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【発明の名称】 燃料蒸気パージシステムの故障診断装置及び燃料蒸気パージシステム
【発明者】 【氏名】▲吉▼岡 衛

【氏名】多賀 尊孝

【氏名】富永 眞弘

【氏名】田中 仁

【要約】 【課題】燃料蒸気パージシステムの故障診断に要する時間を短縮し、早期にパージを開始してパージ効率を向上する。

【解決手段】燃料蒸気パージシステムの故障診断装置は、パージ経路内に吸気通路9の負圧を導入してこれを密閉し、密閉後における同経路内の内圧の変化状態に基づいて同経路の漏れ異常の有無を診断する。また、故障診断装置は、パージの実行時中において、圧力封鎖弁27aを開いた状態でパージ制御弁11を一時的に閉じたときのパージ経路の内圧の変化状態に基づいてパージ制御弁11又は圧力封鎖弁27aの故障を診断する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】燃料タンクで発生する燃料蒸気をキャニスタに捕集し、パージ通路を開閉するパージ制御弁と、大気導入口を開閉する圧力封鎖弁と、燃料タンクとキャニスタと連通するバイパス通路を開閉するバイパス制御弁とを備え、パージ制御弁及び圧力封鎖弁を開弁してキャニスタに大気を導入しつつキャニスタに捕集された燃料蒸気をパージ通路を介して内燃機関の吸気通路へパージする燃料蒸気パージシステムと、燃料タンクとキャニスタとをパージ経路の内圧と外圧との間に差圧を設けて前記圧力封鎖弁及びパージ制御弁を閉鎖することによりパージ経路を密閉して測定した内圧の変化状態に基づいてパージ経路の漏れ異常の有無の診断を行う診断手段とを備えた燃料蒸気パージシステムの故障診断装置において、前記診断手段はパージの実行中にパージ制御弁を閉弁しバイパス制御弁を開弁したときのパージ経路の内圧の変化状態に基づいて前記パージ制御弁又は圧力封鎖弁の故障を診断するようにした燃料蒸気パージシステムの故障診断装置。
【請求項2】燃料タンクで発生する燃料蒸気をキャニスタに捕集し、燃料タンクの内圧とキャニスタ側の内圧との差に基づいて開かれ燃料タンクからキャニスタへの燃料蒸気の流入を許容する差圧弁と、パージ通路を開閉するパージ制御弁と、大気導入口を開閉する圧力封鎖弁とを備え、パージ制御弁及び圧力封鎖弁を開弁してキャニスタに大気を導入しつつキャニスタに捕集された燃料蒸気をパージ通路を介して内燃機関の吸気通路へパージする燃料蒸気パージシステムと、パージ経路の内圧と外圧との間に差圧を設けて前記圧力封鎖弁及びパージ制御弁を閉鎖することによりパージ経路を密閉して測定した内圧の変化状態に基づいてパージ経路の漏れ異常の有無の診断を行う診断手段とを備えた燃料蒸気パージシステムの故障診断装置において、前記診断手段はパージの実行中にパージ制御弁を閉弁したときのパージ経路の内圧の変化状態に基づいて前記パージ制御弁、圧力封鎖弁及び差圧弁の故障を診断するようにした燃料蒸気パージシステムの故障診断装置。
【請求項3】請求項2に記載の燃料蒸気パージシステムの故障診断装置において、前記差圧弁は燃料タンクの内圧がキャニスタの内圧よりも所定値以上低いとき開弁される燃料蒸気パージシステムの故障診断装置。
【請求項4】燃料タンクで発生する燃料蒸気をキャニスタに捕集し、燃料タンクの内圧とキャニスタ側の内圧との差に基づいて開かれ燃料タンクからキャニスタへの燃料蒸気の流入を許容する差圧弁と、パージ通路を開閉するパージ制御弁と、大気導入口を開閉する圧力封鎖弁とを備え、パージ制御弁及び圧力封鎖弁を開弁してキャニスタに大気を導入しつつキャニスタに捕集された燃料蒸気をパージ通路を介して内燃機関の吸気通路へパージする燃料蒸気パージシステムにおいて、前記差圧弁は燃料タンクの内圧がキャニスタの内圧よりも所定値以上低いとき開弁可能であり、パージの実行中にパージ制御弁を閉弁することにより、キャニスタに捕集された燃料蒸気を差圧弁を介して燃料タンクへバックパージするようにした燃料蒸気パージシステム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料タンク内で発生した燃料蒸気を内燃機関の吸気系へパージして処理する燃料蒸気パージシステムの故障診断装置及び燃料蒸気パージシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】燃料タンク内で蒸発した燃料が大気中へ放出されるのを防止するため、燃料蒸気を一旦キャニスタ内の吸着剤に吸着させ、キャニスタ内に大気を導入しつつ車両の走行中に吸着した燃料をパージ通路を介して吸気系にパージして燃焼させる燃料蒸気パージシステムが知られている。このような燃料蒸気パージシステムを備えた内燃機関においては、何らかの原因でその配管に穴が空いたり配管が外れた場合には燃料蒸気が漏れ出してキャニスタや燃料タンクから大気中に放出されてしまう。
【0003】従って、このような燃料蒸気パージシステムの漏れ異常の有無を自動的に診断することが必要とされる。このため従来では、燃料蒸気パージシステムの内部と外部との間に差圧を設けた後、その内圧の挙動を検出することで、漏れ異常を診断するシステムが提案されている。例えば、燃料蒸気パージシステム内に内燃機関の吸気系の負圧を導いた後、燃料蒸気パージシステム内を、大気導入通路及びパージ通路をバルブにて閉じることにより密閉し、その後の燃料蒸気パージシステムの内圧変化を測定するものである。
