| 【発明の名称】 |
小型滑走艇用エンジンの循環式燃料供給装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】松田 義基
|
| 【要約】 |
【課題】小型滑走艇における循環式燃料供給装置の燃料を、簡単な構造の冷却装置により効率良く冷却してインジェクターに供給できるようにし、インジェクターによる適正な燃料噴射を行なえるようにする。
【解決手段】循環式燃料供給装置は、燃料加圧ポンプ18により、燃料タンク6の燃料を燃料供給管17を介してインジェクター14に供給し、インジェクター14の余剰燃料を燃料戻し管19を介して燃料タンク6へと戻す構造である。かかる装置において、燃料加圧ポンプ18とインジェクター14の間の燃料供給管17に、外部冷却水を利用した熱交換器21を、燃料冷却装置として配設する。インジェクター14に入る直前の燃料を冷却することになり、戻り燃料を冷却する場合に比べて、十分に冷却された燃料をインジェクターに供給することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料加圧ポンプにより、燃料タンクの燃料を燃料供給管を介してインジェクターに供給し、インジェクターの余剰燃料を燃料戻し管を介して燃料タンクへと戻す小型滑走艇用エンジンの循環式燃料供給装置において、燃料加圧ポンプとインジェクターの間の燃料供給管部分に、燃料冷却装置を設けたことを特徴とする小型滑走艇用エンジンの循環式燃料供給装置。 【請求項2】 燃料冷却装置として、冷却水を利用した熱交換器を設けていることを特徴とする請求項1記載の小型滑走艇用エンジンの循環式燃料供給装置。 【請求項3】 熱交換器に用いる冷却水として、推進用の水ジェット推進装置により外部から取り込む外部冷却水を利用し、冷却使用後は船外に排出するようにしていることを特徴とする請求項2記載の小型滑走艇用エンジンの循環式燃料供給装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本願発明は、燃料供給ポンプにより、燃料供給管を介してインジェクター(燃料噴射弁)に燃料を供給し、インジェクターの余剰燃料を燃料戻し管を介して燃料タンクへと戻す小型滑走艇用エンジンの循環式燃料供給装置に関し、特に燃料の冷却に関する。 【0002】 【従来の技術】図6は、船外機等に設けられる循環式燃料供給装置の基本的な構成を示しており、各インジェクター14の燃料入口14aは、燃料供給管(高圧管)17及び燃料加圧ポンプ18を介して燃料タンク6に接続し、各インジェクター14の余剰燃料戻し口14bは戻し管(低圧管)19を介して燃料タンク6に接続している。 【0003】図6のような循環式燃料供給装置をそのまま小型滑走艇用エンジンに適用すると、次のような理由により燃料の温度が上昇する。 (1)真夏の運転時では、日差しにより燃料タンク自体が暖められ、燃料タンク内で燃料の温度が上昇する。特に小型滑走艇は夏に使用することが多く、また、自動車等に比べると、小型で、しかも狭いスペース内に燃料タンク6が納められるので、燃料タンク6内での温度が上昇する。 【0004】(2)循環式燃料供給装置では、燃料加圧ポンプで加圧された燃料の一部がインジェクターによる噴射に用いられ、残り(半分以上)は余剰燃料として燃料タンクに戻されるので、インジェクター内で温度上昇した燃料が燃料タンクに戻されることになり、運転を続けるにしたがって燃料タンク内の温度を徐々に上昇させる。 【0005】インジェクター内に弁開閉用の電磁ソレノイドを内蔵している構造では、インジェクター自体の温度上昇があり、このことも燃料温度上昇の理由の1つとなっている。 【0006】燃料温度が上昇し過ぎると、インジェクター内の電磁バルブの動きに変化が生じ、インジェクターによる適正な燃料噴射が困難になることも考えられる。 【0007】上記のような燃料温度上昇の対策として、従来、船外機等では戻し管19にべーパセパレータ(気液分離装置)50を配置し、該べーパーセパレータ50により、戻り燃料の気化分を取り除くと共に、燃料を冷却している。なお、ベーパーセパレータ50はその構造上、低圧の戻し管19部分にしか設置できない。なお、関連技術として、特開昭60−104760号がある。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】図6のように戻し管19にベーパーセパレータ50を配置して燃料冷却に利用する構造では、以下説明するように、インジェクター14に供給される燃料の冷却効果は低い。 【0009】(1)戻し管19から燃料タンク6に戻る燃料量は、燃料タンク6の絶対燃料量に比べると少ないので、少量の戻り燃料を冷却しても、結局、容量の多い燃料タンク6内の温度の高い燃料内に戻り、温度が上昇するので、インジェクター14へ供給する燃料を、実質的に十分冷却することはできにくい。 