方向に与えるエネルギーが大きくなる。したがって、溝空間39から流出する燃料の速度が上昇する。さらに、前面が回転方向前方に傾斜しているので、燃料に回転方向前方に向かうエネルギーが与えられる。
【0029】本実施例および両変形例ともに前面の凹みは根元から先端側に連続して小さくなっている。これに対し、前面の凹みが根元から先端側に不連続に、例えば階段状に小さくなっていく構成も可能である。なお、本実施例および両変形例ともに、インペラ30は外周のリングがないものを例示したが、本発明はこれに限らず、外周にリング付きのものであってもよい。その場合、実施例における前面32に対応する面から燃料はリングにあたり、直角方向に角度を変えてポンプ流路51へ排出される。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成13年4月13日(2001.4.13)
【代理人】 【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
【公開番号】 特開2001−355531(P2001−355531A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2001−115132(P2001−115132)