| 【発明の名称】 |
燃料噴射装置及びその噴射特性調整方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】東條 千太
【氏名】鳥谷尾 哲也
【氏名】山口 晃章
【氏名】村上 元一
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| 【要約】 |
【課題】生産性が高く噴射量のばらつきが小さい燃料噴射装置及びその噴射特性調整方法を提供する【解決手段】 エアギャップ調整部材31は、ハウジング11にねじ止められ、ねじ込み量によってハウジング11の軸方向に位置決めされる。アクチュエータ30は、ハウジング11の軸方向に往復移動可能にエアギャップ調整部材31によって係止され、皿バネ18によって弁口64から離間する方向に付勢されるため、エアギャップ調整部材31がハウジング11の軸方向に位置決めされることによってエアギャップHが決まる。エアギャップ調整部材31のねじ込み量により噴射量を調整する。
【解決手段】エアギャップ調整部材31は、ハウジング11にねじ止められ、ねじ込み量によってハウジング11の軸方向に位置決めされる。アクチュエータ30は、ハウジング11の軸方向に往復移動可能にエアギャップ調整部材31によって係止され、皿バネ18によって弁口64から離間する方向に付勢されるため、エアギャップ調整部材31がハウジング11の軸方向に位置決めされることによってエアギャップHが決まる。エアギャップ調整部材31のねじ込み量により噴射量を調整する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 噴孔を開閉するノズル弁部材と、前記ノズル弁部材に噴孔開放方向に燃料圧力を加える燃料溜まりと前記ノズル弁部材に噴孔閉塞方向に燃料圧力を加える圧力室と前記圧力室から燃料を導出する弁口とを有し、前記ノズル弁部材を往復移動自在に支持するノズル本体と、前記弁口を開閉する制御弁部材と、前記制御弁部材と同方向に移動するアーマチュアと、前記制御弁部材を弁口閉塞方向に付勢する第一付勢手段と、前記アーマチュアを弁口開放方向に吸引するステータと前記ステータに巻回されるコイルとを有する制御手段と、前記制御手段を前記弁口から離間する方向に付勢する第二付勢手段と、前記制御手段の周囲に設けられ、前記ノズル本体の軸方向に位置決めして前記ノズル本体に係止され、前記ノズル本体の軸方向に往復移動可能に前記制御手段を係止するエアギャップ調整部材と、を備えることを特徴とする燃料噴射装置。 【請求項2】 前記エアギャップ調整部材は、前記ノズル本体にねじ止められることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。 【請求項3】 前記ノズル本体の制御手段側の端部に雄ねじを形成し、前記エアギャップ調整部材は、ノズル本体側の端部に前記雄ねじとねじ合う雌ねじを形成し、前記制御手段と滑り対偶をなすことを特徴とする請求項2記載の燃料噴射装置。 【請求項4】 前記エアギャップ調整部材は、前記ノズル本体に嵌装されることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。 【請求項5】 前記第二付勢手段は、板バネであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 【請求項6】 噴孔を開閉するノズル弁部材と、前記ノズル弁部材に噴孔開放方向に燃料圧力を加える燃料溜まりと前記ノズル弁部材に噴孔閉塞方向に燃料圧力を加える圧力室と前記圧力室から燃料を導出する弁口とを有し、前記ノズル弁部材を往復移動自在に支持するノズル本体と、前記弁口の下流側に形成される弁室と、前記弁室に往復移動自在に収納され、前記弁室から燃料を導出する第一逃がし通路を有し、前記弁口を開閉する制御弁部材と、前記制御弁部材と同方向に移動するアーマチュアと、前記制御弁部材を弁口閉塞方向に付勢する第一付勢手段と、前記第一付勢手段を収納し前記第一逃がし通路から燃料を導出する第一付勢手段収納孔と前記アーマチュアを弁口開放方向に吸引するステータと前記ステータに巻回されるコイルとを有する制御手段と、前記第一付勢手段の反制御弁部材側に当接し、前記第一付勢手段収納孔から燃料を導出する第二逃がし通路を有し、前記第一付勢手段収納孔の軸方向に位置決めして前記第一付勢手段収納孔の内壁に係止され前記第一付勢手段収納孔の外から係止位置を調整可能に組み付けられる開弁圧調整部材と、を備えることを特徴とする燃料噴射装置。 【請求項7】 前記開弁圧調整部材は、前記第一付勢手段収納孔にねじ止められることを特徴とする請求項6記載の燃料噴射装置。 【請求項8】 前記開弁圧調整部材は、前記第一付勢手段収納孔に圧入されることを特徴とする請求項6記載の燃料噴射装置。 【請求項9】 噴孔を開閉するノズル弁部材と、前記ノズル弁部材に噴孔開放方向に燃料圧力を加える燃料溜まりと前記ノズル弁部材に噴孔閉塞方向に燃料圧力を加える圧力室と前記圧力室から燃料を導出する弁口とを有し、前記ノズル弁部材を往復移動自在に支持するノズル本体と、前記弁口の下流側に形成される弁室と、前記弁室に往復移動自在に収納され、前記弁室から燃料を導出する第一逃がし通路を有し、前記弁口を開閉する制御弁部材と、前記制御弁部材と同方向に移動するアーマチュアと、前記制御弁部材を弁口閉塞方向に付勢する第一付勢手段と、前記第一付勢手段を収納し前記第一逃がし通路から燃料を導出する第一付勢手段収納孔と前記アーマチュアを弁口開放方向に吸引するステータと前記ステータに巻回されるコイルとを有する制御手段と、前記第一付勢手段の反制御弁部材側に当接し前記第一付勢手段収納孔から燃料を導出する第二逃がし通路を有し、前記第一付勢手段収納孔の軸方向に位置決めして前記第一付勢手段収納孔の内壁に係止され前記第一付勢手段収納孔の外から係止位置を調整可能に組み付けられる開弁圧調整部材と、前記制御手段を前記弁口から離間する方向に付勢する第二付勢手段と、前記制御手段の周囲に設けられ、前記ノズル本体の軸方向に位置決めして前記ノズル本体に係止され、前記ノズル本体の軸方向に往復移動可能に前記制御手段を係止するエアギャップ調整部材と、を備えることを特徴とする燃料噴射装置。 【請求項10】 前記エアギャップ調整部材は、前記ノズル本体にねじ止められることを特徴とする請求項9記載の燃料噴射装置。 【請求項11】 前記ノズル本体の制御手段側の端部に雄ねじを形成し、前記エアギャップ調整部材は、ノズル本体側の端部に前記雄ねじとねじ合う雌ねじを形成し、前記制御手段と滑り対偶をなすことを特徴とする請求項10記載の燃料噴射装置。 【請求項12】 前記エアギャップ調整部材は、前記ノズル本体に嵌装されることを特徴とする請求項9記載の燃料噴射装置。 【請求項13】 前記第二付勢手段は、板バネであることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 【請求項14】 前記開弁圧調整部材は、前記第一付勢手段収納孔にねじ止められることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 【請求項15】 前記開弁圧調整部材は、前記第一付勢手段収納孔に圧入されることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 【請求項16】 噴孔を開閉するノズル弁部材と、前記ノズル弁部材に噴孔開放方向に燃料圧力を加える燃料溜まりと前記ノズル弁部材に噴孔閉塞方向に燃料圧力を加える圧力室と前記圧力室から燃料を導出する弁口とを有し、前記ノズル弁部材を往復移動自在に支持するノズル本体と、前記弁口を開閉する制御弁部材と、前記制御弁部材と同方向に移動するアーマチュアと、前記アーマチュアを弁口開放方向に吸引するステータと前記ステータに巻回されるコイルとを有する制御手段とを備え、前記制御手段により前記制御弁部材を駆動して、前記弁口を開閉させて前記燃料室の圧力を変化させることで、前記ノズル弁部材を移動させ、燃料を前記噴孔から噴射させる燃料噴射装置の噴射特性調整方法であって、エンジン搭載時に前記燃料溜まり及び圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以上の所定圧力で前記燃料溜まり及び圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記ノズル本体の軸方向に前記アーマチュアと前記ステータとのエアギャップを変更させることにより、噴射量を調整することを特徴とする燃料噴射装置の噴射特性調整方法。 【請求項17】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料噴射装置の噴射特性調整方法であって、エンジン搭載時に前記燃料溜まり及び圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以上の所定圧力で前記燃料溜まり及び圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記ノズル本体の軸方向に前記エアギャップ調整部材を移動させ、噴射量を調整することを特徴とする噴射特性調整方法。 【請求項18】 パルス幅が互いに異なる2つの駆動パルスを前記コイルに与えつつ噴射量を調整することを特徴とする請求項16又は17記載の噴射特性調整方法。 【請求項19】 前記2つの駆動パルスのうち少なくともいずれか一方のパルス幅は、最大噴射率が得られるまで前記ノズル弁部材をリフトさせるパルス幅より長いことを特徴とする請求項18記載の噴射特性調整方法。 【請求項20】 前記2つの駆動パルスの一方を与えたときに得られる噴射量と第一目標値との偏差をδ1、前記2つの駆動パルスの他方を与えたときに得られる噴射量と第二目標値との偏差をδ2、並びにk1、k2及びk3を所定値としたとき、δ12+δ22≦k1、若しくは、δ1×δ2<0、δ1≦k2及びδ2≦k3、を満たすように噴射量を調整することを特徴とする請求項18又は19記載の噴射特性調整方法。 