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【発明の名称】 エンジンの排気ガス還流装置
【発明者】 【氏名】水掫 文浩

【氏名】小沢 一則

【氏名】下山 和明

【要約】 【課題】エンジンの排気ガス還流装置において、排気ガスの還流量を簡単な構造で安定させる。

【解決手段】ディーゼルエンジンEの排気ポート27から排気ガスの一部をEGRガスとして吸気マニホールド25に還流させる排気ガス還流装置において、シリンダヘッド13の排気側の側面に排気ガス還流バルブVを設ける。エンジンEから排出された直後の高温の排気ガスが排気ガス還流バルブVを通過するので、排気ガスの温度低下により発生するカーボン粒子が排気ガス還流バルブVに堆積して作動を妨げたり、排気ガスの温度低下に伴う体積減少により、排気ガスの流量を制御する排気ガス還流バルブVを通過する排気ガスの質量が変動したりするのを防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン(E)の排気系(27)から排気ガスの一部をEGRガスとして吸気系(25)に還流させるエンジンの排気ガス還流装置において、シリンダヘッド(13)の排気側の側面に前記排気ガスの流量を制御する排気ガス還流バルブ(V)を設け、この排気ガス還流バルブ(V)と前記吸気系(25)とを接続する排気ガス還流通路(46)をシリンダヘッド(13)の内部に配置したことを特徴とするエンジンの排気ガス還流装置。
【請求項2】 シリンダヘッド(13)の内部に配置した排気ガス還流通路(46)をウオータジャケット(48)で囲んだことを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの排気ガス還流装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの排気系から排気ガスの一部をEGRガスとして吸気系に還流させるエンジンの排気ガス還流装置に関する。
【0002】
【従来の技術】かかる排気ガス還流装置は、特開昭62−7943号公報により公知である。この排気ガス還流装置は、エンジンの排気通路と吸気通路とを排気ガス還流通路で接続し、EGRガスとしての排気ガスの流量を制御する排気ガス還流バルブを前記吸気通路の近傍に設けたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら排気ガス還流バルブを吸気通路の近傍に設けると、排気通路を出た排気ガスが排気ガス還流バルブに達するまでに温度低下し、排気ガスに含まれるカーボン成分が排気ガス還流バルブの内部に堆積して作動不良を起こす可能性があり、この傾向は排気ガス還流バルブの上流側の排気ガス還流通路にクーラーを設けて排気ガスの冷却を行う場合に特に顕著なものとなる。
【0004】その理由は、排気ガス中に含まれるカーボンは高温下では酸化して二酸化炭素になるが、低温下ではカーボンのままの状態で相互に結合して粒子化する傾向があるからである。
【0005】しかも排気ガスの還流量(排気ガスの質量)をエンジンの運転状態に応じて制御しようとしても、排気ガス還流バルブの上流側の排気ガス還流通路の全長が長くなるため、排気ガスが排気ガス還流通路を通過する間の温度低下量が外的要因によって大きく左右されてしまう。従って、排気ガスの温度低下に伴う体積変化を予測することが難しくなり、排気ガス還流バルブの開度をエンジンの運転状態に応じて的確に制御しても、実際に吸気通路に戻される排気ガスの還流量(質量)が不安定になる可能性がある。
【0006】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、エンジンの排気ガス還流装置において、排気ガスの還流量を簡単な構造で安定させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンの排気系から排気ガスの一部をEGRガスとして吸気系に還流させるエンジンの排気ガス還流装置において、シリンダヘッドの排気側の側面に前記排気ガスの流量を制御する排気ガス還流バルブを設け、この排気ガス還流バルブと前記吸気系とを接続する排気ガス還流通路をシリンダヘッドの内部に配置したことを特徴とするエンジンの排気ガス還流装置が提案される。
【0008】上記構成によれば、排気ガスの流量を制御する排気ガス還流バルブをシリンダヘッドの排気側の側面に設けたので、エンジンから排出された直後の高温の排気ガスが排気ガス還流バルブを通過することになり、排気ガスの温度低下により発生するカーボン粒子が排気ガス還流バルブに堆積して作動を妨げたり、排気ガスの温度低下に伴う体積減少により、排気ガスの流量を制御する排気ガス還流バルブを通過する排気ガスの質量が変動したりするのを防止することができる。しかも排気ガス還流バルブを通過した排気ガスを吸気系に戻す排気ガス還流通路をシリンダヘッドの内部に配置したので、排気ガス還流通路をエンジンの外部の部材と干渉しないようにコンパクトにレイアウトすることができる。
【0009】また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、シリンダヘッドの内部に配置した排気ガス還流通路をウオータジャケットを囲んだことを特徴とするエンジンの排気ガス還流装置が提案される。
