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【発明の名称】 アクチュエータおよび燃料噴射装置
【発明者】 【氏名】船井 賢二

【要約】 【課題】ポンプ室の容積を縮小して昇圧能力を高めることにより、噴射性能を向上可能であるとともに、高い加工精度が要求されず、コスト低減が可能なアクチュエータおよび燃料噴射装置を実現する。

【解決手段】燃料噴射装置のアクチュエータを、ピエゾスタック21の伸縮に伴ってシリンダ23内を摺動するピエゾピストン22によって、その一端側に設けたピエゾポンプ室27内の圧力を増減させる構成とし、ピエゾポンプ室27を、ピエゾピストン22を一端側に配され、表面を弾性材料よりなるシール層24bで覆った筒状ばね24aよりなるばね部材24の筒内およびこれに連続する閉空間内に形成する。ばね部材24にシール機能を持たせたので、ピエゾポンプ室27内の容積を小さくし、部材数を削減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通電により伸縮する駆動部材と、上記駆動部材の伸縮に伴ってシリンダ内を摺動するピストンと、上記ピストンの一端側に設けられ上記ピストンの変位によって圧力を増減させるポンプ室と、上記ピストンを上記駆動部材の収縮方向に付勢するばね部材を備えるアクチュエータであって、上記ばね部材を、表面を弾性材料よりなるシール層で覆った筒状ばねで構成して、上記ピストンの上記一端側に形成した空間に配置し、上記ばね部材の筒内に形成される閉空間を上記ポンプ室としたことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】 通電により伸縮する駆動部材と、上記駆動部材の伸縮に伴ってシリンダ内を摺動するピストンと、上記ピストンの一端側に設けられ上記ピストンの変位によって圧力を増減させるポンプ室と、上記ピストンを上記駆動部材の収縮方向に付勢するばね部材を備えるアクチュエータであって、上記ばね部材を、金属よりばね定数が低く、上記ピストンの上記一端側に形成した空間に配置する際のセット荷重において弾性変形する筒状の弾性部材で構成して、上記ばね部材の筒内に形成される閉空間を上記ポンプ室としたことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】 上記ばね部材の形状が、一定径のリング状、または上記ピストンの上記一端側に向けて拡径するテーパ状である請求項1または2記載のアクチュエータ。
【請求項4】 上記ポンプ室の圧力変化に応じて変位する可動部材を有する請求項1ないし3のいずれか記載のアクチュエータ。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか記載のアクチュエータによって駆動されて、低圧通路または高圧通路と制御室とを選択的に導通させる弁部材を有し、上記弁部材によって上記制御室内の圧力を増減することにより噴孔を開閉することを特徴とする燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変位を圧力に変換するアクチュエータと、このアクチュエータを用いて弁部材を駆動する燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ピエゾアクチュエータ等を用いて増圧ピストンを変位させ、ポンプ室内の圧力を上昇あるいは下降させることでバルブあるいはノズルを開閉弁させる構造の燃料噴射装置が知られ、内燃機関のコモンレール噴射システム用のインジェクタとして広く用いられている。コモンレール噴射システムは、燃料供給ポンプから圧送される高圧燃料を蓄圧するコモンレールを有するもので、内燃機関の運転状態に応じてコモンレール圧力を所定の高圧に制御し、所定のタイミングでノズルニードルを開弁して各気筒に燃料噴射している。ポンプ室内の圧力を下降させてノズルニードルを開弁する構造は、例えば、特公平4−54065号公報に開示されている。
【0003】かかる燃料噴射装置の一例を図8に示す。図中、100はピエゾアクチュエータで、ピエゾスタック101が伸縮すると、その下面に接して設けたピエゾピストン102がシリンダ103内を摺動し、ピエゾポンプ室104内の油圧が増減するようになしてある。ピエゾポンプ室104の下方には、ピエゾポンプ室104内の油圧の増減に伴って上下動する作動ピストン105が設けられ、これと一体のプッシュロッド106を介してバルブ室107内のボール弁108を駆動している。バルブ室107は、上端にドレーン通路109に連通するポートを、下端に燃料供給通路110に連通するポートを有し、これらポートを選択的に閉鎖することで、油圧ピストン111上方の制御室112を、ドレーン通路109または燃料供給通路110に連通させる。
