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【発明の名称】 内燃機関の制御装置
【発明者】 【氏名】加藤 辰則

【氏名】黒田 京彦

【要約】 【課題】独立吸気エンジンにおいて、各気筒に導入するバイパス空気流量のばらつきを少なくしてアイドル回転数の安定性を向上させる。

【解決手段】独立吸気エンジンの各気筒の吸気マニホールド12の上流側に設けられたエアボックス13に2本のバイパス空気通路33を並列に接続し、各バイパス空気通路33の途中に、バイパス空気流量を制御するデューティ制御型のバイパス空気制御弁34を設ける。2本のバイパス空気通路33の下流側にバイパス空気の圧力変動を抑制する容積室35を設け、バイパス空気制御弁34を通過したバイパス空気を、一旦、容積室35内に流入させ、この容積室35からバイパス空気を各気筒のバイパス空気導入通路36に分けて流して各気筒のスロットルバルブ15の下流側に導入する。各気筒のバイパス空気導入通路36に逆止弁37を設け、各気筒の吸気圧脈動が相互に干渉し合うことを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 各気筒の吸気通路毎にスロットルバルブを設け、該スロットルバルブをバイパスするバイパス空気流量をバイパス空気制御弁で制御してアイドル回転数を制御する内燃機関の制御装置において、前記バイパス空気制御弁の下流側に、バイパス空気の圧力変動を抑制する容積室と、該容積室から各気筒のスロットルバルブの下流側にバイパス空気を導入するバイパス空気導入通路とを設け、各気筒のバイパス空気導入通路にそれぞれ逆止弁を設けたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】 前記容積室の容積は、1気筒当りのスロットルバルブ下流側の吸気通路容積又は1気筒当りのシリンダ容積とほぼ同等又はそれ以上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】 前記バイパス空気制御弁は、開弁/閉弁の時間比率によってバイパス空気流量を制御するデューティ制御型の電磁弁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】 スロットルバルブ全閉の減速時、レーシング中又はレーシング後の所定期間は、前記容積室内に流れ込むバイパス空気流量が所定量以上となるように前記バイパス空気制御弁を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】 各気筒の吸気通路は、エアクリーナが収納されたエアボックスから分岐して設けられ、前記容積室は、該エアボックス内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】 前記容積室内にバイパス空気を導入する複数のバイパス空気通路が並列に設けられ、各バイパス空気通路にそれぞれ前記バイパス空気制御弁が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各気筒の吸気通路毎にスロットルバルブを配置した独立吸気型の内燃機関において、スロットルバルブをバイパスするバイパス空気流量を制御してアイドル回転数を制御するようにした内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、二輪車においては、各気筒の吸気マニホールド毎にスロットルバルブを設けた独立吸気エンジンを採用したものがある。この独立吸気エンジンにおいても、アイドル回転数制御は、スロットルバルブをバイパスさせるバイパス空気流量を制御するバイパスエア方式のものと、スロットルバルブの全閉位置(アクセルオフ時のスロットル開度)を制御するスロットルバルブ直動方式のものがあるが、独立吸気エンジンは、各気筒毎にスロットルバルブが設けられているため、スロットルバルブ直動方式を採用すると、各気筒毎にスロットル制御システムが必要となり、システム構成が非常に複雑となって、コスト高になる欠点がある。従って、独立吸気エンジンでは、コスト面から、バイパスエア方式の方が有利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】独立吸気エンジンでバイパスエア方式を採用する場合、各気筒のバイパス空気通路にそれぞれバイパス空気制御弁を設けても良いが、システム構成を簡単にするために、各気筒のバイパス空気通路の上流側に共通のバイパス空気制御弁を設けて、共通のバイパス空気制御弁から各気筒のバイパス空気通路にバイパス空気を分流させる構成が提案されている。
