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【発明の名称】 ディーゼルエンジンの燃料噴射装置
【発明者】 【氏名】神保 匡志

【氏名】佐藤 浩樹

【氏名】逆井 隆

【要約】 【課題】ディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、パイプの破損や燃料漏れといった不具合をなくす。

【解決手段】ディーゼルエンジンのシリンダヘッドに取り付けるインジェクタボディ20を備え、インジェクタボディ20に作動手段27によって上下に摺動するメインプランジャ25を備え、メインプランジャ25の下方に液体を流出入させることで、容積を可変とする圧力制御チャンバ28を形成し、圧力制御チャンバ28の下方に上下に摺動する圧力制御プランジャ32を備え、圧力制御プランジャ32の下方に供給手段46により供給されてきた燃料を入れる噴射燃料チャンバ36を形成し、かつ圧力制御プランジャ32の径は噴射燃料チャンバ36の径より大きな径とし、噴射燃料チャンバ36の下方に噴射燃料チャンバ36内の燃料を噴射する噴射口38を備えた構成となり、メインプランジャ25を介して噴射燃料チャンバ36内の燃料を圧縮し、燃料を高圧にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体(21)に明けられた穴に枢密に挿入され、往復摺動するプランジャを備え、前記プランジャの一端側に燃料を入れる噴射燃料チャンバ(36)と、前記噴射燃料チャンバ(36)内の燃料を噴射する噴射口(38)を備えたディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、前記プランジャをメインプランジャ(25)と圧力制御プランジャ(32)とに分割し、前記分割したメインプランジャ(25)と前記圧力制御プランジャ(32)との間に圧力制御チャンバ(28)を形成して、前記圧力制御チャンバ(28)に液体を流出入させることで、前記圧力制御チャンバ(28)の容積を可変にする手段を設けると共に、プランジャの摺動により噴射燃料チャンバ(36)内の燃料を圧縮し、この燃料を高圧にすることを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
【請求項2】 ディーゼルエンジンのシリンダヘッドに取り付けるインジェクタボディ(20)を備え、前記インジェクタボディ(20)に作動手段(27)によって上下に摺動するメインプランジャ(25)を備え、前記メインプランジャ(25)の下方に液体を流出入させることで、容積を可変とする圧力制御チャンバ(28)を形成し、前記圧力制御チャンバ(28)の下方に上下に摺動する圧力制御プランジャ(32)を備え、前記圧力制御プランジャ(32)の下方に供給手段(46)により供給されてきた燃料を入れる噴射燃料チャンバ(36)を形成し、かつ前記圧力制御プランジャ(32)の径は前記噴射燃料チャンバ(36)の径より大きな径とし、前記噴射燃料チャンバ(36)の下方に噴射燃料チャンバ(36)内の燃料を噴射する噴射口(38)を備えた構成となり、メインプランジャ(25)を介して噴射燃料チャンバ(36)内の燃料を圧縮し、前記燃料を高圧にすることを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
【請求項3】 前記圧力制御チャンバ(28)内に入れる液体を供給手段(46)により供給されてきた燃料としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
【請求項4】 前記圧力制御チャンバ(28)に所望の圧力となる液体を供給する供給手段(46)をインジェクタボディ(20)の外部に備えたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
