| 【発明の名称】 |
気体燃料のエンジン制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 正博
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| 【要約】 |
【課題】気体燃料の噴射を行い燃料噴射弁の異常状態を早期かつ正確に検知し、エンジン制御システムの信頼性の向上を図ることができるエンジン制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン運転状態検出手段、気体燃料の燃料状態検出手段、及びエンジン排気状態検出手段からの各検出信号に基づいて、燃料噴射弁に燃料噴射量及び噴射時期を出力する燃料噴射弁駆動手段を備えた気体燃料のエンジン制御装置であって、前記燃料噴射弁の異常を判定する燃料噴射弁異常判定手段を備え、該燃料噴射弁異常判定手段は、前記燃料噴射弁の冷却系異常を監視する信号結線状態監視手段と、前記燃料噴射弁の洗浄系異常を監視する気体燃料状態監視手段と、前記燃料噴射弁の潤滑性能異常を監視する空燃比補正状態監視手段と、前記各監視手段の監視結果に基づいて前記燃料噴射弁の異常状態を検出する燃料噴射弁異常状態検出手段とを備えてなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン運転状態検出手段、気体燃料の燃料状態検出手段、及びエンジン排気状態検出手段からの各検出信号に基づいて、燃料噴射弁に燃料噴射量及び噴射時期を出力する燃料噴射弁駆動手段を備えた気体燃料のエンジン制御装置において、該エンジン制御装置は、前記燃料噴射弁の異常を判定する燃料噴射弁異常判定手段を備え、該燃料噴射弁異常判定手段は、前記燃料噴射弁の冷却系異常を監視する信号結線状態監視手段と、前記燃料噴射弁の洗浄系異常を監視する気体燃料状態監視手段と、前記燃料噴射弁の潤滑性能異常を監視する空燃比補正状態監視手段と、前記各監視手段の監視結果に基づいて前記燃料噴射弁の異常状態を検出する燃料噴射弁異常状態検出手段とを備えていることを特徴とする気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項2】 前記燃料噴射弁異常判定手段は、前記各監視手段の監視結果に基づいて前記燃料噴射弁の異常モードを特定する異常モード特定手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項3】 前記信号結線状態監視手段は、前記燃料噴射弁の断線による異常を監視していることを特徴とする請求項1又は2記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項4】 前記信号結線状態監視手段は、前記燃料噴射弁駆動手段と前記燃料噴射弁との信号の結線状態に基づいて該燃料噴射弁の異常を監視していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項5】 前記信号結線状態監視手段は、前記燃料噴射弁の電気特性から該燃料噴射弁の異常を監視していることを特徴とする請求項4記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項6】 前記気体燃料状態監視手段は、前記気体燃料の圧力状態又は温度状態に基づいて前記燃料噴射弁の洗浄系異常を監視していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項7】 前記気体燃料状態監視手段は、前記燃料噴射弁内に供給される直前の燃料圧力を監視していることを特徴とする請求項6記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項8】 前記気体燃料状態監視手段は、前記燃料噴射弁による燃料噴射終了から所定時間経過後における燃料圧力を監視していることを特徴とする請求項7記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項9】 前記気体燃料状態監視手段は、前記燃料噴射弁に対する燃料供給が停止されている場合には、前記燃料圧力の監視を中止することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項10】 前記気体燃料状態監視手段は、前記燃料噴射弁を備えた各気筒毎に燃料圧力を監視していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項11】 前記気体燃料状態監視手段は、前記燃料噴射弁に対する燃料圧力を平滑化し、第一の燃料圧力と第二の燃料圧力とを算出していることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項12】 前記気体燃料状態監視手段は、前記第一の燃料圧力に対する平滑割合を前記第二の燃料圧力に対する平滑割合よりも大きくしていることを特徴とする請求項11記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項13】 前記気体燃料状態監視手段は、前記第一の燃料圧力と前記第二の燃料圧力とを比較して燃料圧力を監視していることを特徴とする請求項11又は12記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項14】 前記気体燃料状態監視手段は、前記第一の燃料圧力と前記第二の燃料圧力との圧力差を算出し、該圧力差と所定値とを比較して燃料圧力を監視することを特徴とする請求項11又は12記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項15】 