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【発明の名称】 燃料噴射弁
【発明者】 【氏名】小泉 將弘

【氏名】高久 靖紀

【氏名】武田 啓壮

【氏名】小関 優紀夫

【氏名】杉本 知士郎

【要約】 【課題】広噴霧角化を図りつつ噴霧が吸排気バルブや点火プラグと干渉することを防止するとともに、スワール流の旋回力の減衰を抑制すること。

【解決手段】高圧燃料のスワール流を噴孔20から噴射する燃料噴射弁1において、噴孔20は、燃料入口部21と燃料出口部22とからなる。燃料入口部21は、円筒孔により構成される。燃料出口部22は、その入口周縁が円筒孔21の出口周縁に連続し、かつ、この燃料出口部22の入口から出口に向かって拡径してゆく断面楕円形状の面取り部により構成される。面取り部22の深さは、燃料入口部21の径の1/4倍から2倍に設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高圧燃料のスワール流を噴孔から噴射する燃料噴射弁において、前記噴孔は、燃料入口部と燃料出口部とからなり、前記燃料入口部は、円筒孔により構成され、前記燃料出口部は、その入口周縁が前記円筒孔の出口周縁に連続し、かつ、この燃料出口部の入口から出口に向かって拡径してゆく断面楕円形状の面取り部により構成されることを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】 請求項1において、前記面取り部の深さは、前記燃料入口部の径の1/4倍から2倍に設定されていることを特徴とする燃料噴射弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧燃料のスワール流を噴孔から噴射する燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、内燃機関の燃焼室に高圧燃料を直接噴射するタイプの燃料噴射弁として、噴霧の微粒化及び広噴霧角化を図るために、高圧燃料にスワール流(旋回流又は渦流)を付与して噴孔から噴射する燃料噴射弁が知られている(例えば、特開平8−158989号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の燃料噴射弁において、さらなる広噴霧角化を図るべく、噴孔の出口部に噴射方向に向けて拡径させた傾斜面を形成したところ、燃料噴射弁の搭載位置の制約から、吸排気バルブや点火プラグに噴霧が干渉することが判明した。
【0004】そして、その原因を追求したところ、噴孔が円筒形状をしており、この噴孔から噴射された噴霧の、噴射方向に垂直な断面が真円形状となることに起因して上記の不具合が生じることを見出した。そして、この不具合を解消するため噴孔形状を全長にわたって扁平形状とすることによって、噴孔内でのスワール流の旋回力が減衰されてしまう不具合が生じる。
【0005】本発明は、上記の知見に基づき、簡単な構成によって上記不具合を解消することができる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の燃料噴射弁は、高圧燃料のスワール流を噴孔から噴射する燃料噴射弁において、前記噴孔は、燃料入口部と燃料出口部とからなり、前記燃料入口部は、円筒孔により構成され、前記燃料出口部は、その入口周縁が前記円筒孔の出口周縁に連続し、かつ、この燃料出口部の入口から出口に向かって拡径してゆく断面楕円形状の面取り部により構成されることを特徴とする。
【0007】本発明の燃料噴射弁において、高圧燃料のスワール流は、噴孔の円筒孔の周面、面取り部の周面に沿って連続的に旋回しながら内燃機関の燃焼室に噴霧となって噴射される。このとき、噴孔から噴射された噴霧の、噴射方向に垂直な断面は、上記のような燃料出口部の面取り部によって楕円形状となる。
【0008】したがって、噴霧の楕円形状断面の短径側に吸排気バルブや点火プラグを配置させることにより、広噴霧角化を図りつつ噴霧が吸排気バルブや点火プラグと干渉することを防止することができるとともに、スワール流の旋回力の減衰が抑制される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】図1は、一実施形態に係る燃料噴射弁の断面図、図2は、図1に示すスワーラの断面図、図3は、図1に示すA部の拡大底面図、図4は、上記A部の正面拡大図、図5は、上記A部の側面拡大図、図6は、噴霧の断面形状を示す図、図7は、噴霧広角の正面図、図8は、同噴霧広角の側面図、図9は、加工角と噴霧広角との関係を表したグラフを示す。