【0004】ピエゾポンプ室104内には、ピエゾピストン102をピエゾスタック101の収縮方向に付勢する皿ばね113と、作動ピストン105内に設けた通路115上端に配したボール116を下方に付勢するスプリング114が配設されている。また、ピエゾピストン102には、外周に環状溝を形成してシール用のOリング117を配設している。
【0005】ピエゾスタック101の収縮時には、ボール弁108が上方に移動してドレーン通路109に連通するポートを閉塞し、燃料供給通路110に連通する制御室112の圧力が上昇して油圧ピストン111が下方へ押され図示されていないノズルニードルは閉弁している。ピエゾスタック101が伸長してピエゾピストン102が下方に移動するとピエゾポンプ室104内の圧力が上昇し、作動ピストン105がボール弁108を下降させて燃料供給通路110に連通するポートを閉鎖する。このため、制御室112の燃料がドレーン通路109に流出して圧力低下し、油圧ピストン111と図示されていないノズルニードルがリフトして燃料が噴射される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記構成において、噴射性能を大きく左右する因子にピエゾポンプ室104内の容積がある。すなわち、この容積が小さければ小さい程、ピエゾスタック101の変位に対する圧力変化が大きくなるため、ボール弁108に加わる燃料圧力がより高くなっても、これを開弁することが可能となる(噴射可能領域の拡大)。また、ピエゾポンプ室104容積が小さいと、圧力変化速度が速くなるため、ノズルニードル111のリフトが速くなって応答性が向上する。そこで、ピエゾポンプ室104内の容積を小さくして、噴射性能を向上させることが検討されている。
【0007】しかしながら、上記従来構成のままでは、ピエゾポンプ室104内に皿ばね113とスプリング114を収容するスペースを確保する必要があること、Oリング117下方のピエゾピストン102の外周にピエゾポンプ室104から燃料が流入して、ピエゾポンプ室104の実質的な容積が拡がること、などから容積を十分小さくすることは困難であった。また、摺動部であるピエゾピストン102の外周をOリング117でシールするという上記構成では、シール部に高い加工精度が要求され、コスト高となっている。
【0008】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ポンプ室の容積を縮小することにより、昇圧能力を高めて噴射性能を向上させること、また、加工に高い精度が要求されず、コスト低減が可能な燃料噴射装置を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明請求項1のアクチュエータは、通電により伸縮する駆動部材と、上記駆動部材の伸縮に伴ってシリンダ内を摺動するピストンと、上記ピストンの一端側に設けられ上記ピストンの変位によって圧力を増減させるポンプ室と、上記ピストンを上記駆動部材の収縮方向に付勢するばね部材を備えている。上記ばね部材は、表面を弾性材料よりなるシール層で覆った筒状ばねで構成してあり、これを上記ピストンの上記一端側に形成される空間内に配置して、上記ばね部材の筒内に形成される閉空間を上記ポンプ室とするものである。
【0010】上記構成では、上記ばね部材として表面にシール層を形成した筒状ばねを用いているので、その筒内空間およびこれに連続する閉空間を、密閉シールされた上記ポンプ室とすることができる。よって、従来に比べて構成を大きく変えることなく、上記ポンプ室容積を縮小することができるので、上記ピストンの変位に対する圧力変化が大きくなり、噴射性能が向上する。また、シール用のOリングが不要となるので、部品点数が削減でき、加工精度が要求されないので、コストが低減できる。
【0011】請求項2は、本発明の課題を解決するアクチュエータの他の構成であり、通電により伸縮する駆動部材と、上記駆動部材の伸縮に伴ってシリンダ内を摺動するピストンと、上記ピストンの一端側に設けられ上記ピストンの変位によって圧力を増減させるポンプ室と、上記ピストンを上記駆動部材の収縮方向に付勢するばね部材を備えるアクチュエータにおいて、上記ばね部材を、金属よりばね定数が低く、上記ピストンの上記一端側に形成した空間に配置する際のセット荷重において弾性変形する筒状の弾性部材で構成して、上記ばね部材の筒内に形成される閉空間を上記ポンプ室とする。
