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【発明の名称】 ガス燃料供給弁
【発明者】 【氏名】増田 宏司

【要約】 【課題】エンジンの性能を十分に引き出すことができるとともに、シートの強度を向上させかつ加工コストを低廉化し得るガス燃料供給弁を提供する。

【解決手段】吸気マニホールドM2に対しガス燃料を供給するノズル1 と、ノズルに対し弁軸m方向から対向するリテーナ2 と、ノズルとリテーナとの間において弁軸方向へ移動可能に介装され、ノズルに対し接離するシート3 とを備える。リテーナに、ガス供給マニホールドM1からのガス燃料をシートの外周面3cに導く導入路22を設ける。ノズルに、ガス燃料をシートのノズル側面に導く導入路11を設ける。各導入路からのガス燃料を、ノズルに対してシートが離間する開放時に吸気マニホールドに対し供給する。ガス燃料を、リテーナの導入路を介してシートの最外周部に導く一方、ノズルの導入路を介してシートの半径方向内側に導く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料供給源からのガス燃料を内燃機関に供給するガス燃料供給弁であって、内燃機関に対しガス燃料を供給するノズルと、このノズルに対し弁軸方向から対向するリテーナと、ノズルとリテーナとの間において弁軸方向へ移動可能に介装され、ノズルに対し接離するシートとを備え、上記リテーナには燃料供給源からのガス燃料をシートの外周面に導く導入路が設けられているとともに、上記ノズルには燃料供給源からのガス燃料をシートのノズル側面に導く導入路が設けられ、上記各導入路は、ノズルに対してシートが離間する開放時に内燃機関に対しガス燃料が供給される一方、ノズルに対してシートが当接する閉塞時に内燃機関に対するガス燃料の供給が不能となるようになされており、ガス燃料は、リテーナの導入路を介してシートの最外周部から供給される一方、ノズルの導入路を介してシートの半径方向内側から供給されるようになっていることを特徴とするガス燃料供給弁。
【請求項2】 上記シートは、無孔無溝の板状物よりなり、上記ノズルのシート側面には弁軸と同心円上の溝が凹設され、この溝の底部は、その周方向においてノズルの導入路に対し連通していることを特徴とする請求項1に記載のガス燃料供給弁。
【請求項3】 上記シートは、このシートを弁軸方向へ移動させる可動片に対しボルトによって弁軸方向ノズル側から締結されており、上記ノズルの導入路は、ノズル内を弁軸と直交する方向に貫通する貫通孔を備え、この貫通孔は、弁軸方向から見てノズルの中心部付近が細くなるように形成され、上記ボルトの頭部をノズル内に収容するボルト収容穴部に対し連通していることを特徴とする請求項2に記載のガス燃料供給弁。
【請求項4】 上記シートは、このシートを弁軸方向へ移動させる可動片に対しボルトによって弁軸方向ノズル側から締結されており、上記ノズルの導入路は、ノズル内を弁軸と直交する方向に貫通する貫通孔を備え、この貫通孔は、弁軸方向から見てノズルの半径方向内側に行くに従い幅が漸減するように形成され、上記ボルトの頭部をノズル内に収容するボルト収容穴部に対し連通していることを特徴とする請求項2に記載のガス燃料供給弁。
【請求項5】 上記ノズルのシート側面には、弁軸と同心円上の複数の溝が設けられ、これらの溝は、内燃機関側および燃料供給源側に対し交互に連通していることを特徴とする請求項1に記載のガス燃料供給弁。
【請求項6】 上記ノズルのシート側面には、弁軸と同心円上の複数の溝が設けられ、これらの溝は、シートの半径方向内側において、内燃機関側および燃料供給源側に対し交互に連通していることを特徴とする請求項1に記載のガス燃料供給弁。
【請求項7】 上記ノズルの反シート側面には、弁軸と直交する直交線に対し線対称となるほぼ半月状の一対の穴部が凹設されている一方、ノズルのシート側面には、上記各穴部に対し連通する溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス燃料供給弁。
【請求項8】 上記溝の周縁は、その開口面積を拡大させるように面取り状に切り欠かれていることを特徴とする請求項2、請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載のガス燃料供給弁。
【請求項9】 上記ノズルの外周面側には周方向に連続する周囲溝が設けられ、この周囲溝は、ノズルの貫通孔に対し半径方向外側から連通していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のガス燃料供給弁。
【請求項10】 上記リテーナのシート側面には、ノズルに対してシートが離間する開放時にシートを受け止めるシート受け部が設けられているとともに、このシート受け部よりも半径方向内側において互いに対応するリテーナとシートとの間には、ノズルに対しシートを当接させる方向に付勢する単一の付勢スプリングが縮装され、この付勢スプリングは、その伸縮軸が弁軸と同心上となるように弁軸周りに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス燃料供給弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料供給源からのガス燃料を内燃機関に供給する電気作動式のガス燃料供給弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このようなガス燃料供給弁は、例えば特許第2771115号公報に開示されるように、各種圧縮機や発電機などの大型で多気筒のエンジンに対しガス燃料を効率よく供給する上で必要とされている。
