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【発明の名称】 燃料蒸気の放出抑制装置
【発明者】 【氏名】清宮 伸介

【氏名】木所 徹

【要約】 【課題】燃料蒸気の外部への放出を抑制しつつ、内燃機関の吸気抵抗の増大を抑制することのできる燃料蒸気の放出抑制装置を提供する。

【解決手段】燃料蒸気の放出抑制装置は、エンジン11の吸気通路32に設けられた開閉弁51と、開閉弁51を迂回するように吸気通路32に接続されるバイパス通路52と、バイパス通路52内に設けられた吸着材53とを備えている。そして、エンジン11の停止時には開閉弁51が閉じられるため、吸気通路32内の燃焼室16の近傍で発生する燃料蒸気が上流側に向かって流れる際、その流れが閉弁状態にあるスロットルバルブ23と開閉弁51との両方により抑制される。また、上流側に流れてバイパス通路52に入った燃料蒸気は吸着材53に吸着される。一方、エンジン11の運転中には、開閉弁51が開かれて同開閉弁51によるエンジン11の吸気抵抗の増大が抑制される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】内燃機関の停止時に内燃機関の吸気系に存在する燃料蒸気が外部に放出されるのを抑制する燃料蒸気の放出抑制装置において、内燃機関の吸気通路に同機関のスロットルバルブの他に、機関停止時に閉弁するとともに機関運転中の少なくとも機関高回転時に開弁する開閉弁を設けたことを特徴とする燃料蒸気の放出抑制装置。
【請求項2】請求項1記載の燃料蒸気の放出抑制装置において、前記開閉弁は、その閉弁時に内燃機関の吸気系での空気流通面積を所定値以下に制限するものであって、前記開閉弁が閉弁したときの空気の流通経路上に燃料蒸気を吸着する吸着材を設けたことを特徴とする燃料蒸気の放出抑制装置。
【請求項3】請求項2記載の燃料蒸気の放出抑制装置において、前記開閉弁は、その閉弁時に前記吸気通路での空気流通面積をほぼ「0」とするものであって、内燃機関の吸気系に前記開閉弁を迂回するとともに前記吸着材を備えるバイパス通路を設けたことを特徴とする燃料蒸気の放出抑制装置。
【請求項4】請求項1記載の燃料蒸気の放出抑制装置において、前記開閉弁は、その閉弁時に前記吸気通路での空気流通面積をほぼ「0」とするものであって、内燃機関の吸気系に前記開閉弁を迂回するバイパス通路を設け、このバイパス通路の空気流通面積を前記吸気通路の空気流通面積よりも小さくしたことを特徴する燃料蒸気の放出抑制装置。
【請求項5】請求項3又は4記載の燃料蒸気の放出抑制装置において、内燃機関の運転時に機関運転状態に基づき前記開閉弁の開度を制御する開度制御手段を更に備えることを特徴とする燃料蒸気の放出抑制装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料蒸気の放出抑制装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジン等の内燃機関においては、その機関停止時に例えば燃料噴射弁から吸気通路に漏れた燃料が蒸発するなどして、同吸気通路内に燃料蒸気が存在するようになる。この状態にあっては、燃料蒸気が吸気通路の上流側に向かって流れて同上流端から外部に放出されるおそれがあるため、例えば特開平11−82192号公報のように、吸気通路に燃料蒸気を吸着するための吸着材を設けることが考えられている。この場合、機関停止時に例えば燃料噴射弁付近で燃料蒸気が発生したとしても、その燃料蒸気が吸気通路の上流側に向かって流れる際に吸着材に吸着される。そのため、燃料蒸気が吸気通路(内燃機関の吸気系)の外部へ放出されることは抑制されるようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報のように吸気通路に吸着材を設けると、機関運転時(特に機関高回転時)に吸着材が吸気抵抗となって内燃機関のポンピングロスが増大し、機関出力の低下や燃費の悪化に繋がることとなる。
