| 【発明の名称】 |
排気ガス再循環弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】関口 祐吉
【氏名】鮫島 尚己
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| 【要約】 |
【課題】弁通路の断面積を大きくせずにガス流量を増加させる。
【解決手段】排気ガス循環路の途中に弁通路3を形成する弁箱2が介設され、弁箱2には弁座5に離着座して弁口4を開閉する弁体6が配され、弁体6と一体に形成された弁棒7にはバルブスプリング10、11で着座方向の付勢力が付与され、第一シリンダ室18には第一ピストン21が嵌入され、第二シリンダ室24には第二ピストン28が嵌入されている。第一ポート15、第二ポート16からのエアで第一ピストン21、第二ピストン28が下降し、これに連係して弁棒7および弁体6も移動し弁口4が開かれて排気ガスが再循環されるEGRバルブにおいて、弁体6の傘部の板厚Tを3.5〜10.0mmに設定する。また、弁箱2はアルミニウム材で形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 排気ガス循環通路の途中に介設されて弁通路を形成する弁箱と、この弁箱の弁通路の途中に形成された弁口と、この弁口の周囲に形成された弁座と、この弁座に離着座して前記弁口を開閉する弁体と、この弁体に一体に形成された弁棒と、この弁棒を着座方向に付勢するバルブスプリングと、前記弁棒の延長線上に形成されたシリンダ室と、このシリンダ室に摺動自在に嵌入されて前記弁棒に連係されたピストンと、前記シリンダ室へ圧力流体を供給する圧力ポートとを備えている排気ガス再循環弁において、前記弁体は前記弁座に離着座する傘部の軸方向のストレート部の長さをTとしたとき、3.5mm≦T≦10.0mmを満足するように構成されていることを特徴とする排気ガス再循環弁。 【請求項2】 排気ガス循環通路の途中に介設され弁通路を形成する弁箱と、この弁箱の弁通路の途中に形成された弁口と、この弁口の周囲に形成された弁座と、この弁座に離着座して前記弁口を開閉する弁体と、この弁体に一体に形成された弁棒と、この弁棒を着座方向に付勢するバルブスプリングと、前記弁棒の延長線上に形成されたシリンダ室と、このシリンダ室に摺動自在に嵌入されて前記弁体に連係されたピストンと、前記シリンダ室へ圧力流体を供給する圧力ポートとを備えている排気ガス再循環弁において、前記弁箱はアルミニウム材によって形成されており、前記弁座は鉄系合金でリング形状に形成されているとともに、バルブホルダを介して前記弁箱に取り付けられていることを特徴とする排気ガス再循環弁。 【請求項3】 前記弁箱はアルミニウム材によって形成されており、前記弁座は鉄系合金でリング形状に形成されているとともに、バルブホルダを介して前記弁箱に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス再循環弁。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、排気ガス再循環弁(Exhaust Gas Recirculation Valve。以下、EGRバルブという。)に関し、特に、制御流量の増加技術に係り、例えば、自動車用ディーゼルエンジンのEGRバルブに利用して有効な技術に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車用ディーゼルエンジンの排気ガス成分、特に、NOxを低減する方法の一つとしてEGR法がある。これは、エンジンの排気ガスの一部を吸気系に戻してやり、新しい空気(吸入空気)と混ぜて燃焼室に送り込むことにより、燃焼室内に吸入された空気の過剰な酸素濃度を下げ、また、燃焼熱を奪う分だけ燃焼温度を下げてNOxの生成を抑制する方法である。 【0003】EGR法はエンジンのポンピングロス(ピストンが吸気を吸い込む仕事)を緩和するので、その分、エンジンの機械効率を向上させることができる。他方、未燃ガスが燃焼熱を奪う分だけ熱効率を下げることになる。そこで、エンジンの効率を落とさずにNOxを適正に減らすために、EGRバルブをコンピュータによって制御するように構成し、エンジンの運転条件(出力、回転数)に応じてEGRガスの量を自動的に制御することが行われている。 【0004】従来のEGRバルブとして、例えば、特許第2872584号公報に示されているものがある。