【0004】しかし、この構成では、各気筒のバイパス空気通路を通して各気筒の吸気圧脈動が相互に干渉し合い、その影響で、各気筒のバイパス空気流量がばらついてしまい、アイドル回転数が不安定になるという欠点がある。
【0005】本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、独立吸気型の内燃機関において、各気筒のバイパス空気流量のばらつきを少なくしてアイドル回転数の安定性を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の制御装置は、バイパス空気制御弁の下流側に、バイパス空気の圧力変動を抑制する容積室と、該容積室から各気筒のスロットルバルブの下流側にバイパス空気を導入するバイパス空気導入通路とを設け、各気筒のバイパス空気導入通路にそれぞれ逆止弁を設けた構成としたものである。この構成では、バイパス空気制御弁を通過したバイパス空気は、一旦、容積室内に流入し、この容積室から各気筒のバイパス空気導入通路に分かれて流れ、逆止弁を通過して各気筒のスロットルバルブの下流側に導入される。
【0007】本発明では、各気筒のバイパス空気導入通路にそれぞれ逆止弁が設けられているため、各気筒の吸気圧脈動によるバイパス空気の逆流が逆止弁で遮断され、各気筒のバイパス空気導入通路を通して各気筒の吸気圧脈動が相互に干渉し合うことが防止される。しかも、バイパス空気制御弁の下流側に容積室が設けられているため、上記逆止弁によるバイパス空気逆流防止効果と相俟って、容積室内のバイパス空気の圧力変動が効果的に抑制され、容積室内のバイパス空気の圧力が安定する。これにより、容積室から各気筒のスロットルバルブの下流側に導入されるバイパス空気流量のばらつきが少なくなり、アイドル回転数が安定する。
【0008】この場合、容積室の容積が小さいと、容積室内の圧力変動抑制効果が小さくなるため、請求項2のように、容積室の容積を、1気筒当りのスロットルバルブ下流側の吸気通路容積又は1気筒当りのシリンダ容積とほぼ同等又はそれ以上に設定すると良い。このようにすれば、各気筒の吸気圧の変動によるバイパス空気導入量の変動の影響を容積室で吸収するのに十分な容積を確保することができ、容積室による十分な圧力変動抑制効果を得ることができる。
【0009】ところで、バイパス空気制御弁は、ステッピングモータ等で弁体の開度を変化させてバイパス空気流量を制御するモータ駆動型のものを使用しても良いが、請求項3のように、開弁/閉弁の時間比率によってバイパス空気流量を制御するデューティ制御型の電磁弁を用いることが好ましい。デューティ制御型のバイパス空気制御弁は、モータ駆動型のものと比較して安価であり、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0010】デューティ制御型のバイパス空気制御弁を用いる場合、バイパス空気制御弁を通して容積室内に吸入する空気量がバイパス空気制御弁の開弁/閉弁に伴って変動するため、もし、バイパス空気制御弁の下流側に容積室が無いと、バイパス空気制御弁の開弁/閉弁に伴って、各気筒に導入するバイパス空気流量が変動してアイドル回転数が不安定になるが、本発明では、バイパス空気制御弁の下流側に容積室が設けられているため、バイパス空気制御弁の開弁/閉弁によるバイパス空気の圧力変動を容積室で抑制することができ、各気筒に導入するバイパス空気流量を安定させることができる。