【0010】上記構成によれば、シリンダヘッドの内部の排気ガス還流通路をウオータジャケットを囲んで排気ガスを冷却するので、排気ガスの還流による吸気の温度上昇を回避して吸気の充填効率を高め、エンジン出力低下を回避することができる。
【0011】尚、実施例の吸気マニホールド25および排気ポート27はそれぞれ本発明の吸気系および排気系に対応し、実施例のディーゼルエンジンEは本発明のエンジンに対応する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】図1〜図3は本発明の一実施例を示すもので、図1はディーゼルエンジンの全体構成を示す図、図2はシリンダヘッド部の水平断面図、図3は図2の3−3線断面図である。
【0014】図1に示すように、直列4気筒のディーゼルエンジンEは、クランクケース11と、クランクケース11の上部に一体に形成されたシリンダブロック12と、シリンダブロック12の上部に結合されたシリンダヘッド13と、シリンダブロック12の下部に結合されたオイルパン14とを備えており、クランクケース11に回転自在に支持したクランクシャフト15と、シリンダブロック12の内部に形成したシリンダ16に摺動自在に嵌合するピストン17とが、コネクティングロッド18を介して連接される。シリンダヘッド13には2個の吸気バルブ19,19および2個の排気バルブ20,20が設けられており、これら吸気バルブ19,19および排気バルブ20,20はシリンダヘッド13に設けられた1本のカムシャフト21により、図示せぬロッカーアームを介して開閉駆動される。ピストン17の頂面の中央部にはリエントラント型の燃焼室22が凹設されており、この燃焼室22の中心に臨むようにシリンダヘッド13にインジェクタ23が設けられる。
【0015】吸気バルブ19,19から延びる吸気ポート24U,24Lに接続された吸気マニホールド25は上下2層に形成されており、その上流側にサージタンク26が設けられる。排気バルブ20,20に連なる排気ポート27には排気マニホールド28が接続される。エアクリーナ29から延びる吸気通路30に吸入された空気は、ターボチャージャ31の吸気側インペラ32で加圧され、吸気通路33を経て前記サージタンク26に供給される。また排気マニホールド28から出た排気ガスは、ターボチャージャ31の排気側インペラ34を駆動した後に、排気通路35に設けた排気ガス浄化触媒装置36を通過して外部に排出される。
【0016】燃料タンク37の内部に設けた低圧ポンプ38から供給された燃料は低圧フィードパイプ39に設けたフィルター40を経て高圧ポンプ41に供給され、そこで加圧された燃料は高圧フィードパイプ42を経てコモンレール43に供給される。コモンレール43に蓄圧された高圧の燃料は、4本の燃料噴射パイプ44…を介して4個のインジェクタ23に所定のタイミングで供給される。尚、符号45は高圧ポンプ41から余剰の燃料を燃料タンク37に戻すリターンパイプである。
【0017】吸気マニホールド28の近傍には排気ガス還流バルブVが設けられており、排気ガスを排気ガス還流通路46を経てサージタンク26の上流位置に戻すようになっている。尚、図1では排気ガス還流通路46がディーゼルエンジンEの外部に示されているが、実際にはシリンダヘッド13の内部に配置されている。
【0018】図2はディーゼルエンジンEのシリンダヘッド13を、吸気マニホールド25および排気マニホールド28と共に水平方向に切断した横断面を示すものである。シリンダヘッド13の排気側の側面に固定された排気マニホールド28は、4個のシリンダ16…に対応して4方向に分岐しており、それぞれがシリンダヘッド13の内部に形成した4本の排気ポート27…に連なっている。各々の排気ポート27…の基端部は2個の排気バルブ20,20に向かって延びている。
【0019】図1を併せて参照すると明らかなように、シリンダヘッド13の吸気側の側面に固定されてサージタンク26を一体に備えた吸気マニホールド25と、シリンダヘッド13の内部に設けた吸気ポート24U…,24L…とは上下2層に分離している。
【0020】即ち、図2に実線で示すように、吸気マニホールド25の上層の4本の吸気通路25U…は、それぞれ上層の4本の吸気ポート24U…を介して対応する4個の吸気バルブ19…に延びており、また一部を破線で示すように、吸気マニホールド25の下層の4本の吸気通路25L…は、それぞれ下層の4本の吸気ポート24L…を介して対応する4個の吸気バルブ19…に延びている。そしてシリンダヘッド13の排気ポート27…および吸気ポート24U…,24L…に挟まれた空間を埋めるようにウオータジャケット48…が形成される。
【0021】シリンダヘッド13の排気側の側面には取付部材49を介して前記排気ガス還流バルブVが支持される。排気ガス還流バルブVはリニアソレノイド50を介して駆動される弁体51を備えており、♯4シリンダの排気ポート27から分岐してシリンダヘッド13の内部および取付部材49の内部を延びる排気ガス還流通路52,53は、前記弁体51の弁座54への着座により閉塞される。排気ガス還流バルブVの弁体51の下流側は、取付部材49の内部を延びる排気ガス還流通路55を介してシリンダヘッド13内に配置された排気ガス還流通路46の上流端に連通する。そしてシリンダヘッド13内に配置された排気ガス還流通路46の下流端は、吸気マニホールド25に形成した排気ガス還流通路56を介してサージタンク26に連通する。