【0012】上記特性を有する弾性部材よりなる上記ばね部材を用いることによっても、シール機能と必要なばね特性とを確保することができ、上記請求項1の構成と同様の効果が得られる。
【0013】請求項3の構成では、上記ばね部材の形状を、上記ピストンの上記一端側に向けて拡径するテーパ状、または一定径のリング状とする。上記ばね部材を逆テーパ状とすると、上記ピストンの変位に対する圧力変化量を大きくすることができ、噴射性能が向上する。また、一定径のリング状とすると、筒内容積をより小さくできるので、昇圧効果が高まって噴射性能がより向上する。
【0014】請求項4の構成では、上記ポンプ室の圧力変化に応じて変位する可動部材を設ける。本発明のアクチュエータに、上記ポンプ室の圧力変化を伝達するための可動部材を設けることもでき、この可動部材を用いて弁部材等を駆動することができる。
【0015】請求項5は、上記アクチュエータを用いた燃料噴射装置に関し、上記アクチュエータをによって駆動されて、低圧通路または高圧通路と制御室とを選択的に導通させる弁部材を有する。上記弁部材によって上記制御室内の圧力を増減することにより噴孔を開閉して燃料噴射を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は、本発明を適用したピエゾアクチュエータ2を備える燃料噴射装置1で、例えばコモンレール燃料噴射システムにおいて、コモンレールに蓄圧された高圧燃料をエンジンの各気筒に噴射するために用いられる。燃料噴射装置1は、詳細を後述するピエゾアクチュエータ2が収容される上部ハウジング11と、その下端にねじ固定される下部ハウジング12を有し、下部ハウジング12内には噴孔31を開閉するノズルニードル3が上下動自在に収容されている。
【0017】ノズルニードル3の中間部周りには、燃料供給通路41に連通する燃料溜まり32が設けられ、ノズルニードル3は、この燃料溜まり32から開弁方向(上向き)の燃料圧を受けている。ノズルニードル3は、また、上端面に接して設けたコマンドピストン33を介して、その上方の制御室4から閉弁方向(下向き)の燃料圧を受けており、コマンドピストン33は、下半部外周に設けたスプリング室36内のスプリング35によってノズルニードル3方向に付勢されている。そして、制御室4の圧力が降下すると、燃料溜まり32内の燃料圧の作用でノズルニードル3がリフトし、噴孔31が通路34を介して燃料溜まり32と導通して燃料噴射が開始される。なお、スプリング室36はドレーン通路42に連通している。
【0018】下部ハウジング12の上端部内には、制御室4内の圧力を増減する3方弁5が設けられている。3方弁5は、ドレーン通路42に連通する上端部にテーパ状の第1シート53を、燃料供給通路41に連通する下端部にテーパ状の第2シート54を有するバルブ室51と、バルブ室51内に配設されて第1または第2シート53、54を選択的に閉鎖するボール弁52を有している。バルブ室51の側部には、制御室4に連通する通路55が開口し、ボール弁52が移動して第1または第2シート53、54に押圧されるのに伴い、制御室4が燃料供給通路41またはドレーン通路42に連通する。
【0019】ボール弁52は、上部ハウジング11内のピエゾアクチュエータ2によって駆動される。ピエゾアクチュエータ2は、電圧の印加または解除により伸縮するピエゾスタック21と、その下端面に当接してシリンダ23内を摺動するピストンとしてのピエゾピストン22を有し、シリンダ23の下端部内には、ピエゾピストン22をピエゾスタック2の収縮方向(上方)に付勢するばね部材24が配設されている。シリンダ23の下方には、これより小径のシリンダ26内に可動部材としての作動ピストン25が摺動自在に設けられ、作動ピストン25下端面より突出するプッシュロッド25aがボール弁52に当接している。
【0020】ばね部材24は、図2に拡大図を示すように、ピエゾピストン22側に向けて拡径するテーパ状、すなわち、断面逆ハの字形の筒状ばね24aの表面全面を、弾性材料よりなるシール層24bで被覆してなる。つまり、このばね部材24は、ピエゾピストン22下端面とシリンダ23の底面に平面接触して、その筒内空間と筒外空間とを区画するとともに、両者の間をシールするシール機能を有している。そこで、本発明では、ばね部材24の筒内空間およびこれに連続する作動ピストン25上端中央部の空間25b内を、ポンプ室としてのピエゾポンプ室27とし、ピエゾスタック21の伸縮によってピエゾピストン22が上下動するのに伴い、容積を拡大または縮小させるようにする。これにより、ピエゾポンプ室27内部の燃料圧が増減し、作動ピストン25のプッシュロッド25aを介してボール弁52を上下動させることができる。
