| 【発明の名称】 |
高圧燃料供給装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小島 進
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| 【要約】 |
【課題】機関始動時に定格吐出圧力での燃料吐出が可能な低圧ポンプを使用して蓄圧室内の燃料圧力を低圧ポンプの吐出圧より高く昇圧する増圧機構とを具備する高圧燃料供給装置において、機関始動後に高圧ポンプによって蓄圧室内の燃料圧力がさらに昇圧された時には、増圧機構へ低圧ポンプの吐出圧力が作用しなくても、蓄圧室から増圧機構を介して燃料が漏れることを防止する。
【解決手段】増圧機構は、蓄圧室2の一部を区画する一壁部2aに形成された穴部2bを貫通する小面積ピストン10aと、大面積ピストン10bと、大面積ピストンへ低圧ポンプ4の吐出圧力を提供するための燃料経路12とを有し、小面積ピストンは拡大部分10fを有し、拡大部分は、機関始動後において蓄圧室内の燃料圧力がさらに昇圧された時には、蓄圧室の一壁部に形成された対向シール部2cに当接させられ、一壁部に形成された穴部のシールが実現される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料噴射弁へ高圧燃料を供給するための蓄圧室と、前記蓄圧室へ高圧燃料を圧送するための高圧ポンプと、機関始動時からほぼ定格吐出圧力での燃料吐出が可能な低圧ポンプと、増圧機構とを具備し、前記増圧機構は、前記蓄圧室の一部を区画する一壁部に形成された穴部を貫通して前記蓄圧室の前記一部内への突出長が可変とされた小面積ピストンと、前記小面積ピストンを前記突出長が増加するように押圧するために前記蓄圧室の外側に位置する大面積ピストンと、前記大面積ピストンへ前記低圧ポンプの吐出圧力を作用させるための圧力室とを有し、前記増圧機構は、前記大面積ピストンに前記低圧ポンプの前記定格吐出圧力が作用した時に前記小面積ピストンに前記蓄圧室の目標高燃料圧力より低い所定圧力を発生させるものであり、前記小面積ピストンは、前記蓄圧室の前記一部内にシール部として機能する拡大部分を有し、前記拡大部分は、機関始動後において前記高圧ポンプにより前記蓄圧室内の燃料圧力が前記所定圧力より高くなった時には、前記小面積ピストンに作用する前記蓄圧室内の燃料圧力によって、前記蓄圧室の前記一壁部に形成された対向シール部に当接させられ、前記一壁部に形成された前記穴部のシールが実現されることを特徴とする高圧燃料供給装置。 【請求項2】 燃料噴射弁へ高圧燃料を供給するための蓄圧室と、前記蓄圧室へ高圧燃料を圧送するための高圧ポンプと、機関始動時からほぼ定格吐出圧力での燃料吐出が可能な低圧ポンプと、増圧機構とを具備し、前記増圧機構は、前記蓄圧室の一部を区画する一壁部に形成された穴部を貫通して前記蓄圧室の前記一部内への突出長が可変とされた小面積ピストンと、前記小面積ピストンを前記突出長が増加するように押圧するために前記蓄圧室の外側に位置する大面積ピストンと、前記大面積ピストンへ前記低圧ポンプの吐出圧力を作用させるための圧力室と、機関始動時には前記圧力室を前記低圧ポンプの吐出側に連通させ、機関始動後において前記高圧ポンプが正常に作動する時には前記圧力室を燃料タンクへ連通させる切換弁とを有し、前記小面積ピストンは、前記蓄圧室の前記一部内にシール部として機能する拡大部分を有し、前記拡大部分は、前記切換弁によって前記圧力室が前記燃料タンクへ連通させられた時には、前記小面積ピストンに作用する前記蓄圧室内の燃料圧力によって、前記蓄圧室の前記一壁部に形成された対向シール部に当接させられ、前記一壁部に形成された前記穴部のシールが実現されることを特徴とする高圧燃料供給装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関燃料噴射用の高圧燃料供給装置に関する。 