【0004】本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、燃料蒸気の外部への放出を抑制しつつ、内燃機関の吸気抵抗の増大を抑制することのできる燃料蒸気の放出抑制装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、内燃機関の停止時に内燃機関の吸気系に存在する燃料蒸気が外部に放出されるのを抑制する燃料蒸気の放出抑制装置において、内燃機関の吸気通路に同機関のスロットルバルブの他に、機関停止時に閉弁するとともに機関運転中の少なくとも機関高回転時に開弁する開閉弁を設けた。
【0006】同構成によれば、機関停止時に吸気通路内の燃料蒸気が上流端に向けて流れる際、その燃料蒸気の上流側への流れが閉弁状態にあるスロットルバルブと開閉弁との両方によって抑制され、これにより内燃機関の吸気系から外部への燃料蒸気の放出が抑制される。また、機関運転時にあって、少なくとも機関高回転時には開閉弁が開弁するため、同開閉弁の閉弁による吸気抵抗の増大が抑制される。従って、燃料蒸気が内燃機関の吸気系から外部に放出されるのを抑制しつつ、内燃機関の吸気抵抗を抑制することができる。
【0007】なお、上記開閉弁としては、その閉弁時に内燃機関の吸気系での空気流通面積をほぼ「0」とするものを採用することができ、この場合には機関運転中に開閉弁を開弁させることとなる。また、開閉弁として、その閉弁時に吸気系での空気流通面積を「0」よりも大きい所定値以下に制限するものを採用することもでき、この場合には上記開閉弁を機関低回転時に閉弁状態としてもよい。
【0008】請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記開閉弁は、その閉弁時に内燃機関の吸気系での空気流通面積を所定値以下に制限するものであって、前記開閉弁が閉弁したときの空気の流通経路上に燃料蒸気を吸着する吸着材を設けた。
【0009】同構成によれば、機関停止時に吸気通路内の燃料蒸気が上流端に向かって流れると、その燃料蒸気が開閉弁の閉弁時におけるの空気の流通経路を通る際に吸着材に吸着されるため、内燃機関の吸気系から外部への燃料蒸気の放出を的確に抑制することができる。
【0010】請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記開閉弁は、その閉弁時に前記吸気通路での空気流通面積をほぼ「0」とするものであって、内燃機関の吸気系に前記開閉弁を迂回するとともに前記吸着材を備えるバイパス通路を設けた。
【0011】同構成によれば、機関停止時に吸気通路内の燃料蒸気が上流端に向かって流れると、この燃料蒸気は開閉弁が閉じているためにバイパス通路内に入る。そして、バイパス通路内にて燃料蒸気が吸着材に吸着されるため、内燃機関の吸気系から外部への燃料蒸気の放出を的確に抑制することができる。
【0012】請求項4記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記開閉弁は、その閉弁時に前記吸気通路での空気流通面積をほぼ「0」とするものであって、内燃機関の吸気系に前記開閉弁を迂回するバイパス通路を設け、このバイパス通路の空気流通面積を前記吸気通路の空気流通面積よりも小さくした。
【0013】同構成によれば、機関停止時に吸気通路内の燃料蒸気が上流端に向かって流れる際、その燃料蒸気がバイパス通路を通過しにくくなるため、内燃機関の吸気系から外部への燃料蒸気の放出を的確に抑制することができる。
【0014】請求項5記載の発明では、請求項3又は4記載の発明において、内燃機関の運転時に機関運転状態に基づき前記開閉弁の開度を制御する開度制御手段を更に備えた。