【0021】ばね部材24のシール層24bを構成する弾性材料としては、ゴム材料、例えば、耐熱性、耐油性に優れるフッ素系ゴムが好適に用いられる。あるいはフッ素系ゴムに限らず、必要な特性等に応じて適宜選択してもよい。シール層24bの膜厚は、充分なシール性能が確保できる厚さとする必要があるが、あまり厚すぎるとゴムの変形のみでばね力を確保するようになり、ゴムの圧縮永久歪により隙間があきやすくなるため、例えば、0.1mm程度とすることが望ましい。ばね部材24表面にシール層24bを形成する方法は、例えば、シール必要部位にシール層24bの構成材料を噴き付ける方法、シール層24bを圧着する方法、あるいは型内に筒状ばね24aを配置して一体成形する方法等があり、いずれの方法を採用してもよい。
【0022】なお、作動ピストン25の内部には、その上下の空間25b、25c間を連通する通路25dが設けられ、空間25b内にはボール弁28が配設されて通路25dの上端開口を閉鎖している。ボール弁28はスプリング29により下方に付勢されて、ピエゾポンプ室27への流れのみを許容する逆止弁として機能する。このようにすると、始動時のピエゾポンプ室27への燃料の充填が容易になされ、また作動中の気泡抜きを効果的に行うことができる。
【0023】次に、上記構成の燃料噴射装置1の作動を説明する。ピエゾアクチュエータ2のピエゾスタック21に電圧を印加してこれを伸長させると、ピエゾピストン22が下降してピエゾポンプ室27の容積を縮小する。これに伴いピエゾポンプ室27の燃料圧が上昇して作動ピストン25を下降させ、作動ピストン25と一体のプッシュロッド25aがボール弁51を押し下げる。これによりボール弁51がドレーン通路42に至る第1シート53を開放し、燃料供給通路41に至る第2シート54を閉塞する。この時、通路55を介してバルブ室51と導通している制御室4の圧力が低下し、ノズルニードル3がリフトして噴孔31から高圧燃料が噴射される。
【0024】次に、ピエゾスタック21へ印加されていた電圧を抜いてこれを収縮させると、ピエゾピストン22がばね部材24の付勢力によって上昇し、ピエゾポンプ室27の容積を拡大する。これによりピエゾポンプ室27の圧力が降下し、ボール弁51に上向きに作用する油圧力によって、ボール弁51とプッシュロッド25aが一体となって上昇する。そして、ボール弁51が第2シート54から離れて、第1シート53を閉塞し、燃料供給通路41から高圧燃料が流入するために、バルブ室51に連通する制御室4の圧力が上昇する。これに伴い、コマンドピストン42およびノズルニードル4が下降して、噴孔31を閉鎖し、燃料噴射が停止される。
【0025】ここで、上記構成では、ピエゾポンプ室27を、ばね部材24の筒内空間とこれに連続する空間25bとで構成したので、従来に比べてピエゾポンプ室容積を縮小することができる。しかも、ばね部材24形状を断面逆ハの字状としたので、ピエゾピストン22の変位に対する容積変化量、すなわち、圧力変化量が大きくなり、噴射可能領域の拡大、応答性の向上により、噴射性能が向上する。また、筒状のばね部材24の表面にシール層24aを設けてシール機能を持たせたので、ピエゾポンプ室27を確実に密閉シールすることができ、従来のようにピエゾピストン22外周にOリングを設ける必要がないので、部品点数が減少し、Oリングシール部に高い加工性が要求されないので、コスト低減が可能である。
【0026】上記第1の実施の形態では、作動ピストン25の内部に通路25dとボール弁28を設けたが、図3、4に本発明の第2の実施の形態として示すように、組付時に燃料充填を行い、作動中の気泡の発生が問題とならない場合には、これらを省略した構成とすることもできる。この時、作動ピストン25の上端面に空間25bが形成されないので、ピエゾポンプ室27はばね部材24の筒内空間のみとなり、また、ピエゾピストン22の下端面に凸部22aを形成してばね部材24の筒内空間に突出させることで、容積をさらに縮小することができる。よって、上記第1の実施の形態の構成に比べて、ピエゾピストン22の変位に対する圧力変化が大きくなり、噴射可能領域の拡大、応答性の向上といった噴射性能がさらに向上する。
【0027】以上のように、本発明によれば、ピエゾポンプ室27の容積を縮小することにより、昇圧能力を高め、噴射性能を向上させることができる。この本発明の効果を図5で説明する。まず、噴射可能領域の拡大に関して、燃料噴射装置では、噴射圧力が高い程、燃料の霧化が良好となりエンジン性能が良いとされるが、一方、この高圧燃料がボール弁52を第1シート53にシートさせようとする力(図5(a)における上向きの力)は、第1シート53径をaとすると、式(1)
