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【発明の名称】 補償シールエレメントを備えた燃料噴射弁
【発明者】 【氏名】ヴォルフガング リューレ

【氏名】フーベルト シュティーア

【氏名】マッティアス ベー

【氏名】ギュンター ホール

【氏名】ノルベルト カイム

【要約】 【課題】燃料の燃料圧によってアクチュエータシール装置に作用する力が、アクチュエータに完全に伝達されることのないような燃料噴射弁を提供する。

【解決手段】アクチュエータシール装置が、流入側のシールエレメント25と、噴射側のシールエレメント26とを有しており、両シールエレメント25,26が、弾性的に変形可能に形成されていて、操作部材10に力伝達可能に結合されており、アクチュエータ15が、操作スリーブ10を介して弁閉鎖体5に作用するようになっており、燃料の燃料圧によって形成された、操作スリーブ10を介してアクチュエータ15に作用する力が、少なくとも部分的に補償されるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料噴射弁(1)であって、アクチュエータシール装置によって燃料に対してシールされた圧電式のまたは磁気ひずみ式のアクチュエータ(15)と、該アクチュエータ(15)によって操作可能な弁閉鎖体(5)とが設けられており、該弁閉鎖体(5)が、弁座面(4)と協働してシール座部を形成している形式のものにおいて、アクチュエータシール装置が、流入側のシールエレメント(25)と、噴射側のシールエレメント(26)とを有しており、両シールエレメント(25,26)が、弾性的に変形可能に形成されていて、操作部材(10)に力伝達可能に結合されており、アクチュエータ(15)が、操作スリーブ(10)を介して弁閉鎖体(5)に作用するようになっており、燃料の燃料圧によって形成された、操作スリーブ(10)を介してアクチュエータ(15)に作用する力が、少なくとも部分的に補償されることを特徴とする、補償シールエレメントを備えた燃料噴射弁。
【請求項2】 少なくとも1つのシールエレメント(25,26)が、操作スリーブ(10)に結合されている内側の金属製リング(27,32)と、燃料噴射弁(1)の弁ケーシング(2)に少なくとも間接的に結合されている外側の金属製リング(29,33)とを有している、請求項1記載の燃料噴射弁。
【請求項3】 内側の金属製リング(27,32)が、全周にわたって延びる溶接シーム(28,35)によって操作スリーブ(10)に結合されている、請求項2記載の燃料噴射弁。
【請求項4】 外側の金属製リング(29,33)が、全周にわたって延びる溶接シーム(30,36)によって弁ケーシング(2)に結合されている、請求項2または3記載の燃料噴射弁。
【請求項5】 シールエレメント(25,26)が、金属製リング(27,29,32,33)に結合されたプラスチックエレメント(31,34)を有している、請求項2から4までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
【請求項6】 プラスチックエレメント(31,34)が、加硫によって金属製リング(27,29,32,33)に結合されている、請求項5記載の燃料噴射弁。
【請求項7】 少なくとも1つのシールエレメント(25,26)がダイアフラムを有している、請求項1記載の燃料噴射弁。
【請求項8】 シールエレメント(25,26)の横断面の差によって、操作スリーブ(10)を介してアクチュエータ(15)に作用する力の、完全な補償が達成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
【請求項9】 液圧的な閉鎖力を補償するために、流入側のシールエレメント(25)の横断面が、座部直径(d)によって付与された横断面の分だけ、噴射側のシールエレメント(26)の横断面よりも小さく寸法設定されている、請求項8記載の燃料噴射弁。
【請求項10】 操作スリーブ(10)が切欠き(11)を有しており、該切欠き(11)が、燃料噴射弁(1)の燃料入口(9)からシール座部に通じる燃料案内部の部分を成している、請求項1から9までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