【請求項5】 前記圧力制御プランジャ(32)をメインプランジャ(25)にバネ(31)を介してつなげると共に、このメインプランジャ(25)と圧力制御プランジャ(32)との間に形成する圧力制御チャンバ(28)において、ここに供給する液体の圧力を変更することで、圧力制御チャンバ(28)の容積を変更するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
【請求項6】 噴射燃料チャンバ(36)内に供給手段より供給されてきた燃料を供給するための燃料供給通路(33)を圧力制御プランジャ(32)内に備えたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
【請求項7】 噴射燃料チャンバ(36)内の圧力が圧力制御プランジャ(32)内に設けた燃料供給通路(33)内の圧力より、所定圧低くなったとき開く、噴射燃料チャンバ(36)内と燃料供給通路(33)内とを連通遮断する逆止弁(35)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
【請求項8】 エンジン回転速度を検出するセンサ、アクセル開度を検出するセンサ、エンジン負荷を検出するセンサ、エンジン水温を検出するセンサ、大気温度を検出するセンサの内、少なくとも1つのセンサよりデータを受け取り、受け取ったデータに基づいて圧力制御チャンバ(28)に供給する液体の圧力を制御するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジンの燃料噴射装置に関し、特に高圧噴射用の燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ディーゼルエンジンにおける高圧噴射用の燃料噴射装置としては、図1の説明図に示すように、燃料を圧縮して高圧にする燃料供給ポンプ1と、高圧となる燃料を貯蔵するコモンレール2と、ディーゼルエンジンのシリンダヘッドに取り付けて高圧となる燃料を噴射する複数のインジェクタ3とからなり、燃料供給ポンプ1とコモンレール2、コモンレール2とインジェクタ3それぞれをパイプ4で接続している。そして、この燃料供給ポンプ1はエンジンを駆動源として作動するカム5によってプランジャ6を介して供給された燃料を圧縮して高圧にすると共に、この燃料の圧力を制御する圧力制御弁7を備えている。また、コモンレール2は燃料供給ポンプ1側の燃料流入口8とインジェクタ3側の複数の燃料排出口9を備えている。また、インジェクタ3は高圧となった燃料を噴射する噴射口10を備えると共に、この燃料の噴射を制御する電磁弁11を備えている。
【0003】一方、ディーゼルエンジンにおける高圧噴射用の燃料噴射装置として、特開平10−122090号には、インジェクタ内において、上部プランジャとタイミングプランジャと下部プランジャを備え、上部プランジャとタイミングプランジャとの間に液体を入れると共に、タイミングプランジャと下部プランジャとを所定の隙間を有しつつスプリングで接続した構成となり、上部プランジャが押されると下部プランジャで燃料を高圧化すると共に、タイミングプランジャと下部プランジャとの間の隙間により所望の噴射タイミングで燃料を噴射するようになるものが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来のディーゼルエンジンにおける高圧噴射用の燃料噴射装置にあって、前者では、燃料供給ポンプとコモンレール、コモンレールとインジェクタ、それぞれをパイプで接続しているため、高圧となる燃料によってパイプに大きな圧力が作用していた。このパイプはエンジン外部に配管されており、パイプが破損したり、あるいは燃料漏れを起こすと非常に危険な状態になるおそれがあるため、噴射する燃料の高圧化に限界があった。
