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【発明の名称】 インタンク式燃料ポンプ装置
【発明者】 【氏名】杉山 晴光

【要約】 【課題】インタンク式燃料ポンプ装置に接続される燃料タンク内外の燃料チューブに発生する静電気を、専用のアース回路を設けることなく簡単に放電できるようにする。

【解決手段】燃料タンク2の開口部2aに固設されるアッパプレート11及びアッパプレート11にインサート成形されたコネクタパイプ17を導電樹脂で形成し、更に電気コネクタ部14のアース端子15をアッパプレート11に接触させた状態でインサート成形すると共に、コネクタパイプ17の両端に接続される燃料チューブ8c,5aを導電樹脂で形成する。燃料が流通する際の摩擦により燃料チューブ8c,5a、コネクタパイプ17に発生する静電気は、コネクタパイプ17、アッパプレート11、アース端子15を経て燃料タンク2外へ放電される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料タンクに内装する燃料ポンプ及びタンク内部品を支持すると共に上記燃料タンクの開口部に取付けられるアッパプレートに、上記燃料タンク内外の燃料通路を接続するコネクタパイプと電気コネクタ部とを一体形成したインタンク式燃料ポンプ装置において、上記アッパプレートと上記コネクタパイプとを導電樹脂で形成すると共に、上記電気コネクタ部に設けられているアース端子を上記アッパプレートに接触させた状態で一体化したことを特徴とするインタンク式燃料ポンプ装置。
【請求項2】 上記電気コネクタ部に設けられている上記アース端子と他の端子とを電気絶縁体を介して一体化したことを特徴とする請求項1記載のインタンク式燃料ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料タンク内に燃料ポンプ及びタンク内部品を一体化して収容したインタンク式燃料ポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、燃料タンクに貯留されている燃料をインジェクタへ供給する燃料ポンプ、及びその周辺部品を一体化して、燃料タンクに収容するインタンク式燃料ポンプ装置が知られている。
【0003】このインタンク式燃料ポンプ装置は、構造の簡略化、及び製造コストの低減のために樹脂化が進められているが、これらを電気絶縁樹脂で構成すると、装置内を流通する燃料の摩擦等により発生した静電気が放電されることなく帯電されたままとなり、やがて絶縁耐力が限界に達し、沿面放電や絶縁破壊を引き起こし、燃料ポンプや周辺部品に損傷を与える可能性があるため、燃料ポンプ装置や、この燃料ポンプ装置に接続される燃料チューブを除電する技術が種々提案されている。
【0004】例えば特開平11−148433号公報には、燃料タンクの上部に設けられた開口部に装着されるアッパプレート(フランジ)に保持されているハウジングを導電樹脂で形成し、このハウジングに専用のアース端子を固設し、このアース端子と燃料ポンプとをリード線を用いて電気的に接続することで、燃料ポンプに帯電した静電気を燃料タンク外部に放電させる技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、静電気を放電するために専用のアース回路を設けることは、部品点数の増加を招き、製造、組立が煩雑化し、コストアップとなる問題がある。
【0006】又、アッパプレート(フランジ)に一体形成されている、燃料タンク内外の燃料通路を接続するコネクタパイプを電気絶縁樹脂で形成した場合、このコネクタパイプ及び、このコネクタパイプの上流と下流に接続される燃料チューブに発生する静電気を外部へ放電させるために、更に専用のアース回路を設けなければならず、製造、組立がより複雑化し、コストアップの要因となる。
