| 【発明の名称】 |
高圧燃料ポンプの駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小木 泰一郎
【氏名】長野 俊博
【氏名】森川 弘二
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| 【要約】 |
【課題】エンジンの出力軸の回転を高圧燃料ポンプのポンプ軸に伝達するベルトの張力をベルトが掛けられるプーリによって調整し得るようにする。
【解決手段】高圧燃料ポンプ21はクランクシャフト3に設けられた駆動側プーリ22とポンプ軸23に設けられた従動側プーリ24とに掛け渡されたベルト25を介してエンジンにより駆動される。従動側プーリ24は、ポンプ軸に取り付けられる第1のプーリ部材55と、このプーリ部材55にねじ結合される第2のプーリ部材56とにより形成されており、プーリ部材56をプーリ部材55に対して回転させることによりプーリ溝幅を変化させると、ベルト25の締付け量が調整されてベルト25の張力が調整される。これにより、ベルト25に張力を与えるためのテンショナが不要となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン出力軸に設けられた駆動側プーリと高圧燃料ポンプのポンプ軸に設けられた従動側プーリとに掛け渡されたベルトを介して前記高圧燃料ポンプをエンジンにより駆動するようにした高圧燃料ポンプの駆動装置において、前記ポンプ軸に取り付けられるボス部と前記ベルトが接触するベルト挟持部とを有する第1のプーリ部材と、前記ボス部にねじ結合されるねじ部と前記ベルトが接触するベルト挟持部とを有する第2のプーリ部材とにより前記従動側プーリを形成し、前記ねじ部の締付け量を調整することにより前記ベルトの張力を調整するようにしたことを特徴とする高圧燃料ポンプの駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は筒内燃料噴射式2サイクルエンジンにおける高圧燃料ポンプの駆動装置に関する。 【0002】 【従来の技術】レジャービークル、スノーモービルなどにおいては2サイクルエンジンが多用されており、2サイクルエンジンにあっても、高圧燃料を筒内に直接噴射するようにした筒内燃料噴射式のエンジンが開発されている。このタイプのエンジンにおいては、排気ポートが閉じた後に高圧燃料を筒内に直接噴射することにより燃料を霧化して燃焼を改善することができ、低速、低負荷では成層燃焼をさせることにより燃費を向上させることができる。 【0003】筒内にインジェクタから高圧燃料を直接噴射するために、インジェクタに燃料供給する高圧燃料ポンプを燃料供給系に設ける必要がある。4サイクルエンジンでは動弁機構のカムシャフトによって高圧燃料ポンプを駆動するようにしているが、多くの2サイクルエンジンの場合にはカムシャフが設けられていないので、従来では、たとえば、特開平10-246165 号公報に示されるように、クランクシャフトつまりエンジン出力軸の回転をベルトによって高圧燃料ポンプに伝達するようにしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】エンジン出力軸の回転を高圧燃料ポンプのポンプ軸に伝達する場合には、エンジン出力軸に設けられた駆動側プーリと高圧燃料ポンプのポンプ軸に設けられた従動側プーリとにV字形状のベルトを掛け渡し、このベルトを介して動力を伝達するようにしており、ベルトに所定の張力を与えるために、従来では、テンションプーリないしテンショナをエンジンに取り付けるようにしている。 【0005】このため、エンジンにはベルト以外にテンショナを取り付ける必要があり、エンジンを構成する部品点数が多くなるだけでなく、テンショナの設置スペースを確保しなければならない。 【0006】本発明の目的は、エンジンの出力軸の回転を高圧燃料ポンプのポンプ軸に伝達するベルトの張力を、テンショナを用いることなく、ベルトが掛けられるプーリによって調整し得るようにすることにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の高圧燃料ポンプの駆動装置は、エンジン出力軸に設けられた駆動側プーリと高圧燃料ポンプのポンプ軸に設けられた従動側プーリとに掛け渡されたベルトを介して前記高圧燃料ポンプをエンジンにより駆動するようにした高圧燃料ポンプの駆動装置において、前記ポンプ軸に取り付けられるボス部と前記ベルトが接触するベルト挟持部とを有する第1のプーリ部材と、前記ボス部にねじ結合されるねじ部と前記ベルトが接触するベルト挟持部とを有する第2のプーリ部材とにより前記従動側プーリを形成し、前記ねじ部の締付け量を調整することにより前記ベルトの張力を調整するようにしたことを特徴とする。 