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【発明の名称】 ジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズル
【発明者】 【氏名】岩崎 隆夫

【氏名】小林 孝

【要約】 【課題】エンジンの負荷および回転数に合わせて噴孔を選択して多段階ないし異なる噴孔径の噴孔からの燃料を噴射し、エンジン性能の向上および排気ガスのクリーン化を可能とし、燃料噴射量のサイクル間におけるバラツキを回避可能としたジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルを提供すること。

【解決手段】噴孔断面積の異なる複数個の噴孔16、17を形成すること、ロータリーバルブ21とロータリーシャフト20とを一体部品とすることに着目し、複数個の噴孔16、17をノズルボディ3に形成し、噴孔可変機構5は、噴孔16、17のいずれかを選択可能なロータリーバルブ21と、ロータリーバルブ21を噴孔16、17に合わせるように回転可能とする一体のロータリーシャフト20と、ロータリーバルブ21をノズルボディ3におけるホールの内壁面に押し付け可能なバルブスプリング22と、を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 噴孔を形成したノズルボディと、このノズルボディ内に摺動可能に収容するとともに燃料ポンプからの燃料圧力を受けてリフトすることにより前記噴孔を開放可能とするニードル弁と、前記噴孔の噴孔断面積を可変とする噴孔可変機構と、を有するジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルであって、互いに異なる噴孔断面積を有する複数個の前記噴孔を前記ノズルボディに形成するとともに、前記噴孔可変機構は、前記噴孔のいずれかを選択可能なロータリーバルブと、このロータリーバルブに一体であるとともに、該ロータリーバルブを前記噴孔に合わせるように回転可能とするロータリーシャフトと、前記ロータリーバルブを前記ノズルボディにおけるホールの内壁面に押し付け可能なバルブスプリングと、を有することを特徴とするジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズル。
【請求項2】 前記ニードル弁と前記ロータリーシャフトとの間にクリアランスシールを形成したことを特徴とする請求項1記載のジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルにかかるもので、とくにディーゼルエンジンその他の内燃機関などに燃料を霧化状態で供給するためのジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルであって、異なる噴孔断面積を有する噴孔を選択するようにしたジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の内燃機関における燃焼の促進、出力および燃費の向上、さらには燃焼騒音や窒素酸化物(NOx)およびスモークなどの排出低減を目的として、たとえばディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルでは、エンジンの運転状態に合わせてその噴孔径の最適化が行われてきた。近年、噴孔径は燃料ポンプの耐圧の向上にともなって小さくなっており、その大きさは、現状で0.14〜0.25mmとなっている。しかしながら、従来のように噴孔径がエンジンの負荷および回転数など運転領域の移行ないし変化にかかわらず一定のままであると、排気ガス性能の改善に問題があることから、エンジンの負荷および回転数などに合わせて噴孔径を変化させる可変噴孔ノズルの研究報告が行われている。
【0003】たとえば、WO96/41948号などに開示されている「噴孔面積可変な燃料噴射ノズル」では、ノズルボディの先端に、大小2個の噴孔を用意し、これをロータリーバルブの回転により選択する方式が示されている。しかしながら、この方式では、ロータリーバルブとロータリーシャフト(駆動軸系)とが互いに分離された構造になっており、噴射期間中のロータリーバルブの上下動や回転による噴射量のサイクル間のバラツキが大きくなる可能性があるという問題がある。また、ニードル弁とロータリーシャフトとの間からリークする燃料油のリークをテーパー状のシールにより防止する構造を取っているが、製作精度上の個体差が大きくなってしまう可能性があるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、噴孔を選択することにより、多段階ないし異なる噴孔径の噴孔からの燃料を噴射可能としたジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルを提供することを課題とする。
【0005】また本発明は、エンジンの負荷および回転数に合わせて噴孔を選択し、エンジン性能の向上および排気ガスのクリーン化を可能としたジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルを提供することを課題とする。
【0006】また本発明は、燃料噴射量のサイクル間におけるバラツキを回避可能としたジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルを提供することを課題とする。