【0010】(2)戻り燃料には気化分が多く混じっているので、たとえベーパーセパレータ50で気液を分離しながら冷却していても、液体成分のみを冷却する場合に比べると、冷却が困難である。 【0011】 【発明の目的】本願発明の目的は、循環式燃料供給装置の燃料を、簡単な構造の冷却装置により効率良く冷却してインジェクターに供給し、燃料気化の抑制及びインジェクターの冷却を応答性良く行なえるようにし、インジェクターによる適正な燃料噴射が行なえるようにする。 【0012】 【課題を解決するための手段】本願請求項1記載の発明は、燃料加圧ポンプにより、燃料タンクの燃料を燃料供給管を介してインジェクターに供給し、インジェクターの余剰燃料を燃料戻し管を介して燃料タンクへと戻す小型滑走艇用エンジンの循環式燃料供給装置において、燃料加圧ポンプとインジェクターの間の燃料供給管部分に、燃料冷却装置を設けたことを特徴とする小型滑走艇用エンジンの循環式燃料供給装置である。かかる循環式燃料供給装置によると、燃料タンクから吸い出されてインジェクターに入る直前の燃料を、燃料冷却装置により冷却することになり、戻り燃料を冷却する場合に比べて、効率良く燃料を冷却してインジェクターに供給することができ、燃料気化を応答性良く行なうことができ、インジェクターによる適正な燃料噴射が行なえる。 【0013】請求項2記載の発明は、燃料冷却装置として、冷却水を利用した熱交換器を設けている。これにより、燃料冷却装置を簡素化でき、製造コストを低減することができる。 【0014】請求項3記載の発明は、熱交換器に用いる冷却水として、推進用の水ジェット推進装置により外部から取り込む外部冷却水を利用し、冷却使用後は船外に排出するようにしている。これにより、内部冷却水を利用する場合に比べ、冷却水の維持管理が簡単になり、ランニングコストを低下させることができると共に、冷却効果も増大する。 【0015】 【発明の実施の形態1】図1は本願発明を適用した小型滑走艇であって、内部を透視して示す概略側面図であり、まず小型滑走艇の一般的な構造を説明する。小型滑走艇の船体は、下側のハル1と、上側のデッキ2とから構成されており、デッキ2の上側に跨式(鞍式)のシート3及びバーハンドル4を装備している。ハル1の後部には、ダクト9、案内羽根(整流板)40、噴射ノズル5及びインペラ7等からなる水ジェット推進装置8が設けられ、噴射ノズル5の後側には左右に操舵可能なステアリングノズル13が取り付けられている。インペラ7はダクト9内に収納されると共に、インペラ(駆動)軸10等を介してエンジン11の出力軸に連結している。インペラ軸10の後端部は前記案内羽根40により保持された軸受ケース40a内に回転自在に支持されている。インペラ7の回転により、ハル底面の水取入口12からダクト9内に水を吸い込み、案内羽根40部分、噴射ノズル5及びステアリングノズル13内を通して、後端噴出口13aから噴出するようになっている。エンジン11は筒内直噴式の3気筒2サイクルエンジンであって、シート3の下方に設けられたエンジン収納室に配置され、各シリンダヘッド20にインジェクター(燃料噴射弁)14を装備している。燃料タンク6はエンジン前方に配置されている。 【0016】次に、循環式燃料供給装置を説明する。基本構成は前記図6の経路と同様であり、図2において、各インジェクター14の入口部14aは、燃料供給管(高圧管)17及び燃料加圧ポンプ18を介して燃料タンク6に接続し、インジェクター14の余剰燃料戻し口14bは、戻し管(低圧管)19を介して燃料タンク6に接続している。すなわち、燃料加圧ポンプ18により、燃料タンク6から燃料を吸い込み、加圧し、燃料供給管17を介して各インジェクター14に供給し、インジェクター14内の余剰燃料は、戻し管19を介して燃料タンク6に戻るようになっている。なお、図2には、エンジン11の上端に3つのインジェクター14を描いているのに加え、図面の左側にも3つのインジェクター14を描いてあるが、これは燃料の循環経路を分かり易く示すために燃料供給管17と戻し管19の間に敢えて描いているだけであり、前記エンジン11の上端に描いたインジェクター14と同じものである。 【0017】上記のような循環式燃料供給装置において、燃料加圧ポンプ18とインジェクター14の間の燃料供給管17に、外部冷却水を利用した熱交換器21を配設することにより、燃料冷却装置としている。 【0018】熱交換器21に用いる冷却水の経路を説明すると、図1において、水ジェット推進装置8内の案内羽根40部分に冷却水取入口23を開口しており、該冷却水取入口23は冷却水管24を介して熱交換器21の冷却水入口31に接続している。