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【発明の名称】 ジメチルエーテル用ディーゼルエンジンの燃料供給装置
【発明者】 【氏名】徳丸 武志

【氏名】瀬戸 雄史

【要約】 【課題】燃料としてのジメチルエーテルを気泡混入のない完全な液体状態でエンジンに供給する。

【解決手段】本発明に係るジメチルエーテル用ディーゼルエンジン1の燃料供給装置は、燃料タンク4内に貯留されたジメチルエーテルからなる燃料を加熱し、昇圧させて、エンジン1側に圧送するためのヒータ13と、その圧送された燃料をエンジン1に至る手前で冷却するためのクーラ17とを備えたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料タンク内に貯留されたジメチルエーテルからなる燃料を加熱し、昇圧させて、エンジン側に圧送するためのヒータと、その圧送された燃料をエンジンに至る手前で冷却するためのクーラとを備えたことを特徴とするジメチルエーテル用ディーゼルエンジンの燃料供給装置。
【請求項2】 上記ヒータの熱媒がエンジン冷却水である請求項1記載のジメチルエーテル用ディーゼルエンジンの燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジメチルエーテルを燃料とするディーゼルエンジンの燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディーゼルエンジンの分野では軽油の代替燃料としてジメチルエーテル(以下DMEともいう)が脚光を浴びつつある(特開平10-281029 号公報等参照)。DME(C2 6 O)は融点-138.5℃、沸点-23.7 ℃(1気圧)で、軽油と同程度のセタン価を有し、空気より比重が大きく、一般に空気中で分解し易く無毒といわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常の軽油を燃料とするディーゼルエンジンでは、燃料タンク内の燃料をフィードポンプによりエンジンに供給するようにしている。
【0004】しかし、軽油をDMEに置き換えた場合、DMEが常温常圧で気体であるため、通常通りの供給方法では燃料が途中で気化し、正常なエンジンの運転に支障をきたす可能性がある。即ち、代替燃料としてDMEを用いた場合でも、エンジンには液体の状態で燃料を供給する必要がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るジメチルエーテル用ディーゼルエンジンの燃料供給装置は、燃料タンク内に貯留されたジメチルエーテルからなる燃料を加熱し、昇圧させて、エンジン側に圧送するためのヒータと、その圧送された燃料をエンジンに至る手前で冷却するためのクーラとを備えたものである。
【0006】これにおいては、ヒータで燃料が加熱、昇圧されてフィードポンプによらずに燃料タンクから圧送される。この燃料は比較的高温なので気泡を含む可能性があるが、その気泡は燃料がクーラで冷却されることにより、エンジンに至る手前で潰される。これにより燃料としてのDMEを完全な液体の状態でエンジンに供給することが可能となる。
【0007】ここで、上記ヒータの熱媒がエンジン冷却水であるのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0009】図1に示すように、ディーゼルエンジン1は6気筒のコモンレール式とされ、DMEを燃料とする。エンジン1はコモンレール2、各気筒に設けられたインジェクタ3及び高圧ポンプ7を含み、高圧ポンプ7で数10〜数100(MPa)まで加圧された燃料をコモンレール2に蓄圧し、各インジェクタ3に分配供給するようになっている。燃料は燃料タンク4内に貯留され、フィード(供給)ライン21の一部をなすフィード管6を通じて高圧ポンプ7に送られる。詳しくは後述するが、燃料タンク4内が高圧に維持され、燃料タンク4内の燃料は液体の状態で貯留される。なお、高圧ポンプ7において燃料圧力制御が行われ、このとき生じた余剰の燃料はリターン管8を通じて燃料タンク4に戻される。
【0010】燃料タンク4、特にその底部にヒータ13が設置される。ヒータ13は熱媒としてエンジン冷却水を用い、この冷却水は導入管14及び戻し管15を通じてエンジン1との間で循環される。導入管14の途中に電磁弁からなる温調バルブ16が設けられ、ヒータ13への冷却水の導入量を制御し得るようになっている。温調バルブ16は電子制御ユニット(以下ECUという)12に接続され、ECU12により開閉制御される。
