トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 燃料噴射ノズル
【発明者】 【氏名】伊達 健治

【要約】 【課題】個体間の噴射量のばらつきを低減することができる燃料噴射ノズルを提供する。

【解決手段】噴孔121aの入口側は、ノズルボディ4円周方向については、ノズルボディ4の内径部41との接続部にほぼ曲率Rをもって形成された面取り部14が形成されている。一方、軸方向については曲率をもたず、ほぼ面取りされない形状となっている。つまり、面取り部14はノズルボディ4の軸方向よりも周方向に大きく形成されている。無効リフトのばらつきが低減されるため、噴孔121aに面取り部14を形成して噴孔流量を調整した燃料噴射ノズル2において、燃料噴射量をほぼ一定にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有底筒状に形成され内壁から外壁へ貫通する1つ以上の噴孔を有するボディと、前記ボディ内部に設けられる弁座と、前記ボディの内部で往復移動し前記弁座に着座可能で前記弁座の燃料下流側で少なくとも1つの噴孔を閉塞する弁部材とを備え、前記弁部材が前記弁座から所定量以上リフトしたときに前記噴孔を開口させる燃料噴射ノズルであって、前記噴孔は入口側に前記ボディ軸方向より前記ボディ周方向に大きく形成される面取り部を有することを特徴とする燃料噴射ノズル。
【請求項2】 前記面取り部はR形状であることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射ノズル。
【請求項3】 前記面取り部はテーパ状であることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射ノズル。
【請求項4】 前記面取り部は、前記ボディ内部の前記噴孔近傍でボディ軸方向の流体の流れを制限する制限部材を配置して流体研削により形成されたことを特徴とする請求項2記載の燃料噴射ノズル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の燃料噴射ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ディーゼルエンジンの排出ガス低減の要望が高まり、法規制の上でもそれが強化されつつある。ディーゼルエンジンの排出ガス、特に黒煙などのパティキュレートの低減には、噴射された噴霧の微粒化が有効である。噴霧の微粒化を促進するためには、噴射ポンプによって圧力を高めて燃料に与えられたエネルギーを、いかにロス無く噴射ノズルの噴孔の出口部まで導き流速を高めるか、つまり、いかに噴孔流量を高めるかが重要であり、そのためには噴孔の入口部に面取り、特にR形状の面取りを実施することが有効である。特開平9−209876号公報には、流体研削により噴孔に面取り部を形成して燃料噴射ノズルの噴孔流量を高めるとともにノズル毎の流量を調整し、噴孔流量のばらつきを低減する技術が開示されている。
【0003】また、特開平10−141185号公報に開示されるように、弁部材と弁座との当接部よりも下流で弁部材が噴孔を閉塞することにより、弁部材が弁座に着座したときに当接部より下流の燃料が燃焼室へ後だれを起こすのを防止するように構成された燃料噴射ノズルも知られている。このような燃料噴射ノズルでは、弁部材が弁座からリフトした後、噴孔から燃料が噴射開始されない所定の無効リフト量を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平10−141185号公報に示すような無効リフト量を有する燃料噴射ノズルにおいて、特開平9−209876号公報に示すような方法を用いて噴孔に面取り部を形成した場合、面取り部は噴孔の周囲に均一にほぼ形成される。面取り部の軸方向側の大きさがノズル毎に異なると無効リフト量も異なり、噴孔の開口する時期がばらつくため、噴孔が開口してから閉塞されるまでの燃料噴射量にばらつきが生じる。