トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 気化器の燃料調整針弁の取付構造
【発明者】 【氏名】道山 祥明

【要約】 【課題】燃料調整針弁を気化器本体の振動から遮断し、燃料調整針弁の螺合部のガタによる先端ニードルの揺れを抑え、燃料調整針弁の螺合部の隙間からの空気洩れを防止し、燃料量の安定を保つようにする。

【解決手段】気化器本体1の壁面から内方へ順次内径が小さくなる段付円筒部と弁室4と出口通路3とを設ける。合成樹脂からなる弁ホルダ20の先端側の小径筒部21を段付円筒部の小径部5へ嵌合し、軸方向中央部の大径筒部24を段付円筒部の大径部6へ嵌合し、大径部6の基端側に金属製のスリーブ30を外嵌する。燃料調整針弁10の先端ニードル11を出口通路3へ挿入し、先端側のステム12を弁ホルダ20の小径筒部21の軸孔へ圧入し、ねじ軸部13を大径筒部24の軸孔のへねじ溝を切り込みながら螺合し、基端の軸部14を軸孔25の基端側に圧入する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】気化器本体の壁面から内方へ順次内径が小さくなる段付円筒部と弁室と出口通路とを設け、合成樹脂からなる弁ホルダの先端側の小径筒部を前記段付円筒部の小径部へ嵌合し、軸方向中央部の大径筒部を前記段付円筒部の大径部へ嵌合し、前記大径部の基端側に金属製のスリーブを外嵌し、燃料調整針弁の先端ニードルを前記出口通路へ挿入し、先端側のステムを前記弁ホルダの小径筒部の軸孔へ圧入し、ねじ軸部を前記大径筒部の軸孔のへねじ溝を切り込みながら螺合し、基端の軸部を前記大径筒部の軸孔の基端側に圧入したことを特徴とする、気化器の燃料調整針弁の取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は刈払い機、動力鋸などの携帯作業機に搭載される機関に適した膜型気化器、特に低速燃料系および/または高速燃料系の燃料量を調整する気化器の燃料調整針弁の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7に示すように、従来の気化器の燃料調整針弁50の取付構造を説明すると、吸気路41を有する気化器本体1の側壁部に、壁面から内方へ順にねじ孔46、円錐部45、円筒形の弁室44、出口通路43を設け、出口通路43を燃料噴孔42を経て吸気路41へ連通される。一方、燃料調整針弁50には工具溝を有する頭部58から順次外径が小さくなる、ねじ孔46へ螺合されるねじ軸部57、弁室44に嵌合される軸部53、弁室44の内径よりも小径の軸部52、出口通路43へ挿入される先端ニードル51を備えられる。燃料量は弁室44から出口通路43への先端ニードル51の突出量を加減して調整される。気化器本体1が機関から振動を受けると、燃料調整針弁50の螺合部が緩みを生じ、燃料量が変化するのを抑えるために、円錐部45にはOリング54がばね56の力により押し付けられる。ばね56はOリング54に当接するばね座55と、ねじ軸部57と軸部53の間の段部との間へ介装される。
【0003】上述した従来の気化器の燃料調整針弁の取付構造では、金属製の気化器本体1のねじ孔46へ金属製の燃料調整針弁50のねじ軸部57を螺合しているので、燃料調整針弁50が機関から気化器本体1を経て振動を受けると、燃料調整針弁50の螺合部や嵌合部の隙間から空気洩れが生じ、燃料量が不安定になることがある。