前記気体燃料状態監視手段は、前記第一の燃料圧力に所定値を付加して判定基準値とし、該判定基準値と前記第二の燃料圧力とを比較して燃料圧力を監視することを特徴とする請求項11又は12記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項16】 前記気体燃料状態監視手段は、前記燃料噴射弁に対する燃料圧力に燃料温度による平準化処理を行うことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項17】 前記空燃比補正状態監視手段は、前記空燃比の補正値から前記燃料噴射弁の潤滑性能異常を監視していることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項18】 前記空燃比補正状態監視手段は、前記空燃比補正係数が、前記エンジン排気状態検出手段の検出信号に基づいて算出された一次空燃比補正係数と、該一次空燃比補正係数の学習値として算出された二次空燃比補正係数とからなり、該二次空燃比補正係数に基づいて空燃比補正を監視していることを特徴とする請求項17記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項19】 前記空燃比補正状態監視手段は、アイドル運転状態を含んだ前記二次空燃比補正係数と、前記燃料噴射弁の噴射特性の切片成分とを比較して空燃比補正を監視することを特徴とする請求項18記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項20】 前記空燃比補正状態監視手段は、各運転状態毎に演算された前記二次空燃比補正係数と、前記燃料噴射弁の噴射特性の傾き成分とを比較して空燃比補正を監視していることを特徴とする請求項18又は19記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項21】 前記エンジン制御装置は、前記燃料噴射弁異常状態検出手段が前記燃料噴射弁の異常を検出し、かつ、車両が停止状態にある場合には、前記燃料噴射弁に対する燃料供給を停止することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項22】 前記エンジン制御装置は、前記燃料噴射弁異常状態検出手段が前記燃料噴射弁の異常を検出した場合には、異常警告手段を介して運転者に該燃料噴射弁の異常を知らせることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項23】 前記エンジン制御装置は、前記燃料噴射弁異常状態検出手段が異常な燃料噴射弁を備える気筒を識別した場合には、該燃料噴射弁に対する燃料供給を停止することを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項24】 前記エンジン制御装置は、前記燃料噴射弁の異常状態を検出履歴として保存するとともに、該燃料噴射弁の異常検出履歴を外部診断装置に出力することを特徴とする請求項1乃至23のいずれか一項に記載の気体燃料のエンジン制御装置。 【請求項25】 前記エンジン制御装置は、前記外部診断装置からの出力信号に基づいて前記燃料噴射弁の異常検出履歴を消去することを特徴とする請求項24記載の気体燃料のエンジン制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン燃料に気体燃料を用いたエンジン制御装置に係り、特に、気体燃料を噴射する燃料噴射弁の異常状態を検出するエンジン制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車を取り巻く環境保護要求は、排気ガス規制及び燃費規制等を始めとして強化の一途を辿っており、また、現在の主なエンジン用燃料であるガソリン及び軽油等の液体燃料は、その埋蔵量の制限により、燃料の供給不足、燃料価格の高騰等が懸念されていることから、代替エネルギーの開発が急速に行われている。 【0003】この代替エネルギーを利用した自動車には、電気を燃料とした電気自動車、電気と液体とを燃料としたハイブリット自動車、アルコール若しくはガス(天然ガス、プロパンガス、水素ガス等)を燃料としたガス自動車等が挙げられ、そのうち、天然ガス自動車は、メタンガスを主成分とした燃料を使用しているため、排気ガス排出量を従来の液体燃料自動車に比べて低減させることができ、さらに、燃料供給設備等のインフラ面及びコスト面においても他の自動車に比べて有利な点が多いものである。 【0004】一方、この天然ガス等の気体燃料を用いた自動車は、前述のように、液体燃料を用いた自動車に比して利点が多いものの、該燃料噴射弁(インジェクタ)には、■気体の冷却能力の不足による電磁コイルの電気特性の変化及び発熱による断線が生ずること、■気体燃料中の異物等による噴射口の閉塞が生ずること、並びに■潤滑能力の不足による流量特性の変化及び閉弁時の気密性悪化を含む経時劣化が生ずること、という気体燃料用のインジェクタ特有の問題があり、この特有の問題は、特性が徐々に変化するという特徴を有するものである。また、インジェクタ一般の問題として、■インジェクタ駆動回路を含む駆動系故障及び電気的断線が生ずる場合もある。 