【0011】フィード管6の途中にクーラ17及び燃料カットバルブ18が設けられる。クーラ17はフィード管6内の燃料を冷却するためのもので、適当な冷媒を用いる。例えばクーラ17には車両用キャブクーラ等を流用することができる。燃料カットバルブ18はフィード管6内における燃料の流通を遮断するために用いられる。燃料カットバルブ18には電磁弁が用いられる。特に、クーラ17は高圧ポンプ7にできるだけ近付けて設置される。燃料カットバルブ18はそのクーラ17の下流側に設置される。クーラ17及び燃料カットバルブ18はECU12に接続され、クーラ17による燃料冷却量及び燃料カットバルブ18の開閉がECU12により制御される。
【0012】フィード管6において、燃料カットバルブ18と高圧ポンプ7との間の位置、好ましくは高圧ポンプ7にできるだけ近い位置に、燃料温度を検知するための燃料温度センサ11が設けられる。燃料温度センサ11もECU12に接続され、これによりECU12は燃料温度センサ11の出力から現在の燃料温度を読み取る。
【0013】燃料タンク4においても、タンク内温度センサ19及びタンク内圧センサ20が設けられ、これらがECU12に接続されて、タンク内温度及びタンク内圧を検知できるようになっている。
【0014】次に、本実施形態の作用を説明する。
【0015】通常のエンジン運転中、燃料カットバルブ18は全開とされてエンジン1への燃料供給を可能とする。また、温調バルブ16も開放されてヒータ13にエンジン冷却水による温水が導入される。これによりヒータ13が高温となり、燃料タンク4内の燃料が加熱される。この加熱により燃料タンク4内の燃料が昇圧され、液化され、フィード管6を通じてエンジン1に圧送される。これにより従来のようなフィードポンプがなくてもエンジン1への燃料供給が可能となり、且つ燃料を液体のまま供給できる。
【0016】特に、燃料タンク4、フィード管6、クーラ17及び燃料カットバルブ18で構成される高圧ポンプ7手前のフィードライン21が密閉空間となっているので、フィードライン21中の圧力はほぼ均一な高圧に保持され、燃料の気化が可及的に防止される。
【0017】図2にDMEの蒸気圧線図を示す。本実施形態ではタンク内温度が60(℃)一定となるよう温調バルブ16が制御される。これにより燃料タンク4の内圧は約14(atm) に保持され、燃料の液化及び供給に十分な高圧を得ることができる。
【0018】なお、タンク内圧センサ20はタンク内圧のチェックに用いられるが、この値を直接利用して温調バルブ16及びタンク内圧の制御を行うことも可能である。このとき燃料温度センサ11はタンク内温度のチェックに利用される。
【0019】ここで、燃料は基本的に液化状態で供給されるものの、元々の供給温度が高いこと、高圧ポンプ7までの流動過程で圧力損失があること等を理由に、高圧ポンプ7に到達するときには気泡が混入している可能性がある。また何らかの理由で燃料温度が高くなり過ぎたときにも気泡混入の虞がある。
【0020】そこで、この気泡を潰す(凝縮させる)ためにクーラ17が設けられている。こうするとクーラ17通過後の燃料が気泡のない完全な液体となり、これを高圧ポンプ7に導入して常に安定したエンジン1の運転を達成できる。この意味でクーラ17はできるだけ高圧ポンプ7に近付けて設置するのが好ましい。
【0021】本実施形態では、燃料温度センサ11の検出値が40(℃)一定となるようクーラ17の冷却量を制御するようにしている。特に高圧ポンプ7直前の位置に燃料温度センサ11を設け、その位置の燃料温度に基づいてクーラ17を制御するため、高圧ポンプ7に導入される燃料を確実に液体の状態とすることができる。
【0022】このように、本実施形態では気泡混入のない完全な液体燃料をエンジン1、特にその高圧ポンプ7に供給することができる。これにより常に安定したエンジンの運転が可能となる。
【0023】なお、エンジン停止時には燃料カットバルブ18が全閉に制御される。これにより燃料カットバルブ18から下流側(エンジン側)の燃料の逆流が阻止され、その下流側で高圧を維持し、燃料気化を防止し、次回の運転を円滑に開始できる。
【0024】本実施形態ではエンジン冷却水を利用してヒータ13を加熱するので、ヒータ用の加熱装置を別途設ける必要が無く、装置のシンプル化に貢献できる。
【0025】以上、本発明の実施の形態は上述のものに限られない。
【0026】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0027】(1) 気泡混入のない完全な液体燃料をエンジンに供給でき、常に安定したエンジンの運転が可能となる。
【0028】(2) 装置のシンプル化に貢献できる。
【出願人】 【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
【出願日】 平成11年10月20日(1999.10.20)
【代理人】 【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
【公開番号】 特開2001−115908(P2001−115908A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−298534