また、燃料調整針弁50の回止めとしてコイルばね56を必要とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上述の問題に鑑み、燃料調整針弁を気化器本体の振動から遮断し、燃料調整針弁の螺合部のガタによる先端ニードルの揺れを抑え、燃料調整針弁の螺合部の隙間からの空気洩れを防止し、燃料量の安定を保つようにした気化器の燃料調整針弁の取付構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の構成は気化器本体の壁面から内方へ順次内径が小さくなる段付円筒部と弁室と出口通路とを設け、合成樹脂からなる弁ホルダの先端側の小径筒部を前記段付円筒部の小径部へ嵌合し、軸方向中央部の大径筒部を前記段付円筒部の大径部へ嵌合し、前記大径部の基端側に金属製のスリーブを外嵌し、燃料調整針弁の先端ニードルを前記出口通路へ挿入し、先端側のステムを前記弁ホルダの小径筒部の軸孔へ圧入し、ねじ軸部を前記大径筒部の軸孔のへねじ溝を切り込みながら螺合し、基端の軸部を前記大径筒部の軸孔の基端側に圧入したことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明ではアルミニウムなどからなる気化器本体の円筒部に、合成樹脂からなる弁ホルダを嵌合支持し、弁ホルダに設けた軸孔へ金属からなる燃料調整針弁のねじ軸部を螺合すると同時に、ねじ軸部よりも小径の先端側のステムとねじ軸部よりも大径の基端側の軸部とを弁ホルダの軸孔へそれぞれ圧入嵌合する。燃料調整針弁を螺動して弁室から出口通路へ突出する先端ニードルの突出量を加減し、弁室から出口通路へ流れる燃料量を加減する。
【0007】弁ホルダの基端側外周には金属製のスリーブが外嵌される。気化器本体の振動は弁ホルダにより緩和され、燃料調整針弁の揺れ、特に中心軸線と垂直な方向の揺れや傾きが抑えられる。弁ホルダと燃料調整針弁の圧入嵌合部に緩みがないので、外部から弁ホルダに対する燃料調整針弁の圧入嵌合部を経て弁室へ空気洩れが生じることがない。
【0008】気化器本体に嵌合した樹脂製の弁ホルダの軸孔にねじ溝を切り込みながら(セルフタツピング)、燃料調整針弁のねじ軸部を螺合することにより、先端ニードルのガタや振れが抑えられる。また、気化器本体に圧入嵌合された弁ホルダと燃料調整針弁の先端部との間には隙間がないので、空気洩れを起すこともない。
【0009】
【実施例】図1,2に示すように、アルミニウムなどの金属からなる気化器本体1は端壁1aに空気清浄器を結合され、端壁1bを断熱管を介して機関の吸気ポートへ結合される。気化器本体1から側方へ突出する突壁32に、断面楕円形の内空部8と、内空部8よりも小さい内空部7とが形成され、内空部7に高速燃料系の燃料調整針弁10の頭部15と、低速燃料系の燃料調整針弁10Aの頭部15が収容される。気化器本体1には内空部7の端壁面から内方へ順に、大径部6と小径部5からなる段付円筒部と、円筒形の弁室4と、出口通路3とが同軸に設けられ、出口通路3は通路2を経て、吸気路へ臨む高速燃料噴孔または低速燃料噴孔へ連通される。金属製の燃料調整針弁10と燃料調整針弁10Aとは、形状がほぼ同じであるので、図1には低速燃料系の燃料調整針弁10Aだけについて各部の符号を示し、高速燃料系の燃料調整針弁10については、これを装着する気化器本体1の各部の符号を示す。
【0010】合成樹脂からなる筒状の弁ホルダ20は、低速燃料系のものと高速燃料系のものとを独立に構成してもよいが、図3,4に示すように、各燃料系の弁ホルダ20が互いに接する接続部28により一体に成形される。このため、気化器本体1の高速燃料系と低速燃料系の各大径部6も互いに接する部分で連通される。弁ホルダ20は軸方向中央部に大径筒部24と軸孔25を形成され、円錐面23よりも先端側に軸孔22を有する短い小径筒部21を、大径筒部24よりも基端側に、軸孔25よりも僅かに大径の軸孔27を有する大径筒部24よりも小径の筒部26をそれぞれ形成される。前にも述べたように、基本的には弁ホルダ20は高速燃料系と低速燃料系に分離されてもよいが、大径筒部24が接する部分で互いに接続される。
【0011】図5に示すように、弁ホルダ20の筒部26には金属製のスリーブ30が外嵌される。スリーブ30の外径は大径筒部24よりも僅かに大きいことが好ましく、気化器本体1への装着の都合上、スリーブ30の端部は大径筒部24へ向かつて大径筒部24の外径よりも次第に小さくなるようにテーパ部30aを形成される。こうして、スリーブ30を装着された弁ホルダ20は、スリーブ30と大径筒部24を気化器本体1の大径部6へ嵌合されるとともに、円錐面23を気化器本体1の円錐部へ押し付けられ、さらに小径筒部21を小径部5へ嵌合される。