【0015】吸着材に吸着された燃料蒸気は、機関運転時にバイパス通路を通過して下流側に流れる空気により燃焼室に運ばれて処理される。そのため、機関運転時に開閉弁を閉じ側に制御すると、バイパス通路を通る空気の量が増加して吸着材から燃焼室に運ばれる燃料量が増加し、同吸着材の浄化が進むこととなる。機関運転状態に応じて開閉弁の開度が制御される同構成によれば、吸着材から燃焼室に過度に燃料蒸気が運ばれて燃焼状態が悪化しないように、且つ開閉弁による吸気抵抗が過度に増加しないように同開閉弁の開度を制御して吸着材の浄化を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を自動車用のガソリンエンジンに適用した第1実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0017】図1に示すように、エンジン11においては、そのピストン12がコネクティングロッド13を介してクランクシャフト14に連結され、同ピストン12の往復移動がコネクティングロッド13によってクランクシャフト14の回転へと変換される。クランクシャフト14には複数の突起14bを備えたシグナルロータ14aが取り付けられている。そして、シグナルロータ14aの側方には、クランクシャフト14が回転する際に上記各突起14bに対応してパルス状の信号を出力するクランクポジションセンサ14cが設けられている。
【0018】エンジン11の吸気系及び排気系には、燃焼室16に接続される吸気通路32及び排気通路33が設けられている。そして、エンジン11の吸気系において、吸気通路32にはエンジン11の吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ23設けられている。このスロットルバルブ23の開度はスロットルポジションセンサ44によって検出される。また、吸気通路32においてスロットルバルブ23の下流側に位置する部分には、吸気通路32内の圧力を検出するバキュームセンサ36が設けられている。なお、バキュームセンサ36の代わりに、エンジン11の吸入空気量を検出するエアフローメータを設けてもよい。
【0019】エンジン11には、吸気通路32内において燃焼室16に近い部分に燃料を噴射供給する燃料噴射弁40が設けられている。この燃料噴射弁40には所定の圧力で燃料が送り込まれている。そして、燃料噴射弁40から吸気通路32に燃料が噴射されると、この燃料と吸気通路32から燃焼室16内に吸入される空気とによって混合気が形成される。その後、混合気は燃焼室16に充填された状態で点火プラグ41によって点火がなされて燃焼し、このときの燃焼エネルギによってエンジン11が駆動される。また、燃焼後の混合気は排気として排気通路33に送り出される。
【0020】ところで、エンジン11の運転が停止された直後には燃料噴射弁40に燃料の圧力が働いた状態が維持され、この燃料の圧力によって僅かながら燃料噴射弁40から吸気通路32に燃料が漏れることとなる。ここで、エンジン11の停止直後からの時間経過に伴う燃料噴射弁40から吸気通路32への燃料の総漏れ量の推移を図2に示す。図2において、エンジン停止直後からの所定時間t1は、上記のような燃料漏れが生じる燃料圧力が燃料噴射弁40に働いている期間を表すものである。そのため、エンジン停止直後から所定時間t1の間は燃料が漏れ続けて上記燃料の総漏れ量が徐々に増加し、所定時間t1の経過後には上記燃料の総漏れ量が一定値をとることになる。
【0021】また、エンジン11の運転停止直後は機関温度が高いため、燃料噴射弁40から吸気通路32に漏れた燃料の蒸発量が多く、吸気通路32内で多量の燃料蒸気が生成されることとなる。ここで、エンジン11の停止直後からの時間経過に伴う吸気通路32内の燃料蒸気の濃度の推移を図3に示す。図3において、エンジン停止直後からの所定時間t2は、機関温度が所定の値(例えば40℃〜45℃)まで低下するのに要する時間を表すものである。そして、エンジン停止直後から所定時間t2までの間は上記燃料蒸気の濃度が徐々に増加し、所定時間t2の経過後には上記燃料蒸気の濃度が徐々に減少するようになる。
【0022】このようにエンジン11の停止直後から所定時間の間は、燃料噴射弁40から吸気通路32に燃料漏れるとともに、機関温度が比較的高いために上記燃料が蒸発し易くなる。その結果、吸気通路32内の燃料蒸気が急増することとなり、燃料蒸気が吸気通路32の上流端に向かって流れ、同上流端から外部に放出されるおそれがある。こうした燃料蒸気の外部への放出を抑制するため、吸気通路32に燃料蒸気を吸着するための吸着材を設けることも考えられる。しかしこの場合、吸着材が吸気抵抗となってエンジン11のポンピングロスが増大し、エンジン出力の低下や燃費の悪化という弊害を招くこととなる。