【0002】 【従来の技術】内燃機関の気筒内へ直接的に燃料を噴射するには、各燃料噴射弁へ高圧燃料を供給することが必要であり、そのための高圧燃料供給装置が公知である。 【0003】一般的に、高圧燃料供給装置は、各燃料噴射弁へ通じる蓄圧室と、蓄圧室へ高圧燃料を圧送するための高圧ポンプと、高圧ポンプの燃料吸入を確実にするために高圧ポンプの吸入側と接続された低圧ポンプとを有している。一般的に、低圧ポンプは電気駆動式であり、機関始動時から定格吐出圧力での燃料圧送が可能であるが、高圧ポンプは機関駆動式であり、機関始動時には十分に駆動されずに良好に燃料を圧送することができない。 【0004】こうして、機関始動時には、蓄圧室内を低圧ポンプの定格吐出圧力(例えば、0.3MPa)に昇圧して、燃料噴射を開始することも種々提案されているが、この圧力は、通常時における蓄圧室内の目標高燃料圧力(例えば、12MPa)に比較して、非常に低い圧力であり、良好な燃料噴射を実現することは難しい。 【0005】この問題を解決するために、特開平5−321787号公報には、互いに軸線方向に連結された大径ピストン及び小径ピストンを有する増圧ポンプを使用し、機関始動時には、大径ピストンに低圧ポンプの吐出圧を作用させ、大径ピストン及び小径ピストンを軸線方向に移動させることにより、小径ピストンによって小径シリンダ内の燃料を大径ピストンと小径ピストンとの受圧面積比によって増圧し、この燃料を小径シリンダに連通する蓄圧室内へ圧送することにより、蓄圧室内を低圧ポンプの定格吐出圧力より高く昇圧することが提案されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術において、小径ピストンの先端部は先細の弁体として形成され、燃料圧送時におけるピストンの移動によって、この先端部を小径シリンダの底壁に形成された弁座に当接させることにより、蓄圧室側からの小径ピストンの受圧面積が減少し、機関始動後に高圧ポンプによって蓄圧室内がさらに昇圧されても大径ピストンに作用する低圧ポンプの吐出圧によって、増圧ポンプを介して蓄圧室内の燃料が漏れることを防止している。 【0007】しかしながら、機関始動後において、低圧ポンプの故障又は低圧ポンプから増圧ポンプまでの燃料配管等に異常が発生すると、小径ピストンの先端部によって蓄圧室のシールができなくなり、増圧ポンプを介して蓄圧室内の燃料が漏れ、蓄圧室内を目標高燃料圧力に維持できずに良好な燃料噴射が困難となる。 【0008】従って、本発明の目的は、高圧ポンプと、機関始動時からほぼ定格吐出圧力での燃料吐出が可能な低圧ポンプと、機関始動時に低圧ポンプの吐出圧を使用して蓄圧室内の燃料圧力を低圧ポンプの吐出圧より高く昇圧する増圧機構とを具備する高圧燃料供給装置において、機関始動後に高圧ポンプによって蓄圧室内の燃料圧力がさらに昇圧された時には、増圧機構へ低圧ポンプの吐出圧力が作用しなくても、蓄圧室から増圧機構を介して燃料が漏れることを防止可能とすることである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明による請求項1に記載の高圧燃料供給装置は、燃料噴射弁へ高圧燃料を供給するための蓄圧室と、前記蓄圧室へ高圧燃料を圧送するための高圧ポンプと、機関始動時からほぼ定格吐出圧力での燃料吐出が可能な低圧ポンプと、増圧機構とを具備し、前記増圧機構は、前記蓄圧室の一部を区画する一壁部に形成された穴部を貫通して前記蓄圧室の前記一部内への突出長が可変とされた小面積ピストンと、前記小面積ピストンを前記突出長が増加するように押圧するために前記蓄圧室の外側に位置する大面積ピストンと、前記大面積ピストンへ前記低圧ポンプの吐出圧力を作用させるための圧力室とを有し、前記増圧機構は、前記大面積ピストンに前記低圧ポンプの前記定格吐出圧力が作用した時に前記小面積ピストンに前記蓄圧室の目標高燃料圧力より低い所定圧力を発生させるものであり、前記小面積ピストンは、前記蓄圧室の前記一部内にシール部として機能する拡大部分を有し、前記拡大部分は、機関始動後において前記高圧ポンプにより前記蓄圧室内の燃料圧力が前記所定圧力より高くなった時には、前記小面積ピストンに作用する前記蓄圧室内の燃料圧力によって、前記蓄圧室の前記一壁部に形成された対向シール部に当接させられ、前記一壁部に形成された前記穴部のシールが実現されることを特徴とする。 