| 【発明の名称】 |
内燃機関の燃料噴射装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】上原 哲也
【氏名】平野 出穂
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| 【要約】 |
【課題】コモンレール内の燃料圧力を運転条件等に応じて可変制御する場合でも、最適なタイミングで針弁を減速させ、着座騒音を低減する。
【解決手段】燃料噴射ノズルの針弁は、開弁方向に燃料室内の燃料圧力を受け、背圧室内の背圧を閉弁方向に受ける。電磁弁がONとなって背圧室の圧力が低圧室側へ開放されると、針弁がリフトする。電磁弁がOFFとなると、針弁が着座方向へ動く。着座の際に針弁速度を減速するために、所定の遅れ時間τdの後、一定時間τgの間、電磁弁が再びONとなる。最適な遅れ時間τdが、コモンレール圧力と燃料噴射量とに応じて与えられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開弁方向に第1の液圧を受けるとともに閉弁方向に第2の液圧を受ける針弁と、この針弁を開閉動作させるために上記第2の液圧を低,高に切り換えるアクチュエータと、上記アクチュエータを制御する制御手段と、を備えてなる内燃機関の燃料噴射装置において、上記制御手段は、上記針弁を着座させるべく上記第2の液圧を高状態に切り換えた後、針弁閉動作中に、短時間の間、上記第2の液圧を低状態とする着座減速制御を行い、かつこの着座減速制御のタイミングが上記第1の液圧に応じて異なることを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項2】 燃料圧力を可変制御する燃料圧力可変手段と、開弁方向に上記燃料圧力を受けるとともに該燃料圧力から生成される背圧を閉弁方向に受ける針弁と、この針弁を開閉動作させるために上記背圧を低,高に切り換えるアクチュエータと、上記アクチュエータを制御する制御手段と、を備えてなる内燃機関の燃料噴射装置において、上記制御手段は、上記針弁を着座させるべく上記背圧を高状態に切り換えてから、所定の遅れ時間の後、短時間の間、上記背圧を低状態とする着座減速制御を行い、かつ上記遅れ時間が、等燃料噴射量では上記燃料圧力が高いほど短くなるように燃料圧力に応じて可変制御されることを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項3】 上記遅れ時間は、所定の燃料噴射量以下のときに、燃料噴射量が大きいほど長くなるように補正されることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項4】 燃料圧力を可変制御する燃料圧力可変手段と、開弁方向に上記燃料圧力を受けるとともに該燃料圧力から生成される背圧を閉弁方向に受ける針弁と、この針弁を開閉動作させるために上記背圧を低,高に切り換えるアクチュエータと、上記アクチュエータを制御する制御手段と、を備えてなる内燃機関の燃料噴射装置において、上記針弁のリフト位置を検出する針弁リフト検出手段を備え、上記制御手段は、上記針弁を着座させるべく上記背圧を高状態に切り換えてから、針弁が所定リフト位置まで降下したときに、短時間の間、上記背圧を低状態とする着座減速制御を行い、かつ上記所定リフト位置が、上記燃料圧力が高いほど高くなるように燃料圧力に応じて可変制御されることを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項5】 上記着座減速制御が内燃機関の所定の運転領域においてのみ実行されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項6】 上記運転領域は低速低負荷領域であることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の燃料噴射装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ディーゼル機関あるいは筒内直接噴射式火花点火機関等の内燃機関に好適な燃料噴射装置に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、ディーゼル機関や筒内直接噴射式火花点火機関に用いられる燃料噴射装置においては、近年、燃料圧力が高圧化する傾向にあり、かつ噴射ノズルに高い応答性が要求されるようになっている。そのため、ノズル内において針弁が高速で動作し、着座時に大きな衝撃を生じ、これが一種のエンジン騒音となる問題がある。 【0003】このような問題に対処するために、従来、例えば特開平11−62768号公報に記載の技術が知られている。