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【発明の名称】 過給機空気吸込フィルタの洗浄装置
【発明者】 【氏名】白石 啓一

【氏名】今給黎 孝一郎

【要約】 【課題】フィルタを過給機本体から取り外すことなく機関運転中であっても簡易な作業によりフィルタを容易に清掃することができる過給機空気吸込フィルタの洗浄装置を提供する。

【解決手段】船舶用エンジンの燃焼器に空気を供給する過給機に取り付けられた空気吸込フィルタから塵埃を除去してフィルタを清浄化する洗浄装置であって、回転可能に軸支されたアームと、フィルタの裏面に沿って移動可能に前記アームに取り付けられたノズルと、このノズルに加圧ガスを供給する手段と、前記ノズルに洗浄液を供給する手段と、フィルタの表面に沿って前記ノズルに追従して移動可能に設けられてフィルタから離脱した異物を受ける塵受けと、を具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 船舶用エンジンの燃焼器に空気を供給する過給機に取り付けられた空気吸込フィルタから塵埃を除去してフィルタを清浄化する洗浄装置であって、回転可能に軸支されたアームと、フィルタの裏面に沿って移動可能に前記アームに取り付けられたノズルと、このノズルに加圧ガスを供給する手段と、前記ノズルに洗浄液を供給する手段と、フィルタの表面に沿って前記ノズルに追従して移動可能に設けられてフィルタから離脱した異物を受ける塵受けと、を具備することを特徴とする過給機の空気吸込フィルタの洗浄装置。
【請求項2】 前記エアノズルは前記塵受けに向けて斜めにエアを吹き出す吹出孔を有し、この吹出孔からの吹出エアにより前記エアノズルおよび塵受けが回転推進力を付与されることを特徴とする請求項1記載の過給機空気吸込フィルタの洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶用エンジンの燃焼器に空気を供給する過給機に取り付けられた空気吸込フィルタから塵埃を除去してフィルタを清浄化する過給機の空気吸込フィルタの洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大型船舶の機関室にはタービンエンジンが設けられ、エンジンの燃焼器に過給機から多量の空気を取り込むようになっている。図1に示すように、機関1は圧縮機4の回転軸6を駆動するタービン5とスクリュウを駆動する出力タービン7とを備えており、図示しない燃焼器からの燃焼ガスにより圧縮機用タービン5と出力タービン7をそれぞれ回転させ、圧縮機用タービン5と同軸のインペラ41およびスクロール42を回転させることにより過給機2から圧縮機4に給気するようになっている。
【0003】過給機2に取り込まれた空気は、インペラ41およびスクロール42を回転させた後に図示しない熱交換器を経由して燃焼器に送られ、燃料を燃焼させ、燃焼ガスとなってガス入口8から内ケースのなかのタービン5,7を回転させた後にガス出口9を介して図示しない熱交換器に送られ、冷気と熱交換された後に外部に排気されるようになっている。
【0004】ところで、過給機2の空気吸込部21にはフィルタが取り付けられ、吸込み空気から異物を除去して清浄化するようにしているが、フィルタは多量の空気を濾過するために塵埃や油滴などの付着が著しく、頻繁に目詰まりを生じる。フィルタに目詰まりを生じると、過給機による吸気圧力が低下し、過給機のサージングや機関の出力低下など種々の問題を生じる。このような問題発生を未然に防止するために、マノメータ28を用いて過給機2の吸気圧力を検出することによりフィルタの目詰まり状態を常時監視し、吸気圧力が所定の閾値よりも低下したところで機関を停止する。そして、機関停止中にフィルタを過給機から取り外し、これを洗浄する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、大型船舶用機関の過給機は直径が1.5〜2mにも及び、フィルタを過給機から取り外す作業、これを洗浄する作業、再び取り付ける作業には多大な労力と時間を要するので、これにより機関停止期間が長引く。また、過給機の空気吸込フィルタに目詰まりを生じる度に機関を頻繁に停止すると、燃費などの運転コストが増大する。このため、機関を停止することなく、過給機の空気吸込フィルタを容易に洗浄することができる装置の開発・実用化が強く要望されている。
【0006】本発明は上記の課題を解決するためになされたものであって、フィルタを過給機本体から取り外すことなく機関運転中であっても簡易な作業によりフィルタを容易に清掃することができる過給機空気吸込フィルタの洗浄装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る過給機の空気吸込フィルタの洗浄装置は、船舶用エンジンの燃焼器に空気を供給する過給機に取り付けられた空気吸込フィルタから塵埃を除去してフィルタを清浄化する洗浄装置であって、回転可能に軸支されたアームと、フィルタの裏面に沿って移動可能に前記アームに取り付けられたノズルと、このノズルに加圧ガスを供給する手段と、前記ノズルに洗浄液を供給する手段と、フィルタの表面に沿って前記ノズルに追従して移動可能に設けられてフィルタから離脱した異物を受ける塵受けと、を具備することを特徴とする。
【0008】この場合に、エアノズルは塵受けに向けて斜めにエアを吹き出す吹出口を有し、この吹出口からの吹出エアによりエアノズルおよび塵受けが回転推進力を付与されることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照しながら本発明の種々の好ましい実施の形態について説明する。
【0010】図1に示すように、船舶用エンジンのガスタービン機関1には過給機2と圧縮機4が取り付けられている。このガスタービン機関1は圧縮機4の回転軸6を駆動するタービン5とスクリュウを駆動する出力タービン7とを備えた所謂二軸再生式の機関に該当し、図示しない燃焼器からの燃焼ガスにより圧縮機用タービン5と出力タービン7をそれぞれ回転させ、圧縮機用タービン5と同軸のインペラ41およびスクロール42を回転させることにより過給機2から圧縮機4に給気するようになっている。過給機2に取り込まれた空気は、インペラ41およびスクロール42を回転させた後に図示しない熱交換器を経由して燃焼器に送られ、燃料を燃焼させ、燃焼ガスとなってガス入口8から内ケースのなかのタービン5,7を回転させた後にガス出口9を介して図示しない熱交換器に送られ、冷気と熱交換された後に外部に排気される。
