| 【発明の名称】 |
吸気ダクト |
| 【発明者】 |
【氏名】杉江 信二
【氏名】相良 勲
【氏名】中村 健太郎
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| 【要約】 |
【課題】騒音防止を効果的に軽減させ、且つ目詰りを起さないようにして長期に亘って性能維持できるばかりか、再生利用も容易な吸気ダクトを提供する。
【解決手段】外気を導入するための気体流路Oを形成するダクト本体1と、該ダクト本体1上に穿設されるチューニングホール2と、粒状又は塊状の樹脂ペレット4を部分的に溶融状態にした部分溶融体同士が互いに溶融結合し、且つ該部分溶融体間に通気性隙間33が残るようにして固化した所定厚みのブロック片3と、を具備し、該ブロック片3が前記チューニングホール2を覆ってダクト本体1に貼着されてなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外気を導入するための気体流路を形成するダクト本体(1)と、該ダクト本体上に穿設されるチューニングホール(2)と、粒状又は塊状の樹脂ペレットを部分的に溶融状態にした部分溶融体同士が互いに溶融結合し、且つ該部分溶融体間に通気性隙間が残るようにして固化した所定厚みのブロック片(3)と、を具備し、該ブロック片が前記チューニングホールを覆ってダクト本体に貼着されてなることを特徴とする吸気ダクト。 【請求項2】 前記ブロック片に形成される通気性隙間の空孔径が100μm〜500μmの範囲内で、且つその通気性が20ml/cm2/s〜70ml/cm2/sの範囲内にある請求項1記載の吸気ダクト。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両エンジンの燃焼室へ外気を導入する吸気ダクトに関し、特にエアクリーナの上流側の設置に好適な吸気ダクトに関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車に対する低騒音化ニーズが高まってきており、エンジンの吸気口音もその対象になっている。エンジンの吸気口音を下げる対策には、レゾネータ等の消音器を用いる方法が一般的であるが、これに対し、エンジン騒音のなかでもダクト管内で発生する気柱共鳴を減衰させるのが有効であることから、実開平1−95566号公報技術のように消音用通孔(チューニングホール)を穿設した吸気ダクトも提案されている(図9)。気柱共鳴はエンジンノイズ音を増幅させてしまう不良因子であり、ダクト管の所定位置に設けられたチューニングホールは管内圧力脈動が発生しない環境をつくっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかるに、チューニングホールによる方法では、吸気音が減衰しても放射音(透過音)が上昇し、車外騒音の低減に十分な効果が得られなかった(図10)。特に、最近は吸気音だけでなく放射音も考慮したトータルの車外騒音に取り組まねばならず、この観点から見ると、単にチューニングホールを設けた吸気ダクトは不満足であった。図10,図11はTの点線曲線がチューニングホールを設けた吸気ダクトの吸気音,透過音の測定値で、Nの実線曲線がチューニングホールなしのノーマルな吸気ダクトの吸気音,透過音の測定値を示しているが、同図の合成音ではノーマル品の方が逆に低騒音となった。そこで、上記改善対策として、チューニングホールを例えば不織布等で塞ぐ方法が提案されている(特開平10−281027号公報)。しかしながら、不織布は吸水性があり、グラスウールなど吸水性がもともとないものでも繊維形状にすると、繊維の性質上、自己吸水性による支障をきたしていた。また、不織布は跳ね水等で目詰りを引き起こし易かった。吸気ダクトは車外に配されており、跳ね水等を直接受けることになるが、この跳ね水に含まれる泥(微細な砂やゴミなど)が水と一緒に不織布内部へ浸透し、目詰りを発生させた。そして、この目詰りは気柱共鳴の減衰能力を著しく低下させた。不織布に撥水処理を行えば良くなるが、■コスト上昇、■撥水処理自身が永久的でないため将来的な不安、■撥水処理液の垂れ流しによる環境問題、■リサイクルの難しさ等の問題があった。 【0004】本発明は上記問題点を解決するもので、騒音防止を効果的に軽減させ、且つ目詰りを起さないようにして長期に亘って性能維持できるばかりか、再生利用も容易な吸気ダクトを提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、外気を導入するための気体流路を形成するダクト本体(1)と、該ダクト本体上に穿設されるチューニングホール(2)と、粒状又は塊状の樹脂ペレットを部分的に溶融状態にした部分溶融体同士が互いに溶融結合し、且つ該部分溶融体間に通気性隙間が残るようにして固化した所定厚みのブロック片(3)と、を具備し、該ブロック片が前記チューニングホールを覆ってダクト本体に貼着されてなることを特徴とする吸気ダクトにある。