これは、針弁を燃料室と背圧室との圧力差で動作させるように構成するとともに、上記背圧室の圧力を、ピエゾアクチュエータを用いて制御するようにしたものであって、特に上記ピエゾアクチュエータが、第1アクチュエータと第2アクチュエータとを直列に連結した構成となっている。この装置では、両アクチュエータが伸長状態から収縮することで背圧が低下して、針弁がリフトし、かつ両アクチュエータが再び伸長状態に戻ると、背圧が高まって針弁が着座方向に動くのであるが、その着座の直前に一方のアクチュエータを収縮させることで、背圧を若干低下させ、針弁の着座衝撃を弱めている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記公報の装置では、針弁の着座直前に針弁を減速させる構成となっているが、燃料噴射装置における針弁の閉弁速度は、燃料噴射装置へ供給される燃料圧力によって変化するため、針弁の全閉直前に減速処理を行っても、着座時の針弁の速度がばらつき、常に最適な針弁速度で針弁を着座させることができない、という課題がある。特に、いわゆるコモンレール式燃料噴射装置においては、コモンレール内の燃料圧力を運転条件等に応じて積極的に可変制御するものが多く、この場合には、上記の問題が一層顕著となる。 【0005】 【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、着座減速制御のタイミングを液圧つまり燃料圧力に応じて異ならせるようにした。 【0006】すなわち、請求項1に係る発明は、開弁方向に第1の液圧を受けるとともに閉弁方向に第2の液圧を受ける針弁と、この針弁を開閉動作させるために上記第2の液圧を低,高に切り換えるアクチュエータと、上記アクチュエータを制御する制御手段と、を備えてなる内燃機関の燃料噴射装置において、上記制御手段は、上記針弁を着座させるべく上記第2の液圧を高状態に切り換えた後、針弁閉動作中に、短時間の間、上記第2の液圧を低状態とする着座減速制御を行い、かつこの着座減速制御のタイミングが上記第1の液圧に応じて異なることを特徴としている。 【0007】上記の構成では、アクチュエータを介して第2の液圧が低状態に切り換えられると、第1の液圧を開弁方向に受けている針弁がリフトし、燃料が噴射され、その後、第2の液圧が高状態に切り換えられると、針弁が着座方向へ動く。そして、この着座方向に移動している途中、詳しくは着座直前に、短時間の間、第2の液圧が低状態となる。これにより、閉弁方向への付勢力が一時的に弱まり、針弁速度が減速する。ここで、この着座減速制御つまり第2の液圧を一時的に低状態とするタイミングは、第1の液圧に応じて異なるものとなる。 【0008】請求項2に係る発明は、燃料圧力を可変制御する燃料圧力可変手段と、開弁方向に上記燃料圧力を受けるとともに該燃料圧力から生成される背圧を閉弁方向に受ける針弁と、この針弁を開閉動作させるために上記背圧を低,高に切り換えるアクチュエータと、上記アクチュエータを制御する制御手段と、を備えてなる内燃機関の燃料噴射装置において、上記制御手段は、上記針弁を着座させるべく上記背圧を高状態に切り換えてから、所定の遅れ時間の後、短時間の間、上記背圧を低状態とする着座減速制御を行い、かつ上記遅れ時間が、等燃料噴射量では上記燃料圧力が高いほど短くなるように燃料圧力に応じて可変制御されることを特徴としている。 【0009】この請求項2の燃料噴射装置では、燃料圧力可変手段によって燃料圧力が例えば機関運転条件に応じて可変制御される。燃料圧力が高いほど針弁速度が高くなり、早期に着座しようとするので、上記遅れ時間を燃料圧力が高いほど短くすることで、適切なタイミングで針弁を減速させることができる。 【0010】また、請求項3のように、望ましくは、上記遅れ時間は、所定の燃料噴射量以下のときに、燃料噴射量が大きいほど長くなるように補正される。すなわち、燃料噴射量が比較的少ない状態では、針弁リフトがストッパに規制されるフルリフト状態に到達する前に、閉弁方向へ戻ろうとする。この場合には、実際に着座するまでの所要時間は、ピークに達したときのリフト量によってほぼ定まり、つまり燃料噴射量によってほぼ定まる。燃料噴射量がある程度大きくなり、最大リフトがストッパに規制されるようになると、上記の所要時間は概ね一定となるので、上記遅れ時間も一定とすることが望ましい。 