【0011】図1において、燃料噴射弁1は、ガソリンエンジンに使用される筒内噴射式(直噴式)のものであり、弁体にボール2が用いられているものである。
【0012】この燃料噴射弁1は、コア3、燃料コネクタ4、ストレーナ5、電気コネクタ6、ハウジング7、ボディー8、バルブシート9、ノズルチップ10、スワーラ11、ボビン12、ソレノイドコイル13、スプリングピン14、スペーサ15、アーマチュア16、ロッド17、ボール2、スプリング18などから構成されている。
【0013】コア3は、磁性体からなり、燃料通路となる円柱状中空部3aを有する。
【0014】燃料コネクタ4は、コア3の後端部(図1における上端部)により構成され、デリバリパイプ(図示せず)に接続される。
【0015】ストレーナ5は、燃料コネクタ4の中空部に装着されている。
【0016】電気コネクタ6は、コア3の前後方向(図1の上下方向)の中間部外周面に装着されている。電気コネクタ6は、外部に突出したターミナルピン6aを有している。
【0017】ハウジング7は、パイプ形状の磁性体からなり、コア3の前後方向の中間部外周面に固着されている。
【0018】ボディー8は、パイプ形状の磁性体からなり、ハウジング7の前端部に固着されている。
【0019】バルブシート9は、有底円筒状に形成されており、ボディー8の前端部に固着されている。バルブシート9の底部は、前方に向かって縮径したシート面(燃料孔)9aを有している。
【0020】スワーラ11は、バルブシート9の底に固着されている。スワーラ11の前端部は、図2に示すように、リング状のスワール室11aと、燃料導入室19から延び、スワール室11aの接線方向からスワール室11aに接続される複数のスワール孔11bとを有している。
【0021】ノズルチップ10は、バルブシート9のシート面9aの前端周縁に連続した噴孔20を有しており、バルブシート9の前面に溶接されている。
【0022】噴孔20は、図3乃至図5に示すように構成されている。図3乃至図5に示すように、噴孔20は、燃料入口部21と燃料出口部22とからなる。燃料入口部21は、燃料出口部22と比べ噴射方向の長さが相対的に長い。また、燃料入口部21は、円筒孔により構成され、この円筒孔21の入口周縁は、シート面9aの出口周縁に連続している。一方、燃料出口部22は、燃料入口部21と比べ噴射方向の長さが相対的に短い。また、燃料出口部22は、その入口周縁が円筒孔21の出口周縁に連続し、かつ、この燃料出口部22の入口から出口に向かって拡径してゆく断面楕円状の面取り部により構成される。なお、面取り部22の加工方法としては、楕円形状のポンチ、エンドミルによる切削、レーザ加工、放電加工、ワイヤーカット加工、MIM成形等を挙げることができる。
【0023】ボビン12は、合成樹脂製であり、コア3の前端部外周面に配されている。
【0024】ソレノイドコイル13は、ボビン12に巻かれており、ハウジング7によって覆われている。ソレノイドコイル13は、リード線13aを介して電気コネクタ6のターミナルピン6aと電気的に接続されている。
【0025】スプリングピン14は、コア3の中空部3aの中間位置に圧入されている。
【0026】スペーサ15は、C字平板状に形成されており、バルブシート9の後端面とボディー8の段差面との間に固定されている。スペーサ15は、ボール2のストローク量を調整する作用をするものである。
【0027】アーマチュア16は、スペーサ15の後面とコア3の前面とボディー8の内周面とで形成される空間に、前後方向へ移動可能に収容されている。アーマチュア16は、燃料通路を有している。
【0028】ロッド17は、アーマチュア16の前端部に固着されている。ロッド17の膨出部17aの後面は、ソレノイドコイル13への通電時にスペーサ15の前面と当接し、ロッド17の後退を規制するストッパー部として機能する。
【0029】ボール2は、ロッド17の前端部に固着されている。
【0030】スプリング18は、スプリングピン14の前端面とアーマチュア16の後端面との間に配されている。スプリング18は、アーマチュア16に対し常時前進方向(閉弁方向)の付勢力を加えている。
【0031】次に、上記のように構成された燃料噴射弁1の作動を説明する。
【0032】燃料噴射弁1は、ソレノイドコイル13への通電の有無によって開閉する。