【0010】また、本発明による請求項2に記載の高圧燃料供給装置は、燃料噴射弁へ高圧燃料を供給するための蓄圧室と、前記蓄圧室へ高圧燃料を圧送するための高圧ポンプと、機関始動時からほぼ定格吐出圧力での燃料吐出が可能な低圧ポンプと、増圧機構とを具備し、前記増圧機構は、前記蓄圧室の一部を区画する一壁部に形成された穴部を貫通して前記蓄圧室の前記一部内への突出長が可変とされた小面積ピストンと、前記小面積ピストンを前記突出長が増加するように押圧するために前記蓄圧室の外側に位置する大面積ピストンと、前記大面積ピストンへ前記低圧ポンプの吐出圧力を作用させるための圧力室と、機関始動時には前記圧力室を前記低圧ポンプの吐出側に連通させ、機関始動後において前記高圧ポンプが正常に作動する時には前記圧力室を燃料タンクへ連通させる切換弁とを有し、前記小面積ピストンは、前記蓄圧室の前記一部内にシール部として機能する拡大部分を有し、前記拡大部分は、前記切換弁によって前記圧力室が前記燃料タンクへ連通させられた時には、前記小面積ピストンに作用する前記蓄圧室内の燃料圧力によって、前記蓄圧室の前記一壁部に形成された対向シール部に当接させられ、前記一壁部に形成された前記穴部のシールが実現されることを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】図1は、本発明による内燃機関燃料噴射用の高圧燃料供給装置の実施形態を示す概略図である。内燃機関は四気筒であるとして以下に説明するが、これは本発明を限定するものではない。図1において、1は各気筒毎に配置された四つの燃料噴射弁であり、2は各燃料噴射弁1へ高圧の燃料を供給するための蓄圧室である。蓄圧室2には、蓄圧室2内の燃料圧力を検出するための圧力センサ5が設けられている。燃料噴射弁1は、噴孔を開閉するための弁体と、弁体を開弁方向に吸引するソレノイドとを有している。弁体にはバネ力及び蓄圧室2内の燃料圧力が閉弁方向に作用しており、ソレノイドが消磁されている時には確実な閉弁が保証され燃料噴射が停止される。ソレノイドが励磁されれば、ソレノイドは、弁体をバネ力及び燃料圧力に逆らって開弁方向に吸引し、燃料噴射が実施される。 【0012】3は燃料タンクであり、燃料タンク3内には低圧ポンプ4が配置されている。低圧ポンプ4は、バッテリにより駆動される電気式ポンプであり、例えば、0.3MPaの定格吐出圧力を有している。低圧ポンプ4は、スタータスイッチのオン信号と同時に作動される。低圧ポンプ4の吸入側には、燃料タンク3から燃料を吸入する際の異物を除去するためのフィルタ(図示せず)が設けられている。 【0013】また、7は、蓄圧室2内の燃料圧力を、例えば、12MPaの目標高燃料圧力近傍に維持するための高圧ポンプである。この高圧ポンプ7は、クランクシャフトに連結されたカムによって駆動されるプランジャを有して燃料を圧送する機関駆動式である。本実施形態において、二つの気筒の燃料噴射毎に高圧ポンプ7の吐出行程がもたらされるようになっている。 【0014】高圧ポンプ7の吐出側は高圧配管8によって蓄圧室2へ接続され、高圧ポンプ7の吸入側は低圧配管9によって低圧ポンプ4の吐出側へ接続されている。こうして、高圧ポンプ7の吸入行程において低圧配管9から吸入される燃料は、低圧ポンプ4により前述のように0.3MPaに昇圧されているために、負圧に伴う燃料ベーパを発生し難くしている。 