【0011】また請求項4に係る発明は、燃料圧力を可変制御する燃料圧力可変手段と、開弁方向に上記燃料圧力を受けるとともに該燃料圧力から生成される背圧を閉弁方向に受ける針弁と、この針弁を開閉動作させるために上記背圧を低,高に切り換えるアクチュエータと、上記アクチュエータを制御する制御手段と、を備えてなる内燃機関の燃料噴射装置において、上記針弁のリフト位置を検出する針弁リフト検出手段を備え、上記制御手段は、上記針弁を着座させるべく上記背圧を高状態に切り換えてから、針弁が所定リフト位置まで降下したときに、短時間の間、上記背圧を低状態とする着座減速制御を行い、かつ上記所定リフト位置が、上記燃料圧力が高いほど高くなるように燃料圧力に応じて可変制御されることを特徴としている。 【0012】この発明では、針弁の実際のリフト位置が検出され、着座直前の所定のリフト位置に達したときに、着座減速制御が行われる。そして、前述したように、燃料圧力が高いほど針弁速度が高くなるので、着座減速制御を開始する所定リフト位置を燃料圧力に応じて変化させる。つまり、所定リフト位置が高く設定されると、早期に着座減速制御が開始されることになり、実際の着座時期に対し適切なものとなる。 【0013】請求項5の発明では、上記着座減速制御が内燃機関の所定の運転領域においてのみ実行される。この運転領域としては、例えば、請求項6のように、低速低負荷領域である。 【0014】例えば空気過剰率の小さな高負荷域では、上記着座減速制御によってスモークの増加等の不具合を伴うことがある。また、着座衝撃による騒音は、他の燃焼騒音等が小さな低速低負荷領域において特に問題となる。従って、着座減速制御を低速低負荷領域に限って実行することで、騒音低減を図りつつスモーク等の不具合を抑制できる。 【0015】 【発明の効果】この発明に係る内燃機関の燃料噴射装置によれば、燃料噴射装置へ供給される燃料圧力に対応して適切なタイミングで針弁速度を減速させることができ、燃料圧力のばらつきもしくは可変制御に左右されずに、針弁の着座衝撃を確実に抑制することができる。 【0016】さらに請求項3あるいは請求項4の燃料噴射装置においては、燃料噴射量の影響をも排除でき、適切なタイミングでもって一層確実に着座衝撃を抑制できる。 【0017】さらに請求項5および請求項6の発明によれば、問題となる領域で着座騒音を抑制しつつ針弁が緩慢に着座することによるスモーク等の新たな不具合を回避できる。 【0018】 【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るディーゼル機関のコモンレール式燃料噴射装置全体の構成を示している。 【0019】この燃料噴射装置は、主に、燃料タンク21、低圧燃料供給通路22、サプライポンプ24、高圧燃料供給通路25、コモンレール(蓄圧室)26、気筒毎に設けられる燃料噴射ノズル1からなり、サプライポンプ24により加圧された燃料が高圧燃料供給通路25を介してコモンレール26に一旦蓄えられた後、コモンレール26の高圧燃料が気筒数分の燃料噴射ノズル1に分配される。 【0020】燃料噴射弁ノズル1は、ノズルホルダ15と、ノズルボディ3先端の噴口13を開閉する針弁4と、この針弁4の基端に中間部材6を介して連接されたピストン7と、上記中間部材6を介して針弁4を閉弁方向へ付勢するリターンスプリング14と、ソレノイド10aおよび弁体10bを有するアクチュエータとしての電磁弁10と、から大略構成されており、燃料通路2を介して針弁4先端部を囲む燃料室5に燃料が供給されるとともに、ピストン7によって背圧室8が画成され、該背圧室8が充填オリフィス9を介して燃料通路2に連通している。上記背圧室8は、また放出オリフィス11を介して低圧室12に連通しており、この放出オリフィス11を上記電磁弁10の弁体10bが開閉している。上記燃料通路2は、上記コモンレール26に接続されており、また上記低圧室12は、ドレン通路16を介して燃料タンク21に開放されている。 【0021】なお、この実施例の燃料噴射ノズル1においては、ピストン7の径が針弁4の径よりも大きく、従って、針弁4のリフト状態においても、燃料室5に対する針弁4の受圧面積よりも背圧室8に対するピストン7の受圧面積の方が大きい。リターンスプリング14は、主に、機関の停止時に噴口13を閉塞するために設けられている。 【0022】ここで、上記燃料噴射ノズル1の基本的な動作を説明すると、電磁弁10がOFF状態にあると、燃料室5と背圧室8の双方にコモンレール26の高圧燃料が導かれるため、ピストン7の受圧面積が針弁4の受圧面積より大きいことから、針弁4が着座状態にある。 【0023】これに対し、電磁弁10がON状態になって放出オリフィス11が開放されると、背圧室8の圧力が低下し、針弁4はリフトし始める。これにより、先端の噴口13より燃料が噴射される。針弁4の実際のリフトは、図2に示すように、電磁弁10のON信号よりも僅かに遅れて開始される。この遅れは、電磁弁10の応答速度ならびに背圧室8の圧力変化の応答速度により生じる。