| 【発明の名称】 |
分配型燃料噴射ポンプ |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 雅道
【氏名】佐茂 純一
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| 【要約】 |
【課題】従来の分配型燃料噴射ポンプにおいては、燃料噴射時に分配軸へ、分配用溝からの圧力により反分配溝方向への押圧力がかかり、分配軸外周面と分配軸スリーブとの間で油膜切れが発生し、該分配軸と分配軸スリーブとが接触して焼き付くことがあった。
【解決手段】分配用溝23を通過して分配軸10を半径方向に貫通する通路26を形成し、該通路26の反分配用溝23側端部にバランスポート32を開口し、該バランスポート32が、燃料噴射時には分配軸スリーブ11の壁面により閉塞され、燃料吸入時には燃料ギャラリ3へ通じる吸入通路27と連通するように構成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プランジャの往復移動により分配軸に圧送される燃料を、該分配軸に形成された分配用溝から、複数の分配通路を通じて各吐出弁へ送出する分配型燃料噴射ポンプにおいて、該分配用溝を通過して分配軸を半径方向に貫通する通路を形成し、該通路の反分配用溝側端部にバランスポートを開口し、該バランスポートが、燃料噴射時には分配軸スリーブの壁面により閉塞され、燃料吸入時には燃料ギャラリへ通じる吸入通路と連通するように構成したことを特徴とする分配型燃料噴射ポンプ。 【請求項2】 前記バランスポートを、前記分配用溝と略対向する位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載の分配型燃料噴射ポンプ。 【請求項3】 燃料噴射時に前記分配通路と連通される分配用溝の分配ポートの上下位置と、前記バランスポートの上下位置とを異ならせたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分配型燃料噴射ポンプ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、多気筒型内燃機関の各気筒に設けられる燃料噴射ノズルへ燃料を圧送するための分配型燃料噴射ポンプに関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、プランジャの往復移動により分配軸に圧送される燃料を、該分配軸に形成された分配用溝から、複数の分配通路を通じて各吐出弁へ送出し、各吐出弁から燃料噴射ノズルへ圧送する分配型燃料噴射ポンプは用いられている。この分配型燃料噴射ポンプにおける分配軸は、分配軸スリーブに一定のクリアランスを設けて回転自在に収容されており、分配軸スリーブと分配軸との間のクリアランスには油膜が形成されて、両者間の潤滑が行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、燃料噴射時においては、分配軸には、分配用溝からの圧力により反分配溝方向への押圧力がかかる。分配軸にこのような押圧力がかかると、反分配用溝側の分配軸外周面と分配軸スリーブとの間で油膜切れが発生し、該分配軸と分配軸スリーブとが接触して焼き付くことがあった。この焼き付きを防止するために、分配軸に表面処理を施して該分配軸の潤滑性を向上していたが、表面処理には高精度を要するとともに、処理工数が増加するという問題があった。また、分配軸へかかる押圧力を緩和する技術とは異なるが、燃料噴射時に、プランジャの半径方向の一方向に押圧力がかかる場合に、該プランジャに燃料が通過するバランスポートを形成し、この押圧力を緩和するように構成した例が、特開平11−82218号公報に記載されている。尚、この場合におけるバランスポートは、燃料を燃料ギャラリーへ戻すための通路とは別個に形成されている。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。即ち、請求項1においては、プランジャの往復移動により分配軸に圧送される燃料を、該分配軸に形成された分配用溝から、複数の分配通路を通じて各吐出弁へ送出する分配型燃料噴射ポンプにおいて、該分配用溝を通過して分配軸を半径方向に貫通する通路を形成し、該通路の反分配用溝側端部にバランスポートを開口し、該バランスポートが、燃料噴射時には分配軸スリーブの壁面により閉塞され、燃料吸入時には燃料ギャラリへ通じる吸入通路と連通するように構成した。 