【0005】この場合に、前記故障を検出するための電気結線の監視、失火状態の監視、空燃比補正値の絶対値の監視は、従来においても行われているが、例えば、噴射しない、失火した、空燃比に異常が生じた等の大きな異常に至るまで故障の検出をすることができず、これを解決するために、インジェクタ自体の構造及び材質を改良してその品質保証を行って故障を低減させる気体燃料用の燃料噴射弁の技術が各種提案されている(例えば、特開平07−229578号公報、特開平09−303207号公報等参照)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、前記排気ガス規制及び燃費規制等の環境保護要求の下では、液体(ガソリン)燃料用のエンジンに、マルチポイントインジェクションシステム(MPI)化した燃料噴射方式が採られている。該噴射方式は、各気筒独立に燃料を噴射するものであり、これにより最適空燃比制御が可能になり、排気ガス性能、燃費性能、動力性能、及び運転性等の向上を図ることができるものである。 【0007】ここで、該噴射方式の液体燃料用のエンジン制御システムが、前記天然ガス自動車に流用できることを鑑みると、該天然ガス自動車は、前記環境保護要求に対応させることができるとともに、その製造コストの抑制をも図ることができることから、天然ガス自動車に対する期待は、今後さらに大きくなるとされている。 【0008】しかし、前記MPI化した燃料噴射方式においては、インジェクタの異常が排気に即座に影響を及ぼすので、インジェクタの信頼性を確保することが必須事項であり、特に、前記環境保護要求の下においては、前記インジェクタの異常状態は、早期かつ正確にエンジンの過渡的な状態で検出する必要がある。これに対し、前記の従来の技術は、インジェクタ自体の品質保証を行っており、前記インジェクタの異常状態の検出を行ってエンジンを制御することで、万一、インジェクタに異常が生じた場合にも対処できるようにするという点については、いずれも格別の配慮がなされていないものである。 【0009】本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、気体燃料の噴射を行う燃料噴射弁の異常状態を早期かつ正確に検知し、エンジン制御システムの信頼性の向上を図ることができるエンジン制御装置を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、本発明に係る気体燃料のエンジン制御装置は、エンジン運転状態検出手段、気体燃料の燃料状態検出手段、及びエンジン排気状態検出手段からの各検出信号に基づいて、燃料噴射弁に燃料噴射量及び噴射時期を出力する燃料噴射弁駆動手段を備え、該エンジン制御装置は、前記燃料噴射弁の異常を判定する燃料噴射弁異常判定手段を備え、該燃料噴射弁異常判定手段は、前記燃料噴射弁の冷却系異常を監視する信号結線状態監視手段と、前記燃料噴射弁の洗浄系異常を監視する気体燃料状態監視手段と、前記燃料噴射弁の潤滑性能異常を監視する空燃比補正状態監視手段と、前記各監視手段の監視結果に基づいて前記燃料噴射弁の異常状態を検出する燃料噴射弁異常状態検出手段を備えていることを特徴としている。 【0011】前記の如く構成された本発明の気体燃料のエンジン制御装置は、燃料噴射弁異常判定手段が、燃料噴射弁に出力される燃料噴射量及び噴射時期等の基本となる信号結線状態、燃料状態、及び空燃比補正状態の監視結果に基づいて、燃料噴射弁の結線異常、冷却系異常、洗浄系異常、潤滑性能異常を検出することができるので、エンジンの過渡的な状態における異常状態の正確な検出が可能になり、環境保護要求の強化の下においてもエンジン制御システムの信頼性の向上を図ることができる。 【0012】また、本発明に係る気体燃料のエンジン制御装置の具体的態様は、前記燃料噴射弁異常判定手段は、前記各監視手段の監視結果に基づいて前記燃料噴射弁の異常モードを特定する異常モード特定手段を備えていること、又は前記信号結線状態監視手段は、前記燃料噴射弁駆動手段と前記燃料噴射弁との信号の結線状態に基づいて該燃料噴射弁の断線及び/又は冷却系異常を監視していること、前記気体燃料状態監視手段は、前記気体燃料の圧力状態又は温度状態から前記燃料噴射弁の洗浄系異常を監視すること、若しくは前記空燃比補正状態監視手段は、前記空燃比の補正値から前記燃料噴射弁の潤滑性能異常を監視することを特徴としている。 【0013】さらに、本発明に係る気体燃料のエンジン制御装置の他の具体的態様は、前記信号結線状態監視手段は、前記燃料噴射弁の電気特性から該燃料噴射弁の断線及び/又は冷却系異常を監視すること、又は前記気体燃料状態監視手段は、前記燃料噴射弁内に供給される直前の燃料圧力を監視していること、前記燃料噴射弁による燃料噴射終了から所定時間経過後における燃料圧力を監視していること、前記燃料噴射弁に対する燃料がカットされている場合には、前記燃料圧力の監視を中止すること、前記燃料噴射弁を備えた各気筒毎に燃料圧力を監視していること、前記燃料噴射弁に対する燃料圧力を平滑化し、第一の燃料圧力と第二の燃料圧力とを算出していること、前記第一の燃料圧力に対する平滑割合を前記第二の燃料圧力に対する平滑割合よりも大きくしていること、前記第一の燃料圧力と前記第二の燃料圧力とを比較して燃料圧力を監視すること、前記第一の燃料圧力と前記第二の燃料圧力との圧力差を算出し、該圧力差と所定値とを比較して燃料圧力を監視すること、前記第一の燃料圧力に所定値を付加して判定基準値とし、該判定基準値と前記第二の燃料圧力とを比較して燃料圧力を監視すること、前記燃料噴射弁に対する燃料圧力に燃料温度による平準化処理を行うこと、若しくは前記空燃比補正状態監視手段は、前記空燃比補正係数が、前記エンジン排気状態検出手段の検出信号に基づいて算出された一次空燃比補正係数と、該一次空燃比補正係数の学習値として算出された二次空燃比補正係数とからなり、該二次空燃比補正係数に基づいて空燃比補正を監視していること、若しくは各運転状態毎に演算された前記二次空燃比補正係数と、前記燃料噴射弁の噴射特性の傾き成分とを比較して空燃比補正を監視すること、若しくはアイドル運転状態を含んだ前記二次空燃比補正係数と、前記燃料噴射弁の噴射特性の切片成分とを比較して空燃比補正を監視することを特徴としている。 