【0007】また本発明は、ニードル弁とロータリーシャフトとの間からの燃料のリークをできるだけ防止可能としたジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ノズルボディに形成する噴孔を、互いに噴孔断面積の異なる複数個の噴孔とすること、ロータリーバルブとロータリーシャフトとを一体部品とすること、およびロータリーバルブの安定化を図るバルブスプリングを設けることに着目したもので、噴孔を形成したノズルボディと、このノズルボディ内に摺動可能に収容するとともに燃料ポンプからの燃料圧力を受けてリフトすることにより上記噴孔を開放可能とするニードル弁と、上記噴孔の噴孔断面積を可変とする噴孔可変機構と、を有するジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルであって、互いに異なる噴孔断面積を有する複数個の上記噴孔を上記ノズルボディに形成するとともに、上記噴孔可変機構は、上記噴孔のいずれかを選択可能なロータリーバルブと、このロータリーバルブに一体であるとともに、該ロータリーバルブを上記噴孔に合わせるように回転可能とするロータリーシャフトと、上記ロータリーバルブを上記ノズルボディにおけるホールの内壁面に押し付け可能なバルブスプリングと、を有することを特徴とするジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルである。
【0009】上記ニードル弁と上記ロータリーシャフトとの間にクリアランスシールを形成することができる。
【0010】本発明によるジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズルにおいては、噴孔を、互いに噴孔断面積の異なる複数個の噴孔とするとともに、ロータリーバルブとロータリーシャフトとを一体部品とし、ロータリーシャフトの駆動によるロータリーバルブの回転により所定の噴孔断面積のノズル噴孔を選択可能とし、あらかじめ定めれられた噴孔径ないし噴孔断面積に確実に切り替えることができる。さらに、ロータリーバルブをノズルボディにおけるホールの内壁面に押し付けることができるバルブスプリングを設けたので、燃料噴射状態およびエンジンの燃焼状態などにかかわらずロータリーバルブを安定した選択状態に保持可能であり、サイクルごとのバラツキを回避可能である。また、ニードル弁とロータリーシャフトとの間にクリアランスシールを形成したので、これらの軸方向に所定長さにわたって互いの回転および摺動のみを許容するシール構造を有することになり、高圧燃料用噴射ノズルとしてのシール性能を改善することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに本発明の実施の形態によるジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズル1を図1ないし図7にもとづき説明する。図1は、ジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズル1の縦断面図であって、ジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズル1は、ノズルホルダー2と、ノズルボディ3と、ニードル弁4と、噴孔可変機構5と、制御回路6と、を有する。
【0012】ノズルホルダー2には燃料入口7を形成し、燃料タンク8から燃料ポンプ9(ジャークポンプ)により燃料入口7に高圧燃料を供給可能とする。燃料入口7から、ノズルホルダー2およびノズルボディ3にかけて燃料通路10を形成し、ノズルボディ3内の燃料溜まり室11においてニードル弁4の受圧部12にリフト方向の燃料圧力を作用可能とし、燃料溜まり室11からさらにノズルボディ3の先端部のホール13(図2、図4)に至る。
【0013】ノズルボディ3は、リテーニングナット14によりこれをノズルホルダー2に固定し、その先端部が燃焼室15に臨んでいる。ノズルボディ3の先端部には、互いに異なる二種類の噴孔断面積を有する複数の噴孔(小径噴孔16および大径噴孔17)(とくに図3および図5を参照)を形成してある。小径噴孔16および大径噴孔17は、互いに交互に、たとえば36度間隔で、それぞれ5個づつ形成してある。
【0014】ニードル弁4は、ノズルボディ3内にこれを往復動可能に設ける。すなわちニードル弁4は、ノズルボディ3の燃料溜まり室上流側内壁面3Aとの間に摺動可能な第1のクリアランスシール部18を介して、また燃料溜まり室下流側内壁面3Bとの間を燃料通路10としてその軸方向にこれを往復動可能としてある。
【0015】図2は、ノズルボディ3先端部分および噴孔可変機構5の要部を示す要部拡大断面図、図3は、図2のIII−III線断面図である。図1および図2に示すように、この噴孔可変機構5は、ロータリーアクチュエータ19と、ロータリーシャフト20と、ロータリーバルブ21(図2、図4)と、バルブスプリング22と、を有する。ロータリーシャフト20は、ノズルホルダー2の頂部に配置したロータリーアクチュエータ19にその基端部を取り付けてあるとともに、この基端部からノズルボディ3のホール13に臨むその先端部まで一体部品としてあり、この先端部にロータリーバルブ21を一体に形成してある。さらにロータリーシャフト20は、その上方部分に細径部23を形成し、この細径部23において、固定スプリングシート24との間にベアリング25を介してバルブスプリング22を配置することにより、その先端部のロータリーバルブ22を図中下方に付勢可能としている。
