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【発明の名称】 内燃機関の吸気装置
【発明者】 【氏名】鳥飼 輝一

【氏名】岡田 義裕

【氏名】池羽 宏

【氏名】坂本 修一

【氏名】月井 勉

【氏名】坂本 敦彦

【要約】 【課題】内燃機関の吸気装置において、バイパス空気が流入する吸気管から発生する騒音を低減すると共に、スロットルボディの小型軽量化を図ること。

【解決手段】スロットル弁4をバイパスするバイパス空気通路8を通るバイパス空気の空気量がロータリ式空気制御弁6により制御される内燃機関の吸気装置において、流出孔17から吸気通路5に至るバイパス空気通路8の流出孔17の全閉端17a側には、弁ハウジング7の通路13の通路壁面13aとスロットルボディ1の段部1bとの共働により段差部20が形成される。バイパス空気の一部が、段差面1cに衝突して、段部1bの先端の方向に偏向され、さらに先端の上方を流れるバイパス空気に乱れを発生させることにより、バイパス空気の圧力変動が緩和される。その結果、吸気通路5に流入したバイパス空気による吸気管3の振動が抑制され、騒音が低減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スロットルボディおよび該スロットルボディに取り付けられた吸気管により形成された吸気通路と、前記スロットルボディに取り付けられた弁ハウジングを有するロータリ式空気制御弁と、前記スロットルボディにおける前記吸気通路に設けられたスロットル弁をバイパスして該スロットル弁よりも下流の前記吸気通路に開口する出口を有するバイパス空気通路とを備え、前記空気制御弁により該バイパス空気通路を通るバイパス空気の空気量が制御される内燃機関の吸気装置において、前記バイパス空気通路の部分であって、前記弁ハウジングに形成されて前記空気制御弁の弁体の直下流に位置する流出孔から前記出口に至る流出側バイパス空気通路は、前記弁ハウジングに形成されて該流出孔に連通している第1流出通路と、前記スロットルボディに形成されて該第1流出通路に接続された第2流出通路とを備えており、前記流出側バイパス空気通路には、前記弁ハウジングの前記第1流出通路の通路壁面と前記スロットルボディの段部との共働により段差部が形成され、該段部は、前記第1流出通路における全閉端側のみの前記通路壁面に対して前記流出側バイパス空気通路の内方に突出すると共に、前記第1流出通路の前記通路壁面間の前記弁体の回動軸線と平行な方向における間隔に対応する長さで、該回動軸線と平行な方向に延びており、さらに前記段部は、前記流出孔からのバイパス空気の一部を該段部の基端から該段部の先端に向かう方向に偏向させる段差面を有していることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項2】 前記段部は、前記先端が前記第2流出通路の段差のない通路壁面を形成している前記スロットルボディの、前記弁ハウジングとの合わせ面を有する部分であり、前記段差面は、前記合わせ面と同一平面上にあることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項3】 前記流出側バイパス空気通路は、前記吸気管に形成されて、一端が前記第2流出通路に接続され、他端が前記出口となる第3流出通路をさらに備え、該第3流出通路には、前記吸気管に一体成形された拡張室が設けられており、該拡張室の流路断面積は、該拡張室よりも上流および下流のそれぞれの前記流出側バイパス空気通路の流路断面積よりも大きくされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関の吸気装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本出願発明は、スロットル弁をバイパスしてその下流の吸気通路に連通するバイパス空気通路を備えた内燃機関の吸気装置に関し、さらに詳細には、バイパス空気量を制御するロータリ式空気制御弁が設けられたバイパス空気通路の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、吸気通路に設けられたスロットル弁をバイパスしてその下流の吸気通路に連通するバイパス空気通路を備えた内燃機関の吸気装置において、バイパス空気通路に設けられたロータリ式空気制御弁の弁開度を制御することによりバイパス空気の空気量を制御して、内燃機関のアイドル回動数を制御することが行われている。
