トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 気化器の燃料貯留機構
【発明者】 【氏名】鈴木 雅夫

【要約】 【課題】気化器の燃料制御レバーと流入弁の接触部の形状を改良し、燃料流量のバラツキを少くした気化器の燃料貯留機構を提供する。

【解決手段】気化器本体20の下部に設けた燃料室9に燃料制御レバー7を傾動可能に支軸8により支持し、燃料制御レバー7を燃料室9の天壁に配設した流入弁5の下端部へ係合する。流入弁5の下端部に球面をなす底面5aと、底面5aから下方へ突出する小径軸部52を設ける。燃料制御レバー7の端部7aは小径軸部52に係合する二股状としし、かつ底面5aに点接触するよう円弧状に湾曲する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】気化器本体の下部に設けた燃料室に浮子の腕を傾動可能に軸支持し、該腕と一体の燃料制御レバーを燃料室の天壁に配設した流入弁の下端部へ係合した気化器の燃料貯留機構において、前記流入弁の下端部に球面をなす底面と、該底面から下方へ突出する小径軸部を設ける一方、前記燃料制御レバーは前記小径軸部に係合する二股状をなし、かつ前記球面に点接触するよう円弧状に湾曲されていることを特徴とする気化器の定圧燃料貯留機構。
【請求項2】気化器本体の下部に結合した膜の上側に定圧燃料室が、膜の下側に大気室が区画され、定圧燃料室に軸支持した燃料制御レバーの先端をばねの力により、前記膜の中心の突片に当接可能とし、燃料制御レバーの基端を定圧燃料室の天壁に配設した流入弁の下端部へ係合した気化器の燃料貯留機構において、前記流入弁の下端部に球面をなす底面と、該底面から下方へ突出する小径軸部を設ける一方、前記燃料制御レバーの基端は前記小径軸部に係合する二股状をなし、かつ前記球面に点接触するよう円弧状に湾曲されていることを特徴とする気化器の燃料貯留機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は小型内燃機関のための気化器の燃料貯留機構、詳しくは気化器の燃料制御レバーと流入弁の接触部の形状を改良し、燃料流量のバラツキを少くした燃料貯留機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5,6に示すように、従来の膜型気化器の燃料貯留機構では、定圧燃料室9の壁部に支軸8により燃料制御レバー7の中央部分が回動可能に支持され、燃料制御レバー7の先端と定圧燃料室9の天壁との間に介装したばね6の力により、燃料制御レバー7の基端部7aが流入弁5を押し上げて燃料入口31aを閉じている。定圧燃料室9の燃料が少なくなると、ばね6の力に抗して定圧燃料室9に作用する吸気負圧により膜37が押し上げられ、突片51が燃料制御レバー7の先端に当り、燃料制御レバー7を支軸8を中心として時計方向へ回動する。したがつて、端部7aにより流入弁5が引き下げられて燃料入口31aが開き、新たな燃料が燃料ポンプ27(図1を参照)から定圧燃料室9へ供給される。しかしながら、従来の燃料制御レバー7の端部7aは平坦な板状のものであり、U字形の切欠をもつ二股部分が小径軸部52へ係合されるだけであるので、流入弁5の閉弁位置での端部7aの姿勢にバラツキが生じると、端部7aが流入弁5を押し上げる力に異動が生じ、定圧燃料室9の圧力にも変化を来す。つまり、定圧燃料室9の圧力をP1、燃料ポンプ27の吐出圧をP、ばね6の荷重をW、膜37の直径をD、燃料入口31aの内径をdとする時次の式が成立つ。
