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【発明の名称】 インタンク式燃料ポンプ
【発明者】 【氏名】岡田 謹吾

【氏名】村松 俊彦

【氏名】佐藤 武利

【要約】 【課題】燃料に対するシール性を高める必要がなく、電気的ノイズの低減を低減でき、かつ省スペース化を図ることができる燃料ポンプを提供する。

【解決手段】FPCユニット50をフランジ部材23に搭載することにより、FPCユニット50を搭載するためのスペースを別途確保する必要がなく、かつFPCユニット50を燃料タンク2の内部の燃料とは隔離して配置することができる。そのため、FPCユニット50は水分あるいはほこりなどの侵入に対してのみシールすればよく、燃料タンク2の内部にFPCユニット50を配置する場合のように高いシール性を必要としない。また、FPCユニット50をフランジ部材23に搭載することにより、FPC51とフュエルポンプ12との間の配線を短縮することができる。そのため、電気的ノイズの発生が低減され、RC回路を構成するコンデンサ52、コンデンサ53およびコイル54を小型化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料タンク内に配置されるポンプ本体と、前記燃料タンクに取り付けられる樹脂製のフランジ部材を有し、前記ポンプ本体を保持するハウジング部材と、前記フランジ部材に搭載され、前記ポンプ本体に供給する電流値または電圧値を制御する制御部と、を備えるインタンク式燃料ポンプ。
【請求項2】 前記フランジ部材には、前記制御部と接続される導電部材、ならびに前記導電部材と外部とを接続するコネクタが配設されていることを特徴とする請求項1記載のインタンク式燃料ポンプ。
【請求項3】 前記導電部材は、前記フランジ部材を形成する樹脂から一部が露出し、他部が前記フランジ部材に埋設されるように配置されていることを特徴とする請求項2記載のインタンク式燃料ポンプ。
【請求項4】 前記導電部材は、前記制御部の近傍に露出していることを特徴とする請求項3記載のインタンク式燃料噴射ポンプ。
【請求項5】 前記制御部は、熱伝導性の材質から形成されている蓋部を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のインタンク式燃料ポンプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関(以下、内燃機関を「エンジン」という。)へ燃料を供給するインタンク式燃料ポンプ(以下、インタンク式燃料ポンプを「燃料ポンプ」という。)に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両に搭載されるエンジンにおいては、燃費の向上あるいは燃料給送中における燃料の気化の低減などを図るために、燃料ポンプの出力を燃料ポンプから吐出される燃料の圧力に基づいて制御することが望まれている。燃料ポンプを制御するためには、制御部としての燃料ポンプコントローラ(以下、燃料ポンプコントローラを「FPC」という。)を車両に搭載する必要がある。
【0003】例えば乗用車の場合、従来FPCはトランクルームなどに搭載されている。そのため、トランクルームの内部にFPCを搭載するためのスペースが必要となる。また、FPCと燃料ポンプとの間の距離が大きくなると、FPCと燃料ポンプとの間の配線が長くなる。配線が長くなると、その配線から発生する電気的ノイズが増大し、車両に搭載されているラジオなどの無線機器に電波障害が生じるという問題がある。そのため、電気的ノイズを低減させるために大型のRC回路またはLC回路を装備しなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】FPCを搭載するためのスペースを確保し、FPCから発生する電気的ノイズを低減するための技術として、特開平10−318051号公報に開示されている燃料ポンプがある。特開平10−318051号公報に開示されている燃料ポンプによると、燃料タンクの内部に設けられているポンプ本体の側面部にFPCを搭載している。そのため、FPCを搭載するためのスペースを燃料タンクの外部に確保する必要がない。また、FPCと燃料ポンプとの間の距離が小さくなるため、配線から発生する電気的ノイズは低減される。
【0005】しかしながら、燃料タンクの内部へFPCを搭載するためには、FPCへの燃料の流入を防止するために燃料に対するFPCのシール性を高めなければならない。そのため、FPCの構造が複雑になり、信頼性の低下やコストの上昇を招くという問題がある。