【請求項21】 噴孔を開閉するノズル弁部材と、前記ノズル弁部材に噴孔開放方向に燃料圧力を加える燃料溜まりと前記ノズル弁部材に噴孔閉塞方向に燃料圧力を加える圧力室と前記圧力室から燃料を導出する弁口とを有し、前記ノズル弁部材を往復移動自在に支持するノズル本体と、前記弁口を閉塞する制御弁部材と、前記制御弁部材と同方向に移動するアーマチュアと、前記制御弁部材を弁口閉塞方向に付勢する第一付勢手段と、前記第一付勢手段を収納する第一付勢手段収納孔と前記アーマチュアを弁口開放方向に吸引するステータと前記ステータに巻回されるコイルとを有する制御手段とを備え、前記制御手段により前記制御弁部材を駆動して、前記弁口を開閉させて前記燃料室の圧力を変化させることで、前記ノズル弁部材を移動させ、燃料を前記噴孔から噴射させる燃料噴射装置の噴射特性調整方法であって、エンジン搭載時に前記圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以上の所定圧力で前記圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記第一付勢手段収納孔内の前記第一付勢手段の付勢力を変更させて、前記制御弁部材の開弁圧を調整することにより、噴射量を調整することを特徴とする燃料噴射装置の噴射特性調整方法。 【請求項22】 請求項6〜8のいずれか一項に記載の燃料噴射装置の噴射特性調整方法であって、エンジン搭載時に前記圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以上の所定圧力で前記圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記第一付勢手段収納孔の軸方向に前記開弁圧調整部材を移動させ、噴射量を調整することを特徴とする噴射特性調整方法。 【請求項23】 パルス幅が互いに異なる2つの駆動パルスを前記コイルに与えつつ噴射量を調整することを特徴とする請求項21又は22記載の噴射特性調整方法。 【請求項24】 前記2つの駆動パルスのうち少なくともいずれか一方のパルス幅は、最大噴射率が得られるまで前記ノズル弁部材をリフトさせるパルス幅より長いことを特徴とする請求項23記載の噴射特性調整方法。 【請求項25】 前記2つの駆動パルスの一方を与えたときに得られる噴射量と第一目標値との偏差をδ1、前記2つの駆動パルスの他方を与えたときに得られる噴射量と第二目標値との偏差をδ2、並びにk1、k2及びk3を所定値としたとき、δ12+δ22≦k1、若しくは、δ1×δ2<0、δ1≦k2及びδ2≦k3、を満たすように噴射量を調整することを特徴とする請求項23又は24記載の噴射特性調整方法。 【請求項26】 噴孔を開閉するノズル弁部材と、前記ノズル弁部材に噴孔開放方向に燃料圧力を加える燃料溜まりと前記ノズル弁部材に噴孔閉塞方向に燃料圧力を加える圧力室と前記圧力室から燃料を導出する弁口とを有し、前記ノズル弁部材を往復移動自在に支持するノズル本体と、前記弁口を開閉する制御弁部材と、前記制御弁部材と同方向に移動するアーマチュアと、前記制御弁部材を弁口閉塞方向に付勢する第一付勢手段と、前記第一付勢手段を収納する第一付勢手段収納孔と前記アーマチュアを弁口開放方向に吸引するステータと前記ステータに巻回されるコイルとを有する制御手段とを備え、前記制御手段により前記制御弁部材を駆動して、前記弁口を開閉させて前記燃料室の圧力を変化させることで、前記ノズル弁部材を移動させ、燃料を前記噴孔から噴射させる燃料噴射装置の噴射特性調整方法であって、前記圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記第一付勢手段収納孔内の前記第一付勢手段の付勢力を変更させて、前記制御弁部材の開弁圧を調整することにより、噴射開始遅れ期間を調整する第一段階と、前記圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記第一段階後、前記ノズル本体の軸方向に前記アーマチュアと前記ステータとのエアギャップを変更させることにより、噴射量を調整する第二段階と、を含むことを特徴とする燃料噴射装置の噴射特性調整方法。 【請求項27】 請求項9〜15記載のいずれか一項に記載の燃料噴射装置の噴射特性調整方法であって、前記圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記第一付勢手段収納孔の軸方向に前記開弁圧調整部材を移動させ、噴射開始遅れ期間を調整する第一段階と、前記圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記第一段階後、前記ノズル本体の軸方向に前記エアギャップ調整部材を移動させ、噴射量を調整する第二段階と、を含むことを特徴とする噴射特性調整方法。 【請求項28】 前記第一段階において、エンジン搭載時に前記圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以下の所定圧力で前記圧力室に試験液を供給することを特徴とする請求項26又は27記載の噴射特性調整方法。 【請求項29】 前記第二段階において、エンジン搭載時に前記圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以上の所定圧力で前記圧力室に試験液を供給することを特徴とする請求項26、27又は28記載の噴射特性調整方法。 【請求項30】 前記第二段階において、パルス幅が互いに異なる2つの駆動パルスを前記コイルに与えつつ、前記燃料噴射装置の噴射量を調整することを特徴とする請求項26〜29のいずれか一項に記載の噴射特性調整方法。 【請求項31】 前記第二段階において、前記2つの駆動パルスのうち少なくともいずれか一方のパルス幅は、最大噴射率が得られるまで前記ノズル弁部材をリフトさせるパルス幅より長いことを特徴とする請求項30記載の噴射特性調整方法。 【請求項32】 前記第二段階において、前記2つの駆動パルスの一方を与えたときに得られる噴射量と第一目標値との偏差をδ1、前記2つの駆動パルスの他方を与えたときに得られる噴射量と第二目標値との偏差をδ2、並びにk1、k2及びk3を所定値としたとき、δ12+δ22≦k1、若しくは、δ1×δ2<0、δ1≦k2及びδ2≦k3、を満たすように噴射量を調整することを特徴とする請求項30又は31記載の噴射特性調整方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は燃料噴射装置及びその噴射特性調整方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、ノズル弁部材に噴孔閉塞方向の燃料圧力を加える圧力室を設け、この燃料圧力を利用してノズル弁部材の作動を制御する燃料噴射装置が知られている。このような燃料噴射装置では、ノズル弁部材が燃料溜まりに供給される燃料圧力により噴孔開放方向に受ける力と、制御圧力室の燃料圧力から噴孔閉塞方向に受ける力と、スプリングから噴孔閉塞方向に受ける力との大小関係によりノズル弁部材の作動を制御する。制御圧力室には、燃料を逃がす弁口が設けられており、この弁口の開閉により制御圧力室の燃料圧力を制御する。このような燃料噴射装置は、例えば特許第2599281号に開示されるている。以下、図8に基づき、特許第2599281号に開示されている燃料噴射装置の作動を説明する。 【0003】制御圧力室211及び燃料溜まり216には定圧燃料が供給されている。制御圧力室211の弁口207は制御弁部材206によって開閉される。制御圧力室211の燃料圧力によって弁口開放方向に受ける力及び電磁石213がアーマチュア205を吸引する力の合力がスプリング203によって弁口閉塞方向に受ける力を上回ると制御弁部材206はリフトする。弁口207が開放されると、弁口207から弁室217及びヨーク212に設けられた孔を通じて電磁石213の外周空間215に燃料が導出され、制御圧力室211の燃料圧力が低下する。制御圧力室211の燃料圧力が低下すると、ノズル弁部材200が燃料溜まり216に供給される燃料圧力により噴孔開放方向に受ける力及びスプリング218から噴孔閉塞方向に受ける力の合力が制御圧力室211の燃料圧力から噴孔閉塞方向に受ける力を上回り、ノズル弁部材200はリフトする。電磁石213への通電が遮断されると、制御弁部材206が弁口207を閉塞することによって制御圧力室の燃料圧力が上がり、制御圧力室211の燃料圧力から噴孔閉塞方向に受ける力が大きくなることによって、ノズル弁部材200は噴孔閉塞方向に移動して噴孔を閉塞する。したがって、噴射開始時期は制御弁部材206のリフト開始時期と相関関係を持ち、噴射量は弁口207の開口期間と相関関係を持つ。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許第2599281号に開示されている燃料噴射装置の構成によると、以下に述べる理由により、組み付け後において燃料噴射特性の調整ができないという問題がある。 【0005】制御弁部材206のリフト開始時期は、電磁石213に駆動パルスを与えてから制御弁部材206がリフト開始するまでの遅れ期間によって決まり、この噴射開始遅れ期間は制御弁部材206を弁口閉塞方向に付勢するスプリング203の付勢荷重によって決まる。一方、スプリング203の付勢荷重はアジャスティングスクリュー202のねじ込み量によって決まる。しかし、燃料噴射装置を組み付けた後にアジャスティングスクリュー202のねじ込み量を変えることができないため、組み付け後においては、電磁石213に駆動パルスを与えてから制御弁部材206がリフト開始するまでの遅れ期間を調整することができない。したがって、組み付け後においては、電磁石213に駆動パルスを与えてからノズル弁部材200がリフト開始するまでの噴射開始遅れ期間を調整することができない。 【0006】駆動パルスのパルス幅が一定で燃料噴射装置に供給される燃料圧力が一定である場合、弁口207の開口期間は、駆動パルスが立ち上がってから制御弁部材206がリフト開始するまでの遅れ期間と、駆動パルスが立ち下がってから制御弁部材206が弁口を閉塞するまでの遅れ期間とによって決まる。リフト開始するまでの遅れ期間は、スプリング203の付勢荷重によって決まるため、上述の理由と同じ理由により、組み付け後において調整することができない。また、弁口を閉塞するまでの遅れ期間は、制御弁部材206のリフト量及びスプリング203の付勢荷重によって決まり、制御弁部材206の最大リフト量は電磁石213のステータ204とアーマチュア205とのエアギャップによって決まる。しかし、スプリング203の付勢荷重は上述の理由と同じ理由により組み付け後において調整することができない。また、電磁石213及び弁口207はともにガイド部材208に固定され、ガイド部材208はノズル部ボディ209に制御部ボディ214がねじ込まれることによってノズル部ボディ209と制御部ボディ214によって挟持される。