このEGRバルブは、排気ガス循環通路の途中に介設されて弁通路を形成する弁箱と、この弁箱の弁通路の途中に形成された弁口と、この弁口の周囲に形成された弁座と、この弁座に離着座して前記弁口を開閉する弁体と、この弁体に一体に形成された弁棒と、この弁棒を着座方向に付勢するバルブスプリングと、前記弁棒の延長線上に形成されたシリンダ室と、このシリンダ室に摺動自在に嵌入されて前記弁棒に連係されたピストンと、前記シリンダ室の前記ピストンの前記バルブスプリングと反対側に接続された圧力ポートとを備えており、弁体が弁口の開度(バルブリフト量)を増減調整することにより、循環させる排ガスの流量を制御するように構成されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】排気量の大きい大型車のエンジンに対しては排気ガスの循環量もそれなりに大きくする必要があるが、そのための手段として、バルブのリフト量を大きくすることが、考えられる。しかし、バルブのリフト量を大きくすると、バルブの開閉に時間がかかる。特に、エンジンの運転条件が急加速に急変したような場合には、バルブを速やかに閉じる必要があり、このタイミングが遅くなると、排気ガス中に黒煙が発生する原因となる。このため、実用上、バルブのリフト量には限界があり、その数値としては10mm〜12mm以下にすることが望ましい。 【0006】そこで、従来のEGRバルブにおいて、制御可能なガス流量を増加させたい場合には、弁通路の断面積すなわち弁体の直径を増加させることになる。しかし、弁体の直径すなわち弁通路の断面積を増加させた場合には、EGRバルブが大型化してしまうという問題点が発生する。 【0007】本発明の第一の目的は、EGRバルブを大型化することなく制御可能なガス流量を増大させることである。 【0008】本発明の第二の目的はEGRバルブの軽量化を図るとともに、軽量化に伴う不具合を解消することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】前記した課題を解決するための第一の手段は、排気ガス循環通路の途中に介設されて弁通路を形成する弁箱と、この弁箱の弁通路の途中に形成された弁口と、この弁口の周囲に形成された弁座と、この弁座に離着座して前記弁口を開閉する弁体と、この弁体に一体に形成された弁棒と、この弁棒を着座方向に付勢するバルブスプリングと、前記弁棒の延長線上に形成されたシリンダ室と、このシリンダ室に摺動自在に嵌入されて前記弁棒に連係されたピストンと、前記シリンダ室へ圧力流体を供給する圧力ポートとを備えている排気ガス再循環弁において、前記弁体は前記弁座に離着座する傘部の軸方向のストレート部の長さをTとしたとき、3.5mm≦T≦10.0mm、を満足するように構成されていることを特徴とする。 【0010】第二の手段は、排気ガス循環通路の途中に介設され弁通路を形成する弁箱と、この弁箱の弁通路の途中に形成された弁口と、この弁口の周囲に形成された弁座と、この弁座に離着座して前記弁口を開閉する弁体と、この弁体に一体に形成された弁棒と、この弁棒を着座方向に付勢するバルブスプリングと、前記弁棒の延長線上に形成されたシリンダ室と、このシリンダ室に摺動自在に嵌入されて前記弁体に連係されたピストンと、前記シリンダ室へ圧力流体を供給する圧力ポートとを備えている排気ガス再循環弁において、前記弁箱はアルミニウム材によって形成されており、前記弁座は鉄系合金でリング形状に形成されているとともに、バルブホルダを介して前記弁箱に圧入されていることを特徴とする。 【0011】第三の手段は、前記第一の手段に加うるに前記弁箱はアルミニウム材によって形成されており、前記弁座は鉄系合金でリング形状に形成されているとともに、バルブホルダを介して前記弁箱に取り付けられていることを特徴とする。 【0012】本発明者は、弁体の直径Dを増加させずに弁体が制御するガス流量を増加させるために、弁体の板厚Tと弁体が制御するガス流量との関係を究明したところ、板厚Tを従来使用されている2mm〜2.5mmよりも厚い、3.5mm〜10.0mmに設定すると、図5、図6に示されているように、弁体が制御するガス流量を高めることができる事実を発見した。しかも、この事実は大型トラックや中型トラックに使用される弁体の直径がD=47mm〜72mmのEGRバルブについて略同じような傾向を示している。前記した第一の手段はこの発見に基づいて創意されたものである。したがって、前記した第一の手段によれば、弁体の制御可能なガス流量を増加させることができる。 