【0011】ところで、スロットルバルブ全閉の減速時やレーシング時は、各気筒の吸気負圧が増大し、容積室から各気筒に導入される空気量が増加して容積室内のバイパス空気の圧力が低下する傾向があるため、請求項4のように、スロットルバルブ全閉の減速時、レーシング中又はレーシング後の所定期間は、容積室内に流れ込むバイパス空気流量が所定量以上となるようにバイパス空気制御弁を制御することが好ましい。このようにすれば、スロットルバルブ全閉の減速時やレーシングによる容積室内の圧力低下(容積室内の空気量減少)を抑えることができ、その後、アイドル運転に移行した時に、直ちに各気筒に十分な量のバイパス空気流量を導入することができ、アイドル回転数を速やかに安定させることができる。
【0012】また、請求項5のように、エアクリーナが収納されたエアボックスから各気筒の吸気通路を設けた構成のものでは、容積室をエアボックス内に配置しても良い。このようにすれば、容積室を外部に設置する必要がなくなり、システム全体をコンパクト化できると共に、外観の見栄えも向上できる。
【0013】また、請求項6のように、容積室内にバイパス空気を導入する複数のバイパス空気通路を並列に設け、各バイパス空気通路にそれぞれバイパス空気制御弁を設けた構成としても良い。このようにすれば、複数のバイパス空気制御弁によってバイパス空気流量の調整範囲を拡大することができ、アイドル回転数制御性能を高めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】[実施形態(1)]以下、本発明を二輪車の4気筒エンジンに適用した実施形態(1)を図1乃至図7に基づいて説明する。
【0015】まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の各気筒の吸気ポート10には、それぞれ吸気マニホールド12(吸気通路)が接続され、各気筒の吸気マニホールド12の上流側にはエアボックス13が接続され、このエアボックス13内に吸入された空気がエアクリーナ(図示せず)を通して各気筒の吸気マニホールド12に吸い込まれる。このエアボックス13には、吸気温を検出する吸気温センサ14が取り付けられている。
【0016】各気筒の吸気マニホールド12の途中には、それぞれスロットルバルブ15が取り付けられ、このスロットルバルブ15の開度(スロットル開度)がスロットル開度センサ16によって検出される。更に、吸気マニホールド12のうちのスロットルバルブ15の下流側には、吸気圧を検出する吸気圧センサ17が設けられ、各気筒の吸気ポート10の近傍には燃料噴射弁18が取り付けられている。
【0017】一方、燃料タンク19内から燃料ポンプ20で汲み上げられた燃料は、燃料配管21→燃料フィルタ22→燃料配管23→デリバリパイプ24に送られ、各気筒の燃料噴射弁18に分配される。デリバリパイプ24内の余剰燃料は、プレッシャレギュレータ25→リターン配管26の経路で燃料タンク19内に戻される。プレッシャレギュレータ25は、デリバリパイプ24内の燃料圧力と吸気圧との差圧が一定になるようにデリバリパイプ24内の燃料圧力を調整する。
【0018】エンジン11のシリンダヘッドには、気筒毎に点火プラグ27が取り付けられ、点火タイミング毎に点火コイル28の二次側に発生する高電圧が各気筒の点火プラグ27に印加され、点火される。このエンジン11には、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ29と、特定気筒を判別する気筒判別センサ30と、冷却水温を検出する水温センサ31とが取り付けられている。また、車体の所定位置には、大気圧を検出する大気圧センサ32が取り付けられている。
【0019】また、図2に示すように、エアボックス13には、吸入空気の一部を各スロットルバルブ15の下流側にバイパスさせるための2本のバイパス空気通路33が並列に接続され、各バイパス空気通路33の途中に、バイパス空気流量を制御するバイパス空気制御弁34が設けられている。各バイパス空気制御弁34は、デューティ制御型の電磁弁で構成され、開弁/閉弁の時間比率(デューティ比DU)によってバイパス空気流量を制御してアイドル回転数を制御する。これら2つのバイパス空気制御弁34は、後述するエンジン制御回路39によって、例えば180℃A毎に交互に駆動される。