【0006】そこで、本発明の目的は、燃料に対するシール性を高める必要がなく、電気的ノイズの発生を低減でき、かつ省スペース化を図ることができる燃料ポンプを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の燃料ポンプによると、ポンプ本体を制御する制御部をフランジ部材に搭載している。制御部をフランジ部材に搭載することにより、制御部を搭載するためのスペースを例えばトランクルームなどに確保する必要がない。したがって、省スペース化を図ることができる。また、燃料タンクの外部に位置するフランジ部材に制御部を搭載しているので、水分またはほこりなどが外部から制御部へ侵入するのを防止すればよい。したがって、制御部を燃料タンクの内部に搭載したときのように燃料に対するシール性を高める必要がなく、制御部を簡単な構造とすることができる。
【0008】さらに、フランジ部材に制御部を搭載することにより、ポンプ本体と制御部とを近接して配置することができるため、電気的ノイズの発生を低減できる。また、電気的ノイズが低減されるので、例えばコンデンサおよびコイルなどのRC回路またはLC回路の構成部品を小型化することができる。したがって、制御部の省スペース化を図ることができる。
【0009】本発明の請求項2記載の燃料ポンプによると、フランジ部材には導電部材およびコネクタが配設されているため、例えば導電部材およびコネクタを一次成形品として、この一次成形品とフランジ部材とを一体に成形することができる。したがって、導電部材およびコネクタを別部材で形成する場合と比較して、製造工程を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0010】本発明の請求項3記載の燃料ポンプによると、導電部材は一部がフランジ部材を形成する樹脂から露出し、他部はフランジ部材の内部を貫通している。したがって、フランジ部材を例えば絶縁性の樹脂で形成することにより導電部材の絶縁を行うことができる。
【0011】本発明の請求項4記載の燃料ポンプによると、導電部材は制御部の近傍に露出している。制御部の例えば端子などに対応する位置に導電部材を露出させることにより、その端子と導電部材との接続を容易に行うことができる。本発明の請求項5記載の燃料ポンプによると、蓋部は熱伝導性の材質から形成されているので、制御部から発生する熱を放熱させることができる。したがって、制御部の熱耐久性を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を示す一実施例を図面に基づいて説明する。図1および図2は本発明の一実施例による燃料ポンプを示している。燃料ポンプ1は燃料タンク2に設置され、燃料タンク2内の燃料を吸い上げて図示しないエンジンへ送出する。燃料ポンプ1は、主に燃料タンク2の内部に設置されるポンプ部10と、フィルタ部20とから構成されている。
【0013】ポンプ部10はリザーバ11を有し、リザーバ11にはポンプ本体としてのフュエルポンプ12、ならびにサクションフィルタ13が収容されている。フュエルポンプ12は燃料タンク2内の燃料をサクションフィルタ13を経由して吸入する。サクションフィルタ13は燃料に含まれる異物のうち、比較的大きな異物を除去する。また、リザーバ11はフュエルセンダ14を有しており、フュエルセンダ14は燃料タンク2内の燃料の量を計測し出力する。リザーバ11には吐出管取り付け部15が形成されており、この吐出管取り付け部15にフュエルポンプ12で吸入された燃料を吐出する吐出管16が取り付けられている。
【0014】フィルタ部20は、フィルタエレメント21、収容部材22、フランジ部材23および支持部材24を有している。収容部材22とフランジ部材23とは脱着可能に結合され、収容部材22とフランジ部材23とで形成された空間の内部にフィルタエレメント21が収容されている。ポンプ部10のリザーバ11、ならびにフィルタ部20の収容部材22およびフランジ部材23により、ハウジング部材が構成されている。
【0015】収容部材22は、底部22aを有する円筒形状に形成されており、内部にフィルタエレメント21を収容している。収容部材22には支持部材24が取り付けられている。支持部材24は、図示しない付勢部材によりリザーバ11方向へ付勢され、ポンプ部10を燃料タンク2の底部へ押し付けている。また、底部22aには、吐出管16が取り付けられる吐出管取り付け部25、ならびにアースプラグ取り付け部26が形成されている。
【0016】アースプラグ取り付け部26には、燃料がフィルタエレメント21を通過するときに燃料とフィルタエレメント21との間の摩擦により発生する静電気を除去するためのアースプラグ40が取り付けられている。アースプラグ40は円管状の導電部材であり、アースプラグ取り付け部26の内部に液密に挿入されている。