【0008】本発明にあっては、第1のプーリ部材に対して第2のプーリ部材を回転させると、ベルトが従動側プーリに接触する径方向の位置が変化してベルトの張力を調整することができるので、テンショナなどのようにベルトに張力を与えるための部材を用いることが不要となる。これにより、エンジンを構成する部品点数を低減することができるとともに、テンショナの設置スペースが不要となる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。 【0010】図1は本発明の一実施の形態である高圧燃料ポンプの駆動装置を備えた2サイクルエンジンを示す概略図であり、図2は図1に示されたエンジン本体を示す一部切り欠き側面図である。 【0011】エンジン1は筒内燃料噴射式の3気筒2サイクルエンジンであり、クランクケース2内にはエンジン出力軸つまりクランクシャフト3が回転自在に装着されている。クランクケース2にはシリンダ4が取り付けられ、シリンダ4にはシリンダヘッド5が取り付けられている。 【0012】シリンダ4に形成されたシリンダボア6内にはピストン7が往復動自在に組み込まれており、ピストン7はコネクティングロッド8によりクランクシャフト3に連結されている。クランクケース2にはこの中のクランク室9に連通して吸気ポート10が形成され、吸気ポート10に連通してクランクケース2には吸気管11が取り付けられており、密閉されたクランク室9内には吸気管11を介して新気が導入されるようになっている。吸気管11内には導入空気の量を調整するためのスロットルバルブ12が設けられ、吸気ポート10には逆流防止のためのリード弁13が設けられている。 【0013】シリンダ4には燃焼室とクランク室9とを連通させる掃気ポート14と、燃焼室内の排気ガスを排出する排気ポート15とが設けられ、ピストン7が下死点近くに位置して両方のポート14,15がともに開いた状態のもとで、新気が燃焼ガスを排出つまり掃気しながら燃焼室内に満たされる。 【0014】シリンダヘッド5には燃料噴射弁つまりインジェクタ16と点火プラグ17とが設けられ、図1に示すように、インジェクタ16には燃料供給系により燃料タンク18内の燃料が供給されるようになっている。燃料供給系はエンジン1に取り付けられる高圧燃料ポンプ21を有し、クランクシャフト3により高圧燃料ポンプ21を駆動するために、クランクシャフト3に設けられた駆動側プーリ22と、高圧燃料ポンプ21のポンプ軸23に設けられた従動側プーリ24とにはベルト25が掛け渡されている。これにより、クランクシャフト3の回転はポンプ軸23にベルト25を介して伝達されることになる。 【0015】高圧燃料ポンプ21の吐出口26に接続された高圧配管27には、図2に示すように、共通配管つまりコモンレール28が接続され、コモンレール28の分岐部がそれぞれのインジェクタ16に接続されている。これにより、高圧燃料ポンプ21により加圧された燃料がコモンレール28から分岐してそれぞれのインジェクタ16に供給されるようになっている。 【0016】高圧燃料ポンプ21の流入口31と燃料タンク18との間に接続された低圧配管32にはウォータセパレータつまりフィルタ33と、低圧燃料ポンプ34とが設けられ、高圧燃料ポンプ21の戻し口35と燃料タンク18との間に接続されたリターン配管36は、低圧燃料ポンプ34の吐出側に圧力調整配管37により接続され、リターン配管36には低圧燃料ポンプ34から吐出される燃圧を調整するための低圧プレッシャレギュレータ38が設けられている。低圧燃料ポンプ34によって燃料タンク18内の燃料は、たとえば、0.3MPa程度の圧力に加圧された後、高圧燃料ポンプ21によって、たとえば、7MPa 程度の圧力にまで高められて、インジェクタ16に供給される。 【0017】点火プラグ17はイグナイタ39により駆動され、インジェクタ16はインジェクタドライバ40により駆動されるようになっており、イグナイタ39,インジェクタドライバ40および低圧燃料ポンプ34は、電子制御ユニットECU41からの制御信号によって作動が制御されるようになっている。 