【0020】各バイパス空気通路33は、バイパス空気の圧力変動を抑制する容積室35に接続され、この容積室35には、該容積室35に流入したバイパス空気を各気筒の吸気マニホールド12のスロットルバルブ15の下流側に導入する4本のバイパス空気導入通路36が接続されている。従って、バイパス空気制御弁34を通過したバイパス空気は、一旦、容積室35内に流入し、この容積室35から各気筒のバイパス空気導入通路36に分かれて流れ、各気筒のスロットルバルブ15の下流側に導入される。
【0021】容積室35は、十分な圧力変動抑制効果を得るために、その容積が、1気筒当りのスロットルバルブ15下流側の吸気通路容積又は1気筒当りのシリンダ容積とほぼ同等又はそれ以上となるように形成されている。更に、各気筒のバイパス空気導入通路36には、逆止弁37が設けられ、各気筒の吸気圧脈動によるバイパス空気の逆流がこの逆止弁37で遮断され、各気筒のバイパス空気導入通路36を通して各気筒の吸気圧脈動が相互に干渉し合うことが防止されるようになっている。
【0022】一方、スロットル開度センサ16、エンジン回転数センサ29等の各種センサの出力信号はエンジン制御回路39に入力される。このエンジン制御回路39はマイクロコンピュータを主体として構成され、ROM40(記憶媒体)に記憶された図3のデューティ比算出ルーチンと図4の通電時間算出ルーチンを実行してアイドル回転数を目標アイドル回転数に一致させるようにバイパス空気制御弁34のデューティ比DUを制御する。以下、各ルーチンの処理内容を説明する。
【0023】図3のデューティ比算出ルーチンは、所定時間毎(例えば100ms毎)に実行される。本ルーチンの処理が開始されると、まず、ステップ101で、アイドル回転数フィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。ここで、アイドル回転数フィードバック制御条件は、例えば、始動後所定時間が経過していること、スロットルバルブ15が全閉であること、エンジン回転数が所定回転数以下であること、各センサに異常がないこと等である。これらの条件を全て満たせば、アイドル回転数フィードバック制御条件が成立するが、いずれか1つでも満たさない条件があれば、アイドル回転数フィードバック制御条件が不成立となる。アイドル回転数フィードバック制御条件が成立していれば、ステップ102に進み、アイドル回転数フィードバック制御条件が成立してから所定時間が経過したか否かを判定する。
【0024】アイドル回転数フィードバック制御条件が不成立の場合又はアイドル回転数フィードバック制御条件が成立してから所定時間経過前の場合には、ステップ103に進み、スロットルバルブ15が全閉か否かを判定する。スロットルバルブ15が全閉であれば、ステップ104に進み、エンジン回転数NEが所定回転数Eよりも高いか否かを判定する。
【0025】スロットルバルブ全閉で且つエンジン回転数NEが所定回転数Eよりも高い場合は、スロットルバルブ全閉の減速中と判断して、ステップ105に進み、バイパス空気制御弁34のデューティ比DUを所定値Fに設定する。ここで、所定値Fは、スロットルバルブ全閉の減速中に容積室35内に流れ込むバイパス空気流量を所定量以上、つまり、容積室35内の圧力低下(容積室35内の空気量減少)を抑えるのに必要なバイパス空気流量を確保できるデューティ比に設定されている。
【0026】これに対して、スロットルバルブ15が全閉でない場合又はエンジン回転数NEが所定回転数E以下の場合は、ステップ106に進み、バイパス空気制御弁34のデューティ比DUを冷却水温に応じてマップ又は数式により算出する。この冷却水温に応じたデューティ比DUは、エンジン回転数NEを後述する目標アイドル回転数NETに維持できるデューティ比に設定される。
【0027】一方、上記ステップ102で、アイドル回転数フィードバック制御条件が成立してから所定時間が経過したと判定された場合は、ステップ107に進み、冷却水温等に応じた目標アイドル回転数NETをマップ又は数式により算出し、次のステップ108で、現在のエンジン回転数NEと目標アイドル回転数NETとの回転数偏差DLNEを次式により算出する。
