トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 EGRクーラ
【発明者】 【氏名】辻田 誠

【氏名】山下 洋二

【要約】 【課題】排気ガスがチューブの内周面に満遍なく且つ十分に接触するようにして、EGRクーラの熱交換効率を向上させる。

【解決手段】チューブ3と、該チューブ3を包囲するシェル1とを備え、該シェル1の内部に冷却水9を給排し且つ前記チューブ3内に排気ガス10を通して該排気ガス10と前記冷却水9とを熱交換するようにしたEGRクーラに関し、前記チューブ3の内周面に、該チューブ3の軸心線xと直交する面に対し5゜〜25゜の傾斜角θを有するスパイラル状突起12を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 チューブと、該チューブを包囲するシェルとを備え、該シェルの内部に冷却水を給排し且つ前記チューブ内に排気ガスを通して該排気ガスと前記冷却水とを熱交換するようにしたEGRクーラであって、前記チューブの内周面に、該チューブの軸心線と直交する面に対し5゜〜25゜の傾斜角を有するスパイラル状突起を形成したことを特徴とするEGRクーラ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの排気ガスを再循環して窒素酸化物の発生を低減させるEGR装置に付属されて再循環用排気ガスを冷却するEGRクーラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より自動車等のエンジンの排気ガスの一部をエンジンに再循環して窒素酸化物の発生を低減させるEGR装置が知られているが、このようなEGR装置では、エンジンに再循環する排気ガスを冷却すると、該排気ガスの温度が下がり且つその容積が小さくなることによって、エンジンの出力を余り低下させずに燃焼温度を低下して効果的に窒素酸化物の発生を低減させることができる為、エンジンに排気ガスを再循環するラインの途中に、排気ガスを冷却するEGRクーラを装備したものがある。
【0003】図5は前記EGRクーラの一例を示す断面図であって、図中1は円筒状に形成されたシェルを示し、該シェル1の軸心方向両端には、シェル1の端面を閉塞するようプレート2,2が固着されていて、該各プレート2,2には、多数のチューブ3の両端が貫通状態で固着されており、これら多数のチューブ3はシェル1の内部を軸心方向に延びている。
【0004】そして、シェル1の一方の端部近傍には、外部から冷却水入口管4が取り付けられ、シェル1の他方の端部近傍には、外部から冷却水出口管5が取り付けられており、冷却水9が冷却水入口管4からシェル1の内部に供給されてチューブ3の外側を流れ、冷却水出口管5からシェル1の外部に排出されるようになっている。
【0005】更に、各プレート2,2の反シェル1側には、椀状に形成されたボンネット6,6が前記各プレート2,2の端面を被包するように固着され、一方のボンネット6の中央には排気ガス入口7が、他方のボンネット6の中央には排気ガス出口8が夫々設けられており、エンジンの排気ガス10が排気ガス入口7から一方のボンネット6の内部に入り、多数のチューブ3を通る間に該チューブ3の外側を流れる冷却水9との熱交換により冷却された後に、他方のボンネット6の内部に排出されて排気ガス出口8からエンジンに再循環するようになっている。
【0006】尚、図中11は冷却水入口管4に対しシェル1の直径方向に対峙する位置に設けたバイパス出口管を示し、該バイパス出口管11から冷却水9の一部を抜き出すことにより、冷却水入口管4に対峙する箇所に冷却水9の澱みが生じないようにしてある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、斯かる従来のEGRクーラにおいては、排気ガス10がチューブ3内をストレートに流れ、チューブ3の内周面に対して排気ガス10が十分に接触しないために熱交換効率が悪いという問題があった。
【0008】本発明は上述の実情に鑑みて成されたもので、排気ガスがチューブの内周面に満遍なく且つ十分に接触するようにして、EGRクーラの熱交換効率を向上させることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、チューブと、該チューブを包囲するシェルとを備え、該シェルの内部に冷却水を給排し且つ前記チューブ内に排気ガスを通して該排気ガスと前記冷却水とを熱交換するようにしたEGRクーラであって、前記チューブの内周面に、該チューブの軸心線と直交する面に対し5゜〜25゜の傾斜角を有するスパイラル状突起を形成したことを特徴とするものである。
【0010】而して、このようにチューブの内周面にスパイラル状突起を形成すれば、チューブ内を流れる排気ガスが、スパイラル状突起に沿い旋回流となって乱流化し、チューブの内周面に対する接触頻度や接触距離が増加する結果、排気ガスがチューブの内周面に満遍なく且つ十分に接触することになり、EGRクーラの熱交換効率が大幅に向上される。
【0011】ここで、前記スパイラル状突起には、チューブの軸心線と直交する面に対し5゜〜25゜の傾斜角を付してあるが、発明者らによる実験によれば、この傾斜角を5゜より小さくしても、圧力損失が高まるばかりで実質的な熱交換量の増加は殆ど望めないのであり、また、傾斜角を25゜より大きくしても、僅かな角度の増加により交換熱量が大幅に低減する傾向が強まるばかりでメリットがなく、しかも、排気ガスに与えられる旋回力が不足することにより排気ガス中に含まれる煤が旋回中心に集まる作用が著しく損なわれてチューブ内での煤堆積の増加を招いてしまうことが確認されたので、このような実験結果に基づき、エンジンルーム内への搭載性を考慮した適切な寸法形状のEGRクーラについて検討すると、スパイラル状突起の傾斜角を5゜〜25゜の範囲に特定することが最も効果的な最適条件として決まるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0013】図1は、本発明を実施する形態の一例を示す拡大断面図であって、図5と同一部分については同一符号を付してある。