【0003】このガス燃料供給弁は、具体的には、エンジンに対しガス燃料を供給するノズルと、このノズルに対し弁軸方向から対向するリテーナと、ノズルとリテーナとの間において弁軸方向へ移動可能に介装され、ノズルに対し接離するシートとを備えている。上記リテーナには燃料供給源からのガス燃料をシートを介してシートのノズル側面に導く導入路が設けられている。上記シートは、このシートを弁軸方向へ移動させるアーマチュアに対し弁軸方向のボルトによって締結されている。そして、上記導入路は、ノズルに対してシートが離間する開放時にエンジンの気筒に対しガス燃料が供給される一方、ノズルに対してシートが当接する閉塞時にエンジンに対するガス燃料の供給が不能となるようになされている。この場合、アーマチュア(シート)は、シートとリテーナとの間に縮装された複数のスプリングによって閉塞方向に付勢され、この各スプリングの付勢力に抗した電磁石の電磁力によって引き寄せられて開放方向にストローク(たとえば0.4mm程度)するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来のガス燃料供給弁では、燃料供給源から供給される全てのガス燃料がリテーナの導入路を介してシートのノズル側面に導かれるので、以下に述べるような課題が存在することになる。
【0005】つまり、リテーナの導入路は、複数のスプリングとの干渉を回避しつつガス燃料をシートを介してそのノズル側面に導く上で、弁軸を中心にして放射線方向に延びる複数の穴部や溝によって構成されている。しかし、ガス燃料は、これらの穴部や溝を介して半径方向外方から供給されるため、その性格上、シートの開放時にはシートの半径方向外方に近い部位ほどガス燃料が供給され易いことになる。しかも、シートがアーマチュアに対し弁軸上のボルトによって締結されているため、リテーナの導入路を弁軸付近(ボルト付近)まで延ばすことができない。これにより、ガス燃料は、シートの半径方向外側から集中して供給され、シートの半径方向内側から十分に供給することができない。その結果、エンジンなどの内燃機関に対しガス燃料を効率よく供給することができず、内燃機関の性能を十分に引き出すことができないことになる。
【0006】また、全てのガス燃料がシートを介してそのノズル側面に導かれるため、シートに複雑な複数の穴部や溝を形成する必要があり、シートの形状が非常に複雑なものとなる。このため、シートの強度が低下する上、加工コストが増大することになる。
【0007】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シートの半径方向内側に対しガス燃料を効率よく供給して内燃機関の性能を十分に引き出すことができるとともに、シートの強度を向上させかつ加工コストを低廉化し得るガス燃料供給弁を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に係わる発明が講じた解決手段は、燃料供給源からのガス燃料を内燃機関に供給するガス燃料供給弁として、内燃機関に対しガス燃料を供給するノズルと、このノズルに対し弁軸方向から対向するリテーナと、ノズルとリテーナとの間において弁軸方向へ移動可能に介装され、ノズルに対し接離するシートとを備える。上記リテーナに燃料供給源からのガス燃料をシートの外周面に導く導入路を設けるとともに、上記ノズルに燃料供給源からのガス燃料をシートのノズル側面に導く導入路を設け、上記各導入路を、ノズルに対してシートが離間する開放時に内燃機関に対しガス燃料を供給する一方、ノズルに対してシートが当接する閉塞時に内燃機関に対するガス燃料の供給を不能となるようにする。そして、ガス燃料を、リテーナの導入路を介してシートの最外周部から供給する一方、ノズルの導入路を介してシートの半径方向内側から供給するようにしている。
【0009】請求項1の場合、燃料供給源からのガス燃料は、シートを挟んでリテーナ側とノズル側とに分けられる。そして、シートよりもリテーナ側に分けられたガス燃料がリテーナの導入路に、シートよりもノズル側に分けられたガス燃料がノズルの導入路にそれぞれ導かれ、シートの開放時に双方の導入路からのガス燃料が合流して内燃機関に供給されることになる。
【0010】その場合、ガス燃料は、リテーナの導入路を介してシートの最外周部から供給されるので、リテーナの導入路がシートの最外周部まで延びる短いものであったとしても、シートの開放時には、この導入路を介してシートの半径方向外方に近い最外周部から円滑に供給されることになる。一方、ガス燃料は、ノズルの導入路を介してシートの半径方向内側から供給されるので、リテーナの導入路を弁軸付近(ボルト付近)まで延ばす必要がなく、ガス燃料がノズルの導入路を介してシートの半径方向内側から効率よく供給されることになる。これにより、内燃機関の性能を十分に引き出すことが可能となる。
【0011】しかも、ガス燃料が、リテーナの導入路を介してシートの最外周部に、ノズルの導入路を介してシートのノズル側面にそれぞれ導かれることにより、シートには導入路をシートのノズル側面に開口させる穴部や溝を形成する必要がなく、シートの形状が非常に簡単なものとなる。このため、シートの強度が向上する上、加工コストが低廉化されることになる。
【0012】請求項2に係わる発明が講じた解決手段は、請求項1記載の発明の構成要件に加えて、シートを無孔無溝の板状物により構成する。さらに、ノズルのシート側面に弁軸と同心円上の溝を凹設し、この溝の底部を、その周方向においてノズルの導入路に対し連通させたものである。
【0013】請求項2の場合には、ガス燃料は、ノズルの導入路から溝を介してシートのノズル側面に導かれるので、ガス燃料を供給し難いシートの半径方向内側に対してガス燃料が円滑に導かれ、リテーナの導入路によるシートの最外周部(半径方向外側)へのガス燃料の導入と相俟って、シートの開放時にはガス燃料がトータルで供給され易いものとなる。
【0014】しかも、シートが無孔無溝の板状物により構成されているので、シートの形状がより簡単なものとなる。このため、シートの強度が一層向上する上、加工コストもさらに低廉化されることになる。
【0015】さらに、無孔無溝の板状物よりなるシートであれば、厚み(弁軸方向の寸法)を薄くすることも可能となり、シートが軽量化されて、シート開閉時の応答性(開閉スピード)が非常に向上することになる。