【0015】高圧ポンプ7は、蓄圧室2内の燃料圧力が目標高燃料圧力となるように必要な燃料を調量して圧送するものであり、プランジャによって吐出される全燃料のうちで不必要な分の燃料は低圧配管9を介して燃料タンク3へ戻される。この時、高圧の燃料が低圧ポンプ4内を逆流することは、あまり好ましくなく、低圧ポンプ4の定格吐出圧力を僅かに越える圧力で開弁するリリーフ弁を介して低圧配管9を燃料タンク3へ連通させるようにしても良い。 【0016】また、高圧ポンプ7は、燃料を調量せずに、プランジャによって吐出される燃料の全てを常に蓄圧室2へ圧送するようにしても良い。この場合には、蓄圧室2と燃料タンク3とは、目標高燃料圧力を僅かに越える燃料圧力で開弁するリリーフ弁を介して連通される。 【0017】こうして、いずれの場合にも、機関始動後において高圧ポンプ7が良好に作動すれば、蓄圧室2内を目標高燃料圧力近傍に維持することができ、燃料噴射弁1を介して良好な燃料噴射が実現される。しかしながら、機関始動時には、ほぼ大気圧まで低下している蓄圧室2内の燃料圧力を早期に昇圧しなければならないのに、高圧ポンプ7は、機関駆動式であるために、スタータモータによる機関低回転では良好に作動せず、蓄圧室2内を昇圧することができない。 【0018】この一方で、低圧ポンプ4は電気駆動式であり、機関始動時にも良好に作動可能であり、定格吐出圧力で燃料を圧送することができる。それにより、蓄圧室2内を早期に低圧ポンプ4の定格吐出圧力とすることは可能であるが、前述したように、低圧ポンプ4の定格吐出圧力は、目標高燃料圧力に比較して非常に低く、所望噴霧形態での燃料噴射が困難であるだけでなく、必要量の燃料を噴射するのに燃料噴射弁1の開弁時間が長くなり、所望時期での燃料噴射も困難となる。 【0019】本実施形態の高圧燃料供給装置は、このような機関始動時において、蓄圧室2内の燃料圧力を低圧ポンプ4の定格吐出圧力より高く昇圧するために、増圧機構10を有している。増圧機構10は、蓄圧室2を区画する圧肉の一壁部2aに形成された穴部2b貫通して蓄圧室2内への突出長を可変とされた小面積ピストン10aを有している。小面積ピストン10aは、穴部2bの直径より僅かに小さな直径を有する一様な円形断面を有し、穴部2bに対して摺動する。増圧機構10は、さらに、小面積ピストン10aを突出長が増加するように押圧するために、蓄圧室2の外側に位置して小面積ピストン10aの一様円形断面より大きな一様断面積を有する大面積ピストン10bを有している。 【0020】大面積ピストン10bを摺動させるためのシリンダ10cが、前述の一壁部2aと一体的に形成されている。小面積ピストン10a及びそれが摺動する穴部2bと大面積ピストン10b及びそれが摺動するシリンダ10cとは、それぞれ円形断面を有するものとしたが、もちろん、それぞれの摺動を可能とすれば、任意の断面形状としても良い。大面積ピストン10bは、軽量化のために、小面積ピストン10a側において同心円柱状にくり貫かれ、それにより形成された底部に小面積ピストン10aの端面が接続されている。詳しくは後述するが、大面積ピストン10bは、小面積ピストン10aを押圧することだけに機能するために、大面積ピストン10bと小面積ピストン10とは一体的に接続しなくても互いに当接させるだけでも良い。このように非接続することにより、大面積ピストン10bが摺動するシリンダ10cの中心軸線と、小面積ピストン10aが摺動する穴部2bの中心軸線とは、互いに平行であれば、特に一致させる必要はなく、シリンダ10c及び穴部2bの機械加工を容易にすることができる。 【0021】シリンダ10c内の空間は、大面積ピストン10bによって二分され、小面積ピストン10a側の一方の空間10dは大気室であり、他方の空間10eは圧力室となる。大気室10dは、戻し配管11によって燃料タンク3へ通じている。一方、圧力室10eは、分岐管12によって低圧配管9へ通じている。