【0014】図1及び図2に示す如く、本形態例においては、先に図5で説明したEGRクーラと略同様に構成したEGRクーラに関し、排気ガス10が流通するチューブ3の内周面に、該チューブ3の軸心線xと直交する面に対し5゜〜25゜の傾斜角θを有するスパイラル状突起12を形成しており、ここに図示している例では、約20゜程度の傾斜角θを付してスパイラル状突起12を形成している。
【0015】ここで、肉厚の薄いチューブ3においては、スパイラル状突起12を形成するにあたり、チューブ3を外から螺旋状に凹ませる押圧加工を螺旋凸条を有するロール等で施せば、外から押圧した箇所がチューブ3の内周面にスパイラル状突起12として形成されることになる。
【0016】ただし、肉厚の厚いチューブ3においては、スパイラル状突起12を形成するにあたり、スパイラル状突起12を残すようにチューブ3の内周面を切削加工しても良い。
【0017】尚、図3に示す如く、チューブ3の内周面に形成されるスパイラル状突起12の高さ寸法hは、チューブ3の内径寸法dの5〜15%程度に形成すれば良い。
【0018】このようにチューブ3の内周面にスパイラル状突起12を形成すれば、チューブ3内を流れる排気ガス10が、スパイラル状突起12に沿い旋回流となって乱流化し、チューブ3の内周面に対する接触頻度や接触距離が増加する結果、排気ガス10がチューブ3の内周面に満遍なく且つ十分に接触することになり、EGRクーラの熱交換効率が大幅に向上される。
【0019】ここで、前記スパイラル状突起12には、チューブ3の軸心線xと直交する面に対し5゜〜25゜の傾斜角θを付してあるが、発明者らによる実験によれば、例えば図4にグラフ(スパイラル状突起12の傾斜角θを0゜〜90゜の範囲で変化させた場合の交換熱量Qと圧力損失ΔPgの関係を示したもの)で示す如き実験結果が得られており、このグラフから明らかであるように、スパイラル状突起12の傾斜角θを5゜より小さくしても、圧力損失が高まるばかりで実質的な熱交換量の増加は殆ど望めないのであり、また、傾斜角θを25゜より大きくしても、僅かな角度の増加により交換熱量が大幅に低減する傾向が強まるばかりでメリットがない。
【0020】尚、ここで、図4のグラフに関し、傾斜角θを0゜とした場合の実験結果が曲線上に乗らない理由について付言しておくと、傾斜角θが0゜ということは、チューブ3の軸心方向に多数のリング状突起が形成されることを意味しており、このようなリング状突起では、チューブ3内を流れる排気ガス10が旋回流を形成せず、膨張・圧縮の繰り返しの流れとなってチューブ3の内周面に対する接触距離が減少してしまうので、スパイラル状突起12の場合と比べて流れの形態が大きく異なることになる傾斜角θが0゜の場合に、その実験結果が旋回流を成すスパイラル状突起12の特性曲線から大きく逸脱してしまうのである。
【0021】また、傾斜角θを25゜より大きくした場合には、排気ガス10に与えられる旋回力が不足し、これにより排気ガス10中に含まれる煤が旋回中心に集まる作用が著しく損なわれてチューブ3内での煤堆積の増加を招いてしまうことも別の実験により確認済みである。
【0022】而して、以上に述べた如き各種の実験結果に基づき、エンジンルーム内への搭載性を考慮した適切な寸法形状のEGRクーラについて検討すると、スパイラル状突起12の傾斜角θを5゜〜25゜の範囲に特定することが最も効果的な最適条件として決まるのである。
【0023】従って、本形態例によれば、チューブ3内を流れる排気ガス10を旋回流として乱流化することができ、チューブ3の内周面に対する排気ガス10の接触頻度や接触距離を大幅に増加することができるので、排気ガス10をチューブ3の内周面に満遍なく且つ十分に接触させてEGRクーラの熱交換効率を著しく向上することができ、しかも、排気ガス10中に含まれる煤が旋回中心に集まる作用を確実に維持し得てチューブ3内での煤の堆積を抑制することができる。
【0024】尚、本発明のEGRクーラは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、図示する例では一条のスパイラル状突起を形成したものについてのみ説明したが、周方向に位相を変えて複数条のスパイラル状突起を並存させたものであっても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本発明のEGRクーラによれば、チューブ内を流れる排気ガスを旋回流として乱流化することができ、チューブの内周面に対する排気ガスの接触頻度や接触距離を大幅に増加することができるので、排気ガスをチューブの内周面に満遍なく且つ十分に接触させてEGRクーラの熱交換効率を著しく向上することができ、しかも、排気ガス中に含まれる煤が旋回中心に集まる作用を確実に維持し得てチューブ内での煤の堆積を抑制することができる等種々の優れた効果を奏し得る。
【出願人】 【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
【識別番号】594171230
【氏名又は名称】三共ラヂエーター株式会社
【出願日】 平成12年3月13日(2000.3.13)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
【公開番号】 特開2001−254649(P2001−254649A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−68676(P2000−68676)