DLNE=NE−NET【0028】この後、バイパス空気制御弁34のデューティ比DUを次のようにして算出する。まず、ステップ109で、回転数偏差DLNEが−Aよりも小さいか否かを判定し、−Aよりも小さい場合(つまり現在のエンジン回転数NEがNET−Aよりも低い場合)は、ステップ111に進み、エンジン回転数NEを上昇させるために、デューティ比DUを前回値よりも所定量Cだけ増量する。一方、回転数偏差DLNEが−A以上の場合は、ステップ110に進み、回転数偏差DLNEがBよりも大きいか否かを判定し、Bよりも大きい場合(つまり現在のエンジン回転数NEがNET+Bよりも高い場合)は、ステップ112に進み、エンジン回転数NEを低下させるために、デューティ比DUを前回値から所定量Dだけ減量する。
【0029】また、−A≦DLNE≦Bの場合には、現在のエンジン回転数NEが目標アイドル回転数NET付近で安定しているため、前回のデューティ比DUをそのまま維持する。この後、ステップ113で、デューティ比DUの上下限チェックを行って、デューティ比DUの設定値を例えば0%≦DU≦100%の範囲内に収める。このようにして今回のデューティ比DUが設定される。
【0030】図4に示す通電時間算出ルーチンは、エンジン回転数センサ29の出力信号に基づいて発生する割り込み信号によって起動され、ステップ201で、バイパス空気制御弁34の通電時間TONを、最新のT360(360℃A回転するのに要した時間)とバイパス空気制御弁34のデューティ比DUと無効制御時間TISCを用いて次式により算出する。
TON=T360・DU+TISCここで、無効制御時間TISCは、バイパス空気制御弁34の動作応答遅れに応じて設定された時間である。この場合、デューティ比DUが大きくなるほど、通電時間TON(開弁時間)が長くなり、バイパス空気流量が増加する。
【0031】エンジン制御回路39は、図3のデューティ比算出ルーチンで算出したデューティ比DUと図4の通電時間算出ルーチンで算出した通電時間TONで、2つのバイパス空気制御弁34を180℃A毎に交互に駆動し(図5参照)、アイドル回転数フィードバック制御条件成立中は、アイドル回転数を目標アイドル回転数NETに一致させるようにバイパス空気流量(デューティ比DU)をフィードバック制御する。
【0032】以上説明した本実施形態(1)のアイドル回転数制御装置の効果(図7参照)を従来のアイドル制御装置(図6参照)と比較して説明する。従来のバイパスエア方式のアイドル回転数制御システムは、容積室35や逆止弁37が無いため、デューティ制御型のバイパス空気制御弁を用いると、バイパス空気制御弁の開弁/閉弁に伴うバイパス空気流量の変動や各気筒の吸気圧脈動の相互干渉によって、図6に示すように、バイパス通路内の圧力変動が大きくなる。しかも、各バイパス通路の管径やポート径のばらつき等によって圧力変動幅も気筒毎に異なってくる。その結果、各気筒の吸気圧とバイパス通路内の圧力との差圧(斜線部分)が気筒間で不均一になって、この差圧によって各気筒に導入されるバイパス空気流量が気筒間で大きくばらついてしまい、アイドル回転数が不安定になってしまう。
【0033】これに対して、本実施形態(1)のアイドル回転数制御システムでは、バイパス空気制御弁34の下流側に容積室35を設けているため、デューティ制御型のバイパス空気制御弁34を用いても、該バイパス空気制御弁34の開弁/閉弁によるバイパス空気の圧力変動が容積室35で抑制される。更に、各気筒のバイパス空気導入通路36にそれぞれ逆止弁37を設けているため、各気筒の吸気圧脈動によるバイパス空気の逆流が逆止弁37で遮断され、各気筒のバイパス空気導入通路36を通して各気筒の吸気圧脈動が相互に干渉し合うことが防止される。これにより、容積室35自体の圧力変動抑制効果と逆止弁37によるバイパス空気逆流防止効果との相乗効果によって、図7に示すように、容積室35内の圧力変動が効果的に抑制されて、容積室35内の圧力が安定するようになる。これにより、各気筒の吸気圧と容積室35内の圧力との差圧(斜線部分)が各気筒管でほぼ平均化されて、この差圧によって容積室35から各気筒に導入されるバイパス空気流量のばらつきが少なくなり、アイドル回転数が安定するようになる。