【0004】しかし、このような燃料蒸気パージシステムでは、漏れ故障ばかりでなく、前述した燃料蒸気パージシステムに対する大気導入通路及びパージ通路に設けられたバルブの故障が生じることが考えられる。このようなバルブの故障が生じると、パージが適切に行われなかったり、あるいはキャニスタの大気導入口から燃料が大気中へ放出されたりするおそれがある。このようなバルブ故障は、燃料蒸気パージシステムの内圧に与える影響が異なり、上述した穴の検出のために行われる漏洩故障診断ではバルブ故障診断を兼ねることはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように、漏れ故障診断とバルブ故障診断との2種の故障診断を行うシステムでは、1回ですべての故障診断が終了しない場合、すべての故障診断が終了又は中止するまでは吸気系による燃料蒸気パージシステム内への負圧の導入、パージ停止及びパージ許可が繰り返され、故障診断に要する時間が長くなり、パージの開始時期が遅れ、パージ効率が低下する。
【0006】なお、燃料蒸気パージシステムの故障診断装置として、パージ通路に設けたパージ制御弁と、キャニスタと燃料タンクとの間に設けられた制御弁とがともに開いているとき、キャニスタの大気導入通路に設けられた制御弁の故障を診断するものが特開平5−195883号公報にて提案されている。
【0007】本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、燃料蒸気パージシステムの故障診断に要する時間を短縮し、早期にパージを開始してパージ効率を向上することができる燃料蒸気パージシステムの故障診断装置及び燃料蒸気パージシステムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。請求項1に記載の発明は、燃料タンクで発生する燃料蒸気をキャニスタに捕集し、パージ通路を開閉するパージ制御弁と、大気導入口を開閉する圧力封鎖弁と、燃料タンクとキャニスタと連通するバイパス通路を開閉するバイパス制御弁とを備え、パージ制御弁及び圧力封鎖弁を開弁してキャニスタに大気を導入しつつキャニスタに捕集された燃料蒸気をパージ通路を介して内燃機関の吸気通路へパージする燃料蒸気パージシステムと、燃料タンクとキャニスタとをパージ経路の内圧と外圧との間に差圧を設けて前記圧力封鎖弁及びパージ制御弁を閉鎖することによりパージ経路を密閉して測定した内圧の変化状態に基づいてパージ経路の漏れ異常の有無の診断を行う診断手段とを備えた燃料蒸気パージシステムの故障診断装置において、前記診断手段はパージの実行中にパージ制御弁を閉弁しバイパス制御弁を開弁したときのパージ経路の内圧の変化状態に基づいて前記パージ制御弁又は圧力封鎖弁の故障を診断するようにしたことを要旨とする。
【0009】上記の構成によれば、内燃機関の運転状態において、パージ実行中にパージ制御弁を閉弁してパージを停止し、バイパス制御弁を開弁したときのタンク内圧の変化状態を検出することのみによって、パージ制御弁、圧力封鎖弁及びバイパス制御弁のバルブ故障を診断することができる。従って、負圧導入による故障診断はパージ経路の漏れ故障診断だけで済み、故障診断に要する時間を短縮化することができ、よって早期にパージを開始してパージ効率を向上することができる。
【0010】請求項2に記載の発明は、燃料タンクで発生する燃料蒸気をキャニスタに捕集し、燃料タンクの内圧とキャニスタ側の内圧との差に基づいて開かれ燃料タンクからキャニスタへの燃料蒸気の流入を許容する差圧弁と、パージ通路を開閉するパージ制御弁と、大気導入口を開閉する圧力封鎖弁とを備え、パージ制御弁及び圧力封鎖弁を開弁してキャニスタに大気を導入しつつキャニスタに捕集された燃料蒸気をパージ通路を介して内燃機関の吸気通路へパージする燃料蒸気パージシステムと、パージ経路の内圧と外圧との間に差圧を設けて前記圧力封鎖弁及びパージ制御弁を閉鎖することによりパージ経路を密閉して測定した内圧の変化状態に基づいてパージ経路の漏れ異常の有無の診断を行う診断手段とを備えた燃料蒸気パージシステムの故障診断装置において、前記診断手段はパージの実行中にパージ制御弁を閉弁したときのパージ経路の内圧の変化状態に基づいて前記パージ制御弁、圧力封鎖弁及び差圧弁の故障を診断するようにしたことを要旨とする。
【0011】上記の構成によれば、内燃機関の運転状態において、パージ実行中にパージ制御弁を閉弁してパージを停止し、そのときのタンク内圧の変化状態を検出することのみによって、パージ制御弁、圧力封鎖弁、及び差圧弁のバルブ故障を診断することができる。従って、負圧導入による故障診断はパージ経路の漏れ故障診断だけで済み、故障診断に要する時間を短縮化することができ、よって早期にパージを開始してパージ効率を向上することができる。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の燃料蒸気パージシステムの故障診断装置において、前記差圧弁は燃料タンクの内圧がキャニスタの内圧よりも所定値以上低いとき開弁されることを要旨とする。
【0013】請求項4に記載の発明は、燃料タンクで発生する燃料蒸気をキャニスタに捕集し、燃料タンクの内圧とキャニスタ側の内圧との差に基づいて開かれ燃料タンクからキャニスタへの燃料蒸気の流入を許容する差圧弁と、パージ通路を開閉するパージ制御弁と、大気導入口を開閉する圧力封鎖弁とを備え、パージ制御弁及び圧力封鎖弁を開弁してキャニスタに大気を導入しつつキャニスタに捕集された燃料蒸気をパージ通路を介して内燃機関の吸気通路へパージする燃料蒸気パージシステムにおいて、前記差圧弁は燃料タンクの内圧がキャニスタの内圧よりも所定値以上低いとき開弁可能であり、パージの実行中にパージ制御弁を閉弁することにより、キャニスタに捕集された燃料蒸気を差圧弁を介して燃料タンクへバックパージするようにしたことを要旨とする。