【0023】そこで本実施形態では、エンジン11の吸気抵抗を増大させることなく、エンジン11の吸気系から外部への燃料蒸気の放出を抑制することが可能な燃料蒸気の放出抑制装置が設けられる。
【0024】この放出抑制装置は、吸気通路32内においてスロットルバルブ23よりも上流側の位置に設けられてモータ54により開閉制御される開閉弁51と、この開閉弁51を迂回するように吸気通路32における同開閉弁51の上流側及び下流側に接続されるバイパス通路52と、このバイパス通路52内に設けられた活性炭等からなる吸着材53とを備えている。
【0025】上記開閉弁51は、その閉弁時の気密性がスロットルバルブ23における閉弁時の気密性よりも高くなり、且つ吸気通路32の空気流通面積がほぼ「0」となるとなるよう設計され、開閉弁51と吸気通路32の内面との間で空気の流通がほどんど生じないようにされる。そして、エンジン11の吸気系での空気流通面積は、開閉弁51の開弁時には吸気通路32での空気流通面積とバイパス通路52での空気流通面積を合計した値になり、開閉弁51の閉弁時にはバイパス通路52での空気流通面積と等しい値になる。従って、エンジン11の吸気系での空気流通面積は、開閉弁が閉弁することにより所定値以下、即ちバイパス通路52での空気流通面積以下に制限されることとなる。
【0026】また、放出抑制装置は、エンジン11を運転制御するための電子制御ユニット(以下、ECUという)92を備えている。このECU92は、ROM、CPU、RAM、及びバックアップRAM等を備える算術論理演算回路として構成されている。そして、ECU92には、クランクポジションセンサ14c、バキュームセンサ36、スロットルポジションセンサ44、及びモータ54等が接続されている。
【0027】このように構成されたECU92は、エンジン11が停止されたときにモータ54を駆動制御して開閉弁51を閉弁する。エンジン11の停止直後には、燃料噴射弁40からの燃料漏れに伴い吸気通路32における燃焼室16の近傍に位置する部分で燃料蒸気が発生し、この燃料蒸気が吸気通路32の上流側へ向かって流れるようになる。燃料蒸気の上流側への流れは、閉弁状態にあるスロットルバルブ23と開閉弁51との両方により抑制される。また、開閉弁51が閉じた状態にあっては、燃料蒸気が吸気通路32の上流側に流れる際にバイパス通路52内に入り、このバイパス通路52内で吸着材53に吸着される。そのため、エンジン11の停止後に、燃料蒸気が吸気通路32の上流端から外部に放出されることは抑制される。
【0028】エンジン11の停止状態にあって、エンジン11が始動されて運転開始されると、吸気通路32内の空気が燃焼室16に吸入されることとなる。そして、エンジン11の始動直後の運転中においては、ECU92は、モータ54を駆動制御して開閉弁51を全開にし、開閉弁51によってエンジン11の吸気抵抗が増大するのを抑制する。開閉弁51が全開のときには、空気がバイパス通路52を通過して燃焼室16側に流れることはほとんどなく、燃焼室16に吸入される空気のほとんどが吸気通路32のみを通過するようになる。
【0029】エンジン11の始動開始後には吸気通路32内の空気が燃焼室16に吸入されるが、エンジン11の停止時に吸気通路32内を上流側へ流れようとする燃料蒸気が吸着材53に吸着されることから、エンジン11の始動時に空気とともに燃焼室16に吸入される燃料蒸気は低減される。従って、エンジン11の始動時に空気とともに燃料蒸気が燃焼室16に吸入され、この燃料蒸気によって燃焼室16内の混合気の空燃比が適正値からずれ、同混合気の燃焼状態が悪化するのを抑制することができる。