【0003】P1×(π×D2/4)×L1+P×(π×d2/4)×L3=W×L2図5に示すように、燃料制御レバー7の端部7aが右下がりの場合は、流入弁5の中心軸線59に対する端部7aと底面5aとの接点が偏差eだけ左側に偏る。つまり、支軸8の中心と流入弁5の中心との間隔L3が偏差eだけ小さくなり、定圧燃料室9の圧力P1が強くなる。逆に、図6に示すように、燃料制御レバー7の端部7aが右上がりの場合は、流入弁5の中心軸線59に対する端部7aと底面5aとの接点が偏差eだけ右側に偏る。つまり、支軸8の中心と流入弁5の中心との間隔L3が偏差eだけ大きくなり、定圧燃料室9の圧力P1が弱くなる。このように、定圧燃料室9の圧力が変化すると、気化器の絞り弁のアイドル位置から全開位置までの燃料流量にバラツキが大きくなり好ましくない。特に、偏差eが大きくなると、弁ハウジング31に対し流入弁5の片当りが生じ、流入弁5の先端円錐部が燃料入口31aを完全に閉じるような姿勢にならない。つまり、燃料制御レバー7の傾きが大きいと、流入弁5が斜めに押し上げられ、流入弁5の周面で摩擦が生じ、流入弁5は円滑に作動できず、燃料ポンプ27から圧送される燃料が、流入弁5の燃料入口31aないし弁座により抑制されず、そのまま気化器の吸気路のベンチユリへ噴出(オーバーフロー)し、機関が始動不良に陥る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上述の問題に鑑み、気化器の燃料制御レバーと流入弁の接触部の形状を改良し、燃料流量のバラツキを少くした気化器の燃料貯留機構を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の構成は気化器本体の下部に設けた燃料室に浮子の腕を傾動可能に軸支持し、該腕と一体の燃料制御レバーを燃料室の天壁に配設した流入弁の下端部へ係合した気化器の定圧燃料貯留機構において、前記流入弁の下端部に球面をなす底面と、該底面から下方へ突出する小径軸部を設ける一方、前記燃料制御レバーは前記小径軸部に係合する二股状をなし、かつ前記球面に点接触するよう円弧状に湾曲されることを特徴とする。
【0006】また、本発明の構成は気化器本体の下部に結合した膜の上側に定圧燃料室が、膜の下側に大気室が区画され、定圧燃料室に軸支持した燃料制御レバーの先端をばねの力により、前記膜の中心の突片に当接可能とし、燃料制御レバーの基端を定圧燃料室の天壁に配設した流入弁の下端部へ係合した気化器の燃料貯留機構において、前記流入弁の下端部に球面をなす底面と、該底面から下方へ突出する小径軸部を設ける一方、前記燃料制御レバーの基端端部は前記小径軸部に係合する二股状をなし、かつ前記球面に点接触するよう円弧状に湾曲されることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】燃料制御レバーの基端部は流入弁の下端部の小径軸部に係合する二股状をなし、かつ流入弁の球面をなす底面に点接触するよう円弧状に湾曲される。これにより、燃料制御レバーの端部は常に流入弁の中心軸線とほぼ同じ位置で点接触し、燃料制御レバーの長手方向の偏差eを少なくできる。この結果、燃料室に作用する圧力の変化が非常に少なくなり、気化器の絞り弁のアイドル位置から全開位置までの燃料流量のバラツキを抑えることができる。
【0008】また、流入弁の底面を球面とし、燃料制御レバーの端部を円弧状に湾曲させることにより、流入弁と燃料制御レバーとの接触状態は、絞り弁が全開の燃料流量の大なる時でも円滑であり、流入弁を常に上下方向に円滑に動かすことができ、燃料の溢流(オーバーフロー)が起ることがなく、燃料貯留機構としての信頼性が向上される。
【0009】
