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【発明の名称】 コモンレール式燃料噴射装置
【発明者】 【氏名】今井 良成

【氏名】奈良部 靖

【氏名】橋本 敏行

【氏名】荒木 航

【要約】 【課題】燃料フィルタに目詰まりが発生しても、燃料フィルタのパンクや、フィードポンプに内蔵されたオイルシールの破損等の故障が発生しないようにする。

【解決手段】燃料を貯留する燃料タンク12と、燃料中の不純物を除去する燃料フィルタ16と、燃料タンク12に貯留された燃料を燃料フィルタ16に供給するフィードポンプ14と、燃料フィルタ16により不純物が除去された燃料を所定圧力に加圧し、コモンレール20に供給するサプライポンプ18と、コモンレール20に供給された燃料を運転状態に応じたタイミングで気筒内に噴射する燃料噴射ノズル22と、燃料フィルタ16上流側の燃料圧力が所定値以上になったときに開弁し、フィードポンプ14により供給される全燃料量を燃料タンク12に戻すリリーフ弁26と、を含んでコモンレール式燃料噴射装置を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】燃料を貯留する燃料タンクと、燃料中の不純物を除去する燃料フィルタと、前記燃料タンクに貯留された燃料を燃料フィルタに供給する低圧ポンプと、前記燃料フィルタにより不純物が除去された燃料を所定圧力に加圧し、コモンレールに供給する高圧ポンプと、該コモンレールに供給された燃料を運転状態に応じたタイミングで気筒内に噴射する燃料噴射ノズルと、前記燃料フィルタ上流側の燃料圧力が所定値以上になったときに開弁し、前記低圧ポンプにより供給される全燃料量を燃料タンクに戻すリリーフ弁と、を含んで構成されたことを特徴とするコモンレール式燃料噴射装置。
【請求項2】前記リリーフ弁が開弁する燃料圧力の所定値は、前記燃料フィルタのパンク、又は、低圧ポンプに内蔵されたオイルシールの許容圧力に対して、所定の安全代を考慮して設定されたことを特徴とする請求項1記載のコモンレール式燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コモンレール式燃料噴射装置に関し、特に、燃料フィルタの目詰まりに起因する不具合を回避する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジンの燃料噴射装置の1つとして、コモンレール式燃料噴射装置が知られている。コモンレール式燃料噴射装置では、図4に示すように、燃料タンク1内の燃料は、フィードポンプ2により加圧されて低圧燃料となり、燃料フィルタ3を介してサプライポンプ4に供給される。そして、サプライポンプ4に供給された低圧燃料は、サプライポンプ4によりさらに加圧されて高圧燃料となり、エンジンの各気筒に連通する共通のコモンレール(蓄圧配管)5に供給される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、何らかの原因により燃料フィルタ3に目詰まりが生じた場合には、サプライポンプ4への燃料供給量が減少してしまう。従来の列型ポンプをサプライポンプとして使用したものでは、サプライポンプ4への燃料供給量の減少は、エンジンへの燃料供給量の減少に即座に反映されるため、エンジン出力の低下を介して運転者が認識できる。一方、コモンレール式燃料噴射装置では、サプライポンプ4への燃料供給状態にかかわらず、高圧燃料噴射を可能にすべく、サプライポンプ4の圧送行程を増減させるフィードバック制御が行なわれるため、サプライポンプ4への燃料供給量の減少は、即座にエンジン出力の低下に反映されない。このため、運転者が燃料フィルタ3の目詰まりに気付かずに長期間運行を行なっていると、燃料フィルタ3上流側の燃料圧力が徐々に上昇し、燃料フィルタ3のパンク、フィードポンプ2に内蔵されたオイルシールの破損等の故障が発生してしまうおそれがある。