熱交換器21の冷却水出口32は、冷却水管25を介して吸気マニホールド15の冷却水ジャケット入口15aに接続し、吸気マニホールド15内の冷却水ジャケットは、エンジン11のシリンダ16及びシリンダヘッド20の冷却水ジャケットに連通し、シリンダヘッド20の冷却水ジャケット出口20aには冷却水排出管26が接続している。冷却水排出管26は使用後の冷却水を船外に放出するようになっている。 【0019】図3は熱交換器21の一具体化例を示しており、アルミ製の冷却水用外筒30と、該外筒30内に同心に配置され、かつ、外筒30を貫通するステンレス鋼製の燃料用内管27から構成されている。燃料用内管27の両端は燃料供給管17に接続している。冷却水入口31は、外筒30の燃料下流側(矢印A方向側)の下端に形成され、冷却水出口32は燃料上流側の上端に形成されている。 【0020】 【作用】図2において、燃料タンク6内の燃料は、燃料供給ポンプ18により吸い込まれ、加圧されて燃料供給管17内に圧送され、熱交換器21内を通過することにより冷却水により冷却され、しかる後に各インジェクター14へと圧送され、一部が燃料室に噴射される。このように、燃料加圧ポンプ18からインジェクター14に至る過程において燃料を冷却していると、気化燃料が混在していない燃料を冷却することになり、戻し燃料を冷却する場合に比べて、冷却効率が高い。 【0021】インジェクター14により燃料室内に噴射される燃料の量は、該実施の形態では燃料加圧ポンプ18の吐出量の略半分以下であり、余剰の燃料は戻し管19を通って燃料タンク6へと戻される。 【0022】一方、冷却水は、水ジェット推進装置8により外部から冷却水取入口23を通して取り入れられ、冷却水管24を介して図3の熱交換器21の外筒30内に入り、燃料用内管27の外周から燃料を冷却する。冷却に使用後は、冷却水出口32から冷却水管25を介して図2の吸気マニホールド15に供給され、続いてエンジン11内へと供給されて、吸気マニホールド15及びエンジン11のシリンダ16及びシリンダヘッド20を冷却する。エンジン11を冷却した後の冷却水は、排出管26を通り、船外に排出される。 【0023】このように、常に新しい外部冷却水を使用するワンウエイ式を採用しているので、冷却水を循環する内部冷却水方式に比べて、冷却効果が大きく、かつ、装置自体も簡単に構成することができる。 【0024】 【発明の他の実施の形態】(1)図4は熱交換器21の変形例を示しており、燃料用内管27を螺旋形として、冷却水との接触面積(長さ)を増大させた構造である。その他の構造は図3と同様である。 【0025】(2)図5も熱交換器21の変形例を示しており、燃料用内管27をU字形(往復形)とすることにより、接触面積を増大させると共に、燃料用内管27のの出入口を外筒30の同一側端壁の揃えた構造である。その他の構造は図3と同様である。 【0026】 【発明の効果】以上説明したように本願発明によると、(1)燃料加圧ポンプにより、燃料タンクの燃料を燃料供給管を介してインジェクターに供給し、インジェクターの余剰燃料を燃料戻し管を介して燃料タンクへと戻す小型滑走艇用エンジンの循環式燃料供給装置において、燃料加圧ポンプとインジェクターの間の燃料供給管部分に、燃料冷却装置を設けているので、燃料タンクから吸い出されてインジェクターに入る直前の燃料を、燃料冷却装置により冷却することになり、戻り燃料を冷却する場合に比べて、十分に冷却された燃料をインジェクターに供給することができる。すなわち、燃料気化を応答性良く行なうことができ、インジェクターによる適正な燃料噴射を行なうことができる。 【0027】(2)燃料冷却装置として、冷却水を利用した熱交換器を設けていると、燃料冷却装置を簡素化でき、製造コストを低減することができる。 【0028】(3)熱交換器に用いる冷却水として、水ジェット推進装置により外部から取り込む外部冷却水を利用し、冷却使用後は船外に排出するようにしていると、内部冷却水を利用する場合に比べ、温度の低い冷却水の水量を充分に確保でき、また、冷却水の維持管理が簡単になり、ランニングコストを低下させることができると共に、冷却効果も増大する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000974 【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年1月18日(2000.1.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062144 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−200772(P2001−200772A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−8853(P2000−8853) |
|