【実施例】図1に示すように、ロータリ絞り弁式膜型気化器は気化器本体20の端部フランジに左右1対のボルト挿通孔21を設けられ、一方の端部に空気清浄器を、他方の端部に断熱管をそれぞれ突き合せ、ボルト挿通孔21を貫通する1対の通しボルトにより機関の吸気ポートへ結合される。気化器本体20には紙面と垂直方向に横貫する吸気路と、該吸気路と直交する上下方向の円筒形の弁室24とが形成され、弁室24に絞り孔3を有する円柱状の絞り弁19が回動可能かつ昇降可能に支持される。絞り弁19と一体の弁軸2は弁室24を閉鎖する蓋板15を貫通し、上端に絞り弁レバー12を結合される。
【0010】絞り弁レバー12はスイベル13により遠隔操作ケーブルのインナワイヤを係止され、インナワイヤの押し引きにより回動される。絞り弁19と蓋板15との間に介装した戻しばね22の一端は絞り弁19に、他端は蓋板15にそれぞれ係止され、戻しばね22の力により絞り弁レバー12は蓋板15の突壁15aに備えたアイドル停止ボルト16へ付勢係合される。絞り弁レバー12を戻しばね22の力に抗して全開(図示の位置)方向へ回動すると、吸気路に対する絞り孔19の絞り孔3の開度が増加する。同時に、カム機構を構成する絞り弁レバー12の下面に形成したカム面12aが、蓋板15に支持したフオロア17により押し上げられる。弁室24の底壁に支持されかつ絞り孔3へ突出する燃料供給管4へ、絞り弁19に支持したニードル23が嵌挿され、ニードル23が絞り弁レバー12と一緒に押し上げられると、燃料供給管4の燃料噴孔の開度が増加する。
【0011】気化器本体20の下端面には膜28を挟んで中間壁体34が結合され、中間壁体34の下面には膜37を挟んで中間壁体36が結合される。中間壁体36の下面には、スポイド42の周縁部が環状の押え板39により重合せ結合され、ポンプ室41が区画される。スポイド42により覆われる中間壁体36の下面には、吸入弁と吐出弁を一体に備える複合弁40が支持される。
【0012】燃料ポンプ27は膜28の上側に2行程機関のクランク室(または4行程機関の吸気路)の脈動圧を導入する脈動圧導入室を、膜28の下側にポンプ室をそれぞれ区画してなる。燃料ポンプ27の膜28が上下動する時、図示してない燃料槽の燃料が入口管44、フイルタ46、吸入弁32、通路26を経てポンプ室へ吸い込まれ、次いで、ポンプ室の燃料が吐出弁29、通路30、流入弁5を経て定圧燃料室9へ吐き出される。定圧燃料室9は膜37の上側に区画され、膜37の下側には大気室38が区画される。定圧燃料室9の壁部に支軸8により支持した燃料制御レバー7の基端が流入弁5に係止され、燃料制御レバー7の先端はばね6の力により膜37の中心の突片51へ係合可能とされる。流入弁5は弁ハウジング31の円筒部に挿通される円柱状のものではあるが、外周面には複数の軸方向の溝が形成され、燃料入口31aからの燃料は上述の溝を経て定圧燃料室9へ供給される(図4を参照)。
【0013】機関の始動に先立つて、手動の吸引ポンプ60のスポイド42を繰り返し押し潰すと、定圧燃料室9の空気や燃料蒸気が通路35、複合弁40の傘部を押し開いてポンプ室41へ入り、さらに複合弁40の偏平軸部を押し開き、通路43、出口管45を経て燃料槽へ戻される。この時、燃料供給管40に至る通路の逆止弁10が閉じており、燃料槽から新たな燃料が入口管44、燃料ポンプ27、流入弁5を経て定圧燃料室9へ供給される。定圧燃料室9へ燃料が満たされると膜37が押し下げられ、燃料制御レバー7がばね6の力により押し下げられ、流入弁5が閉じる。こうして、定圧燃料室9には所定圧の燃料が満たされる。機関の始動に伴つて吸気路に連通する絞り孔9に吸気負圧が生じると、定圧燃料室9の燃料が逆止弁10、燃料ジエツト、燃料供給管4、燃料噴孔を経て絞り孔3へ吸引される。
【0014】図2に示すように、流入弁5は定圧燃料室9の天壁に配設した細長い逆カツプ形の弁ハウジング31へ嵌挿され、円錐形の上端が燃料入口31aへ係合可能とされる。流入弁5の下端部に球面をなす底面5aと、該底面5aから下方へ突出する小径軸部52が設けられる。一方、燃料制御レバー7の端部7aは小径軸部52に係合する二股状をなし、かつ底面5aに点接触するよう円弧状に湾曲される。