【0005】また、従来のディーゼルエンジンにおける高圧噴射用の燃料噴射装置にあって、後者では、タイミングプランジャと下部プランジャとの間の隙間により所望の噴射タイミングで燃料を噴射するようにしていたが、下部プランジャにより燃料を高圧化する際、下部プランジャは上部プランジャが押されてもタイミングプランジャと下部プランジャとの間の隙間分動くことがないので、例えば、エンジンを低速回転速度で回転させているとき、下部プランジャによる燃料の高圧化が良好に行えないといった問題が生じていた。そこで、本発明は、パイプに大きな圧力が作用するのを無くして、パイプの破損あるいは燃料漏れを防止して、噴射する燃料のさらなる高圧化を図ると共に、低エンジン回転速度域においても高噴射圧を得ることができるディーゼルエンジンの燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用効果】第一の発明は、本体に明けられた穴に枢密に挿入され、往復摺動するプランジャを備え、前記プランジャの一端側に燃料を入れる噴射燃料チャンバと、前記噴射燃料チャンバ内の燃料を噴射する噴射口を備えたディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、前記プランジャをメインプランジャと圧力制御プランジャとに分割し、前記分割したメインプランジャと前記圧力制御プランジャとの間に圧力制御チャンバを形成して、前記圧力制御チャンバに液体を流出入させることで、前記圧力制御チャンバの容積を可変にする手段を設けると共に、プランジャの摺動により噴射燃料チャンバ内の燃料を圧縮し、この燃料を高圧にするディーゼルエンジンの燃料噴射装置である。
【0007】第一の発明によれば、エンジン外部に配管する高圧燃料供給用のパイプを無くすことで、パイプの破損や燃料漏れが防止でき、さらなる噴射圧の高圧化を図ることができる。
【0008】第二の発明は、ディーゼルエンジンのシリンダヘッドに取り付けるインジェクタボディを備え、前記インジェクタボディに作動手段によって上下に摺動するメインプランジャを備え、前記メインプランジャの下方に液体を流出入させることで、容積を可変とする圧力制御チャンバを形成し、前記圧力制御チャンバの下方に上下に摺動する圧力制御プランジャを備え、前記圧力制御プランジャの下方に供給手段により供給されてきた燃料を入れる噴射燃料チャンバを形成し、かつ前記圧力制御プランジャの径は前記噴射燃料チャンバの径より大きな径とし、前記噴射燃料チャンバの下方に噴射燃料チャンバ内の燃料を噴射する噴射口を備えた構成となり、メインプランジャを介して噴射燃料チャンバ内の燃料を圧縮し、前記燃料を高圧にするディーゼルエンジンの燃料噴射装置である。
【0009】第二の発明によれば、インジェクタボディ内部の噴射燃料チャンバ内において燃料を圧縮することで、インジェクタボディの外部において燃料が高圧となるのを無くすことができ、インジェクタボディの外部に配管するパイプに大きな圧力が作用することを無くして、パイプの破損や燃料漏れといった非常に危険な状態になるのをなくすことができ、噴射する燃料のさらなる高圧化を図ることができる。また、噴射燃料チャンバの径を圧力制御チャンバの径より小さくして、圧力制御チャンバと噴射燃料チャンバとの断面積比を大きくすることで、燃料の圧縮を効率良く行うことができ、燃料の高圧化を良好に行うことができる。さらに、燃料を高圧化する際の燃料の圧力は圧力制御チャンバの容積を変えることで容易に変更することができ、噴射する燃料を所望の圧力に正確に設定することができる。しかも、エンジンを低速回転速度で回転させているときでも噴射燃料チャンバ内の燃料を良好に高圧にすることができる。
【0010】第三の発明は、第一または第二の発明において、前記圧力制御チャンバ内に入れる液体を供給手段により供給されてきた燃料としたディーゼルエンジンの燃料噴射装置である。
【0011】第三の発明によれば、噴射燃料チャンバ内に燃料を供給する供給手段と、圧力制御チャンバ内に液体を供給する供給手段とを共通化することができ、圧力制御チャンバ内のみに液体を供給するための供給手段を備えることを無くして、部品点数の増加を防止することができる。
【0012】第四の発明は、第一または第二または第三の発明において、圧力制御チャンバに所望の圧力となる液体を供給する供給手段をインジェクタボディの外部に備えたディーゼルエンジンの燃料噴射装置である。
【0013】第四の発明によれば、噴射燃料チャンバ内の燃料の圧力に影響されること無く、圧力制御チャンバ内を最適な圧力に設定することができる。