その後、所望の噴射量に対応した燃料噴射期間の後、電磁弁10がOFFとなるが、これにより背圧室8の圧力が再び上昇するので、針弁4は閉弁方向へ移動し、着座する。これにより燃料噴射が終了する。この閉弁方向への移動も、やはり図2に示すように、OFFへの反転後、僅かに遅れて開始される。 【0024】この燃料噴射装置には、さらに、コモンレール26内の燃料圧力(コモンレール圧力Pr)を制御するために、サプライポンプ24から吐出された高圧燃料を低圧側へ戻すように、戻し通路23および圧力制御弁31が設けられている。 【0025】上記圧力制御弁31は、コントロールユニット41からの信号に応じてサプライポンプ24の吐出行程中における戻し通路23の開弁時期を変えるもので、コモンレール26への燃料吐出量を調整することによりコモンレール圧力Prを可変制御する。コモンレール26の燃料圧力Prによって燃料噴射率が変化し、該燃料圧力Prが高いほど燃料噴射率が高くなる。 【0026】コントロールユニット41には、コモンレール圧力Prを検出する圧力センサ32からの信号、アクセル開度センサ33、クランク角センサ34(エンジン回転数Neとクランク角度を検出する)、気筒判別センサ35(気筒判別信号を発生する)、水温センサ36からの信号が、それぞれ入力されている。 【0027】コントロールユニット41では、エンジン回転数Neとエンジン負荷(アクセル開度)に応じて目標燃料噴射量とコモンレール26の目標圧力を演算し、圧力センサ32により検出されるコモンレール圧力Prがこの目標圧力と一致するように、圧力制御弁31を介してコモンレール26内の燃料圧力をフィードバック制御している。また、演算した目標燃料噴射量に対応して電磁弁10のON時間を制御するほか、必要に応じて、後述する着座減速制御のための電磁弁10への通電を実行する。 【0028】図3は、着座減速制御による電磁弁10のON−OFF信号と針弁4のリフト状態とを示している。この図3に示すように、本実施例においては、まず、噴射のために電磁弁10をONとし、目標噴射量に応じた通電時間τfの後、電磁弁10をOFFとする。そして、所定の遅れ時間τd経過した時点で、再び短時間τgの間、電磁弁10をONとする。このように再度ONとするタイミングは、針弁4の着座直前の時期に対応する。これにより、着座直前の位置において針弁4が減速し、着座衝撃が緩和される。 【0029】図4および図5は、上記の着座減速制御を含む燃料噴射制御の流れを示すフローチャートである。 【0030】図4は、上記の通電時間τf等を設定するためのルーチンであって、これは各気筒のREF信号毎に実行される。まず、ステップ1では、機関回転数Neと目標燃料噴射量Qを読み込む。ステップ2では、図示せぬマップに基づいて、上記機関回転数Neおよび目標燃料噴射量Qに対応する目標コモンレール圧力Prを決定する。なお、上述したように、この目標コモンレール圧力Prに沿うように、実際の燃料圧力Prがフィードバック制御される。次に、ステップ3において、着座減速制御を行うべき運転領域か否かを判別する。これは、機関回転数Neと目標燃料噴射量Qとに基づいて、図6に示すような特性のマップから判別するもので、後述するように、図6に示す低速低負荷領域でのみ着座減速制御が実行される。 【0031】この領域外であれば、ステップ4へ進み、フラグを0にリセットするとともに、ステップ5で、コモンレール圧力Prと目標燃料噴射量Qとに基づいて、着座減速制御が実行されない領域での通電時間τfとしての、必要な通電時間τf0を、所定のマップから求める。 【0032】着座減速制御をすべき領域内であれば、ステップ6へ進み、フラグを1にセットするとともに、ステップ7で、コモンレール圧力Prと目標燃料噴射量Qとに基づいて、着座減速制御をすべき領域での通電時間τfとしての、必要な通電時間τf1と最適な遅れ時間τdとを決定する。上記通電時間τf1は、やはり所定のマップから求められるが、着座減速制御を行う場合には、2度目の通電時間τgによって噴射終了間際に噴射される燃料量が増加するので、着座減速制御を行わない場合の通電時間τf0のマップとは異なる特性のマップが用いられる。なお、同一のマップから求めた値を、着座減速制御の有無に応じて補正するようにしてもよい。 【0033】図5は、電磁弁10の通電制御のルーチンを示しており、ステップ11でフラグの状態を判別し、フラグが0であれば、ステップ12へ進んで、τf0の期間だけ電磁弁10をONとする。これに対し、フラグが1であれば、ステップ13へ進んで、τf1の期間だけ電磁弁10をONとした後、τdの間隔を空けて、τgの間、再びONとする(図3参照)。なお、この実施例では、2度目の通電時間τgは、運転条件に拘わらず一定値となっている。 