分岐管12には、燃料タンク3へ通じる配管を有する切換弁13が配置され、切換弁13は、第一切換位置において圧力室10eを低圧配管9へ連通させ、第二切換位置において圧力室10eを燃料タンク3へ連通させるものである。 【0022】このように構成された高圧燃料供給装置は、機関始動時において、切換弁13を第一切換位置として、低圧ポンプ4の定格吐出圧力を分岐管12を介して圧力室10eに作用させ、図2に示すように、大面積ピストン10bは、瞬間的に小面積ピストン10aを押圧移動させる。それにより、小面積ピストン10aの蓄圧室2内への突出長が増加し、その分、蓄圧室2の容積が減少するために、蓄圧室2内の燃料は圧縮され、燃料圧力を、低圧ポンプ4の吐出圧力に大面積ピストン10bの断面積と小面積ピストン10aの断面積との面積比を乗じた所定圧力(例えば、4MPa)、すなわち、低圧ポンプ4の定格吐出圧力をかなり上回る圧力に昇圧することができる。こうして、機関始動時において良好な燃料噴射を実現することが可能となる。 【0023】本実施形態において、小面積ピストン10aと穴部2bとの間及び大面積ピストン10bとシリンダ10cとの間には、摺動に際して大きな摩擦力を与えるシール部材は配置されておらず、それにより、機関始動時において圧力室10e内に圧力が作用すると、小面積ピストン10aは瞬間的に押圧移動されて蓄圧室2内の燃料圧力が前述の所定圧力に昇圧されるために、早期に燃料噴射を開始することができる。 【0024】しかしながら、こうしてシール部材が省略されているために、圧力室10e内の燃料が大面積ピストン10bとシリンダ10cとの間の隙間から大気室10dへ漏れることが考えられるが、圧力室10e内は低圧ポンプ4の定格吐出圧力であり、低圧であるために、この隙間を適当に選択することにより、このような燃料漏れはほとんど発生しない。また、昇圧によって蓄圧室2内の燃料が小面積ピストン10aと穴部2bとの間の隙間から大気室10dへ漏れることも考えられるが、この時の所定圧力は、蓄圧室2の目標高燃料圧力に比較して低く、この隙間を適当に選択することで、燃料漏れをほとんど発生させないようにすることは可能である。 【0025】仮に、圧力室10e及び蓄圧室2から大気室10dへ僅かな燃料漏れが発生したとしても、大気室10dは、戻し管11によって燃料タンク3へ通じており、漏れ燃料は、重力によって燃料タンク3へ戻され、特に問題が発生することはない。 【0026】しかしながら、機関始動後に高圧ポンプ7が正常に作動して、蓄圧室2内の燃料圧力が非常に高圧な目標高燃料圧力近傍となると、シールなしでは、小面積ピストン10aと穴部2bとの間の隙間から確実に燃料漏れが発生することとなり、これを防止する必要がある。本実施形態では、蓄圧室2内に位置する小面積ピストン10aの端部に、同心的で切頭円錐形状の拡大部分10fが設けられている。図3は、この拡大部分10f近傍の拡大断面図であり、同図に示すように、拡大部分10fには、軸線回りの溝10f’が形成され、この溝10f’にはOリング10gが嵌装されている。一方、穴部2bが形成された蓄圧室2の一壁部2aは、穴部2bに対して同心的で拡大部分10fと同様な切頭円錐形状の内壁面2cを有している。 【0027】蓄圧室2内の燃料圧力が目標高燃料圧力となると、小面積ピストン10aは大面積ピストン10bに作用する圧力に逆らって、押し戻されることなるが、この時、図3に示すように、Oリング10gは圧縮されて、一壁部2aの内壁面2cに密着すると共に、拡大部分10fの溝10f’全体に密着する。こうして、穴部2bのシールが実現され、前述の燃料漏れを防止することを可能とする。 【0028】本実施形態では、大面積ピストン10bと小面積ピストン10aの面積比は、大面積ピストン10bに低圧ピストン4の定格吐出圧力が作用した時に、小面積ピストン10aには蓄圧室2の目標高燃料圧力より低い所定圧力が作用して釣り合うように設定されている。