| 【発明の名称】 |
燃料噴射弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】望月 孝一
【氏名】沢田 行雄
【氏名】浅井 悟
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| 【要約】 |
【課題】燃料噴射弁の噴霧の均質性と噴き始めの噴霧粒径を改善する。
【解決手段】バルブボディ14の先端部に、該ニードルバルブ14によって開閉される椀状の燃料噴射室19を形成し、この燃料噴射室19の底面中心部に噴射孔20を斜め方向に形成する。ニードルバルブ14の下端中心部に、下向きに突出する円柱状の突起部22を形成することで、燃料噴射室19から噴射孔20の入口に燃料が相対的に流入しやすい部分(A部)では、燃料通過断面積が小さくなって燃料の流入が制限され、その反対に、燃料が相対的に流入しにくい部分(B部)では、燃料通過断面積が大きくなり、燃料の流入があまり制限されない。その結果、噴射孔20の入口での燃料の流入流量分布が均等化され、燃料噴霧が均質化される。しかも、噴射停止後に燃料噴射室19内に残留する燃料が突起部22によって減少して、噴き始めの燃料の霧化状態の悪化が抑えられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ニードルバルブを収納したバルブボディの先端部に、該ニードルバルブによって開閉される燃料噴射室を形成すると共に、該燃料噴射室の底部に斜め方向に噴射孔を形成し、前記ニードルバルブの開弁時に前記バルブボディ内に圧送されてくる燃料を前記燃料噴射室内に渦巻状に流入させて前記噴射孔から噴射する燃料噴射弁において、前記ニードルバルブの先端中心部に、前記燃料噴射室内に突出する突起部を形成したことを特徴とする燃料噴射弁。 【請求項2】 前記噴射孔の位置を、前記燃料噴射室の底面中心に対して、該噴射孔の傾斜方向から燃料の旋回方向に90°回転させた方向にオフセットさせたことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、バルブボディ内を流れる燃料の流れを旋回流(スワール流)にして噴射する燃料噴射弁に関するものである。 【0002】 【従来の技術】最近、低燃費、低エミッション、高出力化を狙って、燃料を直接エンジンシリンダ内に噴射する筒内噴射(直噴)式のエンジンが実用化されている。この筒内噴射式エンジンに用いる燃料噴射弁では、図4及び図5に示すように、ニードルバルブ1を収納したバルブボディ2の先端部に、該ニードルバルブ2によって開閉される椀状の燃料噴射室3を形成し、高圧燃料ポンプ(図示せず)から圧送されてくる燃料を燃料噴射室3内に渦巻状に流入させて、燃料の運動エネルギを高めると共に、燃料噴射室3内で旋回する燃料の旋回エネルギが最大になる燃料噴射室3の底面中心部に噴射孔4を斜め方向に形成して、燃料の旋回エネルギを燃料の霧化に有効に利用するようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】この種の燃料噴射弁は、燃料噴射室3の底面中心部に形成する噴射孔4の向きを燃料噴射室3の軸心(ニードルバルブ2の軸心)に対して傾斜させ、その傾斜角度αを変えることで噴射方向を自由に設定できるようにしている。しかし、噴射孔4の向きを傾斜させると、燃料噴射室3の内周面から噴射孔4の入口への燃料流入角度が位置によって大きく変化し、燃料噴射室3の内周面から噴射孔4の内周面への屈曲角度の小さいC部の方がその反対側に位置する屈曲角度の大きいD部よりも燃料が流入しやすくなるため、噴射孔4の入口での燃料の流入流量分布に偏りを生じる。この燃料の流入流量分布の偏りは、噴射孔4内を燃料が旋回しながら流れる過程で、燃料自身の粘性によって、ある程度は修正されるが、この偏りを完全には修正できない。従って、噴射孔4の入口での燃料の流入流量分布の偏りが残ったまま噴射孔4の出口から燃料が噴射されることになり、これが原因で、燃料の噴霧が不均質になる傾向があった。一般に、噴射孔4の傾斜角度αが大きくなるほど、また、燃料噴霧の広がり角度θが大きくなるほど、燃料噴霧の不均質さが顕著になり、燃焼性が低下する。 【0004】また、噴射停止後に燃料噴射室3内に表面張力で残った燃料は、次の噴射開始時に最初に噴き出されるが、燃料噴射室3内に残った燃料は旋回エネルギを持たないため、噴き始めの燃料の霧化(微粒化)状態が悪化して、噴き始めの噴霧粒径が大きくなる傾向があり、これも燃焼性を低下させる原因となっていた。 【0005】本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、燃料噴霧の均質性と噴き始めの噴霧粒径を改善して、燃焼性を向上できる燃料噴射弁を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の請求項1の燃料噴射弁は、ニードルバルブの先端中心部に、燃料噴射室内に突出する突起部を形成したものである。この構成では、ニードルバルブ先端の突起部によって燃料噴射室から噴射孔の入口への燃料通路が環状となるが、ニードルバルブの軸心(突起部の軸心)に対して噴射孔の向きが傾斜しているため、燃料噴射室から噴射孔の入口への燃料通過断面積が突起部の周囲で均等とならず、突起部の周囲で燃料通過断面積が小さくなる部分と大きくなる部分が生じる。