【0014】第五の発明は、第一または第二または第三または第四の発明において、圧力制御プランジャをメインプランジャにバネを介してつなげると共に、このメインプランジャと圧力制御プランジャとの間に形成する圧力制御チャンバにおいて、ここに供給する液体の圧力を変更することで、圧力制御チャンバの容積を変更するようにしたディーゼルエンジンの燃料噴射装置である。
【0015】第五の発明によれば、圧力制御チャンバの容積を正確に変更することができ、これにより、噴射口より噴射する高圧となる燃料の圧力を極めて正確な圧力に設定することができる。
【0016】第六の発明は、第一または第二または第三または第四または第五の発明において、噴射燃料チャンバ内に供給手段より供給されてきた燃料を供給するための燃料供給通路を圧力制御プランジャ内に備えたディーゼルエンジンの燃料噴射装置である。
【0017】第六の発明によれば、インジェクタボディに燃料供給通路を備えることを無くして、これによっても装置全体をコンパクトにすることができる。
【0018】第七の発明は、第一または第二または第三または第四または第五または第六の発明において、噴射燃料チャンバ内の圧力が圧力制御プランジャ内に設けた燃料供給通路内の圧力より、所定圧低くなったとき開く、噴射燃料チャンバ内と燃料供給通路内とを連通遮断する逆止弁を設けたディーゼルエンジンの燃料噴射装置である。
【0019】第七の発明によれば、噴射燃料チャンバに燃料を供給できると共に、プランジャによる噴射燃料チャンバの燃料加圧行程時には噴射燃料チャンバを密閉とし、高圧を作ることができる。また、圧力制御プランジャ内に燃料供給通路を設けたのでインジェクタをコンパクトにすることができる。また、逆止弁をインジェクタ内部に設けたので、高圧部が外部に存在しないことにより外部への燃料漏れを防止でき、さらなる噴射圧の高圧化を図っても安全である。
【0020】第八の発明は、第一または第二または第三または第四または第五または第六または第七の発明において、エンジン回転速度を検出するセンサ、アクセル開度を検出するセンサ、エンジン負荷を検出するセンサ、エンジン水温を検出するセンサ、大気温度を検出するセンサの内、少なくとも1つのセンサよりデータを受け取り、受け取ったデータに基づいて圧力制御チャンバに供給する液体の圧力を制御するようにしたディーゼルエンジンの燃料噴射装置である。
【0021】第八の発明によれば、センサから受け取ったデータに基づいて圧力制御チャンバに供給する液体の圧力を制御することで、噴射する燃料の圧力を各状況下において最適な圧力にすることができ、エンジンを常に良好に駆動させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明によるディーゼルエンジンの燃料噴射装置の一実施の形態について説明すると、図2の断面図や図3のA―A断面図に示すように、ディーゼルエンジンのシリンダヘッドに取り付けるインジェクタボディ20を備え、このインジェクタボディ20は円筒形状の本体21と、この本体21の上部の側面に一体的に形成したブロック22とからなり、このブロック22には開閉自在となるバルブ23を有し燃料噴射量及びタイミングを制御する電磁弁24を取り付ける。
【0023】そして、インジェクタボディ20の上部にメインプランジャ25をバネ26により上方へ付勢するように備える。このメインプランジャ25は図示しないエンジンを駆動源として作動する作動手段27であるカム27aによって上下に摺動する。
【0024】このメインプランジャ25の下方には液体である燃料を入れる径の大きな圧力制御チャンバ28を形成し、この圧力制御チャンバ28は後述する圧力制御プランジャ32の上下の摺動により容積が可変するもので、この容積の可変は、後述する供給手段46における圧力制御弁48より供給する燃料の圧によって圧力制御プランジャ32の摺動する量が変化して、容積を変更する。
【0025】また、インジェクタボディ20の本体21の側面に備えた燃料供給口29より供給される燃料を圧力制御チャンバ28に流すための第一油路30をインジェクタボディ20の本体21とブロック22とに形成する。