【0030】また、エンジン11の運転中においては、吸着材53に吸着された燃料蒸気がエンジン11の運転中にバイパス通路52を通過して下流側に流れる空気により燃焼室16に運ばれて処理される。従って、バイパス通路52を通過する空気の量が多くなるほど、吸着材53から燃焼室16に運ばれる燃料量が増加し、吸着材53の浄化が進むようになる。エンジン11の運転中にバイパス通路52を通過する空気量は、開閉弁51の開度を調節することによって変更される。
【0031】ECU92は、エンジン回転数NE、吸気圧PM、及びスロットル開度TAなど、エンジン11の運転状態に応じて開閉弁51の開度を調節する。即ち、ECU92は、クランクポジションセンサ14cからの検出信号に基づき求めらるエンジン回転数NEと、バキュームセンサ36からの検出信号に基づき求められる吸気圧PMとから、機関負荷(一回の燃焼サイクル中に燃焼室16に吸入されるガスの量)を算出する。そして、この機関負荷とスロットルポジションセンサ44からの検出信号に基づき求められるスロットル開度TA等に基づきモータ54を駆動制御し、開閉弁51の開度を調節する。
【0032】こうして調節される開閉弁51の開度は、吸着材53から燃焼室16に過度に燃料が運ばれて燃焼状態が悪化することがなく、且つ開閉弁51によるエンジン11の吸気抵抗が過度に増加しない値となる。そして、エンジン11の運転状態が高負荷領域内のやや低負荷側に位置する状態であって、スロットル開度TAが全開よりも若干閉じ側の値のときには、開閉弁51の開度が全開よりもやや閉じ側の開度とされる。こうした開閉弁51の開度制御により、燃焼状態の悪化や吸気抵抗の増加を招くことなく吸着材53の浄化が図られる。
【0033】以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)エンジン11の停止直後には、燃料噴射弁40からの燃料漏れに伴い吸気通路32における燃焼室16の近傍に位置する部分で燃料蒸気が発生し、この燃料蒸気が吸気通路32の上流側へ向かって流れるようになる。しかし、この燃料蒸気の上流側への流れは、閉弁状態にあるスロットルバルブ23と開閉弁51との両方により抑制される。また、エンジン11の停止時には開閉弁51が閉じた状態にあることから、燃料蒸気が吸気通路32の上流側に流れる際にバイパス通路52内に入り、このバイパス通路52内にて吸着材53に吸着される。そのため、エンジン11の停止後に、燃料蒸気が吸気通路32の上流端から外部に放出されることは抑制される。一方、エンジン11の運転中には、開閉弁51が開かれるため、開閉弁51によるエンジン11の吸気抵抗の増大が抑制される。従って、エンジン11の停止時に燃料蒸気が吸気通路32から外部へ放出されるのを抑制しつつ、エンジン11の運転時に開閉弁51によって吸気抵抗が増大するのを抑制することができる。
【0034】(2)エンジン11の停止時に吸気通路32内を上流側へ流れようとする燃料蒸気が吸着材53に吸着されることから、エンジン11の始動時に吸気通路32内の空気が燃焼室16に吸入される際、この空気とともに燃料蒸気が燃焼室16に吸入されるのを低減することができる。従って、エンジン11の始動時に空気とともに燃料蒸気が燃焼室16に吸入され、この燃料蒸気によって燃焼室16内の混合気の空燃比が適正値からずれ、同混合気の燃焼状態が悪化するのを抑制することができる。
【0035】(3)エンジン11の運転中においては、エンジン回転数NE、吸気圧PM、及びスロットル開度TAなど、エンジン11の運転状態に応じて開閉弁51の開度が調節され、バイパス通路52を通過して吸着材53から燃焼室16に燃料蒸気を運ぶ空気の量が調整される。上記のようなエンジン11の運転状態に基づく開閉弁51の開度制御により、同開閉弁51の開度は、吸着材53から燃焼室16に過度に燃料が運ばれて燃焼状態が悪化することがなく、且つ開閉弁51によるエンジン11の吸気抵抗が過度に増加しない値となる。そして、エンジン11の運転状態が高負荷領域内のやや低負荷側に位置する状態であって、スロットル開度TAが全開よりも若干閉じ側の値のときには、開閉弁51の開度が全開よりもやや閉じ側の開度とされる。こうした開閉弁51の開度制御により、燃焼状態の悪化や吸気抵抗の増加を招くことなく吸着材53の浄化が図られる。