【0011】図2に示すように、過給機2の本体はドラム状のサイレンサからなり、その両側面は側板26により塞がれ、その外周に空気吸込部21が形成されている。空気吸込部21には消音機能を持つ構造が採用されている。この空気吸込部21を覆うようにフィルタ22が装着され、吸込み空気から塵埃や油滴が除去されるようになっている。
【0012】図3に示すように、フィルタ22は過給機2に着脱自在に装着されている。すなわち、帯状のフィルタ22は、その両端部がマジックテープ23で接着されて環状をなし、2本の締結バンド24により締め付けられている。また、フィルタ22の幅方向両端部は各側板26に図示しない部材を介してそれぞれ取り付けられている。なお、一方の側板26にはマノメータ28が取り付けられ、過給機2の内圧(吸込圧力)が常時検出されるようになっている。
【0013】図2および図4に示すように、手動式の洗浄装置3が過給機2に取り付けられ、捕捉された塵埃がフィルタ22から除去されるようになっている。洗浄装置3は、アーム31、ノズル32、吹出孔32a、塵受け33、連結バー34、エアホース35、ハンドル36および回転軸37を備えている。アーム31の一端部は回転軸37に連結支持され、回転軸37にはハンドル36が取り付けられている。アーム31の他端部にはノズル32が取り付けられている。ノズル32はパイプ状をなし、複数の吹出孔32aが外向きに開口している。ノズル32には加圧エア供給源(図示せず)および洗浄液供給源(図示せず)に接続されたエアホース35が連通している。ホース35を介してノズル32に加圧エアを供給すると、多数の吹出孔32aから加圧エアがフィルタ22の裏面に向けて吹き付けられるようになっている。
【0014】図4に示すように、ノズル32はフィルタ22と空気吸込部21との間に配置されており、ハンドル36を回すと、ノズル32がフィルタ22の裏面に沿って周回移動するようになっている。さらにノズル32には塵受け33が連結棒34により取り付けられ、ノズル32に追従して周回移動するようになっている。
【0015】図5に示すように、塵受け33は、フィルタ22の外側で、かつノズル32よりも少し回転下流側寄りに位置する。また、複数の吹出孔32aは、ノズル32の最外周部から少し回転下流側寄りに直列に並んで開口している。各吹出孔32aは塵受け33の凹部のほうに向いている。
【0016】次に、機関運転中に上記の洗浄装置3を用いて空気吸込フィルタ22を洗浄する場合について説明する。
【0017】マノメータ28により過給機2の吸込圧力を検出し、この検出圧力が所定の閾値を下回るようになったときに、ハンドル36をゆっくりと回しながら、ホース35を介してノズル32に加圧エアおよび洗浄液(例えば石鹸水)を供給する。これにより吹出孔32aから加圧エアで加速された洗浄液がフィルタ22の裏面に向けて吹き付けられ、洗浄液はフィルタ22を突き抜けてフィルタ22から異物(塵埃や油滴)を離脱させる。フィルタ22を離脱した異物は塵受け33により受けられる。
【0018】このときエア吹出力によりノズル32は図にて時計回りの回転力を付与されるので、洗浄開始時だけハンドル36を回せば、以後はエア吹出力のみで洗浄装置3を自動周回移動させることもできる。例えば、加圧エアの圧力を洗浄初期には小さくし、洗浄中期には圧力を増大させて洗浄装置3を自動周回移動させ、洗浄後期には圧力を低下させて洗浄装置3の周回移動を停止させる。
【0019】次いで、ハンドル36を回しながらホース35を介してノズル32に加圧エアのみを供給する。これにより吹出孔32aから加圧エアがフィルタ22に向けて吹き付けられ、洗浄液で濡らされたフィルタ22が乾燥する。なお、塵受け33の凹部に異物が溜まった場合は、適当な清掃具を用いて除去する。
【0020】上記実施形態ではサイレンサの外周部から中心部に向けて空気を吸込むタイプの過給機の場合について説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、サイレンサの軸方向に空気を吸込むタイプの過給機についても本発明の洗浄装置を適用してもよい。
【0021】また、上記実施形態ではノズルの吹出孔を一定方向に向けた場合について説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、ノズルの吹出孔の向きを変えることができるようにノズルをアームに取り付けるようにしてもよい。
【0022】また、上記実施形態では塵受けの凹部を一定方向に向けた場合について説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、塵受けの凹部の向きを変えることができるように塵受けを連結棒に取り付けるようにしてもよい。
【0023】上記実施形態の洗浄装置によれば、エア吹出力がノズルおよび塵受けの周回力に付加されるので、作業者はハンドルを回す力が軽減されるか、又はハンドルを全く回さなくともよくなり、洗浄作業の労力が大幅に軽減される。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、機関を停止させずに、運転中であってもフィルタを取り外すことなく簡便にフィルタを洗浄することができる。このため、機関停止の頻度を大幅に低減することができ、機関の運転稼働率が向上する。
【0025】とくに、定期点検時以外の機関運転中であっても簡易な作業のみによってフィルタから塵埃を除去することができるので、従来に比べてフィルタの洗浄頻度を多くすることができ、過給機からの給気不足によるサージングや出力低下など機関に及ぼす悪影響が大幅に低減する。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成12年1月18日(2000.1.18)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2001−200767(P2001−200767A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−9126(P2000−9126)