【0014】上記の構成によれば、パージ実行中に燃料タンクの内圧が所定圧力未満の場合にパージ制御弁を一時的に閉弁することにより、差圧弁を開弁することができ、よってキャニスタに残留している燃料蒸気を燃料タンクへバックパージすることができる。このため、次の給油時においてキャニスタから大気への給油エミッションの悪化を抑制することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を具体化した第1実施形態の燃料蒸気パージシステムを図1〜図6に従って説明する。
【0016】図1は、本実施形態としての燃料蒸気パージシステム全体を表す概略説明図である。本燃料蒸気パージシステムは自動車に搭載されているガソリンエンジンに対して取り付けられている。
【0017】ガソリンエンジンの燃料タンク1には、その内部で発生する燃料蒸気をキャニスタ2に導入する燃料蒸気導入通路3の一端がフロート3aを介して開口し接続されている。この燃料蒸気導入通路3の他端はキャニスタ2上部に設けられたタンク内圧制御弁4を介して、キャニスタ2と接続されている。このタンク内圧制御弁4は燃料タンク1の内圧が規定値以上になると開弁するようなっている。
【0018】また、燃料タンク1には給油時に開弁する差圧弁5が設けられている。この差圧弁5はブリーザ通路7によりキャニスタ2と接続されている。従って、給油時に差圧弁5が開弁すると、燃料タンク1内の燃料蒸気はブリーザ通路7を通じてキャニスタ2内に導入される。
【0019】キャニスタ2の内部はパージ通路8によって吸気通路9の一部をなすサージタンク9aと連通されている。このパージ通路8には、パージ制御弁11が設けられている。パージ制御弁11はマイクロコンピュータとして構成されているECU(電子制御ユニット)10からの制御信号に基づいて駆動回路11aにより開閉駆動される。
【0020】例えば、パージ制御弁11は、パージ制御において、パージによりキャニスタ2側から吸気通路9へ供給される燃料量を調整し、故障診断制御ではパージ通路8の遮断・開放を行う。このパージ制御弁11としては例えばバキュームスイッチングバルブ(VSV)等が用いられる。
【0021】キャニスタ2の内部は上下方向に延びる仕切板15によって、2つの室に区画され、タンク内圧制御弁4の下方に位置する主室16と、大気制御弁14の下方に位置し内容積が前記主室16より小さい副室17とがそれぞれ形成されている。また、主室16及び副室17上部にはそれぞれ空気層18a,18bが形成され、空気層18a,18bの下方には活性炭吸着材19a,19bが充填された吸着材層20a,20bがそれぞれ形成されている。主室16にはその天井部から活性炭吸着材19a内に没入するように蒸気ガイド40が設けられ、同蒸気ガイド40は燃料タンク1からキャニスタ2内に燃料蒸気が導入された際、直接パージ通路8に導かれるのを防止するようにしている。
【0022】吸着材層20a,20bの上方及び下方にはフィルタ20c,20dが設けられており、活性炭吸着材19a,19bは両フィルタ20c,20dの間に充填されている。また、フィルタ20dから下方の空間は拡散室21とされ、この拡散室21により主室16と副室17とは連通されている。
【0023】主室16が位置する側のキャニスタ2の端面には、燃料タンク1内において発生した燃料蒸気をキャニスタ2内部に導入するベーパ導入ポート22が形成されている。また、ベーパ導入ポート22近傍には、燃料タンク1内が負圧になった際に通気を行うためのチェックボール式のベーパリリーフ弁23が設けられている。
【0024】ベーパ導入ポート22を覆うようにキャニスタ2の同一端面には前記タンク内圧制御弁4が配設されている。タンク内圧制御弁4にはダイヤフラム4aが備えられており、このダイヤフラム4aによってベーパ導入ポート22の先端開口部が閉塞可能とされている。また、タンク内圧制御弁4の内部はダイヤフラム4aによって2つの圧力室に区画されており、ダイヤフラム4aの一方側には背圧室4bが形成され、他方側には正圧室4cが形成されている。また背圧室4bの側面には、その内部を大気圧に維持する大気開放ポート24が設けられている。更に正圧室4c内部は燃料蒸気導入通路3を介して燃料タンク1の内部と連通されている。
【0025】なお、ダイヤフラム4aは背圧室4bに設けられたスプリング4dの付勢力によりベーパ導入ポート22の先端開口部側に押圧されているため、燃料タンク1の内圧が規定圧以上になるまでタンク内圧制御弁4は閉弁状態に保持される。
【0026】主室16の上方におけるキャニスタ2上面にはブリーザ通路7の一端が接続されている。ブリーザ通路7の開口位置の図示左側には前記蒸気ガイド40を挟んでベーパ導入ポート22と反対側にパージ通路8が接続されている。
【0027】そして、特にパージ制御弁11が開弁状態にあり、キャニスタ2内に大気圧よりも低い圧力が導入されている状態で、パージ通路8内の空間が、順次、主室16→タンク内圧制御弁4→燃料蒸気導入通路3→燃料タンク1に連通することとなる。また、ブリーザ通路7内の空間も本来主室16と連通しているため、パージ通路8と同一空間を共有することとなる。以下、本明細書において、大気圧を基準としてそれよりも低い圧力を負圧といい、大気圧を基準としてそれよりも高い圧力を正圧という。
【0028】このように、キャニスタ2内に負圧が導入されている状態で互いに連通する燃料蒸気パージシステム内の共有空間がパージ経路となる。本実施形態にかかる燃料蒸気パージシステムの故障診断装置は、このパージ経路の漏れの有無を判定することによってその故障の有無を診断することとなる。
【0029】更に、副室17の上方におけるキャニスタ2上面には、通気ポート25が形成されている。大気制御弁14は、大気開放弁12と大気導入弁13とが図示左右に対向して配置されることで形成されている。大気開放弁12に備えられたダイヤフラム12aの図示左側には大気圧室12bが形成され、大気導入弁13に備えられたダイヤフラム13aの図示右側には圧力室としての負圧室13bが形成されている。これら2つのダイヤフラム12a,13aによって挟まれた空間は、隔壁28により2つの圧力室に区画されている。そして、両圧力室の一方は大気開放弁12の正圧室12dとされ、他方は大気導入弁13の大気圧室13dとされている。