ステータ204とアーマチュア205とのエアギャップは、弁口207からステータ204までの距離によって決まるため、組み付け後においては、制御弁部材206のリフト量を調整することができない。以上より、組み付け後においては、弁口207の開口期間、延いては燃料噴射装置の噴射量を調整することができない。 【0007】上述したように組み付け後において燃料噴射特性の調整ができない場合、燃料噴射特性の検査と燃料噴射装置の分解、アジャスティングスクリュー202の調整及びガイド部材208等の部品交換を繰り返して燃料噴射特性を調整する必要がある。このような場合、生産性が著しく低下するとともに噴孔絞り等の個体差によって生ずる燃料噴射特性のばらつきを調整することがほとんど不可能となる。 【0008】また、制御圧力室211の燃料を弁口207から軸線に沿って導出しドレーン通路201から排出することができず、弁口207から電磁石213の外周空間215を経由してドレーン通路201に導出するため、燃料噴射装置が径方向に大きくなるという問題がある。 【0009】本発明は、上述した従来の課題を解決するために創作されたものであって、生産性が高く噴射量のばらつきが小さい燃料噴射装置を提供することを目的とする。また、本発明は小型の燃料噴射装置を提供することを目的とする。さらに、本発明の別の目的は、燃料噴射装置の噴射開始遅れ期間及び噴射量のばらつきを小さくする噴射特性調整方法を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1又は9記載の燃料噴射装置によると、エアギャップ調整部材はノズル本体の軸方向に往復移動可能に制御手段を係止し、制御手段は第一付勢手段又は第二付勢手段によって弁口から離間する方向に付勢される。 【0011】また、エアギャップ調整部材は、ノズル本体の軸方向に位置決めしてノズル本体に係止される。エアギャップ調整部材は、例えばノズル本体にねじ止められることによって係止される場合、ねじ込み量によってノズル本体の軸方向に位置決めされ、ノズル本体に嵌装されることによって係止される場合、圧入深さによってノズル本体の軸方向に位置決めされる。また、エアギャップ調整部材は、制御手段の外周に設けられているため、噴射作動に必要な部材の組み付け後にノズル本体の軸方向に位置決めしてノズル本体に係止することができる。 【0012】また、制御手段は、ノズル本体の軸方向に往復移動可能にエアギャップ調整部材によって係止されるところ、第一付勢手段又は第二付勢手段によって弁口から離間する方向に付勢されるため、エアギャップ調整部材がノズル本体の軸方向に位置決めされることによって、ノズル本体の軸方向に位置決めされる。また、圧力室から燃料を導出する弁口はノズル本体に設けられているため、制御手段がノズル本体の軸方向に位置決めされることによって、制御手段に設けられたステータと制御弁部材と同方向(一体)に移動するアーマチュアとのエアギャップが決まる。 【0013】したがって、本発明の請求項1又は9記載の燃料噴射装置によると、噴射作動に必要な部材の組み付け後にエアギャップ調整部材を位置決めしてステータとアーマチュアのエアギャップを調整することができるため、生産性を高めるとともに噴射量のばらつきを小さくすることができる。尚、ステータとアーマチュアのエアギャップと噴射量との相関関係については後に詳述する。 【0014】本発明の請求項2又は10記載の燃料噴射装置によると、エアギャップ調整部材は、ノズル本体にねじ止められるため、ねじ込み量によって噴射量を調整することができる。また、ねじ込み量は締め付け方向及び弛緩方向に調整することができるため、噴射作動に必要な部材の組み付け後にステータとアーマチュアのエアギャップを調整するにあたって、噴射量を計測し、計測結果をねじ込み量にフィードバックすることができる。 【0015】尚、ノズル本体にねじ止めされるエアギャップ調整部材は、制御手段と一体に設けられる部材であってもよい。エアギャップ調整部材が制御手段と一体に設けられる部材である場合には、エアギャップ調整部材を円筒状の雌ねじ又は雄ねじとし、ノズル本体の端部に雌ねじ又は雄ねじを形成し、エアギャップ調整部材とノズル本体とをねじ合わせることによって、ノズル本体に対して往復移動可能に制御手段を係止することができる。 【0016】また、ノズル本体にねじ止めされるエアギャップ調整部材は、棒状のねじ自体であってもよい。エアギャップ調整部材が棒状のねじである場合には、制御手段に形成されたフランジ等にねじ孔を形成し、そのねじ孔からノズル本体にねじをねじ込むことによって、ノズル本体に対して往復移動可能に制御手段を係止することができる。 【0017】本発明の請求項3又は11記載の燃料噴射装置によると、ノズル本体の制御手段側の端部に雄ねじを形成し、エアギャップ調整部材のノズル本体側の端部に雄ねじとねじ合う雌ねじを形成しているため、径方向の体格を小さくすることができる。また、制御手段とエアギャップ調整部材とは滑り対偶をなすため、制御手段は、リフト量調整部材の回転にともなってノズル本体に対して回転することがない。したがって、エアギャップ調整部材の組み付け及び調整が容易である。 【0018】本発明の請求項4又は12記載の燃料噴射装置によると、エアギャップ調整部材は、ノズル本体に嵌装されるため、圧入深さを調整することによって噴射量を調整することができる。本発明の請求項5又は13記載の燃料噴射装置によると、第二付勢手段は板バネであるため、軸方向の体格を小さくすることができる。 【0019】本発明の請求項6又は9記載の燃料噴射装置によると、制御弁部材は、圧力室から燃料を導出する弁口の下流側に形成される弁室から燃料を導出する第一逃がし通路を有する。また、制御手段は、第一逃がし通路から燃料を導出する第一付勢手段収納孔を有する。また、開弁圧調整部材は、第一付勢手段収納孔から燃料を導出する第二逃がし通路を有し、第一付勢手段収納孔の内壁に係止される。したがって、本発明の請求項6又は9記載の燃料噴射装置によると、圧力室の燃料を弁口から軸線に沿って導出し燃料噴射装置から排出することができるため、径方向の体格を小さくすることができる。 【0020】また、第一付勢手段収納孔に収納される第一付勢手段は、その反制御弁部材側で開弁圧調整部材に当接している。開弁圧調整部材は、第一付勢手段収納孔の軸方向に位置決めして第一付勢手段収納孔の内壁に係止され第一付勢手段収納孔の外から係止位置を調整可能に組み付けられる。開弁圧調整部材は、例えば、ねじ止められることによって第一付勢手段収納孔に係止される場合、ねじ込み量によって第一付勢手段収納孔の軸方向に位置決めされ、圧入されることによって第一付勢手段収納孔に係止される場合、圧入深さによって第一付勢手段収納孔の軸方向に位置決めされる。尚、第一付勢手段収納孔の外から開弁圧調整部材の係止位置を調整可能に組み付けられるとは、第一付勢手段収納孔の反制御弁部材側を閉塞する部位に噴射作動に必要な構成部品を配置しない構成であることを意味する。したがって、本発明の請求項6又は9記載の燃料噴射装置によると、噴射作動に必要な部材の組み付け後に開弁圧調整部材を位置決めして第一付勢手段が制御弁部材を弁口閉塞方向に付勢する付勢荷重を調整することができるため、噴射開始遅れ期間及び噴射量を調整するに当たって分解することを要しない。したがって、生産性を高めるとともに製造公差による噴射開始遅れ期間及び噴射量のばらつきをも小さくすることができる。尚、第一付勢手段の付勢荷重と噴射開始遅れ期間及び噴射量との相関関係については、後に詳述する。また、本明細書において噴射開始遅れ期間とは駆動パルスが立ち上がってから燃料が噴孔から噴射されるまでの期間をいう。 【0021】本発明の請求項7又は14記載の燃料噴射装置によると、開弁圧調整部材は、付勢手段収納孔にねじ止められるため、ねじ込み量によって噴射開始遅れ期間及び噴射量を調整することができる。また、ねじ込み量は締め付け方向及び弛緩方向に調整することができるため、噴射作動に必要な部材の組み付け後に第一付勢手段の付勢荷重を調整するにあたって、噴射開始遅れ期間及び噴射量を計測し、計測結果をねじ込み量にフィードバックすることができる。 【0022】本発明の請求項8又は15記載の燃料噴射装置によると、開弁圧調整部材は、第一付勢手段収納孔に圧入されるため、圧入深さを調整することによって噴射開始遅れ期間及び噴射量を調整することができる。 【0023】本発明の請求項16記載の噴射特性調整方法によると、エンジン搭載時に燃料溜まり及び圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以上の所定圧力で燃料溜まり及び圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記ノズル本体の軸方向に前記アーマチュアと前記ステータとのエアギャップを変更させることにより、噴射量を調整する。燃料溜まりと圧力室に供給される燃料の圧力が高ければ高いほどノズル弁部材の所定リフト量における噴射率が大きくなる。一方、ステータとアーマチュアのエアギャップが大きくなると、駆動パルスが立ち下がってから制御弁部材が弁口を閉塞するまでに要する期間が長くなることから、駆動パルスが立ち下がってからノズル弁部材が噴孔を閉塞するまでの期間が長くなる。したがって、本発明の請求項16記載の噴射特性調整方法によると、アーマチュアと前記ステータとのエアギャップの変更量が噴射量の変化に大きく影響するため、噴射量を精度よく調整することができる。このため、燃料噴射装置の噴射量のばらつきを小さくすることができる。 【0024】本発明の請求項17または29記載の噴射特性調整方法によると、エンジン搭載時に燃料溜まり及び圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以上の所定圧力で圧力室に試験液を供給しコイルに所定駆動パルスを与えつつ、ノズル本体の軸方向にエアギャップ調整部材を移動させ、噴射量を調整する。 【0025】燃料溜まりと圧力室に供給される燃料の圧力が高ければ高いほどノズル弁部材の所定リフト量における噴射率が大きくなる。一方、エアギャップ調整部材が移動することによってステータとアーマチュアのエアギャップが大きくなると、駆動パルスが立ち下がってから制御弁部材が弁口を閉塞するまでに要する期間が長くなることから、駆動パルスが立ち下がってからノズル弁部材が噴孔を閉塞するまでの期間が長くなる。