【0014】また、本発明に係る気体燃料のエンジン制御装置のさらに他の具体的態様は、前記エンジン制御装置は、前記燃料噴射弁異常状態検出手段が前記燃料噴射弁の異常を検出し、かつ、車両が停止状態にある場合には、前記燃料噴射弁に対する燃料供給を停止すること、前記燃料噴射弁異常状態検出手段が異常な燃料噴射弁を備える気筒を識別した場合には、該燃料噴射弁に対する燃料供給を停止すること、前記燃料噴射弁異常状態検出手段が前記燃料噴射弁の異常を検出した場合には、異常警告手段を介して運転者に該燃料噴射弁の異常を知らせること、前記燃料噴射弁の異常状態を検出履歴として保存するともに、該燃料噴射弁の異常検出履歴を外部診断装置に出力すること、前記外部診断装置からの信号に基づいて前記燃料噴射弁の異常検出履歴を消去することを特徴としている。 【0015】前記の如く構成された本発明の気体燃料のエンジン制御装置は、故障部位を各気筒毎に識別(気筒判別)するので、燃料供給システムによる全体の燃料供給を制限(遮断)のほか、該当気筒のみの燃料供給を制限も行うこともでき、理論空燃比で制御不可能な場合には排気悪化要因のみの排除が可能になり、排気浄化システム自体の信頼性の向上を補助することもできる。 【0016】また、異常が検出されても車両が停止状態にある場合にのみ燃料供給を停止するので、エンジン性能の維持及びフェイルセーフである車両の安全状態の維持を図り、ドライバビリティの向上を図ることができ、また、異常が検出された場合には異常警告手段を介して運転者に知らせるので、故障状態を早期に警告することができる。 【0017】さらに、自己診断用チェック装置等による外部診断装置に異常検出時履歴を出力できるので、車両点検時のディーラー等における点検作業の効率化及びエンジン状態の早期把握を図ることができる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、図面により本発明に係るエンジン制御装置の一実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施の形態のエンジン制御装置1を備えたエンジン制御システムの全体構成を示したものである。4気筒からなるエンジンの各気筒2、2…には、点火プラグ7が配置されるとともに、吸気管4及び排気管5が設置されており、前記吸気管4には、吸気の質量流量を計測する吸気量検出センサ6、及びスロットルバルブ21の開度を計測するスロットルセンサ(図示省略)が各々の適宜位置に配置され、さらに、前記気筒2には、エンジンの冷却水温を計測する冷却水温センサ8、及びエンジン回転数を計測するクランク角センサ(図示省略)が各々の適宜位置に配置されており、吸気管4の上流部に設けられたエアクリーナ3から流入された空気は、スロットルバルブ21で流量を調節された後、燃料噴射弁(インジェクタ)18から噴射された気体燃料と混合されて各気筒2に供給される。 【0019】燃料供給システムは、前記気体燃料を高圧の状態で充填・貯蔵する燃料ボンベ10、燃料噴射の燃圧を調整する調圧弁(レギュレータ)16、前記燃料を気筒2に向けて噴射するインジェクタ18、前記ボンベ10と前記レギュレータ16とを連結する高圧配管15、前記レギュレータ16と前記インジェクタ18とを連結する低圧配管17とからなり、前記高圧配管15には、ボンベ10側及びレギュレータ16側に、遮断弁11,12がそれぞれ設置されるとともに、該高圧配管15内の異常燃圧を検知する高圧対応の燃圧センサ(図示省略)が設置されており、前記低圧配管17には、燃料状態(燃温、燃圧)を検出する手段の一つである燃温センサ13及び燃圧センサ14が設置されている。 【0020】前記気筒2、2…で燃焼した排ガスは、前記排気管5を通じて触媒コンバータ(図示省略)に導かれ、浄化された後に排出される。排気管5には、排気ガス中の酸素濃度(又は排気濃度)を測定し、気筒2、2…に供給された混合気の空燃比を検知する排気状態検出手段の一つである空燃比センサ9が適宜位置に配置されている。 【0021】吸気量検出センサ6、冷却水温センサ8、前記スロットルセンサ及び前記クランク角センサ等である運転状態検出手段からの検出信号と、燃温センサ13及び燃圧センサ14である燃料状態検出手段からの検出信号と、空燃比センサ9である排気状態検出手段からの検出信号は、エンジン状態の情報としてエンジン制御装置(コントロールユニット)1に出力され、該エンジン制御装置1は、エンジン回転数、スロットル開度、吸気流量の検出信号に基づいてエンジン負荷を算出するとともに、前記運転状態検出手段、前記燃料状態検出手段、及び前記排気状態検出手段の各種情報に基づいて各気筒2,2…に供給する最適燃料噴射パルス幅、燃料噴射時期、点火時期等を演算し、インジェクタ18及び点火プラグ7に駆動信号を出力する。 【0022】さらに、エンジン制御装置1は、前記インジェクタ18の異常判定結果に基づいて、自己診断用チェック装置等である外部診断装置19、及び異常警告装置の一つである異常警告灯20に駆動信号を出力する。 