【0034】次に、図7および図8に基づいて、上記遅れ時間τdと燃料噴射量Qとの関係について説明する。図7は、燃料噴射量Qが小の場合(a)、中の場合(b)、大の場合(c)のそれぞれで、針弁リフトとこれに最適な遅れ時間τdとを示している。なお、これは、等燃料圧力つまりコモンレール圧力Prが等しい場合の対比である。(a)および(b)の噴射量Qでは、針弁4は、ストッパに規制されるフルリフト状態に到達する前に、閉弁方向へ戻る。この場合には、実際に着座するまでの所要時間は、ピークに達したときのリフト量によってほぼ定まり、つまり燃料噴射量によってほぼ定まる。従って、最適な遅れ時間τdは、噴射量Qが多くなるほど、長くなる。これに対し、(c)のように、燃料噴射量がある程度大きくなり、最大リフトがストッパに規制されるようになると、上記の所要時間は概ね一定となるので、最適な遅れ時間τdも一定となる。 【0035】従って、最適な遅れ時間τdは、図8のような特性となり、前述したステップ7では、この特性に沿ったマップに従って、遅れ時間τdが求められる。 【0036】次に、図9および図10に基づいて、上記遅れ時間τdとコモンレール圧力Prとの関係について説明する。図9は、コモンレール圧力Prが低い場合(a)と高い場合(b)とで、針弁リフトとこれに最適な遅れ時間τdとを示している。なお、これは、燃料噴射量が等しい場合の対比である。両者の対比から明らかなように、コモンレール圧力Prが高い方が、針弁4の応答性が高くなり、開弁方向への移動速度ならびに着座方向への移動速度がいずれも速くなる。 【0037】従って、最適な遅れ時間τdは、図10のようにコモンレール圧力Prが高いほど短くなる。前述したステップ7では、この図10の特性に沿ったコモンレール圧力Prに対応する補正係数を乗じることで、遅れ時間τdがコモンレール圧力Prに対応するように補正される。 【0038】このように、コモンレール圧力Prならびに燃料噴射量Qに対応して、遅れ時間τdを最適なものとすることにより、運転条件が変化しても最適な時期に2度目の通電が行われ、針弁4の着座衝撃を確実に緩和することができる。 【0039】この着座減速制御は、前述したように、低速低負荷領域のみで実行される。図11は、着座減速制御つまり2回目の通電を行わない場合(a)と行う場合(b)の針弁リフトおよび燃料噴射率を示しているが、この図11に示すように、着座減速制御により針弁4の着座速度を減速すると、燃料噴射終了直前の燃料噴射率が緩慢に低下することになる。従って、着座減速制御を実行すると、スモーク排出量がやや増加する、といった不具合がある。しかし、このようなスモーク増加が問題となるのは、空気過剰率の小さい高負荷域であり、燃料に対し十分な空気が存在する低負荷域では、ほとんど問題となることはない。また一方、針弁4の着座騒音が問題となるのは、主に、低速低負荷域である。高速域や高負荷域では、他の燃焼騒音や機械騒音が大きくなり、全体の騒音の中で着座騒音が占める割合が小さくなるので、着座騒音を低くしても、内燃機関全体の騒音を低減する効果は小さい。従って、以上のことから、図6のように低速低負荷域でのみ着座減速制御を実行し、他の領域では同制御を停止することにより、針弁4の着座騒音を効果的に抑制しつつ、スモーク増加を回避することができる。 【0040】次に、この発明の第2実施例について説明する。図12は、この第2実施例に用いられる燃料噴射ノズル1を示しており、図示するように、ピストン7の周面に切欠部18が形成され、該切欠部18に対向して、非接触型ギャップセンサからなる針弁リフトセンサ17が設けられている。上記ピストン7は針弁4と一体に動作するので、針弁4のリフト位置に応じて上記切欠部18の被検出面と針弁リフトセンサ17との間の距離が変化し、これに応答する針弁リフトセンサ17の出力から針弁4のリフト位置を検出することができる。そして、この実施例では、針弁4のリフト位置に基づいて2度目の通電のタイミングが制御される。つまり、着座直前の所定のリフト量Ltの位置において、2度目の通電が行われる。 【0041】図13および図14は、第2実施例における燃料噴射制御の流れを示すフローチャートである。 【0042】図13は、主噴射の通電時間τfや2度目の通電タイミングを設定するためのルーチンであって、これは各気筒のREF信号毎に実行される。まず、ステップ1では、機関回転数Neと目標燃料噴射量Qを読み込む。ステップ2では、図示せぬマップに基づいて、上記機関回転数Neおよび目標燃料噴射量Qに対応する目標コモンレール圧力Prを決定する。この目標コモンレール圧力Prに沿うように、実際の燃料圧力Prがフィードバック制御される。