したがって、本発明の請求項17又は29記載の噴射特性調整方法によると、エアギャップ調整部材の移動量が噴射量の変化に大きく影響するため、噴射量を精度よく調整することができる。このため、燃料噴射装置の噴射量のばらつきを小さくすることができる。 【0026】本発明の請求項18、23又は30記載の噴射特性調整方法によると、パルス幅が互いに異なる2つの駆動パルスをコイルに与えつつ噴射量を調整する。一般に燃料噴射装置に方形駆動パルスを与えるときのリフト量、噴射率及び噴射量の時間変化は図2に示すようになる。区間bは、駆動パルスが立ち上がってから制御弁部材がリフト開始するまでの遅れ、区間dは制御弁部材がリフトしノズル弁部材がリフト開始するのに十分に圧力室の燃料圧力が低下するまでの遅れである。区間cは制御弁部材がフルリフトした状態から弁口閉塞方向に移動し弁口を閉塞するまでに要する期間である。区間eは、制御弁部材が弁口を閉塞しノズル弁部材(図2において「ノズル弁部材」は「ニードル」と記載されている。)が噴孔閉塞方向に移動開始するのに十分に圧力室の燃料圧力が高くなるまでの遅れである。区間h及びkにおいては、噴射率がノズル弁部材のシート絞りに支配されているため、噴射率がノズル弁部材のリフト量に伴って増減する。区間i〜jにおいては、噴射率が噴孔流路面積に支配されているため噴射率が一定となる。すなわち、区間i〜jにおける噴射率は最大噴射率であって噴孔流路面積によって決まるものである。したがって駆動パルスのパルス幅がβより長い範囲において駆動パルスのパルス幅の増大に伴う噴射量の変化の割合は一定であって最大噴射率によって決まる。尚、噴孔流路面積とは噴孔流路の最小断面積をいう。 【0027】したがって、噴孔流路面積にばらつきがある場合、1つのパルス幅の駆動パルスをコイルに与えつつ目標値に対して噴射量を調整した場合、図3の曲線A又はCに示すように調整後に得られる噴射量特性曲線が目標とする噴射量特性曲線Dから大きくずれ、実用パルス幅全体における噴射量特性が大きくばらつくおそれがある。尚、本明細書において噴射量特性とは、駆動パルスのパルス幅に対する噴射量の増減を示すものであって、駆動パルスの立ち上がり時刻からの経過時間をtとしたとき、時刻0からtまで噴射率を積分して得られるtの関数によって表されるものとする。 【0028】一方、パルス幅が互いに異なる2つの駆動パルスを与え、それぞれの駆動パルスにおいて目標値を設定して調整した場合、2つの駆動パルスのパルス幅を適切に設定することにより、図3の曲線Bに示すように実用パルス幅全体において噴射量特性が目標とする噴射量特性に近似する。したがって、本発明の請求項18、23又は30記載の噴射特性調整方法によると、実用パルス幅全体において燃料噴射装置の噴射量のばらつきを小さくすることができる。 【0029】本発明の請求項19、24又は31記載の噴射特性調整方法によると、2つの駆動パルスのうち少なくともいずれか一方のパルス幅を最大噴射率が得られるまでノズル弁部材をリフトさせるパルス幅より長くしてパルス幅が互いに異なる2つの駆動パルスを与えて噴射量を調整する。実用パルスにおいてノズル弁部材がフルリフトしないフライングニードルを採用した場合、パルス幅による噴射量特性の変化の割合は、図3の曲線A、B、C、Dに示すように、最大噴射率が得られるパルス幅まで増加しそれより長いパルス幅においては一定である。2つの駆動パルスの両方を最大噴射量が得られるパルス幅より短くする場合、最大噴射率が得られるパルス幅より長いパルス幅の範囲における噴射量特性はパルス幅が長くなるほど目標とする噴射量特性から乖離する。これに対し、2つの駆動パルスのいずれか一方のパルス幅を最大噴射率が得られるパルス幅より長くする場合、最大噴射率が得られるパルス幅より長いパルス幅の範囲における噴射量特性を目標とする噴射量特性に近似させることができる。 【0030】本発明の請求項19、24又は31記載の噴射特性調整方法によると、最大噴射率が得られるパルス幅より長いパルス幅の駆動パルスを与えて噴射量を調整するため、実用パルス幅全体において燃料噴射装置の噴射量のばらつきを小さくすることができる。尚、エンジン低速回転時の噴射量特性を重視する場合、2つの駆動パルスの一方のパルス幅を最大噴射率が得られるパルス幅より短くすることが望ましく、エンジン高速回転時の噴射量特性を重視する場合、2つの駆動パルスの両方のパルス幅を最大噴射率が得られるパルス幅より長くすることが望ましい。 【0031】本発明の請求項20、25又は32記載の噴射特性調整方法によると、2つの駆動パルスの一方を与えたときに得られる噴射量と第一目標値との偏差をδ1、2つの駆動パルスの他方を与えたときに得られる噴射量と第二目標値との偏差をδ2、並びにk1、k2及びk3を所定値としたとき、δ12+δ22≦k1、若しくは、δ1×δ2<0、δ1≦k2及びδ2≦k3、を満たすように噴射量を調整する。 【0032】δ12+δ22≦k1を満たすように噴射量を調整した場合、一方の駆動パルスのパルス幅から他方の駆動パルスのパルス幅までのパルス幅をもつ駆動パルスが与えられる範囲において、調整後の噴射量特性を目標とする噴射量特性に最も近似させることができる。尚、δ12+δ22の値が最小値になるときδ1=δ2を満たす。一方、δ12+δ22≦k1を満たさない場合であっても、δ1×δ2<0を満たすように調整することによって、一方の駆動パルスのパルス幅から他方の駆動パルスのパルス幅までのパルス幅をもつ駆動パルスが与えられる範囲内において目標とする噴射量特性に一致する噴射量が必ず得られる。したがって、インジェクタの噴射量特性が一方の駆動パルスのパルス幅から他方の駆動パルスのパルス幅までのパルス幅をもつ駆動パルスが与えられる範囲において目標とする噴射量特性と大きく乖離することはない。したがって、本発明の請求項20、25又は32記載の噴射特性調整方法によると、個々の燃料噴射装置において得られる噴射量特性曲線を理想的な噴射量特性曲線に最も近似させることができる。 【0033】本発明の請求項21記載の噴射特性調整方法によると、エンジン搭載時に前記圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以上の所定圧力で前記圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記第一付勢手段収納孔内の前記第一付勢手段の付勢力を変更させて、前記制御弁部材の開弁圧を調整することにより、噴射量を調整する。 【0034】前述したとおり、圧力室に供給される燃料の圧力が高ければ高いほど、駆動パルスが立ち上がってからのノズル弁部材のリフト量の推移が噴射量の変化に大きく影響する。一方、付勢手段の付勢力が大きくなると、駆動パルスが立ち上がってから制御弁部材がリフト開始するまでの期間が長くなることから、駆動パルスが立ち上がってからノズル弁部材がリフト開始するまでの期間が長くなり、また、駆動パルスが立ち下がってから制御弁部材が弁口を閉塞するまでの期間が短くなることから、駆動パルスが立ち下がってからノズル弁部材が噴孔を閉塞するまでの期間が短くなる。すなわち、付勢手段の付勢力が大きくなると噴射期間が短くなり噴射量が小さくなる。逆に、付勢手段の付勢力が小さくなると、駆動パルスが立ち上がってからノズル弁部材がリフト開始するまでの期間が短くなり、また、駆動パルスが立ち下がってからノズル弁部材が噴孔を閉塞するまでの期間が長くなる。すなわち、付勢手段の付勢力が小さくなると噴射期間が長くなり噴射量が大きくなる。この噴射量の変化は、ノズル弁部材の所定リフト量における噴射率が大きいほど、つまり燃料溜まりと圧力室に供給される燃料の圧力が高いほど大きい。 【0035】したがって、本発明の請求項21記載の噴射特性調整方法によると、第一付勢手段の付勢力の変化が噴射量の変化に大きく影響するため、噴射量を精度よく調整することができる。このため、燃料噴射装置の噴射量のばらつきを小さくすることができる。 【0036】本発明の請求項22記載の噴射特性調整方法によると、エンジン搭載時に圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以上の所定圧力で圧力室に試験液を供給しコイルに所定駆動パルスを与えつつ、第一付勢手段収納孔の軸方向に開弁圧調整部材を移動させることによって、噴射量を調整する。 【0037】前述したとおり、圧力室に供給される燃料の圧力が高ければ高いほど、駆動パルスが立ち上がってからのノズル弁部材のリフト量の推移が噴射量の変化に大きく影響する。一方、開弁圧調整部材が移動することによって付勢手段の付勢荷重が大きくなると、駆動パルスが立ち上がってから制御弁部材がリフト開始するまでの期間が長くなることから、駆動パルスが立ち上がってからノズル弁部材がリフト開始するまでの期間が長くなり、また、駆動パルスが立ち下がってから制御弁部材が弁口を閉塞するまでの期間が短くなることから、駆動パルスが立ち下がってからノズル弁部材が噴孔を閉塞するまでの期間が短くなる。すなわち、付勢手段の付勢荷重が大きくなると噴射期間が短くなり噴射量が小さくなる。逆に、開弁圧調整部材が移動することによって付勢手段の付勢荷重が小さくなると、駆動パルスが立ち上がってからノズル弁部材がリフト開始するまでの期間が短くなり、また、駆動パルスが立ち下がってからノズル弁部材が噴孔を閉塞するまでの期間が長くなる。すなわち、付勢手段の付勢荷重が小さくなると噴射期間が長くなり噴射量が大きくなる。この噴射量の変化は、ノズル弁部材の所定リフト量における噴射率が大きいほど、つまり燃料溜まりと圧力室に供給される燃料の圧力が高いほど大きい。 【0038】したがって、本発明の請求項22記載の噴射特性調整方法によると、開弁圧調整部材の移動量が噴射量の変化に大きく影響するため、噴射量を精度よく調整することができる。このため、燃料噴射装置の噴射量のばらつきを小さくすることができる。 【0039】本発明の請求項26記載の噴射特性調整方法によると、前記圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記第一付勢手段収納孔内の前記第一付勢手段の付勢力を変更させて、前記制御弁部材の開弁圧を調整することにより、噴射開始遅れ期間を調整する第一段階と、前記圧力室に試験液を供給し前記コイルに所定駆動パルスを与えつつ、前記第一段階後、前記ノズル本体の軸方向に前記アーマチュアと前記ステータとのエアギャップを変更させることにより、噴射量を調整する第二段階とを含む。