【0003】このアイドル回転数制御の際、空気制御弁を通過するバイパス空気は、空気制御弁にて絞られるため、その出口の直下流で、可聴周波数域の周波数を含む乱れ、すなわち圧力変動を生じ、該圧力変動に基づいた空気の通過音が発生する。そして、この圧力変動を含んだバイパス空気は、高速で吸気通路に流入して吸気管を振動させ、車内音となる騒音を発生させていた。また、この騒音の大きさは、金属製吸気管に比べて剛性の低い樹脂製吸気管を使用している場合、特に顕著であった。
【0004】そこで、このような騒音を低減するために、特開平10−47163号公報に開示された技術では、内燃機関の補助空気制御装置において、補助空気通路には、格子状の整流翼が空気制御弁の下流に設けられ、さらに該整流翼の下流の補助空気通路に通路拡張室が設けられる。この整流翼は空気制御弁を通過した補助空気の乱れを整流するので、整流後の補助空気による吸気管の加振力は弱められ、騒音が低減される。さらに、整流翼で整流された補助空気は通路拡張室に流入して、その流速が低下するため、騒音はさらに低減される。
【0005】また、特開平5−209564号公報に開示された技術では、アイドル回転数制御装置において、アイドル回転数制御弁の下流に位置する出口側バイパス通路の直管部に、オリフィスまたはスリーブ等が設けられて、その通過面積が段差状に変化させられる。そのため、アイドル回転数制御弁の出口側通路で発生した空気振動に基づいて、出口側バイパス通路内で共鳴する振動は、その振動波形がオリフィスやスリーブ等により強制的に乱されるため、出口側バイパス通路や吸気系のサージタンクにおける共鳴が抑制されて、異音の発生が防止される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記両公報の技術において、前者では格子状の整流翼が補助空気通路の流路断面の全体に渡って設けられており、しかも効果的な整流作用を行わせるためには、格子の数を増やす必要があるため、空気の流通抵抗が増加する傾向がある。また、後者では、出口側バイパス通路の全周に渡って設けられたオリフィスやスリーブにより出口側バイパス通路の流路が絞られるため、空気の流通抵抗が増加する。そこで、流通抵抗の増加により、制御弁で計量された空気量の低下をもたらすことがないようにするためには、整流翼、オリフィスまたはスリーブが設けられた部分の空気通路を比較的大径とする必要があり、それに伴って、スロットルボディに形成される空気通路の径が大きくなってしまい、スロットルボディの小型軽量化の点で改善の余地があるものであった。
【0007】本出願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内燃機関の吸気装置において、バイパス空気が流入する吸気管から発生する騒音を低減すると共に、スロットルボディの小型軽量化を図ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本出願の請求項1記載の発明は、スロットルボディおよび該スロットルボディに取り付けられた吸気管により形成された吸気通路と、前記スロットルボディに取り付けられた弁ハウジングを有するロータリ式空気制御弁と、前記スロットルボディにおける前記吸気通路に設けられたスロットル弁をバイパスして該スロットル弁よりも下流の前記吸気通路に開口する出口を有するバイパス空気通路とを備え、前記空気制御弁により該バイパス空気通路を通るバイパス空気の空気量が制御される内燃機関の吸気装置において、前記バイパス空気通路の部分であって、前記弁ハウジングに形成されて前記空気制御弁の弁体の直下流に位置する流出孔から前記出口に至る流出側バイパス空気通路は、前記弁ハウジングに形成されて該流出孔に連通している第1流出通路と、前記スロットルボディに形成されて該第1流出通路に接続された第2流出通路とを備えており、前記流出側バイパス空気通路には、前記弁ハウジングの前記第1流出通路の通路壁面と前記スロットルボディの段部との共働により段差部が形成され、該段部は、前記第1流出通路における全閉端側のみの前記通路壁面に対して前記流出側バイパス空気通路の内方に突出すると共に、前記第1流出通路の前記通路壁面間の前記弁体の回動軸線と平行な方向における間隔に対応する長さで、該回動軸線と平行な方向に延びており、さらに前記段部は、前記流出孔からのバイパス空気の一部を該段部の基端から該段部の先端に向かう方向に偏向させる段差面を有している内燃機関の吸気装置である。
【0009】この請求項1記載の発明によれば、空気制御弁の作動時、空気制御弁により計量されたバイパス空気が流出孔から第1流出通路に高速度で流出する。第1流出通路を流れるバイパス空気の一部は段部の段差面に衝突して、段部の先端に向けて偏向されることにより、それ自体が有する圧力変動が緩和される。