【0005】また、請求項2においては、前記バランスポートを、前記分配用溝と略対向する位置に配置した。 【0006】また、請求項3においては、燃料噴射時に前記分配通路と連通される分配用溝の分配ポートの上下位置と、前記バランスポートの上下位置とを異ならせた。 【0007】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の分配型噴射ポンプを示す概略図、図2は分配軸部及びプランジャ部を示す側面断面図、図3は分配軸スリーブを示す側面断面図、図4は図3におけるA−A断面図、図5は図3におけるB−B断面図、図6は分配軸を示す側面図、図7は同じく正面図、図8は同じく後面図、図9は図7におけるC−C断面図、図10は分配軸が分配用孔と分配ポートとの位置が合う回転位置に位置している状態を示す平面図、図11は図10におけるD−D断面図、図12は分配軸がバランスポートと戻し用孔との位置が合う回転位置に位置している状態を示す平面図、図13は図12におけるE−E断面図である。 【0008】まず、本発明の分配型燃料噴射ポンプ1の全体構成について説明する。図1に示す分配型燃料噴射ポンプ1においては、下部に回転自在に支持されたカム軸4が横設され、該カム軸4にはカム5が固設されて、該カム5とカム軸4とは一体的に回転するように構成されている。カム5の上方には、プランジャ7が配設され、該プランジャ7の下端にはタペット110が付設されている。プランジャ7及びタペット110はスプリング18により下方へ付勢され、該タペット110がカム5に当接している。そして、カム5の回転によりプランジャ7が上下移動するように構成しており、分配型燃料噴射ポンプ1のハウジング内には燃料ギャラリ3が形成されている。 【0009】また、前記プランジャ7の側方には、該ブランジャ7と平行に分配軸10が配設されており、該分配軸10は、ベベルギア19を介してカム軸4と連動連結されている。そして、分配軸10の下方には、該分配軸10の同軸上に送油ポンプ6を配設して、分配軸10とカム軸4とを連動連結している。 【0010】前記送油ポンプ6及びフィードポンプ20により、燃料タンク17内の燃料を、燃料配管13を通じて燃料ギャラリ3内へ圧送するように構成している。燃料ギャラリ3内へ圧送された燃料は、前記プランジャ7の上昇によって、燃料圧送通路21を通じて分配軸10へ圧送され、該分配溝へ圧送された燃料は、分配軸10に形成される環状溝22及び分配用溝23を通過し、該分配用溝23と送出弁8とを接続する燃料分配通路24を通じて送出弁8へ供給される。該送出弁8に供給された燃料は、噴射ノズル9へ圧送されて噴射される。 【0011】逆に、プランジャ7の下降時には、分配軸10の分配用溝23に接続される通路26が、バランスポート32を通じて、燃料ギャラリ3へ通じる燃料吸込み通路27と連通し、分配軸10の分配用溝23及び環状溝22を経由して、燃料を燃料ギャラリ3からプランジャ7の上部に吸い込むように構成している。尚、送出弁8へ供給する燃料量、即ち、噴射ノズル9から噴射される燃料量は、ガバナ機構15により調節することができる。 【0012】次に、分配軸10の部分の構成について説明する。図2に示すように、分配型燃料噴射ポンプ1のハウジングには分配軸スリーブ11が嵌合されており、前記分配軸10は、該分配軸スリーブ11に一定のクリアランスを設けて回転自在に収容されている。該分配軸スリーブ11には、図3乃至図5に示すように、前記燃料圧送通路21と連通する吸入用孔11c、前記燃料分配通路24と連通する分配用孔11a、及び前記燃料吸込み通路27と連通する吸込み用孔11bが形成されている。 【0013】分配用孔11aは気筒数に応じた数だけ形成されており、例えば4気筒の場合図4に示すように4箇所に分配用孔11aが形成されている。該分配用孔11aは同一平面上に略等間隔で形成されている。また、吸込み用孔11bも気筒数に応じた数だけ形成されており、例えば4気筒の場合図9に示すように4箇所に吸込み用孔11bが形成されて、各吸込み用孔11bは同一平面上に略等間隔で形成されている。