【0017】アースプラグ取り付け部26には燃圧センサ41が設けられている。燃圧センサ41の先端部は、アースプラグ40の内部と連通する連通穴40aの中に位置している。燃圧センサ41は、配線42を経由して後述するFPCユニット50に接続されている。
【0018】燃圧センサ41の搭載位置はアースプラグ取り付け部26に限らず、フュエルポンプ12とフィルタエレメント21との間の燃料流通路中、または燃料ポンプ1からエンジンまでの燃料流通路中などフュエルポンプ12の下流で燃料が流通する通路であればどの位置に配置してもよい。
【0019】フィルタエレメント21は、その中心軸に垂直な断面の形状が円筒形状である。図3に示すように吐出管16を経由してフュエルポンプ12から供給された燃料は、図4に示すようにフィルタエレメント21の上方から下方へとフィルタエレメント21を通過する。燃料がフィルタエレメント21を通過することにより、燃料に含まれる微細な異物が除去される。フィルタエレメント21を通過した燃料は、メインパイプ取り付け部27に取り付けられている図示しないメインパイプを経由してエンジンへ供給される。
【0020】フランジ部材23は、収容部材22の反底部側の端部に取り付けられている。フランジ部材23と燃料タンク2とを結合し固定することにより、燃料ポンプ1が燃料タンク2に取り付けられる。フランジ部材23にはメインパイプ取り付け部27、およびコネクタ30が形成されている。メインパイプ取り付け部27には、フィルタエレメント21を通過した燃料を図示しないエンジンへ吐出するためのメインパイプが取り付けられている。
【0021】次に、フランジ部材23、ならびにこのフランジ部材23に搭載される制御部としてのFPCユニット50について詳細に説明する。フランジ部材23は絶縁樹脂で形成されており、導電部材31と一体に成形されているコネクタ30が一次成形品としてインサート成形されている。
【0022】コネクタ30は、導電部材31と外部のエンジンコントロールユニット(以下、エンジンコントロールユニットを「ECU」という。)3からの配線とを接続する。図5に示すように導電部材31は4本のバスバー311、バスバー312、バスバー313およびバスバー314を有しており、バスバー311、312、313、314の一方の端部311a、312a、313a、314aは、コネクタ30の接続端子としてコネクタ30の内部に露出している。導電部材31の他方の端部311b、312b、313b、314bは、フランジ部材23に搭載される図1に示すFPCユニット50の各部材と接続可能な位置にフランジ部材23から露出している。導電部材31の端部311a〜314aおよび端部311b〜314b以外の部分は、図5および図6に示すようにフランジ部材23を形成する絶縁樹脂の内部を貫通している。
【0023】図1、図5および図6に示すようにFPCユニット50には、FPC51、コンデンサ52、コンデンサ53およびコイル54が配置されている。FPC51はECU3から送られてくるエンジンの運転状態、例えば回転数あるいはアクセルの開度などの情報、ならびに燃圧センサ41が測定した燃料の圧力に基づいてフュエルポンプ12の出力を制御する。FPC51がフュエルポンプ12の出力を制御することにより、フュエルポンプ12から吐出されエンジンへ供給される燃料の圧力は所望の圧力に制御される。フュエルポンプ12の出力の制御は、FPC51からフュエルポンプ12へ供給される電流値または電圧値をFPC51が制御することにより行う。
【0024】コンデンサ52、コンデンサ53およびコイル54は、FPC51から発生する電気的ノイズを低減するために配置されている。このコンデンサ52、コンデンサ53およびコイル54によりLC回路が構成されている。
【0025】また、FPCユニット50には、内部に水分あるいはほこりなどの侵入を防止するために蓋部55がガスケット56を介して被せられている。蓋部55として例えばアルミニウムなどの熱伝導性の材質を用いることでFPC51、コンデンサ52、コンデンサ53およびコイル54などから発生する熱を放熱する放熱板とすることができる。FPCユニット50および蓋部55は、フランジ部材23に搭載され、スクリュー28などによりフランジ部材23に固定されている。
【0026】FPC51は、フュエルポンプ12へ電力を供給するための電源端子511および電源端子512、燃圧センサ41へ電力を供給するための電源端子513、ならびに燃圧センサ41からの出力が入力される入力端子514を有している。接地端子515は、アース端子である。また、FPC51は導電部材31に接続するための端子516、端子517および端子518を有している。
