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【発明の名称】 キャブレタ
【発明者】 【氏名】中村 春信

【氏名】上村 賢治

【要約】 【課題】エンジンの回転速度が高くなるに従って増加する燃料消費量の割合を少なくすることを課題とするものである。

【解決手段】ベンチュリ管20の喉部20aに燃料の噴霧ノズル21を設け、この噴霧ノズル21に導通する燃料充填室22を設け、燃料タンクに導通する室23と前記燃料充填室22との間に燃料の流通量を調整するニードルバルブ24を設け、このニードルバルブ24の基端部24aを中間部25aが支軸25dで回動自在に支持されたレバー25の一端部25bに取り付け、このレバー25の他端部25cを、前記燃料充填室22と気体充填室26との境に設けたダイヤフラム27の面の中央部に設けた当接部27aに当接させ、キャブレタを備えたエンジンの回転速度が高くなるに従って、燃料の消費量が多くなる割合が従来のキャブレタより小さくなるように、前記気体充填室26に導通する通気孔28を、ベンチュリ管20の縮径部20bの最良の設計位置に設けたことを特徴とするキャブレタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ベンチュリ管の喉部に燃料の噴霧ノズルを設け、この噴霧ノズルに導通する燃料充填室を設け、燃料タンクに導通する室と前記燃料充填室との間に燃料の流通量を調整するニードルバルブを設け、このニードルバルブの基端部を中間部が回動自在に支持されたレバーの一端部に取り付け、このレバーの他端部を、前記燃料充填室と気体充填室との境に設けたダイヤフラムの面に当接させ、キャブレタを備えたエンジンの回転速度が高くなるに従って、燃料の消費量が多くなる割合が従来のキャブレタより小さくなるように、前記気体充填室に導通する通気孔を、ベンチュリ管の縮径部の位置に設けたことを特徴とするキャブレタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のシリンダに供給する混合ガス(空気と燃料の混合ガス)を生成するためのキャブレタ(気化器)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は従来のこの種のキャブレタの原理を示す断面図であり、ベンチュリ管1の喉部2に燃料(例えばガソリン)の噴霧ノズル3を設け、この噴霧ノズル3に導通する燃料充填室4を設け、燃料タンクに導通する室5と前記燃料充填室4との間に燃料の流通量を調整するニードルバルブ6を設け、このニードルバルブ6の基端部6aを、中間部7aが回動自在に支軸8で支持されたレバー7の一端部7bに取り付け、このレバー7の他端部7cを、前記燃料充填室4と気体充填室9との境に設けたダイヤフラム10の面の当接部10aに当接させ、前記気体充填室9から大気に導通する通気孔11を設けたキャブレタとしたものである。なお、ベンチュリ管1の空気の入口側1aはエアクリーナに接続され、ベンチュリ管1の混合ガスの出口側1bは図示しないシリンダに導通される。
【0003】図5は従来の他のキャブレタの原理を示す断面図であり、図4に示す従来例と相違する点は、前記気体充填室9に導通する通気管12を、エアクリーナ13とキャブレタとの連結部材14に連接したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、排気ガス中の有害成分の量の低減化を図って開発された4サイクルエンジンは、4サイクルエンジンでありながら、キャブレタで生成された混合ガスをクランクケースに吸入してピストンの後退時に圧縮した後に、シリンダの吸入弁に送り込むようになっている。すなわち、このようなエンジンを加給気付きエンジンと言い、キャブレタのベンチュリ管の喉部にかかる負圧が、通常のエンジンのキャブレタにかかる負圧よりも大きい。