【0026】そして、圧力制御チャンバ28の下方にメインプランジャ25にバネ31を介してつながる圧力制御プランジャ32を備え、この圧力制御プランジャ32は上部側を大径にすると共に下部側を小径にした形状とする。この圧力制御プランジャ32も上下に摺動することで、この圧力制御プランジャ32とメインプランジャ25との間に形成される圧力制御チャンバ28の容積が変更される。また、この圧力制御プランジャ32の下部には前記第一油路30より燃料を入れる燃料供給通路33を形成し、ここにバネ34により上方に付勢された逆止弁35を取り付け、この逆止弁35は燃料供給通路33と後述する噴射燃料チャンバ36との圧力差が少ない時、閉じるようになり、圧力差が大きくなる、すなわち燃料供給通路33内の圧力が噴射燃料チャンバ36内の圧力より所定圧以上高くなると、ここを開いて噴射燃料チャンバ36内と圧力制御プランジャ32内とを連通して噴射燃料チャンバ36内に燃料を供給する。
【0027】さらに、圧力制御プランジャ32の下方にはインジェクタボディ20の本体21の側面に備えた燃料供給口29より供給される燃料を入れる径の小さな噴射燃料チャンバ36を形成し、この噴射燃料チャンバ36において、メインプランジャ25の摺動により圧力制御チャンバ28と圧力制御プランジャ32とを介して当該噴射燃料チャンバ36内の燃料を圧縮し、燃料を高圧にする。また、図4の一部拡大断面図に示すように、噴射燃料チャンバ36は下方において第二油路37を介して燃料を噴射する噴射口38につながると共に、この噴射口38内に配置されたニードル弁39のニードル弁圧力室40にも第一オリフィス41を介してつながる。このニードル弁39はニードル弁圧力室40の受圧面積が下側の受圧面積より大きくなることで、通常は噴射口38をニードル弁39で閉じる。
【0028】そして、このニードル弁39のニードル弁圧力室40が第二オリフィス42を介して第三油路43につながり、この第三油路43はインジェクタボディ20の本体21の下部側において上方へ向かいここからインジェクタボディ20のブロック22内へと延び、このブロック22に取り付けた電磁弁24までつながり、この電磁弁24のバルブ23により第三油路43の開閉を行う。
【0029】そして、この電磁弁24に第四油路44をつなげて、この第四油路44はインジェクタボディ20の本体21の側面に備えた燃料排出口45につながる。
【0030】さらに、インジェクタボディ20の外部には、インジェクタボディ20の本体21の側面に備えた燃料供給口29に圧力を制御した燃料を供給する供給手段46を備え、この供給手段46としては、ポンプ47と、この供給する燃料の圧力を所望の圧力に制御する圧力制御弁48とからなる。この供給手段46により燃料供給口29から圧力制御チャンバ28や噴射燃料チャンバ36に所望の圧となる燃料を供給する。
【0031】このような構成となるディーゼルエンジンの燃料噴射装置では、噴射口38より噴射する高圧となる燃料において圧力を非常に高い高圧から普通の高圧までコントロールすることができる。これは、インジェクタボディ20の本体21内に形成した圧力制御チャンバ28の容積と噴射燃料チャンバ36の容積を足した総容積において、この総容積が小さければ圧力上昇が大きく燃料を非常に高い高圧にすることができると共に、総容積が大きければ圧力上昇が小さく燃料を普通の高圧にすることができるものである。これについては、次式において分かる。圧力上昇をΔP、体積弾性率をK、総容積をV、圧縮した容積(行程容積)をΔVとすると、【0032】ΔP=K・ΔV/V【0033】となり、体積弾性率Kは燃料の種類により一定であり、圧縮した容積ΔVも一定であることから、圧力上昇ΔPは総容積Vにより決定されるもので、この式から明らかなように、総容積Vが大きければ大きいほど圧力上昇ΔPは小さい。
