| 【発明の名称】 |
燃料加圧用ポンプ |
| 【発明者】 |
【氏名】大久保 好夫
【氏名】堀 俊明
|
| 【要約】 |
【課題】付勢リングのばね力を大きく設定することなくプランジャとシリンダの摺動隙間からの燃料の漏出を確実に防止する。摺動抵抗の低減とシール性能の向上の両立を図る。
【解決手段】プランジャ8の外周面に環状溝35を形成する。環状溝35に、シリンダ16に摺接する伸縮性の小さな樹脂製のシールリング38を収容する。環状溝35とシールリング38の間に、ゴム製のOリング36と金属製のCリング37を軸方向前後に並べて配置し、Cリング37はOリング36よりもポンプ室23側に配置する。ポンプ室23側の燃料圧がシールリング38の外面側からCリング37を押し縮めるように作用しても、その力はCリング37の背部側に作用する燃料圧によって打ち消される。したがって、Cリング37のばね力を小さく設定することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダにプランジャが摺動自在に収容されて、このシリンダとプランジャの間に、燃料を加圧するポンプ室が形成されると共に、シリンダの外部に前記プランジャを進退動作させるための回転カムが配置され、前記プランジャとシリンダのいずれか一方側の摺動面に環状溝が設けられ、この環状溝内に、他方側の摺動面に密接する摺動抵抗が小さく、かつ伸縮性の小さい樹脂製のシールリングが配置されると共に、前記環状溝とシールリングの間に、この両者に密接するゴム製のOリングと、前記シールリングを他方側の摺動面方向に付勢する金属製の付勢リングとが軸方向に並んで配置された燃料加圧用ポンプにおいて、前記付勢リングをOリングよりもポンプ室側に配置したことを特徴とする燃料加圧用ポンプ。 【請求項2】 前記プランジャの外周面に環状溝が設けられると共に、この環状溝が同溝内に設けられた仕切壁によって前後二列に隔成され、この環状溝の各列にOリングと付勢リングが夫々収容された状態で、このOリングと付勢リングの周域を被うように前記環状溝内にシールリングが収容配置された請求項1に記載の燃料加圧用ポンプであって、前記プランジャのポンプ室と逆側の端部をシールリングの挿入部としたことを特徴とする燃料加圧用ポンプ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の燃料噴射装置等に用いられるプランジャ型の燃料加圧用ポンプに関し、とりわけ、シリンダとプランジャの摺動隙間からの燃料の漏出を確実に防止できる改良を施した燃料加圧用ポンプに関する。 【0002】 【従来の技術】自動車の燃料噴射装置の燃料加圧用ポンプとして、プランジャ型のポンプが従来より用いられている。この燃料加圧用ポンプは、プランジャが、駆動軸と一体回転する回転カムによって押圧されてシリンダ内を進退動作し、シリンダとプランジャの間に形成されるポンプ室で燃料の吸入と加圧及び吐出とを行うようになっている。 【0003】ところが、この種の燃料加圧用ポンプはシリンダに近接して回転カムが配置されていることから、プランジャとシリンダの摺動隙間から漏出した燃料がカム摺動部等の潤滑を要する部分に流れ込むのを確実に防止しなければならない。このため、これに対処し得るものとして、カム室側に突出するプランジャの先端部の外周面とシリンダ穴の周縁部との間にダイヤフラムを配設し、前記摺動隙間からカム室への燃料の流入をこのダイヤフラムによって阻止するようにしたものが案出されている。尚、この技術は、例えば実開平6−43274号公報等に示されている。 【0004】しかし、この燃料加圧用ポンプの場合、製品単価が高く、多くの占有スペースを要するダイヤフラムを用いるため、製造コストが高くなるうえに、ポンプ自体の大型化を余儀なくされるという不具合がある。 【0005】そこで、本出願人はこれらに対処し得る燃料加圧用ポンプを開発し、特願平10−148811号として先に出願している。 【0006】この先の出願に開示した燃料加圧用ポンプの一つは、図7に示すように、プランジャ101の外周面に環状溝102を形成し、その環状溝102に四フッ化エチレン樹脂等の摺動抵抗が小さく、かつ伸縮性の小さい樹脂製のシールリング103を収容し、さらに環状溝102とシールリング103の間にゴム製のOリング104を収容した構成となっている。このOリング104は、摺動抵抗の小さいシールリング103をシリンダ105の内周面に押接すると共に、環状溝102とシールリング103に密接してシールリング103の背部からの燃料の漏出を防止している。 