請求項2記載の吸気ダクトの発明は、請求項1で、ブロック片に形成される通気性隙間の空孔径が100μm〜500μmの範囲内で、且つその通気性が20ml/cm2/s〜70ml/cm2/sの範囲内にあることを特徴とする。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る吸気ダクトについて詳述する。図1〜図8は本発明の吸気ダクトの一形態で、図1はエアクリーナに接続した様子を示した吸気ダクトの断面図、図2は図1のブロック片周りの拡大模式図、図3はブロック片の製造工程図、図4はブロック片の斜視図、図5〜図8は性能比較の測定結果図を示す。 【0007】吸気ダクトは、合成樹脂成形品で、ダクト本体1とチューニングホール2とブロック片3とを備える。ダクト本体1は外気を取り入れる気体流路Oを形成する導管で、ここでのダクト本体1は吸気口からエアクリーナ51までのエアクリーナ上流側ダクト本体とする。符号11は大気を導入する吸入部、符号12はエアクリーナ51への接続部を示す。 【0008】チューニングホール2はダクト本体1の所定位置に穿設される□50mm×50mm程度の消音用透孔である。チューニングホール2は閉鎖管内にて位相が一致する音圧最大領域(ダクト長さ方向の中央部分13)のダクト本体面に穿設される。チューニングホール2が所定位置に設けられると、実開平1−95566号公報に記載のごとく、圧力振幅の腹とする次数モードの共鳴音が低減せしめられ、広い周波数範囲に亘り共鳴音の発生が防止される。チューニングホール2は一種の共鳴型消音器であり、バネマスモデルで示せば、チューニングホール2の孔の板厚分がマス、大気がばねとして作用すると考えられる。音圧の腹、見方を変えれば粒子(音を伝える媒質の微小部分)の動きの最も小さい部分にチューニングホール2たる小孔を穿設することによって、バネマスでダクト内の粒子を動かし、音響モードを変更し吸気音を下げる作用をする。ここで、本発明のチューニングホール2は、従来の小孔(5mmφ程度)と違い、50mm×50mm程度の開孔を形成したものとなっている。チューニングホール2の開孔を大きくすることで気柱共鳴の腹部分を広くカバーでき、消音効果を高める。チューニングホールの開孔大きさの好適範囲は、30mm×30mm〜100mm×70mmの範囲となる。30mm×30mm未満だと、従来のチューニングホールと変らず、さほど効果が期待できない。一方、100mm×70mmを越えるとコストアップとなり、制約を受ける。また、チューニングホールの開孔は、ダクト長手方向に縦長に大きくするより、ダクト周方向に大きくした方が同じ面積でも効果が上がる。気柱共鳴の腹部分をより幅広くカバーし、消音作用を高めるからである。 【0009】ブロック片3は、樹脂ペレット4を部分的に溶融状態にした部分溶融体同士が互いに溶融結合して結合部32をつくり、且つ該部分溶融体間に通気性隙間33を設けるようにして造られた透過性体である(図2)。樹脂ペレット4が通気性隙間33を確保しながら溶融結合して固化状態になった結合粒子31は、結合部32で連結して必要な大きさのものを形づくる。これを所定大きさ,形状に加工しチューニングホール2を覆ってダクト本体1に貼着できるブロック片3とする。勿論、脱型時点でブロック片3の形状ができるようにしてもよい。ブロック片3に用いる樹脂ペレット4(発泡性ビーズを含む)は、成形操作における供給材料として予備成形されたプラスチック材料で、比較的均一な寸法(一辺が2〜7mm程度)を有する粒状又は塊状の造粒体になっている。樹脂材料にはポリエチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂等があるが、ダクト本体1の材質が硬質ポリエチレンやポリプロピレン樹脂であることから、それと同質材料に合わせるとより好ましくなる。再生が容易でリサイクルし易くなるからである。樹脂ペレット4の形状は、コールドカット法による円柱状品やホットカット法,アンダーウォータカット法による碁石状品あるいは球状品があるが、本発明で用いる樹脂ペレット4の形状として特に制約があるわけでなく、いずれのものでもよい。 【0010】ブロック片3の具体的な製造方法としては、加熱した金型71内に材料となる粒状又は塊状の熱可塑性樹脂ペレット4を流し込む(図3のイ)。次いで、上から同じく加熱した金型7で締める(図3のロ)。