本発明の目的は上記問題を解決し、個体間の噴射量のばらつきを低減することができる燃料噴射ノズルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の燃料噴射ノズルによれば、弁座の燃料下流側で噴孔を閉塞する弁部材を備え、弁部材が弁座から所定量以上リフトしたときに少なくとも1つ以上の噴孔を開口させる燃料噴射ノズルにおいて、噴孔は入口側にボディ軸方向より前記ボディ周方向に大きく形成される面取り部を有する。面取り部の大きさを調整することにより、噴孔開口時の燃料流量がノズル毎にばらつくのを低減することができる。また、面取り部はボディ軸方向に小さく形成されているため、弁部材が弁座からリフトした後噴孔より噴射が開始されるまでの距離のばらつきが低減され、噴孔が開口してから閉塞するまでの噴射量のばらつきを低減することができる。さらに、ボディ軸方向に複数の噴孔が設けられた場合、弁部材のリフト量を噴孔と噴孔との中間位置に制御するのが容易となる。
【0006】本発明の請求項2または3記載の燃料噴射ノズルによれば、面取り部はR形状またはテーパ状である。面取り部は、流体研削または電蝕などの方法により形成することができる。
【0007】本発明の請求項4記載の燃料噴射ノズルによれば、面取り部は、ボディ内部の噴孔近傍でボディ軸方向の流体の流れを制限する制限部材を配置して流体研削により形成される。これにより、ボディ軸方向に小さく、ボディ軸方向に大きく研削されたR形状を有する面取り部が形成される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図面に基づいて説明する。(第1実施例)本発明の第1実施例による燃料噴射ノズルを図1および図2に示す。図2に示すように燃料噴射ノズル2は、有底筒状に形成されたノズルボディ4、弁部材としてのニードル5および弁座としてのシート部材25を備える。
【0009】ニードル5はノズルボディ4内を往復摺動可能で、燃料上流側と下流側に2カ所の摺動部位5A、5Bを有する。ニードル5の下流側には、シート部51が形成されており、ノズルボディ4の先端内側に挿入されたシート部材25が有するシート面251に着座および離座し、燃料を遮断・通過できるように構成されている。
【0010】図示しない燃料ポンプにより加圧された燃料は、ノズルボディ4内の燃料穴28を通り油溜まり29へ導かれ、更にニードル5の横穴52を経由してニードル5の縦穴53を通って、シート面251、さらには噴孔部12へと供給される。
【0011】噴孔部12は、ノズルボディ4を貫通して円周方向に設けられ軸方向のほぼ同じ位置に複数個設けられる噴孔からなる第1の噴孔群12aと、第1の噴孔群12aとは異なる軸方向位置(図2の上方)に設けられた第2の噴孔群12bとを有する。噴孔群は2つに限らず、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0012】本実施例の燃料噴射ノズル2において、ニードル5のシート部51がシート面251に着座した状態では、各噴孔はシート面251よりも燃料下流側の位置で、ニードル5の先端平面部13により閉塞されている。シート部51がシート面251から離座し、リフトが増加すると所定量N1だけリフトした後に噴孔群12aが開口する。このリフトN1を無効リフトという。
【0013】図1は噴孔群12aのうち1つの噴孔121aを示す拡大図であり、(A)は横断面図、(B)は(A)のI−I線縦断面図、(C)は(A)のII方向矢視図である。噴孔121aの入口側(燃料上流側)は、ノズルボディ4円周方向については、図1(A)に示すようにノズルボディ4の内径部41との接続部にほぼ曲率Rをもって形成された面取り部14が形成されている。一方、軸方向(ニードル5のリフト方向)については、図1(B)に示すように曲率をもたず、ほぼ面取り部が形成されない形状となっている。つまり、面取り部14は図1(C)に示すようにノズルボディ4の軸方向よりも周方向に大きく形成されている。
【0014】次に、上記のように噴孔群12a、12bの噴孔を加工するための燃料噴射ノズル用噴孔加工装置1の構成を図3に基づいて説明する。燃料噴射ノズル用噴孔加工装置1は、燃料噴射ノズル2の先端部に形成された複数の噴孔群12a、12bの入口部を面取り加工するノズル製造装置である。この燃料噴射ノズル用噴孔加工装置1は、サージタンク6、フィルター7、加圧ポンプ8、キャッチタンク9、および加圧ポンプ8を通電制御するコンピュータ10等から構成され、燃料噴射ノズル2の噴孔を1個または複数個ずつ面取り加工する。