【0016】また、溝が弁軸と同心円上に設けられていることにより、シートが弁軸回りに回転しても、常にノズルの導入路を溝を介してシートのノズル側面に開口させることが可能となる。
【0017】請求項3に係わる発明が講じた解決手段は、請求項2記載の発明の構成要件に加えて、シートを弁軸方向へ移動させる可動片に対しボルトによって弁軸方向ノズル側からシートを締結する。そして、ノズルの導入路にノズル内を弁軸と直交する方向に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を、弁軸方向から見てノズルの中心部付近が細くなるように形成し、上記ボルトの頭部をノズル内に収容するボルト収容穴部に対し連通させたものである。
【0018】請求項3の場合、ノズルの導入路からのガス燃料は、貫通孔を通ってスムーズに流れ、ボルト収容穴部からシートの半径方向内側に非常にスムーズに導かれることになる。
【0019】しかも、ノズル内を貫通する貫通孔によって溝の底部に対する連通箇所が増え、ボルト収容穴部と相俟って、ノズルの導入路からのシートのノズル側面に対するガス燃料供給用のポート数が十分に確保されることになる。
【0020】さらに、貫通孔は、弁軸方向から見てノズルの中心部付近が細くなっていることにより、ノズルの半径方向内側において内燃機関側に開口する燃料ガス排出用経路の開口面積が確保され、シートの半径方向内側から排出されるガス燃料を内燃機関に対しスムーズに供給することが可能となる。
【0021】請求項4に係わる発明が講じた解決手段は、請求項2記載の発明の構成要件に加えて、シートを弁軸方向へ移動させる可動片に対しボルトによって弁軸方向ノズル側からシートを締結する。そして、ノズルの導入路にノズル内を弁軸と直交する方向に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を、弁軸方向から見てノズルの半径方向内側に行くに従い幅が漸減するように形成し、上記ボルトの頭部をノズル内に収容するボルト収容穴部に対し連通させたものである。
【0022】請求項4の場合、ノズルの導入路からのガス燃料は、ノズルの半径方向外側において大きく開口する貫通孔にスムーズに流れ込み、この貫通孔を通ってボルト収容穴部からシートの半径方向内側に非常にスムーズに導かれることになる。
【0023】しかも、ノズル内を貫通する貫通孔によって溝の底部に対する連通箇所が増え、上記請求項3の場合と同様に、ノズルの導入路からのシートのノズル側面に対するガス燃料供給用のポート数が十分に確保されることになる。
【0024】さらに、貫通孔は、弁軸方向から見てノズルの半径方向内側に行くに従い幅が漸減していることにより、ノズルの半径方向内側において内燃機関側に開口する燃料ガス排出用経路の開口面積が漸増し、シートの半径方向内側から排出されるガス燃料を内燃機関に対しスムーズに供給することが可能となる。
【0025】請求項5に係わる発明が講じた解決手段は、請求項1記載の発明の構成要件に加えて、ノズルのシート側面に弁軸と同心円上の複数の溝を設け、これらの溝を、内燃機関側および燃料供給源側に対し交互に連通させたものである。
【0026】請求項5の場合、ノズルの導入路からのガス燃料は、シートのノズル側面に対し弁軸と同心円上の溝内を周方向に導かれ、シート開放時にこの溝(燃料供給源側に連通する溝)と同心円上で隣接する溝(内燃機関側に連通する溝)に対しその周方向から満遍なく効率よく導入されることになる。
【0027】請求項6に係わる発明が講じた解決手段は、請求項1記載の発明の構成要件に加えて、ノズルのシート側面に弁軸と同心円上の複数の溝を設け、これらの溝を、シートの半径方向内側において、内燃機関側および燃料供給源側に対し交互に連通させたものである。
【0028】請求項6の場合、ノズルの導入路からのガス燃料は、シートの半径方向内側において弁軸と同心円上の溝内を周方向に導かれ、シート開放時にこの溝(燃料供給源側に連通する溝)と同心円上で隣接する溝(内燃機関側に連通する溝)に対しその周方向から満遍なく効率よく導入されることになる。
【0029】また、これらの溝は、ノズルの中心部付近まで形成することが可能となり、ガス燃料をシートの半径方向内側に対し効率よく導く上で非常に有利なものとなる。
【0030】請求項7に係わる発明が講じた解決手段は、請求項1記載の発明の構成要件に加えて、ノズルの反シート側面に、弁軸と直交する直交線に対し線対称となるほぼ半月状の一対の穴部を凹設する。一方、ノズルのシート側面に、上記各穴部に対し連通する溝を設けたものである。
【0031】請求項7の場合、シートのノズル側面に導かれたガス燃料は、シート開放時にノズルのシート側面の溝に流れ込み、この溝から大きな半月状の各穴部を介して内燃機関側にスムーズに供給されることになる。
【0032】また、各穴部は、弁軸と直交する直交線に対し線対称に設けられているので、ノズル内において直交線方向に延びる貫通孔(導入路)に対し干渉することなく各穴部が容易に形成されることになる。
【0033】請求項8に係わる発明が講じた解決手段は、請求項2、請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載の発明の構成要件に加えて、溝の周縁を、その開口面積を拡大させるように面取り状に切り欠いたものである。
【0034】請求項8の場合、強度的に弱い溝の周縁が面取り状に切り欠かれているので、シート(ノズル側面)との当接による溝の周縁での割れなどが防止され、ノズルの強度を高めることが可能となる。
【0035】また、溝の周縁での開口面積が拡大されているので、シートの開放時、溝からのガス燃料が非常に排出しやすいものとなる一方、この排出されたガス燃料が溝に対し非常に供給しやすいものとなる。
【0036】請求項9に係わる発明が講じた解決手段は、請求項3または請求項4記載の発明の構成要件に加えて、ノズルの外周面側に周方向に連続する周囲溝を設け、この周囲溝を、ノズルの貫通孔に対し半径方向外側から連通させたものである。
【0037】請求項9の場合、ノズルの導入路からのガス燃料は、周囲溝を通って貫通孔の両端からシートの半径方向内側に向かって効率よくスムーズに導かれることになる。