【0010】さらに、段差面に衝突して偏向されたバイパス空気は、段部の基部から先端に向かう空気流となって、先端と流出側バイパス空気通路の通路壁面との間を流れるバイパス空気に乱れを生じさせるため、そのバイパス空気の圧力変動が緩和される。そのため、段差部を通過した後のバイパス空気は、段差部通過前のバイパス空気に比べて、その圧力変動が小さくなっており、吸気通路に流入したときの圧力変動も小さくなる。その結果、吸気通路に流入したバイパス空気による吸気管の振動が抑制されて、騒音が低減される。
【0011】また、空気制御弁の大開度時ないし全開時(以下、単に「大開度時」という)に比べて、その小開度時には、バイパス空気は、車内で騒音として認識される可聴周波数域の圧力変動を多く有していることが実験により判明しているが、段部は、第1流出通路における全閉端側のみの通路壁面に対して突出しているため、空気制御弁の小開度時には、大開度時に比べて、流出孔から流出して第1流出通路を流れるバイパス空気のうち、段差面に衝突するバイパス空気の割合が大きくなる。
【0012】そのため、空気制御弁の小開度時には、その大開度時に比べて、大きな割合のバイパス空気が、段差面に衝突して偏向されることにより、その圧力変動が緩和され、さらに偏向された大きな割合のバイパス空気が、先端と流出側バイパス空気通路の通路壁面との間を流れるバイパス空気に、より強い乱れを生じさせるため、そのバイパス空気の圧力変動が一層緩和される。その結果、車内で騒音として認識される可聴周波数域の圧力変動を多く有している小開度時のバイパス空気による吸気管の騒音を効果的に低減できる。
【0013】さらに、段部は、流出側バイパス空気通路の全閉端側のみの通路壁面の周囲方向に部分的に設けられているだけであるので、段部による空気の流通抵抗は比較的小さいため、流出側バイパス空気通路の流路断面積が大きくなるのを抑制でき、したがって流出側バイパス空気通路の一部である第2流出通路が形成されるスロットルボディの小型軽量化ができる。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の吸気装置において、前記段部は、前記先端が前記第2流出通路の段差のない通路壁面を形成している前記スロットルボディの、前記弁ハウジングとの合わせ面を有する部分であり、前記段差面は、前記合わせ面と同一平面上にあるものである。
【0015】この請求項2記載の発明によれば、段差部が、スロットルボディの、弁ハウジングとの合わせ面を利用して形成されるため、段部によりスロットルボディに形成された流出側バイパス空気通路である第2流出通路の通路壁面に段差が形成されることがない。その結果、第2流出通路の流路断面積を小さくすることが可能となり、スロットルボディをさらに小型軽量化することができる。
【0016】また、スロットルボディの合わせ面を有する部分により段部が形成されているので、段部を形成するために、別途特別な構造を設ける必要がないことから、スロットルボディの構造が簡単となり、コストの削減ができる。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の内燃機関の吸気装置において、前記流出側バイパス空気通路は、前記吸気管に形成されて、一端が前記第2流出通路に接続され、他端が前記出口となる第3流出通路をさらに備え、該第3流出通路には、前記吸気管に一体成形された拡張室が設けられており、該拡張室の流路断面積は、該拡張室よりも上流および下流のそれぞれの前記流出側バイパス空気通路の流路断面積よりも大きくされているものである。
【0018】この請求項3記載の発明によれば、拡張室にてバイパス空気の流速が低下するので、圧力変動がさらに緩和されるため、吸気管の振動が一層抑制され、騒音がさらに低減される。また、拡張室は吸気管に形成されるので、スロットルボディのバイパス空気通路構造を単純化でき、さらにスロットルボディの小型軽量化が可能となる。
【0019】なお、この明細書において、全閉端側とは、空気制御弁の弁ハウジングに形成された流出孔の全閉端と全開端との間隔を2等分する中央点を通り、かつ空気制御弁の弁体の回動軸線と平行な仮想直線と、弁ハウジングのスロットルボディとの合わせ面におけるバイパス空気通路の中心点とを含む仮想平面に関して、流出孔の全閉端が位置する側をいう。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本出願発明の実施形態を図1ないし図6を参照して説明する。図1ないし図4は第1実施形態を示すもので、この実施形態において、本出願発明が適用される内燃機関は火花点火式の4気筒内燃機関であり、その吸気装置は、スロットル弁4が設けられたアルミ製のスロットルボディ1と、スロットルボディ1の上面に取り付けられたエアクリーナ2と、スロットルボディ1の下面に取り付けられた樹脂製の吸気多岐管3とを備えている。そして、スロットルボディ1および吸気多岐管3により形成される吸気通路5は、鉛直方向に上方から下方に向かって空気が流れるダウンフロー型の吸気通路となっている。