【0012】図1に示すように、燃料調整針弁10Aは工具溝16を有する頭部15から先端側へ順に外径が小さくなる軸部14、環状溝14a、ねじ軸部13、ステム12、先端ニードル11を形成される。燃料調整針弁10Aはねじ軸部13を軸孔25へ螺合しながら軸部14が軸孔27へ圧入され、ステム12を軸孔22から弁室4へ突出され、さらに先端ニードル11を弁室4から出口通路3へ突出される。軸孔25にはねじ溝がなく、燃料調整針弁10Aのねじ軸部13によりねじ溝を切り込みながら螺合される。先端ニードル11が出口通路3の適正な位置へ突出した時の軸部14の圧入部の緩みはスリーブ30により抑えられる。弁ホルダ20の小径筒部21はごく短いものであり、弁ホルダ20を大径部6へ嵌合する際に、弁ホルダ20が大径部6に対して同心性を保つように案内する。燃料調整針弁10も同様に弁ホルダ20を介して気化器本体1に装着される。
【0013】上述のように、燃料調整針弁10,10Aは気化器本体1に直接接触することはなく、ステム12と軸部14を弁ホルダ20の軸孔22,27に圧入して支持されるので、気化器本体1の振動が燃料調整針弁10,10Aへ伝わるのが緩和され、気化器本体1に対する燃料調整針弁10,10Aの径方向の振動、より詳しくは出口通路3に対する先端ニードル11の径方向の揺れが抑えられ、燃料量を安定なものにする。つまり、定圧燃料室から入口通路33(図2を参照)を経て弁室4へ入り、出口通路3、通路2を経て吸気路へ供給される燃料量が安定なものになる。ねじ軸部13が軸孔25へねじ溝を切りながら(セルフタツピング)螺合されるので、燃料調整針弁10,10Aの回止め効果が得られ、出口通路3と先端ニードル11との隙間の変化が抑えられる。また、弁室4と大径部6との間は円錐部と円錐面23との間で封止され、弁室4と軸孔25との間は軸孔22に対するステム12の圧入により封止されるので、空気洩れ(エアリーク)が生じる恐れがない。
【0014】
【発明の効果】本発明は上述のように、気化器本体の壁面から内方へ順次内径が小さくなる段付円筒部と弁室と出口通路とを設け、合成樹脂からなる弁ホルダの先端側の小径筒部を前記段付円筒部の小径部へ嵌合し、軸方向中央部の大径筒部を前記段付円筒部の大径部へ嵌合し、前記大径部の基端側に金属製のスリーブを外嵌し、燃料調整針弁の先端ニードルを前記出口通路へ挿入し、先端側のステムを前記弁ホルダの小径筒部の軸孔へ圧入し、ねじ軸部を前記大径筒部の軸孔のへねじ溝を切り込みながら螺合し、基端の軸部を前記大径筒部の軸孔の基端側に圧入したから、先端ニードルのガタと螺合部での空気洩れが抑えられ、安定した燃料量と実機性能が得られる。
【0015】弁ホルダは円錐面を気化器本体の円錐部へ押し付けられているので、外部から弁ホルダの円錐面と気化器本体の円錐部との間から弁室へ空気が洩れることもない。
【0016】燃料調整針弁は合成樹脂からなる弁ホルダの丸孔(ねじ孔ではない)へねじ溝を切り込みながら螺合されるので、螺合部に隙間(バツクラツシユ)がなく、燃料調整針弁の螺合部に緩み(回転による隙間)が生じることがなく、常に安定した燃料量が維持され、従来のコイルばね(図7のコイルばね55を参照)は不要になる。
【0017】金属製の気化器本体にねじ孔を加工する必要がないので、ねじ孔の加工による切粉などが弁室に残る恐れがなく、気化器本体に対するねじ孔加工と切粉の洗浄による除去などの工程を削減できる。
【出願人】 【識別番号】390008877
【氏名又は名称】株式会社日本ウォルブロー
【出願日】 平成12年1月19日(2000.1.19)
【代理人】 【識別番号】100075889
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊夫
【公開番号】 特開2001−200759(P2001−200759A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−9796(P2000−9796)