【0015】定圧燃料室9の燃料量の減少に伴い膜37が上昇すると、燃料制御レバー7が突片51により押し上げられ、ばね6の力に抗して時計方向へ回動し、流入弁5が下降し、燃料ポンプ27(図1を参照)からの燃料が燃料入口31a、流入弁5の周面の溝を経て定圧燃料室9へ流入する。定圧燃料室9へ燃料が満されると、燃料制御レバー7が支軸8を中心として反時計方向へ回動し、流入弁5により燃料入口31aが閉じられる。流入弁5の底面5aを球面とし、燃料制御レバー7の端部7aを円弧状に湾曲させることにより、流入弁5と燃料制御レバー7との接触状態は、絞り弁19が全開の燃料流量が大なる時でも、図2,3に示すように、燃料制御レバー7の姿勢に関係なく流入弁5の動作が円滑であり、燃料制御レバー7の端部7aは流入弁5の中心軸線59とほぼ同じ位置で底面5aに点接触し、流入弁5の中心軸線59に対する燃料制御レバー7の長手方向の偏差eを小さくできる。この結果、定圧燃料室9に作用する圧力の変化が非常に少なくなり、絞り弁19のアイドル位置から全開位置までの燃料流量のバラツキを抑えることができる。
【0016】なお、本発明はロータリ絞り弁式膜型気化器や蝶型絞り弁式膜型気化器に限定されるものではなく、図4に示すような浮子型気化器にも適用できる。図4において図1の気化器と同じ部材には共通の符号を付して説明を省略する。浮子型気化器は気化器本体20の底面にカツプ形の燃料貯槽61が突き合され、かつ気化器本体20の中心から下方へ突出する中空の柱65へ、燃料貯槽61の底面からボルト66を螺合して結合される。燃料貯槽61の燃料室61aには馬蹄形の浮子62の腕67が支軸8により傾動可能に支持され、腕67と一体の燃料制御レバーの端部7aが二股状になつていて、流入弁5の小径軸部52へ係合される。そして、燃料制御レバーの端部7aは円弧状に湾曲され、かつ流入弁5の球面状の底面5aに係合される。燃料制御レバーの端部7aと流入弁5の底面5aとの接点は、浮子62の姿勢が変化しても、常に流入弁5の中心軸線の付近で接する。浮子62の下上移動に伴い、燃料制御レバーの端部7aにより流入弁5が開閉され、燃料が燃料室61aへ補給され、燃料室61aの燃料面は常にほぼ一定に保たれる。機関の運転時、燃料室61aの燃料は通孔64、燃料ジエツト63、燃料供給管4を経て、絞り弁19の絞り孔3へ吸引される。
【0017】
【発明の効果】本発明は上述のように、気化器本体の下部に設けた燃料室に燃料制御レバーを軸支持し、かつ燃料室の天壁に配設した流入弁の下端部へ係合した気化器の燃料貯留機構において、前記流入弁の下端部に球面をなす底面と、該底面から下方へ突出する小径軸部を設ける一方、前記燃料制御レバーは前記小径軸部に係合する二股状をなし、かつ前記球面に点接触するよう円弧状に湾曲されるので、燃料制御レバーの端部は流入弁の中心軸線とほぼ同じ位置で点接触し、燃料制御レバーの接点と流入弁の中心軸線との長手方向の偏差を少なくできる。この結果、燃料室に作用する圧力の変化が非常に少なくなり、絞り弁のアイドル位置から全開位置までの燃料流量のバラツキが抑えられ、絞り弁の開度と燃料流量との線形性が得られる。
【出願人】 【識別番号】390008877
【氏名又は名称】株式会社日本ウォルブロー
【出願日】 平成12年3月9日(2000.3.9)
【代理人】 【識別番号】100075889
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊夫
【公開番号】 特開2001−254647(P2001−254647A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−65353(P2000−65353)