(π/4)×a2 ×燃料圧力・・・(1)
で表される。よって、開弁に必要な力は、噴射圧力が高い程大きくなる(図5(b))。ここでピエゾピストン23の径bは一定なので、より高い圧力で開弁できるようにするためには、ピエゾスタック21の変位により、ピエゾポンプ室27がより高い圧力まで昇圧できなければならない。ピエゾ変位に対する圧力変化量ΔPは、式(2)であらわされるので、ΔP∝(ΔV/V)×E・・・(2)
(式中、ΔVはピエゾ変位に対する容積変化量、Vはピエゾポンプ室27の容積、Eはヤング率、)ピエゾポンプ室27の容積Vが小さければ小さい程、ΔP、すなわち昇圧効果が大きくなり、従来より高い圧力まで噴射が可能になる。
【0028】次に、応答性に関しては、上記式(2)を時間微分すると、下記式(3)のようになる。
dP/dt=定数×(dV/dt)・・・(3)
つまり、ピエゾポンプ室27の容積Vが小さいと、定数項が大きくなり、圧力変化速度が速くなる。これを従来と対比させたタイムチャートにしたのが図5(c)であり、ピエゾポンプ室27の容積Vが小さいために、ピエゾスタック21の変位に対してピエゾポンプ室27の圧力の増加が速く、ボール弁52のリフト開始、さらにノズルニードル3のリフト開始が速くなることがわかる。よって、従来に比べて昇圧性能が高くなり、応答性が大きく改善される。
【0029】ばね部材24形状は、上記各実施の形態では、断面逆ハの字状としたが、所望のばね特性を有し、かつ表面にシール層24bを形成してその内外をシールすることができる形状であればよい。図6(a)上段は、ばね部材24の他の形状例を示すもので、筒状ばねとしてCの字断面の中空の金属Oリング24cを用い、その内外表面をフッ素系ゴム等よりなるシール層24dで覆った構成としている。中空でない通常の金属Oリングでは、数十kgのセット荷重をかけることで金属が塑性変形するため、ばねとして機能しないが、上記構成のばね部材24を押しつぶすと、図6(a)下段のように、Cの字の開口部が閉鎖されて中のゴムが密閉させて反力が発生し、また、金属の塑性変形を防ぐので、ばねとして機能する。この時、ばね部材24のばね特性は図6(b)に示すようになり、荷重が小さい時はシール層24dの表面のゴムのみが変形するため、変位が大きいが、荷重が大きくなると金属の変形と密閉された内部のゴム24d´の抵抗による反力で、変位が抑制される。このような構成によっても、必要なばね特性を得るとともにシール性を確保することができる。
【0030】さらに、筒状ばねの表面をシール層で被覆する構成の他、図6(c)のように、ばね部材24を、リング状の弾性材料のみで構成することもできる。この時、ばね部材24を構成する弾性材料は、ばね定数が金属程高くなく、数十kgのセット荷重において弾性変形する材料であればよい。より具体的には、ばね定数が、セット時のたわみおよびピエゾスタック21の変位によって塑性変形しない程度に大きく、ピエゾスタック21のばね定数より小さいことが必要であり、ばね定数が小さすぎると、たわみ量(=セット荷重/ばね定数)が大きくなって塑性変形しやすくなり、ばね定数が大きすぎると、ピエゾスタック21の変位が小さくなってピエゾポンプ室27の昇圧量が小さくなり、容積縮小による昇圧効果が充分得られない。
【0031】また、上記各実施の形態では、可動部材としての作動ピストン25を用いて3方弁5のボール弁52を駆動する構成としたが、図7のように、ピエゾアクチュエータ2に作動ピストン25を設けず、また、3方弁5を省略して、ピエゾポンプ室27の圧力変化を直接制御室4に伝達して、ノズルニードル3を駆動する構成とすることもできる。また、ピエゾポンプ室27の圧力を下降させてノズルニードル3を開弁する方式の他、ピエゾポンプ室27の圧力を上昇させてノズルニードル3を開弁する方式の燃料噴射装置に本発明を適用することももちろんでいる。さらに、駆動部材は、ピエゾスタック21に限らず、通電により伸縮してピエゾピストン22を移動できればよく、例えば、電歪材料等を用いて構成することも可能である。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成13年1月18日(2001.1.18)
【代理人】 【識別番号】100067596
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 求馬
【公開番号】 特開2001−271724(P2001−271724A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2001−10388(P2001−10388)