【0021】スロットルボディ1の側面には、ロータリ式空気制御弁6(以下、「空気制御弁」という)の弁ハウジング7が、スロットルボディ1側の合わせ面1aおよび弁ハウジング7側の合わせ面7aが当接した状態で取り付けられて、スロットルボディ1、空気制御弁6および吸気多岐管3の三者により、バイパス空気通路8と空気制御弁6とを備えたバイパス空気制御装置が構成される。
【0022】このうち、バイパス空気通路8は、空気制御弁6の弁体16に関して、弁体16よりも上流のバイパス空気通路8である流入側バイパス空気通路9と、弁体16よりも下流のバイパス空気通路8である流出側バイパス空気通路10とからなる。
【0023】流入側バイパス空気通路9は、スロットルボディ1に水平方向に形成されて、一端がスロットル弁4よりも上流の吸気通路5に開口する入口11aを形成し、他端が合わせ面1aに開口する第1流入通路11と、弁ハウジング7に形成されて、一端が合わせ面7aにて第1流入通路11と接続され、他端が弁体16に至る第2流入通路12とから構成される。この流入側バイパス空気通路9は、図2に図示されるように、円形の流路断面を有している。
【0024】また、流出側バイパス空気通路10は、弁ハウジング7に水平方向に形成されて、一端が弁ハウジング7に形成されて弁体16の直下流に位置して流出孔17に連通し、他端が合わせ面7aに開口する第1流出通路13と、スロットルボディ1に形成されて、一端が合わせ面1aにて第1流出通路13と接続され、他端が後述する第3流出通路15に接続される第2流出通路14と、吸気多岐管3に形成されて、一端が第2流出通路14と接続され、他端がスロットル弁4よりも下流の吸気通路5に開口する出口15aを形成する第3流出通路15とから構成される。そして、第1流出通路13と、第2流出通路14の水平方向に形成された部分である水平部分14eとは、図2に図示されるように、後述する段部1bが形成された部分を除いて、同一の矩形の流路断面を有している。
【0025】さらに、第3流出通路15にはその途中に拡張室15bが形成され、拡張室15bの流路断面積は、拡張室15bよりも上流に位置する第3流出通路15の部分、第2流出通路14および第1流出通路13のそれぞれの流路断面積、および拡張室15bよりも下流に位置する第3流出通路15の部分の流路断面積に比べて、大きくされている。
【0026】一方、空気制御弁6は、図示されないソレノイドにより回動される駆動軸18に一体に固定された弁体16を備えている。円弧状の板状の弁体16は、水平方向に延びる駆動軸18の回動軸線を中心に回動することで、流出孔17と弁体16との共働により形成される制御開口19の開口面積を連続的に変化させて、バイパス空気通路8を流れるバイパス空気の空気量を制御して、内燃機関のアイドル回転数を制御する。
【0027】図2ないし図4を参照すると、流出孔17は、その最下部に、空気制御弁6が閉弁状態から開弁するときに、弁体16と共働して最初に制御開口19を形成する全閉端17aを有し、その最上部に、空気制御弁6の全開時の制御開口19を全閉端17aと共働して形成する全開端17bを有する。
【0028】また、第1流出通路13および第2流出通路14により構成されている流出側バイパス空気通路10の部分には、第1流出通路13の通路壁面とスロットルボディ1に設けられた段部1bとの共働により段差部20が形成されている。この段差部20は、第1流出通路13および第2流出通路14のそれぞれの全閉端側、すなわち流出孔17の全閉端17aと全開端17bとの間隔を2等分する中央点P1を通り、かつ弁体16の前記回動軸線に平行な仮想直線L(図2参照)と、合わせ面7aにおける第1流出通路13の中心点P2とを含む仮想平面P3に関して、流出孔17の全閉端17aが位置する側に位置する。
【0029】さらに具体的には、段差部20は、第1流出通路13の全閉端側にあって、全閉端17aと略平行で、かつ全閉端17aよりも下方に位置する下部通路壁面13aと、第2流出通路14の全閉端側で、スロットルボディ1に設けられ、スロットルボディ1と一体成形された段部1bとにより形成される。