【0034】しかも、デューティ制御型のバイパス空気制御弁34は、モータ駆動型のものと比較して安価であるため、低コスト化の要求も満たすことができる。しかしながら、バイパス空気制御弁34は、ステッピングモータ等で弁体の開度を変化させてバイパス空気流量を制御するモータ駆動型のものを使用しても良い。
【0035】また、容積室35の容積が小さいと、容積室35内の圧力変動抑制効果が小さくなるが、本実施形態(1)では、容積室35の容積を、1気筒当りのスロットルバルブ15下流側の吸気通路容積又は1気筒当りのシリンダ容積とほぼ同等又はそれ以上に設定するようにしているので、各気筒の吸気圧の変動やバイパス空気制御弁34によるバイパス空気導入量の変動の影響を容積室35で吸収するのに十分な容積を確保することができ、容積室35による十分な圧力変動抑制効果を得ることができる。
【0036】ところで、スロットルバルブ全閉の減速時は、各気筒の吸気負圧が増大し、容積室35から各気筒に導入される空気量が増加して容積室35内の圧力が低下する傾向があることを考慮して、本実施形態(1)では、スロットルバルブ全閉の減速時は、バイパス空気制御弁34のデューティ比DUを所定値Fに設定して、容積室35内に流れ込むバイパス空気流量を所定量以上に制御して、容積室35内の圧力低下(容積室35内の空気量減少)を抑えるのに必要なバイパス空気流量を確保するようにしているので、スロットルバルブ全閉の減速による容積室35内の圧力低下(容積室35内の空気量減少)を抑えることができ、減速状態からアイドル運転に移行した時に、直ちに各気筒に十分な量のバイパス空気流量を導入することができ、アイドル回転数を速やかに安定させることができる。
【0037】尚、レーシング時も、容積室35から各気筒に導入される空気量が増加して容積室35内の圧力が低下する傾向があるため、レーシング中又はレーシング後の所定期間に、スロットルバルブ全閉の減速時と同様に、バイパス空気制御弁34のデューティ比DUを所定値に設定して、容積室35内に流れ込むバイパス空気流量を所定量以上に制御して、容積室35内の圧力低下(容積室35内の空気量減少)を抑えるのに必要なバイパス空気流量を確保するようにしても良い。
【0038】更に、本実施形態(1)では、容積室35内にバイパス空気を導入するバイパス空気通路33を2本、並列に設け、各バイパス空気通路33にそれぞれバイパス空気制御弁34を設けているので、2つのバイパス空気制御弁34によってバイパス空気流量の調整範囲を拡大することができ、アイドル回転数制御性能を高めることができる。
【0039】しかしながら、1つのバイパス空気制御弁34でもバイパス空気流量を十分に調整可能であれば、バイパス空気通路33を1本にして該バイパス空気通路33に、1つのバイパス空気制御弁34を設けるようにしても良い。或は、バイパス空気通路33を3本以上、並列に設け、各バイパス空気通路33にそれぞれバイパス空気制御弁34を設けるようにしても良い。
【0040】[実施形態(2)]上記実施形態(1)では、バイパス空気通路33、バイパス空気制御弁34及び容積室35をエアボックス13の外部に配置したが、本発明の実施形態(2)では、図8に示すように、バイパス空気通路33、バイパス空気制御弁34及び容積室35をエアボックス13の内部に配置している。この構成では、バイパス空気制御弁34及び容積室35を外部に設置する必要がなくなり、システム全体をコンパクト化することができる共に、外観の見栄えも向上することができる。尚、容積室35のみをエアボックス13内に設置し、バイパス空気制御弁34をエアボックス13の外部に設置するようにしても良い。
【0041】以上説明した各実施形態では、本発明を4気筒エンジンに適用したが、4気筒以外の気筒数のエンジンに本発明を適用しても良い。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年8月24日(1999.8.24)
【代理人】 【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
【公開番号】 特開2001−65434(P2001−65434A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−237422