【0034】次に、このディーゼルエンジンの燃料噴射装置における作動状態について説明する。非常に高い高圧の燃料をディーゼルエンジンのシリンダ内に噴射する場合、図5示すように、供給手段46より供給された所望の圧力となる燃料がインジェクタボディ20の本体21の燃料供給口29より流入し、ここから分岐して、燃料の一方が第一油路30を経て圧力制御チャンバ28内へ流れ、小さな容積となる圧力制御チャンバ28を形成する。また、分岐した燃料の他方は噴射燃料チャンバ36内へ流れて、この噴射燃料チャンバ36より第二油路37を介して噴射口38に流れると共に、第一オリフィス41を介してニードル弁39のニードル弁圧力室40にも流れる。そして、このニードル弁39のニードル弁圧力室40より第二オリフィス42を介して第三油路43に流れ、この第三油路43を経て電磁弁24へ流れて、この電磁弁24のバルブ23が閉状態となることで、燃料の流れをここで遮断している。
【0035】そして、図6に示すように、カム27aによってメインプランジャ25を下方に摺動すると、圧力制御チャンバ28と圧力制御プランジャ32も下方へと移動して、噴射燃料チャンバ36内の燃料を圧縮して非常に高い高圧にする。この状態において、所望のタイミングで電磁弁24を作動してバルブ23を開状態にすると、第三油路43、ニードル弁39のニードル弁圧力室40の燃料が電磁弁24を経て第四油路44内を流れて燃料排出口45より外部に排出される。これにより、ニードル弁39のニードル弁圧力室40の圧力が低下することで、ニードル弁39が上方に移動して噴射口38が開き、この噴射口38より噴射燃料チャンバ36及び噴射口38内の非常に高い高圧となる燃料をディーゼルエンジンのシリンダ内に噴射する。
【0036】そして、図7に示すように、所望の量の燃料を噴射後、電磁弁24を作動してバルブ23を閉状態にすると、今度はニードル弁圧力室40の圧力が噴射燃料チャンバ36及び噴射口38内の圧力と同圧となり、ニードル弁39が下方に移動して噴射口38を塞ぎ、ディーゼルエンジンのシリンダ内への燃料の噴射を停止する。
【0037】そして、図8に示すように、カム27aを戻すと、バネ26によりメインプランジャ25が上方に摺動し、圧力制御チャンバ28と圧力制御プランジャ32も上方へと移動する。これにより、噴射燃料チャンバ36内が負圧になり、圧力制御プランジャ32の下部に取り付けた逆止弁35が下がって開き、第一油路30と燃料供給通路33を介して燃料が燃料供給通路33内に流れ込むようになる。そして、再びもとの状態へと戻る。
【0038】次に、普通の高圧の燃料をディーゼルエンジンのシリンダ内に噴射する場合、図9に示すように、供給手段46より供給された所望の圧力となる燃料がインジェクタボディ20の本体21の燃料供給口29より第一油路30に流入し、ここから分岐して、燃料の一方が第一油路30を経て圧力制御チャンバ28内へ流れ、大きな容積となる圧力制御チャンバ28を形成する。また、分岐した燃料の他方は燃料供給通路33を経て噴射燃料チャンバ36内へ流れて、この噴射燃料チャンバ36より第二油路37を介して噴射口38に流れると共に、第一オリフィス41を介してニードル弁39のニードル弁圧力室40にも流れる。そして、このニードル弁39のニードル弁圧力室40より第二オリフィス42を介して第三油路43に流れ、この第三油路43を経て電磁弁24へ流れて、この電磁弁24のバルブ23が閉状態となることで、燃料の流れをここで遮断している。
【0039】そして、図10に示すように、カム27aによってメインプランジャ25を下方に摺動すると、圧力制御チャンバ28と圧力制御プランジャ32も下方へと移動して、噴射燃料チャンバ36内の燃料を圧縮して普通の高圧にする。この状態において、所望の噴射タイミングで電磁弁24を作動してバルブ23を開状態にすると、第三油路43、ニードル弁39のニードル弁圧力室40の燃料が電磁弁24を経て第四油路44内を流れて燃料排出口45より外部に排出される。これにより、ニードル弁39のニードル弁圧力室40の圧力が低下することで、ニードル弁39が上方に移動して噴射口38が開き、この噴射口38より噴射燃料チャンバ36及び噴射口38内の普通の高圧となる燃料をディーゼルエンジンのシリンダ内に噴射する。
【0040】そして、図11に示すように、所望の量の燃料を噴射後、電磁弁24を作動してバルブ23を閉状態にすると、今度はニードル弁圧力室40の圧力が噴射燃料チャンバ36及び噴射口38内の圧力と同圧となり、ニードル弁39が下方に移動して噴射口38を塞ぎ、ディーゼルエンジンのシリンダ内への燃料の噴射を停止する。