【0004】そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、燃料フィルタに目詰まりが生じても、燃料フィルタ上流側の燃料圧力が許容圧力より上昇しないようにして、燃料フィルタのパンク、フィードポンプに内蔵されたオイルシールの破損等の故障が発生しないコモンレール式燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載の発明は、燃料を貯留する燃料タンクと、燃料中の不純物を除去する燃料フィルタと、前記燃料タンクに貯留された燃料を燃料フィルタに供給する低圧ポンプと、前記燃料フィルタにより不純物が除去された燃料を所定圧力に加圧し、コモンレールに供給する高圧ポンプと、該コモンレールに供給された燃料を運転状態に応じたタイミングで気筒内に噴射する燃料噴射ノズルと、前記燃料フィルタ上流側の燃料圧力が所定値以上になったときに開弁し、前記低圧ポンプにより供給される全燃料量を燃料タンクに戻すリリーフ弁と、を含んでコモンレール式燃料噴射装置を構成したことを特徴とする。
【0006】かかる構成によれば、燃料タンクに貯留される燃料は、低圧ポンプにより燃料フィルタに供給される。燃料フィルタに供給された燃料は、ここで燃料中のダストや水分等の不純物が除去される。不純物が除去された燃料は、高圧ポンプにより所定圧力に加圧され、コモンレールに供給され、運転状態に応じたタイミングで燃料噴射ノズルから気筒内に噴射される。そして、何らかの原因で燃料フィルタに目詰まりが生じ、燃料フィルタ上流側の燃料圧力が所定値以上になると、リリーフ弁が開弁し、低圧ポンプにより供給される全燃料量が燃料タンクに戻される。従って、燃料フィルタに目詰まりが生じても、その上流側の燃料圧力が所定値以上に上昇することが防止される。
【0007】請求項2記載の発明は、前記リリーフ弁が開弁する燃料圧力の所定値は、前記燃料フィルタのパンク、又は、低圧ポンプに内蔵されたオイルシールの許容圧力に対して、所定の安全代を考慮して設定されたことを特徴とする。
【0008】かかる構成によれば、リリーフ弁は、燃料フィルタのパンク等が起こる許容圧力未満で開弁するため、コモンレール式燃料噴射装置の信頼性及び耐久性等が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。図1は、本発明に係るコモンレール式燃料噴射装置(以下「燃料噴射装置」という)の全体構成を示す。
【0010】燃料噴射装置10は、燃料タンク12と、低圧ポンプとしてのフィードポンプ14と、燃料フィルタ16と、高圧ポンプとしてのサプライポンプ18と、コモンレール20と、燃料噴射ノズル22と、を含んで構成される。
【0011】フィードポンプ14は、図示しないエンジンにより駆動され、燃料タンク12に貯留される燃料を吸い上げ、燃料フィルタ16を介してサプライポンプ18に供給する低圧系回路を構成する燃料ポンプである。サプライポンプ18は、フィードポンプ14と同様に、図示しないエンジンにより駆動され、フィードポンプ14により供給された燃料をさらに加圧し、コモンレール20を介して燃料噴射ノズル22に供給する高圧系回路を構成する燃料ポンプである。コモンレール20は、サプライポンプ18により加圧された高圧燃料を蓄圧する蓄圧配管として機能し、多気筒エンジンの各気筒に対して共通して1つ設けられる。
【0012】また、サプライポンプ18には、フィードポンプ14により供給される低圧燃料の状態にかかわらず、フィードバック制御によりサプライポンプ18の圧送行程を増減させて、燃料噴射ノズル22から高圧燃料噴射が可能となるようにする電磁弁24が設けられる。なお、フィードポンプ14の送油量は燃料噴射量よりも十分大きくしておくのが技術常識であるので、サプライポンプ18に供給された余剰燃料は、オーバフローバルブ18aから燃料タンク12に戻される。
【0013】さらに、燃料フィルタ16の上流側、即ち、フィードポンプ14と燃料フィルタ16との間には、燃料フィルタ16上流側の燃料圧力が所定値以上になると開弁し、フィードポンプ14により供給される低圧燃料の全量を燃料タンク12に戻すリリーフ弁26が介装される。