【0033】ソレノイドコイル13への通電が無いとき、アーマチュア16は、スプリング18によって閉弁方向の付勢力を受けて前進位置にあり、ボール2は、バルブシート9のシート面9aに圧接され、燃料噴射弁1は閉弁状態とされる。
【0034】一方、ソレノイドコイル13への通電が有るとき、アーマチュア16は、ソレノイドコイル13が発生した磁力によって開弁方向の付勢力を受けており、この開弁方向の付勢力がスプリング18による閉弁方向の付勢力よりも大きいため、アーマチュア16は後退位置にあり、ボール2はシート面9aから離れ、燃料噴射弁1は開弁状態とされる。
【0035】この開弁時、燃料導入室19の高圧燃料は、スワール孔11bを通ってスワール室11aに流入することによってスワール流となり、シート面9a、円筒孔21の周面及び面取り部22の周面に沿って旋回しながらガソリンエンジンの燃焼室(図示せず)に噴霧となって噴射される。
【0036】ここで、噴孔20の燃料出口部22は、上述したように断面楕円形状の面取り部22により構成されている。このため、噴孔20から噴射された噴霧の、噴射方向に垂直な断面は、図6に示すような楕円形状となる。また、噴霧の楕円形断面の長径を含む断面における噴霧広角(正面角)θaは、図7に示すように大きく、一方、短径を含む断面における噴霧広角(側面角)θbは、図8に示すように小さい。ここで、正面角θaと側面角θbは、例えば、面取り部22を断面真円形状にしたときの噴霧広角をθとすると、2θ≒θa+θbの関係式を満足するように設定する。そして、正面角θa及び側面角θbは、面取り部22の長径側の加工角θfa及び短径側の加工角θfbの適合によって任意の角度を得ることができる。例えば、図9には、短径側の加工角θfbを0°〜2°の一定値、加工深さhを0.76mm、噴射流量Qを800cm3 /min(噴孔径D=φ0.67)に設定したときの長径側の加工角θfaと噴霧広角θa、θbとの関係を示す。このグラフから、加工角θfa(14°〜28°)に応じて正面角θa及び側面角θbが変化することが分かる。
【0037】したがって、噴霧の楕円形状断面の短径側(側面角側)に吸排気バルブ(図示せず)や点火プラグ(図示せず)を配置させることにより、広噴霧角化を図りつつ、噴霧が吸排気バルブや点火プラグと干渉することを防止することができる。また、面取り部22の深さhが、燃料入口部21の径Dに対してD/4〜2Dに設定されている。これは、常に噴霧の楕円形状が確保されることになり、h値がD/4未満では、噴霧が真円形状に近づき、また、h値が2Dを超えると、噴霧が扁平形状になる(図9の特性が得られない)。また、燃料出口部22内でのスワール流は、比較的浅い楕円状の面取り部を通過することによって、付加された旋回力の減衰が抑制される。
【0038】なお、上記実施形態ではノズルチップ10の噴孔20に面取り部22を設けたが、ノズルチップ10を取り除き、バルブシート9に上記噴孔20と同様な噴孔を設けてこの噴孔に上記面取り部22と同様な面取り部を設ける構成としてもよく、この場合にも、上述した作用効果と同様な作用効果を奏することが可能である。
【0039】
【発明の効果】本発明の燃料噴射弁によると、噴孔を、円筒孔からなる燃料入口部と面取り部からなる燃料出口部とから構成し、面取り部を、その入口周縁が円筒孔の出口周縁に連続し、かつ、面取り部の入口から出口に向かって拡径してゆく断面楕円形状を有する構成としたため、高圧燃料のスワール流は、噴孔の円筒孔の周面、面取り部の周面に沿って連続的に旋回しながら内燃機関の燃焼室に噴霧となって噴射され、このとき、噴孔から噴射された噴霧の、噴射方向に垂直な断面は、上記のような燃料出口部の面取り部によって楕円形状となる。
【0040】したがって、噴霧の楕円形状断面の短径側に吸排気バルブや点火プラグを配置させることにより、広噴霧角化を図りつつ噴霧が吸排気バルブや点火プラグと干渉することを防止することができる。
【0041】また、面取り部の深さを燃料入口部の径の1/4倍から2倍に設定することにより、常に噴霧の楕円形状が確保できるとともにスワール流の旋回力の減衰が抑制できる。
【出願人】 【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年1月27日(2000.1.27)
【代理人】 【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−214837(P2001−214837A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−19252(P2000−19252)