【0023】図2は、前記インジェクタ18を示しており、エンジン制御装置1からの駆動信号に基づいて各気筒2内に燃料を噴射するものであり、該インジェクタ18は、ソレノイドコイル181、プランジャロッド182、弁体183、弁閉付勢ばね184、噴射口185A及び弁体接触部185Bを有する弁本体185等から構成され、ソレノイドコイル181の通電が行われると、プランジャロッド182が吸引され、該プランジャロッド182と一体の弁体183が噴射口185Aを開くことによってエンジンの気筒2内に燃料を直接噴射する。一方、通電が停止されると、プランジャロッド182は、弁閉付勢ばね184の付勢力によって移動し、弁体183が弁体接触部185Bに接して噴射口185Aを閉じるものである。 【0024】図3は、本実施形態のエンジン制御装置1の制御ブロック図の全体構成を示したものである。該エンジン制御装置1は、燃料噴射弁駆動手段100と、燃料噴射弁異常判定手段110とからなり、入力回路、A/D変換部、中央演算部、ROM、RAM、及び出力回路等を含んだ構成とされる。 【0025】前記燃料噴射弁駆動手段100は、吸気量検出センサ6、前記クランク角センサ、冷却水温センサ8等の運転状態検出手段からの検出信号を取り込み、該運転状態に基づいて気体燃料の基本噴射パルスを演算する基本噴射パルス演算手段101と、燃温センサ13、燃圧センサ14の燃料状態検出手段からの検出信号を取り込み、該燃料状態に基づいて燃料状態補正係数を演算する燃料状態補正係数演算手段102と、空燃比センサ9の排気状態検出手段からの検出信号を取り込み、該排気状態に基づいて空燃比補正係数を演算する空燃比補正係数演算手段103と、燃料噴射パルス演算手段104と、燃料噴射時期算出手段105とからなり、前記燃料噴射パルス演算手段104は、前記基本噴射パルス、前記燃料状態補正係数、及び前記空燃比補正係数に基づいて燃料噴射パルスを演算し、前記燃料噴射時期算出手段105は、前記燃料噴射パルスに基づいて駆動時期を算出してインジェクタ18に出力される。 【0026】前記燃料噴射弁異常判定手段110は、前記燃料噴射弁駆動手段100とインジェクタ18との間における信号結線状態を監視する信号結線状態監視手段111と、前記燃料状態補正係数演算手段102と前記燃料噴射パルス演算手段104との間における燃料状態を監視する気体燃料状態監視手段112と、前記空燃比補正係数演算手段103と前記燃料噴射パルス演算手段104との間における空燃比補正状態を監視する空燃比補正状態監視手段113と、前記信号結線状態、前記気体燃料状態、及び前記空燃比補正状態の各監視結果に基づいて燃料噴射弁の異常状態を検出する燃料噴射弁異常状態検出手段114と、該検出結果の組み合わせによりインジェクタ18の異常モードを特定する異常モード特定手段115と、該異常モード特定手段115からの信号を取り込む異常警告手段116とからなり、前記信号結線状態監視手段111は、気体の冷却能力の不足による電磁コイルの電気特性の変化及び発熱による断線の状況を監視するとともに、インジェクタ駆動回路を含む駆動系故障及び電気的断線を監視し、また、前記気体燃料状態監視手段112は、気体燃料中の異物等によるインジェクタ18の噴射口の閉塞の状況を監視し、前記空燃比補正状態監視手段113は、インジェクタ18の潤滑能力の不足による流量特性の変化及び閉弁時の気密性悪化を含む経時劣化の状況をを監視している。 【0027】前記異常警告手段116は、インジェクタ18の異常検知信号を前記異常モード特定手段115から取り込むとともに、異常警告灯20に信号を出力して運転者等に知らせるものであり、また、前記異常モード特定手段115と外部診断装置19とは、異常診断の履歴のチェック等のために、互いに信号の交換を行っているものである。 【0028】図4は、前記燃料噴射弁異常判定手段110の動作を示すフローチャートである。ステップ301は、エンジン運転状態、燃料状態、及び排気状態の運転状態の検出を行い、ステップ302は、前記信号結線状態監視手段111の監視結果から前記噴射弁異常状態検出手段114でインジェクタ駆動回路等に異常があるかを判定し、異常がない、すなわちNoの場合にはステップ303に進み、該信号結線状態監視手段111の監視結果から前記噴射弁異常状態検出手段114でインジェクタ電磁コイルの電気特性等に異常があるかを判定し、異常がない、すなわちNoの場合にはステップ304に進んで、前記気体燃料状態監視手段112の監視結果から前記噴射弁異常状態検出手段114で噴射口閉塞による異常があるかを判定する。そして、ステップ304で異常がない、すなわちNoの場合にはステップ305に進み、前記空燃比補正状態監視手段113の監視結果から前記噴射弁異常状態検出手段114で閉弁時の気密性悪化等による異常があるかを判定し、異常がない、すなわちNoの場合には終了する。一方、前記ステップ302で異常がある場合には、断線による結線状態の異常(結線異常)と判定され、前記ステップ303で異常がある場合には、コイル抵抗増大による冷却性能の低下(冷却系異常)と判定され、また、前記ステップ304で異常がある場合には、流路面積縮小による流路詰まり(洗浄系異常)と判定され、さらに、前記ステップ305で異常がある場合には、摩耗等による噴射特性の劣化(潤滑性能異常)と判定され、この判定結果は、前記異常モード特定手段115に出力されてインジェクタ18の異常モードが識別される。なお、インジェクタ駆動回路等の監視及びインジェクタ電磁コイルの電気特性等の監視は、ともに前記燃料噴射弁駆動手段100とインジェクタ18との間において行われる。 【0029】図5乃至図9は、前記信号結線状態監視手段111による結線異常及び冷却系異常の監視について示している。図5は、結線異常を監視する駆動回路図、図6は、異常検出の論理表である。図5に示すように、バッテリ電源に基づいてAがOFF状態でインジェクタ18を駆動し、インジェクタ18の電位をBとして入力している。