【請求項11】 アクチュエータ(15)の端面(18)が、操作スリーブ(10)のつば(19)に接触している、請求項1から10までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
【請求項12】 アクチュエータ(15)の端面(16)が、弁ケーシング(2)のつば(17)に接触している、請求項1から11までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料噴射弁、特に内燃機関の燃料噴射装置のための噴射弁であって、アクチュエータシール装置によって燃料に対してシールされた圧電式のまたは磁気ひずみ式のアクチュエータと、該アクチュエータによって操作可能な弁閉鎖体とが設けられており、該弁閉鎖体が、弁座面と協働してシール座部を形成している形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4005455号明細書に基づき、請求項1の上位概念部に記載した形式の燃料噴射弁が公知である。上記ドイツ連邦共和国特許出願公開第4005455号明細書に基づき公知の燃料噴射弁は、アクチュエータ室内に配置されたアクチュエータを有している。アクチュエータ室は、ばね状ダイアフラムから成るアクチュエータシール装置によって燃料噴射弁の燃料室に対してシールされている。この燃料室内には、燃料入口を介して高い圧力の燃料が充填される。したがって、燃料の燃料圧が、燃料室の側からアクチュエータシール装置を負荷しており、これによって、アクチュエータシール装置の横断面に関連した力がアクチュエータに作用するようになっている。
【0003】上記ドイツ連邦共和国特許出願公開第4005455号明細書に基づき公知の燃料噴射弁は、燃料の燃料圧によってアクチュエータシール装置に作用する力がアクチュエータに完全に伝達されるという欠点を有している。この場合、圧力変動時には特に、アクチュエータに制御不能な機械的負荷が生ぜしめられ、この機械的負荷によって、アクチュエータ材料が破壊され、しかも、行程変動が引き起こされる。
【0004】さらに、アクチュエータが燃料の押圧力とは逆方向へ操作される場合には、アクチュエータの戻り位置で散逸する高いフィールドエネルギ(Feldenergie)がアクチュエータ内に蓄積される。これによって、アクチュエータが加熱するので、アクチュエータの過熱を防止するために適当な手段が講じられなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の燃料噴射弁を改良して、燃料の燃料圧によってアクチュエータシール装置に作用する力が、アクチュエータに完全に伝達されることのないような燃料噴射弁を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために本発明の構成では、アクチュエータシール装置が、流入側のシールエレメントと、噴射側のシールエレメントとを有しており、両シールエレメントが、弾性的に変形可能に形成されていて、操作部材に力伝達可能に結合されており、アクチュエータが、操作スリーブを介して弁閉鎖体に作用するようになっており、燃料の燃料圧によって形成された、操作スリーブを介してアクチュエータに作用する力が、少なくとも部分的に補償されるようにした。
【0007】
【発明の効果】請求項1の特徴部に記載の特徴を備えた本発明による燃料噴射弁は従来のものに比べて、アクチュエータの、力補償されたシールが達成されるという利点を有している。これによって、燃料噴射弁を操作するためには、僅かなアクチュエータ力しか必要とならない。さらに、燃料の圧力変動が補償されるので、行程変動が回避される。
【0008】請求項2以下に記載した手段によって、請求項1に記載した燃料噴射弁の有利な変化形が可能となる。
【0009】少なくとも1つのシールエレメントが、操作スリーブに結合されている内側の金属製リングと、燃料噴射弁の弁ケーシングに少なくとも間接的に結合されている外側の金属製リングとを有していると有利である。これによって、燃料の、高い燃料圧を克服する、力伝達可能な結合部が形成されている。
【0010】内側の金属製リングが、全周にわたって延びる溶接シームによって操作スリーブに結合されていると有利である。さらに、外側の金属製リングが、全周にわたって延びる溶接シームによって弁ケーシングに結合されていると有利である。これによって、簡単に形成したい、安定したかつ形状接続的(formschluessig)な結合部が形成されている。さらに、この結合部は燃料(燃料圧)に対する抵抗力を有している。