【0013】前記した第二の手段によれば、EGRバルブの軽量化を図ることができるとともに、弁座と弁箱との材質の相違に基づく熱膨張の差による弁座の嵌合の緩みを防止することができる。 【0014】前記した第三の手段によれば、EGRバルブの制御すべき流量を増加することができるとともに、EGRバルブの軽量化を図ることができる。 【0015】 【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施の形態であるEGRバルブの閉じた状態を示す正面断面図である。図2はバルブが少し開いた第一段目の一部省略正面断面図であり、図3は図2よりもさらに開いた第二段目の状態を示しており、図4はバルブが全開した第三段目の状態を示している。図5および図6は弁体の板厚Tをパラメータとしてバルブのリフト量と排気ガスの流量との関係を示すグラフであり、図5は弁体の直径Dが72mmの場合であり、図6はDが47mmの場合である。 【0016】本実施の形態に係るEGRバルブは大型トラックに使用されるディーゼルエンジン(図示せず)の吸気通路と排気通路とを連結する排気ガス再循環通路(図示せず)の途中に介設されている。すなわち、図1に示されているように、EGRバルブ1は弁通路が開設された弁箱2を備えており、弁通路3は排気ガス再循環通路の途中に介設されるようになっている。弁通路3の途中には弁口4が形成されており、弁口4の周囲には弁座5がバルブホルダ5aを介して弁箱2に取り付けられている。 【0017】弁座5は鉄系合金の焼結材によってリング形状に形成され、一方弁箱2はアルミニウム材が使用されて形成されている。弁座5を弁箱2に直接嵌め込むと、鉄材とアルミニウム材の熱膨張の相違により、弁座5が緩む危惧があるので、鉄製のバルブホルダ5aが弁座5と弁箱2との間に介装されている。弁箱2が鋳鉄等の鉄系材料の場合にはバルブホルダ5aは不要である。なお、弁座5はステンレス等の鉄系合金の非焼結材によって形成してもよい。 【0018】弁座5には弁体6が離着座するように装着されている。弁体6は略円盤(傘)形状に形成されており、弁座5の軸心線方向(以下、上下方向とする。)に沿って進退移動することにより、弁口4の開度を増減調整し得るようになっている。この弁体6には弁棒7が一体的に形成されており、弁棒7は弁箱2に固定されたガイド8によって摺動自在に支承されている。 【0019】本実施の形態においては、弁体6の弁座5に離着座する軸方向端部の傘部の直径Dは72mm、ストレート部6aの長さ(以下、板厚Tという。)は7.5mmに設定されている。すなわち、板厚Tは、3.5mm≦T≦10.0mm(3.5mm以上10.0mm以下。3.5mm〜10.0mm)、を満足するように設定されている。ここで、板厚Tの最大値「10.0mm」は、これ以上の板厚にすると、弁体の重量が重くなり過ぎて実用性に欠けることから選定した限界値である。また、最小値「3.5mm」は、バルブリフト量L=12mmにおいて、最大値を示すT=7.5mmの場合の値と、従来のT=2.5mmの場合の値の和の略1/2の値を示していることから選定した値である。 【0020】弁箱2の弁口4と反対側(以下、上側とする。)にはスプリング室9が形成されており、スプリング室9にはメインバルブスプリング10およびサブバルブスプリング11が収容されている。メインバルブスプリング10およびサブバルブスプリング11は弁棒7の上端部に装着されたスプリングシート12とスプリング室9の底面との間に蓄力状態で介設されて、弁棒7を弁体6が弁座5に着座される方向に常時付勢している。なお、スプリングシート12は弁棒7の先端部に設けられた溝にコッタ12aを介して取り付けられている。 【0021】EGRバルブ1は弁体6を作動させるためのアクチュエータ13を備えており、アクチュエータ13のボデー14は弁箱2の上にストッパ2aを介して組み付けられている。ボデー14の上端部および中間部にはいずれも圧力ポートとしての第一ポート15および第二ポート16がそれぞれ開設されており、第一ポート15および第二ポート16には圧力流体としての圧縮空気(以下、エアという。)がコンピュータによって制御される電磁弁(図示せず)によって供給されるようになっている。ボデー14の下端部には吸排ポート17が開設されている。ボデー14の内部には第一シリンダ室18が弁棒7の中心線の延長線と同心的に大きく開設されており、この第一シリンダ室18の下端部には吸排ポート17が連通され、第一シリンダ室18の上端部には第一ポート15が連通されている。 