【0038】さらに、請求項10に係わる発明が講じた解決手段は、請求項1記載の発明の構成要件に加えて、リテーナのシート側面に、ノズルに対してシートが離間する開放時にシートを受け止めるシート受け部を設ける。そして、このシート受け部よりも半径方向内側において互いに対応するリテーナとシートとの間に、ノズルに対しシートを当接させる方向に付勢する単一の付勢スプリングを縮装し、この付勢スプリングを、その伸縮軸が弁軸と同心上となるように弁軸周りに設けたものである。
【0039】請求項10の場合、シートは、複数の付勢スプリングを用いることなく、単一の付勢スプリングによって閉塞方向に付勢される。このため、リテーナとシートとの間において複数の付勢スプリングのレイアウトなどに悩まされることがなく、簡単かつ低コストな付勢スプリングを提供することが可能となる。
【0040】しかも、付勢スプリングは、シート開放時にシートを受け止めるリテーナのシート受け部よりも半径方向内側に設けられているので、シート受け部が付勢スプリングとの干渉を回避しつつ半径方向内方側に近付けられることになり、シート開放時にリテーナのシート受け部に当接するシートの衝撃を半径方向内方側において効率よく緩和させることが可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0042】<<第1の実施の形態>>図1は本発明の第1の実施形態に係わるガス燃料供給弁を示している。
【0043】図1において、ガス燃料供給弁Xは、ガス燃料を内燃機関としての多気筒のエンジン(図示せず)に供給するものであって、ガス燃料をエンジンに供給するノズル1と、このノズル1に対し弁軸m方向から対向するリテーナ2と、ノズル1とリテーナ2との間において弁軸m方向へ移動可能に介装され、ノズル1に対し接離するシート3とを具備している。このノズル1、リテーナ2およびシート3によって、ガス燃料供給弁本体Xaが構成されている。また、上記エンジンは、列車、船舶および発電所用のみならず、往復動式空気圧縮機およびガス圧縮機といった各種圧縮機などに使用される。以下、上に述べたガス燃料供給弁Xの構成について個別に詳細に説明する。
【0044】<ハウジング>ハウジングX11は、図1に示すように、ガス供給マニホールドM1の下流端が連結されるガス燃料導入口X11aを一側方(図1では左側)に備えている。また、ハウジングX11は、エンジンの気筒に対し吸気を供給する吸気マニホールドM2の途中に開口するガス燃料排出口X11bを下部に備えている。そして、ハウジングX11内には、ガス燃料導入口X11aおよびガス燃料排出口X11bに対しそれぞれ連通するように上下方向に貫通する空間X11cが設けられ、この空間X11c内にガス燃料供給弁本体Xa(ノズル1、リテーナ2およびシート3)が収容されている。
【0045】さらに、ハウジングX11の上面側には、図示しないが、透磁性の高い磁気コアが設けられている。このコアは、矩形のブロックの形状を持ち、コイルを支持するための円形のチャンネルを有している。コイルは、コアを包囲するように巻付けられ、強い磁界を発生させるようになされている。そして、コアは、シート3を弁軸m方向上側へ移動させる可動片としてのアーマチュア4の真上にこのアーマチュア4とほとんど接触した状態で配置され、強い磁界によってアーマチュア4を迅速に引き付け、これによってシート3をノズル2から離してガス燃料供給弁Xを開弁させ、ガス燃料導入口X11aとガス燃料排出口X11bとを互いに連通させるようにしている。この場合、ガス燃料導入口X11aに供給されるガス燃料の圧力は、吸気マニホールドM2途中の圧力P1よりも高いP2(>P1)に設定され、ガス燃料供給弁Xの開弁時にガス燃料供給弁Xを通ったガス燃料が吸気マニホールドM2内にスムーズかつ迅速に供給されるようになされている。
【0046】<ノズル>ノズル1は、図1に示すように、略円盤状に形成され(図3および図4参照)、その下側部分の外周面がOリングX11dを介してガス燃料排出口X11bにシールされた状態で、止め輪X11eによって下方(吸気マニホールドM2側)に抜け落ち不能に装着されている。このノズル1には、ガス供給マニホールドM1からガス燃料導入口X11aに導入されたガス燃料(図1では破線矢印で示す)をシート3の下方からシート3のノズル側面3aに導く導入路11が設けられている。この導入路11は、図2〜図4に示すように、ノズル1の上側部分内を弁軸mと直交する直交線n方向(図2〜図4では左右方向)に貫通する貫通孔12を備えている。この貫通孔12の一端(図1〜図3では左端)は、ガス供給マニホールドM1に対向するようにガス燃料導入口X11aに開口している。そして、貫通孔12は、弁軸m方向から見てノズル1の中心部付近(後述する半径方向内側の環状溝15aの内周面付近)から弁軸m(後述するボルト収容穴部17)に近づくに従い幅が漸減するように細く形成されている。
【0047】また、図3に示すように、ガス燃料排出口X11bに対し露呈するノズル1の反シート側面1a(図1、図2および図5では下側の面)には、直交線nに対し線対称となるほぼ半月状の一対の穴部としての半月穴部13,13が凹設されている。一方、図2、図4および図5にも示すように、ノズル1のシート側面1b(図1、図2および図5では上側の面)には、弁軸mと同心円上に凹む溝としての環状溝14a,14b,14cが半径方向内側から所定間隔置きにそれぞれ凹設されている。この各環状溝14a〜14cは、図3および図5にも示すように、その底部がそれぞれ上記各半月穴部13に対し連通口13a,…を介して連通している。