【0018】電子制御ユニットECU41には、大気圧センサ42,燃料圧力センサ43、クランク角度センサ44,クランクケース温度センサ45、吸気温度センサ46、スロットルバルブ開度センサ47および水温センサ48からの信号が送られるようになっている。 【0019】図2に示すように、クランクシャフト3には、エンジンの回転を円滑にするとともに磁石発電機としての機能をも有するフライホイールマグネト51が取り付けられている。このフライホイールマグネト51の円筒部51aの内周面には永久磁石52が設けられ、クランクケース2にはコイル53が設けられており、発生電力を利用してCDI(capacitor discharge ignition)点火方式により、バッテリを搭載することなく、点火プラグ17への電力の供給を行うことができる。 【0020】円筒部51aの外周面には、クランク角度センサ44を作動させる作動部44aが設けられており、このクランク角度センサ44からの信号によって、エンジン回転数と、各気筒におけるクランク角度を検出することができる。 【0021】フライホイールマグネト51と駆動側プーリ22は、クランクシャフト3に対して締結具54によりねじ止めされており、駆動側プーリ22に対してベルト25を介して連結された従動側プーリ24は、第1のプーリ部材55と第2のプーリ部材56とにより形成されている。 【0022】第1のプーリ部材55は、図3に示すように、ボス部55aと、これに対して筒部55bを介して一体となったベルト挟持部55cとを有している。ボス部55aは高圧燃料ポンプ21のポンプ軸23の連結部に嵌合される嵌合孔を有し、このプーリ部材55は図示しないキーを介してポンプ軸23に噛み合い、ポンプ軸23の雄ねじにねじ結合されるナット57によりポンプ軸23に取り付けられることになる。 【0023】ボス部55aの外周には雄ねじ58が形成されており、第2のプーリ部材56は、雄ねじ58にねじ結合される雌ねじ59が形成されたボス部56aと、これに対して筒部56bを介して一体となったベルト挟持部56cとを有し、ボス部56aの外周にはプーリ部材56をプーリ部材55に対して回転させてねじ結合させる際に図示しない工具を係合させるための複数の係合溝56dが形成されている。 【0024】したがって、第1のプーリ部材55の筒部55bの外側に第2のプーリ部材56の筒部56bを嵌合させるようにして雄ねじ58に雌ねじ59をねじ結合させると、それぞれのプーリ部材55、56のベルト挟持部55c,56cによって断面がV字形状となったプーリ溝が形成される。 【0025】しかも、第2のプーリ部材56の第1のプーリ部材55に対するねじの締付け量を調整することによって、プーリ溝幅の寸法つまり両方のベルト挟持部55c,56cの間隔が調整されるので、ベルト25が従動側プーリ24に接触する位置が径方向に変化することになり、ベルト25の張力を調整することができる。これにより、ベルト張力を調整するテンショナをエンジンに設けることなく、一対の従動側プーリ24のみによって動力の伝達のみならず、ベルト25の張力の調整を行うことができる。 【0026】プーリ部材55にはねじ孔60aが形成され、プーリ部材56にはねじ孔60aと同一の半径位置に貫通孔60bが形成されており、ねじ孔60aに図示しないねじ部材を貫通孔60bからねじ結合させることによって、両方のプーリ部材55、56の緩みを防止することができる。貫通孔60bにねじ部材を貫通させることにより緩み止めを行うと、貫通孔60bの数に応じた位置で緩み止めを行うことになるが、雄ねじ58に締結ナットをねじ結合するようにすれば、貫通孔60bにねじ部材を貫通させることなく、緩み止めを行うことができる。 【0027】このように、従動側プーリを2つのプーリ部材55,56により形成するようにしたので、エンジンを組み立てる際にはベルト25を従動側プーリ24のプーリ部材55に緩く掛け渡した状態でプーリ部材56をねじ結合することにより、容易に従動側プーリ24とベルト25とを組み付けることができる。また、ベルト25が経年変化により緩んだ時には、容易にベルトの張力を調整することができる。 【0028】図5は図2の要部を拡大して示す断面図であり、エンジンのクランクケース2に固定されるホルダー61にはリコイル式のスタータ62が組み込まれている。このスタータ62はホルダー61に回転自在に装着されたリコイルプーリ63を有し、このリコイルプーリ63にはエンジンを始動させる際に使用されるロープ64が巻き付けられている。