前述したとおり、第一付勢手段の付勢力に伴って噴射開始遅れ期間が変化し、アーマチュアとステートとのエアギャップの大きさにともなって噴射量が変化する。一方、アーマチュアとステータとのエアギャップの変化によって噴射開始遅れ期間は変化しない。このため、第一付勢手段の付勢力を調整して噴射開始遅れ期間を設定し、アーマチュアとステータとのエアギャップの大きさを調整して噴射量を設定することができる。したがって、本発明の請求項26記載の噴射特性調整方法によると、燃料噴射装置の噴射開始遅れ期間及び噴射量のばらつきを小さくすることができる。 【0040】本発明の請求項27記載の噴射特性調整方法によると、第1段階において開弁圧調整部材を移動させ噴射開始遅れ期間を調整した後、第2段階においてエアギャップ調整部材を移動させ噴射量を調整する。前述したとおり、開弁圧調整手段の移動に伴って噴射開始遅れ期間が変化し、リフト量調整部材の移動にともなって噴射量が変化する。一方、リフト量調整部材の移動によって噴射開始遅れ期間は変化しない。このため、開弁圧調整部材を位置決めして噴射開始遅れ期間を設定し、リフト量調整部材を位置決めして噴射量を設定することができる。したがって、本発明の請求項27記載の噴射特性調整方法によると、燃料噴射装置の噴射開始遅れ期間及び噴射量のばらつきを小さくすることができる。 【0041】本発明の請求項28記載の噴射特性調整方法によると、エンジン搭載時に圧力室に供給される燃料の最大圧力の1/2以下の所定圧力で圧力室に試験液を供給する。圧力室及び燃料溜まりに供給される燃料の圧力が低ければ低いほど、第一付勢手段の付勢荷重が噴射遅れに及ぼす影響が強くなる。したがって、本発明の請求項28記載の噴射特性調整方法によると、開弁圧調整部材の移動量が噴射開始遅れ期間の変化に大きく影響するため、噴射開始遅れ期間を精度よく調整することができる。このため、燃料噴射装置の噴射開始遅れ期間のばらつきを小さくすることができる。 【発明の実施の形態】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図に基づいて説明する。 (第1実施例)本発明の第1実施例による燃料噴射装置としてのインジェクタ1を図5に示す。インジェクタ1は図示しないエンジンのエンジンヘッドに挿入搭載され、エンジンの各気筒内に燃料を直接噴射するように構成されている。燃料噴射ポンプ104から吐出された高圧燃料は蓄圧管103の蓄圧室で所定圧に蓄圧され、配管102を通じてインジェクタ1に供給される。燃料噴射ポンプ104は、エンジンの回転数、負荷、あるいは吸入燃料圧力、吸入空気量、冷却水の温度にしたがい吐出圧を調整する。インジェクタ1及び燃料噴射ポンプ104はエンジン制御装置(ECU)106によって制御される。 【0042】図4に示すように、インジェクタ1のハウジング11とノズルボディ12とはリテーニングナット14で締結されている。ハウジング11にはニードル収納孔11d、燃料流入通路11a、燃料通路11b及びリーク通路11cが形成されている。リーク通路11cはニードル収納孔11dと連通している。燃料流入通路11aにはコネクタ11fに設けられているバーフィルタ13を通じて高圧燃料が供給される。ノズルボディ12には燃料通路12d、燃料溜まり12c、ニードル収納孔12e、噴孔12b、弁座12aが形成されている。燃料通路12d、燃料溜まり12c、ニードル収納孔12e、噴孔12bは相互に連通している。また、燃料通路12dは燃料通路11bに連通している。 【0043】ノズル弁部材20は、噴孔12b側からニードル20b、ロッド23及び制御ピストン20cにより構成されている。ニードル20bはニードル収納孔12eの内壁に往復移動自在に支持されている。ニードル20bのシート部20aが弁座12aに着座する。制御ピストン20cはニードル収納孔11dの内壁に往復移動自在に支持されている。ノズル弁部材20は、第1スプリング15により弁座12aに付勢されている。 【0044】図1に示すように、圧力室60は、ニードル収納孔11dの内壁面、制御ピストン20cの端面及びプレート65の端面に囲まれている。圧力室60は入口絞り61及び出口絞り62に連通している。出口絞り62の流路面積は入口絞り61の流路面積より大きく設定されている。入口絞り61はノズル弁部材20の制御ピストン20cに形成され燃料流入通路11aと連通している。燃料流入通路11aから入口絞り61を通じて圧力室60に高圧燃料が供給される。出口絞り62はプレート65に形成されており、低圧側の弁室63に連通している。出口絞り62の弁室側開口部は弁口64を形成している。プレート65の外壁とハウジング11の内壁の間には周方向に隙間が形成され、この隙間はリーク通路11cと連通している。特許請求の範囲に記載されたノズル本体は、ノズルボディ12、ハウジング11、リテーニングナット14及びプレート65によって構成されている。 【0045】弁室63は、釣鐘状のガイド部材17の内壁面及びプレート65の端面に囲まれている。ガイド部材17は大径円筒部17a及び小径円筒部17bから構成されている。大径円筒部17aのプレート65側端面に図示しない溝が形成され、この溝はプレート65の外周隙間を通じてリーク通路11cと弁室63とを連通させている。小径円筒部17bに逃がし通路17cが形成されている。プレート65及びガイド部材17は円筒状スクリュー16がハウジング11にねじ込まれることによって円筒状スクリュー16及びハウジング11の端面に挟持されている。円筒状スクリュー16の内壁と小径円筒部17bの外壁との間には周方向に隙間16aが形成されている。 【0046】制御弁部材40はガイド部材17の内壁に往復移動自在に支持されている。制御弁部材40は弁口64側から球状部材40a、管状部材40b、小径円柱部40c、大径円柱部40d及び枕状部材40eにより構成されている。球状部材40aは弁口64を閉塞可能に形成されている。球状部材40aは管状部材40bによって小径円柱部40cに締結されている。大径円柱部40dはガイド部材17の内壁面に往復移動自在に支持されている。枕状部材40eは円筒状のアーマチュア32の貫通孔32aに圧入固定されている。このため、アーマチュア32と制御弁部材40はハウジング11の軸方向に一体に往復移動する。枕状部材40eが圧入固定されている貫通孔32aは正円孔であるのに対し、枕状部材40eは非円柱状であるため、枕状部材40eの外周壁面と貫通孔32aの内周壁面との間には周方向に隙間32bが形成されている。隙間32bは隙間16a、逃がし通路17cを通じて弁室63に連通し、第一逃し通路を構成している。 【0047】制御手段としてのアクチュエータ30はハウジング11の端部に形成された円筒部11dの内壁面に支持され、ワッシャ19を介して第二付勢手段としての皿バネ18によって弁口64から離間する方向すなわち図1の上方向に付勢されている。アクチュエータ30は、ケース33、ステータ34、コイル35、コネクタ50等から構成されている。 【0048】ケース33は釣鐘状の部材であって円筒部11dの内壁に往復移動自在に支持されている。ケース33はコイル35が巻回されたボビン36を収納している。コイル35はコネクタ50に設けられたターミナル51と電気的に接続されている。コイル35が通電されるとステータ34、ケース33及びアーマチュア32によって磁気回路が構成される。ステータ34に付勢手段収納孔34cが形成されている。付勢手段収納孔34cは隙間32bと連通している。付勢手段収納孔34cは第一付勢手段としての第2スプリング38を収納している。付勢手段収納孔34cには反弁口側から開弁圧調整部材としてのアジャスティングスクリュー37がねじ込まれている。アジャスティングスクリュー37は円筒状であって、その内部空間は隙間32bと連通し第二逃し通路を構成している。付勢手段収納孔34cの反弁口側は拡径されており、配管102が接続される。また、アジャスティングスクリュー37の反弁口側端部には、インジェクタ1の外部からアジャスティングスクリュー37を回転させることができるように例えば径方向に溝が形成されている。 【0049】エアギャップ調整部材31は、円筒部11dに形成された雄ねじ11eにねじ合う雌ねじである。エアギャップ調整部材31の反ハウジング側内縁部に環状の突部31bが形成されている。突部31bの端面はステータ34に形成されたフランジ34bに当接している。ステータ34はワッシャ19を介して皿バネ18によって図1の上方向に付勢され、フランジ34bが突部31bによって係止されているため、エアギャップ調整部材31のねじ込み量によって、ハウジング11に軸方向に位置決めされて係止されている。また、インジェクタ1の内外及びアクチュエータ30の内外で十分なシール性を確保するための環状シール部材39が複数備えられている。 【0050】以上、インジェクタ1の構成を説明した。以下、インジェクタ1の燃料噴射作動を説明する。図5に示す燃料噴射ポンプ104から燃料が吐出され、蓄圧管103に送出される。蓄圧管103の蓄圧室で所定の一定圧に蓄圧された高圧燃料は配管102を通じてインジェクタ1に供給される。また、ECU106により、エンジンの運転条件に応じた制御弁駆動電流が生成され、アクチュエータ30のコイル35に供給される。コイル35に駆動電流が供給されるとステータ34に励起吸引力が発生する。この励起吸引力及び圧力室60の燃料圧力から受ける力の合力である弁口開放方向の力が第2スプリング38の付勢力を上回るとステータ34にアーマチュア32が吸引される。アーマチュア32がステータ34に吸引されるとアーマチュア32とともに制御弁部材40は弁口開放方向すなわち図1の上方に移動する。球状部材40aが弁口64を開放すると出口絞り62が開放され、圧力室60が出口絞り62を通じて低圧側の弁室63に連通し、圧力室60から弁室63に燃料が導出される。弁室63に導出された燃料は、逃がし通路17c、隙間16a、隙間32b、付勢手段収納孔34c及びアジャスティングスクリュー37の内部空間を通じて配管102から燃料タンク105に環流する。 【0051】圧力室60が弁室63に連通すると、圧力室60は、流入燃料量より流出燃料量が多く、燃料圧力が低下し始める。この圧力低下速度は、入口絞り61と出口絞り62との流路面積の差と圧力室60の容積によって決まる。圧力室60の燃料圧力が低下し、第1スプリング15の付勢荷重及び圧力室60の燃料圧力から受ける力の合力である噴孔閉塞方向の力が燃料溜まり12cの燃料圧力から受ける噴孔開放方向の力より小さくなるとニードル20bは噴孔開放方向すなわち図1の上方に移動しはじめ弁座12aから離座する。