【0027】図6に示すようにフランジ部材23には、フュエルポンプ12に接続されている導電部材32、ならびに燃圧センサ41に接続されている導電部材33が導電部材31と同様にフランジ部材23を貫通して配置されている。導電部材32は図5に示すようにバスバー321およびバスバー322からなる。バスバー321、322の一方の端部はフュエルポンプ12への配線43に接続され、他方の端部321a、322aはそれぞれFPC51の電源端子511および電源端子512に対応する位置にフランジ部材23から突出している。
【0028】導電部材33は3本のバスバー331、バスバー332およびバスバー333からなる。バスバー331〜333の一方の端部は燃圧センサ41への配線42に接続され、他方の端部331a〜333aはそれぞれFPC51の電源端子513、入力端子514および接地端子515に対応する位置にフランジ部材23から突出している。
【0029】バスバー311〜314の端部311a〜314a、バスバー321、322の端部321a、322a、ならびにバスバー331〜333の端部331a〜333aは、図6に示すようにフランジ部材23から突出している。
【0030】導電部材31〜33の各バスバーの端部がフランジ部材23から突出することにより、FPC51が配置されたFPCユニット50をフランジ部材23に搭載すると、FPC51の電源端子511、電源端子512、電源端子513、入力端子514、接地端子515、端子516、端子517および端子518は、それぞれバスバー321、322の端部321a、322a、バスバー331、332の端部331a、332a、ならびにバスバー311〜313の端部311b〜314bに近接して配置される。
【0031】電源端子511と端部321a、電源端子512と端部322a、電源端子513と端部331a、入力端子514と端部332a、接地端子515と端部333a、端子516と端部311b、端子517と端部312b、端子518と端部313bとは、それぞれ例えば溶接などにより接続されている。
【0032】上記のように、FPC51の電源端子511、電源端子512、電源端子513、入力端子514、接地端子515、端子516、端子517および端子518は、端部321a、端部322a、端部331a、端部332a、端部311b、端部312b、端部313bに近接して配置されるので、それらを接続するための例えば溶接工程が容易である。
【0033】以上説明したように本実施例の燃料ポンプ1によると、FPCユニット50をフランジ部材23に搭載することにより、FPCユニット50を搭載するためのスペースを例えばトランクルームなど燃料タンク2の外部に確保する必要がなく、かつFPCユニット50を燃料タンク2の内部の燃料とは隔離して配置することができる。そのため、FPCユニット50は水分あるいはほこりなどの侵入に対してのみシールすればよく、燃料タンク2の内部にFPCユニット50を配置する場合のように高いシール性を必要としない。したがって、FPCユニット50の信頼性を向上させることができ、製造コストを低減させることができる。
【0034】また、FPCユニット50をフランジ部材23に搭載することにより、FPC51とフュエルポンプ12との間の配線を短縮することができる。そのため、電気的ノイズの発生が低減され、LC回路またはRC回路を構成するコンデンサ52、コンデンサ53およびコイル54を小型化することができる。
【0035】本実施例の燃料ポンプ1によると、フランジ部材23にコネクタ30および導電部材31〜33をインサートして一体に成形し、導電部材31〜33の端部はFPC51の各端子511〜518の近傍に突出するように配置されている。そのため、フランジ部材23にFPCユニット50を搭載すると、FPC51の各端子511〜518は導電部材31〜33の端部の位置に近接して配置される。したがって、導電部材31〜33の端部とFPC51の各端子511〜518との接続を容易に行うことができる。
【0036】また、本実施例の燃料ポンプ1によると、FPCユニット50の蓋部55は熱伝導性の材質により形成されている。そのため、FPCユニット50で発生する熱を放熱させることができ、FPCユニット50の熱耐久性を向上させることができる。
【0037】以上、ポンプ部とフィルタ部が別体となった燃料ポンプのフランジ部材にFPCユニットを搭載した例について説明したが、本発明としては燃料ポンプの形態にかかわらず適用することができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成12年2月1日(2000.2.1)
【代理人】 【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
【公開番号】 特開2001−214826(P2001−214826A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−23702(P2000−23702)