【0048】そして、図1、図2および図4に示すように、ノズル1のシート側面1bには、最も半径方向内側の環状溝14aと半径方向中央の環状溝14bとの間において弁軸mと同心円上に凹む溝としての環状溝15aが、半径方向中央の環状溝14bと最も半径方向外側の環状溝14cとの間において弁軸mと同心円上に凹む溝としての環状溝15bがそれぞれ凹設されている。この各環状溝15a,15bは、図3および図5に示すように、その底部が上記貫通孔12(ガス供給マニホールドM1側)に対しそれぞれ連通口12a,12aを介して連通している。そして、各半月穴部13に対し連通する各環状溝14a〜14cと、貫通孔12に対し連通する各環状溝15a,15bとは、ノズルの半径方向所定間隔置きに交互に設けられている。この場合、ノズル1の導入路11からのガス燃料は、環状溝15a,15b内においてそれぞれ周方向に導かれ、シート3開放時にこの各環状溝15a,15bと半径方向内外両側にそれぞれ隣接する環状溝14a〜14cに対しその周方向から満遍なく導入されることになる。また、これらの環状溝14a〜14c,15a,15bのうち、環状溝14aおよび15aは、ノズル1の中心部付近に形成され、ガス燃料をシート3の半径方向内側に対し効率よく導く上で非常に有利なものとなる。
【0049】図1に示すように、ノズル1の上側部分の外周面側、つまりノズル1の上側部分と対応するハウジングX11の空間X11cの内周面には、周方向に連続する環状の周囲溝16が設けられている。この周囲溝16は、ガス燃料導入口X11a(ノズル1の導入路11)に対しガス燃料導入可能に連通している。この周囲溝16には、貫通孔12の他端(図1〜図3では右端)が開口している。この場合、ノズル1の導入路11からのガス燃料は、貫通孔12の両端からシート3の半径方向内側に向かって効率よくスムーズに導かれることになる。
【0050】また、ノズル1のシート側面1bの中心位置(最も内側の環状溝14aよりも半径方向内側)には、後述するボルトBTの頭部BTaをノズル1内に収容するボルト収容穴部17が凹設されている。このボルト収容穴部17は、シート3に対し当接する当接面上に位置し、図2に示すように、その底部が上記貫通孔12に対し連通口12b,12bを介して連通している。そして、図1に示すように、ボルト収容穴部17は、ボルトBTの頭部BTaを収容した状態で、ボルトBTの頭部BTaの周囲に隙間Sを有し、この隙間Sを介して貫通孔12からのガス燃料がシート3のノズル側面3aに導入されるようになっている。この場合、ノズル1内の貫通孔12が連通口12bを介してボルト収容穴部17と連通しているので、ノズル1の導入路11からのガス燃料は、貫通孔12を通ってスムーズに流れ、ボルト収容穴部17からシート3の半径方向内側に非常にスムーズに導かれることになる。しかも、ノズル1側からのガス燃料の供給系路としてボルト収容穴部17が利用され、ノズル1の中心部付近(弁軸m付近)を有効利用することが可能となる。
【0051】さらに、図1〜図3および図5に示すように、上記ノズル1のシート側面1bに開口する各環状溝14a〜14c,15a,15bおよびボルト収容穴部17の周縁は、その開口面積を拡大させるように面取り状に切り欠かれている。そして、図1に示すように、上記ノズル1の導入路11は、貫通孔12と、この貫通孔12に対し連通する環状溝15a〜15cと、周囲溝16と、ボルト収容穴部17の隙間Sとによって構成されている。この場合、図1に破線矢印で示すように、ノズル1の導入路11は、ガス燃料導入口X11aに導入されたガス燃料を貫通孔12の一端側、および周囲溝16を介して貫通孔12の他端側からそれぞれ貫通孔12内に導入し、この貫通孔12内に導入されたガス燃料を各環状溝15a〜15cおよびボルト収容穴部17の隙間Sを介してシート3のノズル側面3aに導くようになされている。
【0052】<リテーナ>リテーナ2は、図1に示すように、ノズル1とほぼ同一径の略円盤状に形成されている(図6および図7参照)。リテーナ2のシート側面2a(図1および図8では下面側)には、図8にも示すように、ノズル1に対してシート3が離間する開放時にシート3を受け止めるシート受け部21が設けられている。このシート受け部21は、リテーナ2のシート側面2aの半径方向内側に位置し、図7に示すように、略円筒状に形成されている。
【0053】また、リテーナ2は、図1に示すように、その上側部分の外周面がハウジングX11の空間X11cの上部(ガス燃料導入口X11aよりも上側)に2本の位置決めピン(図示せず)によって位置決めされた状態で取り付けられるようになっている。このリテーナ2には、ガス供給マニホールドM1からガス燃料導入口X11aに導入されたガス燃料をシート3の上方からシート3のノズル側面3aに導く導入路22が設けられている。この導入路22は、図7および図8にも示すように、シート受け部21よりも半径方向外側に位置するシート3のリテーナ側面3bの半径方向外側部分およびシート3の外周面をガス供給マニホールドM1に対し連通させる連通部23を備えている。この連通部23(シート受け部21の半径方向外側)は、図7に示すように、シート受け部21の周方向90°置きの4箇所に開口する開口21aを介してシート受け部21の半径方向内側に対し連通している。さらに、図1、図6〜図8にも示すように、リテーナ2の中心部には、アーマチュア4のボス部41を遊嵌状態で挿通可能とするアーマチュア挿通孔24が設けられている。そして、図1に示すように、上記リテーナ2の導入路22は、連通部23と、シート受け部21の各開口21aとによって構成されている。
【0054】<シート>シート3は、ノズル1およびリテーナ2よりも若干小径となる円盤状に形成されている(図10および図11参照)。シート3のリテーナ側面3b(図1および図12では上面側)には、図1および図11にも示すように、半径方向外側部分よりも半径方向内側部分が厚肉となる段差部31が設けられている。この場合、図1に破線矢印で示すように、リテーナ2の導入路22は、ガス燃料導入口X11aに導入されたガス燃料を連通部23内に導入し、この連通部23内に導入されたガス燃料をシート3の外周面3cに導くようになされている。
【0055】図1、図9〜図11に示すように、シート3の中心部には、ボルトBTの脚部BTbを挿通可能とする挿通孔32が設けられている。また、図1に示すように、上記リテーナ2のシート受け部21よりも半径方向内側において互いに対向するリテーナ2のシート側面2aとシート3の段差部31よりも半径方向外側のリテーナ側面3bとの間には、ノズル1のシート側面1bに対しシート3を当接させる方向(図1では下方)に付勢する単一の付勢スプリングSPが縮装されている。この付勢スプリングSPは、その伸縮軸(図示せず)が弁軸mと同心上となるように弁軸m周りに設けられている。