【0016】とくに図2に示すように、ニードル弁4は、その先端部のシート部26がノズルボディ3の小径噴孔16および大径噴孔17につながるシート面27にシートすることによって、燃料入口7からの燃料通路10と小径噴孔16および大径噴孔17とを遮断および開放可能としている。ニードル弁4は、可動スプリングシート28(図1)にシートさせたニードル弁スプリング29(図1)の付勢力に抗してシート面27からリフト(リフト量L)することにより小径噴孔16あるいは大径噴孔17から高圧燃料を燃焼室15内に噴射可能とする。
【0017】図6は、ロータリーバルブ21の斜視図、図7は、ロータリーバルブ21の一部切欠き側面図であって、ロータリーバルブ21は円錐状にこれを形成して、その円錐状シート部30が同じく円錐凹状のホール13にシート可能とするとともに、その円周方向に等角度間隔(72度間隔)で選択用燃料通路31を形成し、選択用燃料通路31が小径噴孔16あるいは大径噴孔17に連通可能である。
【0018】なおロータリーシャフト20は、ニードル弁4の内壁面4Aとの間に第2のクリアランスシール部32を形成可能としている。第2のクリアランスシール部32は、好ましくはニードル弁4の長さと事実上同一の長さにわたって、たとえば、ニードル弁4の先端部にロータリーシャフト径の2〜3倍の長さにわたって形成されており、ロータリーシャフト20およびニードル弁4の互いの間の回転および軸方向の摺動のみを許容し、そのシール機能は良好である。
【0019】なお図2および図3は、選択用燃料通路31が大径噴孔17に臨んで、大径噴孔17を選択した状態を示す。図4および図5は、選択用燃料通路31が小径噴孔16に臨んで、小径噴孔16を選択した状態を示す。図5は、図4のV−V線断面図である。
【0020】制御回路6(図1)は、負荷センサー33および回転数センサー34からの信号にもとづき、ロータリーアクチュエータ19を駆動制御することにより、ロータリーシャフト20を介してロータリーバルブ21を所定角度だけ回転させ、選択用燃料通路31が小径噴孔16あるいは大径噴孔17のいずれかに臨むように制御する。
【0021】こうした構成のジャークポンプ用噴孔選択型可変噴孔ノズル1において、燃焼室15内が比較的低圧状態のとき、すなわち、エンジンの排気工程あるいは吸気工程において、制御回路6により噴孔選択機構5におけるロータリーアクチュエータ19を駆動して、ロータリーシャフト20をその軸まわりに所定円周角だけ回動することにより、ロータリーバルブ21をノズルボディ3およびニードル弁4に対して回動し、ロータリーバルブ21の先端部における選択用燃料通路31と小径噴孔16あるいは大径噴孔17との相対位置関係を操作し、その係合状態を選択する。選択用燃料通路31が図2および図3のように大径噴孔17に臨めば、噴孔断面積を大きく設定することができる。選択用燃料通路31が図4および図5のように小径噴孔16に臨めば、噴孔断面積を小さく設定することができる。
【0022】この選択状態で、燃料ポンプ9からの高圧燃料が燃料入口7および燃料通路10から燃料溜まり室11においてニードル弁4の受圧部12に作用し、ニードル弁スプリング29の付勢力に抗してニードル弁4がシート面27からリフトする。かくして燃料通路10と小径噴孔16あるいは大径噴孔17とが連通し、燃焼室15内に所定量の燃料を所定圧力で噴射することができる。
【0023】ニードル弁4とノズルボディ3とは第1のクリアランスシール部18により、さらにニードル弁4とロータリーシャフト20とは第2のクリアランスシール32によりそれぞれシールされているので、燃料通路10における高圧の燃料圧力に対抗して、燃料のリークを防止するシール性能は良好である。
【0024】また、ロータリーシャフト20をバルブスプリング22により付勢することにより、ロータリーバルブ21をノズルボディ3のホール13に所定圧力で押し付けておくことが可能であるため、燃料噴射中あるいはエンジンの燃焼中におけるロータリーバルブ21の不安定な動きを防止することができ、ノズル個体間ないしサイクル間における噴射性能のバラツキを抑制することができる。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ロータリーシャフトとロータリーバルブとを一体とするとともに、所定噴孔断面積の噴孔をロータリーバルブにより選択するようにしたので、噴孔断面積を的確に切り替えることができる。さらにニードル弁とロータリーシャフトとの間にクリアランスシールを設けまたロータリーバルブをバルブボディの内壁面に押し付けるバルブスプリングを設けたので、シール性およびバラツキのない信頼性のある燃料噴射ノズルとすることができる。
【出願人】 【識別番号】000003333
【氏名又は名称】株式会社ボッシュオートモーティブシステム
【出願日】 平成12年1月31日(2000.1.31)
【代理人】 【識別番号】100079360
【弁理士】
【氏名又は名称】池澤 寛
【公開番号】 特開2001−214834(P2001−214834A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−21489(P2000−21489)