【0036】(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態を図4に基づき説明する。この本実施形態は、バイパス通路に吸着材を設けずに、機関停止時に開閉弁を閉じてエンジン吸気系の空気流通面積を所定値以下に制限することで、当該吸気系から外部への蒸発燃料の放出を抑制するものである。また、この実施形態では、開閉弁を駆動するための機構やバイパス通路の配置構造等が第1実施形態と異なっている。
【0037】図4は、本実施形態の放出抑制装置が設けられるエンジン11の吸気系を示す概略図である。本実施形態の放出抑制装置においては、そのバイパス通路52が図4に示されるように吸気通路32内の開閉弁51に対応する部分に設けられている。バイパス通路52は、その空気流通面積が上記吸気通路32の空気流通面積よりも小さくなくよう形成されている。
【0038】そして、エンジン停止後における開閉弁51の閉弁時には、同開閉弁51と吸気通路32の内面との間の空気流通面積がほぼ「0」になり、バイパス通路52を介してのみ空気の流通が許容されることから、エンジン11の吸気系での空気流通面積が所定値以下(バイパス通路52の空気流通面積以下)に制限される。この状態にあっては、吸気通路32内の燃料蒸気が吸気通路32の上流に向かって流れようとする際、その燃料蒸気の上流側への流れが開弁状態にあるスロットルバルブ23と開閉弁51との両方によって抑制される。そのため、吸気通路32の上流端から外部への燃料蒸気の放出が抑制されるようになる。
【0039】また、吸気通路32において、バイパス通路52の下流に対応する位置には吸入空気量を検出するためのエアフローメータ37が設けられている。このエアフローメータ37は、第1実施形態のバキュームセンサ36(図1)の代わりに設けられるものであり、エンジン11の吸入空気量を検出してそれに対応する検出信号をECU92に出力する。そして、開閉弁51の閉弁時には、エアフローメータ37がバイパス通路52の近傍に設けられていることから、同バイパス通路52を通過する空気がエアフローメータ37も通過するようになる。
【0040】次に、開閉弁51を開閉駆動するための構造について説明する。開閉弁51は、第1実施形態のようなモータ54ではなく、吸気通路32におけるスロットルバルブ23の下流側で発生する負圧を利用して作動するアクチュエータ71により開閉駆動される。
【0041】同アクチュエータ71は、そのハウジング72内を大気室73と負圧室74とに区画する弾性体よりなるダイヤフラム75と、同ダイヤフラム75と開閉弁51とを繋ぐロッド76とを備えている。また、アクチュエータ71において、大気室73はハウジング72外に開放されており、負圧室74は負圧通路77を介してバキュームタンク78に連通している。このバキュームタンク78は、チェック弁79aが設けられた吸引通路79を介して、エンジン11の吸気通路32におけるスロットルバルブ23の下流側に連通している。上記チェック弁79aは吸気通路32からバキュームタンク78への空気の逆流を防ぐためのものであり、同チェック弁79aによりバキュームタンク78内の圧力が大気圧よりも真空側の値に保持される。
【0042】また、上記負圧通路77には、バキュームスイッチングバルブ(VSV)61が設けられている。このVSV61は、電磁ソレノイド(図示せず)を備えており、ECU92に接続されている。そして、ECU92が電磁ソレノイドに対する電圧印加を制御することでVSV61が動作し、負圧室74がバキュームタンク78若しくは大気と連通するようになる。エンジン11の運転中にVSV61の動作により、負圧室74がバキュームタンク78と連通すると、同タンク78内の負圧に基づき負圧室74から空気が吸引される。これにより、ダイヤフラム75が自身の弾性力に抗してロッド76を突出させる方向に変位し、このロッド76の突出に基づき開閉弁51が開弁するようになる。また、VSV61の動作により負圧室74が大気と連通すると、ダイヤフラム75が自身の弾性力によりロッド76を没入させる方向に変位し、このロッド76の没入に基づき開閉弁51が閉弁するようになる。