次に、ステップ3において、着座減速制御を行うべき運転領域か否かを判別する。これは、前述した第1実施例と同じく、図6に示す低速低負荷領域でのみ着座減速制御が実行される。 【0043】この領域外であれば、ステップ4へ進み、フラグを0にリセットするとともに、ステップ5で、コモンレール圧力Prと目標燃料噴射量Qとに基づいて、必要な通電時間τf0を、所定のマップから求める。 【0044】着座減速制御をすべき領域内であれば、ステップ6へ進み、フラグを1にセットするとともに、ステップ7で、コモンレール圧力Prと目標燃料噴射量Qとに基づいて、必要な通電時間τf1を決定し、かつコモンレール圧力Prに基づいて最適なリフト位置Ltを決定する。上記通電時間τf1は、やはり所定のマップから求められるが、着座減速制御を行う場合には、2度目の通電時間τgによって噴射終了間際に噴射される燃料量が増加するので、着座減速制御を行わない場合の通電時間τf0のマップとは異なる特性のマップが用いられる。なお、同一のマップから求めた値を、着座減速制御の有無に応じて補正するようにしてもよい。 【0045】図14は、電磁弁10の通電制御のルーチンを示しており、ステップ11でフラグの状態を判別し、フラグが0であれば、ステップ12へ進んで、τf0の期間だけ電磁弁10をONとする。これに対し、フラグが1であれば、ステップ13へ進んで、τf1の期間だけ電磁弁10をONとした後、ステップ14、ステップ15に進み、針弁4のリフト位置Lが上記の値Ltに低下するまで待機する。そして、Ltにまで低下したら、ステップ16へ進み、所定のτgの間、再びONとする。なお、この実施例においても、2度目の通電時間τgは、運転条件に拘わらず一定値となっている。 【0046】次に、図15に基づいて、2度目の通電を開始する最適なリフト位置Ltとコモンレール圧力Prとの関係について説明する。図15は、コモンレール圧力Prが低い場合(a)と高い場合(b)とで、針弁リフトとこれに最適な2度目の通電のタイミングとを示している。なお、これは、燃料噴射量が等しい場合の対比である。両者の対比から明らかなように、コモンレール圧力Prが高い方が、針弁4の応答性が高くなり、開弁方向への移動速度ならびに着座方向への移動速度がいずれも速くなる。そのため、仮に同一のリフト位置において2度目の通電を開始すると、コモンレール圧力Prが高い場合は、相対的に遅れがちとなる。 【0047】従って、最適なリフト位置Ltは、図16のようにコモンレール圧力Prが高いほど大きくなる。前述したステップ7では、この図16の特性に沿ったテーブルからコモンレール圧力Prに対応するリフト位置Ltの値が決定される。なお、燃料噴射量Qが変化しても針弁4のリフトの変化速度は変わらないので、その補正は不要である。 【0048】この第2実施例のようにリフト位置に基づいてタイミングを決定する構成では、針弁リフトセンサ17が必要となるが、その反面、充填オリフィス9や放出オリフィス11の製造誤差、電磁弁10の作動特性のばらつき、等の影響を受けない利点がある。 【0049】以上説明してきた実施例においては、放出オリフィス11を開閉するアクチュエータとして電磁弁10を用いているが、圧電素子を用いたもの、磁歪素子を用いたもの、など他の形式のアクチュエータでも同様に適用できることは言うまでもない。 【0050】また上記実施例では、背圧室8に充填オリフィス9と放出オリフィス11とを接続し、放出オリフィス11を電磁弁10で開閉する構成となっているが、例えば背圧室8に三方電磁弁を設け、コモンレール圧力Prの導入と低圧室12への開放とを切り換えるように構成することも可能である。 【0051】また、以上の実施例においては、ディーゼル機関における燃料噴射装置を例に挙げたが、内燃機関の燃料噴射装置として、火花点火機関に本発明を適用することもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月24日(2000.3.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062199 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−271720(P2001−271720A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月5日(2001.10.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−83103(P2000−83103) |
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