【0022】第一シリンダ室18は下側に配置された大径室19および上側に配置された小径室20から構成されており、この第一シリンダ室18に挿入される第一ピストン21は大径部22および小径部23を備えている。第一シリンダ室18の小径室20には第一ピストン21の小径部23が上下方向に摺動自在に嵌入されている。また、第一シリンダ室18の大径室19には第一ピストンの大径部22が、図1に示されているように半径方向に数ミリの隙間22aが設けられて挿入されている。そして、第一ピストン21の大径部22が上下方向に移動したときに、エアがこの隙間22aを通って吸排ポート17から吸排されるようになっている。 【0023】第一ピストン21の筒中空部によって第二シリンダ室24が形成されており、第一ピストン21の筒壁の中間部には連絡ポート25が第一シリンダ室18の小径室20と第二シリンダ室24とを連通させるように開設されている。第二シリンダ室24の下端にはストッパ部26がスプリングシート12に干渉しない位置に径方向内向きに突設されており、第二シリンダ室24の上端にはキャップ部27が第一ピストン21の小径部23の上端開口を閉塞するように被せ付けられて、かしめ加工によって固定されている。 【0024】第二シリンダ室24には第二ピストン28が上下方向に摺動自在に嵌入されており、第二ピストン28の下面には弁棒7の先端部が第一ピストン21および第二ピストン28の自重によって当接している。第二ピストン28の内部には水平通路30および垂直通路31を有する連絡通路29が開設されている。連絡通路29の水平通路30は第二ピストン28が、キャップ部27に当接した上限に位置する状態において連絡ポート25に対向するようになっており、垂直通路31は第二ピストン28の上端面の中心に配置されている。 【0025】第二シリンダ室24のキャップ部27の中心の上下端面には上側絞り部32および下側絞り部33がそれぞれ垂直方向に突設されている。上側絞り部32は第一ポート15の先端部に垂直方向下向きに開設された開口部15aに挿入し得るようになっており、下側絞り部33は第二ピストン28の垂直通路31の上端開口部31aに挿入し得るようになっている。なお、図1において8aは弁通路3と第一シリンダ室18との気密性を保持するためのシール部材であり、34は冷却水路であり、35は盲蓋である。 【0026】次に、作用を説明する。 【0027】図1に示されている状態において、第一ポート15にエアが供給されると、エアは第一ピストン21の上面に供給されるため、図2に示されているように、第一ピストン21は内部の第二ピストン28と一緒に両バルブスプリング10、11の弾発力に抗して下降される。第一ピストン21は第一シリンダ室18の下端面である弁箱2の上面に介装されたストッパ2aに突き当たることにより下降を停止する。 【0028】両バルブスプリング10、11によって、第二ピストン28に突き当てられている弁棒7は下降され、弁体6は第一ピストン21のストロークの分だけ弁座5から離れて(リフトして)弁口4を開く。EGRバルブ1においては、この開度(バルブリフト量L)に対応して、エンジンからの排気ガスが弁通路3を通じて矢印Aで示されているように流れ、再循環される。 【0029】次に、図2に示されている状態において、第一ポート15のエアを抜いて第二ポート16にエアが供給されると、第一ピストン21には通路30、31を通ってキャップ部27に上向きの圧力が加わり、第一ピストン21の大径部22が第一シリンダ室18の壁に当接する図3の状態まで戻される。しかし、第二シリンダ室24の第二ピストン28の上側からエアが供給されるので、両バルブスプリング10、11の弾発力に抗して第二ピストン28は第一ピストン21のストッパ部26に当たるまで押し下げられる。この状態が図3であり、弁の開度としては第二段目である。 【0030】次に、図3に示されている状態において、第一ポート15にエアが供給されると、エアは第一ピストン21のキャップ部27の上面に供給されるので、図4に示されているように、第一ピストン21は第二ピストン28と一緒に両バルブスプリング10、11の弾発力に抗して下降される。第一ピストン21は第一シリンダ室18の下端面である弁箱2の上面に介装されたストッパ2aに突き当たることにより、下降を停止する。 【0031】これにより、弁棒7は第一ピストン21のストローク分および第二ピストン28のストローク分だけ下降され、弁体6はそのストロークの分だけ弁座5から離れて(リフトして)弁口4を開く。