【0043】ECU92は、エンジン11が停止されたときにVSV61を制御して開閉弁51を閉じ、エンジン11の停止後に吸気通路32の上流端から外部に燃料蒸気が放出されるのを抑制する。また、エンジン11の運転中においては、ECU92は、エンジン回転数NEに基づきVSV61を制御して開閉弁51の開閉状態を制御する。
【0044】即ち、ECU92は、エンジン回転数NEが例えばアイドル回転数よりも高い所定回転数以上であるとき、VSV61を制御して開閉弁51を開弁状態とし、開閉弁51の閉弁に伴うエンジン11の吸気抵抗を低減する。また、ECU92は、エンジン回転数NEがアイドル回転など低回転であるときには、VSV61を制御して開閉弁51を閉弁状態とし、燃焼室16に吸入される空気がバイパス通路52を通過するようにする。このようにバイパス通路52を通過する空気は、吸気通路32においてバイパス通路52の下流側に対応した位置にあるエアフローメータ37も通過する。
【0045】エアフローメータ37を通過する空気の流速は、エンジン回転数NEが一定である条件下では、開閉弁51が開いてエンジン11の吸気系での空気流通面積が大であるときよりも、同開閉弁51が閉じてエンジン11の吸気系での空気流通面積が小になるときの方が高くなる。エアフローメータ37においては、自身を通過する空気の流速が低いときには同流速が高いときに比べ、吸入空気量の検出精度が低下する傾向にある。しかし、エンジン低回転時といった空気の流速が低くなるときには、開閉弁51を閉じてエンジン11の吸気系での空気流通面積を小さくし、上記空気がバイパス通路52のみを通過するようにすることで同空気の流速が高められる。更に、エアフローメータ37をバイパス通路52の下流側に設けることで、上記のように流速の高められた空気がエアフローメータ37を通過するようになる。従って、エンジン11の低回転時においても、エアフローメータ37を通過する空気の流速が吸入空気量の検出精度を確保可能な値に維持されるようになる。
【0046】以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(4)エンジン11の停止後に吸気通路32内に存在する燃料蒸気が上流側へ向かって流れる際、その燃料蒸気の上流側への流れが閉弁状態にあるスロットルバルブ23と開閉弁51との両方によって抑制される。そのため、エンジン11の停止後に、吸気通路32の上流端から外部へと燃料蒸気が放出されるのを抑制することができる。また、エンジン11の運転中にあって、エンジン回転数NEがアイドル回転数よりも高い所定回転数以上のときには開閉弁51が開弁されるため、開閉弁51によるエンジン11の吸気抵抗の増大を抑制することができる。
【0047】(5)バイパス通路52の空気流通面積は吸気通路32の空気流通面積よりも小さいため、エンジン11の停止後に吸気通路32内の燃料蒸気が上流側に流れる際、その燃料蒸気がバイパス通路52を通過しにくくなり、吸気通路32の上流端から外部への燃料蒸気の放出を一層的確に抑制することができる。
【0048】(6)エンジン低回転時に開閉弁51を閉弁するとともにエアフローメータ37をバイパス通路52の下流に対応する位置に設けることで、エンジン11の低回転時においてもエアフローメータ37を通過する空気の流速が吸入空気量の検出精度を確保可能な値に維持される。従って、エアフローメータ37からの検出信号に基づき求められるエンジン11の吸入空気量を正確なものとし、その吸入空気量に基づく各種制御を適切に行うことができるようになる。
【0049】なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1実施形態では、エンジン11の運転中における開閉弁51の開度をエンジン11の運転状態に応じて調節したが、こうした開閉弁51の開度調節を必ずしも行う必要はない。例えば、エンジン11の運転中には開閉弁51を常に全開となるようにし、この開閉弁51の全開状態にあってバイパス通路52を通過する空気により吸着材53の浄化を図ってもよい。