そして、AがOFFの場合に、Bの電位がHighのときには正常とし、Lowのときには断線による異常として、インジェクタ18とエンジン制御装置1との間の結線状態の監視を行っている。 【0030】図7は、冷却系異常を監視する駆動回路図、図8は、インジェクタ18のコイル特性図、図9はその動作を示すタイミングチャートである。図7の回路は、ほぼ図5と同様のものであり、バッテリ電源に基づいてAがOFF状態でインジェクタ18を駆動し、インジェクタ18の両端の電位差をBとして入力している。ここで、コイル抵抗は、図8に示すように、コイル温度の上昇とともに増大する特性を有するものであることから、このコイル抵抗を測定することにより、コイル温度によるコイルの冷却性能の低下度合を判定することができる。この判定は、図9に示すように、コイルの抵抗値が時間経過で閾値を超えた場合には、コイルの温度が上昇して冷却性能が低下していると推定し、冷却系異常とする燃料噴射弁負荷特性の監視を行っている。 【0031】図10乃至図18は、前記気体燃料状態監視手段112による洗浄系異常の監視について示している。気体燃料の圧力特性は、図10に示すように、燃料噴射パルス幅Tとレギュレータ18の燃圧の低下量ΔPとによって表わされ、また、図11に示すように、燃料噴射パルス幅Tと燃圧の低下量ΔPとは、比例することが分かる。そして、図12は、前記燃圧の挙動を詳細に示したものであり、噴射パルス幅Tの立ち上がった後に多少の遅れを持って燃圧の変化が生ずることから、本実施形態の燃圧の低下量ΔPの計測は、燃料噴射タイミングに合わせて噴射パルス幅Tの立ち下がり後のD経過の時点について、インジェクタ18に導入される直前のレギュレータ16の燃料圧力を燃圧センサ14を介して監視している。 【0032】図13は、洗浄系異常を監視する動作のタイミングチャートであり、気体燃料状態監視手段112は、噴射パルス幅Tの立ち上がり前の燃圧であるレギュレータ16の圧力を基準燃圧とするとともに、該基準燃力に対する閾値Sを設け、噴射パルス幅Tに対する燃圧の低下量ΔPが前記閾値Sを超えるか否かを監視し、該閾値Sを超える場合には正常とし、超えない場合には、インジェクタ18の通路詰まりとして異常状態検出手段114で異常と判定するものである。 【0033】一方、前記気体燃料の圧力特性とエンジン回転数との関係は、図14に示すように、加速、定常、減速に伴って噴射パルスの幅Tが変化し、該噴射パルス幅Tの増減により燃圧の低下量ΔPも増減する。特に、減速時には前記燃圧の低下量ΔPが前記閾値Sを超えない場合があることから、本実施形態では、この減速時には、気体燃料状態の監視を中止するために燃圧低下量ΔPの検出を禁止している。 【0034】また、前記閾値Sを噴射パルス幅T毎に設定することにより(図15)、燃圧低下量ΔPの検出をエンジン回転数の変動に追従させて確実に行うことができるので、本実施形態では、エンジン回転数と噴射パルス幅Tと燃圧の低下量ΔPと閾値Sが、図16に示すようになっている。したがって、本実施形態の洗浄系異常の監視は、エンジン回転数、エンジン負荷、及び噴射パルスの各状態に応じて行うとともに、それらの安定性を確保して行っている。 【0035】さらに、図17に示すように、前記噴射パルス幅T及び燃圧低下量ΔPと気筒判別信号とをリンクさせることができるので、異常なインジェクタ18を備えた気筒を各気筒毎に識別することができる。なお、本図では、判別信号の本数が気筒番号を表わしており、洗浄系異常が第3気筒にて生じていることが分かるので、異常判定手段110は、噴射弁駆動手段100に該第3気筒の燃料噴射の停止を出力する。 【0036】なお、燃料圧力と燃料温度とは、図18(a)に示すような比例の関係にあり、燃料圧力Pは、燃料温度Tの影響を受ける。よって、気体燃料状態監視手段112は、燃料圧力を精度良く測定するために(b)の補正係数Kを付加して平準化処理を行った補正後の燃料圧力P0を監視している。 【0037】図19乃至図21は、前記空燃比補正状態監視手段113による潤滑性能異常の監視について示しており、図19及び図20は、該潤滑性能異常がインジェクタ18の噴射パルス幅・噴射量に与える影響を示している。まず、図19は、プランジャロッド182のストローク量の変化が噴射パルス幅・噴射量に与える影響を表わしており、弁体183と弁体接触部185Bとの衝突に伴ってプランジャロッド182のストローク量が増加すると、噴射パルス幅は、各噴射量に対して一定の幅を持って、以前よりも少ない値で目標の噴射量を得ることができるので、噴射特性の切片成分が一律に小さくなることが分かる(破線で示す。)。また、図20は、噴射口185Aの開口面積の変化が噴射パルス幅・噴射量に与える影響を表わしており、弁体183と弁体接触部185Bとの衝突に伴って噴射口185Aの開口面積が増加すると、噴射パルス幅は、各噴射量に対して一定の割合を持って、以前よりも少ない値で目標の噴射量を得ることができるので、噴射特性の傾き成分が一定の割合で大きくなることが分かる(破線で示す。)。 【0038】そして、図21は、エンジン回転数とエンジン負荷との学習マップを示しており、空燃比補正係数演算手段103は、排気状態から算出される一次空燃比補正係数の学習値として算出される二次空燃比補正係数とにより図示の領域毎の空燃比補正を行うものである。ここで、前記インジェクタ18の噴射特性を考慮すると、前記ストローク量の増加(図19)は、特に、低パルス領域の空燃比に影響を及ぼし、すなわちアイドル領域近傍でリーン側への極端な空燃比補正が生じ、一方、前記開口面積の増加(図20)は、全域に亘って一律な空燃比補正が生ずることになる。