EGRバルブ1においては、この開度(バルブリフト量L)に対応して排気ガスが弁通路3を通じて矢印Aで示されているように流れて、より多くの排気ガスが再循環されることになる。これが第三段目の状態である。 【0032】その後、第二ポート16へのエアの供給が解除されると、第二ピストン28は両バルブスプリング10、11の弾発力によって上昇される。この際、第二シリンダ室24のエアは第二ピストン28の上昇に伴って第二ポート16へ押し出される。そして、第二ピストン28は上限位置において第二シリンダ室24のキャップ部27の下面に図2に示されているように当接する。 【0033】また、第一ポート15へのエアの供給が解除されると、第一ピストン21は両バルブスプリング10、11の弾発力によって上昇される。この際、第一シリンダ室18のエアは第一ピストン21の上昇に伴って第一ポート15へ押し出される。そして、第一ピストン21は第一シリンダ室18の下面に接近するが、弁体6が弁座5に着座して弁口4を閉塞したところで停止する。図1にはこの状態が示されている。 【0034】ところで、バルブのリフト量とガスの流量の関係を調べてみると、弁体6の直径Dが72mm、板厚Tが2.5mmの従来のEGRバルブにおいては、図5の破線曲線P1に示されているように、バルブリフト量Lが10mmを超えると、弁口4を流れるガスの流量があまり増加しなくなる現象(以下、飽和という。)が発生することが、本発明者によって明らかにされた。また、図6の破線曲線P2に示されているように、弁体の直径Dが47mm、板厚Tが2.5mmの従来のEGRバルブにおいても、図5の曲線P1と同様にバルブリフト量Lが10mmを超えると、飽和する現象が発生する。つまり、従来のEGRバルブにおいては、バルブリフト量を増加させてガス流量を増大させることには一定の限界があることが究明された。 【0035】そこで、従来のEGRバルブにおいて、制御可能なガス流量を増加させたい場合には、弁口の断面積すなわち弁体の直径Dを増加させることになる。しかし、弁体の直径Dを増加させた場合には、EGRバルブが大型化してしまうという問題点が発生する。 【0036】そこで、本発明者は、弁体の直径Dを増加させずに弁体が制御するガス流量の飽和流量を増加させるために、弁体の板厚Tと弁口を流れるガスの流量との関係を究明した。その結果、弁体の板厚Tを従来使用されている板厚よりも厚くした適当な値を選定することにより、弁口を流れるガス流量を高めることができる事実を発見した。本発明はこの発見に基づいてなされたものである。 【0037】図5は弁体の板厚と飽和流量との関係を究明するためのバルブリフト量と弁口を流れるガス流量との関係を示すグラフである。図5において、横軸にバルブリフト量(mm)が取られ、縦軸にガス流量(リットル毎分)が取られており、破線曲線P1は従来例の場合を示し、実線曲線N1、N2、N3、N4は本発明の場合を示している。 【0038】第一の破線曲線P1は弁体6の直径Dが72mmで板厚Tが2.5mmの弁体を使用した従来例の場合であって、差圧(弁通路3の弁体6の上流側と下流側との圧力差)が50mmHg(約6500パスカル)の時のバルブリフト量−ガス流量特性曲線である。破線曲線P1から明らかなように、バルブリフト量が10mm〜11mmを超えると、ガス流量が殆ど増加しなくなる現象が見られる。 【0039】第一の実線曲線N1は板厚Tが5.0mmの弁体を使用した本実施の形態の場合であって、差圧が50mmHg(約6500パスカル)の時のバルブリフト量−ガス流量特性曲線である。第一の曲線N1から明らかなように、板厚Tが5.0mmの弁体が使用された本実施の形態の場合には、弁口を流れるガス流量はバルブリフト量が10mm〜11mmを超えても飽和しなで増加する傾向がみられ、またガス流量も従来の破線曲線P1よりも増大している。 【0040】第二の実線曲線N2は板厚Tが7.5mmの弁体を使用した本発明の第二の実施の形態の場合であって、差圧が50mmHg(約6500パスカル)の時のバルブリフト量−ガス流量特性曲線である。第三の実線曲線N3は板厚Tが10.0mmの同じ弁体を使用した本発明の第三の実施の形態の場合の時のバルブリフト量−ガス流量特性曲線である。両実線曲線N2、N3から明らかなように、板厚Tが7.5mmまたは10.0mmの場合においても、バルブリフト量が10mm〜11mmを超えてもガス流量が飽和しないで増大する傾向がみられる。 【0041】板厚Tが2.5mmの場合と5.0mmの場合をバルブリフト量12mmの場合について比較すると、差圧50mmHgの場合は特性曲線P1とN1との比較から約520リットル毎分の増加がみられる。 