【0015】サージタンク6は、砥粒60を含有する加工媒体(例えば軽油等の流体)を貯留するタンクである。なお、この実施例で用いられる加工媒体に含有される砥粒60は、例えば♯1000番のシリコンカーバイト等である。フィルター7は、燃料噴射ノズル2を加工する際に発生する研磨屑(スラッジ:例えば粒径φ0.03mm)等を捕捉して加工媒体を濾過するものである。
【0016】加圧ポンプ8は、加工媒体の圧力を一定の圧力(例えば100kgf/cm2)にするポンプで、図示しない電動モータにより駆動される渦巻ポンプまたはピストンポンプ、あるいは油圧シリンダまたはエアシリンダにより駆動される増圧ポンプである。この加圧ポンプ8は、圧力調整が可能なもので、例えば電動モータの回転を制御する、あるいは油圧シリンダまたはエアシリンダの油圧、エア圧を制御することにより、燃料噴射ノズル2の加工中常に加工媒体の圧力が一定に保たれるようコンピュータ10により制御される。なお、加工媒体の圧力を制御するのに、2次側に調圧弁を設けても良い。
【0017】そして、加圧ポンプ8と加工対象である燃料噴射ノズル2とは供給配管21により接続されている。キャッチタンク9は、燃料噴射ノズル2の複数の噴孔より吐出された加工媒体を受けると共に、一時的に加工媒体を貯留するタンクである。このキャッチタンク9は、リターン配管22を介してサージタンク6に接続している。
【0018】コンピュータ10は、加工媒体の流量を測定する流量計31、加工媒体の温度を測定する温度計32、および加工媒体の圧力を測定する圧力計33等からの電気信号に基づいて加圧ポンプ8の駆動部、すなわち、電動モータあるいは油圧シリンダまたはエアシリンダを制御して供給配管21内の加工媒体の圧力が常に一定となるように加圧ポンプ8の圧送量をフィードバック制御する圧力制御手段である。
【0019】そして、コンピュータ10は、流量計31で測定した加工媒体の流量に基づいて、加工媒体の目標流量を設定する。例えば燃料噴射ノズル2の噴孔群12aの総開口面積が0.25mm2 の場合には目標流量を30cm3 /secに設定し、噴孔群12aの総開口面積が0.30mm2 の場合には目標流量を36cm3/secに設定し、噴孔群12aの総開口面積が0.40mm2 の場合には目標流量を48cm3 /secに設定し、噴孔群12aの総開口面積が0.50mm2 の場合には目標流量を60cm3 /secに設定する。
【0020】なお、上記設定は一例であり、燃料噴射ノズル2に設定される目標燃料噴孔流量の値により変更することができる。また、コンピュータ10は、温度計32で測定した加工媒体の温度に基づいて、加工媒体の温度変化による加工媒体の粘度・比重変化を補正することにより、上述の加工媒体の目標流量を修正する。
【0021】次に、この燃料噴射ノズル用噴孔加工装置1による燃料噴射ノズル2の噴孔加工方法を説明する。先ず、ドリル等による孔開け加工で噴口部12に複数の噴孔を形成する。図4は噴口部12の拡大断面図である。図4(A)は第1の噴孔群12aを加工するときの噴孔121a近傍を示す縦断面図である。図4(A)に示すように、ノズルボディ4からニードル5を取り外した状態で、ノズルボディ4の内孔に制限部材としての第1の加工ツール23を組み込んだ燃料噴射ノズル2を、燃料噴射ノズル用噴孔加工装置1に組み入れる。第1の加工ツール23は円筒状に形成され、噴孔121aを含む噴孔群12aの複数の噴孔入口12Aを開放し、噴孔121bを含む噴孔群12bの複数の噴孔入口12Bを閉塞する位置で保持される。
【0022】そして、電動モータを通電することにより加圧ポンプ8が作動を開始すると、供給配管21内の加工媒体の圧力が常に一定の圧力に設定され、燃料噴射ノズル2のノズルボディ4内に初期流量の加工媒体が流れる。サージタンク6から加圧ポンプ8の作動により汲み上げられた、砥粒60を含有した加工媒体は、フィルター7を通過する際に濾過された後に、ノズルボディ4内に流入し、噴孔群12aの各噴孔に入口部より流入し、出口部より吐出され、キャッチタンク9に流れ込む。