【0005】図4に示す従来のキャブレタは、前記燃料充填室4と気体充填室9との境に設けたダイヤフラム10の片側の気体充填室9に大気圧がかかっているので、図6において点線で示す特性曲線で示すように、エンジンの回転速度が高くなればなるほど、ベンチュリ管1の喉部2にかかる負圧が大きくなって、ダイヤフラム10が燃料充填室4側に変位し、その変位に従って前記レバー7の他端部7cが押動され、レバー7の一端部7bに取り付けたニードルバルブ6の開口が大きくなって、この開口を通る燃料が多くなり、燃料の消費量が多くなる。すなわち、混合ガスの燃料が占める割合が多くなると、かえってエンジンの出力が低下するとともに、排気ガス中の有害成分の量も多くなるなどの不具合が発生する。
【0006】図5に示す従来のキャブレタは、前記気体充填室9に導通する通気管12を、エアクリーナ13とキャブレタとの連結部材14に連接したので、前記気体充填室9には、大気圧よりやや低い気圧がかかるが、エンジンの回転速度が高くなるに従って、燃料の消費量が多くなる点は、図4に示す従来の場合とあまり変わらない。本発明は、エンジンの回転速度が高くなるに従って、燃料の消費量が多くなる割合が従来のキャブレタより小さくなるようにすることによって、燃料の消費量を少なくするとともに、排気ガス中の有害成分の量の低減を図ることができるキャブレタを提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明は、図1に示すように、ベンチュリ管20の喉部20aに燃料の噴霧ノズル21を設け、この噴霧ノズル21に導通する燃料充填室22を設け、燃料タンクに導通する室23と前記燃料充填室22との間に燃料の流通量を調整するニードルバルブ24を設け、このニードルバルブ24の基端部24aを中間部25aが支軸25dで回動自在に支持されたレバー25の一端部25bに取り付け、このレバー25の他端部25cを、前記燃料充填室22と気体充填室26との境に設けたダイヤフラム27の面の中央部に設けた当接部27aに当接させ、キャブレタを備えたエンジンの回転速度が高くなるに従って、燃料の消費量が多くなる割合が従来のキャブレタより小さくなるように、前記気体充填室26に導通する通気孔28を、ベンチュリ管20の縮径部20bの最良の設計位置に設けたことを特徴とするキャブレタとしたものである。なお、ベンチュリ管20の空気の入口側20cはエアクリーナに接続され、ベンチュリ管20の混合ガスの出口側20dは後述する図3に示したシリンダに導通される。
【0008】このように、キャブレタを備えたエンジンの回転速度が高くなるに従って、燃料の消費量が多くなる割合が従来のキャブレタより小さくなるように、前記気体充填室26に導通する通気孔28を、ベンチュリ管20の縮径部20bの最良の設計位置に設けたことにより、エンジンの高速回転時に、前記燃料充填室22と気体充填室26との圧力差が、従来のキャブレタに比べて小さくなるので、この圧力差に応じて変位する前記ダイヤフラム27の変位量が少なくなり、この変位量に応じてニードルバルブ24の開閉が調整され、その開閉調整による燃料の流量が、従来のキャブレタより少なくなる。
【0009】前記通気孔28をベンチュリ管20の縮径部20bの最良の設計位置に設けるには、まず、通気孔28をベンチュリ管20の縮径部20bの所望位置に設定してキャブレタを作り、このキャブレタを備えたエンジンで、回転速度に対する燃料消費量の特性を測定する。その測定の一例を示すと、図6において、実線で示すようになる。つぎに、前記通気孔28をベンチュリ管20の縮径部20bの他の所望位置に設定して同様の測定を行う。そして、これらの測定結果を比較検討すると、ベンチュリ管20の縮径部20bの最良の設計位置に前記通気孔28を設定することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】図2は本発明を含んだキャブレタの実施の形態を示す縦断面図であり、本発明は、図1に示す部分と同一部分には同一符号を付けて説明すると、ベンチュリ管20の喉部20aに燃料の噴霧ノズル21を設け、この噴霧ノズル21に導通する燃料充填室22を設け、燃料タンクに導通する室23と前記燃料充填室22との間に燃料の流通量を調整するニードルバルブ24を設け、このニードルバルブ24の基端部24aを中間部25aが支軸25dで回動自在に支持されたレバー25の一端部25bに取り付け、このレバー25の他端部25cを、前記燃料充填室22と気体充填室26との境に設けたダイヤフラム27の面の中央部に設けた当接部27aに当接させ、キャブレタを備えたエンジンの回転速度が高くなるに従って、燃料の消費量が多くなる割合が従来のキャブレタより小さくなるように、前記気体充填室26に導通する通気孔28を、ベンチュリ管20の縮径部20bの最良の設計位置に設けたものである。