【0014】そして、燃料噴射装置10を構成する各種機器は、図2に示すような燃料噴射回路を構成する。即ち、燃料タンク12に貯留される燃料は、フィードポンプ14により加圧されて低圧燃料となり、燃料フィルタ16に供給される。燃料フィルタ16に供給された低圧燃料は、ここで燃料中のダストや水分が取り除かれた後、サプライポンプ18に供給される。サプライポンプ18に供給された低圧燃料は、電磁弁24によりフィードバック制御されつつ、さらに加圧されて高圧燃料となり、コモンレール20に供給される。コモンレール20に供給された高圧燃料は、運転状態に応じたタイミングで開弁する燃料噴射ノズル22からエンジンの燃焼室内(筒内)に噴射される。一方、燃料噴射ノズル22において、噴射ノズル本体と針弁との隙間から漏れた高圧燃料は、図1に示すリーク配管28を介して燃料タンク12に戻される。
【0015】次に、燃料フィルタ16に目詰まりが発生したときの作用について説明する。燃料フィルタ16に目詰まりが発生すると、燃料フィルタ16の流通抵抗が増大するため、燃料フィルタ16上流側の燃料圧力が上昇する。そして、燃料フィルタ16上流側の燃料圧力が所定値以上になると、リリーフ弁26が開弁し、フィードポンプ14により供給される低圧燃料が燃料フィルタ16に供給されず、その全量が燃料タンク12に戻される。従って、燃料フィルタ16の目詰まりによりその上流側の燃料圧力が所定値以上に上昇することが防止され、燃料フィルタ16のパンク、フィードポンプ14に内蔵されたオイルシールの破損等を確実に防止することができる。
【0016】この場合、低圧燃料が燃料フィルタ16を介してサプライポンプ18に供給されないため、電磁弁24によりサプライポンプ18がフィードバック制御されていても、エンジン出力の低下を介して運転者が燃料供給系統に故障が発生したことを早期に認識することができる。そして、サービス工場等において、燃料フィルタ16に目詰まりが発生したことが発見され、燃料フィルタ16を交換することで、ベストな状態で車両を運行することができるようになる。
【0017】図3は、燃料フィルタ16に目詰まりが発生したときに、リリーフ弁26の有無によって、エンジン回転速度の上昇に応じて、どのように燃料フィルタ16上流側の燃料圧力が上昇するかを示す。即ち、リリーフ弁26がない場合(破線)では、回転速度の上昇に伴って燃料圧力が上昇し、所定の回転速度に達すると、燃料フィルタ16がパンクしたりフィードポンプ14に内蔵されたオイルシール等が破損する許容圧力に達してしまう。一方、リリーフ弁26がある場合(実線)では、燃料フィルタ16上流側の燃料圧力が所定値に達すると、リリーフ弁26が開弁して全燃料量が燃料タンク12に戻されるので、燃料圧力が許容圧力以上になることが防止され、燃料フィルタ16のパンク等が確実に防止される。ここで、リリーフ弁26は、燃料噴射装置10の信頼性及び耐久性等を向上させるためにも、図3に示すように、許容圧力に対して安全代を考慮した燃料圧力で開弁するように構成することが望ましい。
【0018】なお、以上説明したリリーフ弁26は、燃料フィルタ26上流側の燃料圧力をパイロット圧として、パイロット圧が所定値以上になったときに、ばねの付勢力に抗して開弁するものであるが、本発明で使用するリリーフ弁は、かかる構成のものに限定されない。即ち、ばね付チェック弁のように、所定圧力で開弁する構成のものであれば、如何なる構成のものであってもよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、燃料フィルタに目詰まりが生じても、その上流側の燃料圧力が所定値以上に上昇することが防止され、燃料フィルタのパンク、低圧ポンプに内蔵されたオイルシールの破損等を確実に防止することができる。
【0020】請求項2記載の発明によれば、コモンレール式燃料噴射装置の信頼性及び耐久性等を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000003908
【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
【出願日】 平成12年2月1日(2000.2.1)
【代理人】 【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
【公開番号】 特開2001−214821(P2001−214821A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−23654(P2000−23654)