吸込み用孔11bは、平面視において分配用孔11aと位相をずらして配置され、例えば分配用孔11aと分配用孔11aとの中間より若干ずれた位置に配置されている。 【0014】さらに、分配用孔11aと吸込み用孔11bとは上下位置をずらして配置され、例えば分配用孔11aが上方に配置され、吸込み用孔11bが下方に配置されている。また、各分配用孔11aは、それぞれの気筒に対応した燃料分配通路24に接続され、各吸込み用孔11bは、それぞれ前記燃料吸込み通路27に接続されている。 【0015】一方、分配軸10は、図6乃至図9に示すように、上部外周に環状溝22が形成され、該環状溝22から下方に分配用溝23が延設されている。該分配用溝23の下端部には分配ポート31が形成され、分配軸10の外周面における該分配ポート31と略対向する位置にバランスポート32が開口されている。即ち、バランスポート32は、平面視において、分配ポート31に対して略180度位相をずらした位置に形成されている。該分配ポート31とバランスポート32とは通路26により連通されている。 【0016】また、分配ポート31とバランスポート32とは上下位置をずらして配置され、該分配ポート31が上方に、バランスポート32が下方に配置されている。そして、分配軸10が分配軸スリーブ11に嵌合した状態においては、図2に示すように、分配軸10の分配ポート31と分配軸スリーブ11の分配用孔11aとの上下位置、及び、分配軸10のバランスポート32と分配軸スリーブ11の吸込み用孔11bとの上下位置が合うように構成している。尚、分配軸スリーブ11と分配軸10との間には一定のクリアランスが設けられており、このクリアランスに油膜が形成されて、両者間の潤滑が行われている。 【0017】以上の如く構成した分配軸10は、プランジャ7が上昇して燃料が分配軸10側へ圧送されている際は、図10、図11に示すように、該分配軸10の分配ポート31と分配軸スリーブ11の何れかの分配用孔11aとの位置が合う回転位置に位置しており、該分配ポート31と分配用孔11aとが連通している。 【0018】この場合、分配軸10の外周面において、分配ポート31と略対向する位置に配置されるバランスポート32は、該分配ポート31と上下位置を異ならせているので、該分配ポート31と略180度位相をずらして配置されている分配用孔11aとは連通しない。また、分配用孔11aと吸込み用孔11bとは位相をずらして配置されているので、該バランスポート32は、上下位置が合うように配置されている吸込み用孔11bとも連通しない。即ち、バランスポート32は分配軸スリーブ11の内壁面により閉塞された状態となっている。 【0019】このように、バランスポート32が分配軸スリーブ11の内壁面により閉塞されている状態においては、分配軸10へ送出される燃料は、環状溝22、分配用溝23、及び通路26を通じてバランスポート32まで圧送されることとなる。バランスポート32へ圧送された燃料は、分配軸10と分配軸スリーブ11との間のクリアランスに浸入し、これにより、分配軸10には反バランスポート32方向(分配用溝23方向)への押圧力がかかる。 【0020】また、燃料噴射時の分配軸10には、分配用溝23に流入した燃料により反分配溝23方向への押圧力がかかるが、この反分配用溝23方向への押圧力は、バランスポート32へ圧送された燃料の分配用溝23方向への押圧力により相殺され、両方の圧力のバランスがとれる。これにより、分配軸10が反分配溝23方向の分配溝スリーブ11の内壁面に押し付けられることがなくなり、該分配軸10と分配軸スリーブ11との間で油膜切れが発生することを防止することができ、該分配軸10と分配軸スリーブ11との間での焼き付きを防ぐことが可能となる。 【0021】尚、この場合、バランスポート32の開口面積は、分配用溝23からの反分配溝23方向への押圧力と、バランスポート32からの分配用溝23方向への押圧力とがほぼ釣り合うような面積に設定すると、最も大きな効果を得ることができる。また、バランスポート32を複数開口し、該バランスポート32の開口面積を、該バランスポート32からの押圧力と分配用溝23からの押圧力とがほぼ釣り合うような大きさに設定すれば、バランスポート32を必ずしも分配用溝23と対向する位置に開口する必要はなく、他の位相位置に開口することもできる。 