【0011】さらに、このキャブレタの実施の形態を詳細に説明すると、燃料(例えばガソリン)は、燃料タンクに導通する燃料吸入口29から吸入され、濾過部材30とインレットバルブ31を通って燃料タンクに導通する室23aに充填される。燃料がこの室23aに充填されるようにするために、エンジンのインパルスすなわちクランクケース内の(+)圧と(−)圧が交互に加わる流通孔32に導通する室33と前記室23aとの間に、フューエルポンプ・ダイヤフラム34が設けられており、従って、エンジンが回転し、エンジンのインパルスが前記室33に加わることにより、フューエルポンプ・ダイヤフラム34が図において上下に変位して、前記燃料吸入口29から室23aに燃料が吸引されて充填される。
【0012】前記燃料が充填された室23aに連通する部屋23bと前記ニードルバルブ24が設けられた室23(燃料タンクに導通する室)との間に設けたアウトレット・バルブ35を通って、前記室23に燃料が充填される。この室23に充填された燃料は、エンジンの回転時に、前記燃料充填室22と気体充填室26との圧力差に応じて変位する前記ダイヤフラム27の変位量に応じてニードルバルブ24の開閉が調整されて、燃料が前記燃料充填室22に充填される。この燃料の充填量は、エンジンの回転速度が高くなるに従って、前記ダイヤフラム27およびレバー25が大きく変位し、前記ニードルバルブ24が大きく開いて多くなる。そして、前記燃料充填室22に充填された燃料は、チェックバルブ21a(逆流防止機能を有する)を介して噴霧ノズル21へ流れる。なお、符号36は前記レバー25を復帰させるコイルスプリングである。
【0013】前記燃料充填室22に連通して、キャブレタの外部からエンジンの始動時に手で押動・離間させることによって弁37aが開閉して、燃料充填室22の燃料をオーバフロー・パイプ38側に押し出すためのポンプ37が設けられている。このオーバフロー・パイプ38は燃料タンクに連通している。なお、符号39は前記噴霧ノズル21に挿入量を調整可能に挿入したニードルピンで、このニードルピン39の調整ねじ頭39aを回すことによって噴霧ノズル21へのニードルピン39の挿入量を調整して、燃料の噴霧量を調整することができる。
【0014】図3の(a)は前記のようなキャブレタを備えた小形エンジンの縦断面図で、図3の(b)は図3の(a)におけるA−A断面図であり、潤滑油を含んだ燃料と空気の混合ガスがキャブレタCから混合ガスの流通路40を経てシリンダ41内に供給されるよう逆止弁(例えばリードバルブ)42を備えた混合ガスの吸入口43が、ピストン44の上死点付近ではピストン44によって完全に開かれるようにシリンダ内壁41aに穿設され、前記ピストン44の上死点以外の移動においてピストン44との間に所定の間隙が生じるようにシリンダ内壁41aに前記吸入口43に連通する凹溝41bが形成されている。なお、42aは前記逆止弁42のストッパである。
【0015】前記ピストン44の下降行程によってクランク室45に押圧された混合ガスが、クランク室内壁45aに穿設された混合ガスの出口45bからシリンダ41の外側に押し出され、シリンダ41の外側から、吸入弁48および排気弁49を開閉駆動する動弁機構50に連通する混合ガス通路(図示しない)を経て、さらに、前記吸入弁48に連通するように吸気通路51を設けている。なお、前記混合ガスの出口45bには、混合ガスがクランク室45に逆流しないように逆止弁(リードバルブ)52が設けられている。符号52aはこの逆止弁52のストッパである。