【0030】前記隔壁28の一部には圧力ポート28aが形成されるとともに、その先端開口部はダイヤフラム13aによって閉塞可能とされている。大気圧室13dには大気導入通路27が連通している。そして、ダイヤフラム13aは負圧室13bに配設されたスプリング13cの付勢力によって圧力ポート28aの先端開口部側に押圧されているため、大気導入弁13は閉弁状態となっている。大気導入通路27の中間部には圧力封鎖弁27aが配置されている。この圧力封鎖弁27aは通常は開かれているが、ECU10により後述のごとく故障診断時に開閉制御される。圧力封鎖弁27aとしては例えばVSV等が用いられる。
【0031】また、負圧室13bは連通路30を介して前記主室16に接続されており、負圧室13b内には吸気通路9のサージタンク9aにて発生する圧力が導入されている。すなわち、パージ実行時にはエンジンへの吸気に伴ってサージタンク9a内に生じる負圧が負圧室13bに導入されることとなり、負圧室13b内の負圧がスプリング13cの押圧力以上になるため、ダイヤフラム13aが圧力ポート28aの開口部から離間して大気導入弁13は開弁し、パージカット時にはダイヤフラム13aが圧力ポート28aの開口部に当接して大気導入弁13は閉弁する。
【0032】従って、エンジン運転時においてサージタンク9a内に生じる負圧によりキャニスタ2内の吸着燃料が吸気通路9側にパージ(放出)される際には、外気を大気導入通路27及び通気ポート25を介して副室17側からキャニスタ2内に導入することができる。この外気の導入により、主室16及び副室17内の活性炭吸着材19a,19bに吸着されている燃料蒸気がパージ通路8側へ流れて、サージタンク9a内を流れる吸入空気中にパージされる。
【0033】また、エンジン運転時において故障診断時の負圧導入後において燃料タンク1内の圧力変化量、すなわち燃料蒸気の発生量を測定するためにパージ制御弁11は閉鎖されたまま圧力封鎖弁25aが開かれてキャニスタ2及び燃料タンク1内の圧力が大気圧に戻される。
【0034】また、大気制御弁14の上部には大気開放弁12の大気圧室12bに通じる大気開放ポート29が形成され、大気圧室12bの内部は常時大気圧とされている。大気制御弁14にはキャニスタ2内で燃料成分が捕集された後の気体を外部に導出する大気排出ポート26が設けられている。大気排出ポート26の先端開口部は大気開放弁12のダイヤフラム12aによって閉塞可能とされている。そして、ダイヤフラム12aは、大気圧室12bに配設されたスプリング12cの付勢力により大気排出ポート26の開口部側に押圧されている。このため、大気開放弁12はキャニスタ2の内圧が規定圧以上になるまで閉弁状態に保持される。
【0035】給油時にブリーザ通路7からキャニスタ2内に圧力がかかると、大気開放弁12の正圧室12dの圧力が高まる。そして、この正圧室12d内の圧力と大気開放ポート29から大気圧室12bに導入される大気圧との差圧が、規定圧差に達した時に大気開放弁12が開弁する。このことにより、主室16と副室17とを経て燃料蒸気を除かれた気体が通気ポート25及び大気排出ポート26を介して外部に排出される。
【0036】次に、燃料タンク1の上部には嵌挿孔31が形成され、この嵌挿孔31にはブリーザ通路7の一部をなす筒状のブリーザ管32が挿入され固定されている。ブリーザ管32の下部にはフロート弁33が形成されている。また、燃料タンク1の上部にはブリーザ管32の上端開口部32aを覆うように差圧弁5が配設されている。
【0037】図2(a),(b)に示すように、差圧弁5の内部はダイヤフラム5aによって上下に区画され、ダイヤフラム5aの上側には第1圧力室5bが、下側には第2圧力室5cがそれぞれ形成されている。第1圧力室5bは、圧力通路34によって燃料タンク1に設けられた燃料注入管36の上部と連通されており、第1及び第2圧力室5b,5cには燃料タンク1内の圧力が導入されている。ダイヤフラム5aは第1圧力室5bに配設されたスプリング5dの付勢力により、第2圧力室5c内に導入されたブリーザ通路7の上端開口部7a側に押圧されている。このようにダイヤフラム5aによってブリーザ通路7の上端開口部7aは閉塞可能とされている。本実施形態において、第1及び第2圧力室5b,5cに導入される圧力をPα,Pβ、ブリーザ通路7に導入される圧力をPγ、さらにスプリング5dの押圧力に基づくダイヤフラム5aの圧力をPδとする。また、第1圧力室5b側のダイヤフラム5aの面積をS1、第2圧力室5c側のダイヤフラム5aの面積をS2、ブリーザ通路7側のダイヤフラム5aの面積をS3とする。すると、ダイヤフラム5aを閉鎖させる方向の力fは、f=Pα*S1+Pδ*S1−Pβ*S2−Pγ*S3となる。この力fが正の値の場合にはダイヤフラム5aが閉鎖されて差圧弁5は閉弁し、力fが負の値の場合にはダイヤフラム5aが開放されて差圧弁5は開弁することとなる。
【0038】本実施形態では、例えば面積S1,S2,S3の面積比を7:6:1とし、スプリング5dによる単位面積当たりの圧力Pδを0.27kPa(=2mmHg)としている。従って、力fは、f=Pα*7*S3+Pδ*7*S3−Pβ*6*S3−Pγ*S3=S3(7・Pα−6・Pβ−Pγ+1.89)
となる。燃料タンク1への燃料の給油時以外には圧力Pα=Pβとなるため、f=S3(7・Pα−6・Pα−Pγ+1.89)
=S3(Pα−Pγ+1.89)
となる。