【0022】また、プランジャ7が下降している燃料吸入時には、図12、図13に示すように、分配軸10のバランスポート32と分配軸スリーブ11の何れかの吸込み用孔11bとの位置が合う回転位置に位置しており、該バランスポート32と吸込み用孔11bとが連通している。従って、燃料は、燃料ギャラリ3から、吸入路27、吸込み用孔11b、及びバランスポート32を通じて分配軸10内へ流入し、該分配軸10内の通路26、分配用溝23、及び環状溝22を通過して、プランジャ7の上部へと吸入されることとなる。 【0023】即ち、通路26及びバランスポート32は、燃料噴射時には、分配軸10の半径方向にかかる圧力のバランスをとる、分配軸10の側圧低減用通路として作用し、燃料吸入時には、燃料ギャラリ3内から燃料を吸入する、燃料吸入用通路として作用している。 【0024】このように、通路26及びバランスポート32を、分配軸10の側圧低減用通路と、燃料吸入用通路として兼用することにより、燃料吸入用通路とは別に分配軸10の側圧低減用通路を設けた場合に比べて、分配軸10の構成を簡単にすることができて、容易に分配軸10の側圧低減を図ることができる。また、例えば、分配軸10に表面処理を施して該分配軸10の潤滑性を向上した場合等に比べても、特に高精度な加工等を行うことなく容易に分配軸10の側圧低減を図ることができる。 【0025】また、本分配軸10においては、分配用溝23の分配ポート31の上下位置と、バランスポート32の上下位置とを異ならせているので、気筒数が偶数の場合であっても、バランスポート32を分配ポート31に対して略対向する位置に配置することができるので、効率良く分配軸10の側圧低減を図ることが可能となる。 【0026】 【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、請求項1記載の如く、分配軸に、分配用溝を通過して分配軸を半径方向に貫通する通路を形成し、該通路の反分配用溝側端部にバランスポートを開口し、該バランスポートが、燃料噴射時には分配軸スリーブの壁面により閉塞され、燃料吸入時には燃料ギャラリへ通じる吸入通路と連通するように構成したので、燃料噴射時に分配軸へかかる分配用溝からの押圧力を、該通路及びバランスポートへ圧送された燃料による分配軸への押圧力により相殺して、両方の圧力のバランスをとることができる。これにより、分配軸が分配溝スリーブの内壁面に押し付けられることがなくなり、該分配軸と分配軸スリーブとの間で油膜切れが発生することを防止することができ、該分配軸と分配軸スリーブとの間での焼き付きを防ぐことが可能となる。 【0027】また、該通路及びバランスポートを、分配軸の側圧低減用通路と、燃料吸入用通路として兼用することができ、燃料吸入用通路とは別に分配軸の側圧低減用通路を設けた場合に比べて、分配軸の構成を簡単にすることができて、容易に分配軸の側圧低減を図ることができる。また、例えば、分配軸に表面処理を施して該分配軸の潤滑性を向上した場合等に比べても、特に高精度な加工等を行うことなく容易に分配軸の側圧低減を図ることができる。 【0028】更に、請求項2記載の如く、前記バランスポートを、前記分配用溝と略対向する位置に配置したので、効率良く分配軸10の側圧低減を図ることが可能となる。 【0029】更に、請求項3記載の如く、燃料噴射時に前記分配通路と連通される分配用溝の分配ポートの上下位置と、前記バランスポートの上下位置とを異ならせたので、気筒数が偶数の場合であっても、バランスポートを分配ポートに対して略対向する位置に配置することができるので、効率良く分配軸の側圧低減を図ることが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006781 【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月14日(1999.10.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080621 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−115921(P2001−115921A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−291871 |
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