そして、時間と温度を制御し、空孔すなわち通気性隙間33がなくならないようペレット同士を部分溶融状態として互いに融着させ結合部32をつくる。部分溶融体は外周面付近だけしか溶融しないため、当初の樹脂ペレット4の形状がほぼ温存される。従って、隣合う部分溶融体同士が互いに溶融結合しても、樹脂ペレット4の残存形状の制約を受け、部分溶融体同士がぶつかり合った所は溶着結合するものの、ぶつかり合わない所には通気性隙間33が確保される。雷おこし風になる。その後、冷却,脱型すれば通気性隙間33(空孔)のあるブロック片3用素材が出来上っている。これを、所定厚みtを確保してチューニングホール2を覆いダクト本体1に貼着できる大きさ(A×B)に加工すれば所望のブロック片3になる(図4)。ブロック片3は適宜、ダクト本体1に沿わせたアール状のものが造られる【0011】前記ブロック片3がチューニングホール2を覆ってダクト本体1に貼着されることにより本発明の吸気ダクトとなる。本発明の吸気ダクトは図5のごとく気柱共鳴を抑えることができる。図中、Nはチューニングホールなしのノーマルな吸気ダクト品、Sは本発明品のデータを示す。若干ではあるが、気柱共鳴部以外についても低騒音化できる。減衰の反動で反共鳴が発生しているが、僅かの上昇であり全体として騒音は低下している。なお、図5も含めてここで用いたグラフ(図5〜図11)は全てエンジン4次成分を示している。 【0012】成形時の温度,時間をコントロールして所定大きさの通気性隙間33のブロック片3が得られるが、通気性の小さいものほど気柱共鳴の減衰量は小さいが反共鳴の増加が少なくトータル性能としては優れることが判ってきた。これを定性的にまとめると表1のごとくになる。 【0013】 【表1】
【0014】種々の性能試験より、ブロック片3の性状としては、通気性隙間33の空孔径が100μm〜1000μmの範囲内とし、且つブロック片厚みtの調整をして通気性が20ml/cm2/s〜200ml/cm2/sの範囲にあるものが良好であった。より好ましくは、空孔径が100μm〜500μmの範囲で、通気性が20ml/cm2/s〜70ml/cm2/sの範囲にあるものであった。さらに好ましくは、空孔径が100μm〜200μmで、通気性が20ml/cm2/s〜40ml/cm2/sの範囲であった。この範囲のブロック片3は騒音防止を効果的に低減でき、且つ目詰りや吸水等による支障をきさない。その性能試験を次に示す。 【0015】<性能比較試験1>本吸気ダクトの性能試験に用いたチューニングホール2は後述の他の試験2〜4を含めていずれも50mm×50mmである。ブロック片3の仕様は表2に示すごとく空孔径が100μm〜900μmで、通気性としては20ml/cm2/s〜130ml/cm2/sの6種類のものを選んでいる。ここで、本発明でいう空孔径は、ブロック片3を2mm程度にスライスし顕微鏡で見た空孔(通気性隙間33)を丸形状に換算したときの直径としている。試験測定結果による通気性と騒音レベルとの関係を図6,図7に示す。音の評価方法はある一定の周波数帯間で評価しなければならないが、便宜的に表2に4200rpmでの各数値を載せる。表2の合成音は吸気音,放射音の数値をもとに数式により得られた値である。チューニングホール2のみの吸気ダクトの合成音が113.4dBに対し、■〜■のいずれも騒音が改善された。チューニングホール2なしのノーマル品Nに比し、一見悪化しているようにも見えるが、全体域の周波数帯評価では改善されている。 【0016】 【表2】
【0017】<性能比較試験2>本吸気ダクトは既述のごとく外装部品として使用されるので、泥水,ホコリ等による目詰り、さらにこれに伴う性能悪化が予想される。そこで、騒音悪化レベルを試験した。その結果を図8に載せる。図8で、Nはノーマル品、Sはブロック片3の通気性が20ml/cm2/sである初期の本発明品、■はSのブロック片にJISA−8種の粒体を吹き付けたもの、■はJISA−8種の50%濃度の泥水を表面にべた塗りした後、乾燥させたもの、■はJISA−8種の5%濃度の泥水を15分間散水した後、乾燥させたものである。試験結果によれば、最大で5dB(平均2dB)ほどの騒音悪化にとどまっており、目標値はクリアしている。騒音悪化が低く抑えられるのは、空孔の形状が直線的でないため、目詰りし難いためと考えられる。 【0018】<性能比較試験3>材質に撥水性があっても空孔径が大きくなれば水が内部に浸透してしまう。吸気ダクトに使用されるブロック片3の空孔径と吸水性との関係を実験したので、その結果を表3に示す。吸水性だけを考えれば500μm以下(700μmでも満足であった。)の空孔径をもつブロック片3であれば浸透が抑えられ、その問題を解決できた。 【0019】 【表3】