【0056】ここで、ガス燃料供給弁Xによるガス燃料の供給経路について説明する。この場合、ガス燃料供給弁Xは、図1の左側部分に示すように、閉弁状態とされているものとする。
【0057】先ず、ガス供給マニホールドM1を介して供給されるガス燃料は、ハウジングX11のガス燃料導入口X11aから導かれると、シート3を挟んでリテーナ2側とノズル1側とに上下に分けられる。
【0058】このとき、シート3よりもノズル1側(下側)に分けられたガス燃料が、ノズル1の導入路11を介してシート3のノズル側面3aに導入される。つまり、図1に破線矢印で示すように、ガス燃料導入口X11aに導入されたガス燃料は、貫通孔12の一端側(図1では左側)および周囲溝16を介して貫通孔12の他端側(図1では右側)から貫通孔12内に導入され、この貫通孔12内に導入されたガス燃料が環状溝15a,15bおよびボルト収容穴部17の隙間Sを介してシート3のノズル側面3aの半径方向内側に導かれる。
【0059】一方、シート3よりもリテーナ2側(上側)に分けられたガス燃料は、リテーナ2の導入路22からシート3のノズル側面3aに導入される。つまり、図1に破線矢印で示すように、ガス燃料導入口X11aに導入されたガス燃料は、連通部23内に導入され、この連通部23内に導入されたガス燃料がシート3の外周面3c(最外周部)に導かれる。このとき、各導入路11,22からシート3のノズル側面3aおよび外周面3cにそれぞれ導かれたガス燃料は、吸気マニホールドM2途中の圧力P1よりも高いP2(>P1)に設定され、この設定圧(P2)で、シート3のノズル側面3aおよび外周面3cに対しそれぞれ作用している。
【0060】そして、ガス燃料供給弁Xを開弁するに当たってコアに強い磁界を発生させると、この強い磁界によってアーマチュア4が迅速に引き付けられ、シート3が付勢スプリングSPの付勢力に抗してノズル1のシート側面1bから離間して開放(たとえば略0.4mm程度)することによって、ガス燃料供給弁Xが開弁する。
【0061】すると、ノズル1の導入路11からのガス燃料は、各環状溝15a,15bおよびボルト収容穴部17の隙間Sから、低圧側となるシート3のノズル側面3aの各環状溝14a〜14cに対し積極的に流入する。一方、リテーナ2の導入路22からのガス燃料は、シート3の外周面3c(連通部23)から最も外側の環状溝14cに対し積極的に流入する。
【0062】このノズル1の各環状溝14a〜14cに流入したガス燃料は、各連通孔13aを介して各半月穴部13に流入し、この各半月穴部13を介してハウジングX11のガス燃料排出口X11bから吸気マニホールドM2に排出され、この吸気マニホールドM2を介してエンジンの気筒に供給される。
【0063】その後、ガス燃料供給弁Xの開弁時間が経過すると、コアの磁界を消磁させ、アーマチュア4を付勢スプリングSPの付勢力によって下方に付勢してシート3をノズル1のシート側面1bに当接させて閉塞することによって、ガス燃料供給弁Xが閉弁する。これによって、各導入路11,22からシート3のノズル側面3aおよび外周面3cにそれぞれ導かれるガス燃料は、シート3のノズル側面3aによって遮断され、エンジンの気筒に対するガス燃料の供給が不能となる。
【0064】本実施形態の場合、ガス燃料はガス燃料導入口X11aにおいてリテーナ2側とノズル1側とに分けられる。そして、リテーナ2の導入路22から導入されるガス燃料は、シート3の外周面3cから直接シート3の半径方向外側に導かれるので、リテーナ2の導入路22からのガス燃料が細い孔を通ることなくシート3の外周面3cからシート3のノズル側面3aの最外周部に導入される。一方、ノズル1の導入路11から導入されるガス燃料は、一端側および周囲溝16を介した他端側から貫通孔12内に導入され、環状溝15a,15bおよびボルト収容穴部17の隙間Sを介してシート3のノズル側面3aの半径方向内側に導かれる。これにより、リテーナ2の導入路22を弁軸m付近(ボルトBT付近)まで延ばす必要がなく、ガス燃料がノズル1の導入路11を介してシート3の半径方向内側に対し効率よく導かれることになる。この結果、エンジンの気筒に対するガス燃料の供給がスムーズかつ効率よく行われ、エンジンの性能を十分に引き出すことができることになる。
【0065】しかも、ガス燃料が、リテーナ2の導入路22を介してシート3の外周面3cに、ノズル1の導入路11を介してシート3のノズル側面3aにそれぞれ導かれることにより、シート3は孔や溝を設ける必要のない無孔無溝の円板状のものに形成され、シート3の形状が非常に簡単なものとなり、シート3の強度を向上させることができる上、加工コストを低廉化させることができる。さらに、無孔無溝のシート3であれば、厚み(弁軸m方向の寸法)を薄くすることも可能となり、シート3が軽量化されて、シート3開閉時の応答性(開閉スピード)を非常に向上させることができる。
【0066】そして、ノズル1のシート側面1bの各環状溝15a,15bは弁軸mと同心円上に設けられているので、シート3が弁軸m回りに回転しても、常にノズル1の導入路11(貫通孔12)を各環状溝15a,15bに連通口12aを介して開口させることができる。しかも、ノズル1内を貫通する貫通孔12によって各環状溝15a,15bの連通口12aの数が増え、ボルト収容穴部17の連通口12bと相俟って、ノズル1の導入路11からのシート3のノズル側面3に対するガス燃料供給用のポート数、つまり環状溝15a,15bおよびボルト収容穴部17といったポートの数を十分に確保することができる。