【0041】そして、図12に示すように、カム27aを戻すと、バネ26によりメインプランジャ25が上方に摺動し、圧力制御チャンバ28と圧力制御プランジャ32も上方へと移動する。これにより、噴射燃料チャンバ36内が負圧になり、圧力制御プランジャ32の下部に取り付けた逆止弁35が下がって開き、第一油路30と燃料供給通路33を介して燃料が燃料供給通路33内に流れ込むようになる。そして、再びもとの状態へと戻る。
【0042】このようにインジェクタボディ20内部の噴射燃料チャンバ36内において燃料を圧縮し高圧にすることにより、インジェクタボディ20の外部において燃料が高圧となるのを無くすことができ、エンジン外部に配管する高圧燃料供給用のパイプを無くすことで、パイプの破損や燃料漏れが防止でき、さらなる噴射圧の高圧化を図ることができる。
【0043】しかも、このインジェクタボディ20には燃料噴射量及びタイミングを制御する電磁弁24を1個だけ備えるだけで良く、すなわち気筒分のみの電磁弁24を用意するだけで良く、制御を容易にすることができると共に、装置を安価に提供することができる。
【0044】また、このように圧力制御チャンバ28の径を噴射燃料チャンバ36の径より大きくて、燃料の圧縮を効率良く行うことで、作動手段27であるカム27aの作動力を小さくすることができ、装置全体をコンパクトにすることができる。
【0045】次に、前述したディーゼルエンジンの燃料噴射装置の一実施の形態の変形例について説明すると、前述のものとほぼ同様となるものの、圧力制御チャンバ28において異なる。これは、図13の断面図に示すように、圧力制御チャンバ28の径を噴射燃料チャンバ36の径とほぼ同じにすると共に、この圧力制御チャンバ28内と連通する油路49を形成し、この油路49がインジェクタボディ20の本体21の外側に備えた圧力制御外部チャンバ50につながっており、この圧力制御外部チャンバ50内にはカム51を装着して内部の容積が変更するようになる。これにより、圧力制御チャンバ28の容積と圧力制御外部チャンバ50の容積とを足したものが圧力制御チャンバ28側の容積となる。このように圧力制御チャンバ28の径を噴射燃料チャンバ36の径とほぼ同じにすることで、メインプランジャ25の小型化や構造の簡素化が図れる。
【0046】さらに、前述したディーゼルエンジンの燃料噴射装置の一実施の形態の別の変形例について説明すると、車体に配置したエンジン回転速度を検出するセンサ、アクセル開度を検出するセンサ、エンジン負荷を検出するセンサ、エンジン水温を検出するセンサ、大気温度を検出するセンサの内、少なくとも1つのセンサよりデータを受け取る車載コントローラを備え、この車載コントローラにおいては、受け取ったデータに基づいて圧力制御チャンバ28に供給する燃料の圧力を制御する。これは、あらかじめ車載コントローラに記憶させたプログラムによってセンサより受け取ったデータに基づいて圧力制御チャンバ28に供給する燃料の圧力を演算して制御するもので、圧力制御チャンバ28に供給する燃料の圧力を所望の圧力にする。これにより、噴射する燃料の圧力を各状況下において最適な圧力にする。
【0047】なお、前述の各説明において、圧力制御チャンバ28内に入れる液体として、燃料を使用していたが、この液体を燃料とは別の作動油や潤滑油を使用するようにしても良い。この場合、第一油路30は燃料供給口29につながるのではなく、新たに備える液体供給口につながり、液体供給口が外部に備えた液体供給手段につながることで、この液体供給手段より供給された作動油または潤滑油を圧力制御チャンバ28内に入れる。
【出願人】 【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
【出願日】 平成12年1月31日(2000.1.31)
【代理人】 【識別番号】100073818
【弁理士】
【氏名又は名称】浜本 忠 (外2名)
【公開番号】 特開2001−214833(P2001−214833A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−21534(P2000−21534)