したがって、前記空燃比補正状態監視手段113は、これらの運転領域毎の補正パターンがどのように変化するかを認識し、潤滑性能異常の監視を行っている。なお、前記パターン認識は、図21に示すように、各領域毎の閾値と比較した総合的な判断により判定している。 【0039】図22乃至図25は、前記監視結果に基づいたインジェクタ18の異常時における前記エンジン制御装置1の動作を示すフローチャートである。図22は、前記エンジン制御装置1の燃料遮断動作を示しており、インジェクタ18に異常がある場合には、排気性能に悪影響があるとともに、エンジンの耐久性及びドライバビリティにも悪影響があるので燃料の遮断を行うものの、常に燃料の遮断を行うことが必ずしも妥当でないことから、本実施形態では、フェイルセーフとして車両を安全な場所に導くための配慮もなされている。 【0040】ステップ401は、噴射弁異常検出手段114でインジェクタ18に結線異常、冷却系異常、若しくは洗浄系異常、又は潤滑性能異常のいずれかの異常があるか否かを判定し、異常が検出された場合、すなわちYesのときには、ステップ402に進み、結線異常又は洗浄系異常による場合のような、故障したインジェクタ18を備えた気筒2があるか否かを判定する。そして、故障したインジェクタ18を備えた気筒2が検出された場合、すなわちYesのときには、ステップ404に進んでその該当する気筒2を読み出し、ステップ405で該気筒2のみの燃料噴射の停止を行って終了する。 【0041】一方、故障したインジェクタ18を備えた気筒2が個々に検出されなかった場合には、ステップ403に進んで車両が停車中であるか否かを判定し、車両が停車中の場合、すなわちYesのときには、ステップ406に進み、遮断弁11,12でインジェクタ18への燃料供給を遮断して終了し、また、車両が停車中でない場合には、燃料供給を遮断を行わずに終了する。なお、前記遮断弁11,12による燃料供給の遮断は、燃料カットと併用させることでその効果の即効性を持たせることもできる。 【0042】図23は、前記エンジン制御装置1による警告表示動作を示しており、ステップ501は、噴射弁異常状態検出手段114でインジェクタ18に結線異常、冷却系異常、若しくは洗浄系異常、又は潤滑性能異常のいずれかの異常があるか否かを判定し、異常がある場合、すなわちYesのときには、ステップ502に進み、異常モード特定手段115を介して異常警告手段116が信号を出力し、異常警告灯20を点灯させて終了する。これにより、運転者にその異常を知らせることができる。なお、この点灯は前記各異常の種類毎に異なる表示を行うことにより、その内容を運転者に具体的に知らせることもできる。 【0043】図24及び図25は、前記エンジン制御装置1による外部診断動作を示しており、前記RAMにインジェクタ18の異常状態の検出履歴のほか、正常状態の履歴を保存するとともに、外部診断装置19と信号の交換を行うことにより、車両点検時等の参考にすることができるものである。なお、正常状態の履歴を保存するのは、該正常状態には、異常状態の発生頻度が少ない場合、若しくは検出タイミングと異常発生タイミングとが合わなかった場合等も含まれることがあり、将来、大きな異常状態になり得ることを鑑みたものである。 【0044】図24は、前記エンジン制御装置1から外部診断装置19へのデータ転送動作のフローチャートであり、ステップ601は、エンジン制御装置1で外部診断装置19がインジェクタ18の異常状態の検出履歴を要求しているか否かを判定し、要求がある場合、すなわちYesのときには、ステップ602に進んでインジェクタ18に異常状態の検出履歴があるか否かを判定し、検出履歴がある場合、すなわちYesのときには、ステップ603に進んで該異常状態の検出履歴を読み出し、ステップ604で外部診断装置19にデータが転送される。一方、ステップ601で異常状態の検出履歴を要求していない場合、又はステップ602で異常状態の検出履歴がない場合には、データ転送を行わずに終了する。 【0045】また、図25は、前記外部診断装置19からエンジン制御装置1になされるデータ消去のフローチャートであり、車両点検時等の参考にされた後の動作である。ステップ701は、外部診断装置19が前記検出結果の消去を要求しているか否かを判定し、要求がある場合、すなわちYesのときには、ステップ702に進んで前記検出結果を消去して終了するものである。以上のように、本発明の前記実施形態は、上記の構成としたことによって次の機能を奏するものである。 【0046】前記実施形態の気体燃料のエンジン制御装置1は、吸気量検出センサ6,冷却水温センサ8等のエンジン運転状態検出手段、燃温センサ13,燃圧センサ14等の気体燃料の燃料状態検出手段、及び空燃比センサ9のエンジン排気状態検出手段からの各検出信号に基づいて、インジェクタ18に燃料噴射量等を出力する燃料噴射弁駆動手段100を備えるとともに、前記インジェクタ18の異常を判定する燃料噴射弁異常判定手段を110備え、該燃料噴射弁異常判定手段110は、前記燃料噴射弁駆動手段100と前記インジェクタ18との信号の結線状態を監視する信号結線状態監視手段111と、前記気体燃料の圧力状態又は温度状態を監視する気体燃料状態監視手段112と、空燃比の補正状態を監視する空燃比補正状態監視手段113と、前記各監視手段111,112,113の監視結果に基づいて前記インジェクタ18の異常状態を検出する燃料噴射弁異常状態検出手段114と、前記各監視手段111,112,113の監視結果に基づいて前記インジェクタ18の異常モードを特定する異常モード特定手段115とを備える構成としたので、インジェクタ18の結線異常、冷却系異常、洗浄系異常、潤滑性能異常をエンジンの過渡的な状態で正確に検出することができ、近年の自動車を取り巻く環境保護要求の強化の下においてもエンジン制御システムの信頼性の向上を図ることができる。 