【0067】また、各半月穴部13は、ノズル1反シート側面1aにおいて弁軸mと直交する直交線nに対し線対称に凹設され、連通口13aを介してノズル1のシート側面1bの各環状溝14a〜14cと連通しているので、シート3のノズル側面3aに導かれたガス燃料は、シート3開放時にノズル1のシート側面1bの各環状溝14a〜14cに流れ込み、この各環状溝14a〜14cから大きな各半月穴部13を介してエンジンの気筒側(吸気マニホールドM2側)にスムーズに供給されることになる。そして、各環状溝14a〜14cも弁軸mと同心円上に設けられているので、シート3開放時にシート3が弁軸m回りに回転しても、常に各環状溝14a〜14cを連通口13aを介して各半月状穴部13に開口させることができる。しかも、各半月穴部13が、弁軸mと直交する直交線nに対し線対称に設けられていることにより、ノズル1内において直交線n方向に延びる貫通孔12に対し干渉することなく容易に形成することができる。
【0068】さらに、リテーナ2のシート受け部21よりも半径方向内側において互いに対向するリテーナ2のシート側面2aとシート3の段差部31よりも半径方向外側のリテーナ側面3bとの間に単一の付勢スプリングSPが縮装されていることにより、リテーナ2とシート3との間において付勢スプリングSPのレイアウトなどに悩まされることがなく、簡単かつ低コストな付勢スプリングSPを提供することができる。しかも、この付勢スプリングSPは、その伸縮軸(図示せず)が弁軸mと同心上となるように弁軸m周りに設けられているので、リテーナ2の導入路22が付勢プリングSPと干渉することなく半径方向外方側において自由にレイアウトすることが可能となり、リテーナ2の導入路22のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0069】加えて、リテーナ2のシート受け部21よりも半径方向内側に付勢スプリングSPが設けられているので、シート受け部21は、付勢スプリングSPとの干渉を回避しつつ半径方向内方側に近付けられることになり、シート3開放時にリテーナ2のシート受け部21に当接するシート3の衝撃を半径方向内方側において効率よく緩和させることができる。
【0070】さらにまた、貫通孔12は、弁軸m方向から見て半径方向内側の環状溝15aの内周面付近からボルト収容穴部17に近づくに従い幅が漸減するように細く形成されているので、ガス燃料排出口X13b側(吸気マニホールドM2側)に開口する各半月穴部13の半径方向内側における開口面積が確保され、シート3の半径方向内側から排出されるガス燃料を吸気マニホールドM2に対しスムーズに供給することができる。
【0071】そして、各環状溝14a〜14c,15a,15bおよびボルト収容穴部17の周縁は、その開口面積を拡大させるように面取り状に切り欠かれているので、シート3(ノズル側面3a)との当接による各環状溝14a〜14c,15a,15bおよびボルト収容穴部17の周縁での割れなどが防止され、ノズル1の強度を高めることができる。また、各環状溝14a〜14c,15a,15bおよびボルト収容穴部17の周縁での開口面積が拡大されることにより、シート3の開放時、各環状溝15a,15bおよびボルト収容穴部17からのガス燃料を非常に排出しやすいものにすることができる一方、この排出されたガス燃料を各環状溝14a〜14cに対し非常に供給しやすいものにすることができる。
【0072】<<第2の実施の形態>>次に、本発明の第2の実施形態に係わるガス燃料供給弁を図12〜図14に基づいて説明する。
【0073】この実施形態では、上記第1の実施形態のノズルの貫通孔および反シート側面の穴部の形状を変更している。なお、ノズルの貫通孔および穴部を除くその他の構成は、第1の実施形態の場合と同じであり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】すなわち、図12および図13に示すように、ノズル1´の貫通孔12´は、弁軸m方向から見てノズル1´の半径方向内側に行くに従い幅が漸減するように、ボルト収容穴部17に要部分が位置する一対の扇を直交線n方向に並べた形状に形成されている。このノズル1´の貫通孔12´は、ボルト収容穴部17に対し連通口12b´を介して連通している。また、図12に示すように、ノズル1´のシート側面1b´の環状溝15a,15bは、その底部が上記貫通孔12´に対しそれぞれ2つの連通口12a´を介して連通している。そして、ノズル1´の導入路11´は、貫通孔12´と、この貫通孔12´と2つの連通孔12a´を介して連通する環状溝15a,15bと、ボルト収容穴部17の隙間S(図1参照)とによって構成されている。この場合、ノズル1´の導入路11´は、ガス燃料導入口X11aに導入されたガス燃料を貫通孔12´の一端側から導入し、この貫通孔12´内に導入されたガス燃料を環状溝15a,15bおよびボルト収容穴部17の隙間Sを介してシート3のノズル側面3aにスムーズに導くようになされている。
【0075】また、ガス燃料排出口X11bに対し露呈するノズル1´の反シート側面1a´(図14では下側の面)には、直交線nに対し線対称となる扇状の一対の穴部18,18が凹設されている。そして、図12および図13に示すように、ノズル1´のシート側面1b´(図14では上側の面)の環状溝14a,14b,14cは、その底部がそれぞれ上記各穴部18(エンジンの気筒側)に対し連通口18a,…を介して連通している。
【0076】この実施形態の場合、ノズル1´の導入路11´からのガス燃料は、ノズル1´の半径方向外側において大きく開口する貫通孔12´にスムーズに流れ込み、この貫通孔12´を通って各環状溝15a,15bおよびボルト収容穴部17からシート3の半径方向内側に非常にスムーズに導かれることになる。
【0077】しかも、ノズル1´内を貫通する扇状の貫通孔12´によって各環状溝15a,15bの底部に対する各連通口12a´の開口面積が増大し、ノズル1´の導入路11´からのシート3のノズル側面3aに対するガス燃料供給用のポート径が十分に確保されることになる。
【0078】さらに、貫通孔12´は、弁軸m方向から見てノズル1´の半径方向内側に行くに従い幅が漸減していることにより、ガス燃料排出口X13b側(吸気マニホールドM2側)に開口する各穴部18の半径方向内側における開口面積が確保され、シート3の半径方向内側から排出されるガス燃料を吸気マニホールドM2に対しスムーズに供給することができる。