【0007】また、このようにシールリング103の背部にゴム製のOリング104を単に配置した場合には、低温時におけるシールリング103の収縮や経時使用に伴なうOリング104のへたり等によってシリンダ105の内周面に対するシールリング103の押付力が低下すると、図7中の鎖線で示すように、シリンダ105の内周面とシールリング103の間に隙間ができることが考えられる。前記先の出願にはさらにこの点を改良した燃料加圧用ポンプが開示されている。 【0008】この燃料加圧用ポンプは、図8に示すように、プランジャ101の外周面に形成した環状溝102に摺動抵抗が小さく、かつ伸縮性の小さい樹脂製のシールリング103を収容すると共に、環状溝102とシールリング103の間に、ゴム製のOリング104と金属製の付勢リング106をプランジャ軸方向に沿って並設した構成となっている。付勢リング106はその拡径力によってシールリング103をシリンダ105の内周面に押し付けるものであり、シールリング103の低温収縮やOリング104のへたり等に拘らず、常時シールリング103をシリンダ105の内周面に密接し得るようになっている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図8に示す従来の燃料加圧用ポンプにおいては、シールリング103の背部からの燃料の漏出を防止するゴム製のOリング104が、金属製の付勢リング106よりもポンプ室107側に配置されているため、図9に示すように、シールリング103の低温収縮やOリング104のへたり等によってポンプ室107の高圧燃料(同図中クロスハッチングで示す。)がシールリング103の外周面側に回り込むと、環状溝102内の付勢リング106の収容部分が低圧(カム室108と同圧)に維持されていることと相俟って、高圧燃料がシールリング103を介して付勢リング106を縮径方向に押圧しようとする。このため、付勢リング106はこのような場合を想定してばね力を大きく設定しなければならなず、このことが通常使用時におけるプランジャ101(シールリング103)とシリンダ105の間の摺動抵抗の増大、延いては、シールリング103等の摺動部の耐久性の低下の原因となっている。 【0010】そこで本発明は、付勢リングのばね力を大きく設定することなくプランジャとシリンダの摺動隙間からの燃料の漏出を確実に防止できるようにして、摺動抵抗の低減とシール性能の向上の両立を図ることのできる燃料加圧用ポンプを提供しようとするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、シリンダにプランジャが摺動自在に収容されて、このシリンダとプランジャの間に、燃料を加圧するポンプ室が形成されると共に、シリンダの外部に前記プランジャを進退動作させるための回転カムが配置され、前記プランジャとシリンダのいずれか一方側の摺動面に環状溝が設けられ、この環状溝内に、他方側の摺動面に密接する摺動抵抗が小さく、かつ伸縮性の小さい樹脂製のシールリングが配置されると共に、前記環状溝とシールリングの間に、この両者に密接するゴム製のOリングと、前記シールリングを他方側の摺動面方向に付勢する金属製の付勢リングとが軸方向に並んで配置された燃料加圧用ポンプにおいて、前記付勢リングをOリングよりもポンプ室側に配置するようにした。 【0012】したがって、ポンプ室の高圧燃料はプランジャとシリンダの摺動隙間を通ってシールリングの背部の付勢リング位置に導入されるが、その付勢リングよりも先はOリングによって環状溝とシールリングの間が密閉されているため、シールリングの背部を通っての高圧燃料のカム室側への漏出は阻止される。また、ポンプ室の高圧燃料は付勢リング位置において一部シールリングの外面側に作用するが、このとき付勢リングの背部にも同時にポンプ室の燃料圧が作用するため、シールリングはポンプ室の高圧の燃料圧を受けても他方側の摺動面から離反することはない。 【0013】また、請求項2に記載の発明は、プランジャの外周面に環状溝が設けられると共に、この環状溝が同溝内に設けられた仕切壁によって前後二列に隔成され、この環状溝の各列にOリングと付勢リングが夫々収容された状態で、このOリングと付勢リングの周域を被うように前記環状溝内にシールリングが収容配置された請求項1に記載の燃料加圧用ポンプにおいて、前記プランジャのポンプ室と逆側の端部をシールリングの挿入部とした。 【0014】したがって、環状溝の各列に付勢リングとOリングを装着した後に、プランジャのポンプ室と逆側の端部からシールリングを挿入していくと、シールリングは最初にOリングを乗り越え、その後に付勢リングの周域に被嵌される。ここで、付勢リングはその機能上シールリングの内径よりも広がろうとし、また、環状溝内の仕切壁はプランジャの外周面に対してほぼシールリングの厚み分低く形成される。