【0011】シールエレメントが、金属製リングに結合されたプラスチックエレメントを有していると有利である。これによって、シールエレメントの簡単な製造が達成されている。この場合、プラスチックエレメントの選択によってシールエレメントを、燃料噴射弁の、特殊の挿入体に適合させることができる。たとえば、弾性的に変形可能なプラスチックエレメントの選択によって、形成接続的な結合のままで、アクチュエータの、大きなアクチュエータ行程が可能となる。
【0012】プラスチックエレメントが、加硫によって金属製リングに結合されていると有利である。これによって、金属製リングとプラスチックエレメントとの形状接続的(formschluessig)な結合部が形成されている。この結合部は製造技術的に簡単に実現することができる。
【0013】少なくとも1つのシールエレメントがダイアフラムを有していると有利である。これによって、大きな位置調整移動が可能となる。
【0014】シールエレメントの横断面の差によって、操作スリーブを介してアクチュエータに作用する力の、完全な補償が達成されていると有利である。シールエレメントによって操作スリーブに伝達される力は、主として、燃料圧とシールエレメントの横断面との積から形成されるので、操作スリーブの横断面が等しい場合には、伝達される力は、シールエレメントの横断面の変化によって変えられ得る。こうして、操作スリーブに作用する力平衡を獲得することができる。
【0015】操作スリーブが切欠きを有しており、この切欠きが、燃料噴射弁の燃料入口からシール座部に通じる燃料案内部の部分を成していると有利である。これによって、アクチュエータシール装置も燃料案内部の部分として働く。これによって、構成部材を節約することができると共に、燃料噴射弁のコンパクトな構成を獲得することができる。
【0016】アクチュエータの端面が、操作スリーブのつばに接触していると有利である。さらに、アクチュエータの端面が、弁ケーシングのつばに接触していると有利である。これによって、アクチュエータは、アクチュエータシール装置を介して弁ニードルに有利に力を伝達することができるようになっている。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。
【0018】図1には、本発明による燃料噴射弁1が、部分的な軸方向の断面図で示してある。本実施例では、燃料噴射弁1が内部開放型の燃料噴射弁1として形成されている。特にこの燃料噴射弁1は、燃料、特にガソリンを混合気圧縮型の火花点火式の内燃機関の燃焼室内へ直接噴射するために、いわゆるガソリン直接噴射弁として使用される。しかし、本発明による燃料噴射弁1は別の使用事例のためにも適している。
【0019】燃料噴射弁1は弁ケーシング2を有しており、この弁ケーシング2は弁座体3に結合されている。この弁座体3には弁座面4が形成されており、この弁座面4は弁閉鎖体5と協働してシール座部を形成している。弁閉鎖体5は弁ニードル6によって操作される。この弁ニードル6は弁閉鎖体5と一体に結合されている。さらに、弁ケーシング2はケーシングプレート7に結合されている。このケーシングプレート7は切欠き8を有しており、これによって、端部側の燃料入口9が形成されている。
【0020】弁ニードル6は操作スリーブ10に結合されており、この操作スリーブ10は長手方向の切欠き11を有している。この切欠き11は、燃料噴射弁1の燃料入口9から、弁座面4と弁閉鎖体5とから形成されたシール座部へ通じる燃料案内部の部分を成している。この場合、孔12a,12bを通って、切欠き11から燃料副室13への燃料の流入が可能となっている。
【0021】燃料噴射弁1の弁ケーシング2のアクチュエータ室14内には、たとえば圧電式のまたは磁気ひずみ式のアクチュエータ15が配置されている。このアクチュエータ15は、第1の端面16では弁ケーシング2の第1のつば17に、また、第2の端面18では操作スリーブ10のつば19に支持されている。アクチュエータ15は中央の切欠き20を有しており、この切欠き20を通って操作スリーブ10が延びている。
【0022】アクチュエータ15は、同じくアクチュエータ室14内に設けられている、予荷重またはプレロードがかけられた閉鎖ばね21によって負荷される。閉鎖ばね21は、一方では弁ケーシング2の第2のつば22に支持されており、他方では操作スリーブ10のつば19に支持されている。さらに、閉鎖ばね21の予荷重またはプレロードによって、弁閉鎖体5は弁座体3の弁座面4へ押圧される。