つまり、図2に示すように、燃料噴射室の内周面から噴射孔の内周面への屈曲角度が小さい部分(A部)では、燃料通過断面積が小さくなり、その反対側に位置する、燃料噴射室の内周面から噴射孔の内周面への屈曲角度が大きい部分(B部)では、燃料通過断面積が大きくなる。これにより、燃料噴射室から噴射孔の入口に燃料が相対的に流入しやすい部分(A部)では、燃料通過断面積が小さくなって燃料の流入が制限され、その反対に、燃料が相対的に流入しにくい部分(B部)では、燃料通過断面積が大きくなり、燃料の流入があまり制限されない。その結果、噴射孔の入口での燃料の流入流量分布が均等化され、燃料噴霧が均質化される。 【0007】しかも、ニードルバルブ先端の突起部によって燃料噴射室の容積が減少するため、従来と比較して、噴射停止後に燃料噴射室内に残留する燃料(噴き始めの旋回エネルギを持たない燃料)が減少して、噴き始めの燃料の霧化(微粒化)状態の悪化が抑えられ、噴き始めの噴霧粒径が従来より小さくなり、上述した噴霧の均質化と相俟って、燃焼性が向上する。 【0008】更に、請求項2のように、噴射孔の位置を、燃料噴射室の底面中心に対して、該噴射孔の傾斜方向から燃料の旋回方向に90°回転させた方向にオフセットさせた構成としても良い。つまり、燃料噴射室の底面の中心に噴射孔を形成した場合には、噴射孔の傾斜方向から燃料の旋回方向に90°回転させた方向の燃料通過断面積と、その反対側に位置する270°回転させた方向の燃料通過断面積とが同一になるが、噴射孔の入口での燃料の流入流量分布は、旋回流と噴射孔の傾斜角度との関係によって、90°の位置の方が270°の位置よりも流入流量が少なくなる傾向がある。従って、噴射孔の位置を90°の方向にオフセットさせれば、ニードルバルブ先端の突起部のみでは修正できない方向の燃料通過断面積も適正に修正することができ、前述した突起部の効果と相俟って、燃料噴霧の均質性を更に向上できる。 【0009】 【発明の実施の形態】[実施形態(1)]以下、本発明の実施形態(1)を図1及び図2に基づいて説明する。燃料噴射弁のバルブボディ11内の下部には、筒状のスワーラ12が圧入固定され、このスワーラ12の内径部に筒状の摺動部材13が嵌着され、この摺動部材13の内径部にニードルバルブ14の下部が上下方向に摺動可能に挿通支持されている。そして、スワーラ12の外周部には、燃料を下方に導く燃料導入溝(図示せず)と、この燃料導入溝に連通する環状溝15が形成されている。このスワーラ12には、環状溝15からスワーラ12内周側のスワール室16へ燃料を導入する1個又は複数個のスワール孔17が該スワール室16の接線方向に延びるように形成されている。これにより、環状溝15内に導入された燃料がスワール孔17を通ってスワール室16に流入することで、該スワール室16内で燃料の旋回流(スワール流)が形成されるようになっている。 【0010】また、バルブボディ11の内底部には、ニードルバルブ14の下端部が当接/離間するテーパ面状の弁座部18が形成され、この弁座部18の内周側に椀状(球状凹面状)の燃料噴射室19が形成され、この燃料噴射室19の上面開口がニードルバルブ11の下端部によって開閉されるようになっている。更に、バルブボディ11の下端部には、燃料噴射室19の底面中心部から噴射孔20が斜め方向に貫通するように形成されている。本実施形態(1)では、噴射孔20の入口中心が燃料噴射室19の底面中心と一致している。また、バルブボディ11における噴射孔20の出口側には、該噴射孔20に対して直角に平面部21が形成されている。図2に示すように、噴射孔20の入口側端縁部は、流入抵抗(圧損)を少なくするためにR形状(丸みのある形状)に形成され、また、噴射孔20の出口側端縁部は、霧化を促進するために直角エッジ状に形成されている。 【0011】一方、ニードルバルブ14の下端面はテーパ状に形成され、その中心部に、燃料噴射室19内に下向きに突出する円柱状の突起部22が一体に形成され、該突起部22の下端部が噴射孔20の入口付近に位置している。この突起部22の軸心は、燃料噴射室19の軸心(ニードルバルブ14の軸心)と一致し、且つ、該突起部22の径寸法と突出寸法が噴射量特性を損なわない程度の径に設定されている。 【0012】前述したように、図3及び図4に示す従来の燃料噴射弁は、燃料噴射室3の内周面から噴射孔4の内周面への屈曲角度の小さいC部の方がその反対側に位置する屈曲角度の大きいD部よりも燃料が流入しやすくなるため、噴射孔4の入口での燃料の流入流量分布に偏りを生じ、燃料の噴霧が不均質になる傾向があった。しかも、噴射停止後に燃料噴射室3内に表面張力で残った燃料によって、噴き始めの燃料の霧化(微粒化)状態が悪化して噴き始めの噴霧粒径が大きくなる傾向があり、上述した噴霧の不均質さと相俟って、燃焼性が低下する欠点があった。 【0013】これに対し、本実施形態(1)では、ニードルバルブ14の先端中心部に、燃料噴射室19内に突出する突起部22が形成されているため、この突起部22によって燃料噴射室19から噴射孔20の入口への燃料通路が環状となるが、ニードルバルブ14の軸心(突起部22の軸心)に対して噴射孔20の向きが傾斜しているため、燃料噴射室19から噴射孔20の入口への燃料通過断面積が突起部22の周囲で均等とならず、突起部22の周囲で燃料通過断面積が小さくなる部分(A部)と大きくなる部分(B部)が生じる。