【0030】段部1bは、第2流出通路14の全閉端側のみの通路壁面である下部通路壁面14aから、第2流出通路14の内方、すなわち上方に所定高さで突出しており、さらに第2流出通路14において、前記回動軸線と平行な方向に延びて、両側部通路壁面14b,14cに渡って形成されている。したがって、第1流出通路13を基準とすると、段部1bは、第2流出通路14の下部通路壁面14aと同一平面上にあって全閉端側のみの通路壁面である下部通路壁面13aに対して第2流出通路14の内方に突出しており、さらに第1流出通路13の両側部通路壁面13b,13cの前記回動軸線と平行な方向における間隔に対応する長さを有して、前記回動軸線と平行な方向に延びていることになる。
【0031】さらに、段部1bは、流出孔17に対向すると共に、スロットルボディ1の合わせ面1aと同一平面上にあって、合わせ面1aと一緒に形成される段差面1cを有しており、この段差面1cには、制御開口19で計量されて流出孔17から第1流出通路13に流出したバイパス空気の一部が衝突する。段差面1cに衝突したバイパス空気は、段部1bの基端1dからその先端1eに向けて偏向されることにより、それ自体が有する圧力変動が緩和される。
【0032】その上、段差面1cに衝突して偏向されたバイパス空気は、上方に向かう速度成分を有する空気流となって、先端1eの上方空間である先端1eと上部通路壁面14dとの間を流れるバイパス空気に乱れを生じさせることにより、そのバイパス空気が有する圧力変動が緩和される。
【0033】偏向されるバイパス空気の量および上方に向かう速度成分の大きさは、第1流出通路13の下部通路壁面13aと交差する部分である段部1bの基部からその先端1eに至るまでの段差面1cの高さ、すなわち段部1bの高さに依存するため、この高さは、先端1eと上部通路壁面14dとの間に形成される通路の流路断面積として、計量されたバイパス空気を絞ることがない程度の大きさの流路断面積を確保した上で、偏向されるバイパス空気自体の圧力変動の緩和の程度、先端1eの上方を流れるバイパス空気に発生させる乱れの強さの程度、したがってそのバイパス空気の圧力変動の緩和の程度を考慮して適宜設定されるものである。
【0034】そして、この実施形態では、第1流出通路13の下部通路壁面13aに対して、段部1bの先端1eが全閉端17aよりも高い位置になるように設定されている。
【0035】また、段差面1cは、流出孔17に関して全閉端17a寄り、すなわち第1流出通路13における全閉端側の通路壁面である下部通路壁面13aに対して略直角に交差して突出する面として形成されて、空気制御弁6の小開度時には、空気制御弁6の大開度時(前述のように、大開度時ないし全開時を意味する)に比べて、流出孔17から流出して第1流出通路13を流れるバイパス空気のうち、段差面1cに衝突するバイパス空気の割合が大きくなるようにされている。
【0036】次に、このように構成された実施形態の作用および効果について説明する。スロットル弁4が全閉状態にある内燃機関のアイドル運転時には、スロットル弁4よりも下流の吸気通路5は高負圧状態になっているため、エアクリーナ2からの空気が、スロットル弁4よりも上流の入口11aからバイパス空気通路8を経て、スロットル弁4よりも下流の出口15aから吸気多岐管3に流入して、各気筒に供給される。
【0037】その際、内燃機関の回転数が機関運転状態に応じて予め設定されたアイドル回転数となるように、空気制御弁6の弁体16は、バイパス空気通路8を通って吸気多岐管3に供給されるバイパス空気の空気量を制御すべく回動される。そして、このアイドル運転時に、例えばエアコンなどの補機が駆動されるときは、負荷の増大によりアイドル回転数が低下しないように、弁体16が開弁方向に回動され、制御開口19が大きくされて、より多くのバイパス空気が吸気多岐管3に供給されることで、設定されたアイドル回転数が維持される。また、逆に負荷が減少したときは、弁体16が閉弁方向に回動されて、吸気多岐管3に供給されるバイパス空気の空気量が減少することで、アイドル回転数の上昇を防止して、設定されたアイドル回転数が維持される。
【0038】このように空気制御弁6によりアイドル空気の空気量が制御されるときは、空気制御弁6の制御開口19を通過する空気が絞られることから、その直下流において、可聴周波数域の周波数を含む乱れ、すなわち圧力変動を生じるため、該圧力変動に基づいたバイパス空気の通過音が発生する。
【0039】そして、空気制御弁6により計量されたバイパス空気は、流出孔17から第1流出通路13に高速度で流出する。第1流出通路13を流れるバイパス空気の一部は、段差面1cに衝突して、段部1bの先端1eに向けて偏向されることにより、それ自体が有する圧力変動が緩和される。