【0079】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1におけるガス燃料供給弁によれば、燃料供給源からのガス燃料を、シートを挟んでリテーナ側とノズル側とに分け、リテーナ側のガス燃料をシートの最外周部から供給する一方、ノズル側のガス燃料をノズルの導入路を介してシートの半径方向内側から供給するので、ガス燃料を効率よく内燃機関に供給し、内燃機関の性能を十分に引き出すことができる。しかも、導入路をシートのノズル側面に開口させる穴部や溝をシートに形成不要とし、シートの形状を非常に簡単なものにして、シートの強度を向上させることができる上、加工コストを低廉化させることができる。
【0080】本発明の請求項2におけるガス燃料供給弁によれば、ノズルのシート側面に弁軸と同心円上の溝を凹設することで、ガス燃料を供給し難いシートの半径方向内側に対してガス燃料を円滑に導き、リテーナの導入路によるシートの最外周部へのガス燃料の導入と相俟って、シートの開放時にガス燃料をトータルで供給し易いものにすることができる。しかも、シートを無孔無溝の板状物により構成することで、シートの形状をより簡単なものとし、シートの強度を一層向上させることができる上、加工コストもさらに低廉化させることができる。加えて、シートの厚みを薄くし、シートを軽量化させて、シート開閉時の応答性を非常に向上させることもできる。さらに、シートの弁軸回りの回転とは無関係に、常にノズルの導入路を溝を介してシートのノズル側面に開口させることができる。
【0081】本発明の請求項3におけるガス燃料供給弁によれば、ノズルの導入路の貫通孔をノズル内のボルト収容穴部に対し連通させることで、ノズルの導入路からのガス燃料を貫通孔にスムーズに流し、ボルト収容穴部からシートの半径方向内側に非常にスムーズに導くことができる。また、ボルト収容穴部によってノズルの中心部付近を有効利用することができる。しかも、貫通孔によって溝の底部に対する連通箇所を増加させ、ボルト収容穴部と相俟って、ガス燃料供給用のポート数を十分に確保することができる。さらに、貫通孔の中心部付近を細くすることで、燃料ガス排出用経路の開口面積を確保し、ガス燃料を内燃機関に対しスムーズに供給することができる。
【0082】本発明の請求項4におけるガス燃料供給弁によれば、ノズル内の貫通孔の幅をノズルの半径方向内側に行くに従い漸減させることで、ノズルの半径方向内側における燃料ガス排出用経路の開口面積を漸増させ、ガス燃料を内燃機関に対しスムーズに供給することができる。
【0083】本発明の請求項5におけるガス燃料供給弁によれば、ノズルのシート側面の弁軸と同心円上の複数の溝を、内燃機関側および燃料供給源側に対し交互に連通させることで、ノズルの導入路からのガス燃料を溝を介して周方向に導き、シート開放時にこの溝と隣接する溝に対しその周方向から満遍なく導入することができる。
【0084】本発明の請求項6におけるガス燃料供給弁によれば、ノズルのシート側面の弁軸と同心円上の複数の溝を、シートの半径方向内側にて内燃機関側および燃料供給源側に対し交互に連通させることで、ノズルの導入路からのガス燃料をシートの半径方向内側の溝を介して周方向に導き、シート開放時にこの溝と隣接する溝に対しその周方向から満遍なく導入することができる。また、各溝をノズルの中心部付近まで形成することができ、ガス燃料をシートの半径方向内側に対し効率よく導く上で非常に有利なものとなる。
【0085】本発明の請求項7におけるガス燃料供給弁によれば、ノズルのシート側面の溝をノズルの反シート側面の半月状の一対の穴部に対し連通させることで、シート開放時にノズルのシート側面の溝に流れ込むガス燃料を大きな半月状の各穴部を介して内燃機関側にスムーズに供給することができる。また、各穴部を直交線に対し線対称に設けることで、ノズル内において直交線方向に延びる導入路に対し干渉することなく各穴部を容易に形成することができる。
【0086】本発明の請求項8におけるガス燃料供給弁によれば、強度的に弱い溝の周縁を面取り状に切り欠くことで、シートとの当接による溝の周縁での割れなどを防止でき、ノズルの強度を高めることができる。しかも、溝の周縁での開口面積を拡大させて、シートの開放時に溝からのガス燃料を非常に排出しやすいものにできる一方、この排出されたガス燃料を溝に対し非常に供給しやすいものにできる。
【0087】本発明の請求項9におけるガス燃料供給弁によれば、ノズルの外周面側の周囲溝をノズルの貫通孔に対し半径方向外側から連通させることで、ノズルの導入路からのガス燃料を周囲溝を介して貫通孔の両端からシートの半径方向内側に効率よくスムーズに導くことができる。
【0088】さらに、本発明の請求項10におけるガス燃料供給弁によれば、シート受け部よりも半径方向内側のリテーナとシートとの間に単一の付勢スプリングを縮装することで、付勢スプリングのレイアウトなどに悩むことなく、簡単かつ低コストな付勢スプリングを提供することができる。しかも、付勢スプリングの伸縮軸を弁軸と同心上に設けることで、リテーナの導入路を付勢プリングと干渉することなく半径方向外方側に自由にレイアウトすることができ、リテーナの導入路のレイアウトの自由度を高めることができる。さらに、付勢スプリングをシート受け部よりも半径方向内側に設けることで、シート受け部を付勢スプリングとの干渉を回避しつつ半径方向内方側に近付けることができ、シート開放時のシートの衝撃を効率よく緩和させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成11年12月24日(1999.12.24)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
【公開番号】 特開2001−182623(P2001−182623A)
【公開日】 平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願番号】 特願平11−367870