このため、付勢リングは組付時に環状溝内の仕切壁方向に移動しようとすると、仕切壁を乗り越えてOリングと干渉する可能性がある。しかし、この発明にかかるポンプにおいては、組付時に、シールリングが隔壁側からポンプ室側に向かって移動するため、付勢リングがこのとき仕切壁を乗り越えることはない。 【0015】 【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。 【0016】図面において、1は、本発明にかかる燃料加圧用ポンプである。この実施形態の燃料加圧用ポンプ1は自動車用エンジンの燃料噴射装置に用いられる。即ち、図1に示すように、燃料加圧用ポンプ1の吸入通路2にはモータM駆動される供給ポンプ3が低圧レギュレータ4を介して接続され、吐出通路5には燃料噴射装置のインジェクター6が接続されており、供給ポンプ3を通して燃料タンク7から送られた燃料を本発明にかかるポンプ1によって設定高圧に加圧した後にインジェクター6に供給するようになっている。 【0017】燃料加圧用ポンプ1は、進退動作してポンプ作用を為す単体のプランジャ8と、このプランジャ8の進退方向と直交する方向に沿って配置され、エンジンの動力を受けて回転する駆動軸9と、この駆動軸9に一体に設けられその外周面を通して前記プランジャ8に作動力を伝達する回転カム10と、を備え、駆動軸9の回転を回転カム10を介してプランジャ8の進退動作に変換し、このプランジャ8の進退動作によって燃料の吸入と吐出を行うようになっている。尚、回転カム10の外周面にはエンジンの気筒数に応じた数(この実施形態の場合4つ)のカム山が形成されている。 【0018】燃料加圧用ポンプ1のポンプボディ11は駆動軸9と直交する方向に軸心孔15を有しており、その軸心孔15の一端側には有底円筒状のシリンダ16が嵌着され、他端側には盲蓋17が嵌着されている。ポンプボディ11の軸心孔15の他端寄りには、回転カム10を収容するカム室19が形成され、このカム室19内において駆動軸9が軸受21a,21bを介して支持されている。 【0019】シリンダ16は、そのシリンダ穴22がカム室19側に開口するように配置されており、そのシリンダ穴22内には棒状のプランジャ8の基部が摺動自在に収容されている。そして、シリンダ穴22の底部とプランジャ8の基部とに挟まれた空間部がポンプ室23とされており、プランジャ8の進退動作によってこのポンプ室23の容積が増減変化するようになっている。尚、シリンダ16からポンプボディ11にかけては給排孔24が形成されており、この給排孔24を通してポンプ室23への燃料の給排が行われるようになっている。 【0020】また、ポンプボディ11の軸心孔15は、シリンダ嵌合部よりもカム室19側が段差状に拡径して形成され、その拡径部分がリフタ室25とされている。このリフタ室25の周壁には金属製のブッシュ26が圧入され、このブッシュ26内に有底円筒状のリフタ27が摺動自在に嵌合されている。このリフタ27は、その底壁の内側面中央に前記プランジャ8の先端面が当接すると共に、底壁の外側面に回転カム10の外周面が直接回転接触するようになっている。また、プランジャ8の先端部には、スナップリング28を介して環状のスプリングシート29が取り付けられ、このスプリングシート29とリフタ室25の上壁との間に、プランジャ8を回転カム10方向に付勢するためのスプリング30が介装されている。 【0021】プランジャ8の略中央部外周面には設定幅の捕獲溝31が形成され、ポンプ室23からプランジャ8とシリンダ16の摺動隙間を通って漏出した燃料をこの捕獲溝31によって捕獲し、その捕獲した燃料を、シリンダ16に形成された連通路32を介して吸入通路2に戻すようになっている。したがって、捕獲溝31は吸入通路2の圧力、つまり、低圧レギュレータ4で調圧された圧力に維持されている。 【0022】また、プランジャ8の捕獲溝31よりも先端側の外周面には環状溝35が形成されており、この環状溝35にゴム製のOリング36と、ばね鋼から成るCリング37(金属製の付勢リング)と、四フッ化エチレン樹脂等の摩擦係数が小さく、かつ、伸縮性の小さい樹脂材料から成るシールリング38とが収容されている。 【0023】環状溝35は、図1の拡大部分と図3に示すように、その内部に環状の仕切壁35aが突設され、この仕切壁35aによって軸方向に前後二列に隔成されている。ここで、ポンプ室23側の列を第1溝35b、カム室19側の列を第2溝35cと呼ぶものとすると、第1溝35bは第2溝35cよりも小断面に形成されて、その内部にCリング37が収容されると共に、第2溝35cにはOリング36が収容されている。したがって、Cリング37はOリング36よりもポンプ室23側に配置されている。