【0007】従って、本発明の目的は、簡単な構造で、アッパプレートに設けられたコネクタパイプに接続する燃料通路に発生する静電気を、燃料タンクの外部へ簡単に放電させることの可能なインタンク式燃料ポンプ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明による第1のインタンク式燃料ポンプ装置は、燃料タンクに内装する燃料ポンプ及びタンク内部品を支持すると共に上記燃料タンクの開口部に取付けられるアッパプレートに、上記燃料タンク内外の燃料通路を接続するコネクタパイプと電気コネクタ部とを一体形成したインタンク式燃料ポンプ装置において、上記アッパプレートと上記コネクタパイプとを導電樹脂で形成すると共に、上記電気コネクタ部に設けられているアース端子を上記アッパプレートに接触させた状態で一体化したことを特徴とする。
【0009】このような構成では、燃料ポンプ及びタンク内部品を支持するアッパプレートと、このアッパプレートに一体形成されている燃料タンク内外の燃料通路を接続するコネクタパイプとを導電樹脂で形成すると共に、アッパプレートに対しアース端子を接触させた状態で一体化させたので、コネクタパイプ、及びこのコネクタパイプに接続される燃料タンク内外の燃料通路に発生する静電気は、コネクタパイプ、アッパプレート、アース端子を介して外部に放電される。
【0010】又、第2のインタンク式燃料ポンプ装置は、第1のインタンク式燃料ポンプ装置において、上記電気コネクタ部に設けられている上記アース端子と他の端子とを電気絶縁体を介して一体化したことを特徴とする。
【0011】このような構成では、電気コネクタ部に設けられているアース端子を他の端子と電気絶縁体を介して一体形成したので、構造が簡素化され、組立が容易となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1は燃料系の全体概略構成図、図2は燃料タンクの断面図、図3は図2のIII部拡大図である。
【0013】図1の符号1はエンジン、2は燃料タンクで、エンジン1の吸気ポートに臨まさているインジェクタ3と燃料タンク2に装着されているインタンク式燃料ポンプ装置4とが、燃料フィードライン5、及び燃料リターンライン6を介して連通されている。
【0014】燃料フィードライン5の途中にはフィルタ12が配置されている。更に、燃料フィードライン5は、プレッシャレギュレータ7、インジェクタ3を介してエンジン1に接続されている。インタンク式燃料ポンプ装置4に設けられている燃料ポンプ8にて吸引された燃料タンク2内の燃料は、フィルタ12を通って、プレッシャレギュレータ7により所定に調圧されてインジェクタ3からエンジン1の燃焼室へ供給され、余剰の燃料が、燃料リターンライン6を経て燃料タンク2へ戻される。
【0015】尚、符号9はエバポ通路であり、燃料タンク2内で発生する燃料蒸発ガスを、エバポ通路9の中途に介装したキャニスタ10に吸着させて一時貯留し、このキャニスタ10内の蒸発燃料ガスを所定運転条件下でエンジン1へ供給し、燃焼させる。
【0016】図2に示すように、インタンク式燃料ポンプ装置4は、燃料タンク2の上面に形成した開口部2aから燃料タンク2内に収容されており、このインタンク式燃料ポンプ装置4の上部に設けられたアッパプレート11が、開口部2aにガスケット(図示せず)を介して密着固定されている。
【0017】又、アッパプレート11から燃料タンク2内にブラケット(図示せず)が延出されており、このブラケットに燃料ポンプ8が固設されていると共に、リターン燃料を濾過するリターン側燃料フィルタ、燃料残量を検出するレベルセンサ等のタンク内部品が集約された状態で固設されている。
【0018】燃料ポンプ8は、その吸入口8aを燃料タンク2の底部に指向させた状態で配設されており、この吸入口8aにフィード側燃料フィルタ13が装着されている。
【0019】又、アッパプレート11には電気コネクタ部14が一体形成されており、この電気コネクタ部14に複数の導電端子15,16…がインサート成形されている。
【0020】アッパプレート11は、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂に、アルミニュウム合金、銅、黄銅、銀、ステンレス等の金属粉末や繊維、及びカーボン等の粉末や繊維等の導電材を混入した導電樹脂で形成したもので、このアッパプレート11に、フィード側コネクタパイプ17とリターン側コネクタパイプ23とがインサート成形されている。
【0021】このコネクタパイプ17は、アッパプレート11よりもやや融点の高い、例えばフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂に上述した導電材が混入されている導電樹脂を用いて、L字状に曲げ形成されており、その両端に抜け止め用突起部17aが環設されている。