【0023】操作スリーブ10は、流入側のシールエレメント25と、噴射側のシールエレメント26とを介して弁ケーシング2に結合されている。流入側のシールエレメント25は、全周にわたって延びる溶接シーム28を用いて操作スリーブ10に結合されている内側の金属製リング27と、全周にわたって延びる溶接シーム30を用いて弁ケーシング2に結合されている外側の金属製リング29と、加硫によって両金属製リング27,29に結合されたプラスチックエレメント31とを有している。噴射側のシールエレメント26は、流入側のシールエレメント25と同様に形成されており、したがって、内側の金属製リング32と、外側の金属製リング33と、プラスチックエレメント34とを有していて、溶接シーム35,36によって操作スリーブ10と弁ケーシング2とに結合されている。
【0024】シールエレメント25,26は操作スリーブ10と共にアクチュエータシール装置を形成している。このアクチュエータシール装置は、アクチュエータ室14ひいてはアクチュエータ15を燃料に対してシールしている。この場合、流入側の燃料室37内に存在する燃料の燃料圧はシール装置25に作用し、また、燃料副室13内に存在する燃料の燃料圧はシールエレメント26に作用する。これによって、シールエレメント25は、噴射方向40へ向けられた力を操作スリーブ10に伝達し、また、シールエレメント26は、噴射方向40へ向けられた力とは逆方向へ向けられた力を操作スリーブ10に伝達する。この場合、両方の力は完全に補償される。操作スリーブ10の内面41に作用する燃料圧によって、噴射方向40へ向けられている別の力が操作スリーブ10に伝達される。この力は、操作スリーブ10の下側の端面42に作用する燃料圧によって形成された力とは逆方向に作用する。この場合、端面42の面積は、座部直径dもしくは弁ニードル直径によって付与された横断面の分だけ内面41よりも小さくなっている。この場合、本実施例では、燃料圧によって弁ニードル6には、噴射方向40に沿った力成分は形成されない。なぜならば、弁ニードル6は燃料副室13の領域では一定の横断面を有しているからである。したがって、液圧的な閉鎖力が形成される。この閉鎖力は、座部直径dによって付与された横断面と、燃料圧とによって形成されていて、噴射方向40へ作用するようになっている。
【0025】燃料噴射弁1の弁ケーシング2が噴射側のシールエレメント26の領域43で拡張され、この場合、シールエレメント26の外径が拡大されると、シールエレメント26によって噴射方向40とは逆方向で操作スリーブ10に伝達される力が増大され得る。弁ケーシング2が、流入側のシールエレメント25の領域44で減径されて形成されると、シールエレメント25によって噴射方向40で操作スリーブ10に伝達される力が減少され得る。両手段のうちの少なくとも一方が行われると、シールエレメント25,26の横断面の差が形成される。これによって、操作スリーブ10を介してアクチュエータ15に作用する力の、完全な補償を獲得することができる。たとえば、上述した液圧的な閉鎖力を補償したい場合には、両シールエレメント25,26の横断面のうちの少なくとも一方を変えればよい。この場合には、流入側のシールエレメント25の横断面が、座部直径dによって付与された横断面の分だけ噴射側のシールエレメント26の横断面よりも小さく寸法設定されている。さらに、両シールエレメント25,26の横断面の差によって、アクチュエータ15を予荷重もしくはプレロードで負荷することが可能となる。
【0026】本発明は、上で説明した実施例に制限されるものではない。特に、本発明は外部開放型の燃料噴射弁1のためにも適している。さらに、シールエレメント25,26は、Oリング、正方形リング、ダイアフラムまたは滑りリングとして形成されていてもよい。
【出願人】 【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【出願日】 平成12年9月26日(2000.9.26)
【代理人】 【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄 (外4名)
【公開番号】 特開2001−115924(P2001−115924A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願2000−292411(P2000−292411)