【0023】ここで、図4(A)に示すように加工ツールが開放された噴孔121aの近傍に配置されており、ノズルボディ4内の軸方向上側からの加工媒体の流れを制限している。また、ノズルボディ4内の軸方向下側からの加工媒体の流れは、シート部25により制限されている。したがって砥粒60は、縦断面内ではほぼ噴孔121aの延伸方向に沿って平行に流れるため、噴孔入口部12A周辺への砥粒60衝突の頻度は小さい。
【0024】一方、図4(C)に示すように横断面内では、砥粒60はあらゆる方向から噴孔121aに向かって流れるため、噴孔入口部121A周辺への砥粒60衝突の頻度が大きくなり、ほぼ曲率Rを有するR形状の面取り部14が形成される。このようにして、面取り部14がノズルボディ4の軸方向には小さく、径方向には大きく形成され、図1に示すようにほぼ円周方向にのみ形成されたR形状の面取り部を有する噴孔121aが形成される。
【0025】そして、加工媒体により噴孔群12aの各噴孔の入口部が面取り加工されることによって、噴孔の入口部の流れが改善され、噴孔を流れる加工媒体の流速が速くなり、加工媒体の流量が増加していく。噴孔群12aの噴孔の面取り加工が進行し、加工媒体の流量が目標流量に到達すると、コンピュータ10によって加圧ポンプ8の作動が停止されることにより、噴孔群12aの入口部の面取り加工が終了する。
【0026】次に、ノズルボディ4から第1の加工ツール23を取り出した後、図4(B)に示すように第2の加工ツール24を組み込む。第2の加工ツール24は中空円盤状に形成され、第1の噴孔群12aの噴孔121aを含む各噴孔を閉塞し、第2の噴孔群12bの噴孔121bを含む各噴孔を開放する。さらに、第1の加工ツール23をノズルボディ4に組み込み、加工ツール23の下端を図4(B)に示すように、第2の噴孔群12bの近傍上側に配置することにより、噴孔群12bを開放し、かつ第2の噴孔群12b近傍でノズルボディ4の軸方向、すなわちニードルリフト5方向について両側からの加工媒体の流れを制限するように配置する。
【0027】そして、第1の噴孔群12aの場合と同様に、加圧ポンプ8を作動させ、ノズルボディ4内に加工媒体を流す。これにより、第1の噴孔群12aの場合と同様、第2の噴孔群12bの噴孔にも、面取り部がノズルボディ4の軸方向には小さく、径方向に大きく形成される。
【0028】噴孔群12bの面取り加工が進行し、加工媒体の流量が目標流量に到達すると、コンピュータ10によって加圧ポンプ8の作動が停止されることにより、噴孔群12bの入口部の面取り加工が終了する。
【0029】上記のように、燃料噴射ノズル用噴孔加工装置1により噴孔を加工することにより、一定圧力下での複数の噴孔の流量、すなわち、燃料流量と相関のとれた加工媒体の流量を測定し、R状の面取り加工を終了する時の加工媒体の流量(目標流量)を管理することにより、各燃料噴射ノズル2のノズルボディ4の固体間の燃料流量差(噴孔流量差)を縮小することができる。したがって、各燃料噴射ノズル2の固体間の製品ばらつきを抑えることができる。なお、上記第1の加工ツールはニードル5で代用することもできる。また、第2の噴孔群12bを加工するときは、第1の加工ツール23と第2の加工ツール24とが一体化した形状の加工ツールを用いてもよい。
【0030】次に、本実施例の燃料噴射ノズル2の動作を、噴孔の入口部周囲に均等に面取り部が設けられ、他は第1実施例と同様に構成された比較例と対比しながら図2、図5および図6を用いて説明する。
【0031】図示しない高圧ポンプからは所定量の燃料が所定の時期に圧送され、この高圧燃料が図示しない噴射管、燃料噴射装置を経由して燃料穴28に供給される。この高圧燃料は、燃料穴28、油溜り29、ニードル5の横穴10および縦穴11から構成される燃料通路内に蓄えられる。
【0032】燃料通路内の圧力が低いときは、図5(A)に示すように、ニードル5のシート部51がシート部材25のシート面251に着座している。燃料通路内の燃料圧力が増大すると、シート部51がシート面251から離座するが、所定の無効リフトに達するまではニードル5の先端平面13が噴孔群12a、12bを閉塞しており、燃料が噴射されない。ニードル5のリフトが無効リフトより大きくなると、噴孔群12aの噴孔が開口し、燃料の噴射が開始される。