【0039】従って、燃料タンク1の圧力Pαがキャニスタ2の圧力Pγよりも所定圧力P0=1.89kPa(=14mmHg)以上低くなると、ダイヤフラム5aが開放され、キャニスタ2から燃料タンク1へのバックパージが行われることとなる。例えば、エンジン運転状態において、タンク内圧が−1.89kPa(=−14mmHg)よりも小さな値であれば、パージ制御弁11を閉弁してキャニスタ2内に大気圧を導入することにより、差圧弁5が開弁することとなる。
【0040】燃料注入管36の下部側先端部には絞り36aが形成されている。給油された燃料がこの絞り36aを通過すると、燃料注入管36内部の燃料蒸気の流れ方向は給油口36bから燃料タンク1側に流れる方向に規制される。従って、給油口36bから燃料蒸気が外部に漏出することを防止できる。なお、燃料タンク1の上部と燃料注入管36の上部とを連通させる循環ライン管37が設けられており、給油時において燃料タンク1内の燃料蒸気を燃料注入管36との間で循環させて円滑な注油を可能としている。
【0041】また、燃料タンク1の上部には燃料タンク1内の圧力を検出するための圧力センサ1aが設けられている。本実施形態において、圧力センサ1aは大気圧を基準とする相対圧力を検出するものが用いられている。圧力センサ1aによる検出信号はパージ制御や故障診断制御を行っているECU10に出力されている。なお、ECU10へは吸気通路9に設けられたエアフローメータ9c等の各種センサからの信号も出力されている。
【0042】更に、タンク内圧制御弁4内の正圧室4cからキャニスタ2の副室17へは、バイパス通路41が形成されている。このことにより、バイパス通路41は、タンク内圧制御弁4内の正圧室4c及び燃料蒸気導入通路3を介して燃料タンク1とキャニスタ2とを連絡している。このバイパス通路41には、バイパス制御弁42が配置されている。このバイパス制御弁42は通常時には閉じられているが、故障診断時にECU10により後述するごとく制御されて、バイパス通路41の開閉状態を調節している。このバイパス制御弁42としては例えばVSV等が用いられる。
【0043】上記構成を備える燃料蒸気パージシステムは以下のように機能する。燃料タンク1内において燃料が蒸発し、燃料タンク1の内圧が規定圧力値以上に増加すると、タンク内圧制御弁4が開弁する。すると、燃料蒸気導入通路3内には燃料タンク1からキャニスタ2に向かう燃料蒸気の流れが形成される。このため、燃料タンク1の燃料蒸気はタンク内圧制御弁4を介してキャニスタ2側に導入される。
【0044】燃料蒸気導入通路3を介してキャニスタ2内部に到達した燃料蒸気は、まず、主室16側の吸着材層20aに充填された活性炭吸着材19aによって燃料成分が捕集される。続いて、燃料蒸気は吸着材層20aを抜けて拡散室21に達する。さらに、燃料蒸気は拡散室21を通過して副室17に導入され、副室17側の吸着材層20bにおいて、主室16側の吸着材層20aで捕集しきれなかった燃料成分が捕集される。このように燃料蒸気はキャニスタ2内部をU字状の移動経路に沿って流れるため、吸着材層20a,20bの活性炭吸着材19a,19bに接触する時間が長くなり燃料成分が効果的に捕集される。このとき、図3(a)に示すように、蒸気ガイド40によって燃料蒸気の流れが規制され、蒸気ガイド40よりもパージ通路8側の吸着材層20a領域への燃料蒸気の吸着量は少なくなる。
【0045】そして、燃料成分の大部分が吸着材層20a,20bの活性炭吸着材19a,19bによって捕集された気体は大気開放弁12を開弁するとともに、大気排出ポート26を通じて外部に放出される。この時、大気導入弁13の負圧室13bの内圧は大気圧室13dの内圧より大きい正圧となっているため、大気導入弁13は開弁しない。従って、大気導入弁13を介して、大気導入通路27から燃料蒸気が外部に漏出することはない。
【0046】次に、キャニスタ2内に捕集された燃料成分は以下のようにして吸気通路9に供給される。エンジンが運転されているとパージ通路8のサージタンク9a側開口部近傍は負圧に転じるため、ECU10の制御信号によりパージ制御弁11が開放駆動される毎に、大気導入弁13が開弁しパージ通路8の内部にはキャニスタ2側からサージタンク9a側へ向かう燃料蒸気の流れが形成される。
【0047】従って、キャニスタ2内部は負圧となり、大気導入通路27を通してキャニスタ2内部に副室17側から空気が導入される。そして、活性炭吸着材19a,19bに吸着されている燃料成分はその空気により離脱され、空気中に吸収される。このとき、図3(b)に示すように、蒸気ガイド40によって燃料蒸気の流れが規制され、蒸気ガイド40よりもベーパ導入ポート22側の吸着材層20a領域からの燃料蒸気の離脱量は少なくなる。
【0048】このようにして導入された空気により燃料蒸気はパージ通路8内に導かれ、パージ制御弁11を介してサージタンク9a内に放出される。サージタンク9a内において、燃料蒸気はエアクリーナ9b、エアフローメータ9c及びスロットルバルブ9dを通過した吸入空気と混合され、シリンダ(図示略)内に供給される。そして、吸入空気と混合された燃料蒸気は、燃料タンク1内の燃料ポンプ38を介して燃料噴射弁39から吐出された燃料とともに、シリンダ内において燃焼される。
【0049】また、パージ実行中において、燃料タンク1の内圧が大気圧よりも所定圧力P0以上低い状態において、パージ制御弁11を一時的に閉弁すると、キャニスタ2内の圧力Pγはほぼ大気圧になるため、差圧弁5が開弁する。このため、図3(c)に示すように、ブリーザ通路7の内部にはキャニスタ2側から燃料タンク1側へ向かう燃料蒸気の流れが形成され、蒸気ガイド40よりもベーパ導入ポート22側の吸着材層20a領域からの燃料蒸気が離脱されて燃料タンク1へバックパージされることとなる。そのため、次の給油時において給油エミッションの悪化を抑制することができる。