そして、第1,第2溝35b,35cと仕切壁35aから成る環状溝35には、前記両リング36,37の外周域を被うようにシールリング38が被嵌されている。 【0024】Cリング37は、シールリング38をシリンダ16の内周面に押接するためのもので、その外径はプランジャ8の外径よりも大きく設定されており、Oリング36は、環状溝35とシールリング38の間を密閉するためのもので、その直径は第2溝35cの深さよりも大きくなるように設定されている。また、仕切壁35aはCリング37とOリング36を夫々環状溝35内の所定位置に保持するためのものであり、その外周端面はプランジャ8の一般部の外周面に対してほぼシールリング38の厚み分だけ低くなるように設定されている。 【0025】したがって、シールリング38は、プランジャ8がシリンダ16に嵌合された状態において、Cリング37とOリング36による押圧によって外周面が外側に膨出し、その膨出した外周面がシリンダ16の内周面に密接する。そして、このとき同時にシールリング38と第2溝35cの間がOリングによって密閉されるため、ポンプ室23側からシリンダ16とプランジャ8の隙間に流入した燃料はシールリング38の内外両側において密閉され、リフタ室25側に漏出するのが防止される。 【0026】また、ポンプ室23に連通する吸排孔24は、吸入通路2と吐出通路5に夫々チェック弁39,40を介して接続されており、これらのチェック弁39,40の協働によりポンプ室23を吸入通路2と吐出通路5の一方に連通させるようになっている。さらに、吐出通路5には吸入通路2に連通する戻し通路41が分岐形成され、この戻し通路41の途中に、吐出通路5内の圧力を設定圧に維持するように通路を開閉する圧力調整弁13が介装されている。 【0027】尚、図1中42は、カム室19やリフタ室25等に潤滑油を循環供給するためのオイル通路である。 【0028】以上の構成において、エンジンの始動に伴って駆動軸9が回転すると、回転カム10の外周面がリフタ27に回転接触し、プランジャ8がこのリフタ27を介して回転カム10の作動力を受け、昇降作動するようになる。 【0029】このとき、プランジャ8が下降すると、ポンプ室23内が負圧になり、供給ポンプ3から送られた燃料はチェック弁39を開いてポンプ室23内に吸い入れられる。そして、この後プランジャ8が上昇すると、ポンプ室23内の燃料が加圧されて吐出チェック40が開き、その燃料が吐出通路5を通って燃料噴射装置のインジェクター6へと供給される。また、こうしてプランジャ8の昇降によるポンプ作用がつづけられ、吐出通路5内の圧力が設定圧以上になると、圧力調整弁13が戻し通路41を開き、吐出通路5の燃料の一部を吸入通路2に戻すことによって吐出通路5内の圧力が設定圧に調圧される。 【0030】また、この一方でエンジンの始動と共に図外のオイルポンプが作動し、潤滑油がこのオイルポンプによってエンジン内各部に送られる。そして、その潤滑油の一部はオイル通路42を通ってカム室19とリフタ室25に供給される。これにより、軸受21a,21bや回転カム10、リフタ27、プランジャ8等の摺動面に潤滑油が充分に供給されることになる。 【0031】ところで、ポンプ室23内で加圧された燃料の一部は、プランジャ8とシリンダ16の摺動隙間を通ってリフタ室25方向に流出しようとする。しかし、このときプランジャ8とシリンダ16の摺動隙間に入り込んだ燃料の大半はプランジャ8の外周面に形成された捕獲溝31によって捕獲され、この捕獲溝31から連通路32を通って吸入通路2に戻される。 【0032】また、このとき捕獲溝31内は低圧レギュレータ4での調整圧とされるため、捕獲溝31内の燃料はさらにプランジャ8とシリンダ16の摺動隙間を通ってリフタ室25やカム室19の方向に流れ込もうとする。しかし、プランジャ8とシリンダ16の摺動隙間は、前述のようにプランジャ8の環状溝35内に収容されたシールリング38と、Cリング37及びOリング36の協働によって密閉されるため、ポンプ室23内の燃料はリフタ室25やカム室19内に流れ込むことがない。 【0033】ここで、低温時におけるシールリング35の収縮や、経時使用に伴なうOリング36のへたり等によってシールリング35がシリンダ16の内周面に対して縮径することが考えられるが、シールリング35は金属製のCリング37によって常時一定の力でシリンダ16の内周面に押し付けられているため、たとえこのような場合であってもシールリング35の外周面側から燃料が漏れることはない。 