【0020】<性能比較試験4>本発明の吸気ダクトはホットエアの吸い込み量がチューニングホール2のみからなるものより少ない。チューニングホール2だけだと130ml/cm2/s程度の通気性となる。本吸気ダクトのブロック片3の空孔径が500μm以下であれば、通気性が低下するのが確認されている。ホットエアの吸い込み量が減少する。 【0021】このように構成した吸気ダクトは騒音レベルを低減し、ノーマル品に比し気柱共鳴を減衰させることができる(図6)。通気性隙間33は連続空孔を形成しているので、音圧減衰効果が大きい。また、チューニングホール2を設けたときにはノーマル品に比し放射音が高くなる不具合があったが、本発明品はこれを抑えることができる(図7)。特に、ブロック片3に空孔径が100μm〜200μmで、通気性として20ml/cm2/s〜40ml/cm2/sのNo■〜■のものは放射音を効果的に抑制できる。そのメカニズムとしては次のように想定される。音がブロック片3を横切り内部へ伝播するに従い、空気の振動が結合粒子31に何度も衝突し、熱エネルギに変換され、音が減衰される(図1)。更には、ブロック片3内部の空気粘性により音として振動していた空気粒子が次第に静止状態となり、結果として放射音の低減も可能になる。 【0022】そして、チューニングホール2を設けた場合はエンジンルーム内のホットエアの吸い込みの問題があるが、ブロック片3がチューニングホール2を覆うので、ホットエアの吸い込みを減らすことができる。また、チューニングホール2を不織布等で覆った場合には目詰りの問題があったが、本発明品を用いれば性能比較試験2からも明らかなように長期に亘って目詰りを起させない長所をもつ。ブロック片3にオレフィン系樹脂(無極性の樹脂が好ましい)を用いることにより撥水性を帯有させ、目詰りをさらに引き起こさない構成にできる。繊維質上では効果が薄れるが、樹脂の特性である撥水効果が維持できるので、撥水処理を必要とせずコスト低減可能となる。加えて、本吸気ダクトはダクト本体1に使用されるポリプロピレン樹脂等の材質と同じ材質のブロック片3を用いることができるので、分別を要せず再生利用が容易となる。また、ダクト本体1とブロック片3とを同質材料で造ることができるので、ブロック片3のダクト本体1への固定方法も熱板溶着等が可能になりコスト低減につながる。全体的な総合評価は、既述のごとく空孔径が100μm〜500μmで、通気性が20ml/cm2/s〜70ml/cm2/sの範囲が好適範囲であるが、騒音低減に関していえば、例えば本吸気ダクトにレゾネータが付加されると、空孔径,通気性とも大きくできる。空孔径は1000μmまで、通気性は200ml/cm2/s程度までは効果が期待できるのを確認している。 【0023】尚、本発明においては、前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。ダクト本体1,チューニングホール2,ブロック片3の形状,大きさ,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。 【0024】 【発明の効果】以上のごとく、本発明の吸気ダクトは騒音防止を効果的に低減でき、また目詰りを起さないようにして長期に亘って性能維持でき、さらに再生利用も容易であるなど優れた効果を発揮する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000119232 【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
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| 【出願日】 |
平成12年2月15日(2000.2.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101627 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 宜延
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| 【公開番号】 |
特開2001−227423(P2001−227423A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月24日(2001.8.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−37191(P2000−37191) |
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