【0050】・上記のようにエンジン11の運転中に開閉弁51を常に全開とする場合、開閉弁51をモータ54によって駆動する代わりに、例えば吸気通路32内で発生する負圧を利用して作動される負圧式アクチュエータで上記開閉弁51を開閉駆動するようにしてもよい。この場合、高価なモータ54を用いなくてもよい分、放出抑制装置にかかるコストを低く抑えることができる。
【0051】・第1実施形態において、必ずしもバイパス通路52に吸着材53を設ける必要はない。この吸着材53を省略したとしても、開閉弁51を閉弁することによりエンジン11の吸気系での空気流通面積が減少し、吸気通路32内を上流側へ向かって流れる燃料蒸気の流れが閉弁状態にあるスロットルバルブ23と開閉弁51との両方によって抑制される。従って、エンジン11の停止後に吸気通路32の上流端から外部に燃料蒸気が放出されるのを抑制することができるようになる。
【0052】・第2実施形態において、バイパス通路52に図4に二点鎖線で示すように吸着材を設けてもよい。この場合、エンジン11の停止時に吸気通路32内の燃料蒸気が上流側に流れてバイパス通路52を通過しようとする際に吸着材80に吸着されるため、吸気通路32の上流端から外部への燃料蒸気の放出を一層的確に抑制することができる。
【0053】・第2実施形態において、エンジン11の低回転時に必ずしも開閉弁51を閉弁する必要はない。
・第2実施形態において、バイパス通路52の空気流通面積を必ずしも吸気通路32の空気流通面積よりも小さくする必要はない。
【0054】・第2実施形態において、開閉弁51の開閉制御をアクチュエータ71によって行う代わりに第1実施形態のようにモータで行ってもよい。この場合、エンジン11の運転状態に応じて開閉弁51の開度を調整することが可能になる。
【0055】・上記各実施形態において、必ずしもバイパス通路52を設ける必要はなく、開閉弁51を閉弁することによりエンジン11の停止後における吸気通路32の上流端から外部への燃料蒸気の放出を抑制してもよい。この場合、開閉弁51の閉弁時に同開閉弁51と吸気通路32の内面との間の空気流通面積がほぼ「0」となるようにしてもよいし、「0」よりも大きい所定値となるようにしてもよい。なお、上記空気流通面積をほぼ「0」とする場合には、開閉弁51をエンジン停止時に閉弁するとともにエンジン運転時に開弁することとなる。また、上記空気流通面積を「0」よりも大きい所定値とする場合には、開閉弁51をエンジン停止時及びエンジン運転中の低回転時時に閉弁するとともに、この低回転時よりも高い回転数のときに開弁することが可能である。
【0056】・上記各実施形態では、エンジン11の停止時に吸気通路32内で発生する燃料蒸気として、燃料噴射弁40から漏れた燃料によって発生する燃料蒸気を例示したが、これ以外の燃料蒸気も放出抑制装置により外部への放出が抑制される。即ち、エンジン11には、燃焼室16からクランクケース内に漏れる混合気を吸気通路に戻すブローバイガス還元装置が設けられる場合がある。また、燃料タンク等の燃料供給系で発生する燃料蒸気を一旦捕集した後、この捕集した燃料蒸気をエンジン11の運転中に吸気通路32に送り出して処理する蒸発燃料処理装置が設けられる場合もある。そして、エンジン11の停止中にブローバイガス還元装置や蒸発燃料処理装置から吸気通路32に燃料(燃料蒸気)が漏れ、これが吸気通路32の上流側に向かって流れることもあるが、こうした燃料蒸気の外部への放出も放出抑制装置によって抑制される。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年9月5日(2000.9.5)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【公開番号】 特開2001−271717(P2001−271717A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−268714(P2000−268714)