【0034】ところで、ポンプ室23側から環状溝35方向に流れ込む燃料は、図3中のクロスハッチングで示すように、プランジャ8とCリング37の隙間を通って第1溝35b内に流入すると共に、さらに仕切壁35aとシールリング38の隙間を通って第2溝35c内のポンプ室側領域に流入するが、それ以上の流出は第2溝35cの底面とシールリング38の内周面に密接するOリング36によって阻止される。そして、このとき第1溝35bと第2溝35cの一部に流入した燃料はシールリング38を径方向外側に押圧するため、シールリング38はCリング37とOリング36による押付力ばかりでなく、この燃料圧も加わってシリンダ16の内周面に密接する。 【0035】したがって、シリンダ16に対するシールリング38の押付力を保証するためのCリング37はさして大きなばね力に設定しなくても燃料の漏れを確実に阻止することができる。つまり、図4に示すように、Cリング37の周域部においてシールリング38の外周面の一部にポンプ室23側の燃料圧が作用した(同図中、燃料圧が作用する部分はクロスハッチングで示す。)としても、その外周面に作用する燃料圧はCリング37とシールリング38の内周面に作用するポンプ室23側の燃料圧によって打ち消すことができる。このため、Cリング37のばね力は、シールリング38の外周面に作用する燃料圧を気にすることなく、小さく設定することができる。 【0036】よって、この燃料加圧用ポンプ1は、通常使用時におけるCリング37によるシールリング38の押付力を小さくできることから、シールリング38とシリンダ16の間の摺動抵抗を小さくして、動力損失の低減と摺動部の耐久性の向上を図ることができる。 【0037】また、この実施形態においては、図1に示すように、環状溝35をプランジャ8のカム室19寄りに形成し、プランジャ8のカム室19側の端部(ポンプ室23と逆側の端部)をシールリング38の挿入部としている。したがって、シールリング38は、図6中の矢印で示すようにOリング36を乗り越えた後にCリング37の外周側に被嵌される。 【0038】この実施形態のポンプ1は、シールリング38が最初に挿入される側にOリング36が位置されているが、これが逆に図5(a),(b)に示すようにシールリング38が最初に挿入される側にCリング37が配置されていると、シールリング38の挿入時に、図5(b)に示すようにCリング37がシールリング38に押されて仕切壁35aを乗り越えることがあり、このようなことがないように注意しながら組付作業を行わなければならない。 【0039】しかし、この実施形態のポンプ1にあっては、図6に示すように、拡径しようとするCリング37が仕切壁35a方向に移動することがないため,Cリング37が仕切壁35aを乗り越えてOリング36と干渉する不具合は生じない。したがって、このポンプ1を採用した場合には組付作業性が確実に向上する。 【0040】尚、以上で説明した実施形態においては、環状溝35をプランジャ8側に形成したが、環状溝35をシリンダ16の内周面に形成して、その環状溝35内にOリング36やCリング37、シールリング38等を収容するようにしても良い。 【0041】 【発明の効果】以上のように請求項1に記載の発明は、ポンプ室の燃料圧が常時付勢リングの背部に作用するため、ポンプ室の燃料圧がシールリングの外面側から付勢リングを押し縮める方向に作用しても、その力を付勢リングの背部に作用する燃料圧によって打ち消すことができる。したがって、付勢リングのばね力を大きく設定しなくてもシールリングが他方側の摺動面から離反することがなくなり、その結果、摺動抵抗の低減とシール性能の向上の両立が可能になる。 【0042】請求項2に記載の発明は、環状溝に付勢リングとOリングを装着した後にこれらの上部にシールリングを被嵌する際に、付勢リングが環状溝内の仕切壁を乗り越えてOリングと干渉する心配がなく、したがって、組付作業が容易になる分低コストでの製造が可能になる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000167406 【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
|
| 【出願日】 |
平成12年3月29日(2000.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062199 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−271726(P2001−271726A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月5日(2001.10.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−90436(P2000−90436) |
|