それにより、高圧ポンプ7によって蓄圧室2内が、この所定圧力より高くなった時点で、小面積ピストン10aは押し戻され、蓄圧室2のシールが保証される。こうして、蓄圧室2内が目標高燃料圧力近傍となれば、蓄圧室2のさらに完全なシールを保証することができる。 【0029】また、本実施形態において、圧力室10eへ低圧ポンプ4の定格吐出圧力を提供するための分岐管12には、切換弁13が設けられており、機関始動後において、高圧ポンプ7が正常に動作する時には、切換弁13を第二切換位置として、圧力室10eを燃料タンク3へ連通するようにしても良い。それにより、圧力室10e内が低圧ポンプ4の定格吐出圧力より低い大気圧となるために、蓄圧室2内が前述の所定圧力より低い圧力であっても大気圧より高ければ、蓄圧室2のシールが保証され、蓄圧室2内が目標高燃料圧力となる時には、さらに完全な蓄圧室2のシールが保証される。 【0030】本実施形態において、大面積ピストン10bと小面積ピストン10aとの面積比は、大面積ピストン10bに低圧ポンプ4の定格吐出圧力が作用した時に蓄圧室2内が目標高燃料圧力より低い所定圧力となるようにしたが、機関始動時の燃料噴射をさらに良好にするためには、面積比を大きくして所定圧力を目標高燃料圧力へ近づけることが好ましい。 【0031】機関始動後において高圧ポンプが正常に作動しても、例えば、燃料噴射直後等に蓄圧室2内の燃料圧力が目標高燃料圧力をある程度下回ることがあり、この時に、前述の所定圧力を高く設定していると、この所定圧力も下回る可能性がある。本実施形態において、所定圧力が目標高燃料圧力に対して十分に低く設定されていれば、このような可能性はなくなり、前述の切換弁13を特に設けずに圧力室10eに常に低圧ポンプ4の吐出圧力を作用させても、小面積ピストン10aは蓄圧室2内の燃料圧力によって押し戻され、蓄圧室2のシールを保証することができる。 【0032】しかしながら、このような構成では、前述のように所定圧力を高く設定したことで蓄圧室2内の燃料圧力が所定圧力を下回る際に、小面積ピストン10aは大面積ピストン10bによって押し込まれ、蓄圧室2のシールを保証できずに穴部2aを介しての燃料漏れが発生することとなる。しかしながら、機関始動後に切換弁13によって圧力室10e内を大気圧とすれば、大面積ピストン10bには押圧力が全く作用せず、蓄圧室2内の燃料圧力が所定圧力を下回っても小面積ピストン10aが押し込まれることはなく、蓄圧室2のシールを保証することができる。こうして、機関始動後に切換弁13によって圧力室10e内を大気圧にすることにより、機関始動時において蓄圧室2内を目標高燃料圧力まで高めて燃料噴射をさらに良好にすることもできる。 【0033】このように、本実施形態は、機関始動後において、圧力室10e内を大気圧へ低下させることにより、蓄圧室2のシールはさらに良好となるために、低圧ポンプの故障又は低圧ポンプから増圧ポンプまでの燃料配管等に異常が発生しても蓄圧室2のシール性に問題が発生することはなく、蓄圧室内を目標高燃料圧力近傍に維持することができる。 【0034】図4は、小面積ピストンの拡大部分の変形例を示す図3に相当する断面図である。この小面積ピストン100aの拡大部分100fは、軸線方向中央部100f’が外方向に突出するように、それぞれ同心的で連続する二つの切頭円錐形状から構成されており、この中央部100f’が前述のOリングに相当する金属シールとなり、蓄圧室2内の燃料圧力によって小面積ピストン100aが押し戻される時に、蓄圧室2の一壁部2aの内壁面2cに当接して穴部2bのシールが実現するようになっている。 【0035】また、図5は、小面積ピストンの拡大部分のもう一つの変形例を示す図3に相当する断面図である。この小面積ピストン200aの拡大部分200fは、同心的な円柱形状を有し、小面積ピストン200a側の環状端面に環状の溝200f’が形成され、この溝200f’にOリング200gが嵌装されている。