【0050】一方、長時間の駐車等により、燃料タンク1が冷却され、燃料タンク1内の燃料蒸気の発生が止まり、燃料タンク1内部の圧力が相対的にキャニスタ2内部より低くなった場合には、タンク内圧制御弁4の正圧室4cの圧力は負圧となる。従って、ベーパリリーフ弁23のチェックボールが上方に移動し、ベーパリリーフ弁23が開放される。このため、キャニスタ2内の燃料蒸気は燃料蒸気導入通路3を通じて燃料タンク1に戻される。
【0051】また、この故障診断装置では、燃料タンク1の内部、燃料蒸気導入通路3、ブリーザ通路7、キャニスタ2の内部、及びパージ通路8といった燃料蒸気が導入される部位により構成される経路(以下、これらを併せて「パージ経路」と称する)の穴開きや配管の外れ等に起因する漏れ異常の有無をその診断対象とするとともに、パージ経路に設けられた各種バルブの故障を診断対象としている。パージ経路の漏れ異常の診断方法として具体的には、燃料蒸気導入通路内を所定の負圧下で密閉した後の同経路内の圧力挙動に基づいて、同経路における漏れ異常の有無を診断している。
【0052】以下、こうした故障診断装置による漏れ異常の故障診断の実行手順について図6に示すタイミングチャートを参照して説明する。この故障診断は、タンク内圧が安定していること、エンジンの始動時から所定時間が経過していないこと、圧力センサ1aに異常がないこと等の条件に加え、パージ処理が実行されていること、即ちパージ制御弁11が運転状態に基づく所定開度で開弁されていること、といった各前提条件が全て成立しているときに実行される。
【0053】そして、こうした前提条件が満たされると、まず、ECU10により圧力封鎖弁27aが閉駆動され(時刻t10)、吸気通路9の負圧がパージ経路内に導入される。その結果、パージ経路内の圧力(=タンク内圧)は徐々に低下するようになる(時刻t10〜t20)。
【0054】次に、タンク内圧が目標負圧PTに達すると(時刻t20)、ECU10によりパージ制御弁11が強制的に閉じられる。その結果、パージ経路内は密閉された状態になる。尚、負圧の導入を開始してから所定時間が経過してもタンク内圧が上記目標負圧PTにまで低下しない場合には、パージ経路内に比較的大きな漏れが発生していると診断される。
【0055】上記のようにパージ経路内が低圧(負圧)下に置かれた状態で密閉されると、タンク内圧は、上記所定負圧PT以下にまで一旦低下するものの、同経路内の燃料(例えば燃料タンク1内の燃料やキャニスタ2の吸着材に吸着されている燃料)が蒸発するのに伴って徐々に上昇し始める(時刻t21以降)。そして、故障診断、すなわちパージ経路における漏れ異常の有無の判定は、このときのタンク内圧の上昇速度に基づいて行われる。
【0056】即ち、[正常判定]タンク内圧の上昇速度が所定値(正常判定値)未満である場合には、タンク内圧はパージ経路内における燃料の蒸発によってのみ上昇しており、同経路に漏れ異常は無いと判定される。
[異常判定]タンク内圧の上昇速度が所定値(異常判定値)以上である場合には、タンク内圧は同経路内における燃料の上昇に加えて、更に同経路への大気の流入によって上昇しており、同経路に漏れ異常が有ると判定される。
[判定保留]タンク内圧の上昇速度が上記正常判定値以上であって異常判定値未満である場合には、漏れ異常の有無を確実に判定することが困難であるため、その判定が一旦保留される。といった判定がなされる。
【0057】次に、ECU10が実行するパージ制御及びバルブの故障診断処理を図4〜図5に従って説明する。なお、以下の故障診断処理において、燃料タンク内圧は、大気圧を基準とする相対圧力である。
【0058】本診断処理はECU10の電源オン後に必要な初期設定が行われ、例えば、圧力センサ1aやその他のセンサに異常が無く、エンジンが運転を開始してから、ある程度の時間が経過して運転が安定した場合に故障診断処理実行条件は成立する。
【0059】前述したように、エンジンの運転が安定すると、まず、ステップ102において、エンジン冷却水温THWが所定温度A℃(例えば75℃)以上か否かを判定する。エンジン冷却水温THWがA℃未満であると判定すると、ステップ130に処理を移行する。エンジン冷却水温THWがA℃以上であると判定すると、ステップ104に進む。
【0060】ステップ130において、タンク内圧が−PA(例えばPA=2.67kPa=20mmHg)未満か否かを判定する。タンク内圧が−PA以上であると判定すると本ルーチンを一旦終了する。タンク内圧が−PA未満であると判定すると、次のステップ132において、圧力封鎖弁閉異常、又はパージ制御弁及びバイパス制御弁開異常であると診断し、本ルーチンを一旦終了する。これは、パージの開始前にタンク内圧が−PA未満になる条件はキャニスタ2内が負圧になる場合である。キャニスタ2内が負圧になる故障条件は、パージ制御弁11が開異常であるとともに、バイパス制御弁42が開異常の場合に、直接燃料タンク1内にキャニスタ2の負圧が伝わっているので、タンク内圧が負圧になる。また、パージ制御弁11が正常であっても燃料消費量が多いためにタンク内圧の負圧が大きくなる場合があるが、このとき圧力封鎖弁27aが閉異常のときキャニスタ2内が負圧になる。
【0061】また、ステップ104ではパージ条件成立か否かを判定する。パージ条件が成立していないと判定すると本ルーチンを一旦終了し、パージ条件が成立していると判定するとステップ106に進む。
【0062】ステップ106においてパージ経路内への負圧導入中か否かを判定し、負圧導入中でないと判定するとステップ108に進み、負圧導入中であると判定するとステップ160の負圧導入漏れ検出ルーチンに進む。
【0063】ステップ108において、タンク内圧が−PB(例えばPB=3.34kPa=25mmHg)未満か否かを判定する。タンク内圧が−PB以上であると判定するとステップ140に進み、タンク内圧が−PB未満であると判定するとステップ110においてパージ制御弁11を閉弁してパージを強制的に停止する。