【0047】また、前記信号結線状態監視手段111は、前記インジェクタ18に生ずる電圧を監視し、前記気体燃料状態監視手段112は、前記インジェクタ18による燃料噴射終了から所定時間D経過後における燃料圧力を監視しているとともに、前記インジェクタ18に対する燃料がカットされている場合には、前記燃料圧力の監視を中止し、さらに、前記インジェクタ18を備えた各気筒2、2…毎に燃料圧力を監視しているので、全体の燃料供給を遮断する、又は該当する気筒のみの燃料供給を遮断することができ、排気浄化システム自体の信頼性の向上を図ることができる。 【0048】さらに、前記空燃比補正状態監視手段は、各運転状態毎に演算された空燃比補正係数と、前記燃料噴射弁の噴射特性の傾き成分とを比較するとともに、アイドル運転状態の空燃比補正係数と、前記燃料噴射弁の噴射特性の切片成分とを比較して空燃比補正を監視するので、インジェクタ18潤滑性能異常を補正パターンから早期、かつ確実に検出することができる。 【0049】さらにまた、前記エンジン制御装置1は、前記燃料噴射弁異常状態検出手段114が前記インジェクタ18の異常を検出し、かつ、車両が停止状態にある場合にのみ、前記インジェクタ18に対する燃料供給を停止し、さらに、異常なインジェクタ18を備える気筒2を識別した場合には、該インジェクタ18のみに対する燃料供給を停止するので、エンジン性能の維持及び車両の安全状態の維持を図ることができ、フェイルセーフ及びドライバビリティの向上を図ることができる。 【0050】また、前記エンジン制御装置1は、前記燃料噴射弁異常状態検出手段114が前記インジェクタ18の異常を検出した場合には、異常警告手段116,ランプ20を介して運転者に該インジェクタ18の異常を知らせるので、故障状態を早期に警告することができる。 【0051】さらに、前記エンジン制御装置1は、前記燃料噴射弁異常状態検出手段114が前記インジェクタ18の異常状態を前記RAMに検出履歴として保存するともに、該インジェクタ18の異常検出履歴を外部診断装置19に出力し、また、該外部診断装置19からの信号に基づいて前記インジェクタ18の異常検出履歴を消去するので、車両点検時のディーラーにおける点検作業の効率化及びエンジン状態の早期把握を図ることができる。 【0052】以上、本発明の一実施形態について詳説したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において種々の変更ができるものである。 【0053】例えば、前記実施形態では、前記気体燃料状態監視手段112による洗浄系異常の監視は、噴射パルス幅Tの立ち下がり後のD経過の時点にてピンポイントで行っているが、図26に示すように、噴射パルス幅Tの立ち上がり後D1時点から噴射パルス幅Tの立ち下がり後D2時点までを燃料圧力計測期間という測定用ウインドを設け、その間の燃圧低下量ΔPの最大値を計測しても良く、これにより、サンプリング処理においても確実に計測することができるようになる。 【0054】また、前記実施形態の洗浄系異常の監視は、噴射パルス幅Tの立ち上がり前の燃圧であるレギュレータ16の圧力を基準燃圧とし、該基準燃力に対する閾値Sを設け、燃圧の低下量ΔPが前記閾値Sを超えるか否かを監視する絶対値判定を行っているが、図27に示すように、前記基準燃圧を加重平均処理により平滑化し、これを基準燃圧(第一燃料圧力)とするとともに、該基準燃圧とは異なる燃圧低下量を加重平均処理により平滑化(第二燃料圧力)した後に圧力差を求め、該圧力差と閾値とを比較しても良く、これにより、レギュレータ16の性能のばらつき及び劣化によって制御圧に変動が生じても前記洗浄系異常の監視を確実に行うことができる。 【0055】さらに、洗浄系異常の監視は、図28に示すように、加重平均処理により平滑化した前記第一燃料圧力に閾値を付加し、これと前記第二燃料圧力とを直接に比較しても良いものである。 【0056】 【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発明の気体燃料のエンジン制御装置は、燃料噴射弁の異常状態をエンジンの過渡的な状態で早期、かつ確実に検出することができ、エンジン制御システムの信頼性の向上を図ることができる。また、燃料噴射弁の異常時においても、エンジン性能の維持及び車両の安全状態の維持を図ることができるとともに、作業性の向上をも図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所 【識別番号】000232999 【氏名又は名称】株式会社日立カーエンジニアリング
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| 【出願日】 |
平成11年12月24日(1999.12.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔
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| 【公開番号】 |
特開2001−182625(P2001−182625A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−368240 |
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