ニードル20bのシート部20aが弁座12aから離座すると噴孔12bが開放され噴孔12bから燃料が噴射される。 【0052】コイル35への駆動電流の供給が遮断されると、ステータの励起吸引力が消滅するため第2スプリング38は圧力室60の燃料圧力から受ける力に抗って制御弁部材40を弁口閉塞方向に移動させる。球状部材40aによって弁口64が閉塞された後にも圧力室60に入り口絞り61から燃料が流入し続けるため、圧力室60の燃料圧力は上昇し始める。圧力室60の燃料圧力が上昇し、第1スプリング15の付勢荷重及び圧力室60の燃料圧力から受ける力の合力である噴孔閉塞方向の力が燃料溜まり12cの燃料圧力から受ける噴孔開放方向の力より大きくなるとニードル20bは噴孔閉塞方向すなわち図1の下方に移動しはじめる。ニードル20bのシート部20aが弁座12aに着座すると噴孔12bが閉塞され燃料噴射が終了する。 【0053】以上、インジェクタ1の燃料噴射作動を説明した。次にコイル35に与えられる駆動パルスと燃料噴射との相関関係について図2に基づき詳細に説明する。図2はインジェクタ1に方形の駆動パルスを与えたときの電流波形変化と制御弁部材40及びノズル弁部材20の作動と噴射率の変化とを示すタイムチャートである。このタイムチャートはインジェクタ1に固有のものではなく所謂蓄圧式インジェクタに共通するものである。 【0054】(1)駆動パルスが立ち上がってから制御弁部材40が弁口開放方向に移動開始するまでには、制御弁部材40が第2スプリング38の付勢力及び圧力室60の燃料圧力の合力に抗って弁口開放方向に移動開始するために必要な励起吸引力がステータ34に発生するまでの期間bを要する。したがって、第2スプリング38の付勢荷重が小さいほどbは短くなり、付勢力が大きいほどbは長くなる。 【0055】(2)制御弁部材40が弁口64を開放すると、圧力室60の燃料圧力は出口絞り62からの燃料流出量と入り口絞り61からの燃料流入量との差分に応じて徐々に低下する。ノズル弁部材20が弁座12aから離座し噴孔12bから燃料噴射が開始されるまでには、圧力室60の燃料圧力によりノズル弁部材20に及ぼす力が燃料溜まり12cの燃料圧力による力と第1スプリング15による付勢力との合力である噴孔開放方向の力を下回るまでの期間dを要する。 【0056】(3)駆動パルスが立ち上がってから燃料噴射が開始されるまでの噴射開始遅れ期間L2 は、期間bと期間dとの和であるため、第2スプリング38の付勢荷重によって調整することができる。 【0057】(4)ノズル弁部材20が弁座12aから離座しリフト量がPになるまでの期間hでは、噴孔流路面積より弁座12aとシート部21aのシート流路面積が小さいため、噴射率がシート流路面積によって支配される。したがって、期間hではリフト量が大きくなるにしたがって噴射率が大きくなる。尚、ノズル弁部材20のリフト量がPであるとき、噴孔流路面積とシート流路面積とが等しいものとする。また、シート流路面積とは、弁座と弁部材のシート面の隙間の最小断面積をいうものとする。 【0058】(5)リフト量がPの状態からフルリフトするまでの期間iでは、シート流路面積より噴孔流路面積が小さいため、噴射量が噴孔流路開口面積によって支配される。したがって、期間iでは、リフト量が時間とともに大きくなる一方、噴射率は一定である。 【0059】(6)駆動パルスが立ち下がると制御弁部材40は弁口閉塞方向に移動開始する。制御弁部材40は、フルリフトした状態から弁口閉塞方向に移動して弁口閉塞するまでの期間cにエアギャップHと等しい距離を移動する。したがって、第2スプリングの付勢荷重が一定である場合、エアギャップHが大きければ制御弁部材40の移動距離が長くなるため区間cが長くなり、エアギャップHが小さければ制御弁部材40の移動距離が短くなるため区間cが短くなる。また、エアギャップHが一定である場合、第2スプリング38の付勢荷重が大きければ制御弁部材40の移動が速くなるため区間cが短くなり、付勢荷重が小さければ制御弁部材40の移動が遅くなるため区間cが長くなる。 【0060】(7)制御弁部材40が弁口64を閉塞すると、圧力室60の燃料圧力は入り口絞り61からの燃料流入により徐々に上昇する。ノズル弁部材20がフルリフトした状態から噴孔閉塞方向に移動開始するまでには、圧力室60の燃料圧力によりノズル弁部材20に及ぼす力が燃料溜まり12cの燃料圧力による力と第1スプリング15による付勢力との合力である噴孔開放方向の力を上回るまでの期間eを要する。 【0061】(8)ノズル弁部材20がフルリフトした状態から噴孔閉塞方向に移動開始し、リフト量がPになるまでの期間jでは、シート流路面積より噴孔流路面積が小さいため、噴射率が噴孔流路面積によって支配される。したがって、期間jでは、リフト量が時間とともに小さくなる一方、噴射率は一定である。 【0062】(9)リフト量がPの状態からノズル弁部材20が弁座12aに着座し噴孔12bを閉塞するまでの期間kでは、噴孔流路面積よりシート流路面積が小さいため、噴射率がシート絞りによって支配される。したがって、期間kではリフト量が小さくなるにしたがって噴射率が小さくなる。 【0063】(10)駆動パルスが立ち下がってから燃料噴射が終了するまでの噴射終了遅れ期間L1 は、期間c、e、j及びkの和である。噴射終了遅れ期間L1 が長い場合、噴射量が大きくなる。このため、エアギャップHまたは第2スプリング38の付勢荷重によって噴射量を調整することができる。 【0064】以上、コイル35に与えられる駆動パルスと燃料噴射との相関関係について説明した。次にインジェクタ1の噴射特性の調整について説明する。第2スプリング38は一端が制御弁部材40に当接し他端がアジャスティングスクリュー37に当接している。このため、付勢手段収納孔34cへのねじ込み量を変えると、アジャスティングスクリュー37が付勢手段収納孔34cの軸方向に移動し、第2スプリング38の付勢荷重が変化する。 【0065】付勢手段収納孔34cは閉塞されておらず、また、インジェクタ1に噴射作動させるにあたって、アジャスティングスクリュー37の反スプリング側に何ら部品を組み付ける必要がない。このため、コネクタ11fに配管を接続しインジェクタ1に燃料を供給し、ターミナル51からコイル35に駆動パルスを与え、インジェクタ1が燃料噴射可能な状態において、アジャスティングスクリュー37のねじ込み量を調整することができる。 【0066】ステータ34はワッシャ19を介して皿バネ18によって図1の上方向に付勢され、フランジ34bが突部31bによって係止されているため、エアギャップ調整部材31のねじ込み量によって、ハウジング11の軸方向に位置決めされる。したがって、エアギャップ調整部材31のねじ込み量を変えると、ステータ34がハウジング11の軸方向に移動し、エアギャップHが変化する。 【0067】エアギャップ調整部材31はインジェクタ1の外周部位に設けられているため、コネクタ11fに配管を接続しインジェクタ1に燃料を供給し、ターミナル51からコイル35に駆動パルスを与え、インジェクタ1が燃料噴射可能な状態において、エアギャップ調整部材31のねじ込み量を調整することができる。 【0068】以上のことから、インジェクタ1によると、噴射作動に必要な部材の組み付け後にアジャスティングスクリュー37をねじ回すことにより第2スプリング38が制御弁部材40を弁口閉塞方向に付勢する付勢荷重を調整し、噴射開始遅れ期間及び噴射量を調整することができる。さらに、インジェクタ1によると、噴射作動に必要な部材の組み付け後にエアギャップ調整部材31をねじ回すことによりエアギャップHを調整し、噴射量を調整することができる。したがって、インジェクタ1によると、生産性を高めるとともに噴射開始遅れ期間及び噴射量のばらつきを小さくすることができる。また、アジャスティングスクリュー37及びエアギャップ調整部材31のねじ込み量は締め付け方向及び弛緩方向に調整することができるため、噴射作動に必要な部材の組み付け後に第2スプリング38の付勢荷重及びエアギャップHを調整するにあたって、噴射開始遅れ期間及び噴射量を計測し、計測結果をねじ込み量にフィードバックすることができる。また、ステータ34とエアギャップ調整部材31とは滑り対偶をなすため、アクチュエータ30は、エアギャップ調整部材31の回転にともなってハウジング11に対して回転することがない。したがって、リテーニングナットの組み付け及びねじ込み量の調整が容易である。 【0069】また、インジェクタ1によると、圧力室60から弁室63に導出された燃料は、逃がし通路17c、隙間16a、隙間32b、付勢手段収納孔34c及びアジャスティングスクリュー37の内部空間を通じてインジェクタ1から導出される。すなわち、圧力室60の燃料をコイル35及びボビン36の内側を通じてインジェクタ1の外部に排出することができる。さらに、ハウジング11、アクチュエータ30及びエアギャップ調整部材31を同軸上に配列しており、ねじ棒等によってアクチュエータ30をハウジング11に係止していない。したがって、本発明の第1実施例のインジェクタ1によると、径方向の体格を小さくすることができる。また、アクチュエータ30をハウジング11に対して軸方向に位置決めするにあたって皿バネ18を用いているため、軸方向の体格を小さくすることができる。 【0070】尚、調整によって所望の噴射特性が得られた場合、ハウジング11に対して軸方向にアクチュエータを位置決めして固定するため、エアギャップ調整部材31とハウジング11の円筒部11dとをかしめることが望ましい。 【0071】上記第1実施例において、特許請求の範囲に記載されたエアギャップ調整部材として雌ねじを用いているが、ケース33を雄ねじとし円筒部11dを雌ねじとする構成としてもよい。また、エアギャップ調整部材として円筒部11dに圧入される部材を用いてもよい。また、開弁圧調整部材としてアジャスティングパイプを用い、付勢手段収納孔34cに圧入する構成としてもよい。また、第二付勢手段として皿バネを用いているが、第二付勢手段としてコイルスプリングを用いてもよい。入り口絞り61はノズル弁部材20の制御ピストン20cに形成されているが、制御ピストン20cの内部を経由せず、燃料流入通路11aから直接圧力室60に燃料を供給してもよい。 【0072】(第2実施例)本発明の第2実施例としてインジェクタ1の噴射特性調整方法を説明する。