【0022】又、電気コネクタ部14にインサート成形される各導電端子15,16は、耐熱ゴムなどの電気絶縁体19を介して予め一体成形されており、インサート成形の際には、その中の一本の導電端子15がアッパプレート11に接触された状態で一体化される。
【0023】アッパプレート11に接触された状態でインサート成形された導電端子15は、アース端子として機能し、燃料ポンプ8に設けられているアース端子8bにリード線20を介して接続されており、更に、このアース端子8bに燃料フィルタ13がリード線21を介して接続されている。又、図示しないレベルセンサ等のタンク内部品に設けられているアース端子もリード線を介して、上記アース端子15或いは8bに接続される。
【0024】電気コネクタ部14に設けられている他の導電端子16…は、燃料ポンプ8、レベルセンサ等にそれぞれリード線22を介して接続されている。
【0025】この電気コネクタ部14には、図示しない制御装置から延出する外部コネクタが接続され、各導電端子16…を介して、燃料ポンプ8、レベルセンサ等に必要な駆動用電源を供給すると共に、レベルセンサで検出した燃料残量信号を制御装置へ出力する。更に、アース端子15は外部コネクタに接続されているアース用リード線を介して車体、エンジン1等に接地される。
【0026】又、コネクタパイプ17の流入側に、燃料ポンプ8から延出する燃料チューブ8cが接続され、吐出側に燃料フィードライン5の上流端に配設されている燃料チューブ5aが接続されている。この両燃料チューブ8c,5aは、共に導電樹脂を素材に形成されている。
【0027】一方、フィード側コネクタパイプ23の流入側に、燃料リターンライン6の下流端側に配設されている導電樹脂で形成した燃料チューブ6aが接続される。尚、このフィード側コネクタパイプ23は、上述したコネクタパイプ17と同一の構成である。
【0028】このような構成によれば、インタンク式燃料ポンプ装置4を構成するアッパプレート11に対し、燃料フィードライン5と燃料リターンライン6とに各々接続される、コネクタパイプ17,23を別部品としてインサート成形したので、成形型の構造が簡素化され、成形が容易になる。
【0029】更に、このアッパプレート11の電気コネクタ部14に配設される複数の導電端子15,16…は、電気絶縁体19を介して予め一体成形されており、これらをアッパプレート11にインサート成形する際に、その中の一本を電気コネクタ部14に接触させることでアース端子15としたので、アッパプレート11の成形の際に、アース端子15とアッパプレート11とがアース接続されるため、その後の配線が不要となり、組み立て作業が容易になる。
【0030】その後、このアッパプレート11に燃料ポンプ8、燃料フィルタ13、及びレベルセンサ等の周辺部品を所定に組み付け、燃料ポンプ8から延出する燃料チューブ8cをアッパプレート11にインサート成形されているフィード側コネクタパイプ17の流入側に接続し、又この燃料ポンプ8に設けられているアース端子8bに燃料フィルタ13をリード線21を介して接続すると共に、このアース端子8bをアッパプレート11の電気コネクタ部14に設けられたアース端子15にリード線20を介して接続する。同様に、アースの必要な他の周辺部品もリード線を介して、アース端子15或いは8bに接続する。
【0031】そして、所定に完成された燃料ポンプ装置4を、燃料タンク2の上部に開口されている開口部2aから燃料タンク2内に収容し、アッパプレート11をガスケット(図示せず)を介して開口部2aに密着固定させる。
【0032】次いで、アッパプレート11から突出されていると共に、流入側に燃料ポンプ8から延出する燃料チューブ8cが接続されているフィード側コネクタパイプ17に燃料フィードライン5の上流端側の燃料チューブ5aを接続し、又、燃料リターンライン6の下流端側の燃料チューブ6aを、リターン側コネクタパイプ23に接続する。更に、電気コネクタ部14に、図示しない制御装置から延出する外部コネクタを接続する。
【0033】そして、イグニッションスイッチをONすると、制御装置からの通電により燃料ポンプ8が稼働し、燃料タンク2に貯留されている燃料が燃料フィルタ13を経て燃料ポンプ8の吸入口8aから吸入され、燃料フィードライン5側へ送られる。