【0016】このような機構にしたことにより、ピストン44の下降行程によってクランク室45に押圧された混合ガスが、クランク室内壁45aに穿設された混合ガスの出口45bからシリンダ41の外側に押し出され、シリンダ41の外側に設けられた前記吸入弁48と排気弁49とを開閉する動弁機構50に連通する混合ガス通路を経て、シリンダ41の頂部の吸入弁48に連通する吸気通路51に流入し、吸入弁48が開弁した時に押圧された混合ガスが吸入弁48を通ってシリンダ41内に流入するので、エンジンの出力が向上する。
【0017】また、クランク室45で押圧された混合ガスが、前記吸入弁48および排気弁49を開閉するロッカアーム50a,50bを駆動するプッシュロッドなどを備えた動弁機構50が配設された混合ガス通路および吸気通路51を経て吸入弁48に流れるので、混合ガスに含まれた潤滑油が前記動弁機構50の各構成部材に付着して潤滑作用がよくなる。
【0018】また、前記シリンダ内壁41aに穿設した逆止弁42を備えた混合ガスの吸入口43に、前記ピストン44が移動して来たときに、前記吸入口43から流入して来た混合ガスの一部が、ピストン44の内部のコンロッド61の先端連結部Xに当たるように、前記ピストン44に貫通孔44aを穿設している。このように機構としたことにより、前記吸入口43からシリンダ41内に吸入される混合ガスの一部がピストン44の貫通孔44aを通って内部のコンロッド61の先端連結部Xに当たるので、前記先端連結部Xの潤滑作用がよくなる。また、前記動弁機構50やシリンダ41内やピストン44に付着した潤滑油は、順次燃焼するので、潤滑油を回収する手段は必要なく、勿論、オイルパンも必要ないので、エンジンを360°どの方向に傾けても運転することができる。
【0019】また、前記キャブレタCは、縦型のシリンダ41に隣接し排気口46に連結して設けたマフラ47の位置と反対側で、かつ、燃料タンク53の上方位置に配設されている。なお、符号53aは燃料タンク53のキャップである。また、図3に示す、符号54は前記ロッカアーム50aを押し上げて吸入弁48を閉じるコイルスプリング、55は前記ロッカアーム50bを押し上げて排気弁49を閉じるコイルスプリングで、ロッカアーム50a,50bの他端を前記コイルスプリング54,55に抗して押し下げて、吸入弁48と排気弁49とを交互に開くようになっている。前記のような動弁機構50を構成する各部材が、前記クランク室内壁45aに穿設された混合ガスの出口45bからシリンダ内壁41aの外側を通って吸入弁48に連通するように設けられた混合ガスの流通路の中に設けられている。また、符号56は前記動弁機構50およびロッカアーム機構を覆ったカバー、57はエアクリーナ、58はエアクリーナのカバー、59は一端に取付けたウエイト付フィルタ60を燃料タンク53の中に入れ、他端をキャブレタCに接続した燃料パイプである。
【0020】
【発明の効果】本発明は前記のように、すなわち、ベンチュリ管の喉部に燃料の噴霧ノズルを設け、この噴霧ノズルに導通する燃料充填室を設け、燃料タンクに導通する室と前記燃料充填室との間に燃料の流通量を調整するニードルバルブを設け、このニードルバルブの基端部を中間部が回動自在に支持されたレバーの一端部に取り付け、このレバーの他端部を、前記燃料充填室と気体充填室との境に設けたダイヤフラムの面に当接させ、キャブレタを備えたエンジンの回転速度が高くなるに従って、燃料の消費量が多くなる割合が従来のキャブレタより小さくなるように、前記気体充填室に導通する通気孔を、ベンチュリ管の縮径部の位置に設けたキャブレタとしたので、エンジンの回転速度が高くなるに従って、燃料の消費量が多くなる割合が、従来のキャブレタより小さくなるので、燃料の消費量を少なくするとともに、排気ガス中の有害成分の量の低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000190312
【氏名又は名称】新ダイワ工業株式会社
【出願日】 平成11年12月22日(1999.12.22)
【代理人】 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
【公開番号】 特開2001−182621(P2001−182621A)
【公開日】 平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願番号】 特願平11−364061