また、穴部2bが形成された蓄圧室2の一壁部2aの内壁面20cは、環状垂直面である。このような構成によっても、蓄圧室2内の燃料圧力によって小面積ピストン200aが押し戻される時に、Oリング200gは圧縮されて、一壁部2aの内壁面20cに密着すると共に、拡大部分200fの溝200f’全体に密着し、穴部2bのシールが実現可能である。 【0036】前述した実施形態において、小面積ピストン10aは、蓄圧室2を区画する一壁部を貫通するようにしたが、もちろん、蓄圧室2に連通する別室を区画する一壁部を貫通させて、機関始動時においてこの別室を介して蓄圧室2内の燃料圧力を昇圧するようにしても良い。この場合において、この別室は蓄圧室2の一部と考えることができ、いずれにしても、小面積ピストン10aを蓄圧室2の一部を区画する一壁部を貫通させることにより、機関始動時において蓄圧室の昇圧が可能となる。 【0037】 【発明の効果】このように、本発明による高圧燃料供給装置は、増圧機構を具備し、この増圧機構は、蓄圧室の一部を区画する一壁部に形成された穴部を貫通して蓄圧室の一部内への突出長が可変とされた小面積ピストンと、小面積ピストンを突出長が増加するように押圧するために蓄圧室の外側に位置する大面積ピストンと、大面積ピストンへ低圧ポンプの吐出圧力を作用させるための圧力室とを有し、増圧機構は、大面積ピストンに低圧ポンプの定格吐出圧力が作用した時に小面積ピストンに蓄圧室の目標高燃料圧力より低い所定圧力を発生させるものであり、小面積ピストンは、蓄圧室の一部内にシール部として機能する拡大部分を有し、拡大部分は、機関始動後において高圧ポンプにより蓄圧室内の燃料圧力が所定圧力より高くなった時には、小面積ピストンに作用する蓄圧室内の燃料圧力によって、蓄圧室の一壁部に形成された対向シール部に当接させられ、一壁部に形成された穴部のシールが実現されるようになっている。それにより、機関始動後において低圧ポンプの故障等によって増圧機構へ低圧ポンプの吐出圧力が作用しない場合には、蓄圧室内と圧力室内との差圧が大きくなって、小面積ピストンの拡大部分は、さらに強い力によって蓄圧室の一壁部に形成された対向シール部に当接されられ、蓄圧室から増圧機構を介して燃料が漏れることはない。 【0038】また、本発明によるもう一つの高圧燃料供給装置は、増圧機構を具備し、この増圧機構は、蓄圧室の一部を区画する一壁部に形成された穴部を貫通して蓄圧室の一部内への突出長が可変とされた小面積ピストンと、小面積ピストンを突出長が増加するように押圧するために蓄圧室の外側に位置する大面積ピストンと、大面積ピストンへ低圧ポンプの吐出圧力を作用させるための圧力室と、機関始動時には圧力室を低圧ポンプの吐出側に連通させ、機関始動後において高圧ポンプが正常に作動する時には圧力室を燃料タンクへ連通させる切換弁とを有し、小面積ピストンは、蓄圧室の一部内にシール部として機能する拡大部分を有し、拡大部分は、切換弁によって圧力室が燃料タンクへ連通させられた時には、小面積ピストンに作用する蓄圧室内の燃料圧力によって、蓄圧室の一壁部に形成された対向シール部に当接させられ、一壁部に形成された穴部のシールが実現されるようになっている。それにより、機関始動後には、もともと増圧機構へ低圧ポンプの吐出圧力が作用しないようになっており、低圧ポンプの故障等が発生しても蓄圧室から増圧機構を介して燃料が漏れることはない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月27日(1999.12.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−182639(P2001−182639A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−371251 |
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