【0033】図6はニードル5のリフトと噴孔流量の関係を示す特性図である。比較例では、噴孔のノズルボディ軸方向に面取り部が形成されているため、ニードルがリフトして先端平面部が噴孔の下端に達するよりも早く噴孔が開口する。この面取り部の大きさは、前述の燃料噴射ノズル用噴孔加工装置1により噴孔流量を調整すると、ばらつきが生じる。そのため、比較例のようにノズルボディ軸方向に面取り部が形成されていると、無効リフトN2の大きさにばらつきがある。それに対し、本実施例では、先端平面部13がほぼ噴孔121aの下端に達するまで噴孔121aは開口しない。そのため、実施例による無効リフトN1のばらつきは比較例よりも小さくなる。ニードル5のリフトが無効リフトN1以上で、噴孔群12aの上端に達するまでの間は、リフトと共に噴孔流量は徐々に増大する。
【0034】燃料通路内の圧力がさらに増大し、図示しない第1スプリングの付勢力に打ち勝つ圧力まで達すると、図5(B)に示すように、ニードル5は第1段のリフトHD1までリフトする。この第1段のリフトでは、ニードルの先端平面13が噴孔群12aと噴孔群12bとの中間に位置し、噴孔群12aの噴孔を開口し、噴孔群12bの噴孔を閉口させた状態で噴射が行われる。この時、噴孔の開口面積は全ての噴孔を開口したときよりも小さいため、小噴孔径から高圧で噴射され、噴霧の微粒化が促進できる。
【0035】ここで、リフトHD1は、第1の噴孔群12aの噴孔が完全に開口し、第2の噴孔群12bの噴孔が完全に閉口する位置にある。このようにHD1を制御するために、比較例では第1の噴孔群12aの噴孔の上端と第2の噴孔群12bの噴孔の下端との距離(噴孔間距離)をL1としたときに、L1よりも面取り部の大きさ分だけ小さいH2の範囲内にニードル5のリフトを制御する必要がある。それに対し、本実施例では、噴孔間距離L1とほぼ等しくH2よりも大きいH1の範囲内で制御すればよく、制御が容易となる。また、L1をより小さく設計することが可能となり、ニードル5の最大リフト量を小さくすることもできる。ニードル5の最大リフト量が小さくなると、閉弁時の衝撃が小さくなり、異音の発生を低減し、ニードル5やシート部材25の破損を防ぐことができる。
【0036】さらに燃料通路内の燃料圧力が増加すると、図示しない第1スプリングと第2スプリングとの付勢力の和よりも大きくなり、図5(C)に示すようにニードル5がフルリフトHD2までリフトする。このフルリフトHD2では、先端平面13が噴孔群12bの上部以上までリフトしており、噴孔群12a、12b全体の噴孔を使用して燃料噴射が行われる。この時、噴孔の開口面積は大きくなり、適切な燃料噴射率を実現することができる。
【0037】高圧ポンプからの燃料圧送が終わりに近づくと、燃料通路内の燃料圧力が低下し、第1スプリングおよび第2スプリングの付勢力により、ニードル5がシート面251方向に付勢され、シート部51がシート面251に着座すると燃料噴射は終了する。
【0038】上記のように燃料が噴射されているとき、各噴孔入り口のノズルボディ4円周方向には、R形状を有する面取り部14が形成されているため、燃料の流れ損失(曲がり損失)が低減でき、燃料の噴射圧力がより有効に噴射速度に変換され高速噴射ができるので、噴霧の更なる微粒化が可能である。
【0039】また、無効リフトにばらつきがあると、噴孔の開口時期にばらつきが生じるため、噴射開始から終了までにの燃料噴射量にばらつきが生じるが、本実施例の構成によれば、無効リフトのばらつきが低減されるため、噴孔に面取り部を形成して噴孔流量を調整した燃料噴射ノズルにおいて、燃料噴射量をほぼ一定にすることができる。
【0040】(第2実施例)図7は本発明の第2実施例による燃料噴射ノズル2における噴孔群12aの1つの噴孔122aを示す拡大図であり、(A)は縦断面図、(B)は(A)のIII−III線横断面図、(C)は(A)のIV方向矢視図である。噴孔群12bも噴孔群12aと同様の形状に形成され、噴孔群12a、噴孔群12b以外の構成は第1実施例と同様である。