第2実施例による噴射特性調整方法は、パルス幅αの第1パルス及びパルス幅γの第2パルスをコイル35に与えつつ、アジャスティングスクリュー37のねじ込み量を調整することによって、インジェクタ1の噴射量を調整する方法である。 【0073】無限大の幅を持つ駆動パルスをコイル35に与えたとき、駆動パルスの立ち上がりから最大噴射率が得られるまでに要する期間をβとする。エンジン搭載時にインジェクタ1に供給される最大燃料圧力をPmとし、調整時にインジェクタ1に供給される液体圧力をPtとする。 【0074】第1パルスを与えてインジェクタ1を調整する調整点1における目標噴射量を第1目標値V1d、調整点1において計測される噴射量をV1t、第2パルスを与えてインジェクタ1を調整する調整点2における目標噴射量を第1目標値V2d、調整点2において計測される噴射量をV2tとする。また、調整点1において算出される偏差をδ1t、調整点2において算出される偏差をδ2tとし、調整点1の許容偏差をδ1m、調整点2の許容偏差をδ2mとする。δ1tとδ2tの積をPNとする。δ1t及びδ2tの二乗和をXt、Xtの目標値をXdとする。XdとXtから算出される偏差をδXt、XdとXtの許容偏差をδXmとする。 【0075】図6に示すように、一定圧で試験液を圧送可能なポンプ303とインジェクタ1とを試験液供給用の配管304で接続し、タンク302とインジェクタ1の燃料流入通路11aとを連通させる。ポンプ303は制御部305によって制御される。噴孔12bの下流側に計測部307を設置する。制御部305はターミナル51を介してインジェクタ1のコイル35と電気的に接続され、任意のパルス幅をもつ駆動パルスを生成しコイル35に与えることができる。計測部307は噴射開始時及び噴射量を検出可能なセンサを備えている。計測部307は制御部305に制御される。アジャスティングスクリュー37の端部にアジャスティングパイプ308を係止し、アジャスティングスクリュー37内の通路とアジャスティングパイプ308内の通路を連通させる。アジャスティングパイプ308はアジャスティングスクリュー37をねじ回すことができるものである。支持部材309でアジャスティングパイプ308を回転自在に支持する。支持部材309はアジャスティングパイプ308内の通路から試験液を配管301に導出可能なものである。配管301はタンク302にインジェクタ1から排出される試験液を排出する。アジャスティングロッド310はアジャスティングパイプ308と同軸上に設けられ、アジャスティングスクリュー37及びアジャスティングパイプ308とともに回転する。 【0076】ポンプ303を駆動しPt=Pmを満たす一定圧Ptでインジェクタ1に試験液を圧送し、制御部305にα<βを満たす第1パルス及びγ>βを満たす第2パルスを生成させ、コイル35に第1パルス及び第2パルスを交互に与え、インジェクタ1に噴孔12bから試験液を噴射させる。インジェクタ1に圧送された試験液は噴孔12bから噴射されるとともにアジャスティングパイプ308によってインジェクタ1から導出される。 【0077】噴孔12bから噴射された試験液の噴射量V1t及びV2tを計測部307で検出する。制御部305は計測部307で検出された噴射量をデータ信号として受信し、下式を用いてδ1t、δ2t、Xt及びδXtを算出し、δ1t、δ2t、Xt、δXtの値を表示部306に表示する。 δ1t=V1d−V1tδ2=V2d−V2tPN=δ1t×δ2tXt=δ1t2+δ2t2δXt=Xd−Xt【0078】オペレータは図7に示す手順によってインジェクタ1の噴射量を調整する。表示部306に表示されるXtの値が目標値Xdに近づくようにアジャスティングロッド310を回転させ、アジャスティングパイプ308を介してアジャスティングスクリュー37をねじ回し、Xt=Xdとなればインジェクタ1を合格とし調整を終了する(STEP10)。勿論、初期値がXt≦Xdであれば調整は不要である。Xt=Xdとならない場合、アジャスティングスクリュー37をねじ回すことによりδXtがδXm以下の最小値になったときにインジェクタ1を合格とし調整を終了する(STEP20)。δXtがδXm以下とならない場合、アジャスティングスクリュー37をねじ回すことによりδ1t<δ1m、δ2t<δ2m、かつPN<0となったときにインジェクタ1を合格とし調整を終了する(STEP30)。δ1t<δ1m、δ2t<δ2m、かつPN<0とならない場合、インジェクタ1を不合格として調整を終了する。 【0079】アジャスティングスクリュー37は、ねじ回されると付勢手段収納孔34cに対して軸方向に移動する。アジャスティングスクリュー37が付勢手段収納孔34cに対して軸方向に移動すると第2スプリング38の付勢荷重が変化する。第2スプリング38の付勢荷重が変化すると、所定のパルス幅に対する噴射期間が変化する。噴射期間が同じである場合、インジェクタ1に供給される試験液の圧力が高ければ高いほど噴射量は大きくなる。このため、インジェクタ1に供給される試験液の圧力が高ければ高いほど、アジャスティングスクリュー37のねじ込み量の変化に対する噴射量の変化が顕著に現れる。 【0080】一定圧Ptでインジェクタ1に試験液を圧送し、所定幅の駆動パルスをコイル35に与えつつ噴射量を調整する場合、Ptが高圧であるほど、アジャスティングスクリュー37のねじ込み量の変化が噴射量の変化に顕著に現れる。噴射量の増減に応じてδ1t、δ2t、Xt、δXtが増減するため、噴射量の変化が顕著であればδ1t、δ2t、Xt、δXtの変化も顕著になる。したがって、Ptが高圧であるほど、アジャスティングスクリュー37のねじ込み量の変化に対してδ1t、δ2t、Xt、δXtが敏感に増減する。 【0081】本発明の第2実施例による噴射特性調整方法によると、エンジン搭載時にインジェクタ1に供給される最大燃料圧力でインジェクタ1に試験液を供給しつつアジャスティングスクリュー37のねじ込み量を調整するため、噴射量を精度よく調整することができる。このため、インジェクタ1の噴射量のばらつきを小さくすることができる。 【0082】インジェクタ1は、燃料流入通路11a、燃料通路11b、燃料溜まり12c、噴孔12b等の製造公差による最大噴射率のばらつきがある。したがって、第2スプリングの付勢荷重を完全に揃えた場合であっても、インジェクタ1の噴射量特性にばらつきが生じる。したがって、所定パルス幅をもつ一種類の駆動パルスに対して計測される噴射量を目標値に合わせた場合、そのパルス幅の駆動パルスが与えられたときのインジェクタの噴射量を揃えることはできても、エンジン搭載時にインジェクタに与えられるあらゆる幅の駆動パルスに対して噴射量を揃えたことにはならない。以下、この点について図3に基づき詳細に説明する。 【0083】図3において曲線Aは調整点1のみにおいて目標値を設定し、その目標値が計測されるようにアジャスティングスクリュー37のねじ込み量を調整した場合に得られるインジェクタ1の噴射量特性を示している。図3において曲線Bは第2実施例の噴射特性調整方法により調整点1及び2において目標値を設定した場合に得られるインジェクタ1の噴射量特性を示している。図3において曲線Cは、調整点2のみにおいて目標値を設定し、その目標値が計測されるようにアジャスティングスクリュー37のねじ込み量を調整した場合に得られるインジェクタ1の噴射量特性を示している。図3において曲線Dは、燃料流入通路11a、燃料通路11b、燃料溜まり12c、噴孔12b等の製造公差が0であるとしたときのインジェクタ1の噴射量特性を示している。 【0084】曲線A、B、C、Dはいずれも最大噴射率が得られるパルス幅βにおいて特異点をもつ。特異点より短いパルス幅において、曲線A、B、C、Dはいずれも放物線に近似し、特異点より長いパルス幅において曲線A、B、C、Dは特異点における放物線の接線に一致する直線に近似する。特異点より短いパルス幅において曲線A、B、C、Dが放物線となるのは、そのパルス幅の範囲においてインジェクタの噴射率はノズル弁部材20のシート流路面積によって決まるため、噴射率がノズル弁部材20のリフト量に比例して増加するからである。特異点より短いパルス幅において曲線A、B、C、Dが直線となるのは、そのパルス幅の範囲においてインジェクタの噴射率は噴孔流路面積によって決まるため、噴射率が一定だからである。したがって、特異点より長いパルス幅においては、インジェクタ1の噴射量をどのように調整したとしても、調整後の噴射特性を表す曲線はほぼ平行になる。 【0085】調整点1のみにおいて目標値を設定し、噴射量がその目標値に一致するようにインジェクタ1を調整した場合、曲線Aが示すとおり、調整点1よりパルス幅が長くなるにつれ、インジェクタ1の噴射量特性は曲線Dによって表される理想的な噴射量特性と大きく乖離したものとなる。 【0086】調整点2のみにおいて目標値を設定し、噴射量がその目標値に一致するようにインジェクタ1を調整した場合、曲線Cが示すとおり、調整点1とパルス幅が異なる広い範囲にわたって、インジェクタ1の噴射量特性は曲線Dによって表される理想的な噴射量特性と大きく乖離したものとなる。 【0087】本発明の第2実施例のように、調整点1及び2において目標値を設定し、噴射量を調整した場合、検査対象のインジェクタ1が物理的に完全に同一でない限り、調整点1及び2の目標値に対する偏差がともに0になることはない。第2実施例では、調整点1及び2における偏差の二乗和に目標値Xdを設定し、その目標値Xdとの偏差δXtが最小になるようにアジャスティングスクリュー37のねじ込み量を調整する。したがって、調整点1及び調整点2の間のパルス幅において調整後のインジェクタ1の噴射量特性を製造公差0である理想的なインジェクタの噴射量特性に最も近似させることができる。 【0088】また、偏差δXtが所定の許容偏差以下とならず、δ1t<δ1m、δ2t<δ2m、かつPN<0を満たすようにアジャスティングスクリュー37のねじ込み量を調整する場合であっても、調整点1及び2に偏差を加味し、また、調整点1と調整点2との間のパルス幅において理想的な噴射量特性に一致する噴射量が得られるため(PN<0であるため)、インジェクタ1の噴射量特性が調整点1と調整点2との間のパルス幅において理想的な噴射量特性と大きくずれることはない。 【0089】したがって、本発明の第2実施例による噴射特性調整方法によると、調整点1及び2を適切に設定することによってインジェクタ1の噴射量特性を実用パルス幅全般において理想的な噴射量特性に近似させることができる。したがって、インジェクタ1の噴射量のばらつきを実用パルス幅全般において小さくすることができる。 