【0022】図3に示すように、シリンダヘッド13の内部に配置された排気ガス還流通路46は、その外周部がウオータジャケット48によって囲まれている。
【0023】而して、ディーゼルエンジンEの運転状態に応じて図示せぬ制御装置から排気ガス還流バルブVに開弁指令が出力されると、その指令値に応じてリニアソレノイド50が作動することにより弁体51が弁座54から離反し、排気ガス還流バルブVが所定の開度で開弁する。
【0024】その結果、♯4シリンダの排気ポート27に排出された排気ガスの一部が、シリンダヘッド13の排気ガス還流通路52、取付部材49の排気ガス還流通路53、排気ガス還流バルブV、取付部材49の排気ガス還流通路55、シリンダヘッド13の排気ガス還流通路46および吸気マニホールド25の排気ガス還流通路56を経てサージタンク26に戻され、そこから吸気マニホールド25の吸気通路25U…,25L…を経てシリンダヘッド13の吸気ポート24L…,24U…に供給されるため、排気ガスに含まれる有害成分の低減に寄与することができる。
【0025】以上説明したように、排気ガス還流バルブVをシリンダヘッド13の排気側の側面に取り付けので、燃焼室を出た直後の高温の排気ガスを温度低下する以前に排気ガス還流バルブVに導くことが可能となり、排気ガス中のカーボン成分が温度低下により粒子化して排気ガス還流バルブVの内部に付着するのを防止して作動不良の発生を回避することができる。
【0026】また排気ガスの還流量、つまり排気ガス還流バルブVの開度をディーゼルエンジンEの運転状態に応じて制御する際に、排気ガスの温度が変化すると排気ガスの密度が変化するため、排気ガス還流バルブVの開度を所望の開度に制御しても実際に吸気マニホールド25に戻される排気ガスの還流量(質量)が不安定になる可能性がある。しかしながら、本実施例によれば燃焼室を出た直後の高温の排気ガスが排気ガス還流バルブVに導かれるため、排気ガスの温度低下に伴う上記不具合を解消して排気ガス還流量を精密に制御することができる。
【0027】また排気ガス還流バルブVを通過した排気ガスがシリンダヘッド13の内部に配置した排気ガス還流通路46を通過するとき、その外周を囲むウオータジャケット48を流れる冷却水によって冷却されるので、排気ガスの還流による吸気の温度上昇を回避して吸気の充填効率を高め、ディーゼルエンジンEの出力低下を回避することができる。尚、シリンダヘッド13の内部に配置した排気ガス還流通路46を流れる排気ガスは既に排気ガス還流バルブVを通過した後のものであるため、その冷却によって排気ガス還流量(質量)が変動することはない。
【0028】しかも主要な排気ガス還流通路46がシリンダヘッド13の内部に配置されているので、その排気ガス還流通路46をディーゼルエンジンEの外部の部材と干渉しないようにコンパクトにレイアウトすることができる。
【0029】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0030】例えば、実施例ではディーゼルエンジンEを例示したが、本発明はガソリンエンジンに対しても適用することができ、エンジンの気筒数や気筒の配置形態も適宜変更可能である。また排気ガス還流バルブVを通過した後の排気ガスをクーラーで冷却することも可能である。
【0031】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明によれば、排気ガスの流量を制御する排気ガス還流バルブをシリンダヘッドの排気側の側面に設けたので、エンジンから排出された直後の高温の排気ガスが排気ガス還流バルブを通過することになり、排気ガスの温度低下により発生するカーボン粒子が排気ガス還流バルブに堆積して作動を妨げたり、排気ガスの温度低下に伴う体積減少により、排気ガスの流量を制御する排気ガス還流バルブを通過する排気ガスの質量が変動したりするのを防止することができる。しかも排気ガス還流バルブを通過した排気ガスを吸気系に戻す排気ガス還流通路をシリンダヘッドの内部に配置したので、排気ガス還流通路をエンジンの外部の部材と干渉しないようにコンパクトにレイアウトすることができる。
【0032】また請求項2に記載された発明によれば、シリンダヘッドの内部の排気ガス還流通路をウオータジャケットを囲んで排気ガスを冷却するので、排気ガスの還流による吸気の温度上昇を回避して吸気の充填効率を高め、エンジン出力低下を回避することができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【代理人】 【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
【公開番号】 特開2001−227414(P2001−227414A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−46813(P2000−46813)