【0041】本実施例において、噴孔122aの内側は、円周方向には(A)に示すようにノズルボディ4の内径部41との接続部に、燃料入り口側が大きくなるようなテーパ状に形成された面取り部15が形成されている。一方、軸方向には(B)に示すようにテーパ面をもたず、入口部から出口部までがほぼ同一径を有する形状となっている。このようにして、図7(C)に示すように面取り部15がノズルボディ4の軸方向よりも周方向に大きく形成されている。第2実施例の形状であっても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0042】このような面取り部15を有する噴孔122aを形成する方法として、ノズルボディ4の外側から電極を挿入することにより噴孔122aを形成した後、電極をノズルボディ4の周方向に揺動させて面取り部15を形成する方法がある。
【0043】(第3実施例)本発明の第3実施例による燃料噴射ノズル100を図8、図9に示す。図8に示すように燃料噴射ノズル100は、有底筒状に形成されたノズルボディ102、弁部材としてのニードル103を備え、ノズルボディ102の内周に弁座としてのシート面107を有する。
【0044】ニードル103はノズルボディ102内を往復移動可能で、ニードル103下流側のシート部51がシート面107に着座および離座することにより、ニードル103外周とノズルボディ102内周との間の燃料通路109の燃料を遮断・通過できるように構成されている。ニードル103の摺動部位105bはノズルボディ102と摺動している。
【0045】ノズルボディ102を貫通して円周方向には、第1の噴孔群112aと、第1の噴孔112aとは異なる軸方向位置(図8の上方)に設けられた第2の噴孔112bとが設けられる。噴孔は2つに限らず、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0046】本実施例の燃料噴射ノズル100において、ニードル103のシート部106がシート面107に着座した状態では、噴孔112bはシート面107よりも燃料下流側の位置で、ニードル103の先端平面部113により閉塞されている。シート部106がシート面107から離座すると、燃料通路109の燃料はニードル103の横穴110および縦穴111を経由して噴孔112aから噴射される。さらに所定量だけリフトが増加すると噴孔112bが開口する。
【0047】図9は第2の噴孔112bを示す拡大図であり、(A)は図8のV−V線横断面図、(B)縦断面図、(C)は(A)のVI方向矢視図である。噴孔112aの入口側(燃料上流側)は、ノズルボディ102円周方向については、図9(A)に示すようにノズルボディ102の内径部141との接続部にほぼ曲率Rをもって形成された面取り部114が形成されている。一方、軸方向(ニードル103のリフト方向)については、図9(B)に示すように曲率をもたず、ほぼ面取りされない形状となっている。つまり、面取り部114は図9(C)に示すようにノズルボディ102の軸方向よりも周方向に大きく形成されている。
【0048】第3実施例の構成においても、第1実施例と同様に、各噴孔入り口のノズルボディ102円周方向には、R形状を有する面取り部114が形成されているため、燃料の流れ損失が低減でき、燃料の噴射圧力がより有効に噴射速度に変換され高速噴射ができるので、噴霧の更なる微粒化が可能である。また、第2の噴孔112bが開口する時期の各ノズルボディ102毎のばらつきを低減し、燃料噴射量を一定にすることができる。さらに、ニードル103のリフトを第1の噴孔112aの噴孔が完全に開口し、第2の噴孔112bの噴孔が完全に閉口する位置に制御するときの制御が容易である。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成12年1月31日(2000.1.31)
【代理人】 【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
【公開番号】 特開2001−214838(P2001−214838A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−22666(P2000−22666)