【0064】ステップ140において、パージ強制停止フラグは1である、すなわちパージ制御弁11が閉弁状態であるか否かを判定し、肯定判定の場合にはステップ114に移行し、否定判定の場合にはステップ142に進んで通常パージ制御を実行する。
【0065】そしてステップ112において、パージ強制停止後t秒経過したか否かを判定し、t秒経過していないと判定すると本ルーチンを一旦終了する。このステップ112でパージ強制停止後t秒経過したと判定すると、パージ強制停止フラグを1に設定してステップ114に移行する。
【0066】ステップ114において、タンク内圧が−PA(例えばPA=2.67kPa=20mmHg)未満か否かを判定する。タンク内圧が−PA以上であると判定するとステップ150に移行し、タンク内圧が−PA未満であると判定すると、次のステップ116において、パージ制御弁開異常、又は圧力封鎖弁閉異常、又はバイパス制御弁開及び圧力封鎖弁閉異常であると診断する。これは、パージ実行中にパージ制御弁を閉弁してもタンク内圧が大気側に上昇しない場合にはキャニスタ2内の負圧が維持されるので、パージ制御弁11が開異常であるか、圧力封鎖弁27aが閉異常のためにパージ経路内に大気が導入されないか、バイパス制御弁42が開異常のためにキャニスタ2内の負圧が直接燃料タンク1内に伝わっているかであることによる。
【0067】また、ステップ116の処理の後、ステップ118において強制パージ停止フラグを0に設定してパージを再開する。また、ステップ150では、タンク内圧が−PC(例えばPC=1.33kPa=10mmHg)未満か否かを判定する。タンク内圧が−PC以上であると判定するとステップ154に移行し、タンク内圧が−PC未満であると判定すると、ステップ152に進む。
【0068】ステップ152において、パージ制御弁開閉正常、圧力封鎖弁開正常、バイパス制御弁閉正常、差圧弁正常、及びタンクの1.0mm穴正常であると又はバイパス制御弁開及び圧力封鎖弁閉異常であると診断する。これは、パージ強制停止によってタンク内圧が−PB(=−3.34kPa)未満の状態から−PC(=−1.33kPa)未満の状態に変化することから、パージ制御弁11の開から閉への切り換えによって圧力変化が発生しているので、パージ制御弁11が開閉ともに正常となる。また、タンク内圧が−PB(=−3.34kPa)未満の状態から−PC(=−1.33kPa)未満に上昇することにより圧力封鎖弁27aが開正常となって大気が導入され、差圧弁5が正常であり、バイパス制御弁42が閉正常となる。さらに、差圧弁5が正常であり、バイパス制御弁42が閉正常であることから、所定時間経過後にタンク内圧が−PC付近に維持されていればタンクの1.0mm穴がないことを判定することができる。従って、パージ経路への負圧導入漏れ検出において1.0mm穴異常が検出されると、キャニスタ2側での1.0mm穴有りを検出することができる。
【0069】ステップ150でタンク内圧が−PC以上であると判定されたとき、ステップ154では、パージ制御弁開閉正常、圧力封鎖弁開正常、及びバイパス制御弁開異常であると診断する。これは、パージ強制停止によってタンク内圧が−PB(=−3.34kPa)未満の状態から−PC(=−1.33kPa)以上の状態に変化することから、パージ制御弁11の開から閉への切り換えによって圧力変化が発生しているので、パージ制御弁11が開閉ともに正常となる。また、タンク内圧が−PC(=−1.33kPa)以上に上昇することにより圧力封鎖弁27aが開正常であり、このときタンク内圧が−PC以上になることから差圧弁5が開異常であるか、バイパス制御弁42が閉異常となる。
【0070】以上説明した態様をもってバルブ故障診断が実行される本実施形態の燃料蒸気パージシステムによれば、(1)エンジン運転状態において、パージ実行中にパージ制御弁11を一時閉弁してパージ強制停止し、そのときのタンク内圧の変化状態を検出することのみによって、パージ制御弁11、圧力封鎖弁27a、バイパス制御弁42、及び差圧弁5等のバルブ故障を診断することができる。従って、負圧導入による故障診断はパージ経路の漏れ故障診断だけで済み、故障診断に要する時間を短縮化することができ、よって早期にパージを開始してパージ効率を向上することができる。
【0071】(2)また、パージ実行中に燃料タンク1の内圧が所定圧力P0未満の場合にパージ制御弁11を一時的に閉弁することにより、差圧弁5を開弁することができ、よってキャニスタ2の蒸気ガイド40よりもベーパ導入ポート22側の吸着材層20a領域に残留している燃料蒸気を燃料タンク1へバックパージすることができる。このため、次の給油時においてキャニスタ2から大気への給油エミッションの悪化を抑制することができる。
【0072】(第2実施形態)次に、本発明にかかる燃料蒸気パージシステムの故障診断装置の第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この第2実施形態にかかる故障診断装置は、先の第1実施形態で説明したものと同様の構成を有したものを想定しているため、その構成についての説明は省略する。
【0073】第1実施形態の故障診断装置では、キャニスタ2から燃料タンク1へバックパージを利用したタンク負圧が大きい条件でパージカットした時のバルブ故障診断について述べた。本実施形態では、タンク内圧が大気圧よりも所定値以上高い若しくはタンク内圧が大気圧よりも所定値以上低い場合に、パージカットに合わせてバルブ故障診断を実施するようにしたものである。