ロープ64をリコイルプーリ63に巻き付けた状態にするために、リコイルプーリ63とホルダー61との間には渦巻き状のコイルばね65が設けられており、始動時にロープ64を引っ張ると、リコイルプーリ63の遠心力によって外方に突出する係合爪66が径方向に移動自在にリコイルプーリ63に設けられている。 【0029】クランクシャフト3にはフランジ部67aと円筒部67bとを有する連動部材67が取り付けられており、ロープ64を引っ張ってリコイルプーリ63を回転させることにより係合爪66が径方向外方に突出したときには、連動部材67の円筒部67bに形成された係合孔68に係合爪66が引っ掛かり、リコイルプーリ63の回転がクランクシャフト3に伝達され、クランクシャフト3の回転によってエンジンを始動することができる。エンジンが始動した後には、ロープ64はリコイルプーリ63に巻き戻された状態となり、係合爪66は後退移動することになる。 【0030】クランクシャフト3に対してフライホイールマグネト51と駆動側プーリ22をねじ止めするための締結具54によって、連動部材67をもクランクシャフト3にねじ止めするようにしている。 【0031】図6は締結具54を示す図であり、この締結具54は筒部54aとフランジ部54bとを有し、筒部54aにはクランクシャフト3に形成された雄ねじ71にねじ結合する雌ねじ72が形成され、フランジ部54bの外周は六角形となっており、ナット回しなどの工具をフランジ部54bに装着することにより締結具54をクランクシャフト3に締結することができる。 【0032】この締結具54によりフライホイールマグネト51と駆動側プーリ22と連動部材67とを同時に締結することができるので、フライホイールマグネト51と、駆動側プーリ22と、連動部材67とをそれぞれ別々の部材により締結していた場合に比して、部品点数を少なくすることができるとともに、エンジンの組立工数を低減することができる。 【0033】なお、ポンプ軸23に取り付けられる従動側プーリ24を2つのプーリ部材55,56により形成するようにしたが、ウォータポンプなどの回転駆動される部材に対して動力を伝達するためのプーリであれば、前述したように、2つのプーリ部材によりプーリを形成することもできる。 【0034】本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。 【0035】たとえば、実施の形態では3気筒のエンジンに本発明が適用されているが、気筒数はこれに限定されることなく、任意の気筒数のエンジンに対しても本発明を適用することができる。 【0036】 【発明の効果】以上のように本発明においては、エンジン出力軸により駆動されるベルトが掛け渡され、高圧燃料ポンプのポンプ軸に設けられる従動側プーリをポンプ軸に固定される第1のプーリ部材と、このプーリ部材に対してねじ結合される第2のプーリ部材とにより形成し、第2のプーリ部材を第1のプーリ部材に対して回転させてプーリ溝幅を調整することによってベルトの張力を調整することができるので、エンジンにテンショナを設けることが不要となる。これにより、エンジンを構成する部品点数を低減することができる。また、エンジン組立時におけるベルトのプーリに対する装着作業が容易となり、エンジンの使用に伴って経年変化でベルトが緩んでも、容易にベルトの張力を調整することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005348 【氏名又は名称】富士重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年2月17日(2000.2.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080001 【弁理士】 【氏名又は名称】筒井 大和 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−227424(P2001−227424A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月24日(2001.8.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−40114(P2000−40114) |
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