【0090】(第3実施例)本発明の第3実施例としてインジェクタ1の噴射特性調整方法を説明する。第3実施例による噴射特性調整方法は、上述の第2実施例においてアジャスティングスクリュー37のねじ込み量を調整するのにかえて、第2実施例と同一の条件を設定しエアギャップ調整部材31のねじ込み量を調整するものである。また、第3実施例におけるエアギャップ調整部材31の調整手順は、上記第2実施例において説明したSTEP10〜40の手順においてアジャスティングスクリュー37をねじ回すことをせず、かわりにエアギャップ調整部材31をねじ回して噴射量を調整するものである。 【0091】エアギャップ調整部材31は、ねじ回されるとハウジング11に対して軸方向に移動する。エアギャップ調整部材31がハウジング11に対して軸方向に移動すると、それにともなってステータ34がハウジング11に対して軸方向に移動する。ステータ34がハウジング11に対して軸方向に移動するとエアギャップHが増減し、それにともなって、所定のパルス幅に対する噴射期間が変化する。噴射期間が同じである場合、インジェクタ1に供給される試験液の圧力が高ければ高いほど噴射量は大きくなる。このため、インジェクタ1に供給される試験液の圧力が高ければ高いほど、エアギャップ調整部材31のねじ込み量の変化に対する噴射量の変化が顕著に現れる。 【0092】一定圧Ptでインジェクタ1に試験液を圧送し、所定幅の駆動パルスをコイル35に与えつつ噴射量を調整する場合、Ptが高圧であるほど、エアギャップ調整部材31のねじ込み量の変化が噴射量の変化に顕著に現れる。噴射量の増減に応じてδ1t、δ2t、Xt、δXtが増減するため、噴射量の変化が顕著であればδ1t、δ2t、Xt、δXtの変化も顕著になる。したがって、Ptが高圧であるほど、エアギャップ調整部材31のねじ込み量の変化に対してδ1t、δ2t、Xt、δXtが敏感に増減する。 【0093】本発明の第3実施例による噴射特性調整方法によると、エンジン搭載時にインジェクタ1に供給される最大燃料圧力でインジェクタ1に試験液を供給しつつエアギャップ調整部材31のねじ込み量を調整するため、噴射量を噴射量を精度よく調整することができる。このため、燃料噴射装置の噴射量のばらつきを小さくすることができる。 【0094】調整点1及び2における偏差の二乗和に目標値Xdを設定し、その目標値Xdとの偏差δXtが最小になるようにエアギャップ調整部材31のねじ込み量を調整するため、調整点1及び調整点2の間のパルス幅において調整後のインジェクタ1の噴射量特性を製造公差0である理想的なインジェクタの噴射量特性に最も近似させることができる。 【0095】また、偏差δXtが所定の許容偏差以下とならず、δ1t<δ1m、δ2t<δ2m、かつPN<0を満たすようにエアギャップ調整部材31のねじ込み量を調整する場合であっても、調整点1及び2における偏差を加味し、また、調整点1と調整点2との間のパルス幅において理想的な噴射量特性に一致する噴射量が得られるため(PN<0であるため)、インジェクタ1の噴射量特性が調整点1と調整点2との間のパルス幅において理想的な噴射量特性と大きくずれることはない。 【0096】したがって、本発明の第3実施例による噴射特性調整方法によると、調整点1及び2を適切に設定することによってインジェクタ1の噴射量特性を実用パルス幅全般において理想的な噴射量特性に近似させることができる。また、インジェクタ1の噴射量のばらつきを実用パルス幅全般において小さくすることができる。 【0097】(第4実施例)本発明の第4実施例としてインジェクタ1の噴射特性調整方法を説明する。第4実施例による噴射特性調整方法は、パルス幅αの第1パルス及びパルス幅γの第2パルスをコイル35に与えつつ、アジャスティングスクリュー37のねじ込み量を調整することによってインジェクタ1の噴射開始遅れ期間を調整した後、エアギャップ調整部材31のねじ込み量を調整することによって噴射量を調整する方法である。パルス幅α、γは第1実施例及び第2実施例と同様にα<β<γを満たすものである。 【0098】(1)噴射遅れ期間の調整はじめにインジェクタ1の噴射開始遅れ期間を調整する。噴射遅れ期間を調整する場合、第1パルス又は第2パルスのいずれか一方をコイル35に与えれば足り、第1パルス及び第2パルスの両方をコイル35に与える必要はない。以下の説明では第1パルスを与えつつインジェクタ1の噴射遅れ期間を調整するものとする。 【0099】ポンプ303を駆動しPt<0.5Pmを満たす一定圧Ptでインジェクタ1に試験液を圧送し、制御部305にα<βを満たす第1パルスを生成させ、コイル35に第1パルスを与え、インジェクタ1に噴孔12bから試験液を噴射させる。インジェクタ1に圧送された試験液は噴孔12bから噴射されるとともにアジャスティングパイプ308によってインジェクタ1から導出される。 【0100】噴孔12bから噴射された試験液の噴射量V1tを計測部307で検出する。計測部307は噴孔12bから燃料が噴射開始されるとそれを検知し制御部305に通知する。制御部305は計測部307から噴射開始の通知を受けると、駆動パルスの送信時期から通知受け取り時期までの期間を算出し、この期間を噴射開始遅れ期間として表示部306に表示する。 【0101】オペレータは表示部306に表示される噴射開始遅れ期間が目標値に一致するようにアジャスティングロッド310を回転させ、アジャスティングパイプ308を介してアジャスティングスクリュー37をねじ回す。アジャスティングスクリュー37をねじ回し、噴射遅れ期間と目標値との偏差が許容偏差以内に収まれば噴射遅れ期間の調整を終了する。 【0102】制御弁部材40が弁口64を閉塞している場合、ポンプ303からインジェクタ1に供給される試験液の圧力は圧力室60の試験液圧力と等しい。制御弁部材40は、圧力室60の試験液圧力から受ける力とステータ34の励起吸引力との合力である弁口開放方向の力が第2スプリング38の付勢力を上回ったときにリフト開始する。圧力室60の試験液圧力から受ける力が小さい場合、弁口開放方向の力に対する第2スプリング38の付勢力の割合が大きくなる。したがって、ポンプ303からインジェクタ1に供給される燃料の圧力が低い場合、第2スプリング38の付勢力の変化に対して噴射開始遅れ期間が敏感に変化する。 【0103】したがって、インジェクタ1に供給する試験液の圧力を下げるほど、噴射遅れ期間を精度よく調整することができる。本発明の第4実施例による噴射特性調整方法によると、Pt<0.5Pmを満たす一定圧Ptでインジェクタ1に試験液を圧送しているため、インジェクタ1の噴射開始遅れ期間を精度よく調整することができる。このため、インジェクタ1の噴射開始遅れ期間のばらつきを小さくすることができる。 【0104】(噴射量の調整)上述のように噴射開始遅れ期間を調整した後噴射量を調整する。噴射量の調整手順は第3実施例に述べたとおりである。すなわち、ポンプ303を駆動しPt=Pmを満たす一定圧Ptでインジェクタ1に試験液を圧送し、制御部305にα<βを満たす第1パルス及びγ>βを満たす第2パルスを生成させ、コイル35に第1パルス及び第2パルスを交互に与えつつ、エアギャップ調整部材31をねじ回してインジェクタ1の噴射量を調整する。 【0105】ステータ34の励起吸引力は第2スプリング38の付勢力より十分大きく設定されているため、エアギャップ調整部材31をねじ回すとエアギャップHが変化するところ、このエアギャップHの大きさは制御弁部材40がリフト開始するときの作動に何ら影響を及ぼさない。したがって、エアギャップ調整部材31をねじ回して噴射量を調整したとしても噴射開始遅れ期間は変化しない。 【0106】本発明の第4実施例による噴射特性調整方法によると、はじめにアジャスティングスクリュー37のねじ回し量を調整することによって噴射開始遅れ期間を調整し、その後、エアギャップ調整部材31のねじ回し量を調整することによって噴射量を調整しているため、インジェクタ1の噴射開始遅れ期間及び噴射量のばらつきの両方を調整することができる。したがって、インジェクタ1の噴射開始遅れ期間及び噴射量のばらつきの両方を小さくすることができる。 【0107】尚、上述の第2、3、4実施例において第1パルス及び第2パルスはコイル35に交互に与えるものとしたが、第1パルス及び第2パルスを与えたときの噴射量が計測または予測できるのであれば、第1パルス及び第2パルスを交互にコイル35に与える必要はない。また、第1パルス及び第2パルスのパルス幅がα<β<γを満たさない場合であっても、少なくとも2種類のパルス幅をもつ駆動パルスを与えることによってインジェクタ1の噴射量のばらつきを小さくすることができる。第1パルス及び第2パルスのパルス幅がα<β<γを満たす場合には、インジェクタ1の噴射量のばらつきを実用パルス幅全般において小さくすることができ、α<γ<βを満たす場合には、エンジンの低速回転域におけるインジェクタ1の噴射量のばらつきを小さくすることができ、β<α<γを満たす場合には、エンジンの高速回転域におけるインジェクタ1の噴射量のばらつきを小さくすることができる。また、噴射開始遅れ期間及び噴射量の調整はオペレータによる手動制御としたが、ステップモータ等を用いてエアギャップ調整部材31及びアジャスティングロッド310を回転させ、その回転を制御部305に制御させる自動制御としてもよい。調整を自動制御とする場合、制御部307の検出結果をフィードバックしてより正確な調整が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー 【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月13日(2000.3.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093779 【弁理士】 【氏名又は名称】服部 雅紀
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| 【公開番号】 |
特開2001−254657(P2001−254657A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月21日(2001.9.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−68754(P2000−68754) |
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