つまり、燃料噴射室19の内周面から噴射孔20の内周面への屈曲角度が小さい部分(A部)では、燃料通過断面積が小さくなり、その反対側に位置する、燃料噴射室19の内周面から噴射孔20の内周面への屈曲角度が大きい部分(B部)では、燃料通過断面積が大きくなる。これにより、燃料噴射室19から噴射孔20の入口に燃料が相対的に流入しやすい部分(A部)では、燃料通過断面積が小さくなって燃料の流入が制限され、その反対に、燃料が相対的に流入しにくい部分(B部)では、燃料通過断面積が大きくなり、燃料の流入があまり制限されない。その結果、噴射孔20の入口での燃料の流入流量分布が均等化され、燃料噴霧が均質化される。 【0014】しかも、ニードルバルブ14先端の突起部22によって燃料噴射室19の容積が減少するため、従来と比較して、噴射停止後に燃料噴射室19内に残留する燃料(噴き始めの旋回エネルギを持たない燃料)が減少して、噴き始めの燃料の霧化(微粒化)状態の悪化が抑えられ、噴き始めの噴霧粒径が従来より小さくなり、上述した噴霧の均質化と相俟って、燃焼性が向上する。 【0015】図3及び図4に示す従来の燃料噴射弁は、噴射孔4の傾斜角度αが大きくなるほど、また、燃料噴霧の広がり角度θが大きくなるほど、燃料噴霧の不均質さが顕著になるため、噴射孔4の傾斜角度αや燃料噴霧の広がり角度θをある程度小さくしないと、燃料噴霧の均質性を確保できなかったが、本実施形態(1)では、噴射孔20の傾斜角度αや燃料噴霧の広がり角度θを従来よりも大きくしても、燃料噴霧の均質性を確保することができ、その分、噴射孔20の傾斜角度αや燃料噴霧の広がり角度θについての設計の自由度を増大することができる。 【0016】更に、本実施形態(1)では、ニードルバルブ14の先端中心部に円柱状の突起部22を同軸状に形成するようにしたので、ニードルバルブ14を加工する際に、突起部22を旋盤等で容易に高精度加工することができ、突起部22の高精度加工を安価に実現することができて、加工精度向上と低コスト化とを両立させることができる。 【0017】[実施形態(2)]上記実施形態(1)では、燃料噴射室19の底面の中心に噴射孔20を形成しているため、噴射孔20の傾斜方向から燃料の旋回方向に90°回転させた方向の燃料通過断面積と、その反対側に位置する270°回転させた方向の燃料通過断面積とが同一になるが、噴射孔20の入口での燃料の流入流量分布は、旋回流と噴射孔20の傾斜角度との関係によって、90°の位置の方が270°の位置よりも流入流量が少なくなる傾向がある。 【0018】そこで、図3に示す本発明の実施形態(2)では、噴射孔20の位置を、燃料噴射室19の底面中心に対して、該噴射孔20の傾斜方向から燃料の旋回方向に90°回転させた方向にオフセットさせている。その他の構成は、前記実施形態(1)と同じである。 【0019】本実施形態(2)のように、噴射孔20の位置を90°の方向にオフセットさせれば、90°の位置と比較して相対的に燃料が流入しやすい270°の位置の燃料通過断面積を減少させて、その反対側に位置する、燃料が相対的に流入しにくい90°の位置の燃料通過断面積を増加させることができ、ニードルバルブ14先端の突起部22のみでは修正できない方向の燃料通過断面積も適正に修正することができる。これにより、ニードルバルブ14先端の突起部22のみでは修正できない方向の流入流量分布も適正に修正することができ、前述した突起部22の効果と相俟って、燃料噴霧の均質性を更に向上できる。 【0020】尚、上記実施形態では、突起部22の形状を円柱状にしたが、テーパ状等の他の加工しやすい形状に形成しても良く、この場合でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。 【0021】その他、本発明は、スワーラ12の形状等を適宜変更しても良く、また、筒内噴射エンジンの燃料噴射弁に限定されず、吸気ポート噴射エンジンの燃料噴射弁にも適用して実施できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
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| 【出願日】 |
平成12年3月8日(2000.3.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098420 【弁理士】 【氏名又は名称】加古 宗男
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| 【公開番号】 |
特開2001−254658(P2001−254658A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月21日(2001.9.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−68590(P2000−68590) |
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