【0074】図7,8は、パージカット時のバルブ故障診断処理の実行手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに示す一連の処理は、所定時間毎(例えば65ms毎)の割り込み処理としてECU10により実行される。
【0075】この処理に際しては、先ず、ステップ202において、パージカットフラグが1であるか否かに基づいて、パージ制御弁11が閉弁されているか否かを判断する。このステップ202で、パージカットフラグが1すなわちパージ制御弁11が閉弁されているとステップ204に進み、パージカットフラグが0すなわちパージ制御弁11が開弁されているとステップ250の通常パージ制御ルーチンに進む。
【0076】ステップ204において、パージカット時診断完了フラグが0であるか否かに基づいて、診断が未完了であるか否かを判定する。このステップ204で、パージカット時診断完了フラグが0すなわち診断未完了であると判定するとステップ206に進み、パージカット時診断完了フラグが1すなわち診断完了済みであると判定されるとステップ250の通常パージ制御ルーチンに進む。
【0077】ステップ206において、バイパス制御弁42は閉弁しているか否かを判定する。バイパス制御弁42が開弁していると判定するとステップ212に進み、バイパス制御弁42が閉弁していると判定するとステップ208に進む。
【0078】ステップ208において、タンク内圧の絶対値が所定圧力P1(P1>0)以上か否かを判定する。タンク内圧絶対値がP1以下であると判定すると本ルーチンを一旦終了し、タンク内圧絶対値がP1より大きいと判定すると、ステップ210に進んでバイパス制御弁42を開弁させる。
【0079】そして、次のステップ212において、バイパス制御弁開弁後t秒経過したか否かを判定し、t秒経過していないと判定すると本ルーチンを一旦終了する。このステップ212でバイパス制御弁開弁後t秒経過したと判定すると、ステップ214に進む。
【0080】ステップ214において、タンク内圧絶対値が所定圧力P2(P1>P2>0)未満か否かを判定する。タンク内圧絶対値がP2以上であると判定するとステップ220に移行し、タンク内圧絶対値がP2未満であると判定すると、次のステップ216において、パージ制御弁閉正常、パージ制御弁閉正常、及び圧力封鎖弁開正常であると診断する。これは、パージ実行中にパージ制御弁11の閉弁に合わせてバイパス制御弁42を閉から開に切り換えることにより、タンク内圧が大気に近づくことにより、バイパス制御弁開閉正常、パージ制御弁閉正常、及び圧力封鎖弁開正常を判断することができることによる。
【0081】また、ステップ216の処理の後、ステップ218においてパージカット時診断完了フラグを0に設定してパージを再開する。また、ステップ220では、タンク内圧が−P1未満か否かを判定する。タンク内圧が−P1以上であると判定するとステップ224に移行し、タンク内圧が−P1未満であると判定すると、ステップ222に進む。ステップ222において、パージ制御弁開異常であると診断し、この後ステップ218に進む。
【0082】ステップ220でタンク内圧が−P1以上であると判定されると、ステップ224では、タンク内圧がP1より大きいか否かを判定する。タンク内圧がP1以下であると判定すると本ルーチンを一旦終了し、タンク内圧がP1より大きいと判定するとステップ226に進む。ステップ226において、バイパス制御弁閉異常であると診断し、この後ステップ218に進む。
【0083】以上説明した態様をもってバルブ故障診断が実行される本実施形態の燃料蒸気パージシステムによれば、(1)負圧導入漏れ診断における負圧導入完了時点において、パージ制御弁開正常、圧力封鎖弁閉正常を判断することができ、従って、負圧導入による故障診断はパージ経路の漏れ故障診断だけで済み、故障診断に要する時間を短縮化することができ、よって早期にパージを開始してパージ効率を向上することができる。
【0084】(2)また、本実施形態ではパージ実行中に強制的にパージカットを行うのではなく、車両の走行状態にかかるパージカット時を利用してバルブ故障診断を行うことができるので、走行時のパージ流量を低下させることがない。
【0085】なお、上記各実施形態は、以下のようにその構成を変更して実施することもできる。
・ 上記各実施形態では、燃料蒸気パージシステムとして燃料タンク1とキャニスタ2とをバイパス制御弁42を備えたバイパス通路41により連通するタイプのものに具体化したが、これに代えて燃料タンクとキャニスタとをオリフィスを連通するタイプの燃料蒸気パージシステムに具体化してもよい。
【0086】・ 上記各実施形態における差圧弁5の開弁圧力は必要に応じて任意の値に変更することができる。次に、上記各実施形態から把握できる他の技術的思想を、以下に記載する。
【0087】・ 請求項1に記載の燃料蒸気パージシステムにおいて、前記第1及び第2のポートが管路により互いに接続され、前記管路には、前記閉鎖空間の気密性に係る診断が行われるときに診断用の圧力が導入される一つの導入ポートが設けられ、その導入ポートと前記第2のポートとの間には、前記導入ポートから導入された診断用の圧力が前記第2のポートへ導入されることを許容し、前記第2のポートに作用する圧力が前記導入ポートを通じて外部へ導出されることを阻止するための逆止弁を設けた燃料蒸気パージシステム。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
【出願日】 平成12年2月14日(2000.2.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−227415(P2001−227415A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−35795(P2000−35795)