【0042】次に、板厚Tを7.5mmにした場合について特性曲線N1とN2とを比較すると、流量は増大しているが、その増加量は僅かである。一方、板厚Tを10.0mmとした場合の特性曲線N3は従来のP1よりは高い値を示しているが、特性曲線N1、N2よりも低い値となっている。したがって、板厚Tを増大させたときの流量増大の効果は、7.5mmが略限界と考えられる。 【0043】次に、弁体6の板厚Tを実用上どこまで薄くできるかを調べたところ、板厚Tが3.5mm場合の特性曲線N4が板厚Tが10.0mmの場合の特性曲線N3と略同じような値を示していることがわかった。そこで、弁体6の板厚Tの最小値は3.5mmに設定した。 【0044】さらに、弁体6の直径Dを変更した場合に前述したバルブリフト量−ガス流量特性がどのようになるかを調べたのが図6である。図6では弁体6の直径Dを47mmにした場合について、図5と同様に板厚Tが2.5mm、3.5mm、5.0mm、7.5mm、10.0mmの弁体について特性を調べた。特性曲線P2が従来の板厚2.5mmの場合であり、N5が5.0mm、N6が7.5mm、N7が10.0mm、N8が3.5mmの場合である。バルブリフト量が12mmの位置において、図5と図6とを比較すると、図6におけるガス流量は図5に対して約4割減少しているが、バルブの板厚Tを変えた場合の特性曲線の変化の傾向は図5と略同じような傾向を示している。 【0045】ところで、バルブリフト量は10mm〜12mmを超えると、弁体6を閉じるタイミングが遅くなり、排気中に黒鉛が発生する原因となることが知られている。したがって、ガス流量を増大させるためにバルブリフト量をいくらでも増大させることができるわけではなく、実用上、バルブリフト量は、10mm〜12mmが限界である。 【0046】以上の考案をまとめると、弁体6の板厚Tの実用的な値としては、3.5mm≦T≦10.0mm、であり、より好ましくは、5.0mm≦T≦7.5mm、に設定するのが良いと考えられる。 【0047】以上の検討結果から明らかな通り、弁体6の板厚Tを従来例に比べて厚く設定することにより、従来例と他の条件が同一であっても弁体が制御するガス流量を高めることができるため、本実施の形態に係るEGRバルブの場合においては、弁体の直径すなわち弁通路の断面積を大きく設定せずにガス流量を増加させることができる。つまり、本実施の形態に係るEGRバルブにおいては、大型化を回避しつつ制御可能なガス流量を増加させることができる。また、制御すべきガス流量が同一の場合には、弁通路の断面積を小さく設定することにより、EGRバルブを小型化することができる。 【0048】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。 【0049】EGRバルブは四段階の作動状態が創出されるように構成するに限らず、閉弁状態と開弁状態との二段階以上の作動状態が創出されるように構成することができる。 【0050】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、弁通路の断面積を大きく設定せずにEGRバルブの制御可能なガス流量を増加することができ、また、同一のガス流量の場合には弁通路の断面積を小さく設定することにより、EGRバルブを小型化することができる。また、EGRバルブを軽量化することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000177276 【氏名又は名称】三輪精機株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月15日(2000.6.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085637 【弁理士】 【氏名又は名称】梶原 辰也
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| 【公開番号】 |
特開2001−355519(P2001−355519A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月26日(2001.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−179263(P2000−179263) |
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