【0034】次いで、エンジンを始動させると、気筒毎に配設されているインジェクタ3からプレッシャレギュレータ7により所定に調圧された燃料が噴射され、又、余剰の燃料は燃料リターンライン6を経て燃料タンク2へ戻される。
【0035】燃料が燃料ラインを流通する際に、この燃料の摩擦により、燃料ポンプ装置4の燃料フィルタ13、燃料ポンプ8、燃料チューブ8c、コネクタパイプ17,23等、及びコネクタパイプ17,23に接続する燃料チューブ5a,6a等、燃料との摩擦接触部位に静電気が発生する。
【0036】燃料ポンプ8、燃料フィルタ13等に発生した静電気は、リード線20,21から電気コネクタ部14に設けられたアース端子15を経て燃料タンク2の外部へ放電される。
【0037】又、各コネクタパイプ17,23に接続されている燃料チューブ8c,5a,6aに発生した静電気は、導電樹脂製のコネクタパイプ17,23を通り、アッパプレート11を経て、このアッパプレート11に接触されているアース端子15から燃料タンク2の外部に放電される。
【0038】このように、コネクタパイプ17,23、及びこのコネクタパイプ17,23に接続されている燃料チューブ8c,5a,6aを導電樹脂で形成し、更に、コネクタパイプ17,23をインサート成形するアッパプレート11を導電樹脂で形成すると共に、電気コネクタ部14に設けられている導電端子の一つをアッパプレート11に接触させた状態でインサート成形して、この導電端子をアース端子15としたので、コネクタパイプ17,23に接続する燃料チューブ8c,5a,6aで発生した静電気は、専用のアース回路を用いることなく、各々接続された構造体を経て燃料タンク2の外部へ放電されるので、構造が簡素化され、製造、組立が容易となり、しかもアースを取るためのリード線による配線が少なくなり、接触不良などの不良原因が低減され、耐久性の向上により、高い信頼性を得ることが出来る。
【0039】ところで、コネクタパイプ17,23は、図4に示すように導電樹脂製の内管25と、非導電樹脂製の外管26との二層構造とし、内管25の外周に、外管26から突出する突条部25aを所定間隔で形成し、この突条部25aを介して、燃料チューブ8c,5a,6a、及びアッパプレート11を電気的に導通させるようにしても良い。
【0040】この場合、図5に示すように、突条部25aを断続的に形成することで、外管26が突条部25aにより完全に分断されることなく、部分的に連続されるため、捻り、曲げなどに対する強度を増加させることが出来る。
【0041】更に、図6に示すように、突条部25aに代えて円筒形の突起部25bとすることで、強度をより一層増加させることが出来る。
【0042】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、燃料タンク内に収容されている燃料ポンプ等を支持するアッパプレートと、このアッパプレートに一体形成されている燃料タンク内外の燃料通路を接続するコネクタパイプとを導電樹脂で形成すると共に、アッパプレートとアース端子とを、このアッパプレートにアース端子を接触させた状態で一体化させたので、コネクタパイプ、及びこのコネクタパイプに接続される燃料タンク内外の燃料通路に発生する静電気は、コネクタパイプ、アッパプレート、アース端子を経て外部に放電させることができ、専用のアース回路を設ける必要が無く、構造が簡素化され、製造、組立が容易となる。
【0043】請求項2記載の発明によれば、アッパプレートに形成された電気コネクタ部に設けられているアース端子を他の端子と電気絶縁体を介して一体形成したので、製造、組立がより一層容易となる。
【出願人】 【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
【出願日】 平成12年3月27日(2000.3.27)
【代理人】 【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
【公開番号】 特開2001−271718(P2001−271718A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−86936(P2000−86936)