【0040】さらに、段差面1cに衝突して偏向されたバイパス空気は、段部1bの基端1dから先端1eに向かう空気流となって、先端1eと上部通路壁面14dとの間を流れるバイパス空気に乱れを生じさせるため、そのバイパス空気の圧力変動が緩和される。そのため、段差部20を通過した後のバイパス空気は、段差部20を通過する前のバイパス空気に比べて、その圧力変動が小さくなっており、吸気多岐管3の吸気通路5に流入したときの圧力変動も小さくなっている。その結果、吸気通路5に流入したバイパス空気による吸気多岐管3の振動が抑制されて、騒音が低減される。
【0041】さらに、この実施形態では、第3流出通路15に拡張室15bが形成されているため、段部1bにより圧力変動が緩和されたバイパス空気が、第2流出通路14を経て拡張室15bに流入すると、拡張室15bにてバイパス空気の流速が低下するため、その圧力変動がさらに緩和される。その結果、吸気多岐管3の振動が一層抑制され、騒音がさらに低減される。
【0042】また、段部1bは、第1流出通路13における全閉端側の通路壁面である下部通路壁面13aに対して突出しているため、空気制御弁6の小開度時には、大開度時に比べて、流出孔17から流出して第1流出通路13を流れるバイパス空気のうち、段差面1cに衝突するバイパス空気の割合が大きくなる。
【0043】そのため、空気制御弁6の小開度時には、その大開度時に比べて、大きな割合のバイパス空気が、段差面1cに衝突して偏向されることにより、その圧力変動が緩和され、さらに偏向された大きな割合のバイパス空気が、先端1eと第2流出通路14の上部通路壁面14dとの間を流れるバイパス空気に、より強い乱れを生じさせるため、そのバイパス空気の圧力変動が一層緩和される。その結果、空気制御弁6の大開度時に比べて、車内で騒音として認識される可聴周波数域の圧力変動を多く有している小開度時のバイパス空気による吸気多岐管3の騒音を効果的に低減できる。
【0044】さらに、第1流出通路13の下部通路壁面13aに対して、段部1bの先端1eが全閉端17aよりも高い位置にあるため、制御開口19の下部から流出するバイパス空気は、段差面1cに一層衝突しやすい構造とされているので、バイパス空気の偏向は一層容易に行われる。
【0045】さらに、段部1bは、流出側バイパス空気通路10を構成する第2流出通路14の全閉端側のみの通路壁面の周囲方向の一部である下部通路壁面14aから所定高さで突出して設けられているだけであるので、第2流出通路14の流路断面において、段部1bが占める割合は小さい。したがって、空気の流通抵抗も比較的小さく、第2流出通路14の流路断面積が大きくなることを抑制できるので、第2流出通路14が形成されるスロットルボディ1の小型軽量化ができる。
【0046】また、拡張室15bは吸気多岐管3に形成されるので、スロットルボディ1に形成されるバイパス空気通路8の構造を単純化できて、この点でもスロットルボディ1の小型軽量化が可能となる。
【0047】以下、図5および図6を参照して、本出願発明の第2および第3実施形態を説明する。
【0048】図5は、第2実施形態を示すもので、段部30bは、第2流出通路14の内方に突出させることなく、第2流出通路14の段差のない通路壁面を形成しているスロットルボディ30の合わせ面30aを有する部分により形成されている。そして、その他の構成は、第1実施形態と基本的に同一であり、対応する部材には同一の符号を付してある。
【0049】したがって、この第2実施形態では、第1流出通路13の下部通路壁面13aと共働して段差部31を形成する段部30bは、第1流出通路13における全閉端側のみの通路壁面である下部通路壁面13aに対して流出側バイパス空気通路10の内方に突出しており、しかも第1流出通路13の側部通路壁面間の弁体16の前記回動軸線と平行な方向における間隔に対応する長さで、前記回動軸線と平行な方向に延びている。さらに、下部通路壁面13aに対して略直角に交差する段差面30cは、流出孔17に対向すると共に、同一平面上で合わせ面30aと連続する面であって、合わせ面30aと一緒に形成されるものである。
【0050】そして、段部30bの先端30eが第2流出通路14の段差のない通路壁面を形成しており、第2流出通路14の流路断面積は、計量されたバイパス空気を絞ることがない程度の大きさで、少なくとも第2流出通路14の水平部分14eが全て略同一の流路断面積を持っている。
【0051】このように構成された第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用および効果がなされる上に、第1実施形態とは異なり、第2流出通路14の流路断面積を段部により一旦小さくし、段部が設けられていない第2流出通路14の部分では流路断面積を大きくする必要はないため、第2流出通路14の流路断面積を小さくすることができる上、少なくとも第2流出通路14の水平部分14eでの流路断面積を略同一としているので、スロットルボディ30の上下方向の寸法を小さくすることができて、スロットルボディ30の小型軽量化ができ、ひいては内燃機関の高さを低くできて、内燃機関をコンパクトにすることができる。
【0052】また、スロットルボディ30の合わせ面30a有する部分により段部30bが形成されているので、段部30bを形成するために、別途特別な構造を設ける必要がないことから、スロットルボディ30の構造が簡単となり、コストの削減ができる。
【0053】図6は、第3実施形態を示すもので、スロットルボディ40に形成される段部40bが、第1流出通路13内に延びたオーバハング部40fを有していて、段差部41が第1流出通路13内に形成されるものである。そして、その他の構成は、第1実施形態と基本的に同一であり、対応する部材には同一の符号を付してある。
【0054】この第3実施形態において、第1流出通路13の下部通路壁面13aと共働して段差部41を形成する段部40bは、第1流出通路13における全閉端側のみの通路壁面である下部通路壁面13aに対して第1流出通路13および第2流出通路14のそれぞれの内方に突出すると共に、第1流出通路13の側部通路壁面間の弁体16の前記回動軸線と平行な方向における間隔に対応する長さで、前記回動軸線と平行な方向に延びている。さらに、下部通路壁面13aに対して略直角に交差する段差面40cは、オーバハング部40fの流出孔17に対向する面に形成されている。
【0055】このように構成された第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用および効果がなされる上に、段部40bの段差面40cを、第1流出通路13内で流出孔17のより近くに形成することができるので、オーバハング部40fの長さを変更することにより、段部40bの高さを変更することなく、偏向されるバイパス空気の量および上方に向かう速度成分の大きさを変えることができて、流出孔17からのバイパス空気が、段差面40cに衝突して偏向されることによる圧力変動の緩和の程度、および偏向されて上方に向かう空気流となって、段部40bの先端40eと第1流出通路13および第2流出通路14の各上部通路壁面13d,14dとの間を流れるバイパス空気に発生させる乱れの強さ、したがってそのバイパス空気の圧力変動の緩和の程度の調整の自由度を増すことができる。
【0056】以下、前記各実施形態の構成の一部を変更した実施形態について説明する。前記第1および第3実施形態では、段部1b,40bはスロットルボディ1,40に一体成形されたが、スロットルボディ1,40とは別部材として、ネジ等の固着手段によりスロットルボディ1,40に固着することで、スロットルボディ1,40の段部を形成することもできる。このように、段部を別部材として、種々の高さまたは種々のオーバハング部の長さを有する部材を用意することにより、高さの調整、また第3実施形態においてはオーバハング部の長さの調整が容易にできる。
【0057】前記各実施形態では、段差面1c,30c,40cは第1流出通路13の下部通路壁面13aに対して略直角に交差していたが、段差面1c,30c,40cは、段差面1c,30c,40cに衝突した空気を基端1d,30d,40dから先端1e,30e,40eの方向に偏向させるものであればよいので、下部通路壁面13aに対して傾斜していてもよい。また、先端1e,30e,40e付近は角部となっているが、丸みを付けて形成し、空気流の流れが円滑になるようにしてもよい。
【0058】前記各実施形態では、第1流出通路13および第2流出通路14の水平部分14eの流路断面の形状は、それぞれ矩形であったが、円形であってもよい。また、吸気通路5はダウンフロー型のものであったが、ホリゾンタルフロー型の吸気通路であってもよい。また、吸気多岐管3は樹脂製であったが、金属製であってもよい。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年10月13日(1999.10.13)
【代理人】 【識別番号】100067840
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 望 (外2名)
【公開番号】 特開2001−115911(P2001−115911A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−291650